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【発明の名称】 ロータリー耕耘制御装置及び方法
【発明者】 【氏名】栖原 康行

【氏名】橋本 康弘

【要約】 【課題】耕耘深度や土壌特性を精確に検知して、均一な耕耘を効率よく行えるロータリー耕耘制御装置及び方法を提供すること。

【解決手段】ロータリー耕耘装置を備えた農作業機において、ロータリー回転軸に、ロータリー回転軸の回転角を測定する回転角測定手段を設置すると共に、ロータリー爪、或いは、ロータリー爪をロータリー回転軸へ取り付ける取付部材に、ロータリー爪にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段を設置して、両手段により求められたロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との相関関係から、耕耘深度または土壌特性を検知する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロータリー耕耘装置を備えた農作業機において、ロータリー回転軸に、ロータリー回転軸の回転角を測定する回転角測定手段を設置すると共に、ロータリー爪、或いは、ロータリー爪をロータリー回転軸へ取り付ける取付部材に、ロータリー爪にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段を設置して、両手段により求められたロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との相関関係から、耕耘深度または土壌特性を検知することを特徴とするロータリー耕耘制御装置。
【請求項2】 請求項1における相関関係を、帰納によって標準化して、標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷から、耕耘深度または土壌特性を求めることを特徴とするロータリー耕耘制御装置。
【請求項3】 請求項2における標準的相関関係と、ロータリー爪にかかる耕耘負荷とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御することを特徴とするロータリー耕耘制御装置。
【請求項4】 ロータリー耕耘装置を備えた農作業機の耕耘作業を最適化制御する方法であって、ロータリー回転軸に、ロータリー回転軸の回転角を測定する回転角測定手段を設置すると共に、ロータリー爪、或いは、ロータリー爪をロータリー回転軸へ取り付ける取付部材に、ロータリー爪にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段を設置して、両手段により求められたロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との相関関係を、帰納によって標準化して、標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷から、耕耘深度または土壌特性を求め、標準的相関関係と、ロータリー爪にかかる耕耘負荷とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御することを特徴とするロータリー耕耘制御方法。
【請求項5】 ロータリー耕耘装置を備えた農作業機において、ロータリーカバーの内面に、ロータリー爪によって耕起飛散された土塊の衝撃を計測する衝撃計測手段を設置して、衝撃計測手段により求められた衝撃と土壌特性との相関関係を、帰納によって標準化して、標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃から、土壌特性を求めることを特徴とするロータリー耕耘制御装置。
【請求項6】 請求項5における標準的相関関係と、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御することを特徴とするロータリー耕耘制御装置。
【請求項7】 ロータリー耕耘装置を備えた農作業機の耕耘作業を最適化制御する方法であって、ロータリーカバーの内面に、ロータリー爪によって耕起飛散された土塊の衝撃を計測する衝撃計測手段を設置して、衝撃計測手段により求められた衝撃と土壌特性との相関関係を、帰納によって標準化して、標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃から、土壌特性を求め、標準的相関関係と、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御することを特徴とするロータリー耕耘制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリー耕耘装置の耕耘制御をする装置及び方法、特に、耕耘深度や土壌特性を検知しロータリー回転軸の地面からの高さや駆動様態を最適化制御する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ロータリー耕耘装置を備えたトラクター等の農作業機を用いて、耕耘作業する際、耕耘深度や土壌の特性に関する情報は、作業の精度と効率の向上に有益である。これらの情報が、耕耘作業中に逐次得られると、それを耕耘装置へフィードバックすることで、一定の深度で効率よく耕耘することが容易になる。
