トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 作業高さ制御装置
【発明者】 【氏名】高橋 清一

【要約】 【課題】必要とするレーザ光に基づいて精度の高く対地作業装置の制御を行う昇降装置を構成する。

【解決手段】レーザ灯台Tから発信されるレーザ光Lに対して、レーザ灯台Tを特定する識別信号を伝送し、レベルセンサSで受信したレーザ光の識別信号に基づいて、受信したレーザ光が必要とする基準光線であると判断した場合にのみ、このレーザ光Lを基準と整地ブレード9の昇降制御を行うよう制御装置の制御動作を設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置であって、前記発信部が、その発信部を特定する識別信号を基準光線で伝送するよう構成されると共に、この発信部からの基準光線で伝送される識別信号に基づいて基準光線を発信した発信部を識別し、この識別結果に基づいて特定の発信部からの基準光線に基づいた昇降制御を行うよう前記制御手段の制御動作が設定されている作業高さ制御装置。
【請求項2】 地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置であって、前記発信部が、電源の電圧低下、設置地面の振動等の前記発信部の複数種の状況のうち、少なくとも1つの状況を示す状況信号を基準光線で伝送するよう構成されると共に、この発信部からの基準光線で伝送される状況信号に基づいて発信部の状況を判別するよう前記制御手段の制御動作を設定してある作業高さ制御装置。
【請求項3】 地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置であって、前記発信部が地上に複数個設置されると共に、夫々の発信部が縦向き姿勢の軸芯周りで旋回する形態で基準光線を発信し、かつ、この基準光線で発信部の位置を示す座標信号、若しくは、発信部を特定する識別信号と、発信部から発信される光線の発信方向を示す方向信号とを伝送するよう構成され、これら発信部からの基準光線で伝送される2種の信号に基づいて対地作業装置の作業位置を求めるよう前記制御手段の制御動作が設定されている作業高さ制御装置。
【請求項4】 地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置であって、前記受信部が所定距離だけ離間して複数個備えられると共に、前記発信部が縦向き姿勢の軸芯周りで旋回する形態で基準光線を発信し、かつ、この発信部から発信される光線の発信方向を示す方向信号を伝送するよう構成され、この発信部からの基準光線で伝送される信号を前記複数の受信部夫々で独立して受信した際の夫々の信号に基づいて対地作業装置の作業位置を求めるよう前記制御手段の制御動作が設定されている作業高さ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のように構成された作業高さ制御装置として特開昭57‐66241号公報に示されるものが存在し、この従来例では縦軸芯周りでの旋回によって回転投光されるレーザ光を基準光線とすると共に、このレーザ光を受ける受光器をブルドーザに備え、この受光器に対するレーザ光の入射レベルに基づいてブルドーザの昇降制御を行い、又、レーザ光の入射方向を判別してレーザ光の方向に車体が走行するよう走行方向を設定する制御系を備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、水田のように平坦な圃場を造る場合を考えるに、レーザ光を基準とした作業では広い圃場面を精度高く平坦に形成し得る有効なものとなっている。しかし、互いに隣接する複数の圃場夫々に対して、従来例のように水平方向の全周方向に光線を照射するレーザ光源を設置して夫々の圃場で同時に作業を行うことを想定するに、このような環境では、特定の圃場での作業時に隣接する圃場に照射されるべきレーザ光を特定の圃場で作業を行う受光器で受光することもあり、適正なレベル制御が行われないこともあり、改善の余地がある。
【0004】従来からのレーザ光源はバッテリーを備えており、バッテリーが消耗した場合には旋回用モータの停止やレーザ光の発光停止から制御不能に陥ることがあり、又、レーザ光源のそばをトラックが走行した際のように、レーザ光源を設置した地面が振動した場合にはレーザ光の投光方向の乱れから適正な制御を行えなくなることもあり、改善の余地がある。
【0005】更に、広い圃場での作業では現在の作業位置を把握して作業状況を把握したい場合も多く、これを実現する技術が望まれている。
