トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 移植機のマーカ制御装置
【発明者】 【氏名】中村 八郎

【氏名】水谷 智恵

【氏名】松川 雅彦

【要約】 【課題】植付け作業時におけるマーカの操作性の向上を図る。

【解決手段】乗用田植機1は、走行機体5に植付部10が昇降自在に支持され、かつ圃場面に線引き用の左右マーカ50R,50Lが装着されている。この左右マーカ50R,50Lは、マーカ制御部39,40により、植付部10の昇降に伴い、非作業位置と作業位置とに交互に切換え可能とされていて、例えば最初に右マーカ50Rを作業位置に繰り出して圃場面に線を引き、枕地にて走行機体5を回向した後は、左マーカ50Lを作業位置に繰り出して圃場面に線を引きながら植付け作業を行えば、この基準線に沿って整列状の植付けが可能となる。また、マーカ制御用の手元操作レバー38には、左右マーカ50R,50Lの交互の切換えを選択する押釦スイッチ54aが設けられていて、この押釦スイッチ54aを操作すると、左右マーカ50R,50Lの繰り出しを選択できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転席を有する走行機体にリンク機構を介して作業部を昇降自在に支持し、かつ圃場面に走行機体の走行基準線を引く左右マーカを備えた移植機において、前記作業部の昇降に伴い、前記左右マーカを上昇収納する非作業位置と機体側方に下降繰り出す作業位置とに交互に切換え可能なマーカ制御部と、該マーカ制御部による左右マーカの交互の切換えを選択する切換え操作部を有する手元操作レバーと、を備えている、ことを特徴とする移植機のマーカ制御装置。
【請求項2】 運転席を有する走行機体にリンク機構を介して作業部を昇降自在に支持し、かつ圃場面に走行機体の走行基準線を引く左右マーカを備えた移植機において、前記作業部の昇降に伴い、前記左右マーカを上昇収納する非作業位置と機体側方に下降繰り出す作業位置とに交互に切換え可能なマーカ制御部を備え、該マーカ制御部に、前記左右マーカの繰り出しを停止する停止モードと、前記左右マーカの繰り出しを交互に切換える自動モードと、前記左右マーカを同時に繰り出す双方モードとに選択可能なモード切換部を備えた手元操作レバーを連繋した、ことを特徴とする移植機のマーカ制御装置。
【請求項3】 前記切換え操作部を、押圧操作で作動し得る押しボタン式とした、ことを特徴とする請求項1移植機のマーカ制御装置。
【請求項4】 前記手元操作レバーを、前記作業部を手元操作により昇降制御し得る操作レバーと兼用した、ことを特徴とする請求項1記載の移植機のマーカ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機等の移植機のマーカ制御装置に係り、詳しくは作業部の昇降に伴い自動的に左右マーカの繰り出しを交互に切換え可能とした移植機のマーカ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、乗用田植機等の移植機は、苗の植付条間を適正に保持し、また機体の直進性を良好にするために、植付作業時に、次工程の機体走行基準線となる線を田面に引くマーカ装置を備えている。
【0003】そして従来、この種マーカ装置として、例えば本件出願人の出願に係る特公平7−102006号公報に記載の技術が公知であり、この従来例によれば、マーカを機体側方に下降繰り出す作業位置から上昇収納する非作業位置へ移動するのに、植付部の昇降動作に連動して行い、かつ左右いずれか一方のマーカを非作業位置にて保持する機械的なロック部材を植付部の昇降作動に伴って左右交互に切換えて、圃場端における機体回向時に、植付部を昇降することにより左右マーカを自動的に作業位置に切換えるように構成されている。
