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【発明の名称】 トラクタの油圧昇降装置
【発明者】 【氏名】杉山 和臣

【氏名】稲森 秋男

【氏名】大和田 利信

【氏名】矢崎 利光

【要約】 【課題】油圧昇降装置を軽量化しつつそのメンテナンスを良くする。

【解決手段】リフトアーム9を油圧昇降装置10を構成する油圧ハウジング33にメインポート42と連通する油路34,45を形成し、この油路34,45に連通してドラフト制御弁装置43及び水平制御弁装置44を油圧ハウジング33の左右に備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リフトアーム(9)を有する油圧昇降装置(10)をトラクタ車体(5)の後部上面に搭載しているトラクタ(2)において、油圧昇降装置(10)を構成する油圧ハウジング(33)にメインポート(42)を備え、該ポート(42)に連通する油路(34)(35)の複数個を油圧ハウジング(33)に孔構造として形成していることを特徴とするトラクタの油圧昇降装置。
【請求項2】 油圧ハウジング(33)に形成した複数の油路(34)(45)が、ドラフト制御弁装置(43)および水平制御弁装置(44)のための油路(45)と、外部油圧取出装置(1)のための油路(34)であることを特徴とする請求項1記載のトラクタの油圧昇降装置。
【請求項3】 リフトアーム(9)を有する油圧昇降装置(10)をトラクタ車体(5)の後部上面に搭載しているトラクタ(2)において、油圧昇降装置(10)を構成する油圧ハウジング(33)に、リフトアーム(9)を有するアーム軸(38)をブシュ(70)を介して回動自在に軸支しており、該ブシュ(70)を半強制潤滑する手段(71)(72)を備えていることを特徴とするトラクタの油圧昇降装置。
【請求項4】 半強制潤滑手段(71)(72)は、油圧ハウジング(33)の左右側壁に左右振分けて備えた弁装置(43)(44)のタンクポートに接続した配管部材(71)(72)であることを特徴とする請求項3記載のトラクタの油圧昇降装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタの油圧昇降装置に係り、より具体的には、大容量で軽量化された特に水田用トラクタとして有用な油圧昇降装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トラクタ車体の後部上面に、リフトアームを有する作業機用のための油圧昇降装置を搭載したトラクタは公知であり、三点リンク等の作業機連結装置を介してロータリ耕運機等の作業機を装着して水田作業を実施するのに利用されている。この水田用トラクタは高馬力でありながら軽量化が要求される一方、油圧昇降装置は大容量(持上げ力の増加)が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】トラクタの油圧昇降装置には、ポジションコントロールの他、ドラフトコントロール、水平制御等の各種油圧制御が必要であることから、各種の弁装置(バルブユニット)が装着されている。この弁装置に対する油圧(ポンプからの油)の供給(排出も含む)は、専ら、鋼管、銅管、ホース等の配管部材であることが多く、これでは配管部材による重量増大を招き、軽量化が要求される水田用トラクタの油圧昇降装置としては不向きであった。
【0004】また、配管部材を採用していたため、油圧昇降装置を整備点検するとき、配管部材の切離し(分離)作業が必要で、これは整備性の点でも大きな課題があった。特に、ドラフト制御弁装置として上昇、下降用のソレノイドバルブとパイロット切換バルブを一体化した電磁パイロットバルブを用いたオートドラフトバルブにあっては、ゴミ、不純物に敏感であり、しかも故障部位の判断が困難であることから、油圧昇降装置の全体をトラクタ車体より取外して整備する必要があるにも拘らず、従来では配管部材の数が多く、接合分離部位が多くなることから、整備、点検に重要な課題があった。
【0005】本発明は、油圧昇降装置を構成する油圧ハウジング(油圧シリンダ本体)自体に油路を形成することにより配管部材を必要最小限とし、これによって軽量化を図り、しかも、整備性も良好なトラクタの油圧昇降装置を提供しようとするものである。また、本発明は、油圧ハウジングにアーム軸を回動自在にブシュを介し軸支するとき、微振動等によってブシュが焼付くのを半強制潤滑することにより、アーム軸を大径化することなく軽量化を図りつつ耐久性を向上できるようにしたことが他の目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、リフトアーム9を有する油圧昇降装置10をトラクタ車体5の後部上面に搭載しているトラクタ2において、前述の目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。すなわち、本発明は、油圧昇降装置10を構成する油圧ハウジング33にメインポート42を備え、該ポート42に連通する油路34,35の複数個を油圧ハウジング33に孔構造として形成していることを特徴とするトラクタの油圧昇降装置であり、このような構成を採用したことによって、配管部材が必要最小限となって軽量化が図れ、水田用トラクタに適用して意義があるとともに、油圧昇降装置10を整備するにも配管部材の接合・分離が少なくなって整備性が向上したのである。
