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【発明の名称】 田植機のサイドマーカ
【発明者】 【氏名】松岡 秀樹

【氏名】西 陽一朗

【氏名】塩谷 和久

【氏名】笠原 敏章

【要約】 【課題】サイドマーカをサイドバンパーごと折り畳む乗用田植機において、サイドマーカーを収納位置で保持するサイドマーカ収納フックに無理な力がかかって変形することがあった。

【解決手段】植付部の左右両側に線引きを行うサイドマーカ98を昇降回動可能に支持して張出・収納可能に設けるとともに、左右両側の分割苗載台16bを中央側に折り畳み収納可能に構成した田植機において、前記サイドマーカを収納位置で係止するサイドマーカ収納フック124のフック基部134を、左右回動及び前後回動可能に構成し、前記フック基部の枢支軸133上にバネ132を外嵌し、該バネによりフック基部を上下方向に位置するように付勢し、前記サイドマーカ収納フック124および屈折リンク122を弾性体により構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付部の左右両側に線引きを行うサイドマーカを昇降回動可能に支持して張出・収納可能に設けるとともに、左右両側の分割苗載台を中央側に折り畳み収納可能に構成した田植機において、前記サイドマーカを収納位置で係止するサイドマーカ収納フックのフック基部を、左右回動及び前後回動可能に構成したことを特徴とする田植機のサイドマーカ。
【請求項2】 前記フック基部の枢支軸上に弾性部材を外嵌し、該弾性部材によりフック基部を枢支軸心方向に付勢したことを特徴とする請求項1記載の田植機のサイドマーカ。
【請求項3】 前記サイドマーカ収納フックを弾性体により構成することを特徴とする請求項1記載の田植機のサイドマーカ。
【請求項4】 植付部の左右両側に線引きを行うサイドマーカを中途部で屈折可能とし、該サイドマーカの収納時に屈折させるようにした田植機において、サイドマーカの張出・収納時に、屈折、伸長駆動する屈折リンクを弾性体により構成したことを特徴とする田植機のサイドマーカ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の植付部の側部に装着されて、圃場に線引きを行うサイドマーカの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、4条や5条の乗用型の田植機において、サイドマーカは1本の棒体の先端に線引き用のヘラ状のプレートを設けていたが、8条や10条等の多条の田植機になると、機体幅が広くなるので、その広さに従って線引きマーカも長くする必要があるが、余り長くなると持ち上げる力を大きくする必要があり、収納時には上方に突出して邪魔となるので、中途部で折り曲げられるようにしている。この折り曲げ可能な線引きマーカを伸長したり折り曲げ収納が容易にできるように屈折リンクが線引きマーカに並設されている。また、サイドマーカーを収納状態に係止しておくために、苗載台にフックが設けられ、該フックの基部は取付板に枢支され、回動可能に設けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この屈折リンクやサイドマーカーを収納状態に係止しておくフックは手荒な扱いを行った場合、永久変形してしまい、該フックにより係止されたサイドマーカマーカの屈折リンクが変形し、サイドマーカがの可動範囲が変化し、走行車に対するサイドマーカの位置や、土中への挿入量も変化して、圃場端で回行して次の条の目標となる線がズレたり、明瞭に表れないことがあったのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。植付部の左右両側に線引きを行うサイドマーカを昇降回動可能に支持して張出・収納可能に設けるとともに、左右両側の分割苗載台を中央側に折り畳み収納可能に構成した田植機において、前記サイドマーカを収納位置で係止するサイドマーカ収納フックのフック基部を、左右回動及び前後回動可能に構成したものである。また、前記フック基部の枢支軸上に弾性部材を外嵌し、該弾性部材によりフック基部を枢支軸心方向に付勢し、また、前記サイドマーカ収納フックを弾性体により構成したものである。また、サイドマーカを中途部で屈折可能とし、該サイドマーカの収納時に屈折させるようにした田植機において、サイドマーカの張出・収納時に、屈折、伸長駆動する屈折リンクを弾性体により構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を添付の図面により説明する。図1は田植機の側面図、図2は田植機の平面図であり、図3は支持柱とサイドバンパ及びサイドマーカを張出伸長した状態の正面図である。図4はサイドマーカの可動範囲を示す正面図である。図5はサイドマーカ収納用のストッパを示す正面図であり、図6はサイドマーカ収納用のストッパを示すX−X断面図である。図7はサイドマーカ展開用のストッパを示す正面図であり、図8はサイドマーカ展開時に支持杆がストッパに当接した状態を示すY−Y断面図である。図9はサイドバンパを折り畳んだ状態を示す側面図である。図10はサイドマーカ収納フックを示す側面図である。