【0006】本発明の目的は、必要とする基準光線に基づいて精度の高く対地作業装置の制御を行い得る装置を構成し、基準光線の発信部の不都合に起因する作業を妨げを正確に認識し得る装置を合理的に構成し、対地作業装置の高さ制御を行いながら作業地点を正確に把握し得る装置を合理的に構成する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は冒頭に記載したように、地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置において、前記発信部が、その発信部を特定する識別信号を基準光線で伝送するよう構成されると共に、この発信部からの基準光線で伝送される識別信号に基づいて基準光線を発信した発信部を識別し、この識別結果に基づいて特定の発信部からの基準光線に基づいた昇降制御を行うよう前記制御手段の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】本発明の第2の特徴(請求項2)は冒頭に記載したように、地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置において、前記発信部が、電源の電圧低下、設置地面の振動等の前記発信部の複数種の状況のうち、少なくとも1つの状況を示す状況信号を基準光線で伝送するよう構成されると共に、この発信部からの基準光線で伝送される状況信号に基づいて発信部の状況を判別するよう前記制御手段の制御動作を設定してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0009】本発明の第3の特徴(請求項3)は冒頭に記載したように、地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置において、前記発信部が地上に複数個設置されると共に、夫々の発信部が縦向き姿勢の軸芯周りで旋回する形態で基準光線を発信し、かつ、この基準光線で発信部の位置を示す座標信号、若しくは、発信部を特定する識別信号と、発信部から発信される光線の発信方向を示す方向信号とを伝送するよう構成され、これら発信部からの基準光線で伝送される2種の信号に基づいて対地作業装置の作業位置を求めるよう前記制御手段の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0010】本発明の第4の特徴(請求項4)は冒頭に記載したように、地上に設置した発信部から水平方向に発信された基準光線を受信する受信部と、この受信部で計測される基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行う制御手段とを備えた作業高さ制御装置でにおいて、前記受信部が所定距離だけ離間して複数個備えられると共に、前記発信部が縦向き姿勢の軸芯周りで旋回する形態で基準光線を発信し、かつ、この発信部から発信される光線の発信方向を示す方向信号を伝送するよう構成され、この発信部からの基準光線で伝送される信号を前記複数の受信部夫々で独立して受信した際の夫々の信号に基づいて対地作業装置の作業位置を求めるよう前記制御手段の制御動作が設定されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0011】〔作用〕上記第1の特徴によると、受信部で基準光線を受信した場合には、その基準光線で伝送される識別信号に基づいて制御手段が発信部の識別を行い、この識別で高さ制御の基準とする光線であることが判明した場合には、制御手段がこの基準光線のレベルに基づいて対地作業装置の昇降制御を行い、識別の結果、不必要な光線であることを判別した場合には昇降制御を行わないものとなる。つまり、耕起作業を例に挙げると、隣接する圃場で用いられる基準光線を受信することがあっても、この不必要な基準光線に基づく制御を阻止して必要とする基準光線に基づいて精度の高い昇降制御を可能にするものとなっている。
【0012】上記第2の特徴によると、受信部で受信される基準光線で伝送される状況信号に基づいて発信部の状況を制御手段が判別するので、例えば、電源の電圧が低下した場合には状況の表示や警報作動を行わせる処理を行って電源の点検、交換を促し得るものとなり、例えば、設置地面が振動した場合には昇降制御を一時的に停止させる処理を行う等、発信部に起因する不都合を解消して精度の高い昇降制御を行えるものとなる。
