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【発明の名称】 作業機の走行装置
【発明者】 【氏名】秋山 隆夫

【氏名】白方 幹也

【氏名】藤田 靖

【氏名】伊藤 孝司

【要約】 【課題】旋回時においても安全性が高く、かつ操舵装置の操作性が優れた回転ハンドル式の走行機械を提供すること。

【解決手段】左右一対のクローラをもち、回転ハンドルで操舵するコンバインにおいて、旋回時に走行速度Vの減速を開始する設定速度v以上で走行する状態で回転ハンドルを操作してコンバインの旋回操作を行うとき、回転ハンドルの遊び角±α以上の操作角(θ−α)に正比例して車速減少量ΔVを演算して車速Vを減速するように制御する。直進走行は任意の高速で行うことができ、高速運転中に走行方向の変更を行おうとすると回転ハンドルの操舵角(θ−α)に比例して定まる車速減少量ΔVだけ自動的に車速Vの減速が行われるので、旋回時に発生する遠心力による転倒モーメントが減衰されて旋回操作が容易かつ安全になると共に、車速減少量ΔVは回転ハンドルの操舵角(θ−α)に比例して定めているので、緩やかな旋回をするとき車速減少量ΔVも小さく、作業能率の低下も小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転式の操向操作具を回転操作して走行方向の旋回操舵を行う作業機の走行装置において、あらかじめ該走行装置の旋回時に車速の減速を開始する車速を設定する車速設定手段と、前記車速設定手段により設定された車速以上の車速で走行装置が走行する状態で回転式の操向操作具の回転操作を行うとき、回転式の操向操作具の遊び角以上の操作角度に応じて車速が遅くなるように車速制御をする車速制御手段とを備えた操舵装置を有することを特徴とする作業機の走行装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバイン、ハーベスタなどの走行装置に関し、特に操舵装置に特徴を備えたクローラ式走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クローラを有する走行装置の一つであるコンバインによる刈取り作業は、穀稈がほぼ直線状に多数列に植設されている圃場において、分草具を穀稈列の間に挿入して前進し、刈刃で穀稈の根元を切断し、刈り取られた穀稈は脱穀装置に輸送されて脱穀される。刈取作業に際して、圃場や穀物植生の状況によりコンバインの走行速度、走行方向、刈取装置の上下昇降などを操縦しなければならず、オペレータは操作席において複数の操作桿を同時あるいは次々と連続して操作する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】クローラを有する走行装置であるコンバインの走行方向の操舵手段として、近時、乗用車、トラックなど自動車と同様に回転ハンドルで操舵するコンバインが開発されているが、乗用車、トラックなど自動車の回転ハンドルによる操舵では、回転ハンドルを回転することにより自動車タイヤの舵取り角度を変化させて走行方向の変更を行うのに対して、コンバインでは、回転ハンドルによる操舵で左右一対のクローラに速度差を与えて方向変更を行うので、クローラの速度差の与え方により旋回の程度にかなりの差異が生じることになり、同一の回転ハンドル操作角度θでも自動車に比べてコンバインの方が急旋回になりやすく、急旋回時に回転方向外側へ大きな遠心力、したがってコンバインに転倒モーメントが作用し、コンバインが転倒するおそれがある。そこで、本発明の課題は、旋回時においても安全性が高く、かつ操舵装置の操作性が優れた回転ハンドル式の走行装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の構成により解決される。すなわち、回転式の操向操作具を回転操作して走行方向の旋回操舵を行う作業機の走行装置において、あらかじめ該走行装置の旋回時に車速の減速を開始する車速を設定する車速設定手段と、前記車速設定手段により設定された車速以上の車速で走行装置が走行する状態で回転式の操向操作具の回転操作を行うとき、回転式の操向操作具の遊び角以上の操作角度に応じて車速が遅くなるように車速制御をする車速制御手段とを備えた操舵装置を有する作業機の走行装置である。
【0005】本発明の作用効果についてクローラで走行するコンバインについて説明する。
【0006】左右一対のクローラをもつコンバインなどの走行装置の操舵を回転ハンドルを回転操作して行うものにおいて、車速設定器、車速センサ、車速モータなどを具備し、コンバインの旋回時に走行速度Vの減速を開始する速度vをあらかじめ車速設定器に設定しておき、設定速度v以上で走行する状態で回転ハンドルを回転操作してコンバインの旋回操作を行うとき、回転ハンドルの遊び角±α以上の操作角度(θ−α)に正比例(正比例とするのは一例に過ぎない)して車速減少量ΔVを演算して車速Vを減速するように制御することを特徴とするクローラ式走行装置の操舵手段であるので、従来のコンバインなどと同様に直進走行は任意の高速で行うことができると共に、高速運転中であっても回転ハンドルを回転操作して走行方向の変更を行おうとすると、回転ハンドルの操舵角(θ−α)に比例して定まる車速減少量ΔVだけ自動的に車速Vの減速が行われるので、コンバインなどの旋回時に発生する遠心力による転倒モーメントが減衰されて旋回操作が容易かつ安全になると共に、車速減少量ΔVは回転ハンドルの操舵角(θ−α)に比例して定めているので、操舵角θを小さく緩やかな旋回をするとき車速減少量ΔVも小さく、コンバインの作業能率の低下も小さい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。本発明を一実施の形態を図1ないし図8により説明する。図1は本発明のコンバインの左側面図であり、図2はコンバインの正面図であり、図3は回転ハンドルの説明斜視図であり、図4は走行動力の伝達経路を示すブロック図であり、図5はコンバインの操舵関係の制御回路を示す図であり、図6、図7はコンバインの操舵関係の制御のフローを示す図であり、図8はコンバインの回転ハンドルの回転ハンドル操作角度θとクラッチ圧、ブレーキ圧、スピンクラッチ圧、車速減少量ΔVの関係を示す図である。
