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【発明の名称】 トラクタと作業機との連結構造
【発明者】 【氏名】平田 光喜

【氏名】中島 健一郎

【氏名】内田 隆史

【氏名】前山 達哉

【要約】 【課題】トラクタと作業機とを標準三点リンク機構を介して連結したものにおいて、作業機をトラクタ側に近づけても、作業機を上昇させたときの地上高を十分に確保できるトラクタと作業機との連結構造を提供する。

【解決手段】車体4の後部に連結されたトップリンク7及び左右一対のロワーリンク8の後端部を連結枠15で連結し、この連結枠15に作業機2を取り付け、車体4のPTO軸49と作業機2のPIC軸16とをドライブシャフト50によって連動連結したものにおいて、作業機2が接地状態で且つ側面視において、トップリンク7のトラクタ側連結点P1及び作業機側連結点P3を通る線分Aが、ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2の直前を通り、且つ、トップリンク7のトラクタ側連結点P1が、PTO軸49とドライブシャフト50とのジョイント部分の略真上に位置するよう構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体(4)の後部に連結されたトップリンク(7)及び左右一対のロワーリンク(8)の後端部を連結枠(15)で連結し、この連結枠(15)に作業機(2)を取り付け、車体(4)のPTO軸(49)と作業機(2)のPIC軸(16)とをドライブシャフト(50)によって連動連結したトラクタと作業機との連結構造において、作業機(2)が接地状態で且つ側面視において、トップリンク(7)のトラクタ側連結点(P1)及び作業機側連結点(P3)を通る線分(A)が、ロワーリンク(8)のトラクタ側連結点(P2)の直前を通り、且つ、トップリンク(7)のトラクタ側連結点(P1)が、PTO軸(49)とドライブシャフト(50)とのジョイント部分の略真上に位置することを特徴とするトラクタと作業機との連結構造。
【請求項2】 トップリンク(7)の後端側を連結する、連結枠(15)の上部連結体(32)が上方に向かうにしたがって前方に移行するように傾斜状とされていることを特徴とする請求項1に記載のトラクタと作業機との連結構造。
【請求項3】 車体(4)の後部に連結されたトップリンク(7)及び左右一対のロワーリンク(8)の後端部を連結枠(15)で連結し、この連結枠(15)に作業機(2)を取り付けるようにしたトラクタと作業機との連結構造において、トップリンク(7)のトラクタ側連結点(P1)及び作業機側連結点(P3)を通る線分(A)と、ロワーリンク(8)のトラクタ側連結点(P2)及び作業機側連結点(P4)を通る線分(B)との側面視における交点(C)、トップリンク(7)の作業機側連結点(P3)、及びロワーリンク(8)の作業機側連結点(P4)を頂点とする側面視における3角形の各内角(θ1),(θ2),(θ3)が鋭角であることを特徴とするトラクタと作業機との連結構造。
【請求項4】 前記3角形は、作業機(2)の接地状態において、トップリンク(7)のトラクタ側連結点(P1)及び作業機側連結点(P3)を通る線分(A)と、ロワーリンク(8)のトラクタ側連結点(P2)及び作業機側連結点(P4)を通る線分(B)とを略等しい2辺とする2等辺3角形とされていることを特徴とする請求項3に記載のトラクタと作業機との連結構造。
【請求項5】 側面視において、トップリンク(7)のトラクタ側連結点(P1)及び作業機側連結点(P3)を通る線分(A)と、ロワーリンク(8)のトラクタ側連結点(P2)及び作業機側連結点(P4)を通る線分(B)とが成す角(θ1)の2等分線(E)上又はその近傍に、PTO軸(49)に連結されるドライブシャフト(50)の継手(51)を位置させたことを特徴とする請求項3又は4に記載のトラクタと作業機との連結構造。
【請求項6】 連結枠(15)の、作業機(2)が取り付けられる取付点(P6)のロック解除操作をする操作レバー(48)が連結枠(15)の前側に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトラクタと作業機との連結構造。
