| 【発明の名称】 |
ダム堆積土を農業用原土として採取する方法とその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 健蔵
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| 【要約】 |
【課題】農業用原土として有用なダム底に堆積した土壌を安価にしかも連続的に採取する方法と装置の提供。
【解決手段】ダム堆積土を農業用原土として採取する装置と、この装置を利用して、吸込口部5をダム底に堆積した土壌3の上に置き、吸入用動力を駆動させて採取用管6内の空気を抜き、吸い上げたダムの水や土壌類で満たすとサイホンの原理が働き、あとは連続的にダム底の上層部にある土壌類が水とともに採取用管6内を移送され、その取出口7から採取土壌貯留部4に取り出され、採取土壌貯留部4で土壌類と水とを分離し、水を除去して土壌類を採取するようにしたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基端部に設けた吸込口部と、その吸込口部より延出した採取用管と、当該採取用管の途中に設けた吸入用動力と、当該採取用管の先端部に設けた取出口とからなり、前記吸込口部はダム底に堆積した土壌の上を移動自在なるように配設し、延出する採取用管はダムの底部よりダムえん堤の上部を通ってダムの外側に出てダムの水面より低い位置にある採取土壌貯留部まで配管し、その先端部の取出口は、採取土壌貯留部上に開口するように構成したことを特徴とするダム堆積土を農業用原土として採取する装置。 【請求項2】 請求項1に記載した吸込口部は、採取用管の基端部に集塵用笠部を設け、当該集塵用笠部内の中心部に吸入口を設けるとともに、その周辺に空気噴出部を設け、吸入用動力を駆動させて当該空気噴出部より空気を噴出して集塵用笠部内にダム底の堆積した土壌を撹拌し、沸き立つように混合した土壌と水を吸入口より採取用管へ吸入移送するようにしたことを特徴とするダム堆積土を農業用原土として採取する装置。 【請求項3】 基端部に設けた吸込口部と、その吸込口部より延出した採取用管と、当該採取用管の途中に設けた吸入用動力と、当該採取用管の先端部に設けた取出口とからなり、前記吸込口部はダム底に堆積した土壌の上を移動自在なるように配設し、延出する採取用管はダムの底部よりダムえん堤の上部を通ってダムの外側に出てダムの水面より低い位置にある採取土壌貯留部まで配管し、その先端部の取出口は、採取土壌貯留部上に開口するように構成してなるダム堆積土を農業用原土として採取する装置を用意し、吸込口部をダム底に堆積した土壌の上に置き、吸入用動力を駆動させて採取用管内の空気を抜き、吸い上げたダムの水や壌土類で満たすとサイホン作用により連続的にダム底の上層部にある壌土類が水とともに採取用管内を移送され、その取出口から採取土壌貯留部に取り出され、当該採取土壌貯留部で壌土類と水とを分離し、水を除去して壌土類を採取するようにしたことを特徴とするダム堆積土を農業用原土として採取する方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、これを農業用原土としてダム底に堆積した土壌を採取する方法と装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】土または土壌は、岩石の崩壊分解して生じた母材に有機質の土壌母材等の生命力が働いて生じた地殻の最上層である。即ち、土は自然環境の中で生成され、生命力の働きにより肥えて草木や農産物等の潜在エネルギーを得るようになるが、やがて土は自然の法則が教えるように、時事刻々その潜在エネルギーを失いつつやせていくものである。農耕地は、これを食い止めて農産物の生産力を維持してきたもので、これは長年の農民の努力の積み重ねによってはじめてできあがったものである。しかも、それはまた将来に向かって継承されていかなければならない最も貴重な農業の産物である。 【0003】このように土資源の維持培養(土づくり)は、農業の永遠の命題である。