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【発明の名称】 畦塗り機
【発明者】 【氏名】萱原 博文

【氏名】遠藤 忠治

【要約】 【課題】走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受けて駆動する前処理体及び整畦体を備え、該前処理体及び整畦体を作業位置と非作業位置とに回動可能とした畦塗り機。

【解決手段】■.前処理体及び整畦体を支持し、かつ該前処理体及び整畦体に動力伝達する伝動フレームを、支点ピンを中心に水平方向に回動可能に構成し、上記前処理体及び整畦体を機体の左右一側方に配設した作業位置と、この作業位置からほぼ90度回動し、機体後部に位置させる非作業位置とに回動可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を畦に成形する整畦体を、それぞれ機体の左右一側方に配設した畦塗り機において、上記前処理体及び整畦体を支持し、かつ該前処理体及び整畦体に動力伝達する伝動フレームを、支点ピンを中心に水平方向に回動可能に構成し、上記前処理体及び整畦体を機体の左右一側方に配設した作業位置と、この作業位置からほぼ90度回動し、機体後部に位置させる非作業位置とに回動可能としたことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】 上記伝動フレームの回動位置にクラッチを設け、このクラッチは、前処理体及び整畦体を作業位置にしたとき自動的に接続され、非作業位置にしたとき自動的に切れるように構成したことを特徴とする請求項1記載の畦塗り機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受けて駆動する前処理体及び整畦体を備え、該前処理体及び整畦体を作業位置と非作業位置とに回動可能とした畦塗り機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、走行機体(トラクタ)の後部に油圧シリンダにより上下作動する3点リンクを介して昇降可能に装着され、該走行機体(トラクタ)から動力を受け、元畦及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を畦に成形する整畦体を、それぞれ機体の左右一側方に配設した畦塗り機が知られている。
【0003】上記従来の畦塗り機においては、作業時以外の移動時には、3点リンクにより畦塗り機を持ち上げて所定高さまで揚上した状態で走行機体(トラクタ)を走行させて移動するようにしている。また、3点リンクは、畦塗り機を装着したときに、畦塗り機を左右水平状態に保持するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の畦塗り機は、3点リンクにより畦塗り機を持ち上げて所定高さまで揚上した状態で走行機体(トラクタ)を走行させて移動するとき、前処理体及び整畦体が機体一側にはみ出しているので安全に走行できず、また、重量の重い前処理体及び整畦体がそれぞれ機体の左右一側方に配設されているため、3点リンク及び走行機体(トラクタ)に対して左右方向に偏荷重となり、トラクタの油圧シリンダに悪影響を及ぼし、また、3点リンクの自動水平保持機能が働かなくなる、という問題点があった。本発明は、上記の問題点を解決することを目的になされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、A.走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を畦に成形する整畦体を、それぞれ機体の左右一側方に配設した畦塗り機において、上記前処理体及び整畦体を支持し、かつ該前処理体及び整畦体に動力伝達する伝動フレームを、支点ピンを中心に水平方向に回動可能に構成し、上記前処理体及び整畦体を機体の左右一側方に配設した作業位置と、この作業位置からほぼ90度回動し、機体後部に位置させる非作業位置とに回動可能としたことを特徴としている。
【0006】B.上記伝動フレームの回動位置にクラッチを設け、このクラッチは、前処理体及び整畦体を作業位置にしたとき自動的に接続され、非作業位置にしたとき自動的に切れるように構成したことを特徴としている。
【0007】
【作用】上記の構成により本発明の畦塗り機は、a.前処理体及び整畦体を支持し、かつ該前処理体及び整畦体に動力伝達する伝動フレームを、支点ピンを中心に水平方向に回動可能に構成し、上記前処理体及び整畦体を機体の左右一側方に配設した作業位置と、この作業位置からほぼ90度回動し、機体後部に位置させる非作業位置とに回動可能としたことで、走行機体の後部に畦塗り機を装着して作業時以外に移動するときは、前処理体及び整畦体を非作業位置に固定しておくことにより、前処理体及び整畦体が左右一側に突出することがなく安全に移動でき、また、畦塗り機の左右バランスが良くなり、走行機体への偏荷重が解消される。