【請求項7】 連結枠(15)の、作業機(2)が取り付けられる作業機上取付点(P5)及びこの作業機上取付点(P5)の下側に位置する作業機下取付点(P6)を通る線分(F)よりも、PIC軸(16)が前方に入り込むように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトラクタと作業機との連結構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタの車体に標準三点リンク機構を介してロータリ耕耘機等の作業機を装着するようにした、トラクタと作業機との連結構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トラクタとロータリ耕耘機との連結構造として、図8に示すように欧米式の標準三点リンク機構を介してトラクタにロータリ耕耘機を装着するようにしたものがある。図8において、トラクタの車体81の後部に、三点リンク機構82のトップリンク83の前連結部83Fと左右一対のロアリンク84の前連結部84Fとが連結され、トップリンク83の後連結部83Rと左右ロアリンク84の後連結部84Rとが連結枠85にそれぞれ連結され、この連結枠85にロータリ耕耘機の上連結ピン86と左右一対の下連結ピン87とが連結され、トラクタの車体81のPTO軸88とロータリ耕耘機のPIC軸89とが前後両端側に自在継手を有するドライブシャフト90で連結されるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の標準三点リンク機構82は平行リンク式であることから、枕地旋回又は路上走行時において、ロータリ耕耘機を上昇させた場合にロータリ耕耘機の地上高を確保するために、ロータリ耕耘機がトラクタから大きく離反している。このため、従来の標準三点リンク機構82によって装着されたトラクタとロータリ耕耘機の連結構造にあっては、トラクタと作業機との前後バランスが悪い、枕地旋回等において旋回範囲が広く旋回性が悪い、ロータリ耕耘機の持上力が大である等の欠点、改良点が指摘されている。
【0004】そこで、本発明は、標準三点リンク機構における前記課題を解決するトラクタと作業機との連結構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明が前記目的を達成するために講じた技術的手段は、車体4の後部に連結されたトップリンク7及び左右一対のロワーリンク8の後端部を連結枠15で連結し、この連結枠15に作業機2を取り付け、車体4のPTO軸49と作業機2のPIC軸16とをドライブシャフト50によって連動連結したトラクタと作業機との連結構造において、作業機2が接地状態で且つ側面視において、トップリンク7のトラクタ側連結点P1及び作業機側連結点P3を通る線分Aが、ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2の直前を通り、且つ、トップリンク7のトラクタ側連結点P1が、PTO軸49とドライブシャフト50とのジョイント部分の略真上に位置することを特徴とする。
【0006】また、トップリンク7の後端側を連結する、連結枠15の上部連結体32が上方に向かうにしたがって前方に移行するように傾斜状とされているのがよい。また、車体4の後部に連結されたトップリンク7及び左右一対のロワーリンク8の後端部を連結枠15で連結し、この連結枠15に作業機2を取り付けるようにしたトラクタと作業機との連結構造において、トップリンク7のトラクタ側連結点P1及び作業機側連結点P3を通る線分Aと、ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2及び作業機側連結点P4を通る線分Bとの側面視における交点C、トップリンク7の作業機側連結点P3、及びロワーリンク8の作業機側連結点P4を頂点とする側面視における3角形の各内角θ1,θ2,θ3が鋭角であることを特徴とする。
