| 【発明の名称】 |
稲作用籾貼着紙巻取の田敷前の前処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 恭介
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】籾を一つずつ規則正しく配列して之を非水溶性糊剤によって2枚の紙の間に貼着した長尺紙の巻取を田に敷く所謂、田植え無用雑草不毛収量増加の稲作農法、に於いて、田敷き(通常稲作の田植えに相当)前に該巻取を、立てた状態で、内部の籾貼着紙に対して、上からぬるま湯等の水類又は水溶性養分等の含有水を、籾貼着紙全体に行き亘るようにかけ、該巻取内を湿潤状態に適日間保持して、巻取内の籾を予め萌芽状態即ち発芽前後の状態にした後、田圃に敷き詰め、籾の発芽を確実にし、且つ籾の直播き方式に懸念される鳥害を防止すると共に、圃場での稲の発芽成長の期間を大幅に短縮する事を特徴とする、籾貼着紙巻取の田敷き前の特殊な前処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、出願公開番号、特開平8−214715,特開平8−275683に示す新稲作法に於いて、長尺紙に貼着した籾の発芽を、労少なく極めて簡単な方法により、確実に、且つ発芽期間を大幅に短縮する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】先ずこの発明の元となる稲作法について簡単に述べると、この稲作法は、籾を非水溶性糊剤にて、2枚の紙(上面紙には発芽窓を設ける)の間に、サンドイッチ状に、一つずつ一定間隔に貼着した長尺紙を田に敷き詰めて、雑草の生成を防止すると同時に、籾の発芽後の状態が、あたかも通常の田植法による稲作に於いて、苗を比較的短い定間隔に、規則正しく一本植えしたものと同じ状態を実現する為、田の単位面積当りの苗本数が大幅に増加するにも拘わらず、その干渉作用が極力排除される事から、無(又は低)農薬米を従来より大幅に増収可能にしたものである。(以後之を本文に限り便宜上発明者の名に因んで、カトー式稲作法と略称する) 【0003】このカトー式稲作法は直播き方式の為、通常の田植式と田圃での成育期を同じくする為には、数週間早めに田に籾貼着紙を敷く必要がある。従って未だ水温の冷たい早春の田敷きとならざるを得ない。しかし籾の発芽には水温の影響が極めて大きく、早春の気温では発芽に長期間を要し、未発芽率も高くなるばかりでなく、この稲作方式では籾が田圃の表面に近く存在して、鳥害を受け易い為、出来れば田敷きと同時に稲の生育が始まる事が望まれる。また、一般的に通常の直播きでも、苗代を作る場合でも、播く籾は或期間温水に漬けて、発芽前後の萌芽状態にしたものを用いる事が多い。従って之をカトー式稲作に適用した場合は、籾貼着紙の巻取ごと2,3日間ぬるま湯に漬けて萌芽状態にした後、巻取を長時間立てゝ水を充分に切り、半乾燥,半湿潤状態にしたものを田に敷く方法が行われた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】籾貼着紙の巻取は、農家の人が1人又は2人で運搬可能とする為に、その重さは20kg前後,巻取の長さ(長尺紙の幅)は1m〜1.5m,巻取の直径30cm〜40cmが適当であり、大凡この範囲で作られている。籾の発芽を確実にし、且つ圃場での発芽を早める為には、この巻取を田に敷く前の2,3日間、ぬるま湯槽に漬けた後、充分に水を切ったものを田に敷くのがよい。しかしそれには巻取浸漬用水槽を作る必要がある。先ず数本の巻取を一度に漬ける湯槽を使用した場合を例にとると、お湯は数時間で冷える為、仮に始め40℃のお湯を湯槽に入れても、周囲の外況にもよるが(因みに発芽に好影響を及ぼす温度範囲は25℃〜35℃)早春の頃は数時間で25℃以下になる為、1日に2,3回はお湯を入れ換える必要があり、その経費と労力は無視出来ないものとなる。