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【発明の名称】 作業車両の作業機昇降制御装置
【発明者】 【氏名】土居 義典

【氏名】上路 仁志

【要約】 【課題】レーザ光の照射高さを基準として、作業機の昇降制御を行う農業用トラクタ等では、車両が大きくピッチングすると、レーザ光が受光器の受光範囲から逸脱し、レーザ光を受光しなくなる状態が発生する。このとき従来の作業機昇降制御装置では、作業機の昇降作動を直ちに停止する構成としていたので、作業の中断を余儀なくされるという課題が有った。

【解決手段】圃場端にレーザ発光器1を備え、トラクタ10にはレーザ受光器2とを備えて所謂レーザ光による耕深制御を行う場合、作業機4の昇降連動中にレーザ光を受光しなくなったときには、その時点のアクチュエータ3の駆動状態を所定時間だけ継続する構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水平方向、或いは任意の傾斜方向に回転しながら放射するレーザ発光器1と、走行車体、或いは同車体に連結した作業機4に備えたレーザ受光器2とを備え、前記レーザ光を周期的に受光しこの受光高さを基準として、アクチュエータ3の駆動により前記作業機4を所定高さに保持すべく昇降連動する作業車両の作業機昇降制御装置において、前記作業機4の昇降連動中にレーザ光を受光しなくなったときには、その時点のアクチュエータ3の駆動状態を所定時間だけ継続する制御手段5を備えたことを特徴とする作業車両の作業機昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、農業用トラクタや建設用ブルトーザ等の作業車両の作業機昇降制御装置に関し、特に作業場にレーザ光を照射しこの照射高さを基準として作業機の高さを一定に保持するものに関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】従来、水平方向、或いは任意の傾斜方向に回転放射するレーザ発光器と、走行車体、或いは同車体に連結した作業機に備えたレーザ受光器とを備え、前記レーザ光を周期的に受光しこの照射高さを基準として、前記作業機をアクチュエータの駆動により所定高さに保持する作業車両の作業機昇降制御装置が知られている。
【0003】例えば、特開平2−154603号公報には、走行車体にレーザ受光機を備え、圃場端から照射されるレーザ光を受光して、この受光高さを基準にロータリ作業装置を昇降制御する農業用トラクタが示されている。これらの作業車両が走行する作業場は凹凸が多く、車両が大きくピッチングするときは受光器が上下に揺動して、受光器の受光範囲から逸脱し、レーザ光を受光しなくなる状態(以下「オフセンス」という)が発生する。
【0004】しかしながら、これらピッチングによるオフセンスが生じたとき従来の作業機昇降装置では、作業機の昇降を直ちに停止する構成としていたので、作業の中断を余儀なくされるという課題が有った。そこで、レーザ照射による作業機昇降制御中にオフセンスした場合に、この見失ったレーザ光を再度補足し易くして、作業の継続性を向上させるべくことを解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達成するため作業車両の作業機昇降制御装置を以下のように構成した。即ち、水平方向、或いは任意の傾斜方向に回転しながら放射するレーザ発光器1と、走行車体、或いは同車体に連結した作業機4に備えたレーザ受光器2とを備え、前記レーザ光を周期的に受光しこの受光高さを基準として、アクチュエータ3の駆動により前記作業機4を所定高さに保持すべく昇降連動する作業車両の作業機昇降制御装置において、前記作業機4の昇降連動中にレーザ光を受光しなくなったときには、その時点のアクチュエータ3の駆動状態を所定時間だけ継続する制御手段5を備えたことを特徴とする作業車両の作業機昇降制御装置とした。
【0006】
【発明の効果】以上のように構成した作業車両の作業機昇降装置では、レーザ光による作業機昇降制御を行うに際して、レーザ光をオフセンスした場合であってもその直前に受光した信号に基づいて作業機を所定時間だけ昇降させるので、ピッチングによる作業の中断を無くし、その間にレーザ光を再度受光し易くするので、前記ピッチングによる作業の中断を防止することができる。
