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【発明の名称】 作業用走行車
【発明者】 【氏名】山崎 敏栄

【氏名】田村 智志

【氏名】野島 辰彦

【要約】 【課題】機体の前後に作業機を備える作業用走行車において、作業機をレーザレベリング制御するにあたり、作業条件に応じた制御対象の切換えに基づいて作業精度を向上させると共に、制御対象を切換える際にレーザ受光器を付け替える面倒な作業を不要にする。

【解決手段】前側レーザ受光器9Fの受光高さに応じて前側作業機6を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器9Rの受光高さに応じて後側作業機3を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、対応するレーザ受光器9F、9Rの受光高さに応じて前側作業機6および後側作業機3を同時に自動的に昇降制御する同時自動制御モードとを設定し、各モードをモード切換スイッチ16の操作に応じて切換える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体前部に昇降作動自在に連結される前側作業機と、機体後部に昇降作動自在に連結される後側作業機と、前側作業機および後側作業機を昇降制御する制御部とを備える作業用走行車において、前記前側作業機および後側作業機に、レーザ投光器から水平方向もしくは任意の傾斜方向に投光されたレーザ光を受光し、かつレーザ光の受光高さを制御部に入力するレーザ受光器をそれぞれ設ける一方、制御部には、前側レーザ受光器の受光高さに応じて前側作業機を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器の受光高さに応じて後側作業機を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、各モードの切換えを行うモード切換手段とを設けたことを特徴とする作業用走行車。
【請求項2】 請求項1の制御部に、前側レーザ受光器の受光高さに応じて前側作業機を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器の受光高さに応じて後側作業機を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、対応するレーザ受光器の受光高さに応じて前側作業機および後側作業機を同時に自動的に昇降制御する同時自動制御モードと、各モードの切換えを行うモード切換手段とを設けたことを特徴とする作業用走行車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタ等の作業用走行車の技術分野に属し、詳しくはレーザ光を利用して作業機を自動的に昇降制御するレーザレベリング制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近来、この種の作業用走行車を用いて整地、均平、耕耘等の作業を行うにあたり、作業現場の所定箇所に、水平方向もしくは任意の傾斜方向にレーザ光を投光するレーザ投光器を設置する一方、作業用走行車に連結される作業機に、前記レーザ光を受光するレーザ受光器を設け、該レーザ受光器の受光高さを制御部に入力して作業機を自動的に昇降制御する所謂レーザレベリング制御が提唱されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、作業用走行車のなかには、機体の前後に異種の作業機を連結し、作業条件に応じて前後の作業機を選択的に使用したり、或いは前後の作業機を同時に使用できるようにしたものがある。そして、この様な作業用走行車でも、前記レーザレベリング制御を採用することが提唱されているが、従来は、一方の作業機にのみレーザ受光器を設けていたため、他方の作業機をレーザレベリング制御の制御対象にすることができない許りでなく、前後の作業機を同時に使用する作業でも、一方の作業機しかレーザレベリング制御できないのが実状であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、機体前部に昇降作動自在に連結される前側作業機と、機体後部に昇降作動自在に連結される後側作業機と、前側作業機および後側作業機を昇降制御する制御部とを備える作業用走行車において、前記前側作業機および後側作業機に、レーザ投光器から水平方向もしくは任意の傾斜方向に投光されたレーザ光を受光し、かつレーザ光の受光高さを制御部に入力するレーザ受光器をそれぞれ設ける一方、制御部には、前側レーザ受光器の受光高さに応じて前側作業機を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器の受光高さに応じて後側作業機を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、各モードの切換えを行うモード切換手段とを設けたことを特徴とするものである。つまり、前後の作業機を選択的にレーザレベリング制御することができるため、作業条件に応じた制御対象の切換えに基づいて作業精度を向上させることができ、しかも、制御対象を切換える際に、前後の作業機間でレーザ受光器を付け替えるような面倒な作業も不要であるため、制御対象の迅速な切換えを可能にして作業効率も向上させることができる。