又巻取1本がぴったりと入る円筒状の立型湯槽も考慮したが、仮にその立型湯槽の購入費が量産により大した事はなくなるとしても、1反(10アール=千m2)当り数本の巻取を使用するので、現在日本の農家の約80%を占める第2種兼業農家及び自給的農家の平均水田保有面積3〜5反ですら、十数本の円筒状立型湯槽を必要とし、早春に一度使用すれば、翌年迄之を保管しなければならず、その保管スペースも又大きな無駄となる。 【0005】 【課題を解決する為の手段】前記課題は、この発明の方法により解決した。即ち籾貼着巻取を垂直に立てた状態で、図1,2に示す如く、巻取の外側を包装している包装紙(巻取幅より長く作られていて、その両端は巻取の中心部にある紙管の中に折り込まれている)の上端を、紙管から引き出し且つ立てゝ、中心にある紙管と立てた包装紙の間に何百重にも巻き込まれている籾貼着紙の中へ、40℃位のぬるま湯を、水差しのような容器に入れて、全体に行き亘るように出来るだけ均等に流し込み、巻取の下端から過剰になったお湯が洩れて来た時点で止める。その後数時間毎にお湯を流し込み、翌日は巻取の上下を逆にして同じ作業を繰り返す。1回目の水の流下で、巻取は略完全な湿潤状態になるので、2回目からは、上からのお湯かけは僅かでも直ぐ巻取の下端から水が洩れて来るようになる。しかし中が温まる迄暫くお湯を流し出した方が、より効果的である。このようにすると、お湯の量は必要最小限に押さえられ、労力も少なく、この為の無駄なスペースも不要となり、しかも巻取内の籾は、2,3日で萌芽の状態になる事が確認されている。尚ぬるま湯をかける際、終回近く、湯の中に有機栽培等に利用される、有用微生物群培養水を混入させておくと、より効果的である。 【0006】 【作用】図1−(1)は、籾貼着紙巻取を垂直に立てた状態の外観見取図である。この図に於いて、1は外包紙で、その側端は粘着テープ2で接着され、先端余剰部3は、巻取中心にある紙管4に繰り込まれている。図1−(2)は包装された籾貼着紙巻取(1)の内部を説明する為に、外包の一部を開封して更に巻取を少し引出し、外包紙先端余剰部3を上下共立てた状態にて示した図である。図1−(2)に於いて、5は籾貼着紙巻取で、6が2枚の紙で籾をサンドイッチにした籾貼着紙、7が籾で、非水溶性粘着剤の筋状塗工部8により貼着されている。9は発芽窓で、以上之等はキッチンタオル単葉紙10によって被覆貼合され、籾貼着紙6を形成する。図2は、この発明の方法により、図1−(1)に於ける巻取の上部先端3を、紙管4から抜き立てた状態にして、その上から水差し11によりぬるま湯を流し込む状況を示した見取図である。図2に於いて、水差し11に入れた40℃位のぬるま湯を籾貼着紙巻取5の上から、均等に留意してかけると、お湯は徐々に巻取内に浸透する。一般的には、紙巻取は可成り堅く巻かないと輸送中に型崩れを起こす為、硬巻きが行われている。従ってこのような巻取を立てゝ、その上からお湯を注いでも巻取内に空間が極めて少ない為、注水は殆ど流下せず、巻取内を均等に湿潤させる事は不可能である。 【0007】しかしこの籾貼着紙の場合は、籾が付いている為、堅く巻く事は不可能であり、且つ少し緩く巻かれていても、サンドイッチ貼着された籾部分の凹凸に阻まれてほぐれる事はない。また2枚使用される籾貼着紙の中の表面紙12は、主として重袋用未晒クラフト紙等の、或程度の耐水性をもった紙の使用される事が多いが、裏面紙10にはキッチンタオル単葉紙の如き、トイレットペーパーより耐水性は強いが、タオル用途の為吸水性も程々に有する紙が使用されるので、裏面紙は一旦湿潤した後の保水性は可成り強く、少なくとも湿潤後数時間は、籾に水分を補給し続ける事が出来る。