| 【発明の名称】 |
作業機のオフセット制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡部 勉
【氏名】石丸 秀司
【氏名】小山 浩二
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| 【要約】 |
【課題】トラクタ等の動力農機にて傾斜地を耕耘する際に、前輪の轍による未耕部分が残らないようにする。
【解決手段】トラクタ10が傾斜地を等高線に沿って耕耘作業する場合は、ステアリングハンドル14を傾斜の上方へ操舵して機体の横滑りを防止しつつ、ロワーリンク19Rと機体との間に介装した伸縮ロッド21を伸縮して、ロータリ作業機20を傾斜の上方へオフセットさせた状態で前進する。機体が斜め上向きで走行するためにできた前輪の轍Tは、オフセットされたロータリ作業機20により耕耘されて消滅し、傾斜上方に隣接する既耕耘地との間に未耕部分が残らない。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の後部にリンク機構を介して作業機を連結し、機体に対して作業機を左右方向にオフセット可能に形成した動力農機であって、該動力農機が傾斜地を耕耘中に機体がローリングしたときは、作業機を傾斜の上方へオフセットするように構成したことを特徴とする作業機のオフセット制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は作業機のオフセット制御装置に関するものであり、特に、走行状況に応じて作業機を左右方向にオフセットさせる制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、トラクタ等の動力農機が傾斜地を等高線に沿って耕耘作業する場合、図10に示すように、トラクタ1のステアリングハンドル2を中立位置にして直進状態のまま耕耘すると、トラクタ1及びロータリ作業機3が斜面の下方に横滑りしながら前進していく。この横滑りを防止するには、図11に示すように、前輪4をやや傾斜の上方側へ操舵しながら前進すれば、トラクタ1は傾斜地を等高線に沿って走行することができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、図11に示すように、トラクタ1が斜め上向きになるため、前輪4より後輪5が傾斜下方を走行し、更に、ロータリ作業機3も前輪4より傾斜下方を通過する。従って、ロータリ作業機3の傾斜上方側に前輪の轍Tができ、傾斜上方に隣接する既耕地との間に未耕部分Nが残ることになる。 【0004】そこで、トラクタ等の動力農機にて傾斜地を耕耘する際に、前輪の轍による未耕部分が残らないようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、機体の後部にリンク機構を介して作業機を連結し、機体に対して作業機を左右方向にオフセット可能に形成した動力農機であって、該動力農機が傾斜地を耕耘中に機体がローリングしたときは、作業機を傾斜の上方へオフセットするように構成した作業機のオフセット制御装置を提供するものである。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。図1は動力農機の一例としてトラクタ10の平面を示し、運転席11の左右に操作パネル12L,12Rが設けられ、変速レバーやポジションレバー等の操作レバーをはじめ、耕深設定スイッチ等の各種スイッチが取り付けられている。運転席11の前方にはステアリングハンドル14が設置されており、該ステアリングハンドル14を回転することにより、前輪15が左右に操舵される。ボンネット16の内部に搭載されたエンジンの動力は、運転席11の下方に設けられているトランスミッション(図示せず)により減速されて、後輪17或いは前後輪15,17へ伝達される。 【0007】トラクタ10の後部にはリンク機構18が接続されているが、説明の都合上、リフトアームやトップリンク等の記載を省略し、左右のロワーリンク19L,19Rのみを図示してある。そして、該リンク機構18を介してロータリ作業機20が連結されている。 