【0003】耕耘深度を一定に保つためには、次のような工夫が従来なされていた。例えば、特開平8−317710号「農作業機における耕深制御装置」は、尾輪の昇降動作により耕耘深度を検知して、その検出値を、ロータリー耕耘装置を回動支持する油圧リフトにフィードバックする装置を開示している。このように、尾輪等の接地部材を検出器として用いると、簡略な構成で耕耘深度を検知できる利点があるが、検出器とロータリー爪との位置に差に起因する時間的誤差や、土壌の凹凸に起因するノイズ、土壌との摩擦に起因する接地部材の沈降や不連続動作によって、精確な検知が得られ難かった。また、超音波センサー等の離隔検出器によっても、ロータリー爪との位置の差に起因する時間的誤差や、土壌の凹凸に起因するノイズによって、精確な検知は困難であった。他方、土塊粒度や粘性など土壌の被耕耘特性に関する情報を得るための装置は、従来はなかった。そのため、土壌の特性に応じてロータリー装置を制御することはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、その目的は、耕耘深度や土壌特性を精確に検知して、均一な耕耘を効率よく行えるロータリー耕耘制御装置及び方法を提供して生産性の向上に寄与することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の第1発明ロータリー耕耘制御装置は、ロータリー耕耘装置を備えた農作業機において、ロータリー回転軸に、ロータリー回転軸の回転角を測定する回転角測定手段を設置すると共に、ロータリー爪、或いは、ロータリー爪をロータリー回転軸へ取り付ける取付部材に、ロータリー爪にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段を設置して、両手段により求められたロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との相関関係から、耕耘深度または土壌特性を検知する構成を備える。ここで、この回転角と耕耘負荷との相関関係を、帰納によって標準化して標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷から、耕耘深度または土壌特性を求めるよう構成して、耕耘作業中に逐次、耕耘深度または土壌特性を精確かつ迅速に検知することに寄与させてもよい。更に、標準的相関関係と、ロータリー爪にかかる耕耘負荷とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御して、効率的な均一耕耘に寄与させてもよい。
【0006】また、本発明の第1発明ロータリー耕耘制御方法は、ロータリー耕耘装置を備えた農作業機の耕耘作業を最適化制御する方法であって、ロータリー回転軸に、ロータリー回転軸の回転角を測定する回転角測定手段を設置すると共に、ロータリー爪、或いは、ロータリー爪をロータリー回転軸へ取り付ける取付部材に、ロータリー爪にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段を設置して、両手段により求められたロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との相関関係を、帰納によって標準化して、標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷から、耕耘深度または土壌特性を求め、標準的相関関係と、ロータリー爪にかかる耕耘負荷とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御するロータリー耕耘制御方法である。
【0007】一方、本発明の第2発明ロータリー耕耘制御装置は、ロータリー耕耘装置を備えた農作業機において、ロータリーカバーの内面に、ロータリー爪によって耕起飛散された土塊の衝撃を計測する衝撃計測手段を設置して、衝撃計測手段により求められた衝撃と土壌特性との相関関係を、帰納によって標準化して標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃から、土壌の特性を求める構成を備える。この場合、その標準的相関関係と、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御して、効率的な均一耕耘に寄与させてもよい。
