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【発明の名称】 耕耘機
【発明者】 【氏名】清水 彰英

【氏名】高崎 友一郎

【氏名】山下 忠志

【要約】 【課題】エンジン及び変速機間を連結するベルト伝動装置をベルトカバーで覆うようにした耕耘機において、変速レバーの操作経路を規定する変速案内板をベルトカバーの支持に利用して、該カバーの取付けに用いる取付ボルトを1本で足りるようにする。

【解決手段】ベルトカバー18の取付ボス18aに挿通した1本の取付ボルト48を固定支持部44に螺着し、そのベルトカバー18の後端部に窓孔42と、この窓孔42の周縁に沿った係合部38とを形成し、固定支持部5に固着されて変速レバー31の操作経路を規定する変速案内板35を前記係合部38に係合し、この変速案内板35によりベルトカバー18の前記取付ボルト48周りの回転を阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 耕耘軸(7)を支持する伝動ケース(2)から前方へエンジンベッド(3)を張り出し、このエンジンベッド(3)上に搭載されるエンジン(4)のクランク軸(4s)と、伝動ケース(2)内の変速機の入力軸(14)とを連結するベルト伝動装置(17)をエンジン(4)の左右方向一側に配置すると共に、該装置(17)を覆うベルトカバー(18)を設け、伝動ケース(2)の上部から後方へ操向ハンドル(6)と、前記変速機を操作する変速レバー(31)とを延出させてなる耕耘機において、ベルトカバー(18)を支持すべく、それに挿通した1本の取付ボルト(48)を固定支持部(44)に螺着し、そのベルトカバー(18)の後端部に、窓孔(42)と、この窓孔(42)の周縁に沿った係合部(38)とを形成し、固定支持部(5)に固着されて変速レバー(31)の操作経路を規定する変速案内板(35)を前記係合部(38)に係合すると共に前記窓孔(42)に臨ませ、この変速案内板(35)によりベルトカバー(18)の前記取付ボルト(48)周りの回転を阻止したことを特徴とする耕耘機。
【請求項2】 請求項1記載のものにおいて、前記係合部(38)を、前記窓孔(42)を有するベルトカバー(18)の後壁(39)と、この後壁(39)の内面との間に、変速案内板(35)を挿入する間隙(41)を画成すべくベルトカバー(18)に一体に形成される支持壁(40)とで構成し、これら後壁(39)及び支持壁(40)の対向面に、変速案内板(35)に圧接する弾性突起(43)を形成したことを特徴とする、耕耘機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耕耘機、特に、耕耘軸を支持する伝動ケースから前方へエンジンベッドを張り出し、このエンジンベッド上に搭載されるエンジンのクランク軸と、伝動ケース内の変速機の入力軸とを連結するベルト伝動装置をエンジンの左右方向一側に配置すると共に、該装置を覆うベルトカバーを設け、伝動ケースの上部から後方へ操向ハンドルと、前記変速機を操作する変速レバーとを延出させてなるものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かゝる耕耘機では、ベルトカバーの取付けに複数の取付ボルトを使用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ベルトカバーの取付けに複数の取付ボルトを使用したものでは、部品点数が多く、コスト高となるのみならず、ベルトカバーの取付け作業にも手間が掛かることになる。
【0004】本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、変速レバーの操作経路を規定する変速案内板をベルトカバーの取付けに利用して、該カバーの取付けに用いる取付ボルトを1本で足りるようにし、部品点数が少なく、しかも該カバーの取付け性が良好な前記耕耘機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、耕耘軸を支持する伝動ケースから前方へエンジンベッドを張り出し、このエンジンベッド上に搭載されるエンジンのクランク軸と、伝動ケース内の変速機の入力軸とを連結するベルト伝動装置をエンジンの左右方向一側に配置すると共に、該装置を覆うベルトカバーを設け、伝動ケースの上部から後方へ操向ハンドルと、前記変速機を操作する変速レバーとを延出させてなる耕耘機において、ベルトカバーを支持すべく、それに挿通した1本の取付ボルトを固定支持部に螺着し、そのベルトカバーの後端部に窓孔と、この窓孔の周縁に沿った係合部とを形成し、固定支持部に固着されて変速レバーの操作経路を規定する変速案内板を前記係合部に係合すると共に前記窓孔に臨ませ、この変速案内板によりベルトカバーの前記取付ボルト周りの回転を阻止したことを第1の特徴とする。
【0006】この第1の特徴によれば、ベルトカバーの取付け時、先ず、ベルトカバーの係合部に変速案内板を係合すると、ベルトカバーの取付け位置が規定されるので、次で取付ボルトの固定支持部への螺着を容易に行うことができる。しかも該取付ボルト周りのベルトカバーの回転を変速案内板によって阻止するので、ベルトカバーの取付けに使用する取付ボルトは上記取付ボルト1本で足りる。その上、相互に係合する変速案内板及びベルトカバーは、互いに振動を抑制し合うので、エンジンより加振されてもビビリ音を生ずることもない。