【0006】図1および図2において10条用田植機の全体構成から説明する。1は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン2を車体フレーム3前部上方に搭載させ、ミッションケース4前方にフロントアクスルケース5を介して走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4の後部にリヤアクスルケース7を連設し前記リヤアクスルケース7に走行用後輪8を支持させる。そして、前記エンジン2等を覆うボンネット9両側に予備苗載台10を取付けると共に、ステップ11を介して作業者が搭乗する車体カバー12によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー12上部に運転席13を取付け、その運転席13の前方で前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を設ける。
【0007】また、図中15は10条植え用の苗載台16並びに複数の植付爪17などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して植付ケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース21を前記植付ケース20に支持させ、該ケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、その爪ケース22・22先端に植付爪17・17を取付ける。また前記植付ケース20の前側にトップリンク25及びロワーリンク26を含むリンク機構27を介して走行車1後側に支持フレーム24を連結させ、前記リンク機構27を介して植付部15を昇降させる昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結させ、前記前後輪6・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。また、36は10条用の側条施肥部である。
【0008】前記苗載台16及び植付ケース20など植付部15の左右外側の2条分を機体内側に折畳み自在に設けるもので、前記苗載台16は左右最外側の2条分の苗載台16を分割して折畳み自在な分割苗載台16bに形成し、機体中央の6条用苗載台本体16aに並行折畳み機構37を介して分割苗載台16bを連結させて、苗載台本体16aの作用面上方に略平行で、且つ、2段に分割苗載台16bを折畳みするように設けて、折畳み時苗載台16の左右全幅を略6条分巾と等しくするように構成している。
【0009】図2〜図4に示す如く、前記苗載台16の最外側部をガードするサイドバンパ108に左右サイドマーカ98を折り畳み・張出伸長自在に設けるもので、植付ケース20を連結して、植付駆動軸を収納する伝動パイプ109上に基端フレーム112が固設され、該基端フレーム112上に支柱111が立設され、該支柱111上端部に上部苗台支持シュー110が配設されている。前記基端フレーム112の外側端に回動支点軸113および位置規制ピン114を介してサイドバンパ108の基部が折り畳み可能に連結されている。苗載台16を折り畳んで該サイドバンパ108を収納する場合には、位置規制ピン114を外し、後方に回動して、位置規制ピン114を挿入して固定し、後述する支持杆115の上部が前記苗載台16の両側面で掛止される。
【0010】そして、前記サイドバンパ108の先端側にマーカ本体部である支持杆115を介してサイドマーカ98を折り畳み自在に連結させるもので、該支持杆115の基端の起伏板116は回動支点軸117を介して回動自在にサイドバンパ108に連結されている。該起伏板116の支持杆115側にはワイヤー135が連結されて前記植付部の昇降リンク機構と接続され、植付部の上昇時にサイドマーカ98を収納するように引っ張り、一方、起伏板116の反対側端とサイドバンパ108の間にはバネ136が介装されて、サイドマーカ98を張り出す方向に付勢している。
