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【発明の名称】 掘削用工具
【発明者】 【氏名】秋吉 直義

【氏名】廣瀬 健二

【要約】 【課題】灌木林や荒れ地を掘削して木の根等を切断し、開墾、耕地化するためや、対人地雷の除去等に使用するに適した掘削用工具ににおいて、ビットが摩耗しても当該摩耗したビットだけを交換するだけで、基体は再利用できるようにする。

【解決手段】強制回転させられる円筒状基体に固着されるホルダと、該ホルダに固着手段によって固着されるビットからなる掘削用工具であって、前記ビットの基部にはホルダに対する嵌合溝を形成し、前記ホルダには当該嵌合溝が嵌合する板状部と、該板状部の前側と後側にそれぞれ一体に設けられた厚肉の支持部とを設け、前記板状部は、ホルダを支持する基体の回転方向における前側が低く後側が高く形成し、前記前側の支持部は後側の支持部よりも低く形成するとともに、前記ビットの嵌合溝は、当該板状部に対応して回転方向前側が浅く、後側が深くなるように形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 強制回転させられる円筒状基体に固着されるホルダと、該ホルダに固着手段によって固着されるビットからなる掘削用工具であって、前記ビットの基部にはホルダに対する嵌合溝が形成され、前記ホルダには当該嵌合溝が嵌合する板状部と、該板状部の前側と後側にそれぞれ一体に設けられた厚肉の支持部とが設けられ、前記板状部は、ホルダを支持する基体の回転方向における前側が低く後側が高く形成され、前記前側の支持部は後側の支持部よりも低く形成されているとともに、前記ビットの嵌合溝は、当該板状部に対応して回転方向前側が浅く、後側が深く形成されていることを特徴とする掘削用工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、灌木林や荒れ地を掘削して木の根等を切断し、開墾、耕地化するためや、対人地雷の除去等に使用するに適した掘削用工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軸方向の両端部に回転機構を備えた円筒状の基体の外周部に複数列のビット取り付け部を設け、各列に複数のビットを溶接等の固着方法で取り付けた掘削装置が実用化されている。このビットとしては、刃先が焼き入れ硬化されたものや、鋼製シャンクの刃先部に超硬チップ等の硬質刃体を蝋付け等の方法で固着したものが使用されてきたが、焼き入れした刃先を有するものは、刃先硬度が十分ではなく、短時間で摩耗して使用できなくなることが多かった。また、硬質刃体を刃先部に固着したものは、刃先部の寿命は長くなるが、シャンク部が摩耗して使用できなくなることが多いという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の装置は、円筒状基体に溶接等で固着したビットが摩耗した時に、該ビットを交換するのが難しく、装置全体が使用不能となるので、きわめて不経済であった。そこで本発明は、上記掘削装置における問題点を改良し、ビットが摩耗しても当該摩耗したビットだけを交換するだけで、基体は再利用できるようにすることを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本発明にかかる掘削用工具は、強制回転させられる円筒状基体に固着されるホルダと、該ホルダに固着手段によって固着されるビットからなる掘削用工具であって、前記ビットの基部にはホルダに対する嵌合溝が形成され、前記ホルダには当該嵌合溝が嵌合する板状部と、該板状部の前側と後側にそれぞれ一体に設けられた厚肉の支持部とが設けられ、前記板状部は、ホルダを支持する基体の回転方向における前側が低く後側が高く形成され、前記前側の支持部は後側の支持部よりも低く形成されているとともに、前記ビットの嵌合溝は、当該板状部に対応して回転方向前側が浅く、後側が深く形成されていることを特徴としている。
【0005】
【発明の作用・効果】ホルダを基体に溶接等で固着し、該ホルダにビットを取り付ける。このビットの取り付けは、ビットの嵌合溝をホルダの板状部に嵌合し、両者を固着手段で固着することにより行われる。掘削中にビットが受ける荷重は、ホルダの板状部、支持部、固着手段等によって支持される。掘削中は、回転方向の前側部分が被掘削物に当接するため、ホルダやビットの前側部分が主に摩耗するが、本願発明ではホルダの板状部がビットの嵌合溝内に隠れており、ホルダの露出部のうち前側の支持部の高さが低く露出面積が小さいので、掘削によるホルダの摩耗が少なくて、専らビットが摩耗する。ビットの摩耗が進行して使用できなくなった場合は、当該ビットを取り外して新たなビットと交換すればよい。ビット自体は消耗品であり、価格も比較的安いのに対し、基体に固着されているホルダを着脱するのは手間と費用がかかるが、本願発明の工具ではビットが摩耗してもホルダと基体を繰り返し使用できるので経済的である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面に表された本発明の実施形態に基づいて、具体的に説明する。
【0007】この掘削用工具1は、回転掘削装置の円筒状の基体2に固着されるホルダ5,…と、該ホルダに個々に取り付けられるビット7,…からなる。基体2は、図6に示すように、軸方向の左右両端部に回転装置10,10が設けられており、掘削中はこの回転装置によって所定方向に強制回転させられる。