【0007】また、前記3角形は、作業機2の接地状態において、トップリンク7のトラクタ側連結点P1及び作業機側連結点P3を通る線分Aと、ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2及び作業機側連結点P4を通る線分Bとを略等しい2辺とする2等辺3角形とされているのがよい。また、側面視において、トップリンク7のトラクタ側連結点P1及び作業機側連結点P3を通る線分Aと、ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2及び作業機側連結点P4を通る線分Bとが成す角θ1の2等分線E上又はその近傍に、PTO軸49に連結されるドライブシャフト50の継手51を位置させるのがよい。
【0008】また、連結枠15の、作業機2が取り付けられる取付点P6のロック解除操作をする操作レバー48が連結枠15の前側に配置されているのがよい。また、連結枠15の、作業機2が取り付けられる作業機上取付点P5及びこの作業機上取付点P5の下側に位置する作業機下取付点P6を通る線分Fよりも、PIC軸16が前方に入り込むように構成されているのがよい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、トラクタ1と、作業機として例示するロータリ耕耘機2とを標準三点リンク機構3を介して連結する連結構造を示す。図1及び図2に示すように、トラクタ1の車体4の一部を構成するミッションケース4Aの後部上には油圧シリンダを有する作業機昇降装置5が搭載され、この作業機昇降装置5の背面にはブラケット6が固定されている。このブラケット6にはピン挿通孔から構成された5つの連結部6aが下方に向かうにしたがって後方に移行するように傾斜状に配置されて形成されている。
【0010】三点リンク機構3は、車体4の左右方向略中央部に位置する上部のトップリンク7と、車体4の左右両側に位置する下部の一対のロワーリンク8とから構成されており、三点リンク機構3の後端側には連結枠15が固定されていて該連結枠15によって三点リンク機構3の後端側が連結されており、この連結枠15にロータリ耕耘機2が着脱自在に装着される。
【0011】トップリンク7はターンバックル構造により軸心方向伸縮自在とされていて長さ調節自在に構成され、このトップリンク7の前側の連結部7Fは、前記ブラケット6の最下部の連結部6aに連結ピン9を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されており、この部分がトップリンク7のトラクタ側連結点P1とされている。
【0012】ロワーリンク8の前側の連結部8Fは、ミッションケース4Aの側面下部に連結ピン11を介して左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結されており、この部分が左右ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2とされている。また、各ロワーリンク8の中途部は、作業機昇降装置5のリフトアーム12にリフトロッド13を介して連結されており、リフトアーム12の左右方向の軸心廻りの回動によって、三点リンク機構3が連結点P1,P2廻りに昇降自在とされている。
【0013】なお、リフトロッド13のロワーリンク8への連結点はピン装着機構とされ、ロワーリンク8に形成されるピン挿通孔14は長手方向に複数形成されている。前記ロータリ耕耘機2は、PIC軸16を前方突出したギヤケース17からサポートアーム18を左右に突出し、左側サポートアーム18に伝動ケース19を、右側サポートアーム18にサイドフレームをそれぞれ固定してなる機枠を備え、伝動ケース19とサイドフレームの下部間に爪軸20を左右方向の軸心廻りに回動自在に支架すると共に、爪軸20上に多数の耕耘爪21を取り付けて構成されてなる耕耘部22を備える。
【0014】前記耕耘部22は上方,後方及び後部側方を耕耘カバー23によってカバーされ、ギヤケース17上にはトップマスト24が固定され、左右サポートアーム18にはゲージ輪を支持する支持枠26が後方突出状に設けられ、この支持枠26とトップマスト24との間には支持枠26を上下に揺動させてゲージ輪の高さを調節する高さ調節機構27が設けられている。
