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【発明の名称】 農用トラクタ等の対地作業機連結装置
【発明者】 【氏名】片上 望

【氏名】二宮 浩二

【要約】 【課題】対地作業機の変位を伝達するための連結装置を介在するときの検出結果の精度良い伝達を行わせる。

【解決手段】クイックヒッチ機構11の近傍において、対地作業機側検出部の変位に追従する対地作業機側連結リンク35と本機側にあって昇降制御部に制御信号を出力する検知器31に接続され対地作業機側連結リンク35を係合しうる本機側連結リンク36とからなる連結リンク機構33を設け、本機側連結リンク36は、上下回動自在の上記作業機連結リンク35側を係合状態に付勢する構成のホルダ部40と、ホルダ部40に対してスライド可能で、上記スライド変位に追従すべく構成するスライド部41とからなる農用トラクタ等の対地作業機連結装置とし、検出部の変位信号はスライド運動を伴って検知器31に直線運動をもって伝達するものであるから、従来技術のように円弧運動による変位伝達の歪を少なくし、検出精度を向上しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農用トラクタ等機体1に昇降自在に対地作業機8を連結するものにして、この機体1側と対地作業機8との間にクイックヒッチ機構11を設けると共に、該クイックヒッチ機構11の近傍において、対地作業機8側検出部30の変位に追従する対地作業機側連結リンク35と本機1側にあって昇降制御部に制御信号を出力する検知器31に接続され当該対地作業機側連結リンク35を係合しうる本機側連結リンク36とからなる連結リンク機構33を設け、このうち本機側連結リンク36は、上下回動自在に設けられ上記作業機連結リンク35側を係合状態に付勢する構成のホルダ部40と、当該ホルダ部40に対してスライド可能に設けられて上記変位に追従してスライド変位すべく構成するスライド部41とからなる農用トラクタ等の対地作業機連結装置。
【請求項2】 上記ホルダ部40はクイックヒッチ機構11の解除レバー21に連動連結してなる請求項1記載の農用トラクタ等の対地作業機連結装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は所謂クイックヒッチを備える農用トラクタ等の対地作業機連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、農用トラクタには、対地作業機として例えば耕耘装置を切離自在に連結するが、この連結作業の容易化をはかるため、所謂クイックヒッチ機構が便利である。すなわち、3点ヒッチの後部にアーチフレームを設け、該アーチフレームの頂部側には対地作業機としての耕耘装置のトップマスト側連結ピンを係入する凹部を、該アーチフレームの左右下部側には耕耘装置の中央フレーム側に突設する連結ピンを係入する凹部を、夫々形成することにより、耕耘装置に対して後進状態でトラクタ本体を接近させ、これら連結ピンを係入凹部に入り込ませて連結を完了するものである。
【0003】ところで、上記連結作業の容易化に伴い、耕耘装置のデプス制御を行うためのリヤカバーの上下を検出する検知機構の検出結果を、本機側にフィードバックすべく機械的連結機構によって接続するが、この連結機構の接続・切離しの容易化をはかるため、耕耘装置の連結・切離しに連動してこの機械的連結を行なうべく、例えば実公平8−3210号公報に示されるように、本機側と対地作業機側とにフック部と係止部を形成してなる一対の揺動部材を設ける形態としている。