【0007】また、本発明では、油圧ハウジング33に形成した複数の油路34,45が、ドラフト制御弁装置43および水平制御弁装置44のための油路45と、外部油圧取出装置1のための油路34であることを特徴とするものであり、このような構成を採用したことにより、ドラフト制御弁装置43としてオートドラフトバルブを採用したとしても整備性は確実となり、併せて水平制御弁装置44、外部油圧取出装置1の整備もできるに至ったのである。
【0008】更に、本発明にあっては、油圧昇降装置10を構成する油圧ハウジング33に、リフトアーム9を有するアーム軸38をブシュ70を介して回動自在に軸支しており、該ブシュ70を半強制潤滑する手段71,72を備えていることを特徴とするものであり、このような構成を採用したことにより、ブシュ70の焼付けは確実に防止できるし、微振動に耐えるためアーム軸38を大径化しなくとも(これに伴い油圧ハウジング33に形成したボス39の大径化もなくなる)よくなって、油圧ハウジング33の軽量化もできるに至ったのである。
【0009】また、前記半強制潤滑手段71,72は、油圧ハウジング33の左右側壁に左右振分けて備えた弁装置43,44のタンクポートに接続した配管部材7172であることを特徴とするものであり、このような構成を採用したことにより、ブシュ70の焼付けを確実な油膜の形成(造成)によって防止できるに至ったのである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明すると、本発明に係る油圧昇降装置10を装備している2軸4車輪形のトラクタ2の全容を示している図1において、当該トラクタ2は左右の前輪3と左右の後輪4とを備え、前輪3は操向輪であるとともに駆動可能であり、ここに、四輪駆動トラクタとされているが、前輪3はこれに対する動力を断接して二輪駆動(後輪駆動)にすることもできる。
【0011】トラクタ車体5は搭載エンジン6の後部にクラックハウジングを介してミッションケース7を連設することで構成されており、エンジン6およびこの前方に備えたラジエータ等のエンジン補器は天板を開閉自在としたボンネット8で被われている。トラクタ車体5の後部上面には、左右のリフトアーム9を有する油圧昇降装置10が搭載されており、図では三点リンク11によってロータリ作業機12を昇降制御可能として着脱自在に装着している。
【0012】左右の後輪4はそれぞれその内側に立設されている後輪フェンダ13で被われており、この左右の後輪フェンダ13間に運転席14が配置されており、この運転席14の前方に備えている操縦ハンドル15とによって運転操縦装置16が構成されており、当該装置16は左右の後輪フェンダ13を含んだ独立装着形(車体5上に脱着自在に搭載したものをいう)のキャビン17によって取囲まれている。
【0013】キャビン17は左右一対の前支柱18と、左右一対の後支柱19と、前・後支柱18,19の中間でかつ後支柱19側に寄った後輪フェンダ13から立上った中間支柱20と、空調装置(冷房、暖房、冷・暖房、換気等)を有する天井部21とで箱形に構成されていて該キャビン17の底部板(フロアーシート)22は運転席14の装着部位22Aがその前方部位22Bよりも一段高くなっている。
【0014】更に、キャビン17は、中間支柱20に備えたピボット金具20Aを支点として開閉固定可能なドア23を備え、このドア23の開閉部位が昇降口とされているとともにステップ24を備え、前後左右の底部に備えている防振ゴム等による防振支持手段によってトラクタ車体5に搭載されている。また、キャビン17の後支柱19は中間の屈折連結部19Aを介して逆くの字形に形成されていて、該屈折連結部19Aがリフトアーム9の回動支点(アーム軸)を横切る鉛直平面近傍に位置することで、キャビン17の全体が前方(従来より約5cm程)に相対的に位置して搭載され、トラクタ2全体の重心が前方に転移されることになって、ロータリ作業機12を昇降自在に装着しても前後重量バランスが良好で、この結果としてトラクタ全体は軽量化され水田作業に適応可能とされている。
【0015】図2を参照すると、キャビン17における左右の後支柱19は、後車軸ケース25にボルト止めされているハット型支持台26に、ブラケット27と防振支持手段28によってトラクタ車体5に搭載されており、後支柱19の下端に固着している左右の下部体29が前方に延伸されていて左右の前支柱18に連結されている。
