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【発明の名称】 整畦機
【発明者】 【氏名】皆川 功

【氏名】飯岡 毅

【要約】 【課題】回転ロータによる掘り取り跡は畦の幅方向に延びた凹溝状の形状となり、回転ロータの回転軸線が進行方向と平行に配置された構造の場合には掘り取り跡が回転ロータの軌跡に合った弧状になるのに比較して、掘り取り深さをそれほど深くせずとも旧畦上への盛土量を確保することができる。

【解決手段】盛土機構4に土を旧畦に向けて跳ね上げる回転ロータ5を配設し、回転ロータの回転軸線を進行方向前向き状に角度φ分傾斜配置してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に整畦体を設け、該整畦体を整畦動作させる整畦機構を設けてなり、上記盛土機構に土を旧畦に向けて跳ね上げる回転ロータを配設し、該回転ロータの回転軸線を進行方向前向き状に傾斜配置して構成したことを特徴とする整畦機。
【請求項2】 上記回転ロータはロータ胴の外周に複数個の掻上刃を突設し、該ロータ胴に取付軸を突設してなり、該取付軸を進行方向前向き状に傾斜配置して構成したことを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】 上記整畦機構は畦の一方側面及び畦の上面を整畦可能な回転体状の整畦体と該整畦体を回転させる回転機構とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の整畦機としては、特開昭51−141212号公報、実公昭51−47785号公報、実開昭53−102411号公報、実開昭53−20316号公報、特開昭51−100409号公報、実開昭60−119209号公報、実開昭61−175905号公報、特開昭61−47103号公報、特開昭61−212202号公報、実開昭62−1507号公報、実開昭61−158105号公報、実開平3−79605号公報、実開平5−60207号公報に示す構造のものが知られている。
【0003】これらの従来構造にあっては、走行機体に連結機構により機枠を上下動可能に連結し、機枠に盛土機構としての旧畦上に土を跳ね上げる回転ロータをその回転軸線を畦造成方向と平行又は交差する方向に設け、機枠に回転ロータの上方及び畦の上方にカバー部材を設け、回転ロータの進行方向後方位置に畦の上面及び畦の一方側面に合わせた形状の整畦体を設け、かつ該走行機体の動力取出軸を駆動源として整畦体を往復畦叩動作させるクランク式又は油圧式の畦叩機構を設け、走行機体を旧畦に沿って走行させ、回転ロータで圃場中の泥土を旧畦上に盛り上げ、この盛土を整畦体の畦叩き動作により叩き付けるようにして構成したものである。
【0004】また他の従来構造にあっては、整畦機構として、走行機体の動力取出軸を駆動源として整畦体を振動動作させる振動機構を設けて構成し、旧畦上に盛り上げられた盛土を整畦体の振動動作により締め付けるように構成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来構造の場合、盛土機構の回転ロータの回転により土を旧畦に向けて跳ね上げる際において、盛土量を多くしようとすると、畦際の土を深く掘り取ることになり、よって、畦際に深い掘り取り跡が形成され、整畦作業は畦造成方向に沿ってなされることから、深い掘り取り跡が畦際に連続して延びて形成されることになり、従って畦の裾部の弱体化が生じたり、掘り取り跡に残留水が長期停留し易く、田面の乾きが遅くなることがあるという不都合を生じさせることがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に整畦体を設け、該整畦体を整畦動作させる整畦機構を設けてなり、上記盛土機構に土を旧畦に向けて跳ね上げる回転ロータを配設し、該回転ロータの回転軸線を進行方向前向き状に傾斜配置して構成したことを特徴とする整畦機にある。
