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【発明の名称】 作業機の操舵具
【発明者】 【氏名】藤田 靖

【氏名】伊藤 孝司

【氏名】白方 幹也

【要約】 【課題】オペレータが立ち姿勢でもハンドルの操作性に優れた回転ハンドル方式の操舵手段を備えたコンバインを提供すること。

【解決手段】走行方向を操舵する回転ハンドル25を有するコンバインにおいて、回転ハンドル25のハンドル軸25bの軸方向を、オペレータの座り作業に適した進行方向後方に傾けた位置と、立ち作業に適したほぼ垂直の位置とに変更できる構成とする。オペレータは座り作業ではハンドル軸25bを傾斜位置にセットしてあたかも自動車の運転のようにコンバイン1の走行方向を操舵し、立ち作業ではハンドル軸25bをほぼ垂直位置にセットして、圃場の刈取状況を注視しながら丸ハンドル25aを水平面内で回転させてコンバイン1の走行方向を操舵するので、座り作業および立ち作業のどちらの作業姿勢でも、いずれも無理な姿勢をとることなく、適正な操舵操作を容易に行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転式の操向操作具の操舵手段により走行方向の操舵を行う作業機において、該操舵手段の回転軸の傾斜角度位置は、少なくとも作業機の前進方向からみて後方に傾斜する位置と、該回転軸を作業機車体に対してほぼ垂直にする位置とに変更可能な構成とすることを特徴とする作業機の操舵具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀物などの農作物の収穫に用いるコンバインまたはハーベスタに関する。
【0002】
【従来の技術】図13と図14は従来技術のコンバイン1の主要部を示す図面である。図13にはコンバインの右側面の立面図を示し、また図14にはコンバインのパワーステアリングの作動を説明する斜視図である。
【0003】コンバイン1の車体フレーム2の下部側には土壌面を走行する左右一対のクローラ3を有する走行装置4を配設し、コンバイン1は左右のクローラ3が等速で進行するときは直進し、左右のクローラ3に速度差があれば旋回する。車体フレーム2の最前端部に刈取支持フレーム5を配設して刈取装置6を懸架し、かつ刈取支持フレーム5は刈取装置6の上下昇降ができる構造としている。
【0004】刈取装置6は立毛穀稈を分草する分草具7と、分草された穀稈を引き起こす引起し部と、引き起こされた穀稈を刈取る刈刃部とからなり、刈取られた穀稈を穀稈輸送手段により輸送して脱穀装置に供給し、脱穀装置において脱穀し、穀粒を選別分離してグレンタンク13に一時貯留し、グレンタンク13が満杯になれば穀粒排出オーガ15によりコンバイン1の外部へ穀粒を排出する。
【0005】コンバイン1の前進、後退、旋回、増速、減速などの走行操作、および刈取り、脱穀、穀粒貯留、穀粒排出などの運転操作は、刈取装置6の後方で車体フレーム2の前端上部に操作席16を設け、該操作席16に搭乗したオペレータにより操作される。操作席16の前方および側方にはパワーステアリングレバー18、操作桿およびメータパネルを配置して、コンバイン1の走行および運転操作を容易にできるようにしてある。パワーステアリングレバー18は、図14に示すようにパワーステアリングレバー18の棒状スティックを左右に倒すと棒を倒した方向にコンバイン1が旋回し、前後に倒すと刈取装置6が上下に昇降する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】コンバイン1は1台の機械により走行、収穫、脱穀、穀粒輸送などの多岐にわたる作業を行うことができるが、以前にはそれぞれの作業毎に設けた操作桿をそれぞれ操作する必要があり、走行および運転の操作にかなりの熟練を要していたが、パワーステアリングレバー18の採用によりコンバイン1の走行方向の操舵と刈取装置6の昇降を1本の操作桿で行えるようにして、以前に比べてコンバイン1の操作が簡単かつ容易になった。
【0007】また、乗用車、トラックなど自動車の普及により走行方向の操舵は回転ハンドルの操作による方式も好まれ、回転ハンドル方式で操舵するコンバイン1も開発されている。
【0008】しかし、回転ハンドル方式のコンバインでは運転者の姿勢に合致するように回転ハンドルの軸線は進行方向後方に傾斜させてあり、コンバイン1でも同様に回転ハンドルの軸線を進行方向後方に傾斜させているのでオペレータが操作席に着座して操作する場合には何ら不都合がないが、刈取作業などではオペレータは圃場や植立する穀稈をよく見るために立ち姿勢で操作を行うことが多い。立ち姿勢の場合には後方に傾斜した軸を持つ回転ハンドルの操作性に劣り、かつ無理な立ち姿勢をとる必要があるという問題があった。
