| 【発明の名称】 |
水田作業車 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 富穂
【氏名】向井 猛
【氏名】北井 浩昭
【氏名】藤井 健二
【氏名】古市 正和
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| 【要約】 |
【課題】左右の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキを備えた水田作業車において、旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作しての旋回操作が楽に行えるようにする。
【解決手段】前輪1が直進位置から右又は左に操向操作されると旋回中心側のサイドブレーキ45を制動側に操作可能な操作手段と、操作手段を作動状態及び停止状態に人為的に操作自在な人為操作具43とを備える。走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、この変速操作に連動して人為操作具43を停止位置に操作する牽制手段68を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右に操向操作自在な左右一対の前輪と、左右一対の後輪と、左右の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキとを備え、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されると前記旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作可能な操作手段と、前記操作手段を作動状態及び停止状態に人為的に操作自在な人為操作具とを備えると共に、走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、この変速操作に連動して前記人為操作具を停止位置に操作する牽制手段を備えてある水田作業車。 【請求項2】 左右に操向操作自在な左右一対の前輪と、左右一対の後輪と、左右の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキと、前輪と後輪とが略同じ速度で駆動される標準状態及び前輪が後輪よりも高速で駆動される増速状態に操作自在な前輪変速装置とを備えて、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されると前記旋回中心側のサイドブレーキを制動側に操作可能な第1操作手段と、前記第1操作手段を作動状態及び停止状態に人為的に操作自在な第1人為操作具とを備え、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されると前記前輪変速装置を標準状態から増速状態に操作する第2操作手段と、前記第2操作手段を作動状態及び停止状態に人為的に操作自在な第2人為操作具とを備えると共に、走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、この変速操作に連動して前記第1及び第2人為操作具を停止位置に操作する牽制手段を備えてある水田作業車。 【請求項3】 前輪の直進位置からの操向角度が大きくなるほど、前記旋回中心側のサイドブレーキの制動力が強くなり、前輪の直進位置からの操向角度が小さくなるほど、前記旋回中心側のサイドブレーキの制動力が弱くなるように構成してある請求項1又は2記載の水田作業車。 【請求項4】 前記前輪変速装置の被操作部に係合して前記被操作部を移動操作することにより、前記前輪変速装置を標準状態から増速状態に操作する操作部材と、前輪と前記操作部材とを機械的に連係する連係機構とを備えて、前記第2操作手段を構成し、前記操作部材を前記被操作部から離間操作することによって、前記第2操作手段の停止状態を現出するように、前記第2人為操作具を構成してある請求項2又は3記載の水田作業車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の水田作業車における走行系の構成に関する。 【0002】 【従来の技術】水田作業車の一例である乗用型田植機においては、右の後輪を制動可能なサイドブレーキ及びこのサイドブレーキを制動側に操作するサイドブレーキペダル、左の後輪を制動可能なサイドブレーキ及びこのサイドブレーキを制動側に操作するサイドブレーキペダルを備えている。これにより一回の植付行程が終了して機体が畦際に達した際、運転者は苗植付装置を持ち上げ操作し、操縦ハンドルを操作して前輪を操向操作すると同時に、旋回中心側のサイドブレーキペダルを踏み操作して、畦際で小回り旋回を行って次の植付行程に入る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】乗用型田植機等の水田作業車では前述のような旋回時において、運転者は作業装置の持ち上げ操作、操縦ハンドルによる前輪の操向操作、及び旋回中心側のサイドブレーキペダルの踏み操作と言うように多くの操作を行う必要があるので、旋回時の操作性と言う面で改善の余地がある。