しかるに、近年日本では、一時的な生産性の向上を求めて化学肥料を偏重した農法が盛んとなったため、地力が低下して生産力が維持できなくなったり、冷害や病虫害に弱くなってきただけでなく、環境に好ましくない影響を与えはじめるようになってきた。このため、農業を自然と共存する地球環境保全型にするなど、体質改善が急務になっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明者は、農業の基本は土づくりにありとの信念に基づき、堆肥を使った土づくりと有機農法を研究し実践して成果をあげてきた。しかるに、より良い土づくりを研究するうち、窒素、リン酸、カリなどの肥料成分だけでなく数十種類に及ぶ微量ミネラルのバランスが重要であることが解ってきた。堆肥は肥料成分と微量ミネラルを補給するのに優れているが、堆肥の施肥技術だけで理想的な土づくりをするのは非常に難かしい。 【0005】発明者は、土壌の生成、土壌型、土壌の組成、土壌の物理性、土壌の有機物(腐植)と微生物、養分吸収と反応などについて、研究するうち、地球上の自然環境循環により出来た土が農業用原土として好適であることに気付いた。特に、川が自然に造った三角州や扇状地などの土壌は肥えた細砂や泥土からなり、水利も良いので大きな生産力を持つ農地になりやすいとか、昔から川の氾濫があった後は土壌が肥えて豊作になりやすいなどの知見から、農業用原土としてダムの堆積土に着目した。そして当該ダムの堆積土を成分分析をした結果、多数の微量ミネラルがバランスよく豊富に含まれていることが解った。そこで、ダムの底に堆積した壌土類を農業用原土として耕地に投入し、これに有機性の肥料を加えると、容易に理想に近い土づくりができることに気付いた。 【0006】ダム底に堆積した土壌は、下層部にはれき、砂が多いが、上層部には埴壌土や壌土や砂壌土などの壌土類が集積された肥えた土層になっている。このダム底に堆積した土壌が肥沃なのは、広域な上流地で生成された様々な土壌がその成分と一緒に流出し集積したものであるから当然である。しかもこのようにダム底に堆積した壌土類は、自然が造った土壌であり、変に加工がされていない自然のままのものである。それは多種類の微量ミネラルが自然にバランスよく含まれており、農業用原土として好適な原材料である。ただし、農産物の高い生産力の維持を要求される近年の農業用土壌としては、有機性肥料成分が不足しているのが一般的である。そこで、これを農業用原土となし、これに生産物に合わせて堆肥または有機性肥料を施肥することにより簡単に土壌改良することが出来ると考えた。 【0007】しかし、ダムは古代アッシリヤ人やエジプト人が紀元前3世紀頃から造られているが、その目的は、多く水の維持や流路の変更であった。その後、古代中近東諸国、インド、メキシコ等では農業用水の確保、ヨーロッパでは概して水道用のものであった。20世紀に入りダムは発電用となったが、その後は多目的ダムが多く造られるようになった。このように、従来のダムは、目的別に分けると取水用、貯水用、土石貯留用となり、事業別には、水道用、かんがい用、発電用、治水用、砂防用、鉱滓扞止用、多目的用などに分けられる。従来、ダムの目的としてその底に貯留する堆積土を採取して農業原土として用いるということは考えられていなかった。 【0008】本発明者は、このように農業用原土としてダム底に堆積した土壌を利用するとなると、それをいかにして入手するかが大きな課題となった。ダムの底に堆積した土壌を大型の機械を用いて浚渫する方法や、大型の動力を用いて吸い上げる方法などが考えられるが、いずれも経費がかかりすぎて、実用性がない。そこで発明者は、サイホンの原理を応用すれば安価にしかも連続的にダム底の上層部にある壌土類を水とともに採取できることに気付き、本発明を具現化した。 【0009】 【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第1発明は、基端部に設けた吸込口部と、その吸込口部より延出した採取用管と、当該採取用管の途中に設けた吸入用動力と、当該採取用管の先端部に設けた取出口とからなり、前記吸込口部はダム底に堆積した土壌の上を移動自在なるように配設し、延出する採取用管はダムの底部よりダムえん堤の上部を通ってダムの外側に出てダムの水面より低い位置にある採取土壌貯留部まで配管し、その先端部の取出口は、採取土壌貯留部上に開口するように構成したことを特徴とするダム堆積土を農業用原土として採取する装置である。 