| 【発明の名称】 |
トラクタ |
| 【発明者】 |
【氏名】大須賀 正史
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| 【要約】 |
【課題】運転座席の高さ位置を低く抑えて操縦者に安定感を与えられるようにしながらも、操縦スペースの前後長さを確保して操縦性並びに居住性の悪化を防止できるようにする。
【解決手段】走行機体Aの後部に配備したミッションケース5の上部に、作業装置昇降用のリフトアーム19を上下揺動自在に装着するとともに、リフトアーム19を揺動操作するリフトシリンダ9を内装し、かつ、ミッションケース5の上方に運転座席6を配備したトラクタにおいて、リフトアーム19の揺動支点P1を、ミッションケース5の後端側に設定するとともに、リフトシリンダ9を、リフトアーム19から後部上方に向けて、その後端が揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に配備したミッションケースの上部に、作業装置昇降用のリフトアームを上下揺動自在に装着するとともに、該リフトアームを揺動操作するリフトシリンダを内装し、かつ、前記ミッションケースの上方に運転座席を配備したトラクタであって、前記リフトアームの揺動支点を、前記ミッションケースの後端側に設定するとともに、前記リフトシリンダを、前記リフトアームから後部上方に向けて、その後端が前記揺動支点よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備してあるトラクタ。 【請求項2】 前記ミッションケースを、伝動系を内装する上面開放型の伝動ケース部と、前記リフトシリンダを内備する下面開放型のシリンダケース部とをフランジ連結して構成するとともに、前記伝動ケース部と前記シリンダケース部を、各フランジ接合面が後下がり傾斜となるように形成してある請求項1記載のトラクタ。 【請求項3】 前記ミッションケースにおける前記伝動ケース部と前記シリンダケース部の接合連結箇所に、前記ミッションケースの左右に亘る軸を架設して、前記リフトアームの上昇揺動を規制するストッパを構成してある請求項2記載のトラクタ。 【請求項4】 前記シリンダケース部の上端に前記リフトシリンダからの排油路開度を加減する落下調速弁を備えてある請求項1〜3のいずれか一つに記載のトラクタ。 【請求項5】 前記ミッションケースの上方に、前記運転座席との間を通って前記運転座席の左右に亘るように形成された燃料タンクを配設してある請求項1〜4のいずれか一つに記載のトラクタ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に配備したミッションケースの上部に、作業装置昇降用のリフトアームを上下揺動自在に装着するとともに、該リフトアームを揺動操作するリフトシリンダを内装し、かつ、前記ミッションケースの上方に運転座席を配備したトラクタに関する。 【0002】 【従来の技術】上記のようなトラクタにおいては、例えば特開平5‐316805号公報などで開示されているように、ミッションケースの上部に内装されるリフトシリンダを、ミッションケースの上方に配置される運転座席の直下方箇所に、リフトアームから前方に向かう前上がり傾斜姿勢で配備することが一般的に行われている。しかしながら、上述のようにリフトシリンダを配備すると、運転座席の高さ位置が不必要に高くなって操縦者に不安感を与えるようになる。そこで、従来では、例えば実開昭57−201111号公報で開示されているように、ミッションケースの上部に内装されるリフトシリンダを、その上方に配置される運転座席の直後方箇所に、リフトアームから上方に向かう縦向き姿勢で配備することにより、運転座席の高さ位置を低く抑えて操縦者に安定感を与えるようにしたものが創案されていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術のように、ミッションケースの上部における運転座席の直後方箇所にリフトシリンダを縦向き姿勢で配備するためには、ミッションケースの上部後端側を、そのリフトシリンダを外囲するシリンダケース部として縦向きに膨出形成する必要が生じ、それによって、ミョンケースの上方に配置される運転座席を、そのシリンダケース部の形成領域分だけ機体前方側に配置変更する必要が生じることから、その分、操縦スペースが前後方向に狭くなって操縦性並びに居住性が悪くなる不都合を新たに招くようになっていた。殊に小型機種のトラクタにおいては、運転座席の高さ位置を低く抑えた上で操縦スペースの前後長さが短くなることから、操縦性並びに居住性の悪化が顕著に現れるようになっていた。 