【0008】また、本発明の第2発明ロータリー耕耘制御方法は、ロータリー耕耘装置を備えた農作業機の耕耘作業を最適化制御する方法であって、ロータリーカバーの内面に、ロータリー爪によって耕起飛散された土塊の衝撃を計測する衝撃計測手段を設置して、衝撃計測手段により求められた衝撃と土壌特性との相関関係を、帰納によって標準化して、標準的相関関係を求め、得られた標準的相関関係を演繹的に用いて、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃から、土壌特性を求め、標準的相関関係と、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動を最適化制御するロータリー耕耘制御方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に基づいて説明する。ここでは、農作業機としてトラクターを挙げるが、本発明は、ロータリー耕耘装置を備えた農作業機一般に適用可能である。また、実施形態は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜設計変更可能なものである。図1は、ロータリー耕耘装置を備えたトラクターを概観する正面図であり、図2は、ロータリー耕耘装置の要部側面図である。トラクター(T)の後部(図面の座標系における右寄り)には、ロータリー耕耘装置(R)が装備されている。
【0010】まず、トラクター(T)の概要は次の通りである。前方より順に、エンジン(11)・クラッチケース(12)・ミッションケース(13)が一体的に連設されて機体を形成し、その前後に、走行用の前後車輪(14)(15)が配設される。また上部には、運転席(16)と走行ハンドル(17)が配設されている。この機体の後部に、ロータリー耕耘装置(R)が、3点リンク機構(20)及び油圧リフト(21)によって昇降自在に延設される。
【0011】ロータリー耕耘装置(R)の機体(30)は、トップリンク(25)及びロアリンク(24)によって、トラクター(T)と連結支持される。ロアリンク(24)は、リフトロッド(23)を介して、油圧リフト(21)に備わるリフトアーム(22)に連結されている。このため、油圧リフト(21)を制御することで、リフトアーム(22)・リフトロッド(23)・ロアリンク(24)を介して、ロータリー耕耘装置(R)が昇降制御される。
【0012】ロータリー耕耘装置(R)の概要は次の通りである。ロータリー耕耘装置(R)の駆動力は、PTO軸(18)から、チェーンケース(31)を介してロータリー回転軸(33)へ伝導される。ロータリー回転軸(33)は機体幅方向に設置され、複数のロータリー爪(36)が、略垂直に取り付けられている。そのため、ロータリー回転軸(33)が回転することによって、ロータリー爪(36)が土壌を耕起する。耕耘された土塊が上方へ飛散するのを抑止するために、ロータリーカバー(32)が、ロータリー爪(36)を上から覆う曲面形状で設けられている。
【0013】本発明の第1発明装置では、このようなロータリー耕耘装置(R)に、ロータリー回転軸(33)の回転角θを測定する回転角測定手段と、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段とが付設される。回転角測定手段は、軸の回転を測定する機能を具備するものであれば、従来公知のメーターが任意に利用できる。例えば、ロータリー回転軸(33)の軸受(37)に、図示しない回転角測定器を設置して、ロータリー爪(36)の回転角θを測定する。ロータリー爪(36)の回転角θは、図1に示したように、水平面を始点としてロータリー爪(36)がどの程度下方へ回転したかを測る指標である。始点の較正は、軸受(37)等に付設される図示しない水平標準器によって逐次行う。
【0014】一方、負荷計測手段は、応力を直接或いは間接に計測する機能を具備するものであれば、従来公知のセンサーが任意に利用できる。例えば圧電素子(36s)を用いて、ロータリー爪(36)、或いは、ロータリー爪(36)をロータリー回転軸(33)へ取り付ける取付部材に付設する。図示した実施例では、ロータリー回転軸(33)の外周面上に、ロータリー爪(36)の根元部を嵌入支持する略筒状のホルダー(34)が一体的に複数突設されている。ロータリー爪(36)は、このホルダー(34)に嵌入されボルト(35)類で固定される。そして、圧電素子(36s)が、ロータリー爪(36)とホルダー(34)との間に配設されている。これによって、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷を、圧電素子(36s)が感知する応力sとして計測することができる。
【0015】ここでは、圧電素子(36s)が、独立した部材として、ロータリー爪(36)とホルダー(34)の間に位置しているが、圧電素子(36s)は、ロータリー爪(36)或いはホルダー(34)と一体的に構成してもよい。また、圧電素子(36s)を、ロータリー爪(36)固定用のボルト(35)類に設けてもよい。