【0016】すなわち、従来では左右の下部体29の後底面29Aをハット型支持台26に防振支持手段28を介して搭載していたのに対し、本発明の実施形態では、後支柱19の下方部位を後車軸ケース25の前方側で上下方向に位置させて該支柱19に固着したブラケット27と防振支持手段28を介してトラクタ車体5に搭載し、ここに、キャビン17は従来よりも5cm程度前方に位置し、後支柱19の下方部位が後上り傾斜であることから、キャビン17を従来より前方位置にしても居住空間は確保し、また、キャビン17を従来よりも前方位置に搭載したことから、トラクタ車体5の上面に着脱自在に搭載固定した油圧昇降装置10をメンテナンスするときの持上げ空間30を確保しているのである。
【0017】油圧昇降装置10のヘッド部分10Aはフロアーシート22の装着部位22Aで上方から被われており、この装着部位22A上には、シート支持体31を介して運転席14が装着されており、当該運転席14はシート支持体31とともに装着部位22A上に着脱自在であり、これら14,31を取外した状態で装着部位22Aに形成した開口窓を介して上方から油圧昇降装置10を車体6に固定している上下方向のボルトを締結弛緩可能とし、ここに、油圧昇降装置10を車体6から上方に上記空間30内で持上げて後方に抜き出すことで該油圧昇降装置10をメンテナンス可能としている。
【0018】油圧昇降装置10の前方のミッションケース7上には、エンジン6によって駆動される油圧ポンプ装置32が設けられており、該油圧ポンプ装置32は装着部位22Aによって被われているとともに、該部位22Aに形成した開口窓を介してヘッド部10Aとともにメンテナンスが可能とされている。油圧ポンプ装置32はエンジン6の出力軸に直結されたPTO推進軸を介して図外のギヤ等を介して駆動されており、該油圧ポンプ装置32は通常(従来)では、エンジン6の側面に設けられていたものを、ミッションケース7上面に設けることにより、ミッションケース7自体が作動油タンクも兼ねていることから、配管部材を省略又は短尺化できるとともに、エンジン6の側面に備えたときは前輪3の操向角に制限を与えていたのを併せて解消しているのである。
【0019】また、フロアーシート22は装着部位22Aを薄手板で構成し、前方部位22Bを厚手板で構成しており、これによっても、車体重心を前方に転移させているのであり、装着部位22Aを薄手板で構成してもその開口窓の周縁に固着しているシート支持体31のためのステーによって強度は確保されているのである。図3〜図5を参照すると、本発明に係る左右のリフトアーム9を有する油圧昇降装置10を装着した実施形態が示してあり、油圧昇降装置10を構成する油圧ハウジング(油圧シリンダ本体)33に外部油圧取出用の油路34が形成されており、該油路34に連絡(連通)されている外部油圧取出装置1用のバルブ35を、前記油圧ハウジング33の上部で左右のリフトアーム9間に設けているのである。
【0020】具体的に説明すると、油圧ハウジング33は鋳物製であって台座部36にミッションケース7に対する取付孔36Aが形成されており、台座部36に膨出形成した本体部37の後部左右壁にリフトアーム9のためのアーム軸38を回動自在に支持する左右ボス39が形成されているとともに、本体部37の前内部には前上り傾斜状としてシリンダチューブ40が内装され、このシリンダチューブ40にピストンが摺動自在に嵌合されていてヘッド蓋41によってチューブ40の開口端が閉塞されていて、この油圧ハウジング33がミッションケース7の上面開口部を施蓋した状態での台座部36を上下方向のボルトで着脱自在として搭載されている。
【0021】油圧ハウジング33の側壁(図では右側壁)には、油圧ポンプ装置32からの作動油のための入口(メイン)ポート42が形成されており、該ポート42は実質的にネジ管構成とされており、該ポート42に鋼製の配管が左右方向の横方向から着脱自在として接続可能である。油圧ハウジング33には、ドラフト制御弁装置43と水平制御弁装置44が左右に振分けられて装着されており、これら弁装置43,44のための油路45、プライオリティバルブ46、リリーフバルブ47等が装着されているとともに、トラクタ2にフロントローダを装着したときにはこのローダのための油圧取り出しポート48、ニュートラルポート49およびドレンポート50等が具備されている。
【0022】ドラフト制御弁装置43は、上昇と下降のソレノイドバルブとパイロット切換バルブを一体化した電磁パイロットバルブであり、図6で示すようにドラフトセンサ51、リフトアームセンサ52からの信号をコントロールボックス53に送信し、このコントロールボックス53からの制御信号でドラフト制御が自動的に可能とされている。