【0015】前記トップマスト24の前部上端側には左右方向の軸心を有する上連結ピン28が設けられ、左右各サポートアーム18には夫々連結ブラケット29が固定され、左右の各連結ブラケット29には夫々下連結ピン30が左右方向外方に突出状に設けられている。連結枠15は、図1〜4に示すように、角パイプ(又は丸パイプ,フラットバー等)で主構成されており、背面視山形状に形成された主枠材31Aの左右側部の上下方向中途部を上補強材31Bで連結して背面視略A形状に形成された主フレーム31を有する。
【0016】主枠材31Aの中央上部には上部連結体32が上方に向かうにしたがって前方に移行するように傾斜状に固定され、上部連結体32の後部で主枠材31A中央上部には係合部材34が固定されている。主枠材31Aの左右両側下部には下部連結体33が固定され、この左右下部連結体33は角パイプ等で形成した下補強材35で繋がれ、上下補強材31B,35が左右一対の縦補強材36で繋がれている。
【0017】上部連結体32の前上部には左右方向の上連結ピン37が設けられ、この上連結ピン37にトップリンク7の後側の連結部7Rが左右方向の軸心廻りに回動自在に枢支連結され、この部分がトップリンク7の作業機側連結点P3とされている。また、前記係合部材34には、上方開放状に凹設されてなる上係合部38が形成され、この上係合部38にロータリ耕耘機2の上連結ピン28が上方から左右軸廻りに回動可能に嵌合しており、この部分が作業機上取付点P5とされている。
【0018】左右各下部連結体33の前下方に突出した部分には下連結ピン39が左右方向外側方に突出状に設けられ、この下連結ピン39にはロワーリンク8の後側の連結部8Rが左右軸廻りに回動自在に枢支連結されており、この部分がロワーリンク8の作業機側連結点P4とされている。また、下部連結体33の後部には、後方開放凹状の下係合部40が形成され、この下係合部40にロータリ耕耘機2の下連結ピン30が後方から左右軸廻りに回動可能に係合されており、この部分が作業機下取付点P6とされている。
【0019】図3及び図4に示すように、下部連結体33には、横軸41を介してロック部材42が左右軸廻りに回動可能に支持されており、このロック部材42の後部は下係合部40に係合した下連結ピン30に係合可能であり、係合することにより下係合部40からした下連結ピン30が離脱するのを阻止している。前記下係合部40、下連結ピン30及びロック部材42等で、ロータリ耕耘機2を連結枠15の作業機下取付点P6に連結する連結機構を構成している。
【0020】ロック部材42は、その後部がコイルバネ43により下連結ピン30に係合する方向に付勢されており、その前部は解除手段44の背面視山形状のリンク45に連結されている。この解除手段44は以下のように構成されている。すなわち、上補強材31Bに固定のブラケット46にアーム47の下部が左右方向の支軸46aを介して枢支され、このアーム47の上部側にリンク45の中央が相対回転自在に貫通され、また、アーム47の前面側に、連結枠15(主フレーム31)の前側に配置された操作レバー48の下端側が固定されている。
【0021】前記操作レバー48を図4の実線状態から前方に倒して2点鎖線の位置まで回動操作することにより、リンク45が支軸46a(アーム47の枢支部分)を越えて前方に移動すると共に上方にも移動し、これによってロック部材42の前部が引き上げられて、ロック部材42が図4の時計方向に回動して下連結ピン30との係合が解除されるようになっている。
【0022】なお、リンク45は、2点鎖線で示す位置では、コイルバネ43の付勢力によって引き下げられる方向に付勢されていて、アーム47が前方に回動する方向に付勢されているが、操作レバー48の下端部がブラケット46に接当していて、アーム47の前方への回動が規制されており、これによってロック部材42が2点鎖線で示す位置に保持される。
【0023】トラクタ1の車体4の後部には、後面の略左右方向中央部から後方に突出するPTO軸49が設けられて、エンジンからの動力を取り出せるようになっており、このPTO軸49と、ロータリ耕耘機2のPIC軸16とはドライブシャフト50によって連動連結されており、トラクタ1のエンジンからの回転動力がロータリ耕耘機2のギヤケース17内の伝動機構に入力されるようになっている。
【0024】なお、ギヤケース17からは、左側サポートアーム18内の伝動軸、伝動ケース19内の伝動機構を経て爪軸20に動力が伝達されて、該爪軸20が左右方向の軸心廻りに回転駆動されるようになっている。また、PTO軸49とPIC軸16とは左右方向に関して略一致する位置に配置される。