【0004】すなわち、マーカ装置の繰り出しを制御する切換え制御部は、植付部の昇降に連動しかつ左右マーカに夫々連結している左右作動体と、これら作動体の移動により切り換えられる切り換え部材と、該切り換え部材の切り換えによりその付勢方向が切り換えられて左右作動体のいずれか一方の移動を規制するロック部材とを有し、このロック部材が左右いずれか一方の作動体方向に付勢されてその先端が作動体側面に当接し、該作動体が移動して当接が解除されると突出し該作動体の逆方向への移動を規制することで、植付部の昇降に伴い左右マーカを作業位置と非作業位置とに交互に切換えるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のマーカ装置は、機械的なロック部材を植付部の昇降作動に伴って左右交互に切換えて、圃場端における機体回向時に、植付部を昇降することにより左右マーカを自動的に作業位置に切換えていたため、機構が複雑になると共に、例えば移植作業の最終段階において、畦際等により邪魔されてマーカを降ろせない場合には、運転者は後ろ向きになってロック部材を左右作動体の中立位置に切り換えなければならない等、煩雑な作業が必要であった。
【0006】本発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、移植作業時におけるマーカの操作性の向上を図ると共に、マーカ制御部材を集中配置することでマーカ装置の組み付け性の向上を図り得る移植機のマーカ制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、運転席(9)を有する走行機体(5)にリンク機構(8)を介して作業部(10)を昇降自在に支持し、かつ圃場面に走行機体(5)の走行基準線を引く左右マーカ(50R,50L)を備えた移植機(1)において、前記作業部(10)の昇降に伴い、前記左右マーカ(50R,50L)を上昇収納する非作業位置と機体側方に下降繰り出す作業位置とに交互に切換え可能なマーカ制御部(39,40)と、該マーカ制御部(39,40)による左右マーカ(50R,50L)の交互の切換えを選択する切換え操作部(54)を有する手元操作レバー(38)と、を備えている、ことを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は、運転席(9)を有する走行機体(5)にリンク機構(8)を介して作業部(10)を昇降自在に支持し、かつ圃場面に走行機体(5)の走行基準線を引く左右マーカ(50R,50L)を備えた移植機(1)において、前記作業部(10)の昇降に伴い、前記左右マーカ(50R,50L)を上昇収納する非作業位置と機体側方に下降繰り出す作業位置とに交互に切換え可能なマーカ制御部(39,40)を備え、該マーカ制御部(39,40)に、前記左右マーカ(50R,50L)の繰り出しを停止する停止モードと、前記左右マーカ(50R,50L)の繰り出しを交互に切換える自動モードと、前記左右マーカ(50R,50L)を同時に繰り出す双方モードとに選択可能なモード切換部(52)を備えた手元操作レバー(38)を連繋した、ことを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明は、前記切換え操作部(54)を、押圧操作で作動し得る押しボタン式とした、ことを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明は、前記手元操作レバー(38)を、前記作業部(10)を手元操作により昇降制御し得る操作レバーと兼用した、ことを特徴とする。
【0011】[作用]以上の発明特定事項に基づき、移植機(1)は、走行機体(5)にリンク機構(8)を介して作業部(10)が昇降自在に支持され、かつ圃場面に走行機体(5)の走行基準線を引く左右マーカ(50R,50L)が装着されている。この左右マーカ(50R,50L)は、マーカ制御部(39,40)により、前記作業部(10)の昇降に伴い、上昇収納される非作業位置と機体側方に下降繰り出される作業位置とに交互に切換え可能とされている。これにより、例えば最初に右マーカ(50R)を作業位置に繰り出して圃場面に線を引き、枕地にて回向した後は、次に反対側の左マーカ(50L)を作業位置に繰り出して圃場面に線を引きながら移植作業を行えば、前記基準線を目安として走行しながら、該基準線に沿って整列状の移植が可能となる。