【0013】上記第3の特徴によると、複数の発信部からの基準光線を受信部で受信した場合には、座標信号から複数の発信部の位置を求める、若しくは、識別信号から複数の発信部の位置を予め設定した実測したデータとの対照等から求めることが可能となり、これと共に、この夫々の発信部からの基準光線の発信方向を求めることにより、複数の発信部同士を結ぶ直線の姿勢と、夫々の発信部と受信機とを結ぶ直線の姿勢を求め、この結果に基づき三角測量の原理で受信部の位置を求め得るものとなる。
【0014】上記第4の特徴によると、複数の受信部が所定距離だけ離間しているので、夫々の受信部で受信する基準光線で伝送される光線の発信方向を示す方向信号には差異があるので、夫々の受信部と発信部とを結ぶ直線で形成される三角形の大きさを決定でき、この結果に基づき三角測量の原理で複数の受信部の位置を求め得るものとなる。
【0015】〔発明の効果〕従って、複数の基準光線が混在する環境で作業する場合でも、必要とする基準光線に基づいて精度の高く対地作業装置の制御を行い得る装置が合理的に構成され(請求項1)、基準光線の発信部の不都合に起因する不都合を解消して適正な作業を行い得るものとなり(請求項2)、特別な機器を備えずとも対地作業装置の高さ制御を行いながら作業地点を正確に把握し(請求項3)、複数の発信部を備えずとも対地作用装置の高さ制御を行いながら作業地点を正確に把握し得る装置が合理的に構成されたのである(請求項4)。
【0016】
【発明の実施の形態】〔第1の実施の形態〕以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、前車輪1及び後車輪2を備えた走行車体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、走行車体3の後部位置にエンジン4からの動力を前後車輪1,2に伝えるミッションケース5を備え、走行車体3の中央位置にステアリングハンドル6と運転座席7とを備え、走行車体3の後端位置にリンク機構8を介して昇降自在に対地作業装置としての整地ブレード9を連結して農用トラクタを構成する。
【0017】ミッションケース5の上部にはリフトシリンダ10を配置してあり、このリフトシリンダ10で昇降操作される左右一対のリフトアーム11と前記リンク機構8とをリフトロッド12を介して連結することでリフトシリンダ10の作動で整地ブレード9を昇降自在に構成してあり、リフトアーム11の基端部には該リフトアーム11の揺動量からロータリ耕耘装置9の対車体高さを計測するポテンショメータ型のリフトアームセンサ13を備え、整地ブレード9の上面には支柱14を介して高さ制御用の受信部としてのレベルセンサSを備えている。
【0018】又、運転座席7の側部には整地ブレード9の昇降制御を行うポジションレバー15を配置してあり、このポジションレバー15の基端部には該レバー15の操作位置を計測するポテンショメータ形のポジション設定器16を備えている。そして、ポジション制御モードで整地ブレード9を昇降制御する際には、ポジションレバー15を人為操作することで該レバー15の設定位置と対応する位置までリフトアーム11が昇降したことをリフトアームセンサ13で計測するまでリフトシリンダ10を駆動する動作が行われるものとなっている。
【0019】前記レベルセンサSは図2〜図4に示すように、断面形状楕円形で樹脂製の縦長筒状の本体ケース18の2箇所に透明樹脂を張設して窓部18A,18Aを形成してあり、この窓部の内部に多数のフォトダイオード、フォトトランジスタ等の受光素子を備えた200ミリメートル程度の縦長姿勢の受光部19を4つ配置することで水平方向の何れの方向からの光線も受光できるよう構成されている。又、本体ケース18の上下位置を挟み込む支持部材20,20の間に備えたフレーム21に上下一対のクランプ22,22を備えており、このクランプ22,22によって前記支柱14に対する上下方向での固定位置が調節できるように構成されている。そして、このレベルセンサSでは図5に示すように受光部22の上下方向の全領域が受信域Zとなり、この受信域Zの中間位置に対して後述するように入射目標位置Aが設定されるものとなる。
【0020】図1及び図6に示すように、前記レベルセンサSが受信するための基準光線としてのレーザ光Lを水平方向に送り出す発信部としてのレーザ灯台Tが構成され、このレーザ灯台Tは三脚23で本体24を支持すると共に、この本体24の内部にビーム状のレーザ光Lを発信する半導体型の発光源25と、この発光源25からビーム状のレーザ光Lの送り出し方向を水平方向に向ける反射鏡26と、この反射鏡26を支持する回転ケース27を縦向き軸芯Y周りで回転自在に支持し、この回転ケース27を回転させてビーム状のレーザ光Lを水平面上で旋回させる電動モータ28とを備えて構成されている。又、このレーザ灯台Tではマイクロプロセッサを備えた制御装置29に対して、電源としてのバッテリー30からの電力を供給する電力系が形成されると共に、数値を人為的に入力するキーボード31と、本体24の振動を計測する振動センサ32と,バッテリー30の電圧を計測する電圧センサ33とからの信号が入力する系が形成され、又、電動モータ28に電力を供給する系と、発光源25に対して電力を供給する系と、液晶ディスプレイ34に駆動信号を出力する系とが形成されている。