【0004】しかしながら上記の形態では、耕深検出部であるリヤカバーの上下動を受けて一旦押し引き量に変換される機械的連結機構(例えばワイヤなど)のフィードバック量が揺動運動に変換されて本機側のポテンショメータに伝えられるものであって、この途中の揺動運動変換に伴ってリヤカバーの上下量に比例したポテンショメータ変位量を具現し難いものとなる。つまり、上下運動に比例して往復運動に変換され、この往復運動が揺動運動におきかえられるものであるから、直線状態の変位量がそのまま揺動運動に変わるため、再びワイヤなどの直線往復運動に変換される際、その単位変位量に微妙な変動を伴って、正確な昇降制御に支障を来たす。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の欠点を解消しようとするもので、次の技術的手段を講じた。即ち、農用トラクタ等機体1に昇降自在に対地作業機8を連結するものにして、この機体1側と対地作業機8との間にクイックヒッチ機構11を設けると共に、該クイックヒッチ機構11の近傍において、対地作業機8側検出部30の変位に追従する対地作業機側連結リンク35と本機1側にあって昇降制御部に制御信号を出力する検知器31に接続され当該対地作業機側連結リンク35を係合しうる本機側連結リンク36とからなる連結リンク機構33を設け、このうち本機側連結リンク36は、上下回動自在に設けられ上記作業機連結リンク35側を係合状態に付勢する構成のホルダ部40と、当該ホルダ部40に対してスライド可能に設けられて上記変位に追従してスライド変位すべく構成するスライド部41とからなる農用トラクタ等の対地作業機連結装置の構成とする。
【0006】また、上記ホルダ部40はクイックヒッチ機構11の解除レバー21に連動連結し、連結を解除する際の操作性の向上をはかっている。
【0007】
【発明の作用効果】上記の構成とすることにより、クイックヒッチ機構11の連結に伴って連結リンク機構33も連結状態となるから、いちいち検出部30と検知器31とを連結するための操作を行わずともよく便利である。検出部からの変位信号は連結リンク部33で本機側に伝達されるが、本機側連結リンク36はホルダ部40に対してスライドしうるスライド部41とからなり、上記変位信号はスライド運動を伴って検知器31に伝達されることとなり、直線運動をもって伝達するものであるから、従来技術のように円弧運動による変位伝達の歪を少なくし、検出精度を向上しうる。
【0008】また、ホルダ部40を解除レバー21に連動連結することによって、解除レバー21によって連結リンク機構33を切離しできる。対地作業機を切り離す際のレバー動作を伴って確実に連結リンク機構33を分離できて、不測の破損がない。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の一実施例を図面に基づき説明する。1は作業車両のうち農用作業車両の一例としての農用トラクタの機体で、前後部に前輪(図示せず)と後輪2とを備え、前部ボンネット内エンジン(図示せず)の回転動力をミッションケース4内の変速装置で適宜減速し、減速した回転動力を当該前輪,後輪2に伝達すべく構成している。
【0010】上記ミッションケース4には後輪デフ機構や後車軸等を支承するが、このミッションケース4の上面にはシリンダケース5を設け、内装する油圧シリンダ機構6によってリフトアーム7,7を上下回動連動する構成としている。対地作業機としての耕耘装置8は、機体1後部のトップリンク9と左右一対のロアリンク10,10の先端部に構成されたクイックヒッチ機構11を介して着脱自在に連結される。
【0011】クイックヒッチ機構11は、本機1側にはトップリンク9後部の上部フックブラケット部12と下部左右のフックブラケット部13,13とを後面視逆3角形状のアーチフレーム14に構成する一方、耕耘装置8側にはこれら上・下部フックブラケット部12に,13,13に係合しうる上部係合ピン15と下部左右の係合ピン16,16とを構成するものである。上記リフトアーム7,7に接続するリフトロッド17,17の下端側をロアリンク10,10に連結し、手元のポジションレバー18の昇降操作によってアーチフレーム14位置を昇降調整できる構成である。
【0012】従って、静置された耕耘装置8に対して、アーチフレーム14位置を下げて接近し、上部フックブラケット部12に耕耘装置8側の上部係合ピン15を係合操作し、次いで除々にアーチフレーム14を上昇回動させると耕耘装置8は当該ピン係合部に吊りあげられる形態となって下部係合ピン16,16は本機側下部フックブラケット部13,13側に接近揺動して、終にはこれらはピン係合するものとなる。