【0004】本発明の目的は、運転座席の高さ位置を低く抑えて操縦者に安定感を与えられるようにしながらも、操縦スペースの前後長さを確保して操縦性並びに居住性の悪化を防止できるようにすることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、走行機体の後部に配備したミッションケースの上部に、作業装置昇降用のリフトアームを上下揺動自在に装着するとともに、該リフトアームを揺動操作するリフトシリンダを内装し、かつ、前記ミッションケースの上方に運転座席を配備したトラクタにおいて、前記リフトアームの揺動支点を、前記ミッションケースの後端側に設定するとともに、前記リフトシリンダを、前記リフトアームから後部上方に向けて、その後端が前記揺動支点よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備した。 【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、ミッションケースの上部に内装されるリフトシリンダを、リフトアームから後部上方に向けて、その後端がミッションケースの後端側に設定したリフトアームの揺動支点よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備するようにしていることから、運転座席を、その後端をミッションケースの後端近くに位置する機体後方側に位置させながらも、その底部をリフトシリンダの後端近く、あるいは後端よりも低くなる低位置に位置させた状態で、ミッションケースの上方に配置することができるようになる。つまり、運転座席の高さ位置を低く抑えて操縦者に安定感を与えられるようにしながらも、それによって、操縦スペースの前後長さが短くなって操縦性並びに居住性が悪化するといった不都合が生じることを防止できるようになる。 【0007】又、運転座席の高さ位置を低く抑える必要がない場合には、ミッションケースと運転座席の間の空間を大きくとることによって、その空間を工具箱や他の機能部品の設置空間として有効利用することもできるようになる。 【0008】更に、リフトアームの揺動支点よりも機体後方側に突出する状態となるリフトシリンダの後端は、本来よりデッドスペースとなっていたミッションケースの後方における左右のリフトアームの間に位置するようになることから、リフトシリンダ(ミッションケースのシリンダケース部)が、リフトアームに連結されるリンク機構や作業装置に干渉して作業装置の昇降に支承をきたす、といった不都合が生じることもない。 【0009】しかも、リフトシリンダを、ミッションケースの上部における運転座席の直後方箇所に縦向き姿勢で配備した場合には、リフトシリンダを外囲するように縦向きに膨出形成したシリンダケース部のみで、作業装置を昇降する際の反力を受けるリフトシリンダの全体を支持しなければならないことから、シリンダケース部を、高い強度を有する大掛かりなものに構成する必要が生じて、構成の複雑化や製造コストの高騰を招くようになるのであるが、上記請求項1記載の発明においては、リフトシリンダを、その後端がミッションケースの後端側に設定したリフトアームの揺動支点よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備していることから、リフトシリンダの全体を支持するシリンダケース部の略前半部をミッションケースの伝動ケース部に支持させることができて、シリンダケース部にかかる負荷の一部を伝動ケース部に負担させることができるので、その分、シリンダケース部が高い強度を有する大掛かりなものになることを抑制できて、構成の複雑化や製造コストの高騰を抑制できるようになる。 【0010】〔効果〕従って、本来よりデッドスペースとなっていたミッションケースの後方における左右のリフトアームの間を有効利用したリフトシリンダの配置設定によって、運転座席の高さ位置を低く抑えることができて操縦者に安定感を与えることができるとともに、操縦スペースの前後長さを確保することができて操縦性並びに居住性の悪化を防止することができ、更に、そのために、構成の複雑化や製造コストの高騰といった不都合を招くことを抑制できるようになった。又、運転座席の高さ位置を低く抑える必要のないものにおいては、ミッションケースと運転座席の間を工具箱や他の機能部品の設置空間として有効利用することのできる収納面で優れたものにすることができるようになった。 【0011】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記ミッションケースを、伝動系を内装する上面開放型の伝動ケース部と、前記リフトシリンダを内備する下面開放型のシリンダケース部とをフランジ連結して構成するとともに、前記伝動ケース部と前記シリンダケース部を、各フランジ接合面が後下がり傾斜となるように形成した。 