【0009】本発明の課題はオペレータが立ち姿勢でもハンドルの操作性に優れた回転ハンドル方式の操舵手段を備えたコンバインを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の構成により解決される。すなわち、回転式の操向操作具の操舵手段により走行方向の操舵を行う作業機において、該操舵手段の回転軸の傾斜角度位置は、少なくとも作業機の前進方向からみて後方に傾斜する位置と、該回転軸を作業機の車体に対してほぼ垂直にする位置とに変更可能な構成とする作業機の操舵具である。
【0011】本発明では走行方向を操舵する回転式の操向操作具(以下回転ハンドルという)を有する作業機において、回転ハンドルのハンドル軸の軸方向を、オペレータの座り作業に適した進行方向後方に傾けた位置と、立ち作業に適したほぼ垂直の位置とに変更できる構成としたことを特徴とし、オペレータは座り作業ではハンドル軸を傾斜位置にセットしてあたかも自動車の運転のように作業機の走行方向を操舵し、立ち作業ではハンドル軸をほぼ垂直位置にセットして、圃場の刈取状況を注視しながら丸ハンドルを水平面内で回転させて作業機の走行方向を操舵するので、座り作業および立ち作業のどちらの作業姿勢でも無理な姿勢をとることなく、適正な操舵操作を容易に行うことができる。
【0012】こうしてオペレータが操作した丸ハンドルの回転運動をハンドル軸、ベベルギヤ、カム軸、カム等によりリニアポテンショメータの旋回角度信号に変換し、旋回方向スイッチにより旋回方向信号として発信できる構造の回転ハンドルを、ハンドルコラムにおいて作業機の前後方向に回動自在に支承して、オペレータの作業姿勢により、ハンドル軸すなわちハンドルコラムの傾斜位置を選定して固定できる構成としたので、オペレータの作業姿勢が座り作業の場合にはハンドルコラムを傾斜位置としてあたかも自動車を運転する感覚で作業機を容易に操舵できるとともに、オペレータの作業姿勢が立ち作業の場合はハンドルコラムを垂直位置として、圃場の状況や穀稈の刈取作業を注視しながら楽な姿勢でハンドル操作することができ、いずれの姿勢においてもオペレータは無理な姿勢をとらないで済むという極めて優れた効果を奏することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。本発明が適用されるコンバイン1の実施の形態は図1〜図12に示す構成からなるが、図13、図14に示す従来技術に改良を加えたものであり、従来技術と同一部分には同一記号を付している。
【0014】図1および図2は本発明の実施の形態のコンバインの主要部を示す図面であり、図1にはコンバインの左側面の立面図を示し、図2にはコンバインの前面の立面図を示す。
【0015】図3はコンバインの操作席付近の斜視図であり、走行装置4の上部に車体フレーム2が設けられ、該車体フレーム2の上部に操作席16が設けられ、該操作席16の前方および側方は操作パネル17、クラッチボックス23およびメータパネル24で囲われ、数多くの操作桿の内、主変速HSTレバー19a、副変速レバー19bおよび回転ハンドル25だけを示し、その他の操作桿、操作スイッチなどは省略して示している。
【0016】図4は回転ハンドルだけを取り出して示した側面図であり、図5は図4のA−A線矢視一部断面図である。丸ハンドル25aはハンドル軸25bの一端に固着され、該ハンドル軸25bの他端にはベベルギヤ25pが固着され、ハンドル軸25bはハンドルコラム25c内のベアリング25eおよび25fにより回動自在に支承されている。ベベルギヤ25pに噛み合うベベルギヤ25qを一端に固着し、他端にカム26aを固着するカム軸25gは、ギヤハウジング25h内のベアリング25j、25kにより回転自在に支承され、かつギヤハウジング25hはギヤハウジングエンドカバー25xおよびギヤハウジングインナー25mを介して、ベアリング25n、25oによりハンドルコラム25cを旋回自在に支承する。