【0011】また、サイドマーカ98の基端のマーカ取付板118は回動軸119を介し回動自在に前記支持杆115の先端に連結されている。前記取付板118にサイドマーカ98と反対方向に固設した回動アーム120の先端と、前記サイドバンパ108に設けた回動支点軸117より内側に固定した固定片121との間に、マーカ屈折手段であるマーカ屈折リンク122を介装している。
【0012】該屈折リンク122の上部取付点と回動軸119の距離より、リンク122の下部取付点と支点軸117の距離より大に形成して、支持杆115の起立動作時にはサイドマーカ98を支持杆115の起立方向とは逆方向に、また支持杆115の回転角度よりサイドマーカ98の回動角度が大きくなるようにしている。よって、収納時にはサイドマーカ98の先端部が外側方に大きく突出することがなく機体幅内に収納でき、サイドマーカ98は収納時に外側に張り出すことがないので、旋回時および後進時に該サイドマーカ98が障害物を引っかけることがなく、障害物に接触し破損する可能性も減少し、破損部品の取り替えによるランニングコストが軽減され、経済的であり、作業者の注意を作業に集中可能にするため、作業者の負担を軽減可能であり、安全な作業を行うことが可能である。なお、前記支柱111上端の取付板123に、後述する収納状態の支持杆115を係合保持させるマーカ収納フック124を設けている。
【0013】前記サイドマーカ98を収納、張出させる前記屈折リンク122は、弾性体により構成され、該屈折リンク122が曲げられて伸びようとする力が常に働くように構成している。従って、収納時にはサイドマーカ98を下方へ回動するように付勢して、振動や慣性力等で外方向へ張り出すことがないようにしており、また、サイドマーカ98を張り出したときには、屈折リンク122の弾性により伸びようとする力が与えられて、サイドマーカ98先端を常に土中内へ突っ込むように付勢して、サイドマーカ98が浮き上がったり、圃場の凹凸や塊等に当たって飛び跳ねたりして、線が消えることを防止して、確実に線が引けるようにしている。
【0014】また、図5〜図8に示すように、前記取付板118にはサイドマーカ98と支持杆115の収納時および張出時の角度を規制するためのストッパ130・131が取付板118および支持杆115に設けられている。
【0015】該ストッパ130は図5、図6に示すように、取付板118のに溶接固定されており、サイドマーカ98を収納した際に、該ストッパ130が支持杆115に当接し、内側に必要以上回動しないように規制している。つまり、回動アーム120と屈折リンク122の枢支点が回動軸119を中心として支持杆115の延長上を越える(死点越え)とならないようにストッパ130で規制して、サイドマーカ98が張り出す時にに逆方向へ回動しないようにしている。更に、収納時に屈折リンク122がサイドマーカ98により必要以上に引っ張られることがなく、このため、回動アーム120と屈折リンク122の接合部および固定片121と該屈折リンク122の連結部に不要に負荷が掛からないので連結部の磨耗を減少させることが可能であり、経済的である。また、収納時に必要以上にサイドマーカ98が内側に回動し、前記苗載台16に接触しないように構成されており、サイドマーカ98を収納し、移動および旋回を行う場合に、サイドマーカ98を気にすることなく行える為、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0016】また、ストッパ131は図7、図8に示すように、支持杆115の外側端上面に溶接固定されており、前記サイドマーカ98を張り出した場合に、ストッパ131が前記取付板118に当接し、該サイドマーカ98が必要以上に回動することを規制している。このため、サイドマーカ98は張出時に圃場面の凸部に当たったり、土塊に当たって必要以上に上方へ回動されることがない。これにより、サイドマーカ98により、安定した圃場へのマーキングが可能である。このように構成したためサイドマーカ98の張出時および収納時の可動範囲が規制される。なお、上記のように構成しているため前記屈折リンクを弾性体により構成した場合においても、サイドマーカ98の回動範囲を規制可能である。
