トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 トラクタの耕深制御方法
【発明者】 【氏名】坂本 佳三

【氏名】真鍋 秀一

【氏名】塩崎 修司

【氏名】石橋 文雄

【要約】 【課題】トラクタ後部の昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置の耕深を検出する手段の検出値に基づいて耕深制御する構成において、車体のピッチング運動による影響を補償して制御性能を向上する。

【解決手段】トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置10を装着し、該ロータリ耕耘装置に設けた耕深検出手段の検出値に基づいて耕深制御する構成において、トラクタにピッチングの角速度を検出するセンサー17を配置し、該センサーからの検出値から補償量を演算し、該補償量を前記耕深検出手段の検出値と設定値から演算される制御量に加算し、耕深制御を行うようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置に設けた耕深検出手段の検出値に基づいて耕深制御する構成において、トラクタにピッチングの角速度を検出するセンサーを配置し、該センサーからの検出値から補償量を演算し、該補償量を前記耕深検出手段の検出値と設定値から演算される制御量に加算し、耕深制御を行うことを特徴とするトラクタの耕深制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトラクタの後部にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置のリアカバーを耕深センサーとして耕深制御を行なう構成において、車体のピッチングをセンサーで検知して補償することにより耕深制御の精度を向上する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からトラクタ後部に昇降機構を介してロータリー耕耘装置を装着し、耕耘カバー後部にリアカバーを上下回動自在に枢支し、このリアカバーの回動角度を角度センサー等のセンサーで検出し、検出値の出力をフィードバックし、耕深設定手段で設定した設定深さとなるように、昇降機構を制御する耕深制御は公知である。
【0003】前記リアカバーセンサーにおいて、リアカバーの微小な上下回動変化では昇降動作が行われないように不感帯が設定され、昇降動作時のオーバーシュートを防止する点から、前記不感帯の外側に低速作動域が設定され、かつ、この低速作動域の更に外側に高速作動域が設定されている。この制御においては、車体を畝と直交する方向に走行させて畝崩し作業を行うと、車体が大きくピッチングし、このピッチングが高速で行われると、リアカバーが不感帯より低速作業域に達した後に昇降動作が開始されるので、車体のピッチング動作に伴うロータリー耕耘装置のレベル変化に昇降動作が対応しきれずに、耕深が変化してしまうものであった。その為に、車体が畝を乗り越える際のピッチングにより耕深が変わらないように、車体側にピッチングを検出するピッチングセンサーを配置し、リアカバーセンサーに従う昇降動作に優先させて、ロータリー耕耘装置を昇降させる優先制御手段を備え、ピッチングにより耕深が変わらないように迅速にロータリー耕耘装置を昇降動作させる技術は、特開昭63−202307号で公開されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の特開昭63−202307号に示す技術においては、前記ピッチングセンサーでは、車体のピッチング角速度が、所定量を越えた場合にのみ、その変化量を用いて制御出力を演算するようにしていたので、急激な車体のピッチング変化に対する応答性は向上するが、圃場の稲株や耕耘土の起伏によって生じる車体の連続的で小さな凸凹に対し、耕深制御の精度を向上する効果は期待できなかった。つまり、近年高速耕耘が可能となり、耕耘作業時の走行速度は従来よりも格段に速くなり、従来の低速作業速度では車体のピッチングに対して耕深制御が追随することができたのであるが、高速作業速度では追随することができず、車体振動に伴うハンチング現象が発生することがあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題点を解消するために、トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置に設けた耕深検出手段の検出値に基づいて耕深制御する構成において、トラクタにピッチングの角速度を検出するセンサーを配置し、該センサーからの検出値から補償量を演算し、該補償量を前記耕深検出手段の検出値と設定値から演算される制御量に加算し、耕深制御を行うようにしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明が解決しようとする課題及び解決するための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した実施例の構成を説明する。図1はロータリー耕耘装置を耕深制御する手段を有するトラクタの側面図、図2は耕深制御のブロック図である。
【0007】図1において、トラクタ後部にアッパーリンクとロアリンクなどより成る昇降リンク機構1が取付けられ、後部のヒッチ装置を用いてロータリ耕耘装置10が装着される。前記昇降リンク機構1は、昇降シリンダー6によってリフトアーム9を昇降回動され、該リフトアーム9の回動基部には、ポテンショメータ等より成るリフト角センサー14が配置されてリフトアーム9の角度からロータリ耕耘装置10の高さが検出され、該リフト角センサー14が座席11下方に配置したコントローラ5に接続されている。