【0013】19,19は係合後の下部係合ピン16,16の脱落を防止すべく左右の下部フックブラケット部13,13の開放部を一部覆うように支点20,20まわりに揺動しうるべく設ける脱落防止用フックで、下部係合ピン16,16の係合動作時にはその挿入を許容すべくピン16に押されて上方に逃げ、係合完了時には元に復帰してピン脱落を防止するものである。これら脱落防止用フック19,19は機枠中央から左右に分岐して垂下するアーム部21aを有した解除レバー21の下端部に連結し、途中をリンク22を介して上部フックブラケット部12に支持させている。
【0014】なお、耕耘装置8を切離しするときは、前記の要領と逆の操作を行なうが、最初に解除レバー21を引き操作し上記左右の脱落防止用フック19,19を支点回りに上方回動してピン16,16との係合を解き、耕耘装置8を徐々に下げながら下部側,上部側の順でピン係合を解くものである。23は耕耘装置8側の入力軸で、本機側のPTO軸24に動力伝達可能に接続されるクイック連結用連動軸25を前記アーチフレーム14部に支持構成し、耕耘装置8連結とともに、入力軸23の雄スプライン部が該連動軸25の雌スプライン部(図示せず)に嵌合連結される公知の構成である。
【0015】前記耕耘装置8は、耕耘作業中、耕深検出部としてのリヤカバー30の上下揺動動作を本機側に設けるポテンショメータ形態の検知器31にフィードバックし、耕深ダイヤル(図示せず)によって予め設定した設定耕深量と比較しながら油圧昇降バルブ(図示せず)を制御して前記油圧シリンダ機構を動作せしめ、耕耘装置8を所定に昇降連動する所謂デプス制御に構成している。
【0016】上記リヤカバー30と検知器31との間には、耕耘装置8側ワイヤ32,連結リンク機構33,本機1側ワイヤ34等を有する。上記連結リンク機構33は、耕耘装置8側連結リンク35と、前記解除レバー21のアーム部に支持させた本機側連結リンク36の一対からなる。耕耘装置8側連結リンク35は、一端をリヤカバー30に接続した耕耘装置8側ワイヤ32の他端を係止接続してなり、前記下部係合ピン16の近傍において支軸37回りに揺動自在に設ける。連結リンク35は、図1において常時時計方向にバネ38で付勢されており、ワイヤ32と連結リンク35との係止接続部は支軸37部下方に位置するため、当該リンク35は、リヤカバー30の上方回動によってこのバネ38の付勢力で時計方向に回動し、逆にリヤカバー30が下方回動するときワイヤ32に引かれて反時計方向に回動する構成である。
【0017】支軸37部上方位置には係止ピン39を突設し、上記本機側連結リンク36の係止凹部に対向する関係に設けるものである。本機側連結リンク36はホルダ部40とこのホルダ部40に対してスライド自在なスライド部41とからなり、ホルダ部40を前記解除レバー21の適所において支軸42回りに上下揺動自在でかつ着脱可能に連結している。42aは支軸42を着脱する係止ピンである。このホルダ部40は、常時はバネ43の作用によって適宜ストッパ(図示せず)に接当する位置に固定されている(図1中実線)。スライド部41は、先端部を細く形成し中途部下方に係止凹部44を形成する平板部41aと、ホルダ部40の折り曲げ部の前後壁部に挿通され本機側ワイヤ34を接続する棒状体41bとからなる。なお、スライド部41がホルダ部40の長手方向に沿ってスライド可能に当該ホルダ部40には適宜案内部が形成される。
【0018】上記スライド部41の平板部41aの先側細部から係止凹部44に至る部分は、耕耘装置8側連結リンク35の係止ピン39の嵌入を容易にするために、図4のように、先側は鋭角にし、引き続いて半径が連結リンク35の支軸37と係止ピン39との間隔部に略等しい半径の円弧状にして形成される。本機側ワイヤ34の他端側は、前記検知器31に設ける回動リンク31aに接続し、ワイヤ34の押し引き量を電気的抵抗値に変換して図外制御部に入力できる形態としている。
【0019】上例の作用について説明する。耕耘装置8を本機1に連結するときは、静置された耕耘装置8に対して、本機1をアーチフレーム14位置を下げて後退接近し、上部フックブラケット部12に耕耘装置8側の上部係合ピン15を係合させる。これらが係合すると徐々に耕耘装置8全体を上昇させる。すると上部係合ピン15で吊り上げられようとし、このピン15回りに耕耘装置8は回動して、その下方がロアリンク10,10方向に接近し、下部係合ピン16,16は本機側下部フックブラケット部13,13側に接近揺動して、終にはこれらもピン係合するものとなる。