【0016】上記の回転角測定手段によって求められたロータリー回転軸(33)の回転角θと、負荷計測手段によって求められたロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷すなわち圧電素子(36s)が感知する応力sとの間には、特定の相関関係がある。例えば、図1の場合、回転角θが約20度の時に、ロータリー爪(36)が土壌に打ち込まれ、耕耘負荷がかかり始める。この耕耘負荷は、ロータリー爪(36)が土壌を耕起している間は強くかかり、回転角θが約90度を超えると、耕起した土塊を投出する負荷のみになり、投出を終えると耕耘負荷は皆無になる。
【0017】このように、ロータリー回転軸(33)の回転角θと、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷との間には特定の相関関係があるので、この相関関係を求めれば、耕耘負荷から回転角θを求めること、並びに、回転角θから耕耘負荷を求めることのいずれもが可能になる。
【0018】ところで、耕耘負荷の大小を決める主因は、耕耘深度hと土壌特性pである。土壌の特性pとしては、土壌を構成する成分の結合強度や、土壌の巨視的粘性、土塊の粒度、地表の硬度などが挙げられる。そこで本発明では、ロータリー回転軸(33)の回転角θと、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷すなわち圧電素子(36s)が感知する応力sとの間の相関関係を利用して、耕耘負荷の主因である耕耘深度hまたは土壌特性pを検知して、その情報をロータリー耕耘装置(R)の制御に活用する。
【0019】例えば、1回だけの計測s=f(θ)でも、耕耘負荷すなわち圧電素子(36s)が感知する応力sのかかり始める回転角θh から、下式により耕耘深度hを求めることが可能である。
h=r(1−sinθh ) {rはロータリー爪(36)の径}
しかし、複数回の計測si =fi (θ)から、標準的相関関係<fi >を求めておくと、耕耘作業中に逐次、耕耘深度hまたは土壌特性pを精確かつ迅速に検知し、ロータリー回転軸(33)の高さまたは駆動を最適化制御して、効率的な均一耕耘に寄与させることができる。その好適実施例を、図3に示すフローチャートに基づき説明する。
【0020】1. si =fi (θ)
ロータリー回転軸(33)の回転角θと、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷(圧電素子(36s)が感知する応力si )との間の相関関係fi を、実験的に多数収集する。
【0021】2. si =<fi (θ)>得られた相関関係fi を帰納によって標準化して、標準的相関関係<fi >を求める。図4に示す標準的相関関係fa はその1例である。
【0022】3. <fi >=fa ,fb ,fc ,・・・気候気象条件も加味した各圃場の土壌特性pや、耕耘深度hなどの諸条件に応じた標準的相関関係<fi >を類型化して、標準的相関関係<fi >の諸パターンfa ,fb ,fc ,・・・を求める。例えば、土壌の硬度や粘性に依存して、標準的相関関係<fi >は異なるパターンになる。図4及び5に示す標準的相関関係fa 及びfb はその例である。
【0023】図4に示す標準的相関関係<fi >=fa は、土壌の硬度が大きく粘性が小さい場合のものである。土壌の硬度が大きく粘性が小さいと、ロータリー爪(36)が土壌に接して耕起を開始する回転角θh の直後に、耕耘負荷が急増し応力sが最大値sm をとり、以降漸減し、回転角θが約90度を超えると、耕起した土塊を投出する負荷のみになり急減し、投出を終えると耕耘負荷は皆無になる。
【0024】一方、図5に示す標準的相関関係<fi >=fb は、土壌の硬度が小さく粘性が大きい場合のものである。高含水率や粘土質鉱物などに起因して土壌の硬度が小さく粘性が大きいと、耕耘負荷は、回転角θh から微増し始め、応力sが最大値sm から余り変化しない状態が保たれ、以降漸減する略箱形ポテンシャルを示し、回転角θが約90度を超えても、大きな粘性のために土壌がロータリー爪(36)に付着残留して、耕耘負荷は急減しない。
【0025】4. <f>=fa耕耘作業中に、ロータリー回転軸(33)の回転角θと、ロータリー爪(36)にかかる応力si との間の相関関係fを計測する。そして、この相関関係fにパターン近似する標準的相関関係<f>例えばfaを選定して、耕耘作業中の圃場がどのタイプに属するか判定する。
【0026】標準的相関関係<f>を選定するする際、計測された相関関係fはスムージングされる。例えば、図4におけるs1 やs2 、s3 のように、不連続的に大きく変化する値は、根菜等の軟質物や岩石等の硬質物にロータリー爪(36)が当たった時のものと判断して捨象する。その捨象基準は、応力sの変化率ds/dθの大きさds/dθ > a {aは所定の閾値を示す定数}
や、サージを示す回転角θの変域Δθ(s≒s1 )の小ささΔθ(b・s1 <s<c・s1 ) < d{b,c,dは所定の閾値を示す定数}などを利用する。
【0027】
5. 回転角θ,応力s ≫ 耕耘深度h,土壌特性p ( <f>=fa ⇒ p=硬度小,粘性大 h=r(1−sinθh
<f>=fb ⇒ p=硬度大,粘性小 h=r{1−sin(90+θ1 −θ2 )}