また、前記制御部に、前側レーザ受光器の受光高さに応じて前側作業機を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器の受光高さに応じて後側作業機を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、対応するレーザ受光器の受光高さに応じて前側作業機および後側作業機を同時に自動的に昇降制御する同時自動制御モードと、各モードの切換えを行うモード切換手段とを設けたことを特徴とするものである。つまり、前後の作業機を同時にレーザレベリング制御することができるため、前側作業機および後側作業機の昇降高さを整合させた高精度な作業を行うことができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は履帯式トラクタの走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して後側作業機3が連結されている。そして、後側作業機3は、昇降リンク機構2を吊持するリフトアーム4の上下揺動に伴って昇降するが、これらの基本構成は何れも従来通りである。尚、5はリフトアーム4を上下揺動させるリヤリフトシリンダである。
【0006】前記後側作業機3は、圃場を耕耘する耕耘部(ロータリ)3aと、該耕耘部3aが耕耘した土を所定の高さで切削し、かつ余剰土を押土運搬する均平部(リヤブレード)3bとを備える耕耘均平作業機に構成されている。
【0007】6は前記走行機体1の前部に連結される前側作業機であって、該前側作業機6は、機体前部に上下揺動自在に枢支される左右一対の連結アーム6aと、該連結アーム6aの前端部に設けられるブレード6bとを備えている。即ち、圃場を所定の高さで切削し、かつ余剰土を押土運搬することが可能であるが、ブレード6bの作業高さは、機体前部と連結アーム6aとの間に介設されるフロントリフトシリンダ7の伸縮作動に伴って変化するようになっている。
【0008】8F、8Rは前記前側作業機6および後側作業機3にそれぞれ立設されるマストであって、該マスト8F、8Rの上端部には、上下方向に所定の受光幅を有するレーザ受光器9F、9Rがそれぞれ取り付けられている。一方、圃場の所定箇所には、水平方向もしくは任意の傾斜方向にレーザ光を回転投光するレーザ投光器10が設置されており、該レーザ投光器10から投光されたレーザ光を前記レーザ受光器9F、9Rで受光すると共に、レーザ受光器9F、9Rにおける受光高さ検出に基づいてレーザ光を基準とする作業機高さを検出するが、前記マスト8F、8Rは、電動マストモータ11F、11Rの正逆駆動に伴って伸縮するように構成されているため、運転席12の近傍に配設されるマスト伸縮スイッチ13F、13Rの操作に基づいてレーザ受光器9F、9Rに対する作業機3、6の相対位置を調節(作業高さ設定)することができるようになっている。
【0009】14は運転席12の側方に配設されるサイドパネルであって、該サイドパネル14には、後側作業機3を手動昇降操作する後側作業機昇降操作具、前側作業機6を手動昇降操作する前側作業機昇降操作具、レーザ制御をON−OFF操作するレーザ制御スイッチ15、レーザレベリング制御の制御モードを切換えるモード切換スイッチ16、前述したマスト伸縮スイッチ13F、13R等の操作具類が配設されているが、前記モード切換スイッチ16は、前側レーザ受光器9Fの受光高さ信号に応じて前側作業機3を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器9Rの受光高さ信号に応じて後側作業機6を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、対応するレーザ受光器9F、9Rの受光高さ信号に応じて前側作業機6および後側作業機3を同時に自動的に昇降制御する同時自動制御モードとを切換えるべく、少なくとも3以上の切換位置を有している。
【0010】17は走行機体1に設けられる制御部であって、該制御部17には、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される一対の制御ユニット18F、18Rが組み込まれている。そして、主に前側作業機6を制御する制御ユニット18Fの入力側には、前述した前側レーザ受光器9F、前側マスト伸縮スイッチ13F、レーザ制御スイッチ15およびモード切換スイッチ16、連結アーム6aのアーム角を検出する連結アームセンサ19、前側マスト8Fの伸縮位置を検出する前側マストセンサ20F等が入力インタフェースを介して接続される一方、出力側には、前述した前側電動マストモータ11F、フロントリフトシリンダ用電磁バルブ21に設けられる前側作業機上昇用ソレノイド21a、前側作業機下降用ソレノイド21b等が出力インタフェースを介して接続されており、また、主に後側作業機3を制御する制御ユニット18Rの入力側には、前述した後側レーザ受光器9R、後側マスト伸縮スイッチ13R、レーザ制御スイッチ15およびモード切換スイッチ16、リフトアーム4のアーム角を検出するリフトアームセンサ22、後側マスト8Rの伸縮位置を検出する後側マストセンサ20R等が入力インタフェースを介して接続される一方、出力側には、前述した後側電動マストモータ11R、リヤリフトシリンダ用電磁バルブ23に設けられる後側作業機上昇用ソレノイド23a、後側作業機下降用ソレノイド23b等が出力インタフェースを介して接続されている。即ち、本実施形態の制御部17は、一対の制御ユニット18F、18Rを用いて前後の作業機3、6を個別に昇降制御すべく構成されており、以下、各制御ユニット18F、18RのROMに予め書き込まれる制御プログラムの制御手順をフローチャートに基づいて説明する。