【0017】また、図9および図10に示すように、前記取付板123は支持柱111上端に固設されており、該取付板123に前記フック基部134をボルトよりなる枢支軸133により回動自在に支持し、更に、該枢支軸133にはバネ132を外嵌して、該バネ132の一端は取付板123に、他端はフック基部134に係止して、該フック基部134をバネ132により上方に回動向くように付勢されている。そして、該フック基部134は枢支軸133に対して緩嵌合されており、フック基部134が前後方向の傾動を可能に構成されている。また、該フック基部134の先端には弾性体により構成されたマーカ収納フック124が固設され、該マーカ収納フック124は弾性変形による屈曲を可能としている。
【0018】このように構成することによって、サイドバンパ108を側方に張り出した作業位置においては、サイドマーカ98を収納位置としたときに、図3に示すように、マーカ収納フック124を枢支軸133を中心に側方へ回動するだけで屈折リンク122を係合して保持することができる。そして、サイドバンパ108を後方に回動し、苗載台16を折り畳んだ状態においては、図10に示すように、屈折リンク122は後方に位置しているので、前記フック基部134を後方に傾動させて、マーカ収納フック124を屈折リンク122に係合させることができるのである。更に、サイドバンパ108を側方に張り出した作業位置において、マーカ収納フック124を屈折リンク122に係合して保持した状態のまま、サイドバンパ108を後方に回動することが可能である。このように、マーカ収納フック124は前後左右に回動できるため、屈折リンク122およびフック基部134、取付板123の各部に無理な負担をかけることがないのである。
【0019】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、線引きを行うサイドマーカを収納位置で係止するサイドマーカ収納フックのフック基部を、左右回動及び前後回動可能に構成したので、作業状態でサイドマーカを収納した位置で保持するときには、左右方向へ回動するだけで、マーカ収納フックでサイドマーカを係合保持することがで、また、分割苗載台を折り畳んで、サイドマーカー基部も折り畳んだ状態とした時にはマーカ収納フックを後方に回動すれば、容易にサイドマーカーを係合保持することができ、収納位置でも張出位置でも、フック基部やリンク等の各部に無理な負担をかけることがなく、このため、各部品の負荷が減少し、金属疲労を生じる度合いが減少し、部品の使用可能期間を長くすることが可能であり、経済的である。
【0020】また、フック基部の枢支軸上に弾性部材を外嵌し、該弾性部材によりフック基部を枢支軸心方向に付勢したので、フック基部の前後動を許容でき、しかも、弾性部材で付勢しているので、マーカーを収納時には常にサイドマーカを引っ張った状態にでき、係止した状態で振動や衝撃等が発生しても外れることがなく、また、振動等で騒音が発生するようなこともないのである。
【0021】また、サイドマーカ収納フックを弾性体により構成したので、変形させても元の形状に復元するため、サイドバンパ108を後方に回動した後に、該マーカ収納フック124で屈折リンク122を係合保持する場合に、該マーカ収納フック124を後方へ屈曲し、前記屈折リンク122を係合保持することが可能である。また、永久変形しにくい為、交換の必要性が減少し、ランニングコストが軽減するため経済的である。
【0022】また、サイドマーカを中途部で屈折可能とし、該サイドマーカの収納時に屈折させるようにした田植機において、サイドマーカの張出・収納時に、屈折、伸長駆動する屈折リンクを弾性体により構成したので、サイドマーカの収納時には、内側へ回動するように付勢できてサイドバンパよりも内側に収納可能となった。また、サイドマーカを張出・伸長した場合には、前記屈折リンクがサイドマーカを下方回動する方向に付勢するため、サイドマーカを圃場の土中へ確実に突っ込むことが可能である。また、固い圃場においてサイドマーカが突き上げられた場合においても屈折リンクが弾性変形し、サイドマーカが破損する可能性が少なく、常に下方へ付勢しているので、跳ね上がって線が切れたりすることもない。また、サイドマーカ収納フックにより該屈折リンクを変形させ係合保持しても、永久変形しないため、サイドマーカの土中への挿入量が変化しないように構成可能である。また、永久変形しにくい為、交換の必要性が減少し、ランニングコストが軽減するため経済的である。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−127614
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−295954