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【発明の名称】 溝切り器具
【発明者】 【氏名】山本 輝雄

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土を切り分ける土切り刃と、該土切り刃を先端に備える操作桿とから構成され、該操作桿を保持して該土切り刃を土に切り込ませ、先端の方向へ押圧して移動させることにより、土を切り分けて溝を形成していくことを特徴とする溝切り器具。
【請求項2】 前記土切り刃の前記操作桿に対する角度が調節可能であることを特徴とする請求項1に記載する溝切り器具。
【請求項3】 前記土切り刃が、溝切り器具の進行方向と略垂直方向である幅方向に拡縮可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する溝切り器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田圃や畑等において、所定方向の溝を切っていくための溝切り器具に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来から、排水等のために、田圃の中に複数本の溝を切って畝を形成する作業が必要となることがあった。この溝を切る作業は、通常、溝切り機を用いて行われていた。ここで、この溝切り機は、土切り刃をエンジンの駆動力によって田圃の中で移動させる構成となっている。このような溝切り機によって、苗と苗の間に溝を切っておくことにより、田圃の排水を効果的に行い、苗が丈夫で病気に強くなるようにすることができる。なお、溝切り機は、田圃への給水のために使用されることもある。
【0003】しかし、このような溝切り作業は、溝切り機を使用して行うため、溝切り機の購入や溝切り機の燃料費のために、コストがかかることとなっていた。また、溝切り機は重量が15kg程度あり、取り扱いや移動が困難であった。一方、鋤や鍬等によって田圃の溝切り行うのは、大きな力が必要となり、困難な作業であった。
【0004】そこで、本発明者は、簡便かつ容易に溝切り作業のできる溝切り器具を提供することにより、このような課題を解決するべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溝切り器具の要旨とするところは、土を切り分ける土切り刃と、該土切り刃を先端に備える操作桿とから構成され、該操作桿を保持して該土切り刃を土に切り込ませ、先端の方向へ押圧して移動させることにより、土を切り分けて溝を形成していくことにある。
【0006】このような本発明の溝切り器具は、田圃の畝作りに使用する場合には、まず、操作桿が保持されされた状態で、土に向かって操作桿の先端方向に押圧され、土切り刃が田圃の土内に食い込まされる。土切り刃が田圃の土内に食い込まされた状態で、操作桿の先端方向に押圧されつつ、作業者が操作桿の先端方向に歩行する。作業者が操作桿の先端方向に歩行することにより、土切り刃によって土が切られつつ、土切り刃に沿って土が押し分けられ、溝が形成されていく。
【0007】このようにして、本発明の溝切り器具によって、田圃内に所望の方向の溝が、所望の本数形成される。溝が形成されて畝が形成されることにより、田圃の水捌けを良くすることができる。なお、本発明の溝切り器具は、田圃の溝切りに使用することに限定されず、田圃の畦切り、畑の溝切り、又は整地等に使用しても良い。
【0008】また、本発明に係る溝切り器具の要旨とするところは、前記溝切り器具において、前記土切り刃の前記操作桿に対する角度が調節可能であることにある。ここで、土切り刃の操作桿に対する角度は、主として、土切り刃が操作桿に対して回動させられることにより行われるが、土切り刃を回動させる方向は、水平方向、又は鉛直方向等、特に限定されない。
【0009】このような本発明の溝切り器具は、土切り刃の操作桿に対する角度を調節することができるため、土切り刃が操作桿に対して真っ直ぐになるように、又は土切り刃に効果的に押圧力を加えることができるように、土切り刃の角度が調整される。土切り刃が操作桿に対して真っ直ぐになるように調整することにより、土切り刃の先端の刃部が進行方向へ向けられ、効率的に溝切り作業が行われる。また、土切り刃の操作桿に対する角度が、作業者が溝切り作業を行いやすいように調節される。
【0010】また、本発明に係る溝切り器具の要旨とするところは、前記溝切り器具において、前記土切り刃が、溝切り器具の進行方向と略垂直方向である幅方向に拡縮可能であることにある。すなわち、前記土切り刃の最大幅が調節可能であることにある。ここで、土切り刃の最大幅とは、土切り刃の進行方向に対して垂直方向の幅のうち、最大となる部分の幅をいう。
