| 【発明の名称】 |
動力車両における作業機の姿勢制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 弘喜
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| 【要約】 |
【課題】従来、トラクター等に搭載される所謂作業機の水平制御では、作業機の姿勢変更速度が一定に設定されていた為、傾斜角度が急激に変化した場合に制御の作動遅れが生じ整地性能を低下させるという不具合を有していた。
【解決手段】車体に連結した作業機14を昇降する昇降制御装置と、同作業機14の左右傾斜姿勢を変更する油圧シリンダ15a、及び車体に対する傾斜姿勢を検出するストロークセンサ17を備え前記作業機14を車体に対し任意の傾斜姿勢に維持する水平制御装置とを設けたトラクタにおいては、前記車体には前記傾斜制御の基準となる車体の左右傾斜角度、及び傾斜変化速度を検出するセンサを備え、両検出値に応じて前記油圧シリンダ17の駆動速度を変更する構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体に連結した作業機を昇降する昇降制御装置と、同作業機2の左右傾斜姿勢を変更するアクチュエータ、及び車体に対する傾斜姿勢を検出するセンサを備え前記作業機を車体に対し任意の傾斜姿勢に維持する傾斜制御装置とを設けた動力車両において、前記車体には前記傾斜制御の基準となる車体の左右傾斜角度、及び傾斜変化速度を検出するセンサを備え、両検出値に応じて前記アクチュエータの駆動速度を変更する制御手段を備えたことを特徴とする動力車両における作業機の姿勢制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、トラクター等の動力車両に連結される作業機の姿勢制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、トラクター後部に連結されたロータリ耕耘装置等の対地作業機を水平に制御させるものがある。更に詳述すると、トラクターに左右方向の傾斜を検出する傾斜センサを設け、トラクターと作業機との間には両者の相対的角度差を検出するストロークセンサを設け、トラクターが傾いたときに、その傾斜角度分だけ姿勢変更用の油圧アクチュエータを逆方向に作動させて作業機を常に設定角度(例えば水平姿勢)に保持させるようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした従来装置の場合には、作業機全体の上下動をコントロールするメインコントロールバルブの回路の途中に分流弁を設け、規定流量だけ分流した作動油を前記油圧アクチュエータに送り込むようにしていたため、トラクターの傾斜角度に関係なく常に一定速度でしか作業機の左右傾斜姿勢制御が行われず、追従性が悪いという欠点がある。 【0004】また、トラクターの傾斜角度が大きい場合、急激に変化した場合と、徐々に変化した場合とでは作業機の姿勢制御速度が異ならなければ的確な制御が行えないのに、前記した従来装置では、制御速度が一定であるから制御の遅れを生じ、この結果整地性能を低下させるという不具合を有していた。さらに、従来装置の場合、目標設定値と検出値との差が大きい場合には制御バルブに連続信号を流し、微小制御域になるとパルス信号を流して油圧アクチュエータを伸縮制御する方式を採用していたため、動きに滑らかさがなく、特に、油圧アクチュエータが目標とする位置に近づいて停止する寸前の領域では油圧アクチュエータの作動が、ぎくしゃくしたものになり、フィーリングが悪いという欠点を有していた。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明は、前記した問題点に鑑みて提案するものであって、このため、次のような技術的手段を講じた。即ち、車体に連結した作業機を昇降する昇降制御装置と、同作業機2の左右傾斜姿勢を変更するアクチュエータ、及び車体に対する傾斜姿勢を検出するセンサを備え前記作業機を車体に対し任意の傾斜姿勢に維持する傾斜制御装置とを設けた動力車両において、前記車体には前記傾斜制御の基準となる車体の左右傾斜角度、及び傾斜変化速度を検出するセンサを備え、両検出値に応じて前記アクチュエータの駆動速度を変更する制御手段を備えたことを特徴とする動力車両における作業機の姿勢制御装置とする。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、1はトラクターで、機体の前後部に夫々前輪2、2と後輪3、3とを備え、ミッションケース4の後上部には油圧シリンダケース5を固着して設けている。油圧シリンダケース5内には、単動式の油圧シリンダ6を設け、油圧シリンダケース5の左右両側にはリフトアーム7、7を回動自由に枢着している。 【0007】なお、ここでは油圧シリンダ6、リフトアーム7、7を油圧昇降機構8と総称する。また、トップリンク10、ロワーリンク11、11からなる3点リンク機構12の後端部には、ロータリ耕耘装置14が昇降自在に連結されている。15、15はリフトアーム7、7とロワーリンク11、11間に介装されたリフトロッドであり、特に右側のリフトロッド15は複動式の油圧シリンダ15aで構成され、後述する制御弁の切換でこの油圧シリンダ15a内に作動油が給排され、ロータリ耕耘装置14を左右方向に傾動させる。