【0007】また、所定時間を経過してもレーザ光を再受光しないときは作業機を停止させるので、圃場の荒れを最小限に抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。図1はトラクタ10を示し、機体の後部にリンク機構11を介してロータリ作業機4が連結されている。運転席13の近傍には、前記作業機4の高さを変更する作業機昇降レバー15を取り付けるとともに、この回動基部にレバー操作位置を検出するポテンショメータ15を設けている。また、同レバー14のガイド近傍には耕深設定器16をはじめとする各種設定器が設けられている。
【0009】また、運転席13下方には、制御手段であるタイマー機能を有するコントローラ5を設け、前記各種スイッチやセンサの信号に基づき後述するレーザ光による耕深制御や、リヤカバーによる耕深制御を行うべく、車両後部の作業機昇降用アクチュエータである作業機昇降用油圧シリンダ3への切替制御弁のソレノイド17a,17bへ信号を出力する。
【0010】前記リンク機構11について説明すると、同リンク機構は、トップリンク20と左右のロワーリンク21からなる3点リンク方式であり、左右のリフトアーム22の先端とロワーリンク21をリフトロッド23にて連結し、リフトアーム22を回動することにより、ロワーリンク21が上下動してロータリ作業機4が昇降する。そして、該リフトアーム22の回動基部にはリフトアーム角センサ24を設け、作業機4の高さを間接的に検出する。
【0011】更に、ロータリ作業機4のメインカバー26の後端にはリヤカバー27を回動自在に取り付け、このリヤカバー角センサ28によりロータリ作業機4の耕深を検出する構成となっている。これにより、リヤカバー27による耕深制御を行う時は、前記耕深設定器16の設定値と、リヤカバー27の設定角度が一致するように前記リフトアーム22を上下に回動する構成となっている。
【0012】また、ロータリ作業機4とロワーリンク21との連結部には、センサポール30を立設し、その上端にレーザ受光器2を装着する。尚、図示は省略するが、前記レーザ受光器2は、トラクタ10の機体側に取り付けて、車体に対する作業機4の高さを制御する構成としても良い。前記受光器2には上下方向に複数個の受光素子32…を四方に四列配設してあり、圃場の畦畔に設置した発光器1から圃場面上の所定高さに放射されるレーザ光が、前記受光器2の何れかの受光素子32で捕捉される。
【0013】これにより、レーザ光による耕深制御を行う時には、最初に圃場端や畔などにレーザ発光器1を立設し、レーザ光を水平、或いは任意の傾斜角度をもって回転(例えば600rpm)照射する。そして、トラクタ10では作業機昇降レバー14で任意の作業機高さに決定し、その状態でレーザ光がレーザ受光器2の中央域に当たるように同受光器の高さを調整する。そして、トラクタ10が走行を開始すると、図4〜図7に示したフローチャートのように制御が開始される。
【0014】最初にトラクタ10の電源系統がONされると、レーザ光の受光が判定される。ここで、YESであれば、コントローラ5のタイマー6が作動し、反射光判定処理、レーザ受光範囲判定処理、作業機昇降処理などの各種制御が実行される。上記のうち反射光判定処理は、図5のように、レーザ光の受光の度にこの受光列を記憶し、作業中同時に二個所の受光が発生した場合には、前記記憶した受光列と同列、若しくは隣の受光列から捕捉した受光高さを選択して、この受光高さを後述の作業機昇降処理に反映する構成としている。
【0015】これによりトラクタ10は、このキャビンの窓ガラスや、圃場外の建物の窓ガラス等による反射光が、前記レーザ受光器に誤って捕捉される場合に、作業機4を誤って昇降することを防止することができる。レーザ受光範囲判定処理は、図6及び図7に示すように、前記耕深制御を継続中にレーザ受光の度にこの受光時間を測定し、この受光時間が予め設定した時間t1以下となると、レーザ光が到達する限界範囲と判定し、警報ブザー35を鳴らす構成としている。
【0016】これにより、レーザ光が到達不可能な領域まで走行し、不意に作業の中断を余儀なくされることを防止することができる。また、作業機昇降処理は、図2と図8に示すように、前記受光素子32を上部から上昇域、中立域、及び下降域とに区分けして、前記レーザ光が照射される位置によって作業機4の高さ、即ち耕深を検出し常に中立域に受光されるように作業機を昇降連動する。