【0008】ホルダ5は円弧状の底面を持つ基部5aが基体2の円弧状曲面に溶接固着されている。ホルダ5の上部は側面視概略三角形状となっており、回転方向前側と後側にそれぞれ厚肉の支持部12、13が設けられ、両者の中間部は肉厚の薄い板状部15となっている。前側の支持部12の高さは後側の支持部13の高さよりもかなり低くなっており、かつ前側の支持部12の上面は前側が低くなる傾斜面12aとして形成されるとともに、これに連続する板状部15の上面15aも前側が低い傾斜面として形成されている。なお、前側の支持部12の左右両縁部には硬化肉盛り層17が形成されている。
【0009】ホルダ5の板状部15の下部寄りの位置には、左右に貫通する通孔19が設けられている。この通孔19は、ビットを固着するためのボルト穴である。また、上記前側の支持部12の背面と後側の支持部の前面には、それぞれ板状部と直角な支持面12b,13bが設けられている。
【0010】ビット7は、鋼製のシャンク部21の前側上端部に超硬チップの刃体23を蝋付け固着してなり、前記シャンク部21の基部の底面から上方に向けて嵌合溝25が切り込まれている。嵌合溝25の両側部分は脚部21a,21bとなっている。嵌合溝25は、前側が浅く、後側が深く切り込まれており、側面視において前記ホルダの板状部15と対応する形状となっている。また、シャンク部21の基部には、前記脚部21a,21bを貫通するボルト取り付け用の穴27が設けられている。この穴27のうち、嵌合溝を挟んで一方の脚部21a側に形成されている部分は、ボルト30の頭部30aが埋め込まれる皿状部27aとなっており、螺子は切られていない。また、嵌合溝25を挟んで反対側の脚部21bに設けられている穴部分はボルト30が螺合する螺子穴27bとなっている。
【0011】ビット7は、図3に示すように標準型(a)、軟弱地盤用(b)、礫用(c)等があり、刃体の形状が若干相違しているが、シャンク部の形状は同じである。ビット7をホルダ5に固着するための固着手段であるボルト30は、皿状の頭部を有する六角穴付きボルトである。なお、固着手段としては他の形状のボルト、ビス等を使用することができるが、ビットの側部に突出していると掘削中に急速に摩耗するので、図示例のような角穴付きボルトを用い、固着状態では頭部がビット側面に突出しないようにするのが好ましい。
【0012】この掘削工具1は、円筒状の基体2の外周部に適当な配置でホルダ5,…を固着して使用される。ホルダ5,…の配置は、通常基体2の軸方向に沿う複数の線上に適当な間隔で列状に配置するのが好ましい。この場合、隣接するホルダ列の各ホルダは、前後で横方向に位置をずらして、平面視千鳥状に配置するのが効果的である。なお、ホルダの配置は、これに限らず、基体の回転により広い範囲にわたって効果的な掘削が行われるようなものであればよい。
【0013】基体2に適当な配置で固着されたホルダ5,…にはそれぞれビット7,…を取り付ける。この取り付けは、ホルダの板状部15をビットの嵌合溝25に嵌合させ、固着手段であるボルト30をビットの両脚部21a,21bと板状部15を挿通して螺着することにより行われる。このビットの着脱は簡単である。
【0014】基体2の外周部に多数のビット7,…を取り付けたら、当該基体を例えば図7に示すようなクローラ式走行装置(車輪式走行装置でもよい)40のアーム41に取り付け、地面に押し付けた状態(場合によっては単に載置しただけでもよい)で油圧モータを駆動源とする回転装置10,10で所定方向に強制回転させる。この回転により基体2が所定方向に転動しつつビット7,…により掘削が行われる。ビットの先端部には硬質の刃体23が植設されているので、木の根や石等があってもうまく掘削を行うことができる。また、掘削中にビットに作用する力の多くは、ホルダの板状部15の傾斜面15aとビットの嵌合溝25の傾斜面25bとの接触部によって支持される。図示例の走行装置40は油圧ショベルのショベルの代わりにカバー43付きの基体2を取り付けたもので、このように既存の走行装置を利用するのが便利である。
【0015】この掘削用工具1は、ビット7がホルダ5を介して基体2に取り付けられるが、ホルダの露出部中、基体2の回転方向前側の部分(支持部12)の高さ(B)が低く、ビット7の前側の露出面の高さ(A)が高いので、使用中は専らビット7が摩耗し、ホルダ5の摩耗は少ない。このため、ビットが摩耗した場合は、当該ビットだけを取替えることにより、再使用することができる。
【0016】なお、この掘削装置を対人地雷の除去に使用する場合は、遠隔操作等で、対象地面上を進行させれるのが安全上好ましい。また、以上の説明では、ホルダを円筒状の基体2に取り付けて使用する場合を例示したが、基体の形状はこれに限られるものではなく、他の形状の基体に取り付けて使用することもできる。
【出願人】 【識別番号】598000426
【氏名又は名称】雨宮 清
【識別番号】000221889
【氏名又は名称】東邦金属株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開平11−196610
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−22841