16は前記油圧シリンダケース5の横側部に取り付けられた傾斜センサであって、トラクター1の左右傾斜を検出する。また、17はトラクター1とロータリ耕耘装置14との間の相対的回動量を検出するストロークセンサであって、直線式のポテンショメータにて構成され、このストロークセンサ17は前記油圧シリンダ15aの横側部に配設されている。 【0008】20はポジション制御用の油圧操作レバーであって、この油圧操作レバー20の回動基部には、トラクター1の後部に連結されているロータリ耕耘装置14の対地高さを設定するためのポテンショメータからなる対地高さ設定器21が取り付けられている。一方、片側リフトアーム7の回動基部にもポテンショメータからなる対地高さセンサ23が設けられ、油圧操作レバー20にて設定された位置にリフトアーム7、7が回動してその設定位置に停止するように構成している。 【0009】ロータリ耕耘装置14について簡単に説明すると、ロータリ耕耘装置14は、耕耘部34と、耕耘部34の上方を覆う主カバー35と、主カバー35の後部に枢着されたリヤカバー36等を備え、リヤカバー36の下端部を地面に摺接させて耕起土壌面を均平にすべく構成し、また、主カバー35の後端部にはリヤカバー36の回動角度を検出する耕深センサ37を設けている。 【0010】次に第2図の油圧回路図について簡単に説明すると、油圧ポンプ25から送り出された作動圧油は、分流弁26により一部は水平制御用の油圧シリンダ15a側に送られ、他は作業機昇降用の油圧シリンダ6側に送られる。水平制御用の切換弁27は3位置4ポート式の弁にて構成され、左側のソレノイド27aが励磁されると油圧シリンダ15aは伸長し、逆に右側のソレノイド27bが励磁されると短縮する。前記切換弁27はパルス信号をソレノイドに流すことによって制御される比例式電磁弁で構成されるものであって、1周期当たりのパルスの幅を偏差に基づいて変更することによってソレノイドに通電される電流値が変わり、電流値に比例した流量制御がなされるように構成している。 【0011】なお、この切換弁27は常態においては中立位置を保っており、傾斜センサ16が機体の傾斜を検出すると、ロータリ耕耘装置14を水平に維持すべくいずれかのソレノイドが励磁されるものである。同図において、40はメインの油圧昇降回路の一部を構成する油路、42は上昇用比例制御弁、45は下降用比例制御弁である。上昇用比例制御弁42はパイロット圧を制御する第1制御弁47と流量を制御する第2制御弁48とからなり、第1制御弁47のソレノイドに流す電流値をコントロールすることによって第2制御弁48に掛るパイロット圧が変わり、油圧シリンダ6に至る作動油の量がコントロールされる。同様に下降用比例制御弁42もパイロット圧をコントロールする第1制御弁49と流量制御する第2制御弁50とからなり、第1制御弁49のソレノイドに通電する電流値を変えることによって第2制御弁50に掛るパイロット圧が変わり、油圧シリンダ6からタンクに排出される作動油の量が制御される。これらの上昇用、下降用の比例制御弁42、45は水平制御用の切換弁27と同様、1パルス当たりのON時間を変えて電流値をコントロールする(デューティ制御)ものである。 【0012】従って、対地高さ設定器21による設定値と対地高さセンサ23による検出値との差、即ち偏差が小さい場合には1パルス当たりのON時間(オンタイム)を短くし、偏差が大きい場合には1パルス当たりのON時間を長くするように構成されている。図3は制御系を示すブロック図であり、ロータリ耕耘装置14の対地高さを設定する設定器21と、耕深を設定する耕深設定器51と、ロータリ耕耘装置14の左右傾斜角度を設定する傾斜設定器52は夫々A/D変換器55を介してCPUからなる制御装置60に接続され、また、対地高さセンサ23と、耕深センサ37と、トラクター1の傾斜角度を検出する傾斜センサ16と、トラクター1と対地作業機との相対的角度を検出するストロークセンサ17も同様にA/D変換器55を介してCPUからなる制御装置60に接続されている。 【0013】そして、制御装置60の出力側には、リフトアーム7、7を昇降回動させる上昇用比例制御弁42と下降用比例制御弁45、及び水平制御用油圧シリンダ15bを伸長させるソレノイド27aと短縮させるソレノイド27bが接続されている。なお、58はA/D変換器55を経ることなく直接制御装置60に接続された昇降用スイッチで、このスイッチ58をONにすると、ロータリ耕耘装置14は最大上昇位置まで上昇し、OFFにすると、油圧操作レバー20によって定まる高さまで下降する。 【0014】図4は、制御装置60のメモリ内に記憶されている水平制御のためのプログラムの内容を示すものであるが、このフローチャートに基づいて作用を説明すると、まず、最初に昇降スイッチ58や各種設定器21、51、52及びセンサ16、17、23、37の値が読み込まれる(ステップ1)。傾斜設定器52によって作業機の左右方向の傾斜姿勢(例えば水平状態)が設定されているが、この状態からトラクター1が左右いずれかの方向に傾くと傾斜センサ16がこれを検出し、元の設定された姿勢に作業機を維持すべく制御目標ストロークセンサ値と、現在のストロークセンサ17の値の差が算出される(ステップ2、3)。