【0017】ギヤハウジング25hのフランジの一部には角度固定部25sを設けるブラケット部25rが延出され、角度固定部25sにはハンドルコラム25cの垂直位置(図4実線)および傾斜位置(図4参考線)にハンドルコラム25cの係止穴25vを係止できる引き金式ストッパ25tおよび25uを設けている。カム軸25gの他端に固着されたカム26aには、該カム26aの半径方向に付勢され、かつ半径方向に直進運動するロッド状のカムフォロワ26cが接触して、カム26aの回転運動を直線運動に変換してリニアポテンショメータ26bに伝達する。カム26aはまた2個の旋回方向スイッチ26dおよび26eに接触して旋回方向信号を発生する。
【0018】詳細構造の図示を省略したがギヤハウジング25hは車体フレーム2(図3)に対して固定され、ポテンショメータ26b、旋回方向スイッチ26dおよび26eはギヤハウジング25hに対して固定されている。図3に示すように操作席16の前面の操作パネルには長穴17aを設けて回転ハンドル25を傾斜させ、あるいは垂直に移動できる構造とし、またハンドホール17bを設けて引き金式ストッパ25tまたは25u(図4)の操作が容易である構成としている。
【0019】上記構成からなる回転式ハンドル25を有するコンバイン1において、オペレータが操作した丸ハンドル25aの回転運動はハンドル軸25b、ベベルギヤ25p、ベベルギヤ25q、カム軸25gを経てカム26aに伝達され、ロッド状のカムフォロワ26cにより回転運動が直線運動に変換されてリニアポテンショメータ26bを作動させ、またカム26aは旋回方向スイッチ26dまたは26eを作動させる。
【0020】たとえば、丸ハンドル25aを右に回すとベベルギヤ25pおよびベベルギヤ25qによりカム26aは左に回転し、ロッド状のカムフォロワ26cが押し込まれてリニアポテンショメータ26bが丸ハンドル25aの回転角度に比例した旋回角度信号を発生し、また旋回方向スイッチ26dが右旋回信号を発生するので、これらの信号は詳細を述べない制御装置で処理され、アクチュエータを作動させてクローラ駆動トランスミッションの右クラッチの接続を絶ち、右クローラ3をフリーにして減速し、さらに丸ハンドル25aの旋回角度が大であれば右ブレーキを作用させて右クローラ3を停止させるが、左クローラ3は従前の速度を維持しているので、コンバイン1は右に旋回される。丸ハンドル25bを左に回す場合には上記と反対の作動が行われる。
【0021】ハンドル軸25bを回転自在に支承するハンドルコラム25cは、車体フレーム2に固定されたギヤハウジング25hに対して前後方向に回動自在に支承されるので、操作席16でオペレータが座り作業するか、立ち作業するかにより、ハンドル軸25bとハンドルコラム25cを傾斜位置におくか、垂直位置におくかを選定して、角度固定部25sのストッパ25tまたは25uを掛け外して選定位置に固定することができる。上述の丸ハンドル25aの操作による作用は、ハンドル軸25bの傾斜角度位置により変化しない。
【0022】図5の構造ではハンドルコラム25cを回動させると、もしカム軸25gが不動ならばベベルギヤの噛み合いにより丸ハンドル25aが回転する。つまりハンドルコラム25cの傾斜角度により丸ハンドル25aの中立位置(直進位置)が変化することになるが、ハンドルコラム25cの移動を検出して中立位置を自動補正する。
【0023】また、図5の構造で丸ハンドル25aを固定したままハンドルコラム25cを回動させると(丸ハンドル25aを持ったままハンドルコラム25cを回動するなど)、ベベルギヤの噛み合いによりカム軸したがってカム26aが回転してポテンショメータ26bおよび旋回方向スイッチは旋回信号を発信してしまう。しかし、このようなときには旋回信号を無視する手段を設ける。
【0024】図6は多回転ポテンショメータ26fをハンドル軸25bに直結したものであり、図7はハンドル軸25bにスクリュー25yを直結し直線ポテンショメータ26gにナット26hを取り付けたものでも良く、また図示しないがウォームとウォームギアと回転ポテンショメータでも良い。
【0025】こうしてオペレータが操作した丸ハンドル25aの回転運動をハンドル軸25b、ベベルギヤ25p、25q、カム軸25g、カム26aによりリニアポテンショメータ26bの旋回角度信号に変換し、旋回方向スイッチ26d、26eにより旋回方向信号として発信できる構造の回転ハンドル25を、ハンドルコラム25cにおいてコンバイン1の前後方向に回動自在に支承して、オペレータの作業姿勢により、ハンドル軸25bすなわちハンドルコラム25cの傾斜位置を選定して固定できる構成としたので、オペレータの作業姿勢が座り作業の場合にはハンドルコラム25cを傾斜位置としてあたかも自動車を運転する感覚でコンバイン1を容易に操舵できるとともに、オペレータの作業姿勢が立ち作業の場合はハンドルコラム25cを垂直位置として、圃場の状況や穀稈の刈取作業を注視しながら楽な姿勢でハンドル操作することができ、いずれの姿勢においてもオペレータは無理な姿勢をとらないで済むという効果を奏することができる。