【0021】特に、このレーザ灯台Tでは、制御装置29に対してレーザ光Lで信号を伝送するための変調回路(図示せず)を内蔵している。このレーザ光Lで伝送される信号Aは図8に示すようにレーザ灯台Tを特定するための数ビットの識別コードと、レーザ光の回転速度が300回転/秒と600回転/秒との何れのものであるかを判別するための1ビットの回転データと、バッテリー30の電圧が所定値より低下した場合にONセットされる1ビットの電圧データと、本体が所定量より大きく振動した場合にONセットされる1ビットの振動データとで構成され、この信号Aは図7に示すように極めて短い周期INで繰り返して送り出されるものとなっている。又、識別コードは前記キーボード31で人為的に入力された数値に対応するものとなっており(この入力の際データを確認するために液晶ディスプレイ34に数値が表示されるものとなっている)、後述するように受光側の制御装置でレーザ灯台Tを識別する際に用いられるものとなっている。
【0022】図9に示すように、農用トラクタには、制御手段としてマイクロプロセッサを有した制御装置36を備えており、この制御装置36には前記レベルセンサS、ダイヤル37で回動操作されるポテンショメータ型のレベル設定器38、ダイヤル39で操作されるポテンショメータ型の感度設定器40、前記ポジション設定器16、リフトアームセンサ13、起動スイッチ41、数値を人為的に入力するキーボード42夫々からの信号の入力系が形成されると共に、前記リフトシリンダ10を制御する電磁操作形の制御弁V、表示装置D、ブザー43、液晶ディスプレイ44夫々に対する出力系が形成されている。又、制御弁Vは電磁ソレノイドに供給される電流値に対応した開度を得る、所謂、電磁比例型のものが用いられ、該制御装置36は制御弁Vの電磁ソレノイド(図示せず)に供給する間歇信号のデューティ比を変更してPWM式に供給電力を調節し得るよう構成されている。尚、前記表示装置Dは同図に示すように、中立ランプ46と、上昇ランプ47と、下降ランプ48と、作業状態ランプ49とを備えて構成されている。
【0023】そして、作業を行う際にはキーボード42からレーザ灯台Tを識別する識別コードを入力しておき(この入力の際に識別コードが液晶ディスプレイ44に表示される)、ポジションレバー15の操作で整地ブレード9の整地高さを目標とする値に設定し、この状態でレベルセンサSの上下方向の中央に設定された入射目標A(図5(イ)を参照)に対してレーザ灯台Tからのレーザ光Lが入射するよう支柱14に対するレベルセンサSの固定位置をセットする調節を行い、この調節の後に起動スイッチ41をON操作することで作業を開始できるものとなっており、作業時には整地ブレード9の高さが多少変動しても制御装置36がレーザ光LをレベルセンサSの入射目標位置Aで受信するよう制御弁Vを操作して自動的に整地ブレード9の昇降を行う結果、広い圃場を精度高く水平面に整地できるものとなっている。特に、この作業時に、図10に示すように近接する圃場で、この作業と同様のレーザ灯台T’を用いた作業が行われ、このレーザ灯台T’からのレーザ光L’をレベルセンサSが受信することがあっても、このレーザ光L’をに基づく不適正な昇降制御を抑制し、又、レーザ灯台Tの側に不都合を発生した場合にも最適な処理を行うものとなっており、この昇降制御動作を以下に説明する。
【0024】つまり、制御動作36の基本動作が図11のフローチャートに示すように設定され、この制御が開始されると前記レベル設定器38からの信号に基づいてレベルセンサSにおける入射目標位置Aを設定し、感度設定器29からの信号に基づいて制御感度を設定する処理を行う(#101,#102ステップ)。具体的には、レベル設定器38のダイヤル37を「標準」の位置に設定した場合には図5(イ)に示す如く、レベルセンサSの受信域Zにおける縦方向の1/2の位置Hが入射目標位置Aとなり、該レベル設定器38のダイヤル37を「深」側に操作した場合には図5(ロ)に示す如く、位置Hを基準にして入射目標位置Aが上方に変位し、該レベル設定器38のダイヤル37を「浅」側に操作した場合には、前述とは逆に位置Hを基準にして入射目標位置Aが下方に変位するよう制御装置25の制御動作が設定されている。
