トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】石飛 芳夫

【氏名】芝田 哲男

【要約】 【課題】ロータで地面を掻き均す際に生ずる泥水流を、ロータの取付間隔から速やかに後方へ排水して、ロータで前押しされる泥水流の外側方への排出を抑制し、既に植え付けられた苗の押し倒し等を防止する代掻同時移植作業機を提供する。

【解決手段】走行機体1の後部に植付装置6を支持すると共に、該植付装置6の前側に回転駆動可能に横設したロータリ軸50に複数のロータ5a〜5dを有して代掻を行う代掻装置5を装着し、前記ロータ5a〜5dのうち、後輪1bの後方に位置する相隣るロータ5aと5b(5c)の取付間隔5Kを、後輪1bのラグ10巾よりも大きく形成し、この取付間隔5Kを後輪1bの背後に位置させて代掻装置5を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪1a及び後輪1bを有する走行機体1の後部に複数条分の苗を植付ける植付装置6を支持すると共に、該植付装置6の前側に回転駆動可能に横向きに配置したロータリ軸50に複数のロータ5a〜5dを設けて代掻を行う代掻装置5を装着した移植機において、前記代掻装置5の複数のロータ5a〜5dのうち、後輪1bの後方に位置する相隣るロータ5aと5b(5c)の取付間隔5Kを、後輪1bのラグ10巾よりも大きく形成すると共に、該取付間隔5Kを後輪1bの背後に位置させて代掻装置5を構成する移植機。
【請求項2】 後輪1bと、該後輪1bの後方に位置する相隣るロータ5b(5c)とを取付間隔5K内において、両者の外周部を側面視で重合させるように構成した請求項1の移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、代掻と苗の植付けとを同時に行うことができる移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、代掻と苗の植付けとを同時に行う移植機は、前輪及び後輪を有する走行機体の後部に複数条分の苗を植付ける植付装置を支持すると共に、この植付装置の前側に複数のロータを備えたロータリ軸を横向きに支持して代掻を行う代掻装置を装着している。そしてこの代掻装置は後輪の外周部を外れた位置と植付装置のフロート群の先端部との間に設置され、そしてロータリ軸に幅の狭い取付間隔をあけて各ロータを配置している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のような構成による移植機は、代掻装置のロータが後輪と植付装置のフロート群との間に、両者の接当を防止するように設置されるため、走行機体と植付装置との間隔が広くなって機体の前後長さが長くなる。その上、ロータの外形を大きくすることができないことから代掻性能を向上すること難しかった。
【0004】また、代掻時にロータの回転と進行に伴って各ロータで前押しされる泥水流が代掻装置の両外側のロータの側方から勢いよく流出するために、移植の進行方向の側方で既に植付けられている既植付け苗の泥水流による倒伏が発生する場合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決するために本発明の移植機は、前輪1a及び後輪1bを有する走行機体1の後部に複数条分の苗を植付ける植付装置6を支持すると共に、該植付装置6の前側に回転駆動可能に横向きに配置したロータリ軸50に複数のロータ5a〜5dを設けて代掻を行う代掻装置5を装着した移植機において、前記代掻装置5の複数のロータ5a〜5dのうち、後輪1bの後方に位置する相隣るロータ5aと5b(5c)の取付間隔5Kを、後輪1bのラグ10巾よりも大きく形成すると共に、該取付間隔5Kを後輪1bの背後に位置させて代掻装置5を構成している。
【0006】また、後輪1bと、該後輪1bの後方に位置する相隣るロータ5aと5b(5c)とを、取付間隔5K内において両者の外周部を側面視で重合させるように構成している。
【0007】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1に示す乗用型の移植機Aは、前輪1a,後輪1bを有する走行機体1上に、前方からエンジンEを搭載し、その後部にハンドル及び座席シートからなる運転席2を備え、機体1の後部で植付け深さ自動制御用の油圧シリンダ機構によって昇降されるトップリンク,ロアリンク等で構成した昇降機構3の後端にヒッチ30を設け、このヒッチ30に後方に向けて図2に示すように突設したローリング支軸31に対して、代掻装置5を備えた植付装置6の巾方向の中央部をメタル部を介して左右に傾動(ローリング)自在に軸装支持している。