【0023】水平制御弁装置44は、トラクタ車体5に備えている図6に示すローリングセンサ54の信号をコントロールボックス53に送信し、三点リンク11におけるリフトシリンダ(リフトロッド)55をストロークセンサ56からの信号等によって制御するものである。図6において、コントロールボックス53は、ドラフト・水平制御切換、ドラフト制御およびポジション制御等のスイッチボックス57から各制御が設定、切換自在であり、勿論ドラフト・ポジション制御については後述するマニアル操作も可能であり、このため、油圧シリンダ本体33の右側にはマニアル操作のための取付穴が開口されており、この開口は自動制御のときは着脱自在なカバーによって施蓋されている。
【0024】リフトアーム9には持上げ揚力(油圧力増強補助)のための伸縮形油圧シリンダ(アシストシリンダ)の取付孔9Aが形成されており、このアシストシリンダのための油圧取出口58がシリンダヘッド41に形成されているとともに該ヘッド41には落下調整弁59が組込まれている。外部油圧取出用のバルブ35は、バルブケース61に切換用スプール62を備えて構成されており、該スプール62は揺動アーム63を介してプッシュプルケーブル64の操作力によって切換自在であり、油圧取出部(油圧取出と戻りを含む)35Aは、実質的に油圧取出ホースを着脱自在とするクイックカプラーで構成されている。
【0025】この外部油圧取出用のバルブ35(バルブケース、スプールを含む、以下同じ)は、油圧ハウジング33の上面に、油路34と連通して直接装着することもできるが、図示例では油路34と連通した連絡油路60Aを有するスペーサ60を介在して油圧ハウジング33上部に着脱自在に装着されている。また、バルブ35はこれのひとつを装着しても良いが図示例では中間スペーサ65およびヘッドスペーサ66を介して複数個を上下方向に積み重ねてボルト67によって着脱自在として装着されており、油圧取出部35Aは水平面上において後方に延伸されていて油圧取出ホースの脱着が容易とされているのである。
【0026】油圧外部取出用のバルブ35に対する油路34が油圧ハウジング33に形成されていることから、外部にむき出しの配管は不要となり、スペーサ60、中間スペーサ(これにも油路がある)65を積み重ねるとき位置決めと重合面のシールを確実にすることで油洩れは確実に防止できるのであり、また、左右のリフトアーム9間に設けられていることから、リフトアーム9の昇降動作に油圧取出ホースとともに支障とならないのである。
【0027】油圧ハウジング33には、その後立面にトーションバー(荷重感知部材であり、ドラフトセンサとなる)68を有するトップリンク取付台装置69が装着され、また、ミッションケース7に対する作動油の給油プラグA等が備えられることから、図4および図5で示すようにバルブ35は左右方向一方、図では左方向に偏在して装着され、これによって三点リンク11を昇降動作させたとき、バルブ35との干渉を少なくしており、この結果として三点リンク11(リフトアーム9)の揚程角は充分に確保されているのである。
【0028】図7〜図13を参照すると、連絡通路60Aを有するスペーサ60の詳細が図解されており、該スペーサ60は油圧ハウジング33に対する着座部60Bに複数のボルト挿通孔60Cを有し、該着座部60Bにドレンポート50が形成されているとともに、ボルト挿通孔60Cに挿通した上下方向のボルトによって油圧ハウジング33の上面に着脱自在として装着されていることから、油圧ハウジング33をトラクタ車体6に装着した状態でスペーサ60を介してバルブ35が脱着自在とされているのである。
【0029】更に、スペーサ60にはバルブ35の取付座60Dが膨出形成されており、この取付座60Dにバルブ35が中間スペーサ65、ヘッドスペーサ66を介してボルト67により着脱自在であり、このことから、油圧ハウジング33にスペーサ60を装着した状態でバルブ(バルブユニット)35を着脱自在であり、これによって、メンテナンスがより一層容易とされているのである。
【0030】図14を参照すると、アーム軸38は油圧ハンジング33に左右方向として貫通した筒状ボスに挿通されていて該筒状ボスとの間に介在した左右の筒状ブシュ70を介して回動自在に支持されている。この筒状ブシュ70は微振動による焼付けが激しいことからアーム38を大径化することなく(油圧ハウジング33を大形化することなく)潤滑することが必要であり、本実施形態ではドラフト制御弁装置43および水平制御弁装置44が油圧ハウジング33の左右側壁に左右分配して配置されていることから、ドラフト制御弁装置43の戻り油口(タンクポート)に配管部材71を遊挿接続して戻り油の一部を配管部材71を介して右側のブシュ70に送液して当該ブシュ70を半強制潤滑しており、一方、水平制御弁装置44の戻り油口(タンクポート)に配管部材72を遊挿接続して戻り油の一部を配管部材72を介して左側のブシュ70に送液して当該ブシュ70を半強制潤滑してブシュ70の焼付けを防止しているのであり、図14で示すように、ブシュ70の外側にはOリング73とカラー74を設けて戻り油の外部洩出を防止しているのであり、左右のブシュ70に油膜を造成した残余の油はミッションケースに還流されるのである。