【0008】同図に示すように、左右何れかのロワーリンク(例えば右のロワーリンク19R)とトラクタ10の機体との間には、作業機のオフセット手段である伸縮ロッド21を介装してある。該伸縮ロッド21は油圧駆動或いは電気駆動により伸縮し、伸縮ストロークの範囲内で任意の長さに固定できる。該伸縮ロッド21を伸長すれば、図2の実線で示すように、右のロワーリンク19Rが押されて、ロータリ作業機20がトラクタ10の左側へ移動する。また、該伸縮ロッド21を収縮すれば、同図の鎖線で示すように、右のロワーリンク19Rが引かれて、ロータリ作業機20がトラクタ10の右側へ移動する。このように、伸縮ロッド21を伸縮することにより、トラクタ10に対してロータリ作業機20を左右方向にオフセットできるように形成されている。 【0009】尚、図示は省略するが、伸縮ロッドを設ける代わりに、ロワーリンク19L,19Rの後端部にスライド機構を設け、このスライド機構の作動により前記ロータリ作業機20を左右方向へスライドさせて、トラクタ10に対してロータリ作業機20を左右にオフセットさせるように構成することもできる。 【0010】而して、当該トラクタ10が傾斜地を等高線に沿って耕耘作業する場合は、ステアリングハンドル14を傾斜の上方へ操舵するとともに、前記伸縮ロッド21を伸縮してロータリ作業機20を傾斜の上方へオフセットさせる。例えば図3に示すように、トラクタ10の右側が傾斜上方であるときは、ステアリングハンドル14を回転して前輪15を右側へ操舵しながら機体を前進させれば、該トラクタ10は横滑りすることなく等高線に沿って走行する。 【0011】また、ステアリングハンドル14を右側へ操舵すると同時に、伸縮ロッド21を収縮してロータリ作業機20を機体の右側(傾斜の上方)へオフセットする。斯かる状態でトラクタ10を前進させれば、機体が斜め上向きで走行するためにできた前輪の轍Tは、オフセットされたロータリ作業機20により耕耘されて消滅する。従って、傾斜上方に隣接する既耕耘地との間に未耕部分が残ることがなく、傾斜地を等高線に沿って連続的に耕耘することができる。そして、後述するようにロータリ作業機20を上げ操作すれば、前記伸縮ロッド21が中立位置に戻ってロータリ作業機20は通常の位置に復帰する。 【0012】前記ロータリ作業機20のオフセット量は傾斜地の勾配の大小により調整する必要があるが、次に、このオフセット量の制御について説明する。図4はロータリ作業機のオフセット制御装置のブロック図であり、制御入切スイッチ25がオンのときにオフセット制御が実行される。トラクタの左右傾斜検出手段である傾斜センサ26はトラクタのローリング角を検出し、トラクタの操舵量検出手段である操舵量センサ27は、ステアリング機構部の回転角の変化やスライド長さの変化等から前輪の操向操作量を検出する。また、リフトアーム角センサ28はロータリ作業機の昇降角度を検出する。そして、各検出信号は制御部であるコントローラ33へ入力される。 【0013】この外、変速レバーの操作位置はポテンショメータ29で検出し、ポジションレバーの操作位置はポテンショメータ30で検出する。これらの設定信号は、コントローラ33へ入力される。更に、ブレーキ圧設定器31の設定信号もコントローラ33へ送られる。 【0014】これらの入力信号に基づいて、コントローラ33では傾斜地の勾配を演算し、前輪の操向操作量即ちステアリングハンドルの切れ角に応じて、電磁比例弁のソレノイド34aまたは34bへ制御信号を出力し、前記伸縮ロッド21を伸縮してロータリ作業機20を左右方向へオフセットさせる。 【0015】トラクタ10の旋回時には、作業機上昇用の電磁比例弁のソレノイド35aへ制御信号を出力し、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示せず)を伸長してリフトアームを上方へ回動し、ロータリ作業機20を上昇させて旋回中の引きずりを防止するとともに、トラクタ10の旋回終了後には、作業機下降用の電磁比例弁のソレノイド35bへ制御信号を出力し、作業機昇降用の油圧シリンダを収縮してリフトアームを下方へ回動し、ロータリ作業機20を接地させる。 【0016】また、トラクタ10の旋回時には、ロータリ作業機20の上昇指令と同時に、左右後輪ブレーキ用の電磁比例弁のソレノイド36aまたは36bへ制御信号を出力し、旋回内側の後輪にブレーキを掛けて機体の旋回半径を小さくする。 