【0007】又、請求項2記載の発明は、上記回転ロータはロータ胴の外周に複数個の掻上刃を突設し、該ロータ胴に取付軸を突設してなり、該取付軸を進行方向前向き状に傾斜配置して構成したことを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記整畦機構は畦の一方側面及び畦の上面を整畦可能な回転体状の整畦体と該整畦体を回転させる回転機構とからなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図1乃至図6は本発明の実施の形態例を示し、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結している。
【0009】4は盛土機構であって、この場合回転ロータ5から構成され、この回転ロータ5はロータ胴5aの外周に複数個の掻上刃5bを突設すると共にロータ胴5aに取付軸5cを突設してなり、上記機枠3に回転ロータ5をその回転軸線Lを進行方向Sに対して前向き状に角度φ分傾斜配置して取付け、機枠3に走行機体1に設けられた動力取出軸6により回転する主軸7を軸受し、回転ロータ5を主軸7より歯車機構8a、伝導軸8及び自在継手9を介して回転させ、回転ロータ5により畦際の圃場面の土を削出して旧畦に向けて跳ね上げて盛り上げるように構成している。
【0010】10はカバー部材であって、この場合上記機枠3に取り付けられ、上記回転ロータ5の上方及び畦Wの上方を覆う形状に形成され、カバー部材10の畦側に側部カバー部材11が上下動自在に取り付けられている。
【0011】12は整畦機構であって、この場合回転体状の整畦体13と回転機構14とからなり、整畦体13は畦Wの一方側面W2を整畦可能な外周面13a及び畦Wの上面W1を整畦可能な円筒状の外周面13bを有すると共に回転軸線P1を畦Wの一方側面W1の側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置され、全体として略鼓状に形成され、整畦体13は回転機構14により回転軸線P1を中心として図中矢印方向に強制回転させるように構成している。
【0012】この場合、上記機枠3にブラケット15を突設し、ブラケット15に軸受筒16を設け、この軸受筒16に駆動軸17を所定角度θをもって斜め上向き状に回転自在に軸受し、上記機枠3の後部側面に伝導軸18を設け、伝導軸18と主軸7とを歯車機構19により伝導連結すると共に伝導軸18と駆動軸17とを伸縮自在な自在継手20により連結し、上記駆動軸17を回転体状の整畦体13の中心に固定配置した中心軸13cに連結固定して構成している。
【0013】しかして、主軸7の回転により整畦体13を図中矢印方向に回転させ、整畦体13の回転接触により畦Wの一方側面W2を締圧整畦すると共に畦Wの上面W1を締圧整畦するように構成している。
【0014】21は反力受け機構であって、この場合上記ブラケット15の後面に反力受け体22を設けてなり、この反力受け体22は板材にしてガイド軸22aにより移動自在に設けられて弾圧用バネ22bにより逃動可能に設けられ、反力受け体22の下部が畦の基部近傍の盛土機構4による掘り取り跡位置Nの圃場M内に穿入し、整畦機構12による整畦動作によって生ずる整畦反力を受け得るように構成されている。
【0015】23は安定部材であって、この場合車輪状に形成され、上記機枠3の後部に上下調節自在に支持杆24を取付け、支持杆24に上下摺動自在に摺動杆25を取付け、摺動杆25に安定部材23を取付け、摺動杆25を緩衝バネ部材26により下方に弾圧し、圃場M上に接地して機枠3の安定走行を図るものである。
【0016】27は形成機構であって、盛土機構4の進行方向前方位置に配置され、旧畦Wの一方側面に盛土係留部Kを形成可能な形成体28と旧畦Wの上面を削土可能な削土体29を備えてなり、この場合、上記カバー部材10に上下調節機構30を介して取付枠31を取付け、取付枠31に支持軸32・33を上下二段に横設し、支持軸32にナタ状の削土体29及びナタ状の形成体28を突設すると共に支持軸33にナタ状の形成体32を突設し、機枠3に伝動軸34を横設し、伝導軸34と主軸7との間に歯車機構35を介装すると共に伝動軸34と支持軸32との間に伸縮自在な自在継手36を介装し、主軸7により支持軸32及び支持軸33を回転させ、これにより形成体28を回転させて旧畦の一方側面W2に複数個の凹条部分Qからなる階段状の盛土係留部Kを削出形成すると共に削土体29により旧畦の上面W1を削土するように構成している。