【0012】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、リフトシリンダが後上がり傾斜姿勢で配備されるのに対し、伝動ケース部とシリンダケース部の各フランジ接合面を後下がり傾斜としていることにより、例えば、伝動ケース部とシリンダケース部の各フランジ接合面を水平にしている場合に比較して、シリンダケース部のフランジ接合面とリフトシリンダとの交差角を直交状態に近づけることができるので、シリンダケース部を形成する際のフランジ接合面側からの内面加工が行い易くなる。つまり、シリンダケース部を製作する上において有利にすることができるようになる。ちなみに、伝動ケース部とシリンダケース部の各フランジ接合面を水平にしている場合においては、シリンダケース部の内面加工を上部側から行うようにすると、その加工は簡単に行えるようになるのであるが、この方法では、シリンダケース部の上部に開口が形成されるようになることから、この開口を閉塞するための蓋体を別途設ける必要が生じるようになり、又、シリンダケース部が、その内部において、作業装置を昇降させるだけのかなり高い圧力でリフトシリンダを作動させるものであることから、蓋体、及びシリンダケース部と蓋体の連結部を、その圧力に耐え得るだけの強度を有する構造に構成する必要が生じるようになり、もって、シリンダケース部の大型化や構造の複雑化を招くようになる。 【0013】しかも、伝動ケース部とシリンダケース部のフランジ接合面を後下がり傾斜とすることによって、伝動ケース部において本来より空き空間となっていた後部上方側をリフトシリンダ及びリフトアームの配置空間として有効利用することができ、その分、後上がり傾斜姿勢で配備されるリフトシリンダの高さを低く抑えることができるので、より効果的に運転座席の高さ位置を低く抑えることができるようになる。 【0014】〔効果〕従って、伝動ケース部とシリンダケース部のフランジ接合面を後下がり傾斜にすことによって、シリンダケース部を製作する上において有利にできるとともにシリンダケース部の小型化並びに構造の簡素化を図ることができ、更に、より効果的に操縦者に安定感を与えることができるようになった。 【0015】本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の発明において、前記ミッションケースにおける前記伝動ケース部と前記シリンダケース部の接合連結箇所に、前記ミッションケースの左右に亘る軸を架設して、前記リフトアームの上昇揺動を規制するストッパを構成した。 【0016】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、ミッションケースの左右に亘って軸を架設するだけの簡単な構成で、リフトアームの上昇揺動を規制するストッパを構成することができ、又、軸の架設位置を、本来より高い強度を有するように設定される伝動ケース部とシリンダケース部の接合連結箇所としていることによって、軸(ストッパ)の支持強度を高くすることができて、軸にかかるリフトアームからの力をミッションケースで受け止めさせることができるので、リフトアームの上昇揺動を確実に規制できるようになる。 【0017】〔効果〕従って、簡単な構成でありながらも、リフトアームの上昇揺動を長期に亘って確実に規制できるようになった。 【0018】本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記シリンダケース部の上端に前記リフトシリンダからの排油路開度を加減する落下調速弁を備えた。 【0019】〔作用〕上記請求項4記載の発明によると、後端がミッションケースの後端側に設定したリフトアームの揺動支点よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備されるリフトシリンダを内備するシリンダケース部の上端に落下調速弁を備えたことによって、落下調速弁は、ミッションケースの上方に配備される運転座席の背部に近接する状態で位置するようになる。つまり、操縦者は、運転座席に着座した状態で後方に振り向いて作業装置の下降速度を見ながら、落下調速弁を操作してリフトシリンダからの排油路開度を加減することができるようになっており、もって、作業装置の下降速度を所望の速度に容易に設定できるようになる。 【0020】〔効果〕従って、作業装置の下降速度を設定する上での操作性の向上を図れるようになった。 【0021】本発明のうちの請求項5記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記ミッションケースの上方に、前記運転座席との間を通って前記運転座席の左右に亘るように形成された燃料タンクを配設した。 【0022】〔作用〕上記請求項5記載の発明によると、比較的大きく開放される運転座席の左右空間を有効利用して、その左右空間に比較的大容量となるタンク部を配備するとともに、ミッションケース(シリンダケース部)と運転座席との間の狭い空間を有効利用して、左右のタンク部を連通させるようにしていることから、運転座席の高さ位置を低く抑えた状態でありながら、ミッションケースと運転座席との間に比較的大容量の燃料タンクを介装することができるようになる。 