従って一日に3,4回水差しでぬるま湯をかけるという、労少ない簡単な作業で籾の発芽を促進する事が出来る。しかも籾の発芽には適度の範囲内での高い水温の外に、酸素が必要であり、従ってこの発明の方法は、一日に3,4回適温のお湯を供給すると同時に空気にも触れており、巻取上下の逆転により巻取内の水分均一化も図る事から、巻取を温水に漬けるのと殆ど変わらない短期間で、巻取内の籾の発芽を促進する事の可能である事が明らかになった。 【0008】 【実施例】具体的な実施例について説明すれば、図1の籾貼着紙長尺巻取の寸法として、巻取幅−約1.2m,外包紙幅−約1.7m(両端約25cmずつを外径約10cmの紙管内に折り込む),巻取直径−約30cm,籾貼着紙の巻き込み長−約200m,表面紙に使用した原紙−約80g/m2の重袋用未晒クラフト紙,裏面紙に使用した原紙−約15g/m2のキッチンタオル単葉紙,籾銘柄ササニシキ。以上条件の巻取を床上に立て、その1本について、最初約40℃の温水約3000mlを、前記の如き仕様にて、水差しで巻取に注入した時点で、巻取の下端より水洩れが生じ、注水を終えた。その後平均約6時間おきに24時間、約40℃の温水約500mlを注入した後、上端の外包紙先端を元通りに紙管内に曲げ入れ戻し、巻取の上下を逆転し、外包紙の先端を周縁に立て、24時間、約6時間おきに、約40℃の温水約500mlを注入した後、巻取の下に多数の新聞紙を敷いて、約8時間放置して水を切り、半湿潤状態にしたものを田に敷いた。その際既に大部分の籾が萌芽状態にある事を確認した。この時の籾は約1週間にて、平均3cmに成長し、発芽率は約90%であった。 【0009】 【発明の効果】特開平8−214715及び特開平8−275683の発明による、本文特称所謂カトー式稲作法は、前述の如く直播方式の故に、籾の発芽を早める為の前処理を良しとするが、カトー式稲作法では、それのみならず、巻取を事前に水になじませておく事が、籾の発芽を早める為のみでなく、田圃に籾貼着紙を敷く際に紙が既に水に馴染んでいると、田の水面下への紙の沈降が早まり、従って田土への紙の定着が早くなり、その後の稲作の進行がスムーズに運ぶ事になる。その為には籾貼着紙巻取の水漬処理が、この方法の田圃への普及にとって欠く可からざる方法となった。しかし巻取の水漬処理には、常識的な、巻取を直接ぬるま湯に漬ける方法の外は、之迄良い方法が見付からなかった。この発明の方法の欠点として当初から懸念されていた事は、水槽への浸漬に比し水分が不足する為、萌芽迄に極めて長期間を必要とし、従って巻取全体として発芽のバラツキが大き過ぎるのではないかという事であった。しかし幸いな事に、稲籾の発芽には、水分の外に酸素も重要な要素となる為、この発明の方法では、水槽への浸漬に比し水分の不足する欠点を、空気との接触が良い事によって補った形になり、水槽浸漬法に比し極めて簡便になったにも拘わらず、水槽浸漬法と略同一効果を得る事が出来た。このように、この発明によって萌芽状態で田敷きを行う事が安易に出来るようになった事から、苗の成長期間の大幅な短縮と、鳥害防止(鳥は発芽した籾は狙わない)が確実になり、従ってこの発明により、カトー式稲作法の一般農家への普及を早める効果が大となった。 【0010】
|
| 【出願人】 |
【識別番号】393031003 【氏名又は名称】加藤 恭介
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月10日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平11−5 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−190372 |
|