【0017】この実施の形態例は上記構成であるから、走行機体1を旧畦に沿って走行し、動力取出軸6を回転すると一方では盛土機構4としての回転ロータが畦際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材10は回転ロータ5の上方及び畦側方への泥土飛散を防止し、跳ね上げられた泥土は外方飛散を防がれて自重落下し、他方では走行機体1の動力取出軸6を駆動源として整畦機構12が駆動され、整畦機構12により整畦体13が駆動され、整畦体により整畦作業されることになり、この際、回転ロータ5の回転軸線は進行方向前向き状に傾斜配置されているので、図6の如く、回転ロータ5による掘り取り跡Nは畦の幅方向に延びた凹溝状の形状となり、図7に示した回転ロータ5の回転軸線が進行方向と平行に配置された構造の場合には掘り取り跡Nが回転ロータの軌跡に合った弧状になるのに比較して、掘り取り深さをそれほど深くせずとも旧畦上への盛土量を確保することができ、それだけ畦の裾部の弱体化を抑制することができ、堅牢な畦を得ることができると共に田面の乾きを早くすることができ、しかも土は進行方向後方の整畦機構12側の旧畦上に跳ね上げられるので、跳ね上げられた泥土は下向き回転する整畦体13の前側の外周面により下方に落とされて整畦体13の前方位置に溜められ、直ちに整畦体13が整畦するので、それだけ整畦動作を良好に行うことができ、又、回転ロータ5の回転軸線を傾斜配置することにより、回転軸線が進行方向と平行に配置された構造の場合に対して、進行方向の配置長さを短くでき、機長を短くすることもでき、それだけ小型化を図ることができる。
【0018】又、この場合、上記回転ロータ5はロータ胴5aの外周に複数個の掻上刃5bを突設し、ロータ胴5aに取付軸5cを突設してなり、取付軸5cを進行方向前向き状に傾斜配置しているから、盛土機構4を簡素化することができると共に削土しつつ跳ね上げて盛土するため、良好な整畦作業を行うことができ、又、この場合、上記整畦機構12は畦Wの一方側面W2及び畦の上面W1を整畦可能な回転体状の整畦体13と整畦体13を回転させる回転機構14とからなるので、構造を簡素化することができると共に整畦体13は畦の一方側面W2及び上面W1に盛られた盛土に回転接触して締圧し、整畦体13の滑り接触回転により畦Wの上面W1及び一方側面W2を同時に締圧整畦することができ、良好な締圧作用を行うことができ、強固にして畦の表面が円滑な整畦作業を行うことができる。
【0019】又、この場合、上記整畦体13は畦Wの一方側面W2を整畦可能な外周面13a及び畦Wの上面W1を整畦可能な円筒状の外周面13bを有すると共に回転軸線P1を畦Wの一方側面W1の側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置されているので、整畦体13の回転軸線P1を水平方向に配置した構造と対比すると、整畦体13の進行方向前側の外周面によりなされる畦の一方側面W2への土の押し付け送り長さを長くすることができ、それだけ土の締圧を良好なものとすることができると共に整畦体13の垂直方向の高さを整畦体の回転軸線を水平方向に配置した構造と対比して低くすることができ、それだけ装置全体の機高を低くすることができて小型化を図ることができる。
【0020】さらにこの場合、上記盛土機構4の進行方向前方位置に旧畦Wの一方側面W2に盛土係留部Kを形成可能な形成体28をもつ形成機構27を設けているから、この形成機構27の駆動により盛土機構4による盛土位置の進行方向前方位置において、形成体28は回転して旧畦Wの少なくとも一方側面W2に複数個の凹状部分Qからなる盛土係留部Kを削出形成し、この盛土係留部Kにより土係留作用を得ることができ、よって盛土機構4により旧畦上に盛り上げられた土を凹状部分Qからなる盛土係留部Kにより係留して畦の側面に沿った盛土の滑落現象を抑制することができ、畦一方側面W2の盛土不足や畦一方側面W2の上下位置での盛土量のばらつきを抑制することができ、良好な整畦作業を行うことができ、さらに旧畦の少なくとも一方側面W2を盛土前において、予め削土でき、この削土された畦面上に盛土機構4により盛土することになり、旧畦土と盛土との結着性を高めることができ、それだけ強固な畦を得ることができ、又、この場合、形成体28を上下調節させる上下調節機構30が設けられているから、地方により異なる畦の高さや幅に対応することができ、それだけ作業の融通性を高めることができる。