【0011】このような本発明の溝切り器具は、土切り刃の最大幅を調節可能であるため、土の固さ等に対応して、溝を容易に掘ることができるように、最大幅が調節される。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の溝切り器具の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】図1及び図2において、符号10は本発明に係る溝切り器具である。この溝切り器具10は、土12を切り分ける土切り刃14と、土切り刃14を先端に備える操作桿16とから構成され、操作桿16を保持して土切り刃14を土12に切り込ませ、先端の方向へ移動させることにより、土12を所定幅に切り分けて所定幅の溝18を形成していくように構成されている。
【0014】土切り刃14は、図3に示すように、所定の角度θに折り曲げられた側板20と、側板20に固定された底板21とから構成されている。この側板20の折り曲げ部が刃部19を構成し、刃部19によって土12を切りつつ、側板20に沿って土12を押し分けていくことができるように構成されている。なお、刃部19付近のみを鋼等の強固な部材から構成しても良い。また、刃部19付近のみを焼入れ加工しても良い。
【0015】この側板20の中央付近には、コの字状の金具22が固定され、この金具22に操作桿16の先端部23がナット24によって固定されている。すなわち、ナット24を緩めて、土切り刃14を操作桿16に対して回動させて、土切り刃14の操作桿16に対する角度を変えることにより、土切り刃14の方向を調節することができるように構成されている。
【0016】なお、側板20の後端付近には、2個のL字状の連結部材26が固定され、2個の連結部材26はナット28によって連結されている。このため、ナット28を締結する孔30を変更して角度θを変えることにより、溝切り器具10の進行方向に対して垂直方向である幅方向に拡縮することができ、最大幅Bを変えることができる。ここで、角度θを変えるためには、側板20及び金具22は、ある程度の弾性を有することが望ましい。
【0017】また、操作桿16は、土切り刃14が先端に取り付けられるアーム32と、アーム32の中間付近よりも後方に固定された図4に示すハンドル36とから構成されている。また、アーム32の後端には把持部34が備えられ、ハンドル36の先端には把持部35が備えられている。このため、作業者11が、例えば、右手に把持部34を保持し、左手に把持部35を保持することができる。また、ハンドル36は、螺子38を緩めることにより、ハンドル36のアーム32に対する角度を、作業者11が操作し易いように調節することができる。
【0018】このような溝切り器具10は、田圃の畝作りに使用する場合には、図2に示すように、まず、アーム32の把持部34が右手に把持され、ハンドル36の把持部35が左手に把持される。ここで、把持部34又は35を把持する手は、右手であっても左手であっても良いが、利き腕が右手である時は、通常、把持部34が右手に把持され、把持部35が左手に把持される。
【0019】次に、このようにして把持された状態で、アーム32の先端方向に押圧され、土切り刃14が田圃の土12内に食い込まされる。土切り刃14が田圃の土12内に食い込まされた状態で、アーム32の先端方向に押圧されつつ、作業者11がアーム32の先端方向に歩行する。作業者11がアーム32の先端方向に歩行することにより、刃部19によって土12が切られつつ、側板20に沿って土12が押し分けられ、溝18が形成されていく。
【0020】ここで、土切り刃14がアーム32に対して真直でないために、土12からの抵抗力等によって溝18を堀り難い場合には、ナット24が緩められて土切り刃14がアーム32に対して真直になるように調整される。また、土12からの抵抗力に抗して溝18を掘ることができるように、土12の固さ等に対応してナット28を留める孔30を変えることにより、側板20が幅方向に拡縮させられ、側板20の最大幅Bが調節される。
【0021】なお、アーム32の先端方向への押圧は、主として、把持部34を右手で先端方向へ押すことによって行われる。一方、土12の面に対するアーム32の角度、土切り刃14の食い込み深さ、又は土切り刃14の進行方向等の調節は、主として、ハンドル36を把持する左手によって行われる。ここで、形成する溝18の幅Wは土切り刃14の食い込み深さ等によって変わることとなるが、食い込み深さがハンドル36によって調節されて溝18の幅Bが調節される。
