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【発明の名称】 トラクタの耕深制御装置
【発明者】 【氏名】坂本 佳三

【氏名】真鍋 秀一

【氏名】塩崎 修司

【氏名】石橋 文雄

【要約】 【課題】トラクタ後部の昇降自在にロータリ耕耘装置10を装着し、該ロータリ耕耘装置の耕深を検出する耕深検出手段の検出値に基づいて耕深制御する構成において、ハンチングの原因となる高周波数域の振動を、センサー若しくは制御部に伝達される前段階にて除去することができないものであった。

【解決手段】トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置10を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバー7で耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動を伝えるフィードバック手段22・24とトラクタの機体の間に緩衝部材26を配し、該緩衝部材で高周波振動を吸収するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーで耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動を伝えるフィードバック手段とトラクタの機体の間に緩衝部材を配し、該緩衝部材で高周波振動を吸収するようにしたことを特徴とするトラクタの耕深制御装置。
【請求項2】 前記緩衝部材の緩衝する力を調整可能としたことを特徴とする請求項1記載のトラクタの耕深制御装置。
【請求項3】 トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーで耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動量を検知する手段とコントローラの間にローパスフィルターを介装したことを特徴とするトラクタの耕深制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタ後部に昇降機構を介してロータリー耕耘装置を装着し、該ロータリー耕耘装置のリアカバーをセンサーとして耕深を制御する場合のハンチングを防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からトラクタ後部の昇降機構にロータリー耕耘装置を装着し、耕耘カバー後部にリアカバーを上下に回動自在に枢支し、該リアカバーに伴われて前後動するロッドを設け、該ロッド端部にプッシュプルワイヤーの一端を締結し、該プッシュプルワイヤーの他端をトラクタ後部に配したリアカバーセンサーに連結し、リアカバーの回動量を検出し、コントローラ等の制御部で昇降手段を制御して耕深制御を行っていた。
【0003】前記リアカバーの枢支部などにはゴムなどの弾性連結部材が配設され、リアカバーを圃場面の小さな凸凹により揺動されないように付勢し、小さな揺動をリアカバーセンサーに伝達しないようにしていた。
【0004】更に、前記コントローラにおいては、リアカバーの揺動が微小な変化では昇降動作が行われないように、不感帯が設けられていた。この不感帯の幅は変更可能に構成され、ハンチングが生じ易い場合には不感帯の幅を広げて、ハンチングを抑制するように構成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記リアカバーの回動を弾性連結部材を用いることによって小さな凸凹に対して揺動しないようにする技術においては、高速耕耘を可能にしたトラクタにおいては、前記弾性連結部材でリアカバーの小さな揺動を十分吸収することができず、リアカバーセンサーに高周波数域の振動として伝達され、昇降手段にハンチングが発生し、制御性能が低下していた。
【0006】また、前記不感帯を大きくすると耕深制御性能が低下し、耕土の深さにバラツキができていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題点を解消するために、トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーで耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動を伝えるフィードバック手段とトラクタの機体の間に緩衝部材を配し、該緩衝部材で高周波振動を吸収するようにし、前記緩衝部材の緩衝する力を調整可能としたものである。また、トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーで耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動量を検知する手段とコントローラの間にローパスフィルターを介装したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明が解決しようとする課題及び解決するための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した実施例の構成を説明する。図1は耕深制御が行われるロータリー耕耘装置を装着したトラクタの側面図、図2は本発明の緩衝部材を有する耕深を検出する手段の側面図、図3は本発明のローパスフィルターを有する耕深制御のブロック図、図4はローパスフィルターのカットオフ周波数の特性を示す図である。
【0009】図1において、トラクタ後部にアッパーリンクとロアリンクなどより成る昇降リンク機構1が取付けられ、該昇降リンク機構1にロータリ耕耘装置10が装着される。前記昇降リンク機構1は、昇降シリンダー6によってリフトアーム9が昇降回動され、ロータリ耕耘装置10が昇降される。該リフトアーム9の回動基部には、ポテンショメータ等より成るリフト角センサー14が配置され、リフトアーム9の角度からロータリ耕耘装置10の高さが検出され、該リフト角センサー14が座席11下方に配置したコントローラ5に接続されている。
【0010】前記トラクタの座席11の側方に昇降操作レバー12が配置され、該昇降操作レバー12基部には、操作位置を検出するポテンショメータ等より成る図示せぬセンサーが配置されている。該センサーで昇降操作レバー12の操作位置を検出し、昇降シリンダー6の電磁ソレノイドを駆動し、リフトアーム9を回動してロータリ耕耘装置10を設定高さとなるようにしている。
【0011】更に、前記座席11の側部には、コントロールボックスが配置され、該コントロールボックス内に耕深設定ダイアル15と自動耕深モードスイッチ16が配置され、該耕深設定ダイアル15及び自動耕深モードスイッチ16をコントローラ5に接続し、自動制御モードにおける耕深を設定するようにしている。