同時に傾斜センサ16の変化速度を検出する(ステップ4)。 【0015】トラクター1の傾きに変化が生じたときには出力要求が生じ、発生直後(この実施例では1パルス目)は偏差に拘りなしに規定のパルス幅の信号が流され、切換弁27の伸長用あるいは短縮用のソレノイド27a、27bが励磁される(ステップ6、9、11、13あるいは6、9、11、14)。そして、制御目標値との差が微小で小さい場合、即ち、偏差が規定値以内に納まっていれば、偏差に応じて複数個のテーブルデータの中から最適な流量特性曲線の1つを選び、その選択された流量特性曲線上でデューティ制御を行う(ステップ7、10、11、13あるいは7、10、11、14)。そして、目標値との差が規定値以内に納まっていないときには、傾斜センサ16の変化する速度よりやや速い流量が得られるONデユーティを選び、水平制御用切換弁27のソレノイド27a(27b)を偏差に基づいてデューティ制御する(ステップ8、11、13、あるいは8、11、14)。 【0016】傾斜センサ16が傾斜を検出してから油圧シリンダ15aに作動油を送り込む場合、動作に遅れが伴うのが普通であるが、傾斜変化が連続的に生じているような場合には、傾斜センサ16の変化速度よりもやや速い速度で油圧シリンダ15aが伸縮制御するようにコントロールすれば、応答遅れが少なくなって追従性が向上し、また、制御目標近くで減速させればオーバーストロークも少なくなる。 【0017】なお、図5は別実施例の制御プログラムを示したもので、トラクター1本機に連結されている作業機の左右方向の傾斜の変化速度がゼロに近づくように流量を制御して油圧シリンダ15aを伸縮させたものである。更に詳述すると、トラクター1と一体で作業機が傾いてゆくときの傾斜速度の方が、油圧シリンダ15aを伸縮させるときの速度よりも速いと、これは流量不足となって作業機が設定姿勢に到達するのに時間が掛ることになる。逆に、油圧シリンダ15aの動作速度の方が、傾斜センサ16の変化速度よりも速いときには、作業機は目標とする位置に迅速に到達するが停止時にオーバーストロークして動き過ぎてしまう不具合が生じる。このため、油圧シリンダ15aの動作速度とトラクター1の傾斜速度、言い換えると傾斜センサ16の変化速度とが同期していれば、作業機の傾斜変化速度はゼロに近くなる。このように、傾斜センサ16の変化速度を常に監視して、作業機の傾斜の変化速度がゼロに近づくように油圧シリンダ15aを伸縮させれば、どのような傾斜状態であっても作業機は正確且つ迅速に目標位置に到達できる。 【0018】なお、図6、図7について簡単に説明を加えると、これらは水平制御用の切換弁27のソレノイド27a、27bを比例制御弁を用いないで普通のON、OFF式開閉弁を用いた従来装置と一部を改良した装置を説明したものである。図6において、作業機がトラクター1と共に左右方向に傾斜すると、傾斜センサ16の検出信号は図のように現れ、不感帯(ニュートラルゾーン)を越えて減速ゾーンに入ったときだけ油圧シリンダ15aが間歇駆動すべくパルス制御される。即ち、設定値と検出値との差が微小な範囲ではパルス制御され、偏差が大きくなると、ソレノイドに連続信号が流されて切換弁27は全開になり、規定量の作動油が油圧シリンダ15aに送り込まれる。このような従来方式では、油圧シリンダ15aが動き始めるときに動作遅れが生じ、フイーリングが悪い欠点があった。図6の(ロ)は、この点を解消するために、従来装置の制御プログラムの一部を改良したものであり、その特徴とする点は動き始めも連続信号を流すようにしたことである。図7はその詳細な制御フローを示すもので、このような方式に改めると制御の遅れが少なくなる。 【0019】 【発明の作用効果】以上説明したようにこの発明は、車体に連結した作業機を昇降する昇降制御装置と、同作業機2の左右傾斜姿勢を変更するアクチュエータ、及び車体に対する傾斜姿勢を検出するセンサを備え前記作業機を車体に対し任意の傾斜姿勢に維持する傾斜制御装置とを設けた動力車両において、前記車体には前記傾斜制御の基準となる車体の左右傾斜角度、及び傾斜変化速度を検出するセンサを備え、両検出値に応じて前記アクチュエータの駆動速度を変更する制御手段を備えたことを特徴とする動力車両における作業機の姿勢制御装置としたものであるから、前述のように機体の変化速度が速いときには姿勢変更用の油圧アクチュエータの作動速度も速く変更され、逆に変化速度が遅いときには、同アクチュエータの動作も緩やかに制御され、この結果、応答性は著しく向上するとともに、前記アクチュエータの動作も滑らかになってフィーリングも良好となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成3年(1991)9月30日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−275909 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月12日 |
| 【出願番号】 |
特願平11−41739 |
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