【0012】また、手元操作レバー(38)には、前記マーカ制御部(39,40)による左右マーカ(50R,50L)の交互の切換えを選択する切換え操作部(54)が設けられていて、この切換え操作部(54)の操作により、左右マーカ(50R,50L)の繰り出しを任意に選択することが可能となる。
【0013】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明の構成を何ら限定するものではない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0015】図1に示すように、乗用田植機1は、前輪2及び後輪3により支持された走行機体5を有しており、該走行機体5にはその前輪前方部分のボンネット4内にエンジン6が搭載され、走行機体5の前後方向の中間部には座席シート7を有する運転席9が配設されている。この座席シート7の側方には、手動操作レバー17が設けられていて、この手動操作レバー17は、レバーガイド21に沿い「上げ」、「固定」、「下げ(自動)」、「植付(自動)」の各位置に操作可能となっている。
【0016】前記走行機体5の後方には、昇降リンク機構8を介して作業部としての植付部10が昇降自在に支持され、該植付部10には多数のプランタ、フロー卜14及びマット苗を縦方向に載置し得る苗載せ台12が備えられている。また、植付部10の左右両端部には、マーカ50R,50Lが取り付けられている。このマーカ50R,50Lは、植付部10の昇降に伴い機体側方に下降繰り出す作業位置と上昇収納する非作業位置とに自動的かつ交互に切換えられるようになっており、作業位置においては圃場面に走行機体5の走行基準線を引くことができる。
【0017】前記走行機体5には、昇降リンク機構8に固着されたリンクブラケット44との間に油圧シリンダ装置19が配設されていて、前記手動操作レバー17の操作に基づき、座席シート7下部のリヤカバー26内に配置された制御部39を介して油圧コントロールバルブ35が制御され、更に該油圧コントロールバルブ35により前記油圧シリンダ装置19が伸縮制御されて、植付部10が昇降作動する。なお、前記手動操作レバー17の操作位置は、レバー位置検出ポテンショメータ42により検出され、この検出値に応じて前記制御部39を介して油圧コントロールバルブ35が制御される。
【0018】本発明においては、前記作業部10の昇降に伴い、前記左右マーカ50R,50Lを機体側方に下降繰り出す作業位置と上昇収納する非作業位置とに交互に切換え可能なマーカ制御部と、該マーカ制御部による左右マーカ50R,50Lの交互の切換えを選択する切換え操作部を有する手元操作レバーとを備えている。
【0019】前記マーカ制御部は、前記制御部39(図6参照)とマーカ切換え機構40(図3及び図4参照)とを有し、昇降リンク機構8による植付部10の昇降に伴い、前記左右マーカ50R,50Lを上昇収納する非作業位置と機体側方に下降繰り出す作業位置とに自動的かつ交互に切換え制御を行う。
【0020】また、図2に示すように、前記運転席9の前部には、ステアリングホイール13が設けられ、該ステアリングホイール13のステアリングコラム13a上部には、手元操作レバー38が設けられている。この手元操作レバー38は、ステアリングホイール13の下方のステアリングコラム13aに設けられたスイッチボックス51に取り付けられていて、レバー軸芯を中心として所定位置に回動保持し得るモード切換部52と、制御部39による左右マーカ50R,50Lの交互の切換えを選択する切換え操作部54とを有している。
【0021】前記モード切換部52は、スイッチボックス51内に切換えスイッチを有していて、手元操作レバー38の回動操作により、左右マーカ50R,50Lの繰り出しを停止する停止モード(切位置)と、左右マーカ50R,50Lの繰り出しを自動的に切換える自動モード(自動位置)と、左右マーカ50R,50Lを同時に繰り出す双方モード(左右位置)とに選択可能とされている。
【0022】すなわち、停止モードの場合、前記切換えスイッチはオフであり、左右マーカ50R,50Lの繰り出しは行わない。また、自動モードの場合、例えば植付部10が一回昇降される毎に、繰り出される左右マーカ50R,50Lの順序が自動的に切換えられる。更に、双方モードの場合、一方のマーカを繰り出し状態にしておき、かつ植付部10の下降途中で他方のマーカを繰り出し状態にすることで左右マーカ50R,50Lの両方が繰り出される。