【0026】なお、上述の実施の形態は本発明の一例であり、回転するハンドル軸25bを傾倒できるものであればハンドル25の形状は丸ハンドル25aに限らず、回転ハンドルの回転角度の変換はカム26aとリニアポテンショメータ26bによるものに限らず、またハンドル軸25bの傾斜角度は傾斜位置とほぼ垂直位置の2位置に限らず、3位置以上あるいは無段階に傾斜位置選択可能としてもよい。
【0027】図4ないし図5に示す実施の形態のコンバイン1の回転ハンドル25の変形例を図8ないし図10に示す。この場合、コンバイン1の運転操作における誤操作防止、安全性向上を図ることができる。
【0028】図8はコンバイン1の改良した回転ハンドル27とその周辺の側面図であり、図9は回転ハンドル27の立面図である。回転ハンドル27は円環状のハンドルホイール27a、該ハンドルホイール27aとハンドルセンター27cおよび該ハンドルホイール27aとハンドルボス27dとをそれぞれ接続する複数本のハンドルスポーク27b、ハンドルボス27dに固設されたハンドル軸27fおよび該ハンドル軸27fを回動自在に内包し、操作パネル17に固設されるハンドルコラム27eからなる。
【0029】ここでハンドルセンター27cとハンドルボス27dとは別体として示したが、一体であっても差し支えない。図8の参考線で示し、図9に斜線を付した空間(以下、シルエット部と称する)内の操作パネル17上に重要であるが、常時は操作する必要がないスイッチ類17c,17d・・・を配設する。このシルエット部に配設するスイッチ類17c,17d・・・としては、急旋回−緩旋回切り替えスイッチ、センサチェックスイッチ、刈取装置ロックスイッチ、メインキースイッチなどであり、急旋回−緩旋回切り替えスイッチを誤操作すれば緩旋回のつもりでハンドル操作してコンバイン1が急旋回する危険があり、センサチェックスイッチを誤操作すると各センサは正常値を指示しなくなり誤った指示値を示す危険があり、刈取装置ロックスイッチを誤操作すると刈取装置6(図1)の昇降を停止して必要な刈取装置6の昇降が不能になる危険があり、メインキースイッチを誤操作するとエンジンが急停止してコンバイン1および搭乗するオペレータにショックを与える危険があるなど安全上の問題があり、いずれのスイッチも誤操作を防ぐ必要がある。
【0030】図8、図9に示す例では、上記の重要であるが常時は操作する必要がないスイッチを配設するシルエット部内の操作パネル17、コンバイン1の操作席16に着座したオペレータから見て円環状のハンドルホイール27aの内側部分であり、通常はオペレータにとり視認しにくく、かつ操作しがたい部分であるので、シルエット部内の操作パネル17に配設したスイッチ17c,17d・・・には、オペレータは操作のために意識的にアクセスする必要があり、無意識のうちに不用意にスイッチに触れて誤操作する可能性は極めて低くなる。
【0031】さらに上記図8および図9に示す回転ハンドル27の変形例を図10に示す。すなわちシルエット部に配設された重要なスイッチ類の誤操作をより低い確率にするために図10(a)はハンドルホイール27aの下半分を半円形プレート28aで閉鎖する構成を示し、図10(b)はハンドルホイール27aの上半分を半円形プレート28bで閉鎖する構成を示し、図10(c)はハンドルホイール27aの下方約三分の一を可動の扇状プレート28cで閉鎖し、ハンドルホイール27aの残り三分の二を固定扇状プレート28dで閉鎖し、必要時に可動扇状プレート28cを回動してハンドルホイール27aの下方三分の一を開口できる構成を示し、図10(d)はハンドルホイール27aの全面を可撓性で半径方向1個所(下側)に切れ目を持つ円形プレート28eで閉鎖し、必要時に切れ目を境に可撓性円形プレート28eを巻き込みハンドルホイール27aの内側のほぼ全面を開口する構成を示し、図10(e)はハンドルホイール27aの全面を可撓性で半径方向1個所(上側)に切れ目を持つ円形プレート28fで閉鎖し、必要時に切れ目を境に可撓性円形プレート28fを巻き込みハンドルホイール27aの内側のほぼ全面を開口する構成を示し、図10(f)はハンドルホイール27aを上下2枚の半円形プレート28gおよび28hで閉鎖し、一方の半円形プレート28gは固定とするが他方の半円形プレート28hは直径線上でヒンジ結合して必要時には図示のようにヒンジを支点として回動して開口できる構成であり、ハンドルホイール27aの閉鎖部分に重要であるが常時は操作する必要がないスイッチ類17c,17d・・・を配設する構成としている。