【0008】前記トラクタの座席11の側方に昇降操作レバー12が配置され、該昇降操作レバー12基部には、操作位置を検出するポテンショメータ等より成る図示せぬセンサーが配置されている。該センサーで昇降操作レバー12の操作位置を検出し、昇降シリンダー6の電磁ソレノイドを駆動し、リフトアーム9を回動してロータリ耕耘装置10を設定高さとなるようにしている。
【0009】更に、前記座席11の側部には、コントロールボックスが配置され、該コントロールボックス内に耕深設定ダイアル15と自動耕深モードスイッチ16が配置され、該耕深設定ダイアル15及び自動耕深モードスイッチ16をコントローラ5に接続し、自動制御モードにおける耕深を設定できるようにしている。
【0010】また、トラクタの任意位置、本実施例では前後中央部のステップ位置に、トラクトの前後の傾きを検出する手段として、ジャイロセンサーからなるピッチング用傾斜センサー17を配置し、該傾斜センサー17をコントローラ5に接続している。
【0011】また、前記ロータリ耕耘装置10の耕耘爪の回転軌跡上部には耕耘カバー8が配設され、該耕耘カバー8後部にリアカバー7が枢支されている。該リアカバー7の回動基部には、ポテンショメータ等より成るリアカバーセンサー18が配置され、該リアカバー7の回動角の変化がリアカバーセンサー18で検出され、耕深を検出するようにし、該リアカバーセンサー18はコントローラ5に接続されている。
【0012】また、図2に示すように、前記コントローラ5には、耕深設定ダイアル15で設定された耕深設定値が入力される。また、リアカバーセンサー18で検出した値がコントローラ5にフィードバックされ、耕深設定値と比較演算して、例えば、実際の耕深が耕深設定値よりも浅い場合、リフトアーム9を下降回動して、耕深設定値とリアカバーセンサー18からの検出値が一致するまで下降させる。
【0013】更に、前記コントローラ5には、ジャイロセンサーからなる傾斜センサー17より前後方向の傾き(ピッチング)の単位時間あたりの変化量、つまり、角速度が入力されている。該傾斜センサー17では、トラクタが稲株や耕耘土の起伏のある圃場を走行したときに、連続的で小さな凸凹や畝等を乗り越えた際の大きな傾きも検出できるようにしている。
【0014】前記傾斜センサー17の検出値が前記コントローラ5に入力され、検出値の変化量により、車体の傾きと傾いた方向とが判断され、その傾きを相殺するようにロータリー耕耘装置9を昇降させて補償する。
【0015】そして、前記リアカバー7の変化に対応する制御量に、前記ピッチングによる傾斜センサー17からの制御量が加算され、昇降シリンダー6を伸縮してリフトアーム9が昇降されて耕深制御が行われる。
【0016】このような構成において、自動耕深モードスイッチ16が手動の場合には昇降操作レバー12の回動に応じた高さにリフトアーム9が回動される。自動制御モードに切り替えた場合には、耕深制御が行われる。
【0017】そして同時に、傾斜センサー17で車体の角速度を検出し、常時補償量を演算し前記リアカバーセンサー18から演算した制御量に加えて制御出力して、リフトアーム9を回動する。前記補償量は角速度が小さい程小さく、角速度が大きい程補償量は大きくなるようにして、ピッチングが大きい場合でもロータリ耕耘装置は大きく上下に移動せず、地表面に追随して耕深が一定となるようにしている。
【0018】例えば、トラクタが高速走行作業で稲株が長かったり、凹凸が多い圃場の耕耘作業において、トラクタが凹部にさしかかり前下がりに傾斜した場合、従来では、トラクタ後部が上昇して耕深が浅くなり、リフトアームを下降回動して耕深を深くする。しかし、走行速度が早いために深くなるように回動したときには凹部を脱しているので、直ぐに上昇させることになりハンチングの原因となっていたが、本発明では、ジャイロセンサーにより角速度を検出しているので、角速度が大きい場合には、補償量を大きくして深くする場合には下降回動量を小さくし、次にトラクタが前上がりに傾斜してもロータリ耕耘装置の上下変動は小さくなるようにしている。また、角速度が小さい場合には補償量も小さく、リアカバーセンサーからのフィードバック信号値に応じてリフトアームが回動されて、圃場の凹凸に追随して耕耘作業が行われる。
【0019】よって、トラクタを高速で走行させて、機体が振動しても油圧シリンダー6をハンチングさせることなく、一定の耕深を保つように補償が行われ、耕耘後の仕上がりを向上することができる。仕上げ後の圃場に田植機による田植え作業を行っても、田植機は軽快にまっすぐ進み、植えられた苗は姿勢が良く、欠株のない田植えができる。
【0020】
【発明の効果】以上のように構成したので、本発明は次のような効果を奏するものである。即ち、トラクタ後部に昇降自在にロータリ耕耘装置を装着し、該ロータリ耕耘装置に設けた耕深検出手段の検出値に基づいて耕深制御する構成において、トラクタにピッチングの角速度を検出するセンサーを配置し、該センサーからの検出値から補償量を演算し、該補償量を前記耕深検出手段の検出値と設定値から演算される制御量に加算し、耕深制御を行うようにしたことによって、制御信号の信号が頻繁に変わることがなくなり、圃場の稲株や耕耘土の起伏上を走行し、連続的で小さな凸凹によるトラクタが振動しても、耕深制御の追随性が良く、ハンチングさせることなく、一定の耕深を保つようにピッチング補償が行われ、耕耘後の仕上がりを向上することができる。仕上げ後の圃場に田植機による田植え作業を行っても、田植機は軽快にまっすぐ進み、植えられた苗は姿勢が良く、欠株のない田植えができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−215901
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−20870