【0020】このとき解除レバー21は非解除状態、即ち脱落防止用フック19,19は自重で安定位置にあって、下部フックブラケット部13,13の開放部の一部を覆う状態となるが、上記ピン16の係合に際しては上方に逃げ上記ピン係合作用に支障ないものとなっている。上記のように、解除レバー21が非解除状態にあって、耕耘装置8を連結するが、耕耘装置8が上部係合ピン15回りに回動して本機1側に接近すると、耕耘装置8側連結リンク35の係止ピン39は本機側連結リンク36のスライド部41の平板部41aの先側細部に接当して捕捉される状態となり、さらに耕耘装置8が上記回動を継続すると、バネ43に抗して揺動退避させつつ次第に円弧状部に移って、終には係止ピン39は係止凹部44に嵌入しうるものである。嵌入された後はバネ43の作用によって脱落は阻止される。
【0021】上記のように耕耘装置8の本機1への連結に伴って自動的に連結リンク35,36の連結も行なうものであるから、別途連結作業を要さず便利である。こうして耕耘装置8側連結リンク35と本機1側連結リンク36とが連結状態となると、耕耘作業中におけるリヤカバー30の上下回動変動は、耕耘装置8側ワイヤ32、連結状態となった連結リンク35,36、本機1側ワイヤ34を介して検知器31に伝達しうる。即ち、リヤカバー30が上部側のロータリカバーとの接続部中心に上方に回動すると、耕耘装置8側ワイヤ32はバネ38の付勢力によっ前方に引かれ、連結リンク35を図 における時計方向に回動する。これに伴い当該リンク35の係止ピン39が本機1側連結リンク36のスライド部41をホルダ部40の長手方向に沿い耕耘装置側(後方側)に移動させる。この移動は本機1側ワイヤ34を後方に引き、検知器31の回動リンク31aを時計方向に回動させる。
【0022】逆にリヤカバー30が下方に回動するときは、耕耘装置8側ワイヤ32はバネ38に抗して後方に引かれ、連結リンク35を図 において反時計方向に回動する。これにより上記スライド部41は本機1側ワイヤ34を伴って前方側に移動し、検知器31の回動リンク31aを反時計方向に回動させるものである。上記のようにリヤカバー30角度が検知器31に伝えられ、電気的抵抗値に変換されて制御部に入力される。制御部では予め設定入力されている耕深量との比較によって、油圧シリンダ機構の切換バルブに上昇指令信号または下降指令信号を出力し、適正耕深となるよう耕耘装置8を昇降制御する。
【0023】耕耘装置8を切離しするときは、予め解除レバー21を引き操作して、左右の脱落防止用フック19,19を支点回りに上方回動してピン16,16との係合を解き、耕耘装置8を徐々に降下しながら、クイックヒッチ機構11の下部側、上部側の順でピン15,16,16の係合を外すものである。ところで、上記解除レバー21を上方操作すると、それまで連結状態にあった耕耘装置8側連結リンク35の係止ピン39を残して、本機1側連結リンク36の係止凹部44を上方に退避動させる。もって両者の係合を解くから、上記の要領で耕耘装置8が切り離されても、ワイヤや連結リンク機構を破損させることがない。特に連結を切離しする際に必須の解除レバー21に本機側連結リンク36を構成してその解除を強制ならしめるものであるから、失念による恐れもない。
【0024】なお、上記実施例では耕耘装置側連結リンク35は支軸37回りに揺動する揺動リンクとしたが、前後に往復摺動乃至往復移動するロッド形態でもよく、この場合には、リヤカバー30の回動を、当該耕耘装置側連結リンク35と本機側連結リンク36のいずれにおいても前後往復運動に変換することとなって、一層偏りの少ない状態で伝達しうる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月19日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−318108
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−136613