【0025】更に、感度設定器40のダイヤル39を「標準」の位置に設定した場合には図5(イ)に示す如く、入射目標位置Aを基準に上方と下方とに等しい域で形成される不感帯の幅Uが標準の値となり、制御感度設定器40のダイヤル39を「敏」の位置に設定した場合には図5(ロ)に示す如く、入射目標位置Aを基準に形成される不感帯の幅Uを狭くし、該制御感度設定器40のダイヤル39を「鈍」の位置に設定した場合には前述とは逆に入射目標位置Aを基準に形成される不感帯の幅Uが拡大するよう制御装置36の制御動作が設定されている。
【0026】次に、レベルセンサSでレーザ光Lを受信しているかを判別して、受信状態にある場合にはキーボード42から入力された識別コードとレーザ光Lで伝送される識別コードとを比較して制御の対象光である場合には、レーザ光Lで伝送される電圧データからレーザ灯台Tのバッテリー30が適正な電圧にない場合にのみ、液晶ディスプレイ44にレーザ灯台Tのバッテリー30の電圧が低下している旨の表示を行った後に昇降作動ルーチンを実行し、前記表示装置Dに対して整地ブレード9の作動状況を表示する(#103〜#106,#200,#107ステップ)。
【0027】又、昇降作動ルーチン(#200ステップ)は図12に示すようにサブルーチンの形に設定され、その作動はレーザ光Lで伝送される回転データに基づいてパラメータをセットした後、レーザ光Lで伝送される振動データに基づいて、レーザ灯台Tが振動していないと判別された場合には(#201,#202ステップ)、レベルセンサSでレーザ光Lを受信した位置が入射目標位置Aを基準に形成された不感帯Uの域内に存在するかを判別し、域内に存在する場合には昇降制御を行わず、域外に存在する場合には入射目標位置Aに対応する電圧値(目標電圧値)とレベルセンサSの検出値(検出電圧値)との比較から偏位方向と偏差とを求め、偏位方向からリフトシリンダ10の作動方向を設定すると共に、前述のようにセットされたパラメータと偏差とから制御弁Vの開度を設定する(#203〜#207ステップ)。又、パラメータはレーザ灯台Tのレーザ光Lの旋回速度が高速である場合には整地ブレード9を高速で昇降させて迅速な昇降を行い、レーザ光Lの旋回速度が低速である場合には整地ブレード9を低速で昇降させてオーバーシュートを抑制するよう機能するものであり、レーザ光Lで伝送される振動データに基づいて、レーザ灯台Tが予め設定された値以上振動した場合にはレーザ光Lのレベルも不正確になっているので、昇降制御を行わないものとなっている。尚、制御弁Vの開度は偏差が大きいほど大きい値となるよう比例関係が設定され、開度を設定する際には電磁弁Vを駆動する間歇信号のON時間を調節(デューティ比を調節)するものとなっており、間歇信号のON時間を長くした場合には制御弁Vの開度が大きくなって昇降速度が高まり、ON時間を短くした場合には制御弁Vの開度が小さくなって昇降速度が低下するものとなっている。
【0028】次に、レベルセンサSがレーザ光Lを受信して適正な昇降制御が行われている場合には、表示装置Dの作業状態ランプ49が継続的に点灯すると共に、整地ブレード9の昇降が停止している場合には中立ランプ46が点灯し、整地ブレード9の上昇作動時には上昇ランプ47が点灯し、整地ブレード9の下降作動時には下降ランプ48が点灯して作業者に対して作動状況を認識させるものとなっている(#107ステップの処理)。
【0029】次に、#103ステップでレーザ光Lが受信されていないと判別した場合、及び、#104ステップで受信したレーザ光が対象光でないと判別した場合には、この状態に陥ってから10秒間経過する以前においては、この状態に陥ってから設定時間(1秒以下の短時間)が経過するまで、若しくは、この状態に陥ってからリフトアーム11が設定量(作動限界に達しない程度)だけ作動したことをリフトアームセンサ13で計測するまでは探知作動ルーチンを実行し、表示装置Dによる表示作動を行うものとなっている(#108〜#110,#300,#111ステップ)。