【0017】図5は前記伸縮ロッド21の駆動回路であり、該伸縮ロッド21は油圧駆動にて伸縮する。コントローラ33から電磁比例弁22の一方のソレノイド34aに制御信号が出力されると、電磁比例弁22が中立位置(イ)から左位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ23の作動油が伸縮ロッド21のボトム側ポート21aへ供給される。従って、該伸縮ロッド21が伸長し、右のロワーリンク19Rが押されて、ロータリ作業機20がトラクタ10の左側へオフセットする。 【0018】これに対して、コントローラ33から電磁比例弁22の他方のソレノイド34bに制御信号が出力されると、電磁比例弁22が右位置(ハ)に切り換わり、油圧ポンプ23の作動油が伸縮ロッド21のトップ側ポート21bへ供給される。従って、該伸縮ロッド21が収縮し、右のロワーリンク19Rが引かれて、ロータリ作業機20がトラクタ10の右側へオフセットする。 【0019】尚、前記伸縮ロッド21の伸縮作動は油圧駆動に限定されず、電気駆動によっても伸縮させることができる。図示は省略するが、例えば電動モータの駆動により、ネジシャフトを回転させて伸縮ロッドを伸縮したり、或いはラックギヤと噛合するピニオンギヤを回転して伸縮ロッドを伸縮させることも可能である。 【0020】図6はロータリ作業機のオフセット制御のフローチャートであり、先ず各種センサの検出信号とレバーやスイッチ等の設定信号を読み込む(ステップ1)。そして、制御入切スイッチ25が入であることを判別し(ステップ2)、変速レバーが入位置に操作され(ステップ3)、ロータリ作業機20が下降しており(ステップ4)、且つ、機体のローリング角が一定値以上であるときは(ステップ5)、トラクタ20がロータリ作業機20を接地させて傾斜地を耕耘中であると判断できる。 【0021】更に、ステアリングハンドルの切れ角θが一定角度α以上で一定時間継続して操舵されたときは(ステップ6)、オペレータがステアリングハンドル14を傾斜の上方へ操舵しながら、トラクタ20を等高線に沿って走行させている状態であるので、ステアリングハンドルの切れ角θに応じて電磁比例弁のソレノイド34aまたは34bへ制御信号を出力し、電磁比例弁22を開放位置(前述のロ位置またはハ位置)に切り換える(ステップ7)。従って、前記伸縮ロッド21に作動油が供給されて伸縮作動し(ステップ8)、ロータリ作業機20が左右何れかの方向へオフセットされる。 【0022】尚、ステップ2で制御入切スイッチが切状態であるとき、ステップ3で変速レバーが入位置に操作されていない(機体停止中)とき、ステップ4でロータリ作業機が下降していない(作業機上昇中)とき、ステップ5で機体のローリング角が一定値未満である(傾斜勾配小)とき、ステップ6でステアリングハンドルの切れ角θが一定角度α未満、または切れ角θが一定角度α以上でも一定時間継続されないときは、夫々ステップ9へ進む。ステップ9では、伸縮ロッド21を中立位置に保持すべく、電磁比例弁のソレノイド34aまたは34bへの制御信号を出力しないか、或いは、既に伸縮ロッド21が伸縮作動しているときは中立位置に戻すべく、電磁比例弁のソレノイド34aまたは34bへ制御信号を出力する。斯くして、前記伸縮ロッド21が中立位置になり、ロータリ作業機20のオフセットが解除されて通常の作業姿勢となる。 【0023】図7はステアリングハンドルの切れ角と伸縮ロッドの伸縮量との関係を表したグラフであり、ステアリングハンドル14が中立位置のときは伸縮ロッド21も中立位置にあり、ロータリ作業機20は左右何れの方向にもオフセットされない。トラクタ20の右側が傾斜の上方である場合は、オペレータがステアリングハンドル14を右方向へ操舵するため、ロータリ作業機のオフセット制御が開始されて、ステアリングハンドルの右への切れ角(正方向のラジアンで表示)の増加に比例して伸縮ロッド21が伸長する。従って、ロータリ作業機20は機体の右方向へ徐々にオフセットされ、ステアリングハンドルの切れ角が最大(+2π)になったときに伸縮ロッド21が最長となるため、ロータリ作業機20が右方向へ最大にオフセットされる。 