| 【発明の名称】 |
トラクタの耕深制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】坂本 佳三
【氏名】真鍋 秀一
【氏名】塩崎 修司
【氏名】石橋 文雄
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| 【要約】 |
【課題】トラクタ後部の昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置の耕深を検出する耕深検出手段からのフィードバック量に基づいて耕深制御する構成において、低価格な構成において制御性能を向上することができないものであった。
【解決手段】耕深設定手段15により設定される耕深設定値とフィードバック量31との偏差から制御目標量を決定し、PI制御を行い、耕深制御を行う制御出力を演算し、前記制御目標量の正負の符号と、定常偏差の正負の符号との同異を判断し、異符号の場合には定常偏差を修正するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トラクタ後部の昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置の耕深を検出する耕深検出手段からのフィードバック量に基づいて耕深制御する構成において、耕深設定手段により設定される耕深設定値とフィードバック量との偏差から制御目標量を決定し、PI制御により、耕深制御を行う制御出力を演算することを特徴とするトラクタの耕深制御方法。 【請求項2】 前記制御目標量の正負の符号と、定常偏差の正負の符号との同異を判断し、異符号の場合には定常偏差を修正したことを特徴とする請求項1記載のトラクタの耕深制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は現行の耕耘制御システムを低価格なコントローラで構成し、高精度でハンチングを防止し、制御性能を向上する制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来からトラクタ後部の昇降機構にロータリー耕耘装置を装着し、耕耘カバー後部にリアカバーを前後に回動自在に枢支し、耕深に対応してリアカバーが回動され、この回動角度をリアカバーに設置した角度センサー等のリアカバーセンサーで検出し、検出値をフィードバックし、耕深設定ダイアルで設定した設定値に対する偏差を演算し、昇降機構を制御する制御目標量を決定して耕深制御を行っていた。 【0003】前記リアカバーセンサーにおいては、リアカバーを揺動する程度の微小な変化では昇降動作が行われないように、設定したリアカバーの回動姿勢を基準として不感帯が設定されていた。この不感帯の標準的な範囲は、±2°と設定されていた。この不感帯を外れた時を基点に、1.5秒間に4°以上センサー値が変化すれば、不感帯を±4°に広げてハンチングを抑えるようにし、その後、3秒間内にセンサー値が±4°変化しない時には、ハンチングが抑えられたと見なして標準不感帯である±2°の範囲に戻すように変更可能に構成していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前記不感帯を±4°に広げると、不感帯が大きいので制御動作がギクシャクし、また、昇降機構を構成する油圧システムの油温や耕耘負荷などの条件変化に対して、耕深制御性能の低下が大きくなっていた。また、ハンチングが一度生じた後に不感帯を±4°に広げて、ハンチングを抑えるようにしており、ハンチングを完全に防止するものではなかった。また、一旦不感帯を±4°に広げるとなかなか標準不感帯に復帰しないため、耕深制御性能が極端に悪化するものであった。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題点を解消するために、トラクタ後部の昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置の耕深を検出する耕深検出手段からのフィードバック量に基づいて耕深制御する構成において、耕深設定手段により設定される設定値とフィードバック量との偏差から制御目標量を決定し、PI制御により、耕深制御を行う制御出力を演算するようにしている。また、前記制御目標量の正負の符号と、定常偏差の正負の符号との同異を判断し、異符号の場合には定常偏差を修正したものである。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明が解決しようとする課題及び解決するための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した実施例の構成を説明する。