【0012】また、前記ロータリ耕耘装置10の耕耘爪の回動軌跡上部には耕耘カバー8が配設され、該耕耘カバー8後部にリアカバー7が枢支されている。該耕耘カバー8には、図示せぬブラケットを介して支持板21が固設され、該支持板21に前高後低に摺動自在に摺動ロッド20が支持され、該摺動ロッド20下部をリアカバー7に枢結し、リアカバー7の回動に伴われて、摺動ロッド20が摺動するようにしている。該摺動ロッド20他端にはフィードバックワイヤー22が連結され、該フィードバックワイヤー22がアウターケース内を押し引きされ、リアカバー7の回動をトラクタ後部に配したポテンショメータ等より成るリアカバーセンサー18に伝達し、耕深伝達手段が形成されている。
【0013】また、前記リアカバーセンサー18はコントローラ5と接続され、図3に示すように、前記コントローラ5には耕深設定ダイアル15で設定された耕深設定(目標)値が入力される。また、リアカバーセンサー18で検出した値がコントローラ5にフィードバックされ、耕深設定値と比較演算して、例えば、実際の耕深が耕深設定値よりも浅い場合、リフトアーム9を下降回動して、耕深設定値とリアカバーセンサー18からの検出値が一致するまで下降させる。
【0014】そして、本発明は図2に示すように、トラクタの機体後部にフィードバックリンク23を枢支し、該フィードバックリンク23にフィードバックワイヤー22他端を連結している。
【0015】前記フィードバックリンク23途中部に連結リンク24の一端が枢支され、該連結リング24の他端にバネ26を介してリアカバーセンサー18のセンシングアーム18aに枢支している。更に、前記センシングアーム18aの先端には、トラクタ側に支持される緩衝部材としてのダンパー25が連結されている。
【0016】このような構成において、ロータリー耕耘装置10で稲株等の連続的な凹凸面がある圃場を高速耕耘すると、リアカバー7は小さな上下揺動が繰り返されいわゆる高周波域の振動が生じる。この高周波域の振動はフィードバックワイヤー22を介してフィードバックリンク23に伝えられるが、該フィードバックリンク23とセンシングアーム18aとの間にはコイルバネ26が介装され、該センシングアーム18aと機体との間にはダンパー25が介装されているので、高周波成分はこのコイルバネ26とダンパー25によって緩衝されて、制御に必要な低周波成分のみがセンシングアーム18aに伝えられる。
【0017】即ち、リアカバーセンサー18にハンチングの原因となる高周波域の振動が伝達れず、リアカバー7の低周波域のみがリアカバーセンサー18に伝達され、リアカバーの回動量がコントローラ5にフィードバックされ、ハンチングを起こすことがなく耕深制御が行われる。
【0018】尚、前記ダンパー25内の油圧回路中の絞り弁30を調整することで、ダンパー25の伸縮動作速度と、緩衝する力とを調整することができ、圃場内の稲株や耕土の硬さに合わせて調整でき、リアカバー7に働く土塊や稲株などによる外乱による振動を有効に低減することができる。
【0019】次に、ハンチングを防止する別実施例について説明する。図3に示すように、ダンパーを設けずに前記リアカバー7の回動変化をリアカバーセンサー18に伝達し、該リアカバーセンサー18の出力をローパスフィルター28を介してコントローラ5にフィードバックするようにしている。但し、ソフトウェアで高周波をカットするようにすることもできる。
【0020】該ローパスフィルター28は、図4に示す周波数特性を有し、ある周波数(カットオフ周波数fc)以上の高周波数域において出力を略0とし、カットオフ周波数fc以下の周波数においては入力信号をそのまま通過させるようにしている。このカットオフ周波数fc(Hz)は、トラクタの走行速度に応じて変更され、式fc=v/Lで求められ、vは車速(m/s) とし、Lは基準長さ(m) としている。Lは、ロータリー耕耘装置10からリアカバー7の接触面までの距離とする。前記カットオフ周波数fcを演算するための車速vは、速度センサー29(本実施例では車軸に配設され、図1に示す如く、コントローラ5に入力される。)で検出される。また、このカットオフ周波数fcが走行速度に比例した値に随時変更される。
【0021】このように構成して、ロータリー耕耘装置10で小さな凸凹などを有する圃場を高速耕耘した場合、リアカバー7に高周波域の振動が生じ、リアカバーセンサー18で検出されるが、その信号はローパスフィルター28で高周波成分がカットされコントローラ5に入力され、ハンチングは生じないのである。よって、コントローラ5での演算処理は外乱に影響されることなく円滑に演算され、高速耕耘時に耕深制御は精度良く行われ、耕耘後の仕上がりを向上でき、仕上げ後の圃場に田植機による田植え作業を行っても、田植機は軽快にまっすぐ進み、植えられた苗は姿勢が良く、欠株のない田植えができる。
【0022】
【発明の効果】以上のように構成したので、本発明は次のような効果を奏するものである。即ち、請求項1記載のように、トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーで耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動を伝えるフィードバック手段とトラクタの機体の間に緩衝部材を配し、該緩衝部材で高周波振動を吸収するようにしたことによって、ハンチングを発生させる原因となる高周波域の振動をセンシングアームに伝達することなく緩衝部材で緩衝して吸収し、ハンチングを起こすことがなく高精度で耕深制御が行える。
【0023】また、請求項2記載のように、前記緩衝部材の緩衝する力を調整可能としたことで、土塊や稲株などによる外乱に合わせて調整でき、外乱による振動を有効に低減することができ、耕深が一定に保たれ、耕耘後の仕上がりが大幅に良くなる。
【0024】また、請求項3記載のように、トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーで耕深を検出して耕深制御を行う構成において、前記リアカバーの回動量を検知する手段とコントローラの間にローパスフィルターを介装したことによって、ハンチングの原因となる高周波成分がカットされ、耕深制御をする低周波域のみが伝達され、コントローラ内の演算処理が外乱に影響されることなく、制御量が円滑に演算され、また、高速耕耘時にも耕深制御が有効に働き、耕耘後の仕上がりを向上でき、仕上げ後の圃場に田植機による田植え作業を行っても、田植機は軽快にまっすぐ進み、植えられた苗は姿勢が良く、欠株のない田植えができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−215902
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−20871