【0011】図4に示すフローチャートは前側作業機用制御ユニット18Fのメインルーチンにサブルーチンとして定義される「前側作業機昇降制御」であって、該「前側作業機昇降制御」では、レーザ制御スイッチ15のON−OFFを判断し、該判断がOFFの場合には、サブルーチンとして定義される「前側作業機手動昇降制御」を実行する一方、ONであると判断した場合には、前側作業機昇降操作具の操作を判断する。ここで、前側作業機昇降操作具の操作があった場合には、レーザ制御スイッチ15のON−OFFに拘わらず「前側作業機手動昇降制御」を優先的に実行するが、レーザ制御スイッチ15がONで、かつ前側作業機昇降操作具の操作が無い場合には、モード切換スイッチ16の切換位置を判断する。そして、モード切換スイッチ16が前側作業機自動制御モードもしくは同時自動制御モードにセットされていると判断した場合には、サブルーチンとして定義される「前側作業機レーザレベリング制御」を実行する一方、モード切換スイッチ16が後側作業機自動制御モードにセットされていると判断した場合には、「前側作業機手動昇降制御」を実行するようになっている。尚、前記「前側作業機手動昇降制御」は前側作業機昇降操作具の操作に応じて前側作業機6を昇降制御し、また、「前側作業機レーザレベリング制御」は前側レーザ受光器9Fの受光高さが一定になるように前側作業機6を自動的に昇降制御するが、制御内容は略従来通りであるため、フローチャートの図示および詳細な説明は省略する。
【0012】一方、図5に示すフローチャートは後側作業機用制御ユニット18Rのメインルーチンにサブルーチンとして定義される「後側作業機昇降制御」であって、該「後側作業機昇降制御」では、レーザ制御スイッチ15のON−OFFを判断し、該判断がOFFの場合には、サブルーチンとして定義される「後側作業機手動昇降制御」(レーザ制御以外の自動制御を含む)を実行する一方、ONであると判断した場合には、後側作業機昇降操作具の操作を判断する。ここで、後側作業機昇降操作具の操作があった場合には、レーザ制御スイッチ15のON−OFFに拘わらず「後側作業機手動昇降制御」を優先的に実行するが、レーザ制御スイッチ15がONで、かつ後側作業機昇降操作具の操作が無い場合には、モード切換スイッチ16の切換位置を判断する。そして、モード切換スイッチ16が後側作業機自動制御モードもしくは同時自動制御モードにセットされていると判断した場合には、サブルーチンとして定義される「後側作業機レーザレベリング制御」を実行する一方、モード切換スイッチ16が前側作業機自動制御モードにセットされていると判断した場合には、「後側作業機手動昇降制御」を実行するようになっている。尚、前記「後側作業機手動昇降制御」は後側作業機昇降操作具の操作に応じて後側作業機3を昇降制御し、また、「後側作業機レーザレベリング制御」は後側レーザ受光器9Rの受光高さが一定になるように後側作業機3を自動的に昇降制御するが、制御内容は略従来通りであるため、フローチャートの図示および詳細な説明は省略する。
【0013】叙述の如く構成されたものにおいて、機体前部に昇降作動自在に連結される前側作業機6と、機体後部に昇降作動自在に連結される後側作業機3と、前側作業機6および後側作業機3を昇降制御する制御部17とを備えるものであるが、前側作業機6および後側作業機3に、レーザ投光器10から水平方向もしくは任意の傾斜方向に投光されたレーザ光を受光し、かつレーザ光の受光高さを制御部17に入力するレーザ受光器9F、9Rをそれぞれ設ける一方、制御部17に、前側レーザ受光器9Fの受光高さに応じて前側作業機6を自動的に昇降制御する前側作業機自動制御モードと、後側レーザ受光器9Rの受光高さに応じて後側作業機3を自動的に昇降制御する後側作業機自動制御モードと、対応するレーザ受光器9F、9Rの受光高さに応じて前側作業機6および後側作業機3を同時に自動的に昇降制御する同時自動制御モードとを設定し、さらに、各モードをモード切換スイッチ16の操作に応じて切換えるように構成したため、前後の作業機3、6を選択的にレーザレベリング制御することが可能になる。従って、作業条件に応じた制御対象の切換えに基づいて作業精度を向上させることができる許りでなく、制御対象を切換える際に、前後の作業機3、6間でレーザ受光器9を付け替えるような面倒な作業も不要にすることができる。
【0014】しかも、同時自動制御モードにおいては、対応するレーザ受光器9F、9Rの受光高さに応じて前側作業機6および後側作業機3を同時にレーザレベリング制御することができるため、前側作業機6および後側作業機3の作業高さを整合させた高精度な作業を行うことができる。
【0015】尚、本発明は、前記実施形態に限定されないものであることは勿論であって、例えば前記実施形態では、前側作業機自動制御モードと、後側作業機自動制御モードと、同時自動制御モードとが設定されているが、図6に示す第二実施形態の如く、前側作業機自動制御モードと、後側作業機自動制御モードとを設定し、各モードを2点式のモード切換スイッチ30で切換えるようにしてもよい。また、第二実施形態では、レーザレベリング制御に関連する入出力機器を単一のレーザ制御ユニット31(前側作業機用制御ユニット)に接続しているため、配線等を簡略化することができ、しかも、レーザ制御ユニット31は、既存の後側作業機用制御ユニット32に対して後側レーザ受光器9Rの検出データを送信するため、既存の後側作業機用制御ユニット32を利用して後側作業機3をレーザレベリング制御できる利点がある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開平11−313509
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−125720