【0023】前記切換え操作部54は、押圧操作で作動し得る自動復帰式の押しボタンスイッチ54aを有し、この押しボタンスイッチ54aを一回押すごとに、左右マーカ50R,50Lのうち下降繰り出すべきマーカを選択できるようになっている。この押しボタンスイッチ54aを、前記モード切換部52が自動モードにあるときで、植付部10が上昇した状態にあるときに操作すると、植付部10が所定位置に下降したことを後述のリフト角ポテンショメータ87が検出した時点で、左右マーカ50R,50Lの交互の繰り出し順序が切換えられる。
【0024】図3及び図4に示すように、前記マーカ切換え機構40は、座席シート7の下方に設けられていて、ベース板56上にピン57が立設されており、このピン57に切換えレバー58が回動可能に軸着されている。この切換えレバー58は、断面略々L字形をなすと共に、側方に突出した舌片59を有し、前記ピン57を中心とする左右略々対称位置に夫々孔60,60が形成されている。
【0025】一方、前記切換えレバー58の側部近傍には、マーカ切換えモータ46が配置されていて、そのモータ軸46aには作動アーム48が固定されている。そして、この作動アーム48が時計方向又は反時計方向に回転することにより、その先端部が前記舌片59に当接して押圧付勢すると、前記切換えレバー58は前記ピン57を中心として同方向に回動する。なお、マーカ切換えモータ46の側方には、リミットスイッチ49が設けられていて、このリミットスイッチ49により作動アーム48の初期位置(ホームポジション)を検出している。
【0026】また、前記ピン57の後方のベース板56上には、左右端側を機体フレームに支持された軸61が横設されていて、該軸61にはカム62,62が機体前後方向に揺動可能に軸着されている。このカム62,62は、その高さ方向中途部に孔63,63が形成され、かつその後方に突出する突起部62a,62aを有している。そして、前記孔63,63と切換えレバー58に形成された孔60,60との間に、夫々ロッド64,64が取り付けられている。このロッド64,64の一端側はボルト65,65により切換えレバー58に取り付けられ、他端側は内側に折曲されて前記カム62,62に係止されている。なお、これらのカム62,62は、捩りバネ66,66により軸61を中心として図4の時計方向に付勢されている。
【0027】更に、このカム62,62に対峙するように、アーム67,67が支点軸68を中心として揺動可能に軸着されている。このアーム67,67には、前記カム62,62に対峙する前端側に、前記カム62,62に当接するピン69,69が植設され、後端側にはローラ受け70,70が固定され、更に中央先端側にはワイヤ取付孔71,71が形成されている。
【0028】前記支点軸68の下方には、横軸75が機体フレームに枢支されており、この横軸75にブラケット76,76の中間部が回動可能に軸着されている。そして、これら左右ブラケット76の前端側には、前記アーム67,67のローラ受け70,70に当接可能にローラ77が取り付けられ、後端側には連結ピン79を介してプレート78の前端部が連結されている。このプレート78の後端部は、ピン85によりリンクブラケット44に取り付けられている。このリンクブラケット44は、昇降リンク機構8の基端部に固設されている。この昇降リンク機構8は、左右の機体フレーム間に橋絡されている軸86に枢支されている。
【0029】また、前記ワイヤ取付孔71,71には、インナワイヤ73a,73aの連結ピン72,72が係合され、該インナワイヤ73a,73aの他端は、前記左右マーカ50R,50Lに夫々連結されている。なお、アウタワイヤ73,73の一端はブラケット74にネジ92により調節自在に取り付けられ、他端は後述するマーカ基部回動部材93に固定されている。