【0024】これに対して、トラクタ20の左側が傾斜の上方である場合は、オペレータがステアリングハンドル14を左方向へ操舵するため、ロータリ作業機のオフセット制御が開始されて、ステアリングハンドルの左への切れ角(負方向のラジアンで表示)の増加に比例して伸縮ロッド21が収縮する。従って、ロータリ作業機20は機体の左方向へ徐々にオフセットされ、ステアリングハンドルの切れ角が最大(−2π)になったときに伸縮ロッド21が最短となるため、ロータリ作業機20が左方向へ最大にオフセットされる。 【0025】図8は本発明の他の実施の形態を示し、既耕地に隣接する未耕耘地を耕耘する場合は、ロータリ作業機20が一定の幅Lだけ既耕地とオーバーラップするようにトラクタ10を走行させる。そして、耕耘作業中に何らかの原因でトラクタ10が既耕地から離れてしまったときは、ステアリンクハンドル14を既耕地側へ操舵してトラクタ10を戻そうとするため、機体が斜めになって前輪の轍Tができる。 【0026】しかし、ロータリ作業機のオフセット制御により、ステアリングハンドル14の切れ角に応じて前記伸縮ロッド21を収縮すれば、ロータリ作業機20がトラクタ10の右側(既耕地側)へオフセットされるので、前輪の轍Tはロータリ作業機20により耕耘されて消滅する。従って、隣接する既耕地との間に未耕部分が残ることがなく、隣接耕耘作業が容易になる。 【0027】図9は圃場の端部でトラクタ10が旋回する様子を示し、矢印A1 の方向に耕耘してきたトラクタ10が旋回するために、ステアリングハンドル14を一定角度以上左側へ操舵すれば、旋回制御が実行されてロータリ作業機20を一旦上昇させるとともに、旋回内側の左後輪17にブレーキを掛けて機体の旋回半径を小さくする。そして、矢印A2 のようにトラクタ10が旋回して反対方向へ向いたときに、ロータリ作業機20を下降させて圃場に接地するとともに、左後輪17のブレーキを解除する。そして、矢印A3 の方向に走行しながら耕耘作業を再開するが、旋回半径が大きくなった場合は、旋回前の耕耘部分W1 と旋回後の耕耘部分W2 との間に未耕部分Nが残る虞がある。 【0028】このように、トラクタ10が圃場を往復しながら隣接耕耘作業を行う場合に、ロータリ作業機のオフセット制御を実行して、旋回内側方向へロータリ作業機20をオフセットさせれば、反対方向へ耕耘を再開するときにロータリ作業機20が既耕地とオーバーラップするため、既耕地との間に未耕部分が残ることがなくなる。このとき、伸縮ロッド21の伸縮量は旋回制御の強弱により変化させる。例えば、旋回内側の後輪に掛かるブレーキ圧が大きく設定されている場合は、伸縮ロッド21の伸縮量を大にしてロータリ作業機を大きくオフセットさせ、ブレーキ圧が小さく設定されている場合は、伸縮ロッド21の伸縮量を小にしてロータリ作業機を小さくオフセットさせる。 【0029】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように、本発明ではトラクタ等の動力農機にて傾斜地を等高線に沿って耕耘する際に、機体の横滑りを防止すべく前輪を傾斜の上方へ操舵し、機体が斜め上向きになって走行することにより前輪の轍ができたとしても、機体のローリングを検出して作業機を傾斜の上方へオフセットさせるため、前輪の轍はオフセットされた作業機によって消滅する。 【0031】斯くして、傾斜上方に隣接する既耕耘地との間に未耕部分が残ることがなく、傾斜地を等高線に沿って連続的に耕耘することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月2日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】林 孝吉
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| 【公開番号】 |
特開平11−103615 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月20日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−269768 |
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