本発明は水田作業車において、旋回操作が楽に行えるように構成することを目的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】 〔I〕請求項1の特徴によると、運転者が人為操作具により事前に操作手段を作動状態に操作しておけば、旋回時において前輪が直進位置から右又は左に操向操作されると、操作手段により旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されて、小回り旋回が行われる。 【0005】水田作業車の走行用の変速装置では、一般に路上走行位置及び作業走行位置が備えられており、路上走行位置は比較的高速に設定され、作業走行位置は比較的低速に設定されている。請求項1の特徴によれば、走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、この変速操作に連動して人為操作具が自動的に停止位置に操作されて、操作手段が作動状態から停止状態に自動的に操作される。従って、走行用の変速装置が路上走行位置に変速操作された高速で走行する状態では、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されて旋回が行われても、旋回中心側のサイドブレーキは制動側に操作されない。これにより、高速で走行している状態での旋回時に、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されて、急旋回状態となって乗り心地が悪くなると言う状態が回避される。 【0006】この場合、走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、変速操作に連動して人為操作具が停止位置に移動する状態となるので、運転者がこのような人為操作具の停止位置への移動や、人為操作具が停止位置に操作されている状態を目視することにより、操作手段が停止状態に自動的に操作されたことを認識することができる。従って、操作手段が停止状態に操作されたことに運転者が気付かずに、操作手段がまだ作動状態に操作されていると言うような誤解を、運転者が持つ状態を回避することができる。 【0007】〔II〕水田作業車ではサイドブレーキに加えて、前輪と後輪とが略同じ速度で駆動される標準状態及び前輪が後輪よりも高速で駆動される増速状態に操作自在な前輪変速装置を備えることが提案されている。これにより請求項2の特徴によると、運転者が第1及び第2人為操作具により事前に第1及び第2操作手段を作動状態に操作しておけば、旋回時において前輪が直進位置から右又は左に操向操作されると、第1操作手段により旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作され、第2操作手段により前輪変速装置が標準状態から増速状態に自動的に操作されて、旋回中心側の後輪への制動作用及び前輪による旋回方向への引っ張り作用によって、小回り旋回が行われる。 【0008】水田作業車の走行用の変速装置では、一般に路上走行位置及び作業走行位置が備えられており、路上走行位置は比較的高速に設定され、作業走行位置は比較的低速に設定されている。請求項2の特徴によれば、走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、この変速操作に連動して第1及び第2人為操作具が自動的に停止位置に操作されて、第1及び第2操作手段が作動状態から停止状態に自動的に操作される。従って、走行用の変速装置が路上走行位置に変速操作された高速で走行する状態では、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されて旋回が行われても、旋回中心側のサイドブレーキは制動側に操作されず、前輪変速装置も増速状態に操作されずに標準状態に残される。これにより、高速で走行している状態での旋回時に、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作され、前輪変速装置が標準状態から増速状態に操作されて、急旋回状態となって乗り心地が悪くなると言う状態が回避される。 【0009】この場合、走行用の変速装置が作業走行位置から路上走行位置に変速操作されると、変速操作に連動して第1及び第2人為操作具が停止位置に移動する状態となるので、運転者がこのような第1及び第2人為操作具の停止位置への移動や、第1及び第2人為操作具が停止位置に操作されている状態を目視することによって、第1及び第2操作手段が停止状態に自動的に操作されたことを認識することができる。従って、第1及び第2操作手段が停止状態に操作されたことに運転者が気付かずに、第1及び第2操作手段がまだ作動状態に操作されていると言うような誤解を、運転者が持つ状態を回避することができる。 