図1は耕深制御が行われるロータリー耕耘装置を装着したトラクタの側面図、図2は本発明のPI制御方法により耕深制御を行う制御ブロック線図、図3は定常偏差を修正可能なPI制御方法による制御フローチャート図である。 【0007】図1において、トラクタ後部にアッパーリンクとロアリンクなどより成る昇降リンク機構1が取付けられ、後部のヒッチ装置を用いてロータリ耕耘装置10が装着される。前記昇降リンク機構1は、昇降シリンダー6によってリフトアーム9が昇降回動され、該リフトアーム9の回動基部には、ポテンショメータ等より成るリフト角センサー14が配置されてリフトアーム9の角度からロータリ耕耘装置10の高さが検出され、該リフト角センサー14が座席11下方に配置したコントローラ5に接続されている。 【0008】前記トラクタの座席11の側方に昇降操作レバー12が配置され、該昇降操作レバー12基部には、操作位置を検出するポテンショメータ等より成る図示せぬセンサーが配置されている。該センサーで昇降操作レバー12の操作位置を検出し、昇降シリンダー6の電磁ソレノイドを駆動し、リフトアーム9を回動してロータリ耕耘装置10を設定高さとなるようにしている。 【0009】更に、前記座席11の側部には、コントロールボックスが配置され、該コントロールボックス内に耕深設定ダイアル15と自動耕深モードスイッチ16が配置され、該耕深設定ダイアル15及び自動耕深モードスイッチ16をコントローラ5に接続し、自動制御モードにおける耕深を設定するようにしている。 【0010】また、前記ロータリ耕耘装置10の耕耘爪の回転軌跡上部には耕耘カバー8が配設され、該耕耘カバー8後部にリアカバー7が枢支されている。該リアカバー7の回動基部には、ポテンショメータ等より成るリアカバーセンサー18が配置され、該リアカバー7の回動角の変化がリアカバーセンサー18で検出され、耕深を検出するようにし、該リアカバーセンサー18はコントローラ5に接続されている。 【0011】また、図2に示すように、前記コントローラ5には、耕深設定ダイアル15で設定された耕深設定値が入力される。また、リアカバーセンサー18で検出したリアカバーセンサー値31(フィードバック量)がコントローラ5にフィードバックされ、耕深設定値と比較演算して、例えば、実際の耕深が耕深設定値よりも浅い場合、リフトアーム9を下降回動して、耕深設定値とリアカバーセンサー18からの検出値が一致するまで下降させる。 【0012】このような構成において、自動耕深モードスイッチ16が手動の場合には昇降操作レバー12の回動に応じた高さにリフトアーム9が回動される。自動制御モードに切り替えた場合には、耕深制御が行われる。リアカバー7が不感帯内を回動している間は、油圧シリンダーは駆動されない。そして、リアカバー7が不感帯を越えた場合、設定値とリアカバーセンサー18からの検出値からその差を演算し、不感帯内に入るように油圧シリンダーを駆動する。 【0013】そして、本発明の第一形態として、耕深が耕深設定ダイアル15で設定された耕深設定値となるようにPI制御を行うコントローラ5aが設けられている。即ち、図2に示すように、前記リアカバーセンサー値31に基づいて比例制御が行われる。この比例制御にて演算される比例項Pは、耕深設定値とリアカバーセンサー値31(フィードバック量)との差である制御目標量に比例するように演算される。この比例項Pによって、耕深設定値に近付けてゆくのであるが、昇降シリンダー6の油温や耕耘負荷などの条件変化の影響を受けて耕深設定値に完全と一致させることが困難となっている。 【0014】そして、この比例項Pによって耕深設定値に完全に一致させることのできなかったズレ(定常偏差)を無くすように積分制御が行われる。該積分制御で演算される積分項Iは、偏差の積分値であり、定常偏差がある限り前記比例項Pに積分値である積分項Iを加算して、定常偏差を無くすようにしている。該定常偏差は、リアカバーセンサー値31がコントローラ5に入力された際の制御量より判断している。定常偏差がなくなるまで、即ち、設定した耕深となるまで制御が続けられる。よって、このPI制御によって、油温や耕耘負荷などの条件変化に対して、耕深制御を高性能に追随させることができる。 【0015】次に、前記PI制御では、耕耘土によるうねり振動などの外乱による高周波域のリアカバー7の振動に対しては、制御出力の応答遅れ(位相遅れ)によりハンチングを発生してしまう。このハンチングを有効に抑制するには、外乱振動の方向(リアカバーセンサー18のリアカバーセンサー値31の正負の符号)と制御出力の方向とが同一になることを防止する必要があり、これを防止する方法を、PI制御用コントローラ5a’による制御方法の第二形態としている。 