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【発明の名称】 管理機の耕耘装置
【発明者】 【氏名】河本 勇

【要約】 【課題】肩落し板を管理機の機体前部に配置していたため、操作面でのバランスが悪く、ハンドル部への抵抗反力が大きいため操作が難しく、また深浅装置の上下に連動していないため、調整作業が面倒であった。成形板についても、畦の形状に合わせて固定するタイプであったため、成形板で揚土した土を引っかけ落としたり、引っかけた土の抵抗により機体のバランスを失い作業仕上がりが不揃いになるといった不具合が生じていた。

【解決手段】深浅装置の上下する尾輪支持杆71に肩落し取付ボス81を配設し、肩落し板8を畦肩の幅に合わせて左右に装着し、ロータリーカバー24の後部側面に柔軟性材質の成形板9を装着した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耕耘装置を装着した管理機において、深浅調節装置により上下する尾輪支持杆途中部に、畝肩の幅に合わせて左右に位置調節可能に肩落し板を装着したことを特徴とする管理機の耕耘装置。
【請求項2】 耕耘装置を装着した管理機において、左右、上下にスライドするロータリーカバーの後部面に成形板を装着したことを特徴とする管理機の耕耘装置。
【請求項3】 前記成形板を柔軟性のある材質にて形成したことを特徴とする請求項2記載の管理機の耕耘装置。
【請求項4】 前記成形板を上下方向に長い成形板と、左右方向に幅の広い成形板を上下に装着したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の管理機の耕耘装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管理機に付設した耕耘装置に関するもので、特に、ねぎを植えた圃場での耕耘装置による揚土の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から管理機の後部に耕耘装置を配設して、畝と畝の間を走行しながら揚土を行う技術は公知となっている。これらは畝と畝の間の溝部分とその両側の土を掻き揚げて畝頂部に植え付けた作物の根元部分に土を被せるようにしていた。このように畝の上部まで土を掻き揚げられるように、耕耘装置の耕耘カバーの両側は上方に回動して斜め上側方へ飛ばせるようにしていた。また、畝間に溝を成形した後や二回目の揚土等では、畝の垂直な壁の角を削り落とし、畝の側面を斜め形状とするために、管理機の耕耘装置後部に肩落し板を装着しているものがある。この場合ハンドルを前方へ回動して後進しながら作業を行う。また、耕耘装置により揚土した土を、確実に定着させるための成形板が管理機本体に固定装着されているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来技術においては、肩落し板を管理機の機体側の後端に装着していたため、操作面でのバランスが悪く、ハンドル部への抵抗反力が大きいため操作が難しいものとなっていた。また、ローターの深浅装置の上下に連動しているため、深く耕したときには肩落し板も下がるので調整が二重になり作業が面倒であった。さらに成形板についても、畝の形状に合わせて固定するタイプであったため、管理機本体が進行中に左右に振れると成形板で揚土した土を引っかけ落としたり、また、引っかけた土の抵抗により機体のバランスを失い作業仕上がりが不揃いになるといった不具合が生じていた。そこで、本発明は、深浅装置の上下運動に連動する肩落し板、及び作業条件に合わせて常に安定した飛散防止と土押え成形が可能な成形板を耕耘装置に装着することにより前述の課題を解決する。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上が本発明の解決しようとする課題であり、次に課題を解決するための手段について説明する。即ち、耕耘装置を装着した管理機において、深浅調節装置により上下する尾輪支持杆途中部に、畝肩の幅に合わせて左右に位置調節可能に肩落し板を装着した。
【0005】耕耘装置を装着した管理機において、左右、上下にスライドするロータリーカバーの後部面に成形板を装着した。
【0006】前記成形板を柔軟性のある材質にて構成する。
【0007】前記成形板を上下方向に長い成形板と、左右方向に幅の広い成形板を上下に装着した。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を添付の図面により説明する。図1は、ロータリー耕耘装置を付設した管理機の全体側面図、図2は肩落し板の正面斜視図、図3は肩落し板の畦との接触状態を示す図、図4はロータリーカバー及び成形板の正面図、図5は成形板による畦の成形状態を示す図である。