【0008】b.伝動フレームの回動位置にクラッチを設け、このクラッチは、前処理体及び整畦体を作業位置にしたとき自動的に接続され、非作業位置にしたとき自動的に切れるように構成したことで、前処理体及び整畦体を作業位置と非作業位置に切換えるときにクラッチを操作する必要がない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。図1及び図2において、符号1は図示しないトラクタの後部に設けられたトップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構に連結されて、整畦作業を行う畦塗り機である。この畦塗り機1は、本体フレームを兼ねる伝動フレーム2を、機体の進行方向と直交するように左右方向に延設している。この伝動フレーム2から前方に向け突出し、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント及び伝動軸を介して動力を受ける入力軸3を設け、また、上方に突出するトップリンク連結部4を設けると共に、トップリンク連結部4の左右両側にロアリンク連結部5,5を設け、トラクタの三点リンク連結機構に連結するようにしている。
【0010】伝動フレーム2は途中で分断され、そこに後述するドッククラッチにより側部伝動フレーム2aに動力伝達し、この側部伝動フレーム2aの終端部には、前側に元畦及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げるロータリ耕耘装置からなる前処理体6を支持し、後側に、前処理体6により耕耘された土壌を畦に成形する多角円錐状ドラムからなる整畦体7を支持している。そして、トラクタから上記入力軸3に受けた動力を、伝動フレーム2、側部伝動フレーム2aを介して上記前処理体6及び整畦体7に伝達し、それぞれ所定方向に回転させてそれぞれの作業を行うようにしている。
【0011】上記前処理体6は、回転軸6aの軸心を機体の進行方向と平行に配設し、この回転軸6aの軸心に対して、上記側部伝動フレーム2aの伝動端部から前方に突出した前方出力軸の軸心を同心状に連結している。この前方出力軸と一体に側部伝動フレーム2aの伝動端部から後方に向け後方出力軸9を突出しており、この後方出力軸9からユニバーサルジョイント10を介して上記整畦体7の伝動ケース11に動力が伝達されるようになっている。
【0012】前処理体6の上部は上側カバー12により覆われており、この上側カバー12は上側カバースライド装置13により左右にスライド可能に支持されている。また、前処理体6の外側部は上下動可能のサイドカバー14により覆われている。また、サイドカバー14の下部にはゴム板のような弾性板15が取付けられていて、サイドカバー14が畦土に接したとき弾性変形し、復帰するフレキシブルな構造となっている。
【0013】上記整畦体7は、側部伝動フレーム2aの後部側面から後方に突出した支持フレーム16の後端部に、整畦体支持フレーム17の先端部が支点ピン18を介して上下回動可能に支持されている。この支点ピン18の回転中心は、整畦体7の回転中心とほぼ等しく設けられている。そして、整畦体支持フレーム17の上面と伝動フレーム2側支持部との間に回動ハンドル19が設けられ、整畦体7の上下高さが調節可能となっている。整畦体7の上方は、整畦体カバー7aにより覆われている。
【0014】上記伝動フレーム2と側部伝動フレーム2aの分断位置には、それぞれ伝動フレームブラケット20、側部伝動フレームブラケット21が固設され、この両ブラケット20,21が支点ピン22を中心に水平方向に回動可能に支持されている。そして、上記前処理体6及び整畦体7を機体の左右一側方に配設した作業位置(機体の左右中心からAだけ張り出した位置)と、この作業位置からほぼ90度時計方向に回動し、機体後部に位置させる非作業位置(機体の左右中心からBだけ張り出した位置)とに回動可能としている。
【0015】上記伝動フレーム2側に支点23aにより基端部を回動自在に枢支された長三角形状の回動フレーム23の先端部を、摺動ピン24を介して側部伝動フレームブラケット21に形成したガイド溝25に嵌挿し、この回動フレーム23の中間部に、基端部をトップリンク連結部4に固着したシリンダブラケット26aに枢着した油圧シリンダ26のピストン先端部を枢着している。そして、油圧シリンダ26の伸縮作動により、前処理体6及び整畦体7を作業位置と、この作業位置からほぼ90度時計方向に回動した非作業位置とに回動するようにしている。また、摺動ピン24と同軸に作動ロッド27の一端が枢支され、この作動ロッド27の他端はロック機構28に連繋されており、前処理体6及び整畦体7が作業位置のときはロック機構28をロック状態にし、前処理体6及び整畦体7を非作業位置にしたときはロック機構28はロック解除状態になるようにしている。