【0010】第1発明は、ダム堆積土を農業用原土として採取する装置の基本発明である。本発明は、吸込口部と採取用管と取出口とでサイホンの原理を構成しており、水圧を利用し、経済的に且つ連続的にダム底に堆積している土壌をダムの外に移送採取することができる。また、ダムえん堤の上部を採取用管は、ダムえん堤の上側を越えるように構成してもよいし、ダムえん堤の上部にトンネルを造ってそこを通るようにしても良いこと勿論である。 【0011】特許を受けようとする第2発明は、第1発明に記載した吸込口部は、採取用管の基端部に集塵用笠部を設け、当該集塵用笠部内の中心部に吸入口を設けるとともに、その周辺に空気噴出部を設け、吸入用動力を駆動させて当該空気噴出部より空気を噴出して集塵用笠部内にダム底の堆積した土壌を撹拌し、沸き立つように混合した土壌と水を吸入口より採取用管へ吸入移送するようにしたことを特徴とするダム堆積土を農業用原土として採取する装置である。 【0012】第2発明は、基本発明の吸込口部を改良した装置である。空気噴出部より空気を噴出してダム底の堆積した土壌を撹拌し、土壌と水を混合することと、空気の泡が水中を上昇しようとする力を利用して、土壌と水を容易に且つ効率的に吸入口より採取用管へ吸入移送するのを助けるようにしたものである。 【0013】特許を受けようとする第3発明は、基端部に設けた吸込口部と、その吸込口部より延出した採取用管と、当該採取用管の途中に設けた吸入用動力と、当該採取用管の先端部に設けた取出口とからなり、前記吸込口部はダム底に堆積した土壌の上を移動自在なるように配設し、延出する採取用管はダムの底部よりダムえん堤の上部を通ってダムの外側に出てダムの水面より低い位置にある採取土壌貯留部まで配管し、その先端部の取出口は、採取土壌貯留部上に開口するように構成してなるダム堆積土を農業用原土として採取する装置を用意し、吸込口部をダム底に堆積した土壌の上に置き、吸入用動力を駆動させて採取用管内の空気を抜き、吸い上げたダムの水や壌土類で満たすとサイホン作用により連続的にダム底の上層部にある壌土類が水とともに採取用管内を移送され、その取出口から採取土壌貯留部に取り出され、当該採取土壌貯留部で壌土類と水とを分離し、水を除去して壌土類を採取するようにしたことを特徴とするダム堆積土を農業用原土として採取する方法である。 【0014】第3発明は、第1発明、第2発明に係るダム堆積土を農業用原土として採取する装置を用い、サイホンの原理を応用して、容易且つ経済的にダム堆積土を農業用原土として採取する方法である。 【0015】尚、当該ダム堆積土を採取する装置と方法で採取する土壌は、粘土が50〜37.5%含有した土性の埴壌土と、粘土が37.5〜25%含有した土性の壌土と、粘土が25〜12.5%含有した土性の砂壌土(壌土類という。)が好ましい。 【0016】 【実施例】以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、ダム底に堆積した土壌を採取する方法と装置を示した説明図である。図中1はダムえん堤であり、2はダムの貯水、3はダムの底に堆積した土壌、4はダムの外側で、ダムの水面より低い位置に設けた採取土壌貯留部である。図中5は、ダムの底に沈められた吸込口部で、6はその吸込口部5より延出した採取用管であり、その採取用管6はダムの底部よりダムえん堤1の上部を通ってダムの外側に出てダムの水面より低い位置にある採取土壌貯留部4まで配管され、その先端部の取出口7は、当該採取土壌貯留部4上に開口している。つまり吸込口部5と採取用管6と取出口7とでサイホンが構成されている。尚、図中8は採取用管6の位置を支え制御するための補助浮子で、9は採取用管6の途中に設けられた吸入用動力である。最初に採取用管6内の空気を抜き、ダムの水で満たすとサイホンの原理が働き連続的にダム底の上層部にある壌土類を水とともに移送され採取土壌貯留部4に採取することが出来る。尚、必要に応じて吸込口部5の位置を移動するようにすれば、ダム底の広い領域から壌土類を採取できる。