【0009】まず、図1より全体構成について説明する。歩行型移動農機である管理機1は、本機前部 (ハンドルをエンジン上方側に回動して後進しながら作業を行うので、進行方向を前方としている)に作業機としてロータリー式耕耘装置2が装着されている。そして本機後部にエンジン30が搭載され、該エンジン30の上部には燃料タンク31が搭載されている。該エンジン30の側部には伝動ケース32が配置され、該伝動ケース32内のベルトやプーリー等の伝動機構によりエンジン30の動力が、伝動ケース32前部に位置するミッションケース33に伝動され、変速される。
【0010】前記ミッションケース33の上部には、水平方向360°回動可能に図示せぬハンドルベースが設けられていて、該ハンドルベース上にハンドル4が載置固定されている。また、該ミッションケース33の前下方にヒッチ5が設けられ、該ヒッチ5にロータリー式耕耘装置2が装着固定されている。また、ヒッチ5より前方にビーム6が突設され、その下部にロータリーカバー24の内側の前後辺を枢支し、前端に尾輪7を上下高さ調節可能に設けている。
【0011】また、前記ミッションケース33は下方へ図示せぬ走行チェーンケースを延出して、該走行チェーンケース下部に車軸を横架し、該車軸に走行輪11を軸支している。また、前記ビーム6に上下方向に耕耘チェーンケース21を配設して、該耕耘チェーンケース21上部とミッションケース33の間に伝動ケースを配置して動力を伝達し、該耕耘チェーンケース21下部に耕耘爪軸22を横架し、該耕耘爪軸22上に耕耘爪を放射状に植設している。該耕耘爪の回転軌跡の上方は前記ロータリーカバー24によって覆われ、ロータリー耕耘装置2を構成している。
【0012】また、図4に示すように、該ロータリーカバー24はビーム6下面に蝶番24aにより回動自在に装着される固定部24bと、左右方向にスライドするスライド部24cと後壁24dからなり、スライド部24cがボルトにて固定部24b固定されている。そして、ボルトを緩め、スライド部24cに穿設された長孔内でボルトの固定位置を移動させることにより、スライド部24cが左右方向(矢視B方向)にスライド可能となっている。また、該スライド部24cの後端には同様にボルトにて固定された上下にスライド可能な後壁24dが装着されており、後壁24dは上下方向(矢視C方向)にスライド可能となっている。。そして該固定部24bの上面にはスイングアーム25が枢支され、前記ビーム6上に立設された支柱26と該スイングアーム25・25とが、その交点でボルトにて固定されている。そして該ボルトが嵌合されている支柱26の長孔26a内を、該ボルトが上下に摺動可能となっており、この上下の位置移動によりロータリーカバー24が枢支されている蝶番24aを中心に上下に回動可能となっている。
【0013】次に図2より肩落し板8の構成について説明する。前記尾輪7はビーム6前端に装着された上下調節可能な尾輪支持杆71の下部に回転自在に軸支されており、該尾輪支持杆71の上端はハンドルよりなる深浅調節装置に接続され、該尾輪支持杆71途中部分に、取付ボス81が装着されている。そして該取付ボス81の前部に横軸82が左右方向に横架している。また、該横軸82の左右両端にはそれぞれ肩落し板8・8の内側面の略中央より突設された装着筒83・83が挿嵌されており、該装着筒83・83の外端には、それぞれ左右の肩落し板8が向き合うよう固定されている。そして、横軸82と装着筒83・83とはボルト84・84で固定されるよう構成されており、該ボルト84を緩めることにより、該肩落し板8・8の間隔を調節可能としている。
【0014】また、該肩落し板8・8は前側の間隔をやや狭く 後側をやや広くして食い込んでいかないようにしており、また、肩落し板8は畦肩を崩して揚土しやすくする事が目的であるため、その大きさは尾輪7中心位置付近から上方に略30cm程度の高さまでとすればよい。
【0015】次に図4より成形板9の構成について説明する。成形板9は前記ロータリーカバー24の後壁24dに上下方向に装着されており、該成形板9は、土寄せ成形部91と押え成形部92により構成される。該押え成形部92はロータリーカバー24の後壁24dの下部に配設され、上下方向に長い四角形状をしており、該土寄せ成形部91は該押え成形部92の上方に位置し、押え成形部92より左右方向に幅の広い四角形状となっている。そして、該土寄せ成形部91と該押え成形部92が一体的に後壁24dに装着されている。そして前述したスライド部24cと後壁24dの左右、上下方向のスライドに合わせて、該成形板9もスライドする構成となっている。なお、ロータリーカバー24の前端には飛散防止板が配置されている。
【0016】また、本実施例においては該成形板9を柔軟性のゴム材質にて形成している。これにより、該成形板9はロータリーカバー24等、装着場所の形状に合わせて装着し易い構成となっている。また、該成形板9は柔軟性のある合成樹脂製の部材で構成することも可能である。