【0008】前記植付装置6には、ローリング軸31に嵌合するメタル部を形成した植付機枠60に、苗載台61及び5条植付分の植付爪62aを有する植付部62を配置した伝動ケース63が装着されている点は、従来の装置と同様であり、この伝動ケース63には各植付部62に伝動する伝動軸63aが内装されており、この伝動軸63aはベベルギヤ8a,8bを介して走行機体1側の駆動軸(PTO軸)8から入力駆動するように構成している。
【0009】そしてこの伝動ケース63の下方には均し板の機能と滑走機能を持つフロート群7を、以下の配置によって、前後に配置した支持リンク7a,7bを介して上下動可能となるように設けている。即ち、上記滑走体で構成されたフロート群7は、植付部の両側に設けられ、その両側で各一条分の苗Nが植え付けられる、平面視でT字状の2条用の外フロート70と、この両外フロート70の内側に設けられ、その中央部で1条分の苗を植え付けする逆U字状の中フロート71とで構成されている。
【0010】そして、外フロート70と中フロート71の先端を横方向に同一線に並べ、前記代掻装置5の後方で代掻時の泥水流の勢力を逃がし、そして緩和させるための「前後距離K」を設け、また前記両側の外フロート70と中フロート71との間には2本の泥水流後方排出用の通路7aをそれぞれ形成している。なお、この実施形態においては、中フロート71は、前記ローリング支軸31のセンター軸芯Pの延長線後方に位置して、その逆U字状に切欠した内部に植付爪62aを設けていると共に、外フロート70の幅を狭くした滑走部の両側には植付爪62aをそれぞれ配置している。
【0011】また、フロート群7の中央に配置されている中フロート71は、従来の構成からなる油圧自動感知制御機構(植付け深さ制御機構)と連繋させており、この中フロート71が地面滑走する際の上下運動によって昇降機構3を上下に作動させて植付け深さを一定とするようにしている。次に代掻装置5について説明する。
【0012】この代掻装置5は、フロート群7の前方において植付巾に横向きに支持されたロータリ軸50の両側を、伝動ケース63に軸支された回転軸65に一端を支持させ、そして後方に延長した支持アーム66,66によって回転可能に支持している。そして植付機枠60側に設けられたハンドル付きの上下調節機構67を上記支持アーム66と連結し、この上下調節機構67の操作によって代掻装置5を上下動させて代掻深さを調節可能とするように設けている。
【0013】図2に示すようにロータリ軸50には、従来の構成からなる籠型形状のロータ5a〜5dを所定の「取付間隔5K」をあけながら異なる長さで取付固定している。そしてこの取付間隔5Kを設けたことによって代掻時にロータ5a〜5dの前進回転に伴って生ずる泥水流を、後方に円滑且つ速やかに逃がすことができ、代掻装置5による泥水流の前押しを防止することができるようにしている。
【0014】即ち、2本の支持アーム66を介して長いロータ5a,5aを代掻装置5の両外側に配置し、これらの間に短い長さのロータ5b,5cを配置し、さらに最短のロータ(センターロータ)5dをロータケース51の右方に配置し、その結果、その中心線Pが前記の中フロート71の中心線と一致するように配置している。
【0015】このように配置された5本のロータ5a〜5dは、これらのロータの後方に配置されている各植付部62の植付爪62aの前方において植付条を代掻し、平らに代掻きされた圃場に植付爪62aによって苗の植付けを良好に行わせることができるようにしている。
【0016】また同図で示すように、前記代掻装置5の複数のロータ5a〜5dのうち、左右の後輪1bの直後に位置する、相隣るロータ5aと5b、5aと5cとは、それぞれ両者の取付間隔5Kを後輪1bのラグ10の巾よりも僅かに大きく形成していると共に、後輪1bを、前記取付間隔5K内に入りこませて後輪1bとロータの外周部が側面視で重合するように近接させている。そして前記両取付間隔5K内において前記支持アーム66の先端に設けたメタル部でロータリ軸50を軸支している。
【0017】尚、左右の後輪1bは従来のものと同様な構成で車軸に軸支された杆状の輪体11の両側にゴム板状のラグ10を、所定間隔をあけながら複数一体的に突出形成している。