【0030】図5(a)(b)に示すように、苗載せ台12支持用の左右ステー81には、マーカ基部回動部材93を介してマーカ枢支ピン91により左右のマーカ50R,50Lが回動自在に支持されている。この左右のマーカ50R,50Lは、苗載せ台12の裏面に上昇収納された非作業位置と、植付部10の側部下方に繰り出されてその折曲側の先端aが圃場面に接触する作業位置とに切り換えられ、かつこれらマーカ50R,50Lは植付けフレーム82,82との間に張設された繰り出しスプリング83,83により作業位置になるように付勢されている。
【0031】前述したマーカ切換え機構40の作動は、図3及び図4において、例えば制御部39からの右マーカ50Rの繰り出し指令に基づき、マーカ切換えモータ46が初期位置から図3の時計方向に一回転して元の位置に戻って停止する。このとき、作動アーム48も同方向に回転し、該作動アーム48が切換えレバー58の舌片59を押圧付勢する。これにより、切換えレバー58はピン57を中心として反時計方向に揺動し、右ロッド64を図面右方に引っ張る。すると、右側カム62が軸61を中心として図4の時計方向に回動し、その突起部62aと右側アーム67のピン69との係合が外れる。これにより、右側アーム67は、支点軸68を中心として時計方向に回動し、先端のワイヤ取付孔71が同方向に回動し、インナワイヤ73aが繰り出しスプリング83により引っ張られ、右マーカ50Rが作業位置に繰り出される。
【0032】一方、植付け走行により枕地に至り、該枕地において走行機体5を回向する際、油圧シリンダ装置19が作動して植付部10が上昇すると、昇降リンク機構8の基部に固定されたリンクブラケット44が軸86を中心として時計方向に回動するため、プレート78が図4の左方に引かれ、ブラケット76が横軸75を中心として時計方向に回転し、ローラ77がアーム67のローラ受け70を持ち上げる。すると、アーム67は支点軸68を中心として反時計方向に回転し、ワイヤ取付孔71を介してインナワイヤ73aを引っ張り、右マーカ50Rを上昇させて該右マーカ50Rを非作業位置に収納する。
【0033】次いで、走行機体5を回向して植付部10が下降し、リフト角ポテンショメータ87にて植付部10が所定位置に下降したことを検知すると、制御部39から前記と反対の左マーカ50Lの繰り出し指令が発せられ、この指令に基づき、マーカ切換えモータ46が初期位置から図3の反時計方向に一回転して元の位置に戻って停止する。このとき、作動アーム48も同方向に回転し、該作動アーム48が切換えレバー58の舌片59を押圧付勢する。これにより、切換えレバー58はピン57を中心として時計方向に揺動し、左ロッド64を図面右方に引っ張る。すると、左側カム62が軸61を中心として図4の時計方向に回動し、その突起部62aと左側アーム67のピン69との係合が外れる。これにより、左側アーム67は、支点軸68を中心として時計方向に回動し、先端のワイヤ取付孔71が同方向に回動し、インナワイヤ73aが繰り出しスプリング83により引っ張られ、左マーカ50Lが作業位置に繰り出される。
【0034】更に、枕地に至り、植付部10が上昇して昇降リンク機構8の基部のリンクブラケット44が軸86を中心として時計方向に回動すると、プレート78が図4の左方に引かれ、ブラケット76が横軸75を中心として時計方向に回転し、ローラ77がアーム67のローラ受け70を持ち上げる。すると、アーム67は支点軸68を中心として反時計方向に回転し、ワイヤ取付孔71を介してインナワイヤ73aを引っ張り、左マーカ50Lを上昇させて該左マーカ50Lを非作業位置に収納する。
【0035】以下、同様にして、走行機体5が枕地に至り、植付部10が昇降する毎に左右マーカ50R,50Lが交互に切り換えられる。なお、左右マーカ50R,50Lの交互の繰り出し順序を変更するためには、手元操作レバー38の押しボタンスイッチ54aを一回押せば、変更できるようになっている。
【0036】なお、前記において、例えば路上走行時等においては、通常マーカ50が繰り出されないように機体側に固定しておくが、固定忘れがあっても植付部10の下降に伴い自動的にマーカ50が繰り出されないように、植付スイッチ90がオンの場合にのみマーカ50の繰り出しが可能とされている。また、植付作業前にマーカ50にてラインのみを引きたい場合を考慮して、自動モードの場合、植付クラッチが「入」の時にのみ自動的にマーカ50の繰り出しが行われるようにしている。更に、例えば図3において、マーカ切換えモータ46に電源がオンされる前に、作動アーム48が定位置(ホームポジション)を外れていた場合にも、電源オンにより該作動アーム48が自動的に定位置に復帰できるような構成を有している。