【0010】〔III〕請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項〔I〕〔II〕に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。旋回中心側のサイドブレーキにより旋回中心側の後輪に制動を掛けて旋回を行う場合に、旋回中心側のサイドブレーキの制動力が強いと、充分な小回り旋回が行えるのに対して、旋回中心側の後輪により田面を荒らす傾向が強い。逆に旋回中心側のサイドブレーキの制動力が弱いと、充分な小回り旋回が行い難いのに対して、旋回中心側の後輪により田面を荒らすことが少ない。 【0011】請求項3の特徴によると、前輪の直進位置からの操向角度が大きいと言うように、できるだけ小さな小回り旋回を行いたい場合には、旋回中心側のサイドブレーキの制動力が強くなる。逆に前輪の直進位置からの操向角度が小さいと言うように、あまり小さな小回り旋回を行う必要がない場合には、旋回中心側のサイドブレーキの制動力が弱くなる。このように、あまり小さな小回り旋回を行う必要がない場合に、旋回中心側のサイドブレーキの制動力を弱くして、旋回中心側の後輪に制動を不必要に掛けないようにすることにより、旋回中心側の後輪により田面を荒らす状態を少なくすることができる。 【0012】〔IV〕請求項4の特徴によると、請求項2又は3の場合と同様に前項〔II〕〔III〕に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。前輪変速装置の第2操作手段を、被操作部に係合して被操作部を移動操作することにより前輪変速装置を標準状態から増速状態に操作する操作部材、前輪と操作部材とを機械的に連係する連係機構を備えて構成すれば、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されると、前輪の動作が連係機構を介して操作部材に伝達され、操作部材により被操作部が操作されて、前輪変速装置が標準状態から増速状態に操作される。 【0013】請求項4の特徴によると第2人為操作具を停止位置に操作すれば、操作部材が被操作部から離間操作される。これにより、前輪が直進位置から右又は左に操向操作されても、前輪の動作により被操作部が操作されることはなく、第2操作手段の停止状態となる。この場合、前輪と操作部材とを機械的に連係する連係機構を連係させた状態のままで、連係機構の端部に位置する操作部材を被操作部から離間操作することにより、第2操作手段を停止状態に操作することができるので、連係機構の途中の部分を分離して、第2操作手段の停止状態を得ると言うような複雑な構造を採用しなくてもよい。 【0014】 【発明の実施の形態】 (1)図1に示すように、操向操作自在なラグ無しの左右一対の前輪1、及び幅広のラグ2Aを備えた左右一対の後輪2により機体が支持され、機体の後部に苗植付装置3がリンク機構7により昇降操作自在に連結されて、四輪駆動型の水田作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。 【0015】次に、乗用型田植機の走行伝動系について説明する。図2及び図1に示すように、機体の前部に配置されたエンジン4の動力が、ゴムカップリング13、軸受け14によって支持された主クラッチ12及び伝動軸16を介して、前進側及び後進側に無段階に変速操作自在な静油圧式無段変速装置5、高速位置H及び低速位置Lに変速操作自在でミッションケース6に内装された副変速装置17に伝達され、後輪デフ装置(図示せず)を介して左右の後輪2に伝達されている。後輪デフ装置の直前から分岐した動力が、伝動軸18及び前輪変速装置9、前輪デフ装置10(図4参照)を介して左右の前輪1に伝達される。 【0016】後車軸ケース8は潤滑油が満たされてオイルバス化されており、図11及び図12に示すように後車軸ケース8において、後輪2を支持する支持ケース8Aに亘りパイプフレーム69が連結され、パイプフレーム69と後車軸ケース8の中央部とがブラケット69Aを介して連結されている。支持ケース8Aとパイプフレーム69との間にOリング70が取り付けられ、片側の支持ケース8Aとパイプフレーム69との連結部分に、間隔調節用のシム板71が挿入されている。 【0017】これにより、パイプフレーム69によって後車軸ケース8の全体が補強されるのであり、後車軸ケース8(支持ケース8A)の潤滑油がパイプフレーム69を通って行き来する状態となる。後述するパワーステアリング機構(図示せず)の作動油をミッションケース6の横側面から吸引する場合、前述のように後車軸ケース8(支持ケース8A)の潤滑油が、パイプフレーム69を通って行き来する状態とすることにより、吸引時の不快音や潤滑油の温度の上昇を抑えることができる。 【0018】(2)次に、前輪変速装置9の付近の構成について説明する。図2及び図4に示すように、機体の前部に前輪変速装置9が固定されて、前輪変速装置9の前端のボス部9Aと、機体の前部に固定された支持部材15とにより、前車軸ケース11が前後軸芯X周りにローリング自在に支持されており、前車軸ケース11の両端部に前輪1が左右に操向自在に支持されている。