【0032】上記構成によれば、ハンドルホイール27aの一部または全部をプレート28a〜28hで閉鎖し、重要であるが常時は操作する必要がないスイッチを隠すように配置し、かつ必要時には開口できる構成としたので安全上の効果を一層高めることができる。
【0033】コンバイン1の回転ハンドルだけの操作でコンバイン1の操舵および刈取装置6の昇降を行うコンバイン1の回転ハンドル25の変形例を図11および図12に示す。
【0034】すなわち、回転ハンドル25(図4、図5)を備えたコンバイン1は、自動車とほとんど同じ感覚でコンバイン1の操舵を行うことができるので、棒状のスティックを倒した方向に旋回するパワーステアリング18(図13)による操舵に比べて運転操作は極めて容易になったが、回転ハンドル25ではパワーステアリング18の場合の棒状スティックを前後に倒して行う刈取装置6の昇降操作ができないという問題があり、回転ハンドル25を用いて走行方向の操舵および刈取装置6の昇降の両者を可能とすることが課題となる。
【0035】図11は、コンバイン1の改良した回転ハンドル29の一部切り欠き断面を含む側面図であり、回転ハンドル29の円環状のハンドルホイール29aの円周上の一個所にグリップ取付ボス部29bを突設し、該グリップ取付ボス部29bには中空軸で構成されたグリップ軸30bの一端を植立固着し、グリップ軸30bの他端にはグリップベアリング30cを介してグリップハンドル30aを取り付ける。グリップハンドル30aは片手で握れる程度の直径と長さを持つ有底中空円筒状で、上記のベアリング30cに支承されてハンドルホイール29aに対して回転自在かつ離脱不能であり、該グリップハンドル30aの中空円筒内部に刈取装置6(図1)の上下昇降スイッチ30fを内蔵し、スイッチレバー30gの一端はグリップハンドル30aの側面から突出する。スイッチレバー30gとグリップハンドル30aの開口部との間にはゴム製などの可撓性のスイッチブーツ30hを介装して該スイッチレバー30gのレバー操作が可動自在でかつダストや水滴などの侵入防止を図る。
【0036】グリップハンドル30a内部のスイッチ30fには図12の斜視図に示す板バネ製のブラシ30eを固設し、該ブラシ30eはグリップ軸30bに設けた円環状の金メッキ銅板製など電気良導体のスリップリング30dと摺動自在に摺接してグリップ30が回転しても電気的接続を保持する。スリップリング30dからのリード線30iはハンドルスポーク29cの中空部、ハンドルボス29dの中空部を経て図示しない制御装置に導かれる。
【0037】このように回転ハンドル29の一部に、該回転ハンドル29に対して回動自在にグリップ30を取り付け、該グリップ30には刈取装置昇降スイッチ30fを設け、該刈取装置昇降スイッチ30fの出力信号はグリップ30が360度回転してもスリップリング30dを経由して制御装置に伝達される構成としたので、コンバイン1の操作席16(図1)に着座したオペレータは、両手で回転ハンドル29のハンドルホイール29aを握ってコンバイン1の操舵をすることもできるが、片手でグリップハンドル30aを握ってコンバイン1の操舵をすることもでき、かつグリップ30に設けた刈取装置昇降スイッチ30fを操作すれば刈取装置6の昇降操作も回転ハンドル29上で行うことができるので、たとえばオペレータが左手で変速レバー19a,19bの操作を行い、右手でハンドルグリップ30を握り回転ハンドル29を回転してコンバイン1の走行方向の操舵を行うとともに、右手の指先で刈取装置昇降スイッチ30fのスイッチレバー30gを操作して刈取装置6を昇降するなど、変速かつ旋回しながらの刈取装置6の昇降のような複雑な操作を容易に行うことができる。
【0038】なお、グリップ30に設けるスイッチ30fは刈取装置昇降用に限定されることなく、他の用途のスイッチでも差し支えなく、またスリップリング30dの本数も用途に合わせて3本以上であって差し支えない。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
【公開番号】 特開平11−75424
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−235761