【0022】このようにして、溝切り器具10によって、田圃内に所望の方向の溝18が、所望の本数形成される。溝18が形成されて畝が形成されることにより、田圃の水捌けを良くすることができる。なお、本発明の溝切り器具10は、田圃の溝切りに使用することに限定されず、田圃の畦切り、又は畑の溝切り等に使用しても良い。
【0023】また、図2に示すように、土切り刃14がアーム32に対して真直になっている場合には、略真っ直ぐな溝18を形成することができるが、ナット24を緩めて土切り刃14がアーム32に対して一定角度になるように折り曲げてナット24を締結することにより、田圃内に所定の湾曲状の溝を形成するようにしても良い。
【0024】このような本発明に係る溝切り器具10によれば、作業者11が操作桿16を把持しつつ押圧することにより、田圃等に溝18を掘っていく構成であるため、従来の溝切り機に比べてコンパクトに構成することができる。このため、製造コストを低減することができる。また、実際に本発明者が試作した溝切り器具10は重量が3kg程度と軽く、取り扱いや移動が容易である。また、本発明の溝切り器具10によれば、エンジンによって移動させる構成ではないため、左右に方向を変えたり、又は停止させることが容易となる。また、エンジンを備えない構成であるため、燃料補給等をすることなく、溝切り作業を行おうとする時に、早急に溝切り作業を開始することができる。さらに、エンジンを備えない構成であるため、燃料を消費する必要がなく、コストを低減できるとともに、自然保護及び地球温暖化防止に寄与することができる。
【0025】また、本発明の溝切り器具10によれば、ナット24を緩めることにより、土切り刃14の中心線15のアーム32に対する角度を調節することができる。このため、土切り刃14の中心線15のアーム32に対する角度を180°にして土切り刃がアームに対して真っ直ぐになるように調整できる。また、土切り刃14の中心線15のアーム32に対する角度を、作業者11が溝切り作業を行いやすいように調節することができる。
【0026】また、本発明の溝切り器具10によれば、ナット24を緩めて、土切り刃14のアーム32に対する角度を変えることができるだけでなく、土切り刃14をアーム32から取り外すこともできる。このため、土切り刃14又はアーム32を他の寸法又は他の材質のものに適宜交換することもできる。
【0027】また、本発明の溝切り器具10によれば、ナット28を留める孔30を変えることにより、土切り刃14の最大幅Bを変えることがてきる。このため、土12の固さ等に対応して、溝18を容易に掘ることができるように、最大幅Bを調節することができる。
【0028】以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明に係る溝切り器具はその他の態様でも実施し得るものである。
【0029】例えば、本発明の溝切り器具の土切り刃は、図5に示すような土切り刃40であっても良い。この土切り刃40は、側板41の刃部42が凹部状に湾曲しており、下端付近が突出して構成されている。また、先端部44の上部でナット46を締結することにより、土切り刃40がアーム32に固定されている。
【0030】このような土切り刃40によれば、土12から土切り刃40への抗力Nが斜め下方向にも働くため、土切り刃40が土12から上方向へ抜けて外れるのを防止することができる。また、ナット46が先端部44の上部に設けられているため、ナット46を緩めて土切り刃40のアーム32に対する角度の調節が容易になる。
【0031】なお、このような土切り刃40において、側板41を図6に示すような湾曲形状に構成しても良い。このような湾曲形状に構成することにより、切り取った土を溝18の周囲に盛り上げていくことができると考えられる。
【0032】また、本発明の溝切り器具の土切り刃は、図7に示すような土切り刃50であっても良い。この土切り刃50は、側板20の底部に重り板52が備えられて構成されている。このような土切り刃50によれば、重り板52を備えているため、土切り刃50の自重によって土切り刃50を土12内へ、ある程度食い込ませることができる。このため、土切り刃50が土12から上方向へ抜けて外れるのを防止することができる。また、重り板52に斜め下方向への抗力が、ある程度働くことによっても、土切り刃50が土12から上方向へ抜けて外れるのを防止することができる。
【0033】また、本発明の溝切り器具の土切り刃は、図8に示すような土切り刃54であっても良い。この土切り刃54は、ナット56を緩めることにより、土切り刃54のアーム32に対する角度を、鉛直面内で調節することができる。このため、土12からの抗力Nの方向を調節することにより、土切り刃54が略水平方向へ進行するように調節できる。