【0030】前記探知作動ルーチン(#300ステップ)は図13に示すようにサブルーチンの形に設定され、この処理では受信不能に陥る直前におけるレベルセンサSの受信位置を判別すると共に、この受信位置と入射目標位置Aとの比較によって、受信位置が入射目標位置Aを基準に形成された不感帯Uの域内に存在するかを判別し、域内に存在する場合には昇降制御を行わず、域外に存在する場合には偏位方向と偏差とを求め、前述の昇降作動ルーチンと同様に、偏位方向からリフトシリンダ10の作動方向を設定すると共に、偏差から制御弁Vの開度を設定する(#301〜#306ステップ)。つまり、前記探知作動はレーザ光Lが存在すると推定される方向への昇降制御でレベルセンサSでレーザ光Lを受信するための処理であり、その制御動作はレベルセンサSでレーザ光Lを受信できなくなった直前におけるレベルセンサSに対するレーザ光Lの入射位置がレベルセンサSの感知域Zの上端側、下端側の何れの側でレーザ光Lを受信していたかを判別し、例えば、感知域Zの上端側で受信していた場合には、レーザ光LがレベルセンサSの上方に存在する可能性が高いので整地ブレード9を上昇側に作動させ、逆に感知域Zの下端側で受信していた場合には整地ブレード9を下降側に作動させるよう作動方向が設定され、この受信位置と入射目標位置Aとの偏差が大きいほど高速度で昇降を行うことで短時間のうちにレーザ光Lを受信し得るものとなっている。
【0031】又、このように探知作動を行う場合には前記表示装置Dの作業ランプ49が点滅状態に切換ることで、レーザ光Lが受信不能状態に陥っていることを作業者に認識させると同時に、整地ブレード9の作動に応じて中立ランプ46、上昇ランプ47、下降ランプ48の何れかを点灯させることで整地ブレード9の作動状況を作業者に認識させ得るものとなっている(#111ステップの処理)。
【0032】尚、この探知作動ルーチンの処理によってレーザ光LをレベルセンサSで受信した場合には#103ステップから#200ステップ(昇降作動ルーチン)の処理に流れて適正な処理に移行するものとなっている。これとは逆に、#109ステップの設定時間が経過した場合、#110ステップの設定量だけ作動した場合の何れかの条件が成立した場合には制御弁Vを中立位置に設定して整地ブレード9の昇降を停止させ、この停止が行われるまで整地ブレード9を下降させる処理が行われていた場合にのみ、下降量の1/2だけ整地ブレード9を上昇させる戻し処置を行い、表示装置Dによる表示作動を行うものとなっている(#112〜#114ステップ)。
【0033】この処理は整地ブレード9の過剰な昇降を抑制するものであり、整地ブレード9が下降作動して停止した際には、整地ブレード9が目標耕深より深い位置に維持される状況を回避する目的と、エンジン4に対する過負荷を回避する目的から下降量の1/2だけ整地ブレード9を上昇させるものとなっており、このように昇降作動を停止させた場合には前記表示装置Dの作業ランプ49を点滅状態に切換え、上昇ランプ47と下降ランプ48とを同時に点滅させることで整地ブレード9の昇降が停止していることを作業者に認識させ得るものとなっている(#114ステップ)。そしてこれらの処理はリセットされるまで継続するものとなっている(#115ステップ)。
【0034】次に、レベルセンサSでのレーザ光Lの受信不能状態が10秒間経過した場合には(この時点で整地ブレード9の昇降は停止している)、整地ブレード9を高速で上限まで強制的に上昇させる処理を行うと共に、表示装置Dによる表示作動を行い前記ブザー43による警報作動を行い、この後に、レベルセンサSにレーザ光Lが入射することがあっても昇降作動を行わないものとなっている(#116〜#118ステップ)。
【0035】つまり、レーザ光Lの受信不能状態が10秒以上継続した場合には、レーザ灯台Tが故障した状態にあるか、圃場が作業に不適当な高さにあるものと判断できるので異常な状態での作業を中断する目的と、整地ブレード9が不適正な高さに長時間設定維持される弊害を除く目的から作業を中止するものとなっており、この中止を行う場合にも整地ブレード9を比較的高速で上昇させることで上昇停止時のショックを作業者に感じさせて作業が中断されたことを体感的に捉えさせ得るものとなっている。又、整地ブレード9を強制的に上昇させる場合には前記表示装置Dの作業ランプ49と上昇ランプ47とを同時に点滅させ、この強制的な上昇の後にも、この表示状態を継続させ、更に、ブザー43を作動させることで、前述の体感的な認識以外に、視覚的にも聴覚的にも整地ブレード9が強制的に上昇制御されたことを作業者に認識させるものとなっている。
【0036】このように、本発明では、レベルセンサSでレーザ光Lを受信することでレーザ光Lを基準とした整地ブレード9の高さを維持する自動制御を行って平滑な地面を形成できるものとなっており、更に、このレーザ光Lで伝送される信号に基づいて、基準となるレーザ光Lだけを昇降制御の基準とするので隣接する圃場においてレーザ光を用いた同様の作業が行われていても、このレーザ光を受て不適正な高さを目標とする昇降制御が行われることが無く、又、レーザ灯台Tのバッテリー30の電圧が低下した場合には農用トラクタの液晶ディスプレイ44によってこの電圧低下を把握して、バッテリー30の交換を行う等適切な処置を取り得るものとなっており、レーザ灯台Tのそばをトラックが走行した場合や、強風でレーザ光Lの発信方向に狂いが生じた場合には昇降制御を停止することによって不適正な高さを目標とする昇降制御が行われることもない。