図4に示すように前輪変速装置9において、伝動軸18に接続される入力軸19に、第1標準ギヤ21及び第1増速ギヤ22が固定されており、出力軸20に相対回転自在に支持された第2標準ギヤ23及び第2増速ギヤ24が、第1標準ギヤ21及び第1増速ギヤ22に咬合している。 【0019】シフト部材25がスプライン構造により、出力軸20にスライド自在及び一体回転自在に外嵌されており、第2増速ギヤ24と出力軸20との間に、摩擦多板型式の増速クラッチ27が設けられている。前車軸ケース11にベアリング47を介して前輪デフ装置10が支持されており、前輪変速装置9の出力軸20のギヤ20Aが、前輪デフ装置10の入力ギヤ50に咬合している。前輪デフ装置10から一方の前輪1への伝動軸52に、デフロック部材51がスプライン構造にてスライド自在に外嵌されており、操作部材55によりデフロック部材51をスライド操作して、前輪デフ装置10のケース46に構造させることにより、前輪デフ装置10をロック操作する。 【0020】これにより、シフト部材25を図4に示すように紙面右方にスライド操作して第2標準ギヤ23に咬合させると、伝動軸18からの動力が第1及び第2標準ギヤ21,23、出力軸20、前輪デフ装置10及び伝動軸52を介して、前輪1と後輪2とが略同じ速度で駆動される標準状態で左右の前輪1に伝達される。シフト部材25を図4に示す状態から紙面左方にスライド操作し、増速クラッチ27を押圧して増速クラッチ27を伝動側に操作すると、伝動軸18からの動力が第1及び第2増速ギヤ22,24、出力軸20、前輪デフ装置10及び伝動軸52を介して、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態で左右の前輪1に伝達される。 【0021】(3)次に前輪変速装置9の操作構造について説明する。図4及び図7に示すように、前輪変速装置9のシフト部材25をスライド操作するシフトフォーク34が、軸芯方向に摺動自在な操作軸26に支持されて、バネ39により第2標準ギヤ23側(標準状態側)に付勢されている。図2,3,7に示すように、前輪変速装置9に操作軸35が回転自在に支持されて、操作軸35の回転中心から偏位した操作ピン35Aが、シフトフォーク34に係合しており、操作軸35を回転操作することにより、シフトフォーク34及びシフト部材25をスライド操作することができる。 【0022】図2及び図3に示すように、操縦ハンドル28(図1参照)に連係されて、パワーステアリング機構(図示せず)により左右に揺動操作されるピットマンアーム29が備えられ、前輪1のナックルアーム30とピットマンアーム29とがタイロッド31により連結されている。図2,3,6に示すようにピットマンアーム29にカム板32が固定されており、機体固定部の縦軸芯P1周りに揺動自在に支持されたカムアーム33のピン33Aが、カム板32のカム孔32Aに係入されている。前輪変速装置9の操作軸35に操作アーム36が固定されており、操作アーム36とカムアーム33とに亘り連係ロッド37が接続されている。 【0023】以上の構造により、図1に示す操縦ハンドル28及びパワーステアリング機構によって、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置から右又は左の設定角度以上に操向操作されると、カム孔32Aとピン33Aとのカム作用により、カムアーム33が図3の紙面左方に揺動操作されて、連係ロッド37がカムアーム33側に引き操作される。これにより、図3及び図7に示す操作軸35が回転操作され、操作軸35の操作ピン35Aによりシフトフォーク34が図4の紙面左方にスライド操作されて、シフト部材25が増速クラッチ27を押圧し伝動側に操作して、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態となる。 【0024】以上の状態は、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置から右又は左の設定角度以上に操向操作されると、前輪変速装置9が標準状態から増速状態に操作される作動状態である。これに対し、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置から右又は左の設定角度以上に操向操作されても、前輪変速装置9が増速状態に操作されずに標準状態に残される停止状態に操作することが可能に構成されており、次にこの停止状態への操作構造について説明する。 【0025】図5及び図7に示すように、右側の機体フレーム40のブラケット40Aに、ボス部材38が横軸芯P2周りに回転自在に支持されて、ボス部材38に固定された一対の第1アーム38Aが操作軸35に係合しており、シフトフォーク34及びシフト部材25を第2標準ギヤ23側(標準状態側)に付勢するバネ39が操作軸35に接続されている。右側の機体フレーム40の横軸芯P3周りに天秤アーム41が揺動自在に支持されており、ボス部材38に固定された第2アーム38Bと天秤アーム41の一端とが、連係ロッド42により接続されている。