【0016】伝動フレーム2と側部伝動フレーム2aとの分断回動位置にはドッククラッチ29を設け、このドッククラッチ29は、前処理体6及び整畦体7を作業位置にしたとき自動的に接続され、非作業位置にしたとき自動的に切れるように構成されている。
【0017】整畦体7は、この実施例では12角の稜線と平面部を有する多角円錐状ドラム7と、このドラム7の中心部分から水平方向に突出している水平筒状体8とからなり、多角円錐状ドラム7は回転軸に対し偏心して固着されている。水平筒状体8は前処理体6の側端部(サイドカバー14)より側方に突出している。そして、機体の前進と共に前処理体6により掘削された土壌を、多角円錐状ドラム7によって元畦の傾斜面に塗り付け、また、元畦の水平頂部を水平筒状体8により塗り付けて整畦するようにしている。
【0018】上記ロアリンク連結部5の左側端部には、三角ディスク状のゲージホイール30が上下調節支持部31により上下調節可能に設けられている。また、このゲージホイール30の前側下方には、図3及び図4に示すスタンド33がスタンド支持部32に着脱可能に設けられている。さらに、前処理体6の下方にもスタンド34が着脱可能に設けられている。これらスタンド33,34は作業中は不要なものであり、着脱可能とするか、あるいは折り畳み可能に設けられる。
【0019】このような構成の畦塗り機1においては、トラクタから入力軸3に受けた動力を前処理体6及び整畦体7に伝動する伝動フレーム2、側部伝動フレーム2aに、前処理体6及び整畦体7等を支持する支持フレームの機能を持たせているので、畦塗り機1全体の重量は大幅に軽減されている。その結果、トラクタの負担が著しく軽減され、従来の重量の重い畦塗り機において生じていた油圧系統のトラブルや重量バランスの悪さ等が解消される。
【0020】前処理体6では、元畦及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げ、その耕耘された土壌を整畦体7、水平筒状体8により畦に成形する。この作業中に前処理体6が上下動しても、サイドカバー14の下部位置に弾性変形可能な板体15を設けているで、前処理体6の作業中にサイドカバー14が造成中の畦の反対側法面に落ちることがあっても、板体15が弾性変形して移動抵抗が大きくならず、トラクタはまっすぐ進むことができる。従って、サイドカバー14の取付け基部に大きな負荷がかかることがなく、サイドカバー14の取付け部を損傷することがない。
【0021】トラクタの後部に畦塗り機1を装着して作業時以外に移動するときには、前処理体6及び整畦体7を、油圧シリンダ26を作動させて支点ピン22を中心に水平方向に回動させ非作業位置にすることにより、前処理体6及び整畦体7は機体の後部に位置して畦塗り機1の左右バランスが良くなり、トラクタへの偏荷重が解消される。また、整畦体7を非作業位置に固定することにより畦塗り機1の機体幅が狭くなる。整畦体7を作業位置と非作業位置に切換えるときには、ドッククラッチ29は自動的に接,断され、また、ロック機構28は自動的にロック、ロック解除される。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明の畦塗り機によれば、以下の効果を奏することができる。
【0023】■.前処理体及び整畦体を支持し、かつ該前処理体及び整畦体に動力伝達する伝動フレームを、支点ピンを中心に水平方向に回動可能に構成し、上記前処理体及び整畦体を機体の左右一側方に配設した作業位置と、この作業位置からほぼ90度回動し、機体後部に位置させる非作業位置とに回動可能としたので、走行機体の後部に畦塗り機を装着して作業時以外に移動するときは、前処理体及び整畦体を非作業位置に固定しておくことにより、前処理体及び整畦体が左右一側に突出することがなく安全に移動することができる。また、畦塗り機の左右バランスが良くなり、走行機体への偏荷重が解消される。
【0024】■.伝動フレームの回動位置にクラッチを設け、このクラッチは、前処理体及び整畦体を作業位置にしたとき自動的に接続され、非作業位置にしたとき自動的に切れるように構成したので、前処理体及び整畦体を作業位置と非作業位置に切換えるときにクラッチを操作する必要がなく、スムーズに切換えることができる。
【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開平11−56006
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−228389