【0037】図6は、制御ブロック図を示しており、前記制御部39はマイクロコンピュータ(以下、CPUという)を有し、このCPUに、前記モード切換部52、切換え操作部54、リミットスイッチ49、リフト角ポテンショメータ87、クラッチモータポテンショメータ88からの信号が入力され、該CPUにより、マーカ50が作業位置にあるか否かを知らせるランプ84L,84Rや前記マーカ切換えモータ46が制御される。前記リフト角ポテンショメータ87は、植付部10の昇降位置を検出するものであり、クラッチモータポテンショメータ88は、植付クラッチの入切状態を検出するものである。
【0038】次に、前記手元操作レバー38は、該レバー操作によりマーカ50R,50Lの切換え制御が可能であると共に、上下方向に回動操作することにより植付部10の昇降制御をも可能としている。
【0039】すなわち、図2に示す手元操作レバー38は、図示しない弾発部材により、上下方向(矢印方向)に回動操作する際に、手を離すと基準位置に自動復帰するように付勢されていて、復帰位置である基準位置と、この基準位置から上方に変位した上げ位置(植付部上昇)と、前記基準位置から下方に変位した下げ位置(植付部下降)と、下降を開始した後再度手元操作レバー38を下方に変位した植付位置(植付部下降)とに切換え操作自在となっている。
【0040】このため、本実施の形態における手元操作レバー38は、マーカ50R,50Lの切換え制御用のレバーと、植付部10の昇降制御用のレバーとを兼用している。
【0041】図7に示すように、運転席前方の表示パネル80には、各種モニタ及び警報ブザーを作動状態にする植付スイッチ90、左右マーカ50R,50Lが繰り出されていることを知らせるモニタランプ84R,84L、ホーンスイッチ94、ライトON・OFFスイッチ95、コンビネーションスイッチ96、ウィンカーレバー97等の各種スイッチや計器関係が配置されている。運転者は、この表示パネル80を見ながら移植作業を行うことができるが、本実施の形態では、前記植付スイッチ90がオン作動状態にある場合にのみ、植付部10の下降動作に伴い左右マーカ50R,50Lの一方又は双方を繰り出し可能とし、作業時以外には植付部10が下降しても左右マーカ50R,50Lが繰り出されないようにしている。
【0042】次に、図8〜図11のフローチャートに基づき、本実施の形態の制御動作を説明する。
【0043】図8において、作業に先立ち、先ずルーチンAにおいて前記植付スイッチ90がオンかオフかを判断し、オンならルーチンBにおいてマーカモードのセットを行い、次いでルーチンCにおいて運転席前方の表示パネル80でのマーカモニタ表示を可能とし、更にルーチンDにおいてマーカコントロールを行う。なお、前述のルーチンAにおいて植付スイッチ90がオフなら、ルーチンEにおいてオートマーカモードフラグ、マーカ左右繰り出しモードフラグ、方向切換フラグ、マーカ指示フラグ等を全てクリアにする。
【0044】図9は、マーカモードセットのフローチャートを示す。
【0045】同図において、S1では植付部10がマーカ収納位置すなわち固定位置又は上げ位置にあるか否かを判断し、マーカ収納位置にある場合は、S2でマーカモニタフラグをセットし、S3に進む。若しもS1において、植付部10が前記以外の場合は元に戻る。
【0046】S3では、手元操作レバー38のモード切換部52の操作により、オートモード(自動モード)になっているか否かを判断し、オートモードならS4にてオートマーカモードフラグをセットし、S7に進む。若しもS3でオートモードでなければ、S5〜S6にてオートマーカモードフラグをリセットすると共に、方向切換フラグをリセットする。