【0016】この第二形態のPI制御用コントローラ5a’では、リアカバーセンサー18のリアカバーセンサー値31と耕深設定値との差、すなわち制御目標量の正負の符号が、前記積分項Iを演算するための定常偏差の正負の符号とが異なる場合には、積分項Iの影響を少なくして、制御出力の位相遅れを防止している。 【0017】即ち、図3に示すように、先ず、前記リアカバーセンサー18のリアカバーセンサー値31である信号をコントローラ5a’に入力する。この時、コントローラ5a’には耕深設定ダイアル15により耕深設定値が設定され、その偏差により制御目標量が演算されて第一形態と同様のPI制御を行うようにしている。このPI制御とともに、圃場面の凸凹などによる外乱の影響を無くすために、制御目標量の演算とともに、制御目標量の正負の符号を認識し、この時の定常偏差の正負の符号とが同符号であるか異符号であるかを判断している。そして、同符号である場合には、前述した比例制御に基づき比例項Pを演算し、この比例項Pに積分項Iを加算し、制御出力を演算した通常のPI制御を行うようにしている。 【0018】これに対して、前記定常偏差の符号と制御目標量の符号とが異符号である場合には、制御出力の方向と逆方向に外乱が生じたとして積分項Iによる位相遅れを無くすように、定常偏差の値を減少若しくは零に変換して積分項Iを演算し、比例項Pに加算して位相遅れを防止する制御出力を演算している。 【0019】よって、耕耘土によるうねり振動によって、リアカバー7の高周波の振動が生じると、現時点で昇降シリンダー6を耕深制御している方向(制御方向)に対して、同方向と逆方向にリアカバーセンサー値31が繰り返して入力される。逆方向のリアカバーセンサー値31が入力された場合には、積分項Iを少なくし、この逆方向のリアカバーセンサー値31に対応して制御出力し、制御出力の位相遅れをなくし、油圧システムである昇降シリンダー6にハンチングを生じることがなくなり、一定の耕深に保たれ、耕深制御の精度が向上される。 【0020】上記のハンチングを防止する方法は、PI制御に限定されるものでなく、I(積分項)を含むすべての制御方向(例えば、PID制御、PID−ID制御等)に応用できるものである。 【0021】このように、昇降シリンダー6の油温や耕耘負荷などの条件変化や、耕土のうねり振動や、オペレータ自身の操作による外乱等に対して、市販されているコントローラ5を用いて対応することができ、安価な構成で、耕耘制御の精度を大幅に向上することができる。 【0022】 【発明の効果】以上のように構成したので、本発明は次のような効果を奏するものである。即ち、請求項1記載のように、トラクタ後部の昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置の耕深を検出する耕深検出手段からのフィードバック量に基づいて耕深制御する構成において、耕深設定手段により設定される設定値とフィードバック量との偏差により制御目標量を求め、該制御目標量と定常偏差とによりPI制御を行い、耕深制御を行う制御出力を演算することによって、制御される油圧システムの油温や耕耘負荷などの条件変化に対して、耕深制御を高性能に追随させることができ、気候の異なる様々な地域における、多様な圃場状態に対応することができる。また、安価なコントローラを用いて精度の高い耕深制御が実現でき、コストを抑えた構成となっている。 【0023】また、請求項2記載のように、前記制御目標量の正負の符号と、定常偏差の正負の符号との同異を判断し、異符号の場合には定常偏差を修正したことによって、制御している方向に対して逆方向に耕深が変わっていることが伝えられた際に、定常偏差の値を修正して制御量を演算するようにしている。よって、耕耘土によるうねり振動によって、耕深の変化方向が頻繁に変わって、高周波域の周波数としてフィードバックされても、これに対応して制御量が修正されるので、圃場面の耕深の変化に対する位相遅れがなく、耕深制御される油圧システムにハンチングを生じることがなくなり、安価なコントローラを用いて精度の高い耕深制御が実現でき、コストを抑えた構成となっている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006781 【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−225505 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月24日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−38919 |
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