この際補助浮子8が設けられていると、吸込口部5の移動が円滑になる。 【0017】図2は、当該ダム底に堆積した土壌3を採取する方法と装置の構成部材である吸込口部5の実施例を示す概略説明図である。図中51は採取用管6の基端部に設けた笠状に形成された集塵用笠部で、当該集塵用笠部51内の中心部には吸入口52が設けられており、当該吸入口52の周辺に空気噴出部53が設けられている。吸入用動力9は、採取用管6内を負圧にしてその吸引力により水や土壌を吸込み、採取用管6の取出口7側に移送する吸入用ポンプ9aと、空気噴出部53に圧縮空気を送り込み噴出するようにした圧縮空気用ポンプ9bとからなる。これは吸入用動力9の圧縮空気用ポンプ9bを駆動させて当該空気噴出部53より空気を噴出して集塵用笠部51内にダム底の堆積した土壌を撹拌するとともに、吸入用ポンプ9aを駆動させて沸き立つように混合した土壌と水を吸入口より採取用管6へ吸入移送して、採取用管6先端部の取出口7より採取土壌貯留部4に取り出すようにしたものである。これは、空気噴出部53より空気を噴出してダム底の堆積した土壌を水の中で撹拌し、土壌と水を混合することと、水より軽い噴出された空気の泡が水中を急上昇する浮力を利用して、土壌と水を容易に且つ効率的に吸入口より採取用管へ吸入移送するようにしたものである。 【0018】このように構成されたダム堆積土を農業用原土として採取する装置を用意したうえ、吸込口部5をダム底に堆積した土壌の上に置き、吸入用動力9を駆動させて採取用管6内の空気を抜き、吸い上げたダムの水や壌土類で満たすとサイホンの原理が働き、あとは連続的にダム底の上層部にある壌土類が水とともに採取用管6内を移送され、その取出口7から採取土壌貯留部4に取り出され、当該採取土壌貯留部4で壌土類と水とを分離し、水を除去して壌土類を採取するダム堆積土を農業用原土として採取する方法である。 【0019】また本願発明は、ダム底から壌土類と水とを一緒に取り出し、採取土壌貯留部4で壌土類と水とを分離し、壌土類を採取することが目的の方法であるが、同時に水も採取していることになる。従って、この採取した水を廃棄することは、その対象となるダムの目的が、取水用、貯水用、水道用、潅漑用、等水の有効利用である場合には、本発明のように水も一緒に採取するのは、目的外取水となる可能性がある。そのような場合には、採取した後分離した水を適宜の手段で、元のダムに戻すようにしたり、また、分離した水を廃棄せず管理して、それを目的に添って取水した水と一緒になるようにする送水手段を備える等の対策を講ずれば、目的外取水の問題は解決され、十分に実現可能となる。 【0020】 【効果】叙上のように、本発明は、基端部に設けた吸込口部と、その吸込口部より延出した採取用管と、当該採取用管の途中に設けた吸入用動力と、当該採取用管の先端部に設けた取出口とからなり、前記吸込口部はダム底に堆積した土壌の上を移動自在なるように配設し、延出する採取用管はダムの底部よりダムえん堤の上部を通ってダムの外側に出てダムの水面より低い位置にある採取土壌貯留部まで配管し、その先端部の取出口は、採取土壌貯留部上に開口するように構成したので、サイホンの原理を構成しており、当初吸入用動力を駆動するだけで、後はサイホン作用により簡単な装置と方法で、ダム底に堆積した土壌を容易且つ経済的に採取することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597051193 【氏名又は名称】小野 健蔵
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大津 洋夫
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| 【公開番号】 |
特開平11−46515 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月23日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−204291 |
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