【0025】図2に示すように、前記ドライブシャフト50は、前部(トラクタ側)にPTO軸49に連結される2組のフック式継手からなる等角自在継手(等速自在継手)51を、後部(作業機側)にPIC軸16に連結される1組のフック式継手からなる自在継手52を備えると共に、これら自在継手51,52のヨークに連動連結された伝動軸53を備えてなり、伝動軸53は軸心方向に伸縮自在に構成されている。
【0026】また、PTO軸49とドライブシャフト50とのジョイント部分の略真上には、トップリンク7のトラクタ側連結点P1が位置するように構成されている。後部の自在継手52のヨーク54は円筒体56にベアリングを介して回転自在に支持され、円筒体56はホルダを介して連結枠15の左右縦補強材36に支持されている。
【0027】次に、ロータリ耕耘機1の接地状態での、三点リンク機構3と各連結点P1,P2,P3,P4との関係等を、図1及び図2に示す側面視の図面(左右方向に直交する投象面に、トラクタ1、三点リンク機構3、連結枠15、ロータリ耕耘機2等を直投象した投象図)に基づいて説明する。したがって、左右方向の関係は無視する。
【0028】ロワーリンク8は、若干後下がりで前後方向に配置され、トップリンク7の作業機側連結点P3はロワーリンク8の作業機側連結点P4よりも前方に位置する。また、トップリンク7のトラクタ側連結点P1及び作業機側連結点P3を通る線分A(連結ピン9の軸心と上連結ピン37の軸心とを通る線分)がロワーリンク8のトラクタ側連結点P2の直前を通るようになっており、この線分Aと、ロワーリンク8のトラクタ側連結点P2及び作業機側連結点P4を通る線分B(連結ピン11の軸心と下連結ピン39の軸心とを通る線分)との交点C、トップリンク7の作業機側連結点P3(上連結ピン37の軸心)、及びロワーリンク8の作業機側連結点P4(下連結ピン39の軸心)を頂点とする3角形[線分Aと、線分Bと、トップリンク7の作業機側連結点P3及びロワーリンク8の作業機側連結点P4を通る線分D(上連結ピン37の軸心と下連結ピン39の軸心とを通る線分)とで形成される3角形]の各内角θ1,θ2,θ3が鋭角となるように構成されている。
【0029】また、この線分Aと、線分Bと、線分Dとで構成される3角形は、線分Aと、線分Bとを(交点Cと上連結ピン37の軸心と結ぶ線分と、交点Cと連結ピン39の軸心とを結ぶ線分とを)略等しい2辺とする2等辺3角形とされており、線分Aと、線分Bとが成す角θ1の2等分線E上(又はその近傍)に、PTO軸49に連結されるドライブシャフト50の等角自在継手51を位置させている。さらに、図6に示すロータリ耕耘機2の標準耕耘時、図7に示すロータリ耕耘機2の中間上昇時、図8に示すロータリ耕耘機2の最上昇時においても、線分Aと、線分Bとが成す角θ1の2等分線E上に、PTO軸49に連結されるドライブシャフト50の等角自在継手51が位置していて、図5〜8に示すように、ロータリ耕耘機2の標準耕耘時の位置から最上昇時までの範囲で、ドライブシャフト50の作業機側自在継手52の折れ角(伝動軸53とPIC軸16との成す角)の変動が少ないように構成されている(図例では、折れ角のない状態から±10°程度とされている)。これにより、伝動軸53の回転に対するPIC軸16の進み遅れ(回転角速度の変動)を少なくでき、トルク変動を少なくすることができる。
【0030】また、前記構成により、図5〜8に示すように、ロータリ耕耘機2は、接地位置と標準耕耘位置との間では略平行に昇降し、中間上昇位置から最上昇位置にかけて、トラクタ1側に近づくように持ち上げられる。これによって、従来のものに比してロータリ耕耘機2をトラクタ1側に接近させたものであっても、ロータリ耕耘機2を上昇させたときの位置を高く採れ、これによって、枕地旋回等における旋回範囲を小さく採れると共に、旋回・走行時にオーバハング重量効果によるトラクタの不安定走行を抑制することができ、さらに、トラクタ1とロータリ耕耘機2との前後バランスがよく、作業機昇降装置5の油圧力(ロータリ耕耘機2の持上げ力)が小さくてすむという効果を奏する。