【0008】図1および図2を参照して、コンバイン1の車体フレーム2の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3R、3Lを有する走行装置4を配設し、該車体フレーム2の前端側に刈取装置6、植立穀稈を分草する分草具8、植立穀稈を引き起こす引起しケース、植立穀稈を刈り取る刈刃、刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する株元搬送装置12、供給搬送装置などが設けられ、車体フレーム2の上方には、供給搬送装置から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェーン9を有する脱穀装置10と、該脱穀装置10で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク11が載置され、グレンタンク11の後部に図示しないオーガを連接して、グレンタンク11内の穀粒をコンバイン1の外部に排出する構成としている。コンバイン1のオペレータは操作席50に搭乗し、圃場などコンバイン1の前方の状況を注視しながら、操作席50の前方に設けた操作パネル17の各種計器を監視し、各種操作桿および回転ハンドル60を操作して、コンバイン1の走行、刈り取りなどの運転操作を行う。
【0009】図3は回転ハンドル60の部分のみを取りだして示した斜視図である。回転ハンドル60は円環状のハンドルホイール61を複数本のハンドルスポーク62でハンドルボス63に接続し、ハンドルボス63をハンドルコラム64の頂部に固着する。ハンドルコラム64は図示しない軸支手段により回動自在に支承され、該ハンドルコラム64の下方でハンドルコラム64の軸線に垂直方向にハンドルアーム65を突出固着し、該ハンドルアーム65のハンドルコラム64から離隔した位置にハンドルコラム軸と平行にピン66を植立し、該ピン66にセンサヨーク68の一端を遊嵌し、該センサヨーク68の他端はハンドルポジションセンサ67の回動軸に固着している。
【0010】こうしてハンドルポジションセンサ67の回動軸をハンドルホイール61の回転角度に比例して回動し、ハンドルポジションセンサ67はハンドルアーム65、センサヨーク68を介して、ハンドルホイール61の回転角度に比例した信号を発信する。
【0011】図4を参照して、コンバイン1の走行駆動力の伝達経路を説明すると、エンジン18(図2)の動力はトランスミッシッヨン19(図2)の主変速機のハイドロスタティックトランスミッションHST20、および副変速機21にて変速し、左右のクローラ3R、3Lに伝動して任意の速度で走行する。右クローラ3Rは、副変速機21から右クラッチ24、右ブレーキ26、右スピンクラッチ28、右走行軸30R、右クローラスプロケット32Rを経て駆動される。左クローラ3Lは、副変速機21から左クラッチ25、左ブレーキ27、左スピンクラッチ29、左走行軸30L、左クローラスプロケット32Lを経て駆動される。また、副変速機21から逆転ギヤ22を経て右スピンクラッチ28、右走行軸30R、右クローラスプロケット32Rを経て右クローラ3Rを逆走駆動し、副変速機21から逆転ギヤ22を経て左スピンクラッチ29、左走行軸30L、左クローラスプロケット32Lを経て左クローラ3Lを逆走駆動することもできる構成である。さらに副変速機21の出力軸には回転速度検出器を取り付け、これをコンバイン1の車速センサ21sとし、車速モータ20mにより主変速機HST20を調節して車速を変更できる構成としている。
【0012】すなわち、コンバイン1を直進走行させる場合は、トランスミッシッヨン19内において主変速機のハイドロスタティックトランスミッションHST20、および副変速機21にて変速し、副変速機21から右クラッチ24を接続(ON)、右ブレーキ26を不作動(OFF)、右スピンクラッチ28を不作動(OFF)にして、右走行軸30R、右クローラスプロケット32Rを経て右クローラ3Rを前進駆動し、また副変速機21から左クラッチ25を接続(ON)、左ブレーキ27を不作動(OFF)、左スピンクラッチ29を不作動(OFF)にして、左走行軸30L、左クローラスプロケット32Lを経て左クローラ3Lを前進駆動し、右クローラ3Rと左クローラ3Lとは等速前進するのでコンバイン1は直進前進する。
【0013】コンバイン1を右に旋回走行させる場合は以下に述べるように作動させる。右クラッチ24を開放(OFF)にして副変速機21からの動力伝達を絶ち、右ブレーキ26を作動(ON)させ、右スピンクラッチ28は不作動(OFF)のままとして、右走行軸30R、右クローラスプロケット32Rを経て右クローラ3Rをブレーキ制動し、また副変速機21から左クラッチ25を接続(ON)、左ブレーキ27を不作動(OFF)、左スピンクラッチ29を不作動(OFF)にして、左走行軸30L、左クローラスプロケット32Lを経て左クローラ3Lは前進駆動のままとするので、右クローラ3Rの走行速度はブレーキ力により変化するがほとんどゼロであり、一方、左クローラ3Lは前進走行するのでコンバイン1は右に旋回する。この場合ブレーキ26のブレーキ力がゼロであればクローラ3Rはフリー状態でコンバイン1は緩旋回し、ブレーキ力増大に伴い次第に急旋回する。コンバイン1を左に緩旋回または急旋回走行させる場合は上記と左右反対の作動を行う。
【0014】コンバイン1を右に超急旋回させる場合は以下に述べるように作動させる。右クラッチ24を開放(OFF)にして副変速機21からの動力伝達を絶ち、右ブレーキ26を不作動(OFF)とし、右スピンクラッチ28は接続(ON)にすると、副変速機21から逆転ギヤ22、右スピンクラッチ28、右走行軸30R、右クローラスプロケット32Rを経て右クローラ3Rを逆方向に走行させるように駆動し、副変速機21から左クラッチ25を接続(ON)、左ブレーキ27を不作動(OFF)、左スピンクラッチ29を不作動(OFF)にして、左走行軸30L、左クローラスプロケット32Lを経て左クローラ3Lは前進駆動のままとするので、右クローラ3Rは逆進走行し、左クローラ3Lは前進走行してコンバイン1はその場で右まわりに超急旋回する。コンバイン1を左に超急旋回させる場合は上記と左右反対の作動を行う。