【0021】尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば上記実施の形態例における整畦体13を畦の上面及び一方側面に合う断面ヘ形状に形成し、この整畦体をクランク方式や油圧方式からなる整畦機構としての畦叩き機構により畦叩き往復運動させる構造を採用したり、この畦の上面及び一方側面に合う断面ヘ形状の整畦体を油圧式や偏心ウエイト方式の振動機構により振動させたり、又、上記実施の形態例に示す回転体状の整畦体13をクランク方式や油圧方式からなる畦叩き機構により畦叩き運動させたり、振動機構により振動させたりする付加構造を採用することもあり、又、整畦体13を畦Wの一方側面W2を滑り接触回転する下部整畦体と畦Wの上面W1を滑り接触回転する上部整畦体の二分割構造や多分割構造にしたり、整畦体13の回転軸線P1を畦に交差する水平軸線方向に配置にする構造にも適用することができ、又、これら整畦体13を多面角錐形状に形成したり、整畦体13を偏心運動させ、この偏心運動により畦面を脈動的に押圧する構造を採用することもある。
【0022】又、形成機構27及び形成体28、削土体29の構造や形態、凹条部分Q、盛土係留部Kの形態等は畦の大きさや畦の土状態に応じて適宜選択され、又、形成機構27に代えて、畦の一方側面W2及び又は上面W1を盛土前において、回転する刃体により単に削土する削土機構を設けることもある。
【0023】
【発明の効果】本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体を旧畦に沿って走行すると一方では盛土機構としての回転ロータが畦際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材は回転ロータの上方及び畦側方への泥土飛散を防止し、跳ね上げられた泥土は外方飛散を防がれて自重落下し、他方では整畦機構が駆動され、整畦機構により整畦体が駆動され、整畦体により整畦作業されることになり、この際、回転ロータの回転軸線は進行方向前向き状に傾斜配置されているので、回転ロータ5による掘り取り跡は畦の幅方向に延びた凹溝状の形状となり、回転ロータの回転軸線が進行方向と平行に配置された構造の場合には掘り取り跡が回転ロータの軌跡に合った弧状になるのに比較して、掘り取り深さをそれほど深くせずとも旧畦上への盛土量を確保することができ、それだけ畦の裾部の弱体化を抑制することができ、堅牢な畦を得ることができると共に田面の乾きを早くすることができ、しかも土は進行方向後方の整畦機構側の旧畦上に跳ね上げられるので、跳ね上げられた泥土は整畦体13の前方位置に溜められ、この泥土を直ちに整畦体が整畦するので、それだけ整畦動作を良好に行うことができる。
【0024】又、請求項2記載の発明にあっては、上記回転ロータはロータ胴の外周に複数個の掻上刃を突設し、ロータ胴に取付軸を突設してなり、取付軸を進行方向前向き状に傾斜配置しているから、盛土機構を簡素化することができると共に削土しつつ跳ね上げて盛土するため、良好な整畦作業を行うことができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記整畦機構は畦の一方側面及び畦の上面を整畦可能な回転体状の整畦体と整畦体を回転させる回転機構とからなるので、構造を簡素化することができると共に整畦体は畦の一方側面及び上面に盛られた盛土に回転接触して締圧し、整畦体の滑り接触回転により畦の上面及び一方側面を同時に締圧整畦することができ、良好な締圧作用を行うことができ、強固にして畦の表面が円滑な整畦作業を行うことができる。
【0025】以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【出願人】 【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社富士トレーラー製作所
【出願日】 平成10年(1998)2月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
【公開番号】 特開平11−243706
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−47292