<f>=fc ⇒ p=・・・・・ h=・・・・・ <f>=・・・ ⇒ p=・・・・・ h=・・・・・ )
選定された標準的相関関係<f>例えばfaを演繹的に用いて、ロータリー回転軸(33)の回転角θとロータリー爪(36)にかかる応力si から、耕耘深度hまたは土壌特性pを検知する。
【0028】例えば、計測した相関関係fが、図4に示した標準的相関関係fa に統計学的に同定された場合、その土壌特性pは、標準的相関関係fa で指標される硬度が大きく粘性が小さいものと判断される。また、応力sのかかり始める回転角θh から、下式により耕耘深度hが求められる。
h=r(1−sinθh
【0029】また、計測した相関関係fが、図5に示した標準的相関関係fbに統計学的に同定された場合、その土壌特性pは、標準的相関関係fb で指標される硬度が小さく粘性が大きいものと判断される。この場合は、応力sの回転角θhからの立ち上がりが微小なので、θh の精確な検出が容易でない。そこで、箱形ポテンシャルの半値幅θ1 −θ2 を利用して、θh を定めると、下式により耕耘深度hが求められる。
θh =90+θ1 −θ2h=r(1−sinθh )=r{1−sin(90+θ1 −θ2 )}
このように、耕耘作業中に、ロータリー回転軸(33)の回転角θと、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷(圧電素子(36s)が感知する応力si )との間の相関関係fを計測し、この相関関係fにパターン近似する標準的相関関係fa ,fb ,fc ,・・・を選定することによって、回転角θや応力sから土壌特性pや耕耘深度hを検知することができる。
【0030】6. f → <f>選定された標準的相関関係<f>例えばfa と、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷の計測値とを対照して、ロータリー耕耘装置を最適化制御する。制御する主な対象は、ロータリー回転軸(33)の高さまたは駆動の様態である。ロータリー回転軸(33)の高さは、耕耘深度hを一定に保つことに寄与するものであり、ロータリー回転軸(33)の駆動様態は、各土壌特性pに応じて有効かつ効率的な耕耘を行うことに寄与する。以下に、駆動制御の様態を、選定された標準的相関関係<f>がfa である場合の例について説明する。
【0031】図6は、ロータリー回転軸(33)の回転角θとトルクtとの関係を示すグラフである。理想曲線Iのパターンは、図4に示した標準的相関関係fa に略近似している。すなわち、ロータリー回転軸(33)の回転角θをパラメーターとして、標準的相関関係faにおける応力sの変化と略近似したパターンで、トルクtを能動的に変化させるロータリー回転軸(33)の駆動が好ましい。換言すれば、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷の変化に対応させて、トルクtを能動的に変化させると、効率的で有効な耕耘を行える。例えば、PTO軸(18)の回転速度が一定の場合は、大きな耕耘負荷が急激にかかると、ロータリー爪(36)のトルクtが受動的に急減して、ロータリー回転軸(33)の回転が停止してしまうこともあり得る。このような不具合を解消すると共に、効率的で有効な耕耘を行うために、ロータリー回転軸(33)の駆動様態を能動的に制御する。
【0032】そのために、PTO軸(18)の回転速度等の駆動系を制御して、耕耘作業中に計測した計測曲線Eが、理想曲線Iと一致するようにする。その際、ニューロネットワーク等の学習手段を利用して、耕耘作業の初期段階でその圃場の土壌特性pを迅速に検知して、ロータリー回転軸(33)の有効かつ効率的な駆動様態に寄与させる。例えば、耕耘負荷が大きくかかり始める回転角θの直前で、予めロータリー回転軸(33)の回転速度を早めるのみでも、耕耘負荷によるトルクtの異常減少が予防される効果がある。
【0033】ところで、図2に示したように、本発明では、ロータリー耕耘装置(R)に光電センサー(41)を付設して機能充足してもよい。ロータリー回転軸(33)の軸受(37)の下方に、棒状の保持部材(40)を介して、光電センサー(41)をロータリー爪(36)へ向けて設置する。これを付設すると、耕耘深度hの検知精度が向上する。
【0034】以上は、ロータリー耕耘装置(R)に、ロータリー回転軸(33)の回転角θを測定する回転角測定手段と、ロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷を計測する負荷計測手段を備える第1発明装置に関するものであるが、本発明の第2発明装置には、ロータリー回転軸(33)の回転角θを測定する回転角測定手段の他に、ロータリー爪(36)によって耕起飛散された土塊の衝撃iを計測する衝撃計測手段がロータリーカバー(32)の内面に付設される。以下に、本発明の第2発明装置によるロータリー耕耘制御装置及び方法について説述するが、前記の第1発明によるロータリー耕耘制御装置及び方法と共通或いは類似する点については、説明の簡略化のために割愛する。