【0015】上記の作動は、図5に例示する制御回路90により制御される。すなわち、制御回路90の中央演算制御装置CPU91の入力側には、ハンドルポジションセンサ67(図3)の出力信号、左ブレーキ圧力センサ27sの出力信号、右ブレーキ圧力センサ26sの出力信号、左スピンクラッチ圧力センサ29sの出力信号、右スピンクラッチ圧力センサ28sの出力信号、車速センサ21s(図4)の出力信号をそれぞれ入力し、さらに半固定抵抗器により構成される車速設定器92を接続して設定車速vをあらかじめ入力できるようにする。CPU91は必要な演算処理と出力信号を発生して、CPU91の出力側に接続する左クラッチソレノイド25a、右クラッチソレノイド24a、左ブレーキソレノイド27a、右ブレーキソレノイド26a、左スピンクラッチソレノイド29a、右スピンクラッチソレノイド28a、および主変速機HST20を調節してコンバイン1の車速Vを制御する車速モータ20m(図4)をぞれぞれ制御する。
【0016】図6、図7に制御回路90による制御のフローを示す。図6、図7の走行がスタートした後、ステップS2で車速設定器92の設定車速vを読みとり、ステップS10でストップ信号の有無を調べてYESであればステップS11でストップするが、NOであればステップS20へ進みハンドルポジションセンサ67のハンドル操作角度θを読みとり、ステップS21でハンドル操作角度θが+αより大であるかを比較してNOであればステップS31へ進み、ステップS31で−αより小であるかを比較してNOであればステップS41へ進み、右クラッチ24をONのままとし、さらにステップS42で左クラッチ25をONのままとする。すなわち、ハンドル操作角度θが+αと−αとの間にあれば右クラッチ24および左クラッチ25はともに接続状態にある。したがって右クローラ3Rおよび左クローラ3Lは等速で前進するので、コンバイン1は直進前進する。制御のフローはステップS43のタイマーに進み、ここで所定時間経過後にステップS10へ戻り、以下同様に制御のフローが繰り返される。
【0017】ステップS21でハンドル操作角度θが+αより大で、YESであればステップS22に進み右クラッチ24をOFFとし、ステップS23でハンドル操作角度θが+βより大であるか比較してNOであればステップS24へ進み、ハンドル操作角度θにしたがってブレーキ圧を演算して、ステップS25で右ブレーキ26のブレーキ圧を制御したのちステップS50へ進む。ステップS25で右ブレーキ26が作動してコンバイン1は右旋回し、ブレーキ圧が大であるほど急旋回となる。
【0018】ステップS23でハンドル操作角度θが+βよりも大であればステップS26に進み右スピンクラッチ28をONに制御したのちステップS50に進む。ステップS26で右スピンクラッチ28が作動して逆回転ギヤ22(図4)の回転が伝達され、右クローラ3Rが逆進するのでコンバイン1は右に超急旋回する。
【0019】ステップS31でハンドル操作角度θが−αよりも小、またステップS33で−βよりも小であれば左急旋回し、ステップS31でハンドル操作角度θが−αよりも小、またステップS33で−βよりも小であれば左超急旋回する制御が行われることは図6、図7に示す通りである。
【0020】上記構成からなる装置の特徴はステップS50以下にあり、ステップS50で車速センサ21s(図4)の車速Vを読み込み、車速VがステップS51においてステップS2であらかじめ読み込んだ車速設定値vより大であるか比較して、NOであればステップS43に進み、ステップS10に戻るが、ステップS51においてYESであればステップS52へ進み、ハンドル操作角度θにしたがって車速減少量ΔVを演算し、ステップS53において車速Vを減少する制御信号を車速モータ20m(図4)に与えたのちステップS43に進み、ステップS10に戻る。すなわち、ハンドル操作角度θが+αより大または−αより小でコンバイン1が旋回を開始しようとするとき、コンバイン1の車速Vが設定車速v未満の低速であれば車速Vは変更されないが、設定車速vを超えていればハンドル操作角度θにより定まる車速減少量ΔVだけ車速Vに応じたコンバイン1の車速Vが低減される制御が行われる。
【0021】また、上記動作を図面で説明すると図8のようになる。図8(a)ないし(e)はいずれも横軸をハンドル操作角度θとして、縦軸はそれぞれ図8(a)はハンドルポジションセンサ67のハンドルポジション値、図8(b)は右クラッチ24、左クラッチ25のクラッチ圧、図8(c)は右ブレーキ26、左ブレーキ27のブレーキ圧、図8(d)は右スピンクラッチ28、左スピンクラッチ29のスピンクラッチ圧、図8(e)は車速減少量ΔV(車速V)を示す。図8(a)に示すように回転ハンドル60(図3)を回転操作するとハンドル操作角度θに正比例してハンドルポジション値が変化する。図8(b)に示すようにハンドル操作角度θが±α未満であればクラッチ圧はゼロであり、右クラッチ24、左クラッチ25ともにONのままの、いわゆる回転ハンドル60の遊び角度範囲であるが、操作角度θが+αに達すると右クラッチ圧が上昇して右クラッチ24がOFFになる。
【0022】図8(c)に示すようにブレーキ圧は操作角度θが+αを超えると上昇しはじて操作角度θが+βに達するまで操作角度θの増大に正比例して増大し、したがって右ブレーキ26のブレーキ力も増大する。操作角度θが+αのときは右クラッチ24がOFF(図8(b))で右ブレーキのブレーキ力がゼロ(図8(c))であるから、右クローラ3Rはフリー状態になり、コンバイン1は右に緩やかに旋回する。操作角度θが+βのときは右ブレーキ26のブレーキ力は最大で、右クローラ3Rは停止するのでコンバイン1は右に急旋回する。操作角度θが+βを超えると右ブレーキ26のブレーキ圧はゼロになり(図8(c))、右スピンクラッチ28のスピンクラッチ圧が上昇(図8(d))して右スピンクラッチ28がONになるので右クローラ3Rは逆進して、コンバイン1は右に超急旋回する。