【0007】また本発明は、上記特徴に加えて、前記係合部を、前記窓孔を有するベルトカバーの後壁と、この後壁の内面との間に、変速案内板を挿入する間隙を画成すべくベルトカバーに一体に形成される支持壁とで構成し、これら後壁及び支持壁の対向面に、変速案内板に圧接する弾性突起を形成したことを第2の特徴とする。
【0008】この第2の特徴によれば、変速案内板とベルトカバーとの係合が緊密となり、それら相互の振動抑制を一層確実にすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】先ず、図1ないし図3において、耕耘機1は、上下方向に長く左右方向に偏平な伝動ケース2と、この伝動ケース2の上下方向中間部に固着されてその前方へ張り出したエンジンベッド3と、このエンジンベッド3上に搭載されるエンジン4と、伝動ケース2の上端にハンドルブラケット6を介して取付けられて後方へ延出する操向ハンドル6とを備えている。伝動ケース2は、その下部において耕耘軸7を支持しており、この耕耘軸7には、耕耘機1の用途に応じてロータリー作業機8若しくは駆動車輪(図示せず)が取付けられる。エンジンベッド3の前端には前輪9が取付けられ、この前輪9は、上方の不使用位置と下方の使用位置とに任意に固定し得るようになっている。また伝動ケース2の後面には抵抗棒10が取付けられる。
【0011】エンジン4は、シリンダブロック4bを直立させると共に、クランク軸4sを左右方向に向けて配置される。そのクランク軸4sは、一端をクランクケース4cの一側方へ突出させて、そこに駆動プーリ11を固着している。クランクケース4cの他側には、クランク軸4sを適時クランキングし得る公知のリコイル式スタータ13が設けられる。
【0012】一方、伝動ケース2は、耕耘軸7に連なる変速機を収容しており、それの入力軸14が伝動ケース2の上部に支持されると共に、その一端を上記クランク軸4sと同様に伝動ケース2の一側方へ突出させて、そこに被動プーリ12を固着している。
【0013】上記駆動プーリ11及び被動プーリ12にベルト15が巻掛けられ、このベルト15は、テンションクラッチ16により緊張、弛緩させられるようになっている。而して、ベルト15を緊張させれば、エンジン4の動力をクランク軸4sから、駆動プーリ11、ベルト15、被動プーリ12、伝動ケース2内の変速機へと伝達し、耕耘軸7を駆動することができ、またベルト15を弛緩させれば、駆動及び被動プーリ11,12間で動力伝達を遮断し、耕耘軸7を自由にすることができる。以上において、駆、被動プーリ11,12、ベルト15及びテンションクラッチ16はベルト伝動装置17を構成し、該装置17はベルトカバー18によって覆われる。このベルトカバー18の取付構造については後述する。
【0014】エンジン4のシリンダヘッド4hの後面側には、その吸気ポートに連なる気化器20、その吸入空気を浄化するエアクリーナ21、燃料タンク22及び燃料ポンプ23が配置され、またシリンダヘッド4hの前面側には、その排気ポートに連なる排気用マフラ24が取付けられる。エアクリーナ21は、気化器20の上部に配置されてクリーナエレメントを収納した本体部21aを有する。
【0015】燃料タンク22は、気化器20の下方に配置されるもので、その上面から前記ベルト伝動装置17と反対側でエアクリーナ21の側面に沿って起立する、キャップ付きの給油管22aを一体に備えている。
【0016】而して、排気用マフラ24は、気化器20や燃料タンク22と反対側のシリンダヘッド4hの前面側に配置されるので、排気熱はシリンダヘッド4hに遮られて気化器20や燃料タンク22に及ぶことがなく、排気熱による燃料供給系への影響を回避することができる。また排気用マフラ24は、ベルト伝動装置17より前方に位置することにもなるので、排気熱によるベルト伝動装置17への影響をも防ぐことができる。さらに排気用マフラ24は、リコイル式スタータ13の前方にも位置することになるから、スタータ13の操作時に該マフラ24に触れる心配もない。さらにまた排気用マフラ24からの排気は、耕耘機1の最前方且つ下方に排出されるので、排気熱及び騒音の作業者への影響もなく、作業を快適に行うことができる。
【0017】図3ないし図6に示すように、前記ハンドルブラケット5には、ベルト伝動装置17側の外側面に枢軸30が突設されており、この枢軸30に変速レバー31が自在継手32を介して支持される。したがって、変速レバー31は、上下方向のセレクト移動と、左右方向のシフト移動が可能である。変速レバー31は、自在継手32から後方へ長く延びる操作腕31aと、自在継手32から前方に短く延びる係合腕31bとからなっており、その係合腕31bの先端は二股状になっている。一方、伝動ケース2からベルト伝動装置17側へ突出した変速軸33には、上面に係合ピン34aを突出させた作動腕34が固着され、その係合ピン34aに変速レバー31の係合腕31bが係合される。