【0035】第2発明装置は、第1発明装置における耕耘負荷計測手段の代わりに、ロータリー爪(36)によって耕起飛散された土塊の衝撃iを計測する衝撃計測部材(32s)がロータリーカバー(32)の内面に付設される。そのため、第1発明で用いたロータリー爪(36)にかかる耕耘負荷すなわち圧電素子(36s)が感知する応力sの代わりに、ロータリーカバー(32)の内面にかかるロータリー爪(36)によって耕起飛散された土塊の衝撃iを変数として扱うことで、第1発明と同様にして、ロータリー耕耘装置(R)を最適化制御することができる。すなわち、衝撃計測部材(32s)により求められた衝撃iと土壌特性pとの相関関係fを、帰納によって標準化して標準的相関関係<f>を求め、得られた標準的相関関係<f>を演繹的に用いて、ロータリーカバー(32)内面にかかる土塊の衝撃iから、土壌の特性pを求める。そして、この標準的相関関係<f>と、ロータリーカバー(32)内面にかかる土塊の衝撃iとを対照して、ロータリー回転軸(33)の高さまたは駆動を最適化制御して、効率的な均一耕耘に寄与させる。
【0036】衝撃計測部材(32s)は、第1発明と同様に、圧電素子など、衝撃iを直接或いは間接に計測する機能を具備するものであれば、従来公知のセンサーが任意に利用できる。しかし、衝撃iをベクトルとして計測し、大きさの他に撃力の向きも求め、また、衝撃iの作用点すなわちロータリーカバー(32)のどの位置に土塊が衝突したかも計測する機能を付設することが好ましい。ロータリーカバー(32)に衝突する土塊の位置として、例えば圃場からの高さを計測すれば、衝撃iの検知精度の向上に有益である。
【0037】例えば、圃場から高い位置までロータリーカバー(32)全体に満遍なく小さな衝撃iが検知されたとすれば、その圃場の土壌特性pとして、土塊粒度が小さく含水率が低いなどと判断される。また、ロータリーカバー(32)のうち、圃場に近い低い位置のみで大きな衝撃iが検知され、ロータリー回転軸(33)の回転角θが90度を超えても衝撃iの検知値が皆無にならなければ、その圃場の土壌特性pとして、土塊粒度も含水率も大きいなどと判断される。
【0038】なお、ロータリー爪(36)によって耕起飛散される土塊は、風等の環境の他に、重力の影響が避けられない。図7は、ロータリー爪(36)によって耕起飛散される土塊の粒径qと、ロータリーカバー(32)内面にかかる土塊の衝撃iとの関係を示すグラフである。図示のように、土塊の粒径qと衝撃iとの関係は非線形である。土塊が、ある程度以上大きいと、ロータリーカバー(32)内面に設けられた衝撃計測部材(32s)に達する前に自由落下してしまう。この閾値q0 近傍のグラフ特性を加味して衝撃iを補正することによって、一層精確な検知が得られ、均一な耕耘を効率よく行うことができる。
【0039】
【発明の効果】本発明のロータリー耕耘制御装置及び方法は、上述の構成をしているために以下の効果を奏する。すなわち、請求項1に記載の第1発明ロータリー耕耘制御装置によると、ロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との相関関係から、耕耘深度または土壌特性が検知されるので、均一な耕耘を効率よく行うことに寄与する。請求項2に記載の第1発明装置によると、ロータリー回転軸の回転角とロータリー爪にかかる耕耘負荷との間の標準的相関関係を用いて、耕耘深度または土壌特性が求められるので、耕耘作業中に逐次、耕耘深度または土壌特性を精確かつ迅速に検知することができる。請求項3に記載の第1発明装置によると、標準的相関関係とロータリー爪にかかる耕耘負荷とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動が最適化制御されるので、効率的な均一耕耘が容易に達成される。請求項4に記載の第1発明ロータリー耕耘制御方法によると、前記請求項1ないし3に記載の第1発明ロータリー耕耘制御装置を有効に利用して、効率的な均一耕耘を容易に達成することができる。
【0040】請求項5に記載の第2発明ロータリー耕耘制御装置によると、ロータリー回転軸の回転角とロータリーカバー内面にかかる耕起飛散された土塊の衝撃との間の標準的相関関係を用いて、土壌特性が求められるので、耕耘作業中に逐次、土壌特性を精確かつ迅速に検知することができる。請求項6に記載の第2発明装置によると、標準的相関関係と、ロータリーカバー内面にかかる土塊の衝撃とを対照して、ロータリー回転軸の高さまたは駆動が最適化制御されるので、効率的な均一耕耘が容易に達成される。請求項7に記載の第2発明ロータリー耕耘制御方法によると、前記請求項5または6に記載の第2発明ロータリー耕耘制御装置を有効に利用して、効率的な均一耕耘を容易に達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
【公開番号】 特開平11−113304
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−280646