【0023】〔効果〕従って、運転座席の高さ位置を低く抑えて操縦者に安定感を与えるようにしながらも、比較的大容量の燃料タンクを装備できるようになった。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 【0025】図1には、トラクタの一例であるローントラクタの全体側面が示されており、このローントラクタは、機体フレーム1、機体フレーム1の前部に搭載されたエンジン2、エンジン2の後方に配備されたラジエータ3、ラジエータ3の上部後方に配置設定されたステアリングホイール4、機体フレーム1の後部に装備されたミッションケース5、ミッションケース5の上方に配備された運転座席6、機体フレーム1の前部下方に配備された左右一対の前輪7、及び機体フレーム1の後部下方に配備された左右一対の後輪8、などによって乗用型に構成された走行機体Aの前輪7と後輪8の間に、平行四連形式に構成された昇降リンク機構Bを介してモーアCを昇降自在に連結することによって、ミッドマウント型に構成されている。 【0026】図2〜5に示すように、ミッションケース5は、伝動系(図示は省略するが例えばギヤ式変速装置やデフ機構など)を内装する上面開放型の伝動ケース部5Aと、走行機体Aの後部に任意連結される作業装置(図示は省略するが例えば集草装置など)を昇降するために配設されたリフトシリンダ9を内備する下面開放型のシリンダケース部5Bとをフランジ連結することによって構成されている。尚、伝動ケース部5Aはアルミダイカスト製であり、シリンダケース部5Bは鋳鉄製である。 【0027】図2に示すように、伝動ケース部5Aは、その前部に静油圧式無段変速装置10が連結されており、その内部の伝動系には、静油圧式無段変速装置10を経由したエンジン2からの動力が伝達されるようになっている。伝動ケース部5Aの上部左側には、その内部のギヤ式変速装置からの動力によって駆動される油圧ポンプ11が連結されており、この油圧ポンプ11は、その駆動により、伝動ケース部5Aの下部に配備されたオイルフィルタ12、及びオイルフィルタ12から油圧ポンプ11に亘って配管されたサクションパイプ13とサクションホース14を介して、伝動ケース部5A内の潤滑油を吸い上げるようになっている。油圧ポンプ11の左側面には制御弁15が連通接続されており、この制御弁15は、制御弁15から伝動ケース部5Aの上部に亘って配管されたドレンパイプ16を介して油圧ポンプ11からの潤滑油を伝動ケース部5A内へ還元する状態と、制御弁15からリフトシリンダ9に亘って配管されたデリバリパイプ17を介して油圧ポンプ11からの潤滑油を作動油としてリフトシリンダ9へ供給する状態と、デリバリパイプ17とドレンパイプ16を介してリフトシリンダ9内の作動油を潤滑油として伝動ケース部5A内へ還元する状態とに、リフトシリンダ9に対する作動油の流動状態を切り換えるようになっている。 【0028】図2〜6に示すように、シリンダケース部5Bは、その後端下部に支軸18が横軸芯P1周りに回動自在に支持されている。支軸18は、その左右両端には作業装置昇降用のリフトアーム19が、又、その左右中央にはリフトアーム19の操作片である操作アーム20が、それぞれスプライン嵌合されている。つまり、ミッションケース5の上部には、左右一対のリフトアーム19が、その揺動支点P1がミッションケース5の後端側に設定された状態で上下揺動自在に装着されている。一方、リフトシリンダ9は、操作アーム20から後部上方に向けて、その後端がリフトアーム19の揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となる約15度程度の後上がり傾斜姿勢で、シリンダケース部5Bに内備されている。 【0029】以上、要するに、ミッションケース5の上部に内備されるリフトシリンダ9を、その下方に配備されるリフトアーム19の操作アーム20から後部上方に向けて、その後端がミッションケース5の後端側に設定したリフトアーム19の揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備するようにしていることから、ミッションケース5の上方に、運転座席6を、その後端をミッションケース5の後端近くに位置する機体後方側に位置させながらも、その底部をリヤフェンダ21の左右中央箇所に凹入させてリフトシリンダ9の後端よりも低くなる低位置に位置させた状態で配置できるようになっている。つまり、運転座席6の高さ位置を低く抑えることができて操縦者に安定感を与えることができるとともに、それによって、操縦スペースの前後長さが短くなって操縦性並びに居住性が悪化するといった不都合が生じることを防止できるようになっている。 