【0023】図8(e)に示すように車速減少量ΔV はハンドル操作角度θが±α未満ではゼロであるが、ハンドル操作角度θが+αを超えると車速減少量ΔVは操作角度θに比例して増大し、ハンドル操作角度θが+βで最大になり、+β以上では最大値のまま一定値を保持する。すなわち、回転ハンドル60を遊び範囲を超えて、操作角度θを+α以上に操作すると右ブレーキ26が作動して右クローラ3Rを制動して右急旋回をさせるが、同時に車速Vが設定車速vを超えていれば、ハンドル操作角度θに比例した車速減少量ΔVだけ車速Vを減少するように作動することになる。図8(e)から明らかなように、ハンドル操作角度θが+αのときは右に緩旋回するが、このとき車速減少量ΔVはゼロであり、またハンドル操作角度θが+β以上の右超急旋回では車速減少量ΔVは最大値のままである。
【0024】左旋回の場合は上述と左右反対に作動する。すなわち、回転ハンドル60を遊び範囲を超えて、操作角度θを−α以下に操作すると左ブレーキ27が作動して左クローラ3Lを制動して左急旋回をさせるが、同時に車速Vが設定車速vを超えていれば、ハンドル操作角度θに比例した車速減少量ΔVだけ車速Vを減少するように作動することになる。図8(e)から明らかなように、ハンドル操作角度θが−αのときは左に緩旋回するが、このとき車速減少量ΔVはゼロであり、またハンドル操作角度θが−β以下の左超急旋回では車速減少量ΔVは最大値のままである。
【0025】このように左右一対のクローラ3R、3Lをもつコンバイン1などの走行装置の操舵を回転ハンドル60を回転操作して行うものにおいて、車速設定器92(図5)、車速センサ21s、車速モータ20mなどを具備し、コンバイン1の旋回時に走行速度Vの減速を開始する速度vをあらかじめ車速設定器92に設定しておき、設定速度v以上で走行する状態で回転ハンドル60を回転操作してコンバイン1の旋回操作を行うとき、回転ハンドル60の遊び角±α以上の操作角度(θ−α)に正比例(正比例とするのは一例に過ぎない)して車速減少量ΔVを演算して車速Vを減速するように制御することを特徴とするクローラ式走行装置の操舵手段であるので、従来のコンバイン1などと同様に直進走行は任意の高速で行うことができると共に、高速運転中であっても回転ハンドル60を回転操作して走行方向の変更を行おうとすると回転ハンドル60の操舵角(θ−α)に比例して定まる車速減少量ΔVだけ自動的に車速Vの減速が行われるので、コンバイン1などの旋回時に発生する遠心力による転倒モーメントが減衰されて旋回操作が容易かつ安全になると共に、車速減少量ΔVは回転ハンドル60の操舵角(θ−α)に比例して定めているので、操舵角θを小さく緩やかな旋回をするとき車速減少量ΔVも小さく、コンバイン1の作業能率の低下も小さい。
【0026】上記図1ないし図8に示す実施の形態のコンバイン1などの走行装置の変形例を図9ないし図11に示す。本例は図9の操作席50付近の一部破断斜視図に示すように、コンバイン1の車体フレーム2の下方にクローラ3による走行装置4を配置し、車体フレーム2の右前方上部に操作席50を配置し、該操作席50の前部に操作パネル17を設けて、該操作パネル17には回転ハンドル60を回転自在に植立し、かつ詳細を後述する感度調節ダイヤル94を配設して走行装置の操作性を向上させる。
【0027】この場合の作動は、図10に例示する制御回路90により制御される。すなわち、制御回路90の中央演算制御装置CPU91の入力側には、ハンドルポジションセンサ67(図3)の出力信号、左ブレーキ圧力センサ27sの出力信号、右ブレーキ圧力センサ26sの出力信号、左スピンクラッチ圧力センサ29sの出力信号、右スピンクラッチ圧力センサ28sの出力信号、および可変抵抗器により構成され操作パネル17に設置した感度調節ダイヤル94の出力信号をそれぞれ入力し、CPU91は必要な演算処理と出力信号を発生して、CPU91の出力側に接続する左クラッチソレノイド25a、右クラッチソレノイド24a、左ブレーキソレノイド27a、右ブレーキソレノイド26a、左スピンクラッチソレノイド29a、および右スピンクラッチソレノイド28をぞれぞれ制御する。
【0028】図11に作用図を示すが、図11(a)ないし(c)はいずれも横軸をハンドル操作角度θとして、縦軸はそれぞれ図11(a)はハンドルポジションセンサ67のハンドルポジション値、図11(b)は右クラッチ24、左クラッチ25のクラッチ圧、図11(c)は右ブレーキ26、左ブレーキ27のブレーキ圧を示す。図11(a)に示すように回転ハンドル60(図3、図9)を回転操作するとハンドル操作角度θに正比例してハンドルポジション値が変化する。図11(b)に示すようにハンドル操作角度θが±α未満であればクラッチ圧はゼロであり、いわゆる回転ハンドル60の遊び角度範囲であるが、操作角度θが+αに達すると右クラッチ圧が上昇して右クラッチ24がOFFになる。図11(c)に示すようにブレーキ圧は操作角度θが+αを超えると上昇しはじめて操作角度θが+βに達するまで操作角度θの増大に正比例して増大するため、右ブレーキ26のブレーキ力も増大する。操作角度θが+αのときは右クラッチ24がOFF(図11(b))で右ブレーキ26のブレーキ力がゼロ(図11(c))であるから、右クローラ3Rはフリー状態になり、コンバイン1は右に緩やかに旋回する。操作角度θが+βのときは右ブレーキ26のブレーキ力は最大で、右クローラ3Rは停止するのでコンバイン1は右に急旋回する。
【0029】このように感度調節ダイヤル94を設けてコンバイン1のオペレータが回転ハンドル60の同一ハンドル操作角度θにおけるブレーキ圧を調整可能とした構成を採用し、感度調節ダイヤル94を鈍感側に設定すると上述のようにブレーキ圧が作用し、感度調節ダイヤル94を敏感側に設定すると、ブレーキ圧を調整する比例減圧弁のソレノイド駆動電流を鈍感側に設定したときよりも大に制御して、制御油圧流量を大にし、ブレーキ圧を大にして、その結果として同一ハンドル操作角度θにおけるブレーキ圧が大になるよう作用する。換言すれば、感動設定ダイヤル94を鈍感側に設定した場合にハンドル操作角度θ=αにおいてブレーキ圧が立ち上がりはじめ、ハンドル操作角度θ=βにおいてブレーキ圧が最大値に達するのに対して、感動設定ダイヤル94を敏感側に設定した場合にハンドル操作角度θ=αにおいてブレーキ圧が立ち上がりはじめ右緩旋回することは同様であるが、ハンドル操作角度θ=β’においてブレーキ圧が最大値に達して、コンバイン1は右急旋回する。ハンドル操作角度β’はβよりも小さいから、いわゆるハンドルの効きが良い状態となる。