【0017】ここで、作業機4の昇降処理が終了するとリターンとなり、再度レーザ光を受光する。そして、このレーザ光の受光が無くなった時は、前記判定がNOとなって、前記タイマー6により設定された時間(例えば1.5秒)が経過するまで、作業機4の上昇、若しくは下降を継続しながら、または停止したままの状態を保持して、前記受光の有無の判定を繰り返す。そして、このタイマー6により所定時間が経過してもレーザ光を再捕捉できないときには、前記作業機4を上昇、若しくは下降する切替制御弁のソレノイド17a(17b)への通電を停止すると共に、「制御不能」の旨の警報ブザー35を鳴らす。
【0018】尚、この停止した状態の作業機4は、作業機昇降レバー14の操作角度を、前記リフトアーム22の設定角度に一致することにより前記レーザ光による耕深制御を解除する構成としてもよいし、同レバー14を最上位置に操作することにより解除しても良い。また、オフセンス中の作業機4の昇降速度は、圃場の状態に応じて、制御弁のソレノイド17a(17b)への通電量を調整して変更可能な構成としても良い。
【0019】以上のように構成したトラクタ10の作業機昇降装置は、レーザ光による作業機昇降制御を行うに際して、レーザ光をオフセンスした場合であってもその直前に受光した信号に基づいて作業機4を所定時間だけ昇降させるので、その間にレーザ光を再度受光しやすくなり、走行時のピッチングによる作業の中断を防止することができる。
【0020】また、所定時間を経過してもレーザ光を再受光しないときは作業機を停止させるので、圃場の荒れを最小限に抑えることができる。次に、前記コントローラ5の電気回路について詳細する。トラクタ10は前述のようにレーザ光の受光高さによる耕深制御と、リヤカバー27の回動角度による耕深制御とを備える構成としているが、これら2つの耕深制御を可能とする構成とすると、夫々の制御プログラムが必要となり記憶容量の大きなメモリ(ROM)を必要としたり、リヤカバー角センサ28とレーザ受光器2夫々の入力端子を備えたコントローラや、それぞれの耕深設定器を備える必要があり、電気制御に関する部品コストが高くなるという課題が有った。
【0021】よって、ここでは、前記2つの耕深制御の設定器を共用すると共に、レーザ受信器からコントローラ5までの間に、電圧変換手段を備え、前記レーザ光による耕深制御の入力電圧と、リヤカバー27による耕深制御の入力電圧とを同レベルとしている。図3に基づいて説明すると、コントローラ5には、各種信号を処理するCPUと、これら制御信号を一時記憶するRAMと、制御プログラムを格納したROMなどを有する構成となっている。そして、コントローラ入力側には、前記作業機昇降レバー14のポテンショメータ15と、耕深設定器16と、リフトアーム角センサ22とをA/D変換器36を介して入力する構成としている。また、同じくこのA/D変換器36には、前記リヤカバー角センサ28を、着脱手段であるソケット37を介して入力する構成となっている。
【0022】一方、レーザ受光器2側には、この受信素子32−電圧レベル変換器38−信号切替器39と直列して設け、前記レベル変換器38と並列してオフセンス検出器40を設けている。また、前記信号切替器39には、前記作業機4が最下位置(リヤカバー27による耕深制御では同カバーが最も水平に近い状態)に位置したときの最低電圧を発生する電圧発生器41を備えた構成となっている。
【0023】以上のように構成したトラクタ10の電気回路では、作業を開始するときに、二つの耕深制御装置の内、これから行う耕深制御のセンサ、即ちリヤカバー角センサ28、若しくはレーザ受光器1のどちらか一方を選択して前記ソケット37に接続する。これにより、前述のようにコントローラ5の制御プログラムにかかるメモリを極力少なく構成し、この入力端子、また耕深設定器16も共用することができるのでこれら電気部品のコストを安価に構成することができる。また、二つの耕深制御にかかるセンサを共通のソケットを通じて入力する構成としたので間違えによる操作性を損なうことがない。
【0024】また、前記電圧変換手段としては、図10に示すようなCPUのような演算装置を有するコントローラタイプの構成としてもよい。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月7日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−313510
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−124786