【0017】以上の構成により、本発明の管理機においてねぎ栽培地の揚土の作業を行った場合、まず、図3で示すように、管理機1の前部に位置する肩落し板8・8により畝のせり上がった垂直に近い面を削り落としていく。これにより、矢視Aで示す畝肩の角の部分が削られ、畝の側面は上方になだらかに傾斜するようになるので、後述する耕耘爪により揚土を行った場合にも、揚土が崩れにくく安定した作業が行えるのである。さらに、該肩落し板8は尾輪支持杆71に装着されているため、尾輪7の上下調節と連動している。これにより、従来、別々に行っていた尾輪7の上下調節作業と肩落し板8の上下調節作業が一本化され調整作業の軽減が図れるのである。
【0018】また、該肩落し板8・8間の幅調整は、前記ボルト84を緩めることにより容易に調整可能であり、畦幅に合わせて左右方向の幅を自由に調整することが可能である。また、以上のような簡易な構成としたことで、肩落し板8はロータリーカバー24内にコンパクトに収納可能となっている。さらに、該肩落し板8は、尾輪7より進行方向で後方に位置するため、従来の機体前面に配置していた場合に比べ、肩落し板8と畦肩の接触によるハンドル部への抵抗反力も小さくなり操作性が向上し、安定した走行が可能となるのである。
【0019】そして、肩落し板8により畦肩を削り落とした後、耕耘爪により下部の土を耕耘し、耕耘爪の回転駆動により土が上方に掻き上げられる。上方に掻き上げられた土は前記ロータリーカバー24内で外方に誘導されて、ロータリーカバー24・24の両側の畝に耕耘した土を揚土していくのである。この時、ロータリーカバー24の後部側面に装着された前記成形板9により耕耘爪が掻き上げた土を後方に飛散するのを防止するとともに、畦の押え成形を行う。畦の押え成形においては図5の如く、前記押え成形部92が、畦の法面(図の矢視E付近)の成形押えを行うとともに、前記土寄せ成形部91が作物の根元部分(図の矢視D付近)への土寄せを確実に行う。これにより、前述、肩落し板8でなだらかに削られた畦の斜面が、充分に押さえられ畦の成形を確実なものとする。また、作物の根元部分の土寄せを充分に行えることにより、作物の生育に重要な役割を成すのである。
【0020】また、該成形板9は左右、上下にスライドするロータリーカバー24に一体的に装着しているので、ロータリーカバー24の位置を変更しても、常に安定した飛散防止の効果と土押さえ成形が可能となっているのである。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏する。即ち、深浅装置の上下する尾輪アームに肩落し取付ステーを配設し、肩落し板を畦肩の幅に合わせて左右に装着したので、尾輪の上下調節と肩落し板の上下調節を別々に行うことなく、尾輪の上下調節と合わせて肩落し板を適切な位置に配置することができる。また、左右方向の幅調整もボルトを緩めることで簡単にでき、調整作業の大幅な軽減を図れるのである。そして、以上の如く肩落し板を簡易な構成としたのでコンパクトにロータリーカバー内に収容可能となり、肩落し板の装着により耕耘装置の構造を複雑にすることなく搭載可能となっている。さらに、本発明の肩落し板は、尾輪より進行方向で後方に位置しているため、畦との接触によるハンドルへの抵抗反力が小さくなり操作性も向上し、安定した走行が可能となるのである。
【0022】また、左右、上下にスライドするロータリーカバーの後部面に成形板を装着したので、ロータリーカバーと一体的に作業条件に合わせて成形板の位置が調整され、常に安定した飛行防止及び土押え効果を実現できるのである。
【0023】また、前記成形板を柔軟性のある材質にて形成したので、該成形板の装着時には、ロータリーカバー等、装着場所の形状に合わせて容易に装着可能な構成となり、土の付着が少なくなり、また、硬い土の部分に当たってもその部分を回避して損傷が及ぶことを防止できる。
【0024】また、前記成形板の形状と配置で、下方には上下方向に長い成形板を装着し、上方には左右方向に幅の広い成形板を装着したので、耕耘爪の巻き上げる土を後方に飛散するのを防止する効果に加え、下方の成形板により畦の法面を確実に土押えすることができ、畦の成形定着を安定して行うことが可能となった。また、上方の成形板により作物の根元部分に土寄せを行うことが可能となったので、作物の生育に重要な役割を成すのである。このように本発明の成形板は、土の飛散防止に加え、畦の斜面の押え成形、作物の根元に土寄せを行うといった効果を同時に奏するよう構成されているのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)6月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−341901
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−151482