【0031】また、PIC軸16は作業機上取付点P5及び作業機下取付点P6を通る線分F(上連結ピン28の軸心と下連結ピン30の軸心とを通る線分)よりも、前方に入り込むように構成されている。また、連結枠15の主フレーム31は若干ではあるが前傾状とされている。次に、作業機装着動作を説明する。
【0032】図1及び2において、車体4に三点リンク機構3を連結すると共に、三点リンク機構3に連結枠15を連結する。また、ロック部材42はロック位置(図4において実線及び破線で描いた位置)にしておく。その状態で地面に倒れないように保持した状態で載置されたロータリ耕耘機2に対して車体2を後進させて、連結枠15の上係合部38の上方にロータリ耕耘機2の上連結ピン28が位置するようにトラクタ1をロータリ耕耘機2に接近させる。
【0033】そして、作業機昇降装置5を作動して連結枠15を上昇させ、上連結ピン28を上係合部38に係合させ、さらに連結枠15を上昇させてロータリ耕耘機2を吊り上げるようにすると、ロータリ耕耘機2が作業機上取付点P5を支点として前方に回動するように若干前移動して、ロータリ耕耘機2の下連結ピン30がロック部材42を押し下げながら連結枠15の下係合部40に係合していく。
【0034】そして、下連結ピン30が下係合部40に係合するとロック部材42がバネ43の付勢力によって後部側が上方に回動し、下連結ピン30をロックする。一方、ロータリ耕耘機2が吊り上げられて若干前移動するときに、下連結ピン30が下係合部40に係合するのと並行してPIC軸16が自在継手52のヨーク54に自動的にスプライン嵌合される。
【0035】以上のようにして、連結枠15に、ロータリ耕耘機2が上方に向かうに従って前方に移行する傾斜状として連結される。また、ロータリ耕耘機2をトラクタ1から取り外すには、ロータリ耕耘機2を上昇させて、解除手段44の操作レバー48を図4に仮想線で示す位置まで手前に倒す。このとき、操作レバー48は連結枠15の前側に位置するので、トラクタ1上の運転者側から操作し易いという利点がある。
【0036】前記構成のものにおいて、ロータリ耕耘機2を上昇させる際には、ドライブシャフト50は前側の継手部分を中心に折れるが、前述したようにロータリ耕耘機2の上昇位置を高く採ると、ドライブシャフト50の前側の折れ角(伝動軸53とPTO軸49との成す角)の増大によるドライブシャフト50の回転角速度の変動が大きくなり、また、上昇時には耕耘部22に負荷がかかっていないことから、上昇時に騒音が大きくなるが、前記実施の形態にあっては、ドライブシャフト50の前側に等速自在継手51が採用されているので、回転角速度の変動に起因する騒音を防止することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、枕地旋回又は路上走行時等において、作業機を上昇させた場合に、作業機がトラクタに近づくように持ち上げられ、該作業機の地上高を高く採ることができ、したがって、トラクタに標準三点リンク機構を介して作業機を装着したものにおいて、トラクタに対して作業機を接近させるように装着しても、作業機を上昇させた時の、該作業機の地上高を十分な高さに確保でき、そして、トラクタに対して作業機を接近させることができるので、トラクタと作業機との前後バランスを良くしたり、旋回に要する範囲を小さくしたり、作業機の持上げ力を少なくできる。
【0038】また、側面視において、トップリンクのトラクタ側連結点及び作業機側連結点を通る線分と、ロワーリンクのトラクタ側連結点及び作業機側連結点を通る線分とが成す角の2等分線上又はその近傍に、PTO軸に連結されるドライブシャフトの継手が位置するように構成することで、作業機を昇降する際において、ドライブシャフトの、PIC軸との連結側の折れ角の変動が少なく、したがって、ドライブシャフトの、PIC軸との連結側の折れ角が小さい状態で、作業機を昇降させることができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)3月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−243711
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−53559