【0037】〔第2の実施の形態〕以下、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。この第2の実施の形態では圃場の畦に2箇所に距離レーザ灯台T1,T2を図16に示すように配置することで、トラクタの位置(座標)を求めるようにするものである。
【0038】つまり、レーザ灯台T1,T2は、第1の実施の形態と同様に三脚で本体(図示せず)が支持される共に、図14に示すように、この本体の内部にビーム状のレーザ光Lを発信する半導体型の発光源25と、この発光源25からビーム状のレーザ光Lの送り出し方向を水平方向に向ける反射鏡26と、この反射鏡26を支持する回転ケース27を縦向き軸芯Y周りで回転させてビーム状のレーザ光Lを水平面上で旋回させる電動モータ28と、レーザ光Lの発信方向を角度データとして捉えるロータリエンコーダ51を備えており、マイクロプロセッサを備えた制御装置29に対して、電源としてのバッテリー30からの電力を供給する電力系が形成されると共に、数値を人為的に入力するキーボード31と、ロータリエンコーダ51とからの信号が入力する系が形成されると共に、電動モータ28に電力を供給する系と、発光源25に対して電力を供給する系と、液晶ディスプレイ34に駆動信号を出力する系とが形成されている。
【0039】特に、このレーザ灯台Tでは、発光25源に対して変調回路(図示せず)を介して信号Aを伝える信号系を制御装置29に内蔵することでレーザ光Lで信号を伝送できるよう構成されている。この信号は図15に示すようにレーザ灯台Tを特定するための数ビットの識別コードと、レーザ光Lが送り出される角度を示す多ビットの角度データとで構成されている。又、この信号は極めて短い周期INで繰り返して送り出されるものとなっており、識別コードは前記キーボード31で人為的に入力された数値に対応するものとなっており、後述するように受光側の制御装置でレーザ灯台Tを識別する際に用いられるものとなっている。角度データはキーボード31の操作で同図に示すように所定の方向(例えば、北向き)を予め角度の基準として設定しておくことで、この所定の方向を基準にした角度αとして出力されるものとなっている。
【0040】又、農用トラクタに備えた制御装置は第1の実施の形態の構成と何ら変わるところが無く、この農用トラクタの対地作業位置の座標を求め得るよう制御動作の一部が異なるものとなっている。つまり、図17のフローチャートに示すように2つのレーザ灯台T1,T2からのレーザ光L1,L2をレベルセンサSが受信した場合には、夫々のレーザ光L1,L2で伝送される識別コードからレーザ灯台を特定すると共に、そのレーザ光L1,L2の送り出し方向α1,α2を制御装置29のメモリやレジスタにセットし、次に、方向α1,α2と予め求めた2つのレーザ灯台T1,T2間を結ぶ直線Eの直線距離Fとに基づいて、2つのレーザ灯台T1,T2とトラクタのレベルセンサSとの3点を結ぶ三角形、即ち、直線Eの長さの一辺と、この直線Eの端部に角度θ1,θ2で交差する直線L1,L2(レーザ光L1,L2)で形成される三角形の頂点Sの位置を求め、この座標を液晶ディスプレイ44に出力するようになっている。尚、この作業時にも整地ブレード9をレーザ光に基づいて昇降するものであるが、この昇降制御では一方のレーザ光だけを用いるよう制御動作を設定して良く、又、夫々のレーザ光L1,L2に基づく昇降制御を行うよう制御動作を設定しても良い。
【0041】このように、本発明では複数のレーザ灯台を設置することで、このレーザ光を用いて精度の高い昇降制御を可能にすると共に、三角測量の原理で作業位置を求めて液晶ディスプレイ44に表示して運転座席7の位置の作業者が作業の経過状況や作業能率を容易に判断できるものとなっている。尚、この実施の形態では2つのレーザ灯台T1,T2を用いていたが3つ以上のレーザ灯台を用いることで一層精度の良い状態で作業位置を求めることが可能であり、第1の実施の形態のようにレーザ灯台のバッテリーの電圧やレーザ灯台の振動を判別できるよう、これらのデータもレーザ光で伝送することも可能である。
【0042】〔第3の実施の形態〕以下、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。この第3の実施の形態ではトラクタの対地作業装置に対して横方向に所定の距離を離間して一対のレベルセンサS1,S2を備えると共に、圃場の畦に1箇所に距離レーザ灯台Tを図18に示すように配置することで、トラクタの位置(座標)を求めるようにするものである。