【0018】また前記ハンドルブラケット5(固定支持部)には、変速レバー31と略直交するように配置される変速案内板35がボルト36により固着される。この変速案内板35は、それを貫通する変速レバー31のセレクト及びシフト経路を規定する変速案内溝35aを備えている。図示例では、その案内溝35aにより変速レバー31を、前進1速位置I、前進2速位置II、中立位置N及び後進位置Rにシフトし得るようになっており、そのシフト位置に応じて伝動ケース2内の変速機は制御される。
【0019】さて、ベルト伝動装置17を覆うベルトカバー18の取付け構造について説明する。
【0020】ベルトカバー18は合成樹脂製であって、ベルト伝動装置17の外側面及び外周面をそれぞれ覆う側壁18a及び周壁18bからなっており、側壁18aの中央部には1本の取付ボス37が一体に形成される。また周壁18bの後端部には、変速案内板35を係合し得る係合部38が設けられる。係合部38は、周壁18bの後端に位置する平面状の後壁39と、この後壁39の内面との間に、変速案内板35を挿入し得る間隙41を画成すべくベルトカバー18と一体に成形された支持壁40とから構成され、その後壁39には切欠き状の窓孔42と、この窓孔42の周縁に沿い且つ支持壁40に向かって突出する弾性突起43とが形成される。その際、弾性突起43は、その先端と、それに対向する支持壁40との間隙が変速案内板35の厚さより若干小となるように形成される。
【0021】またベルト伝動装置17の内側において、取付板44(固定支持部)の一端がボルト45によりエンジン4に、またその他端がボルト46により伝動ケース2にそれぞれ固着される。この取付板44の中央部にウェルディングナット47が設けられており、ベルトカバー18の取付ボス37に挿通される1本の取付ボルト48が上記ウェルディングナット47に螺着されるようになっている。
【0022】而して、ベルトカバー18の取付けに当たっては、先ず、係合部38の間隙41に変速案内板35を挿入すると、弾性突起43が弾性が変形しつゝ変速案内板35に圧接し、これによってベルトカバー18の取付け位置が規定される。即ち、ベルトカバー18の取付ボス37と取付板44のウェルディングナット47とが合致する。そこで、取付ボルト48を取付ボス37に挿通してウェルディングナット47に螺着して、ベルトカバー18の取付けは完了する。
【0023】このように、ベルトカバーの取付け時、ベルトカバー18の係合部38に変速案内板35を係合すれば、ベルトカバーの取付け位置が規定されるので、次で取付取付ボルト48の螺着を容易に行うことができ、その取付性が良好である。
【0024】しかも、取付ボルト48周りのベルトカバー18の回転は変速案内板35によって阻止されるので、ベルトカバー18の取付けに使用する取付ボルトは上記取付ボルト48、1本で足りることになり、部品点数が削減される。
【0025】その上、相互に係合する変速案内板35及びベルトカバー18は、互いに振動を抑制し合うので、エンジン4より加振されてもビビリ音を生ずることもない。
【0026】本発明は、上記実施例に限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更を行うことができる。例えば、弾性突起43は、支持壁40側に設けても、或いは後壁39及び支持壁40の両対向面に設けてもよい。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれば、耕耘軸を支持する伝動ケースから前方へエンジンベッドを張り出し、このエンジンベッド上に搭載されるエンジンのクランク軸と、伝動ケース内の変速機の入力軸とを連結するベルト伝動装置をエンジンの左右方向一側に配置すると共に、該装置を覆うベルトカバーを設け、伝動ケースの上部から後方へ操向ハンドルと、前記変速機を操作する変速レバーとを延出させてなる耕耘機において、ベルトカバーを支持すべく、それに挿通した1本の取付ボルトを固定支持部に螺着し、そのベルトカバーの後端部に窓孔と、この窓孔の周縁に沿った係合部とを形成し、固定支持部に固着されて変速レバーの操作経路を規定する変速案内板を前記係合部に係合すると共に前記窓孔に臨ませ、この変速案内板によりベルトカバーの前記取付ボルト周りの回転を阻止したので、ベルトカバーの取付け時、ベルトカバーの係合部に変速案内板を係合することによりベルトカバーの取付け位置を規定することができ、したがって、次の取付ボルトの螺着を容易に行うことができ、取付性が良好である。しかも該取付ボルト周りのベルトカバーの回転を変速案内板によって阻止するので、ベルトカバーの取付けに使用する取付ボルトは上記取付ボルト1本で足り、部品点数の削減、延いてはコスト低減に寄与することができる。その上、相互に係合する変速案内板及びベルトカバーは、互いに振動を抑制し合うので、エンジンより加振されてもビビリ音を生ずることもない。
【0028】また本発明の第2の特徴によれば、前記係合部を、前記窓孔を有するベルトカバーの後壁と、この後壁の内面との間に、変速案内板を挿入する間隙を画成すべくベルトカバーに一体に形成される支持壁とで構成し、これら後壁及び支持壁の対向面に、変速案内板に圧接する弾性突起を形成したので、変速案内板とベルトカバーとの係合が緊密となり、それら相互の振動抑制を一層確実にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開平11−46513
【公開日】 平成11年(1999)2月23日
【出願番号】 特願平9−206001