【0030】又、リフトアーム19の揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となるリフトシリンダ9の後端は、本来よりデッドスペースとなっていたミッションケース5の後方における左右のリフトアーム19の間に位置するようになることから、リフトシリンダ9(それを内備するシリンダケース部5B)が、リフトアーム19に吊り下げ支持されるリンク機構(図示せず)や作業装置に干渉して作業装置の昇降に支承をきたす、といった不都合が生じることも回避できるようになっている。 【0031】しかも、例えば、運転座席6の高さ位置を低く抑えるために、リフトシリンダ9を、ミッションケース5の上部における運転座席6の直後方箇所に縦向き姿勢で配備した場合には、リフトシリンダ9を外囲するように縦向きに膨出形成したシリンダケース部(図示せず)のみで、作業装置を昇降する際の反力を受けるリフトシリンダ9の全体を支持しなければならないことから、そのシリンダケース部を、高い強度を有する大掛かりなものに構成する必要が生じて、構成の複雑化や製造コストの高騰を招くようになるのであるが、本実施形態の構成においては、リフトシリンダ9を、その後端がミッションケース5の後端側に設定したリフトアーム19の揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備していることから、リフトシリンダ9の全体を支持するシリンダケース部5Bの略前半部を伝動ケース部5Aに支持させることができて、シリンダケース部5Bにかかる負荷の一部を伝動ケース部5Aに負担させることができるので、その分、シリンダケース部5Bが高い強度を有する大掛かりなものになることを抑制でき、もって、構成の複雑化や製造コストの高騰を抑制できるようになっている。 【0032】図3及び図5に示すように、ミッションケース5は、伝動ケース部5Aとシリンダケース部5Bの各フランジ接合面5a,5bが後下がり傾斜となるように形成されている。つまり、シリンダケース部5Bに内備されるリフトシリンダ9が後上がり傾斜姿勢で配備されるのに対し、伝動ケース部5Aとシリンダケース部5Bの各フランジ接合面5a,5bを後下がり傾斜としていることにより、例えば、伝動ケース部5Aとシリンダケース部5Bの各フランジ接合面5a,5bを水平にしている場合に比較して、シリンダケース部5Bのフランジ接合面5bとリフトシリンダ9との交差角を直交状態に近づけることができ、これによって、シリンダケース部5Bを形成する際のフランジ接合面5b側からの内面加工を行い易くすることができ、もって、シリンダケース部5Bを製作する上において有利にすることができるようになっている。 【0033】しかも、伝動ケース部5Aとシリンダケース部5Bの各フランジ接合面5a,5bを後下がり傾斜とすることによって、伝動ケース部5Aにおいて本来より空き空間となっていた後部上方側をリフトシリンダ9及びリフトアーム19の配置空間として有効利用することができ、その分、後上がり傾斜姿勢で配備されるリフトシリンダ9の高さを低く抑えることができるので、運転座席6の高さ位置をより一層低く抑えることができて、より効果的に操縦者に安定感を与えることができるようになっている。 【0034】図3及び図5〜7に示すように、ミッションケース5における伝動ケース部5Aとシリンダケース部5Bの接合連結箇所には、リフトアーム19と一体揺動する操作アーム20との接当により、リフトアーム19の上昇揺動を上限位置において規制するストッパDとして機能する軸22が、シリンダケース部5Bの左右のフランジ5cに亘る状態で架設されている。つまり、ミッションケース5の左右に亘って軸22を架設するだけの簡単な構成でありながらも、リフトアーム19の上限位置からの上昇揺動を阻止するストッパDを構成することができるとともに、軸22の架設位置を、本来より高い強度を有するように設定される伝動ケース部5Aとシリンダケース部5Bの接合連結箇所で、しかも、アルミダイカスト製の伝動ケース部5Aよりも強度の高い鋳鉄製のシリンダケース部5Bのフランジ5c部としていることによって、軸22(ストッパD)の支持強度を効果的に高めることができて、軸22にかかるリフトアーム19からの力をミッションケース5にて破損のない状態で受け止めさせることができるようになり、もって、構成の簡素化を図りながらも、長期に亘ってリフトアーム19の上昇揺動を上限位置において確実に規制できるようになっている。 【0035】図1〜4、図7及び図9に示すように、シリンダケース部5Bの上端には、リフトアーム19に連結される作業装置の自重による下降速度を調節するためにリフトシリンダ9からの排油路開度を加減する落下調速弁23が備えられている。