【0043】又、レーザ灯台Tは、第2の実施の形態と同じ構成のものが用いられ(図14を参照)、このレーザ灯台Tでは、発光25源に対して変調回路(図示せず)を介して信号を伝える信号系を制御装置29に内蔵することでレーザ光Lで信号Aを伝送できるよう構成されている。この信号Aは図19に示すようにレーザ光Lが送り出される角度を示す多ビットの角度データだけで構成されている。又、この信号は極めて短い周期INで繰り返して送り出されるものとなっており、後述するように受光側の制御装置で作業位置を求めるために用いられる。又、角度データはキーボード31の操作で図18に示すように所定の方向(例えば、北向き)を基準にした角度βとして出力されるものとなっている。
【0044】又、農用トラクタに備えた制御装置は第1の実施の形態の構成と何ら変わるところが無く、この農用トラクタの対地作業位置の座標を求め得るよう制御動作の一部が異なるものとなっている。つまり、図20のフローチャートに示すようにレーザ灯台Tからのレーザ光Lを2つのレベルセンサS1,S2が受信した場合には、レベルセンサS1で受信したレーザ光L1の送り出し方向をβ1とし、レベルセンサS2で受信したレーザ光L2の送り出し方向をβ2としてを制御装置36のメモリやレジスタにセットし、次に、これらの方向β1,β2と、予め求めてある2つのレベルセンサS1,S2間の直線距離Gとに基づいて、2つのレベルセンサS1,S2とレーザ灯台Tととの3点を結ぶ三角形、即ち、2つのレベルセンサS1,S2を結ぶ直線の長さの一辺と、この直線Eの端部に角度θ1,θ2で交差する直線L1,L2(レーザ光L1,L2)で形成される三角形の大きさから2つのレベルセンサS1,S2の中間位置の座標を求め、この座標を液晶ディスプレイ44に出力するようになっている。尚、この作業時にも整地ブレード9をレーザ光に基づいて昇降するものであるが、この昇降制御では一方のレーザ光だけを用いるよう制御動作を設定して良く、又、夫々のレーザ光L1,L2に基づく昇降制御を行うよう制御動作を設定しても良い。
【0045】このように、本発明では単一のレーザ灯台Tを設置するだけで、このレーザ光に基づく精度の高い昇降制御を可能にすると共に、このレーザ光を2つのレベルセンサS1,S2で検出することで三角測量の原理で作業位置を求めて液晶ディスプレイ44に表示して運転座席7の位置の作業者が作業の経過状況や作業能率を容易に判断できるものとなっている。尚、この実施の形態では作業位置の座標だけを求めるものであったが、これに加えて、第1の実施の形態のようにレーザ灯台のバッテリーの電圧やレーザ灯台の振動を判別できるよう、これらのデータもレーザ光で伝送することも可能である。
【0046】〔別実施の形態〕本発明は上記第1,第2,第3実施の形態以外に、例えば、対地作業装置としてロータリ耕耘装置、プラウ等を用いることも可能である。
【0047】又、本発明は第1の実施形態のように識別データを所定の周期INで伝送するものに代えて、図21に示すように所定の周期Bの間歇信号を発信するようレーザ光Lの発光形態を設定することで、間歇信号の周期Bからレーザ灯台を特定するよう実施することも可能である(他のデータのに基づく処理は行わない)。尚、従来からのレーザ灯台はレーザ光を連続的に発信するので、間歇信号であることを把握できるよう受信側を構成することで、隣接する圃場においてレーザ光を用いた同様の作業が行われていても間歇信号の周期を判別せずとも間歇信号であることを判別するだけでレベル制御の基準とするレーザ光であると判断できるものとなる。
【0048】又、第2の実施の形態に代えて、図22に示すように夫々のレーザ灯台T1,T2からのレーザ光L,L2でレーザ灯台T1,T2で伝送される信号Aをレーザ灯台T1,T2位置を示す座標データを伝送するよう構成することで、2つのレーザ灯台T1,T2に基づいて夫々のレーザ灯台T1,T2の相対距離を求めて前述と同様に三角測量の原理で作業位置を求めるよう実施することも可能である。
【0049】又、本発明はレーザ光Lの上下方向での傾斜角度のデータをレーザ光Lで伝送するよう構成し、このデータと前述のように求める座標データとの組合せによって高さの補正を行うよう実施することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)5月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−318110
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−138490