【0031】なお、配管部材71については、右側にドラフト制御弁装置(オートドラフト)の代りに、メカニカル(機械)操作される(人為操作される)ドラフト制御弁を設けたときには、このドラフト制御弁のタンクポートに遊挿接続されるものである。ここで、タンクポートに配管部材71,72を遊挿接続したことにより、戻り油の一部はその遊挿接続部を介してミッションケース内に戻り、残余の戻り油が配管部材71,72を介して左右のブシュ70を半強制潤滑するのであり、上述のように、油圧ハウジングの左右にドラフト制御弁(オート又はメカニカルを含む)と水平制御弁をそれぞれ左右振り分けて設け、この各バルブのタンクポートに配管部材71,72を介在することでブシュ70の焼付けを防止しており、この配管部材71,72も油圧ハウジング33で被ったかたちで前後方向に配置すれば良く、配管部材71,72の配管も容易となるのである。
【0032】なお、配管部材71,72については、油圧ハウジング33に孔形状として構成しても良く、油圧ハウジング33に、外部油圧取出用の油路34、弁装置43,44のための油路45等を形成することによって、該油圧ハウジング33は大容量でありながらも、軽量化が図れて水田用トラクタにおける油圧昇降装置10として意義があるのである。
【0033】図15〜図18は、本発明に係る油圧昇降装置10を、キャノピー(日除け)75を有するトラクタ2に適用しているとともに、ドラフト制御弁装置についてはメカニカル(マニアル)としたものであり、前述した構成と共通する部分は共通符号で示し、以下、相違する構成について説明する。図15,図16において、キャノピー75は、左右の後車軸ハウジン25からフェンダ13の上面近傍まで立設されている下部支柱75Aと、該下部支柱75Aの上部に入れ子構成にて挿脱自在として挿通され、ボルト締結具75Cによって装着された上部支柱75Bとから構成されている。
【0034】油圧ハウジング33上に積み重ねられている外部油圧取出用のバルブ35は、ボーデンケーブル63にて遠隔操作されるが、該遠隔操作レバー76は運転席14の右脇にフロアーシート22に横方向の枢支軸77を介して備えられており、フロアーシート22の段差部(立上り面)22Cに窓を形成して、この窓からレバー76が突出されている。
【0035】段差部22Cの窓の左右を補強するかたちでブラケット78が段差部22Cにボルト止めしてあり、このブラケット78に枢支軸77が備えられ、レバー76の根元部の筒部が枢支軸77に回動自在に套嵌され、この筒部に形成したアーム部に、金具79を介してケーブル63が接続されているのであり、ケーブル63は右側から油圧ハウジング33の上方を運転席14の後方を迂回して左側に延伸されている(この操作レバー76等については、図1〜図14の実施形態についても採用される)。
【0036】オートドラフト制御装置に代替してマニアル操作(人為操作)される油圧制御レバー装置80が備えられており、このレバー装置80は、ポジション用レバー81とドラフト用レバー82からなり、油圧ハウジング33の右側(オートドラフト制御弁のやや後方)に形成した開口を塞ぐかたちで内・外2重軸としたコントロール軸83を内挿支持した支持アーム84を右外方に突出させており、コントロール軸83をレバー81,82の前後操作にて回動して、油圧ハウジング33に内装したバルブを制御するものである。
【0037】なお、図16,図17においては、85はデフロックペタルを示しており、前輪用と後輪用が踏込み自在に並設されている。上述した本発明に係る外部油圧取出装置1は、キャビン17、キャノピー75を具備していないトラクタ2について適用することも可能であり、また、バルブ35については図示した上下方向だけでなく左右方向に積み重ねることもできる。
【0038】更に、ドラフト制御弁装置について、特に、オートドラフト制御弁にあっては、メンテナンスの機会が多くなることから、本発明についての適用意義が大であるけれども、マニアル操作のドラフト制御弁についても意義がある。
【0039】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、油圧昇降装置の軽量化を図りつつメンテナンスも良好にできるのである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)8月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平11−56008
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−218595