【0034】例えば、土切り刃54が水平方向へ一定速度で進行する場合には、図8(b)に示すように、アーム32からの押圧力のベクトルPと、土12からの抗力のベクトルNと、土12との摩擦力のベクトルFとがつり合っていることとなる。すなわち、P+N+F=0となる。よって、抗力Nの方向を変えることにより、P、N及びFのつり合い状態が変わるため、抗力Nの方向を変えることにより、土切り刃54が水平方向へ進行するように調節できる。
【0035】また、本発明の溝切り器具の土切り刃は、図9に示すような土切り刃58であっても良い。この土切り刃58は、先端の刃部59の近辺が、アーム32の先端部60に、ピン62によって自由回動可能に取り付けられている。このような土切り刃58は、アーム32に所定方向の押圧力Pを加えると、土12からの抗力によって土切り刃58の後方付近が触れて自由回動し、土切り刃58の中心線64の方向が押圧力Pの方向に向かうことなる。このため、アーム32に加える押圧力Pの方向を適宜変えていくことにより、自由な方向へ溝18を掘っていくことができる。
【0036】次に、本発明の溝切り器具10の操作桿16において、図10に示すようなベルト66を備えても良い。このベルト66は、作業者11の胴体に巻いて留めることができるように構成されている。このようなベルト66を備えることにより、胴体からもアーム32に対して押圧力Pを加えることができ、手の負担を減少することができる。また、胴体全体に渡って負担が分散されるため、胴体の一部のみに集中して負担がかかることによる身体の痛み等を防止できる。
【0037】以上、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明したが、本発明の実施形態は図示したものには限定されない。
【0038】例えば、土切り刃の形状は特に限定されず、ある程度の最大幅を有し、土を所定幅に切り分けて所定幅の溝を形成できるものであれば良い。また、土切り刃の最大幅を調節する手段は、上述のものに限定されず、例えば側板と底板との間に蝶番を設けておいても良い。
【0039】また、操作桿の形態も特に限定されず、例えば、操作桿の先端付近に重りを設けて土切り刃が自重によって土にある程度食い込むようにしても良い。また、操作桿の先端付近に板状又は棒状のストッパーを土に対して平行に設けておき、土切り刃が一定の深さ以上に食い込まないように構成しても良い。また、操作桿の長さを調節可能なように構成しても良い。例えば、操作桿を構成するアームを2本のパイプから構成し互いに嵌合させて螺子等によって固定できるように構成しても良い。また、操作桿のハンドルを作業者の胴体に当てることができるように、作業者の胴体に沿った湾曲形状に構成しても良い。
【0040】その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた溝切り器具も含む。
【0041】
【発明の効果】本発明の溝切り器具によれば、作業者が操作桿を保持しつつ押圧することにより、田圃等に溝を掘っていく構成であるため、従来の溝切り機に比べてコンパクトに構成することができる。このため、従来の溝切り機に比べて製造コストを低減することができる。また、本発明の溝切り器具によれば、エンジンによって移動させる構成ではないため、左右に方向を変えたり、又は停止させることが容易となる。また、溝切り作業を行おうとする時に、燃料補給等をすることなく、早急に溝切り作業を開始することができる。さらに、燃料を消費する必要がなく、コストを低減できるとともに、自然保護及び地球温暖化防止に寄与することができる。
【0042】また、土切り刃の操作桿に対する角度が調節可能であることを特徴とする本発明の溝切り器具によれば、土切り刃の操作桿に対する角度を調節することができるため、土切り刃がアームに対して真っ直ぐになるように又は土切り刃に押圧力を加えやすいように、土切り刃の角度を調整することができる。このため、溝切り器具による溝切り作業を、より効率的に行うことができる。
【0043】また、本発明に係る溝切り器具の要旨とするところは、前記溝切り器具において、前記土切り刃の最大幅が調節可能であることにある。
【0044】このような本発明の溝切り器具によれば、土切り刃の最大幅を調節可能であるため、土の固さ等に対応して、溝を容易に掘ることができるように、最大幅を調節することができる。
【出願人】 【識別番号】598013035
【氏名又は名称】山本 輝雄
【出願日】 平成10年(1998)1月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義 (外1名)
【公開番号】 特開平11−206201
【公開日】 平成11年(1999)8月3日
【出願番号】 特願平10−16285