図5及び図1に示すように、天秤アーム41の他端に第2操作レバー44が固定されており、機体の右側前部に突出するように第2操作レバー44が配置されている。 【0026】図1及び図5に示す状態は、第2操作レバー44を引き上げて作動位置に操作している状態であり、図7に示すように操作軸35の操作ピン35Aがシフトフォーク34に係合している。これにより、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置から右又は左の設定角度以上に操向操作されると、前輪変速装置9が標準状態から増速状態に操作される作動状態となっている。 【0027】逆に図1及び図5に示す状態から第2操作レバー44を押し下げて停止位置に操作すると、天秤アーム41及びボス部材38の第1アーム38Aにより、操作軸35が図7の紙面右方にスライド操作されて、操作軸35の操作ピン35Aがシフトフォーク34から離れる。これにより、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置から右又は左の設定角度以上に操向操作されても、操作軸35が空転するだけでシフトフォーク34はスライド操作されず、前輪変速装置9が標準状態に残される停止状態となる。 【0028】(4)図11に示すように、左右の後輪2を各々独立に制動可能な左右一対のサイドブレーキ45が後車軸ケース8に備えられており、次にこのサイドブレーキ45の操作構造について説明する。図11に示すように右及び左のサイドブレーキ45の各々に対して、右及び左のブレーキ操作機構48が備えられており、右及び左のブレーキ操作機構48は次のように構成されている、図8及び図9に示すように、横軸芯P4周りに回転自在に支持されたボス部材49にサイドブレーキペダル53が固定されており、ボス部材49に固定された第1アーム49Aとサイドブレーキ45とが、連係ロッド54により接続されている。図1及び図11に示すように、サイドブレーキペダル53は機体の右側前部に第2操作レバー44に並べて配置されており、サイドブレーキペダル53を踏み操作することにより、サイドブレーキ45を制動側に操作することができる。 【0029】図8及び図9に示すように、ボス部材49の第1アーム49Aに長孔49Cが形成されており、別に備えられた連係アーム56のピン56Aが、第1アーム49Aの長孔49Cに挿入されている。連係アーム56に縦長状の凹部56Bが形成されており、連係アーム56の凹部56Bに、ボス部材49に固定された第2アーム49Bのピン49Dが入り込んでいる。 【0030】図3及び図11に示すように、機体の前部に配置された支持フレームの縦軸芯P5周りに、左右一対の操作アーム58が揺動自在に支持されており、前輪1(ピットマンアーム29)の直進位置において、右及び左の操作アーム58のローラー58Aが、カム板32に接当している。図3,8,9,11に示すように右及び左の操作アーム58と、右及び左のブレーキ操作機構48の連係アーム56とが、融通用のバネ59及びワイヤ60により接続されている。右及び左の操作アーム58を図3の姿勢で止めるストッパー用のボルト61が備えられており、バネ59よりも付勢力の弱い戻しバネ62が、連係アーム56のピン56Aに接続されている。 【0031】以上の構造により、旋回時に例えば前輪1を直進位置から左に操向操作し始めると、ピットマンアーム29に固定されたカム板32が、左の操作アーム58のローラー58Aを押し始めてワイヤ60が引き操作され始める。これにより、左のブレーキ操作機構48において、ワイヤ60が図8の紙面左方に引き操作されると、連係アーム56の凹部56Bと第2アーム49Bのピン49Dとの係合により、ボス部材49が図8の紙面反時計方向に回転操作されて、ボス部材49の第1アーム49Aにより左のサイドブレーキ45が制動側に操作され始める。この場合、前輪1(ピットマンアーム29)の左への操向角度が大きくなるほど、ワイヤ60の引き操作量が大きくなり、これに比例して左のサイドブレーキ45の制動力が強くなる。 【0032】前述のように前輪1(ピットマンアーム29)の左への操向操作により、左のサイドブレーキ45が制動側に操作された状態において、前輪1(ピットマンアーム29)の左への操向角度が左の設定角度に達すると、図3及び前項(3)に記載のように、カム孔32Aとピン33Aとのカム作用により、カムアーム33が図3の紙面左方に揺動操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態に前輪変速装置9が操作される。これによって、左のサイドブレーキ45による左の後輪2への制動、及び前輪変速装置9の増速状態により前輪1が後輪2よりも高速で駆動される状態とにより、機体は左に小回り旋回する。 【0033】次に旋回が終了して、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置側に戻し操作されていくと、ワイヤ60の引き操作量が小さくなり、これに比例して左のサイドブレーキ45の制動力が弱くなっていく。