【0030】左旋回の場合は上述と左右反対に作用する。また、ブレーキ圧が最大値に達した後にさらにハンドル操作角度θを大にした場合の作動はスピンクラッチを作動させて超急旋回とすることもできるし、図6、図7のようにハンドル操作角度θ増大に比例して車速減少量を増大することもできる。
【0031】このようにコンバイン1のオペレータは感動調節ダイヤル94でハンドル操作角度θに対して任意のブレーキ圧の設定ができるので、オペレータ自身のもっとも適合した設定のもとでコンバイン1の旋回操作を行うことができる。
【0032】上記図1ないし図8に示す実施の形態のコンバイン1などの走行装置の操作性向上と旋回時の安全性を向上させた変形例を図12ないし図16に示す。図12の操作席50付近の一部破断斜視図に示すように、コンバイン1の車体フレーム2の下方にクローラ3よりなる走行装置4を配置し(図9参照)、車体フレーム2の右前方上部に操作席50を配置し、該操作席50の前部に操作パネル17を設けて、該操作パネル17には回転ハンドル60を回転自在に植立し、かつ詳細を後述するスピンターン車速設定ダイヤル93を配設する。
【0033】本例においては、図13に例示する制御回路90により制御されるが、その回路90における前記図5の制御回路との違いは車速設定器92の代わりに車速変更ダイヤル93を接続したことであり、制御回路90による制御のフローは図14、図15に示すように、ステップS1でスタートし、ステップS3でスピンターン車速設定ダイヤル93の設定車速vを読みとり、ステップS10でストップ信号の有無を調べてYESであればステップS11でストップするが、NOであればステップS20へ進みハンドルポジションセンサ67のハンドル操作角度θを読みとり、ステップS21でハンドル操作角度θが+αより大であるかを比較する判断をし、以下図6、図7に示した動作と同一動作をする。
【0034】この場合の作用図は図16に示すようになる。図16(a)に示すように回転ハンドル60(図3)を回転操作するとハンドル操作角度θに正比例してハンドルポジション値が変化する。図16(b)に示すようにハンドル操作角度θが+αに達すると右クラッチ圧が上昇して右クラッチ24がOFFになる。図16(c)に示すようにブレーキ圧は操作角度θが+αを超えると上昇しはじめて操作角度θが+βに達するまで操作角度θの増大に正比例して増大し、したがって右ブレーキ26のブレーキ力も増大する。操作角度θが+αのときは右クラッチ24がOFF(図16(b))で右ブレーキのブレーキ力がゼロ(図16(c))であるから、右クローラ3Rはフリー状態になり、コンバイン1は右に緩やかに旋回する。
【0035】操作角度θが+βのときは右ブレーキ26のブレーキ力は最大で、右クローラ3Rは停止するのでコンバイン1は右に急旋回する。操作角度θが+βを超えると右ブレーキ26のブレーキ圧はゼロになり(図16(c))、右スピンクラッチ28のスピンクラッチ圧が上昇して右スピンクラッチ28がONになる(図16(d))ので右クローラ3Rは逆進して、コンバイン1は右に超急旋回する。
【0036】図16(e)に示すように車速減少量ΔVはハンドル操作角度θが±α未満ではゼロであるが、ハンドル操作角度θが+αを超えると車速減少量ΔVは操作角度θに比例して増大し、車速減少量ΔVの増大の程度は設定車速vが小の時ほど大であり、ハンドル操作角度θが+βでそれぞれ設定車速vにより定まる最大値になり、+β以上では最大値のまま一定値を保持する。すなわち、回転ハンドル60を遊び範囲を超えて操作角度θを+α以上に操作すると、右ブレーキ26が作動して右クローラ3Rを制動して右急旋回をさせるが、同時に車速Vが設定車速vを超えていれば、ハンドル操作角度θに比例しかつ設定車速vに反比例した車速減少量ΔVだけ車速Vを減少するように作動することになる。図16(e)から明らかなように、ハンドル操作角度θが+αのときは右に緩旋回するがこのとき車速減少量ΔVはゼロであり、またハンドル操作角度θが+β以上の右超急旋回ではΔVは最大値で一定のままであり、かつ設定車速vが小のほど車速減少量ΔVは大となる。
【0037】左旋回の場合は上述と左右反対に作動する。すなわち、回転ハンドル60を遊び範囲を超えて操作角度θを−α以下に操作すると、左ブレーキ27が作動して左クローラ3Lを制動して左急旋回をさせるが、同時に車速Vが設定車速vを超えていれば、ハンドル操作角度θに比例しかつ設定車速vに反比例した車速減少量ΔVだけ車速Vを減少するように作動することになる。図16(e)から明らかなように、ハンドル操作角度θが−αのときは左に緩旋回するがこのとき車速減少量ΔVはゼロであり、またハンドル操作角度θが−β以下の左超急旋回ではΔVは最大値で一定のままであり、かつ設定車速vが小のほど車速減少量ΔVは大となる。
【0038】こうして同一のコンバイン1を熟練したオペレータと未熟練のオペレータとが交互に使用する場合でも、熟練したオペレータはスピンターン車速設定ダイヤル93で設定車速vを高く設定して、車速Vを高速のまま直進走行作業を行い、かつ回転ハンドル60を操作して旋回操舵を行う場合に車速減少量ΔVを小にすることができ、したがって大きく減速しないで旋回できるので安全性を配慮しながら作業能率を低下しないで済む。また、未熟練のオペレータはスピンターン車速設定ダイヤル93で設定車速vを低く設定しておけば、直進走行作業を高速で行っても回転ハンドル60を操作して旋回操舵を行う場合には車速減少量ΔVが大であり、かつ直進時の車速Vが小であっても設定車速vが小であるから旋回時には必ず減速してから旋回できるので安全性を高くする。
【0039】なお、設定車速vを変更した場合の同一のハンドル操作角度θに対する車速減少量ΔVを変更できるように構成することも可能であり、また設定車速vをスピンターン車速設定ダイヤル93で変更しても同一のハンドル操作角度θに対する車速減少量ΔVを一定値とすることも可能である。
【0040】上記図1ないし図8に示す実施の形態のコンバイン1などの走行装置の安全性および操作性の向を図った走行装置の回転ハンドル部分の変形例を図17に示す。