【0047】S7においては、オートマーカモードフラグがセットされているか否かを判断し、セットされているならS8に進み、ここでマーカ左右振出し(繰出し)作動フラグがセットされているか否かを判断する。そして、S8でリセット状態ならS12に進み、ここで更にマーカ作動フラグがセットされているか否かを判断し、セットされていればS14にてマーカ作動フラグをリセットし、S15に進む。このS15では、植付クラッチの入フラグがセットされているか否かをクラッチモータポテンショメータ88(図6参照)にて判断し、セットされているならS16にて方向切換フラグを反転させた後、S17で植付クラッチ入フラグをリセットする。
【0048】なお、前述のS8において、マーカ左右振出し作動フラグがセットされているなら、S13でマーカ左右繰出し作動フラグとマーカ作動フラグをリセットし、S17に進む。また、S12でマーカ作動フラグがリセット状態の場合と、S15で植付クラッチの入フラグがリセット状態の場合は、S17に進む。
【0049】つまり、オートマーカモードに設定されている場合は、植付スイッチ90がオンでかつ植付クラッチが入り状態のときのみ、左右マーカ50の繰り出しの切換えを可能としている。これは、マーカ50にて圃場にラインのみを引きたい場合、オートマーカモードで行うと、植付部10の昇降動作によって左右マーカ50の繰り出しが自動的に切換わるので、その都度切換え操作を必要とし煩わしいからである。
【0050】次いで、S18では方向切換スイッチ、すなわち手元操作レバー38の切換え操作部54の操作があるか否かを判断し、あればS19にて方向切換フラグを反転してS20に進む。
【0051】一方、前述したS7において、オートマーカモードフラグがリセット状態なら、S9においてマーカ左右繰出し作動スイッチがオンか否かを判断し、オンならS10でマーカ左右繰出しモードフラグをセットし、オフならS11においてマーカ左右繰出しモードフラグをリセットしてS20に進む。
【0052】S20では、オートマーカモードフラグがセットされているか否かを判断し、セットされていればS21に進み、リセットならS22に進む。S21では、方向切換フラグがセットされているか否かを判断し、リセットならS26で右(R)のマーカ指示フラグをセットし、セットされていればS25で左(L)のマーカ指示フラグをセットする。また、S22では、マーカ左右繰出しモードフラグがセットされているか否かを判断し、セットされていればS23でマーカ指示フラグをR&L(左右マーカ繰り出し)にセットし、リセットならS24でマーカ指示フラグをリセットする。
【0053】図10は、マーカコントロールのフローチャートを示す。
【0054】同図において、S31では植付部10がマーカ50の作動可能位置にあるか否かが判断されるが、これは、リフト角ポテンショメータ87(図6参照)により植付部10の昇降位置が検出されることで可能となる。そして、植付部10がマーカ50の作動可能位置にあれば、S32にてマーカ切換えモータ46の初期位置を検出するリミットスイッチ49(図3参照)がオンかオフかが判断される。このS32でリミットスイッチ49がオンなら、S33で前回のリミットスイッチ49がオンかオフかが判断され、前回のリミットスイッチ49がオンならS34でマーカ切換えモータ46の駆動を停止し、S37に進む。
【0055】このS37では、マーカ指示フラグがR&Lにセットされているか否かが判断され、R&L以外にセットされていれば、S38でマーカ指示フラグをリセットしてS41に進む。
【0056】一方、前述したS33において、前回のリミットスイッチ49がオフなら、S35に進み、ここで植付クラッチが入切を判断し、入りならS36で植付クラッチ入フラグをセットしてS41に進む。また、S37において、マーカ指示フラグがR&Lにセットされていれば、S39でマーカ指示フラグを左(L)にセットすると共に、S40でマーカ切換えモータ46のOFFタイマをスタートさせてS41に進む。
【0057】S41では、マーカ指示フラグがセットされているか否かが判断され、セットされていれば、S42でマーカ切換えモータ46のOFFタイマが0か否かを判断する。このS42で、OFFタイマが0ならS43に進み、0でなければS44でマーカ切換えモータ46の駆動を停止する。