【0018】そして上記複数のロータ5a〜5dを有するロータリ軸50は、ロータ5bとロータ5dとの取付間隔5K内に設置された伝動ケース51でその中間部を支持していると共に、この伝動ケース51に内装されたベベルギヤ9a,9bの伝動により、走行機体1の左側から延設された駆動軸9によって回転駆動されるように構成している。
【0019】なお、代掻装置5のロータリ軸50の駆動構造は上記のものに限ることなく、例えば図4,図5に示すように、補助伝動ケース90を介して駆動軸8の近傍に設けた駆動軸9から伝動させるようにしてもよいものである。
【0020】即ち、同図の代掻装置5は、伝動ケース51に設けた入力軸(駆動軸)91と駆動軸9とを連結する横向きの補助伝動ケース90を介装して、駆動軸8側の駆動軸9から補助伝動ケース90を介してロータリ軸50を駆動するようにしているので、駆動軸9の取出位置の異なる走行機体1に対しても、或いは代掻巾の異なる代掻装置5においても、走行機体1側から駆動軸9等に無理な捩じり等の負荷が作用するのを防止しながら自由に伝動することができると共に、伝動ケース51の前側下端部を地表から離間させて泥土の前押し等を防止することができるものである。
【0021】以上のように構成した移植機Aは、耕起され湛水された圃場において植付装置5を下降して、滑走体からなるフロート群7を地表上を滑走させながら、代掻装置5を駆動軸9によって回転させて代掻を行いながら、代掻時に生ずる泥水流を前記取付間隔5K並びに通路7a,7aを介して植付装置6の後方に案内しながら流下(排出)させる。
【0022】そして植付装置5の植付け深さ制御を中フロート71の上下運動を利用して感知させ、昇降機構3によって上下位置をコントロールさせて、代掻きされたのち均平に均された圃場面に対して、苗Nを一定深さに良好に植え付けることができるものである。
【0023】このとき、左右の後輪1bの直後に位置して相隣るロータ5aと5b並びに5aと5cは、それぞれ両者の取付間隔5Kを後輪1bのラグ10巾よりも大きく形成しているので、図3に示すように、後輪1bで地中深く凹溝状に形成される轍跡W内に両側から入り込んで合流する多量の泥水流(矢印)を、ラグ10巾よりも広い取付間隔5Kで速やかに後方へ排水することができる。そしてロータ5a,5aで前押しされる泥水流の、これらロータ5a,5aの外側から側方に押出排出される泥水流の量を少なくすると共に勢いを弱め、既に植え付けられた苗Nの代掻時泥水流による押し倒し等を良好に防止することができるものである。
【0024】また、この際、後輪1bを前記取付間隔5K内に位置させて、両者の外周部を側面視で重合させるように構成しているので、後輪1bの走行回転によって持ち上げられた泥土(塊)を後輪1bの両側の直近に落下させることができ、落下した泥土を速やかに轍跡W内に向けて掻き均しすることができるので、この泥土の塊によって泥水流が側方へ指向されることも防止することができると共に、後輪1bと代掻装置5を可及的に近接させることができるので、機体の前後長さを短くして機体のコンパクト化を図ることができる。
【0025】また、直径の大きなロータ5a・・を有する代掻装置5の設置が簡単になり、代掻性能の向上を図ることができる等の利点がある。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したことにより、次のような効果を奏する。代掻装置は、左右の後輪の直後に位置して相隣るロータの取付間隔を後輪のラグ巾よりも大きく形成しているので、機体の進行に伴ってロータで地面を掻き均すとき地表に生ずる泥水流を、轍跡を介して合流させながら、この取付間隔から速やかに後方へ排水することができる。従って、ロータで前押しされる泥水流の外側方への押出排出量を少なくすると共に、勢いを弱めることができ、既に植え付けられた苗の押し倒し等を防止して、代掻同時移植作業を良好に行うことができる。
【0027】また、後輪と代掻装置とは取付間隔を介して両者の外周部を、平面視で重合させるように近接させているので、機体の前後方向の長さを短縮して機体のコンパクト化を図ることができると共に、直径を大きく形成したロータの設置が可能になり、代掻性能の向上を図ることができる等の利点がある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平11−266604
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−75293