【0041】自動車の操舵では、回転ハンドルを回転することにより自動車タイヤの舵取り角度を変化させて走行方向の変更を行うので、自動車タイヤの方向から容易に操舵状態を視認できるが、クローラ3よりなる走行装置4を有するコンバイン1などの走行装置では、自動車と類似な回転ハンドル60による操舵であっても、左右のクローラ3R、3Lに速度差を与えることによって方向変更を行うので、クローラ3R、3Lの状態から外見的に操舵状態を視認することはできないので、コンバイン1を停止する前に旋回操作が行われていると、次回に始動したときに予期しない急旋回をするというおそれがある。
【0042】図17に示す例では走行装置の回転ハンドル60の部分のみを取りだして示した斜視図であり、回転ハンドル60は円環状のハンドルホイール61を複数本のハンドルスポーク62でハンドルボス63に接続し、該ハンドルボス63をハンドルコラム64の頂部に固着し、ハンドルコラム64は図示しない軸支手段により回動自在に支承され、該ハンドルコラム64の下方でハンドルコラム64の軸線に垂直方向にハンドルアーム65を突出固着し、該ハンドルアーム65のハンドルコラム64から離隔した位置にハンドルコラム軸と平行にピン66を植立し、該ピン66にセンサヨーク68の一端を遊嵌し、該センサヨーク68の他端はハンドルポジションセンサ67の回動軸に固着している。
【0043】そして、ハンドルポジションセンサ67にハンドルホイール61の回転角度に比例した信号を発信させるために、回転ハンドル60において、ハンドルアーム65のピン66の付近の左右に張力バネ69R、69Lの端部を接続し、該張力バネ69R、69Lのそれぞれの他端部は該張力バネ69R、69Lに適切な張力を付与する状態で固定点70R、70Lに接続する構成とする。
【0044】上記構成により、たとえば回転ハンドル60のハンドルホイール61を右に旋回すると、ハンドルアーム65に接続した張力バネ69Lが展伸されてバネ力が増大し、該バネ力はハンドルホイール61の右旋回に逆らう方向に作用するので、結局ハンドルホイール61を中立位置に復帰させるように作用する。ハンドルホイール61を左に回転すると上述と左右反対に作用する。
【0045】すなわち上述の張力バネ69Rおよび69Lは回転ハンドル60の中立位置復帰バネとして作用するので、オペレータは回転ハンドル60を操舵したときハンドルホイール61の回転状態を該ハンドルホイール61の反力から感知できると共に、ハンドルホイールを回転したままコンバイン1の運転を停止しても、オペレータがハンドルホイール61から手を離せばハンドルホイール61は自動的に中立位置に復帰するので、次回にコンバインを始動するときに急旋回することがなく、安全性および操作性を高くすることができる。
【0046】なお、上記図17の装置の変形例として図18のコンバイン1の始動時の制御のフローに示すように、回転ハンドル60が中立位置にあることをエンジン18(図4)の始動条件とすれば、回転ハンドル60が中立位置以外の回転したままの位置にある状態ではエンジン18の始動ができないので、コンバイン1が始動直後に急旋回することを完全に回避することができて安全性をさらに向上することができる。
【0047】上記図1ないし図8に示す実施の形態のコンバイン1などの走行装置の変形例を図19ないし図24に示す。この場合は、コンバイン1などのクローラ3を走行装置4とし車高上下および車体のローリングが可能な走行装置のローリング制御に関する操作性向上および安全性向上の課題が解決できる。
【0048】図19は本発明の実施の形態をコンバイン1に適用した場合のコンバイン1の左側面図であり、図20は車体フレーム2および走行装置4の一部切り欠き断面を含む側面図であり、図21は車体フレーム2および走行装置4の一部切り欠き断面を含む平面図であり、図22は操作席50付近の斜視図であり、図23は回転ハンドル60の断面図であり、図24は図23のA−A線矢視側面図である。
【0049】図19において、コンバイン1、車体フレーム2、左右一対の走行クローラ3R、3L、走行装置4、刈取装置6、分草具8、フィードチェーン9、脱穀装置10、グレンタンク11、操作パネル17、操作席50及び回転ハンドル60などが設けられている。
【0050】左右一対のクローラ3R、3Lを走行装置4とする走行装置、特にコンバイン1では湿地帯、湿田を走行する際に車高を高くし、また左右方向の傾斜地などを走行する際に車体をローリングすなわち車体フレーム2を傾斜地と反対の左右方向に傾斜させて車体上部に搭載する装置類を水平に保持し、さらに前後方向の傾斜地に対してピッチングすなわち車体フレーム2を傾斜地と反対の前後方向に傾斜させることが必要であり、そのために車体フレーム2を昇降する昇降手段103および車台2を前後方向に傾斜する前後傾斜手段104が設けられている。
【0051】車高を上下し、かつローリングできるコンバイン1を示す図19ないし図21において、該コンバイン1の走行装置4は、無端帯状のクローラ3と、該クローラ3を駆動する駆動スプロケット32と、所定間隔をおいて設けられていてクローラ3を地面に接地させる複数の接地転輪116と、地面の凹凸に対応する可動転輪117と、前記接地転輪116と可動転輪117を支持するトラックローラフレーム118と、クローラ3に張力を与える移動スプロケット119と、該移動スプロケット119を移動調節する調節装置120と、クローラ3の垂れ下がりを防止する支持転輪121等から構成されていて、これと同じ構成のものが左右一対に設けられている。
【0052】前記昇降手段103は前述の走行装置4の左右に、左右の昇降が個別にできるように各々設けられているが、左右の昇降手段103を同時に作動させれば車体フレーム2の全体を昇降させることができ、左右の昇降手段103を個別に作動させれば車体フレーム2を左右方向傾斜すなわちローリングさせることができる。
【0053】昇降手段103は次のように構成される。トラックローラフレーム118には、その前部に前部アーム122がピン123に遊嵌連結し、後部には後部アーム124がピン125に遊嵌連結している。前部アーム122の他端は、車体フレーム2に固定されている支持台126の前部ローリング軸127に遊嵌連結していて、さらに、前部ローリング軸127にはアーム130が遊嵌連結している。前部アーム122とアーム130は連結固定されている。前記後部アーム124の他端は、車体フレーム2に固定している連結アーム129の後部ローリング軸128に遊嵌連結していて、さらに、後部ローリング軸128にはアーム131が遊嵌連結している。後部アーム124とアーム131は連結固定されている。また、アーム130とアーム131は、連結ロッド132で遊嵌連結していて、さらに、前記アーム131の端部には、油圧シリンダ133のピストンロッド134の端部が遊嵌連結している。油圧シリンダ133は車体フレーム2に対して遊嵌しているプレート133aに遊嵌していて、その遊嵌軸心からプレート133bが設けられ、その端部はピッチングアーム139に連結している。