そして、前輪1(ピットマンアーム29)の左への操向角度が、左の設定角度を越えて直進位置側に戻し操作されると、カムアーム33が図3に示す位置に戻し操作されて、前輪1と後輪2とが略同じ速度で駆動される標準状態に前輪変速装置9が操作されるのであり、前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置に戻し操作されると、左のサイドブレーキ45が制動力「0」の状態に戻し操作される。 【0034】(5)次に前輪1(ピットマンアーム29)を操向操作した場合、前項(4)に記載のように、旋回中心側のサイドブレーキ45が自動的に制動側に操作される作動状態、及び制動側に操作されない停止状態への操作構造について説明する。図10及び図11に示すように、横軸芯P6周りに操作板63が揺動自在に支持されて、操作板63に第1操作レバー43が固定されており、図1に示すように運転席67の下側に第1操作レバー43が配置されている。図8,9,10,11に示すように、右及び左のブレーキ操作機構48の連係アーム56と操作板63とが、一対のワイヤ64により接続されている。図10及び図5に示すように操作板63に長孔63Aが形成されており、操作板63の長孔63Aと第2操作レバー44の天秤アーム41とが、ワイヤ65により接続されている。 【0035】図10に示す状態は第1及び第2操作レバー43,44を作動位置に操作している状態であり、図8に示すように右及び左のブレーキ操作機構48における連係アーム56の凹部56Bに、第2アーム49Bのピン49Dが入り込み、図7に示すように操作軸35の操作ピン35Aが、シフトフォーク34に係合した状態である。この状態で、例えば前輪1(ピットマンアーム29)を左に操向操作すると、前項(3)(4)に記載のように、左のサイドブレーキ45が制動側に操作され、前輪変速装置9が標準状態から増速状態に操作される。 【0036】次に第1操作レバー43を作動位置から停止位置に操作すると、一対のワイヤ64が操作板63側に引き操作され、図8において右及び左のブレーキ操作機構48の連係アーム56が、二点鎖線に示すように紙面反時計方向に揺動操作されて、連係アーム56の凹部56Bが第2アーム49Bのピン49Dから紙面右方に離れる。この第1操作レバー43の停止位置への操作の連動して、ワイヤ65により第2操作レバー44が作動位置から停止位置に操作され、操作軸35が図7の紙面右方にスライド操作されて、操作軸35の操作ピン35Aがシフトフォーク34から離れる。 【0037】この状態で、例えば前輪1(ピットマンアーム29)を左に操向操作して、ワイヤ60が図8の紙面左方に引き操作されても、連係アーム56のピン56Aが第1アーム49Aの長孔49Cに沿って紙面左方に移動するだけで、ボス部材49が紙面反時計方向に回転操作されることはなく、左のサイドブレーキ45が制動側に操作されることはない。さらに前輪1(ピットマンアーム29)が直進位置から右又は左の設定角度以上に揺動操作されても、操作軸35が空転するだけでシフトフォーク34はスライド操作されず、前輪変速装置9は増速状態に操作されずに標準状態に残される。 【0038】前述のように第1及び第2操作レバー43,44が停止位置に操作された状態において、第1操作レバー43を停止位置から作動位置に操作することができるのであり、第1操作レバー43を停止位置から作動位置に操作しても、操作板63の長孔63Aの作用により、第2操作レバー44は作動位置に操作されずに停止位置に残される。図10に示すように、第1及び第2操作レバー43,44が作動位置に操作されている状態において、操作板63の長孔63Aの作用により、第1操作レバー43を作動位置に残して、第2操作レバー44を作動位置から停止位置に操作することができる。 【0039】図1及び図10に示すように、副変速装置17を低速位置L及び高速位置Hに操作する副変速レバー66が、運転席67の左横側に配置されている。路上を比較的高速で走行して移動する場合には、副変速レバー66により副変速装置17を高速位置Hに変速操作するのであり、水田での植付走行時には、副変速レバー66により副変速装置17を低速位置Lに変速操作する。図10に示すように、操作板63に形成された長孔63Bと、副変速レバー66とがワイヤ68を介して接続されている。 【0040】以上の構成により、図10に示すように第1及び第2操作レバー43,44を作動位置に操作している状態において、副変速レバー66を低速位置Lから高速位置Hに操作すると、ワイヤ68により第1操作レバー43が作動位置から停止位置に操作され、ワイヤ65により第2操作レバー44が作動位置から停止位置に操作される。 【0041】図10に示すように副変速レバー66が低速位置Lに操作されている状態において、操作板63の長孔63Bの作用により、第1操作レバー43を作動位置から停止位置に操作することができるのであり、第1操作レバー43の停止位置への操作に連動して、ワイヤ65により第2操作レバー44が作動位置から停止位置に操作される。 【0042】〔発明の実施の別形態〕図1〜図12に示す構成では前輪変速装置9が備えられているが、図13に示すように前輪変速装置9を備えないように構成してもよい。