つまり、後端がミッションケース5の後端側に設定したリフトアーム19の揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢で配備されるリフトシリンダ9を内装するシリンダケース部5Bの上端に落下調速弁23を備えたことにより、落下調速弁23は、ミッションケース5の上方に配備される運転座席6の背部に近接する状態で位置するようになることから、操縦者は、運転座席6に着座した状態で後方に振り向いて作業装置の下降速度を見ながら、落下調速弁23を操作してリフトシリンダ9からの排油路開度を加減することによって、作業装置の下降速度を所望の速度に容易に設定できるようになっており、もって、作業装置の下降速度を設定する上での操作性の向上を図れるようになっている。 【0036】図2〜4及び図6に示すように、シリンダケース部5Bの左側部には、それに内備されるリフトシリンダ9に沿う後上がり傾斜姿勢で給油孔5dが形成されており、これによって、ミッションケース5内への潤滑油の供給を走行機体Aの後部から容易に行えるようになっている。又、シリンダケース部5Bの左側部における給油孔5dの下方にはブリーザ5eが並設されており、これによって、ブリーザ5eが伝動ケース部5Aに内装される伝動系よりも充分に高い位置に位置するようになることから、伝動系のギヤ(図示せず)による潤滑油の掻き上げなどに起因したブリーザ5eからの潤滑油の吹き出しや昇温に起因した潤滑油の吹き零れを防止できるようになっている。尚、図2〜4及び図6における符号5fは給油孔5dに着脱自在に装着される給油孔閉塞用のキャップである。 【0037】図3及び図10に示すように、運転座席6は、ミッションケース5の上方に、伝動ケース部5Aの前面から上方に向けて延設された左右一対の前支持部材24、シリンダケース部5Bの後部上面から左右に向けて延設された後支持部材25、前支持部材24から後支持部材25に亘って架設された左右一対のスライドレール機構26、左右のスライドレール機構26における各可動部の前端から延設された支持ステー27、及び左右のスライドレール機構26における各可動部の後端に配備されたクッションバネ28、などを介して、シリンダケース部5Bの前半部との間に空間を形成するとともに、前後方向へのスライドによる位置調節可能で、かつ、ミッションケース5の上方に位置する着座姿勢とミッションケース5の前方に向けて傾倒したメンテナンス姿勢とに横軸芯P2周りで姿勢変更可能な状態で配備されている。又、図4及び図9にも示すように、ミッションケース5の上方となるミッションケース5と運転座席6との間には、左右の前支持部材24の間において、左右の前支持部材24から前方に延設された第一受部材29とシリンダケース部5Bの中間部とに亘るとともに、第一受部材29にクッションゴム30を介して受け止め支持される左右中央の第一タンク部31A、左右のリヤフェンダ21内に内装される左右一対の第二タンク部31B、及びシリンダケース部5Bと左右のスライドレール機構26との間を通って第一タンク部31Aと左右の第二タンク部31Bとを連通接続するとともに、シリンダケース部5Bの左右に配備された第二受部材32と左右のスライドレール機構26の各固定部によって、クッションゴム30を介した状態で挟み込み支持される第三タンク部31C、を有するように形成された樹脂成形品からなる燃料タンク31が配設されている。要するに、燃料タンク31は、ミッションケース5の上方において運転座席6との間を通って運転座席6の左右に亘るように配設されている。 【0038】そして、このように燃料タンク31を配設すると、比較的大きく開放される運転座席6の左右空間である左右のリヤフェンダ21内を有効利用して、その左右のリヤフェンダ21内に比較的大容量となる第二タンク部31Bを配備することができるとともに、シリンダケース部5Bと左右のスライドレール機構26との間の狭い空間を有効利用して、シリンダケース部5Bの前半部と運転座席6との間に位置する第一タンク部31Aと左右の第二タンク部31Bとを連通接続することができることから、運転座席6の高さ位置を低く抑えた状態でありながら、ミッションケース5と運転座席6との間において比較的大容量の燃料タンク31を介装することができるようになっている。尚、燃料タンク31の給油口31aは、左側のリヤフェンダ21に形成された開口21aを挿通するように左側の第二タンク部31Bに形成されている。 【0039】図2及び図7に示すように、リフトシリンダ9に対する作動油の流動状態を切り換えてリフトアーム19の上下揺動を制御する制御弁15は、ミッションケース5における伝動ケース部5Aの前部に連結された支持ブラケット33に横軸芯P3周りに回動自在に支持された回動軸34を介して、運転座席6の右側に横軸芯P3周りに前後揺動自在に配設された操作レバー35に連係されており、操作レバー35を中立位置に位置させることによってリフトアーム19の上下揺動を停止させることができ、操作レバー35を中立位置から前方の下降位置に位置させることによってリフトアーム19を下降揺動させることができ、操作レバー35を中立位置から後方の上昇位置に位置させることによってリフトアーム19を上昇揺動させることができるようになっている。