【0054】前記プレート133bは油圧シリンダ133のピストンロッド134を移動可能にするためのものである。また、前記プレート133aにて油圧シリンダ133をつり下げ状態としているのは、ピッチング油圧シリンダ143を作動させたときにおいて、油圧シリンダ133のピストンロッド134が移動しないためのものである。
【0055】なお、ピッチング油圧シリンダ143などの機能については後述する。油圧シリンダ133のピストンロッド134を伸ばすと、図20に示す左側面図において、アーム131は時計方向に回転して連結ロッド132を引っ張り、該連結ロッド132はアーム130を時計方向に回転させる。すると、後部アーム124と前部アーム122は共に時計方向に回転して、これにより、トラックローラフレーム118は車体フレーム2に対して下方へと下がる。左右の油圧シリンダ133のピストンロッド134を同時に伸ばすと、地面に対しては、車体フレーム2を上昇させることになる。
【0056】また、油圧シリンダ133のピストンロッド134を縮めると、前述の作動と反対に作動するので、トラックローラフレーム118は車体フレーム2に対して上方へと上がる。左右の油圧シリンダ133のピストンロッド134を同時に短縮すると、地面に対して車体フレーム2は下降することになる。
【0057】前記油圧シリンダ133はコンバイン1が左右方向傾斜(ローリング)したときにおいて、その修正に使用する。たとえば、圃場の影響でコンバイン1の走行装置4が左側に傾斜すると、車台フレーム2も左側に傾斜してしまい、該車台フレーム2に載置されている操作席50も左側に傾斜するので、操作席50に搭乗するオペレータの乗り心地が悪くなると共に、搭載されている脱穀装置10も左側に傾斜して脱穀した穀粒の選別も悪くなる。そこでこのようなときは、左側の油圧シリンダ133のピストンロッド134を伸ばして、車台フレーム2の左側を上昇させて車台フレーム2をほぼ水平にするよう制御(ローリング制御)する。コンバイン1が右側に傾斜したときは右側の油圧シリンダ133のピストンロッド134を伸張して車台フレーム2の右側を上昇させるのである。
【0058】図22の上記コンバイン1の操作席50付近の一部破断斜視図に示すように、コンバイン1の車体フレーム2の下方にクローラ3よりなる走行装置4を配置し(図9参照)、車体フレーム2の右前方上部に操作席50を配置し、該操作席50の前部に操作パネル17を設けて、該操作パネル17には回転ハンドル60を回転自在に植立し、かつ操作パネル17に回転ハンドル60のコラム64が左右動できる長穴17aおよび該回転ハンドル60のコラム64の左右動を停止するロック装置79が設けられている。
【0059】図23は上記図22の回転ハンドル60の一部縦断面図であり、ハンドルホイール61により回動されるハンドルコラム64は二つのシールつきベアリング64aおよび64bで回転自在に支承され、ベアリング64aおよび64bはハンドルハウジング縦72aに嵌着され、該ハンドルハウジング縦72aと一体のハンドルハウジング横72bの両側面にジャーナル73および74を突出して該ジャーナル73および74をベアリング73aおよび74aで回動自在に支承し、ハンドルハウジング横72bの内部にはハンドルアーム65、ピン66、センサヨーク68およびハンドルポジションセンサ67を内蔵して、以下に述べるハンドルコラム64を左右に移動する操作を行っても、操舵のためのハンドルホイール61の回転角は正確にハンドルポジションセンサ67に伝達できる構造としている。
【0060】ハンドルコラム64は回転ハンドル60のハンドルホイール61をオペレータが左右方向に移動することによりハンドルハウジング72aおよび72bがジャーナル73および74を回動中心として回動して、図24に示すように回転ハンドル60のハンドルホイール61を右方向に押したときにはハンドルハウジング72aに固着したプッシュレバー75aがローリングスイッチ75を押してスイッチ回路をONにして図示しない制御回路に信号を送り、コンバイン1を右下がりにさせる制御信号出力により車体フレーム昇降手段103を作動させて右にローリングさせ、また、回転ハンドル60のハンドルホイール61を左方向に押したときにはハンドルハウジング72aに固着したプッシュレバー76aがローリングスイッチ76を押してスイッチ回路をONにして図示しない制御回路に信号を送り、コンバイン1を左下がりにさせる制御信号出力により車体フレーム昇降手段103を作動させて左にローリングさせるように作用する。
【0061】なお、ハンドルハウジング72aは左右方向から張力バネ77および78により引っ張って常時はハンドルコラム64を中立位置に静止するようにし、かつハンドルコラム64を左右方向に移動操作する場合にオペレータに対して適当な反力荷重を感知させる構成とし、また、路上走行時などローリング操作を行う必要がない場合に誤操作してローリングさせることを避けるために、操作パネル17に設けたハンドルロック装置79により回転ハンドル60の左右動をロックできる構成としている。
【0062】上記構成において、オペレータは回転ハンドル60から手を離すことなく回転ハンドル60で操舵操作を行いながら、該回転ハンドル60を左右移動させて走行装置のローリング操作を制御できるので、コンバイン1などのローリング操作が極めて容易になり、かつロック装置79(図22)により回転ハンドル60の左右移動をロックできるので不用意な誤操作によるローリングを防止できて安全性を向上できる。
【0063】車高上下および車体のピッチングが可能な走行装置のピッチング制御に関する操作性向上および安全性向上のためのコンバイン1などの走行装置の変形例を図19ないし図21ならびに図25ないし図28に示す。