【0058】また、S43ではマーカ指示フラグが左(L)にセットされているか否かを判断し、左(L)以外にセットされていれば、S45でマーカ切換えモータ46を右(R)方向に駆動し、S46に進む。一方、S43でマーカ指示フラグが左(L)にセットされていれば、S49でマーカモータをL方向に駆動し、更にS50でマーカ作動フラグをセットする。
【0059】S46では、マーカ指示フラグがR&Lにセットされているか否かが判断され、R&Lにセットされていれば、S47でマーカモータ左右繰出し作動フラグをセットし、S46でR&L以外にセットされていれば、S48でマーカ作動フラグをセットする。
【0060】一方、前述したS31で、植付部10がマーカ50の作動可能位置にない場合は、S51に進み、ここで植付部10がマーカ収納位置(すなわち上げ位置又は固定位置)にあるか否かが判断され、植付部10がマーカ収納位置にあれば、S52に進み、なければS44でマーカ切換えモータ46の駆動を停止する。S52では、油圧バルブカム位置が「上げ」又は「固定」位置にあるか否かが判断され、「上げ」又は「固定」位置にあれば、S53に進み、なければS44に進む。S53では、リミットスイッチ49がオンかオフかが判断され、オンならS44に進み、オフならS54に進む。このS54では、マーカ指示フラグが左(L)にセットされているか否かが判断され、左(L)以外にセットされていればS55でマーカモータをR方向に駆動し、左(L)にセットされていれば、S56にてマーカモータをL方向に駆動する。このS53〜S56は、電源がオンされたときに作動アーム48が定位置を外れている場合は、自動的に定位置に復帰するようにしたものである。
【0061】図11は、マーカモニタ表示のフローチャートを示す。
【0062】同図において、S61では、マーカモニタフラグがセットされているか否かが判断され、セットされていればS62に進み、リセット状態ならS68でマーカモニタを消灯する。S62では、オートマーカモードフラグがセットされているか否かが判断され、セットされていればS63において、更に方向切換フラグがセットされているか否かが判断され、リセットならS64でマーカモニタRを点灯し、セットされていればS65でマーカモニタLを点灯する。また、S62では、オートマーカモードフラグがリセット状態なら、S66でマーカ左右繰出しモードフラグがセットされているか否かが判断され、セットされているならS67でマーカモニタのR&Lを点灯し、リセットならS68でマーカモニタを消灯する。
【0063】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、作業部の昇降に伴い左右マーカを作業位置と非作業位置とに切換え可能なマーカ制御部と、該マーカ制御部による左右マーカの交互の切換えを選択する切換え操作部を有する手元操作レバーとを備えていることにより、移植作業時におけるマーカの操作性の向上を図ることができる。また、マーカ制御部材を集中配置することで、マーカ装置の組付け作業を容易にすることができる。
【0064】請求項2記載の発明によれば、手元操作レバーは、前記左右マーカの停止モード、自動モード、及び双方モードとに選択可能なモード切換部を備えていることにより、移植作業における作業形態に応じ簡単な操作で左右マーカの繰り出しモードを自由に調整することができる。
【0065】請求項3記載の発明によれば、左右マーカの繰り出しを切換え可能な切換え操作部を、押圧操作で作動し得る押しボタン式としたことにより、いわゆるワンタッチ操作にてマーカの切換えが可能であるため、左右マーカの切換え操作性の向上を図ることができる。
【0066】請求項4記載の発明によれば、手元操作レバーを、作業部を手元操作により昇降制御し得る操作レバーと兼用したことで、該手元操作レバーを操作するのみで、作業部の昇降制御と左右マーカの制御とを行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開平11−299304
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−109959