又、操作レバー35と右側のリフトアーム19は、一端が操作レバー35に枢支連結されるとともに他端がリフトアーム19に枢支連結された連係金具19Aを挿通する操作ロッド36を介して連係されている。操作ロッド36の他端側には、上昇揺動中のリフトアーム19の連係金具19Aに接当して押圧力を受けることにより、操作ロッド36を機体後方側に操作して操作レバー35を上昇位置から中立位置に復帰させるナット37と、下降揺動中のリフトアーム19の連係金具19Aに接当して押圧力を受けることにより、操作ロッド36を機体前方側に操作して操作レバー35を下降位置から中立位置に復帰させる接当具38とが、操作ロッド36に対して位置変更可能に装備されている。つまり、操作ロッド36に対するナット37及び接当具38の装着位置を変更することによって、リフトアーム19にリンク機構を介して連結される作業装置の上限位置と下限位置を所望の高さ位置に設定できるようになっている。尚、図7における符号38aは、接当具38への螺合により操作ロッド36を挾持することによって操作ロッド36に対する所望位置に接当具38を固定するボルトである。 【0040】図7及び図8に示すように、静油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10aには、略V字状のカム面39Aを備えた変速アーム39が固着されており、この変速アーム39には、操作ロッド40を介して横軸芯P4周りに揺動操作可能な変速ペダル41が連係されている。一方、支持ブラケット33におけるトラニオン軸10aの上部後方箇所には、偏芯ピン42が横軸芯P5周りに回動調節可能に支持されており、この偏芯ピン42には、コイルバネ43の付勢によって変速アーム39のカム面39Aに押し付けられるローラ44Aを備えたニュートラルアーム44が枢支されている。つまり、コイルバネ43の付勢に抗して変速ペダル41を横軸芯P4周りに踏み込み揺動させて、カム面39AのV字底部からローラ44Aをカム面39Aに沿って離脱させる状態に変速アーム39を揺動操作することによって、静油圧式無段変速装置10の前後進切り換え操作並びに変速操作を行うことができ、逆に、変速ペダル41の踏み込み揺動操作を解除して、コイルバネ43の付勢により、カム面39AのV字底部にローラ44Aが位置する状態に変速アーム39を揺動復帰させることによって、静油圧式無段変速装置10の中立状態を現出できるようになっている。又、偏芯ピン42を横軸芯P5周りに回動させることによって、支持ブラケット33に対するニュートラルアーム44の取り付け角を変更できるようになっており、もって、変速アーム39をコイルバネ43の付勢により中立復帰させるための変速アーム39のカム面39Aとニュートラルアーム44のローラ44Aとの係合位置を微調節できるようになっている。 【0041】尚、図2、図3及び図7における符号45は、リフトアーム19に吊り下げ支持されるリンク機構のトップリンク(図示せず)が連結される支持ブラケットであり、前述のようにリフトシリンダ9を配設するとともに、リフトアーム19の揺動支点P1を設定することによって、揺動支点P1の後方に位置するようになっている。又、図2〜4及び図7における符号46は、リフトアーム19に連結される作業装置に動力を供給するための動力取出軸である。 【0042】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。 ■ トラクタとしては、ガーデントラクタであってもよく、又、モーアCを装備しない一般的なトラクタであってもよい。 ■ リフトシリンダ9の傾斜角度は、上記実施形態で例示した15度程度に限定されるものではなく、リフトシリンダ9の後端がリフトアーム19の揺動支点P1よりも機体後方側に突出する状態となる後上がり傾斜姿勢であれば種々の変更が可能である。 ■ ミッションケース5と運転座席6の間に、燃料タンク31の代わりに工具箱や他の機能部品を設置するようにしてもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月10日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−137004 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月25日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−306891 |
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