【0064】図20は本発明をコンバイン1に適用した場合のコンバイン1の車体フレーム2および走行装置4の一部切り欠き断面を含む側面図であり、図21は車体フレーム2および走行装置4の一部切り欠き断面を含む平面図であり、図25はピッチング動作中の車体フレーム2と車体フレーム傾斜手段104の側面図であり、図26は操作席50付近の斜視図であり、図27は回転ハンドル60の断面図であり、図28は図27のB−B線矢視側面図である。
【0065】図19、図18、図19は既に他のコンバインの実施の形態で説明したとおりである。図20および図21ならびに図25において、車台フレーム2の前後方向の傾斜手段104は、連結アーム129の一端はピッチングアーム139とピン138で連結されていて、該ピッチングアーム139は、車台フレーム2に対して軸140にて遊嵌連結されている。具体的には該軸140は走行フレーム141に軸受け142にて回動可能に支持されている。コンバイン1の前進方向に対して右側のピッチングアーム139のみ、上方に突出していて(突出部139a)、その端部には車台フレーム2に対して遊嵌しているピッチング油圧シリンダ143のピストンロッド144の端部が遊嵌している。
【0066】ピストンロッド144を伸張すると、ピッチングアーム139は軸140を支点にして時計回りに回動する。ピン138もピッチングアーム139と共に時計回りに回動するので、連結アーム129、後部ローリング軸128、後部アーム124、ピン125は上昇する。該ピン125はトラックローラーフレーム118の後部を上昇させるので、車台フレーム2の後部とクローラ3、走行装置4との間の間隔は短くなり、後ろ下がり傾斜、すなわち車台フレーム2は前上がり傾斜となる。
【0067】ピストンロッド144を短縮すると前述と反対の動きとなり、車台フレーム2の後部とクローラ3、走行装置4との間隔は長くなり、後ろ上がり傾斜すなわち車台フレーム2は前下がり傾斜となる。
【0068】このようにピッチングの動きは、基本的にはコンバイン1の前後方向の傾斜をほぼ水平にするためのものである。圃場面が湿田のときには、コンバイン1は前後方向にも大きく傾斜するので、たとえば走行装置4と共に車台フレーム2が前側に傾斜するとピッチング油圧シリンダ143のピストンロッド144を伸張して、前上がり傾斜として車台フレーム2およびコンバイン1の上部を水平とすることができる。
【0069】また走行装置4と共に車台フレーム2が後方に傾斜すると、ピッチング油圧シリンダ143のピストンロッド144を短縮して車台フレーム2の後部を走行装置4に対して上方へと移動させて、車台フレーム2およびコンバイン1の上部を水平とすることができる。
【0070】図26は操作席50付近の一部破断斜視図に示すように、コンバイン1の車体フレーム2の下方にクローラ3よりなる走行装置4を配置し(図9参照)、車体フレーム2の右前方上部に操作席50を配置し、該操作席50の前部に操作パネル17を設けて、該操作パネル17には回転ハンドル60を回転自在に植立し、かつ操作パネル17に回転ハンドル60のコラム64が前後動できる長穴17bおよび該回転ハンドル60のハンドルコラム64の前後動を停止するロック装置89が設けられている。図27は回転ハンドル60の縦断面図であり、ハンドルホイール61により回動されるハンドルコラム64は二つのシールつきベアリング64aおよび64bで回転自在に支承され、ベアリング64aおよび64bはハンドルハウジング縦82aに嵌着され、該ハンドルハウジング縦82aと一体のハンドルハウジング横82bの両側面にジャーナル83および84を突出して該ジャーナル83および84をベアリング83aおよび84aで回動自在に支承し、ハンドルハウジング横82bの内部にはハンドルアーム65、ピン66、センサヨーク68およびハンドルポジションセンサ67を内蔵して、以下に述べるハンドルコラム64を前後に移動する操作を行っても、操舵のためのハンドルホイール61の回転角は正確にハンドルポジションセンサ67に伝達できる構造としている。
【0071】ハンドルコラム64は回転ハンドル60のハンドルホイール61をオペレータが前後方向に移動することによりハンドルハウジング82aおよび82bがジャーナル83および84を回動中心として回動して、図28に示すように回転ハンドル60のハンドルホイール61を前方向に押したときにはハンドルハウジング82aに固着したプッシュレバー85aがピッチングスイッチ85を押してスイッチ回路をONにして図示しない制御回路に信号を送り、コンバイン1を前下がりにさせる制御信号出力により車体フレームピッチング手段104を作動させて前にピッチングさせ、また、回転ハンドル60のハンドルホイール61を後方向に引いたときにはハンドルハウジング82aに固着したプッシュレバー86aがピッチングスイッチ86を押してスイッチ回路をONにして図示しない制御回路に信号を送り、コンバイン1を後左下がりにさせる制御信号出力により車体フレームピッチング手段104を作動させて後ろにピッチングさせるように作用する。なお、ハンドルハウジング82aは前後方向から張力バネ87および88により引っ張って常時はハンドルコラム64を中立位置に静止するようにし、かつハンドルコラム64を前後方向に移動操作する場合にオペレータに対して適当な反力荷重を感知させる構成とし、また、路上走行時などピッチング操作を行う必要がない場合に誤操作してピッチングさせることを避けるために、操作パネル17に設けたハンドルロック装置89(図26)により回転ハンドル60の前後動をロックできる構成としている。
【0072】上記構成においては、オペレータは回転ハンドル60から手を離すことなく回転ハンドル60で操舵操作を行いながら、該回転ハンドル60を前後移動させて走行装置のピッチング操作を制御できるので、コンバイン1などのピッチング操作が極めて容易になり、かつロック装置89により回転ハンドル60の前後移動をロックできるので不用意な誤操作によるピッチングを防止できて安全性を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
【公開番号】 特開平11−75423
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−234367