図13に示すように前輪変速装置9を備えないと、図11に示すカムアーム33、連係ロッド37、第2操作レバー44、天秤アーム41及びワイヤ42,65等が不要になる。 【0043】 【発明の効果】請求項1の特徴によると、左右の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキを備えた水田作業車において、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキペダルを踏み操作しなくても、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるようになり、運転者にとって旋回操作が楽に行えるようになって、水田作業車の操作性を向上させることができた。 【0044】請求項1の特徴によると、走行用の変速装置を比較的高速の路上走行位置に変速操作すれば、旋回中心側のサイドブレーキを自動的に制動側に操作する操作手段が、自動的に停止状態に操作されるように構成することにより、高速で走行している状態での旋回時に、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作され、急旋回状態となって乗り心地が悪くなると言う状態を未然に回避することができるようになって、水田作業車の乗り心地を向上させることができた。この場合に、走行用の変速装置の路上走行位置への変速操作に連動して、操作手段の人為操作具が停止位置に移動する状態となり、操作手段が停止状態に自動的に操作されたことを、運転者が認識することができるので、誤解に基づく運転者の誤操作を未然に防止することができた。 【0045】請求項2の特徴によると、左右の後輪を各々独立に制動可能なサイドブレーキ及び前輪変速装置を備えた水田作業車において、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキペダルを踏み操作しなくても、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作され、前輪変速装置が標準状態から増速状態に自動的に操作されるようになり、運転者にとって旋回操作が楽に行えるようになって、水田作業車の操作性を向上させることができた。 【0046】請求項2の特徴によると、走行用の変速装置を比較的高速の路上走行位置に変速操作すれば、旋回中心側のサイドブレーキを自動的に制動側の操作する第1操作手段、及び前輪変速装置を標準状態から増速状態に自動的に操作する第2操作手段が、自動的に停止状態に操作されるように構成することにより、高速で走行している状態での旋回時に、旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作され、前輪変速装置が標準状態から増速状態に自動的に操作されて、急旋回状態となって乗り心地が悪くなると言う状態を未然に回避することができるようになって、水田作業車の乗り心地を向上させることができた。この場合に、走行用の変速装置の路上走行位置への変速操作に連動して、第1及び第2操作手段の第1及び第2人為操作具が停止位置に移動する状態となり、第1及び第2操作手段が停止状態に自動的に操作されたことを、運転者が認識することができるので、誤解に基づく運転者の誤操作を未然に防止することができた。 【0047】請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前述の請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項3の特徴のように、前輪の直進位置からの操向角度に応じて、旋回中心側のサイドブレーキの制動力が強弱に設定されるように構成することにより、旋回中心側の後輪に制動を不必要に掛けないようにして、旋回中心側の後輪による田面の荒れを少なくすることができるようになり、水田作業車の走行性能を向上させることができた。 【0048】請求項4の特徴によると、請求項2又は3の場合と同様に前述の請求項2又は3の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項4の特徴によると、前輪と操作部材とを機械的に連係する連係機構を連係させた状態のままで、連係機構の端部に位置する操作部材を被操作部から離間操作することにより、第2操作手段を停止状態に操作することができるので、連係機構の途中の部分を分離して、第2操作手段の停止状態を得ると言うような複雑な構造を採用しなくてもよくなり、構造の簡素化と言う面で有利なものとなった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月4日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−127613 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−301628 |
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