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【発明の名称】 ロータリ耕耘装置
【発明者】 【氏名】相沢 良一

【氏名】石丸 雅邦

【氏名】桜原 清文

【氏名】高橋 恒

【氏名】長井 訓

【氏名】金並 清二

【要約】 【課題】耕耘爪の打ち込み駆動力のみならず、打ち込み反転等する耕耘土塊の排土性を良好となして高速耕耘を実現しようとする。

【解決手段】基部直部Sに続き左又は右に曲がり部CL,CRを形成した耕耘爪16,16…を、耕耘軸13方向において略等間隔に配設し、上記曲がり部の当該曲がり方向を同じくする耕耘爪を、耕耘軸13軸方向及び半径方向に位相をずらせて螺旋状に配設するロータリ耕耘装置であって、上記耕耘軸13軸方向の耕耘爪配列各列a〜s間において複数の耕耘爪曲がり部が等配位相角度となるよう配設すると共に、上記曲がり方向を同じにする耕耘爪の螺旋状の配設を複数条宛て隣接配置させる
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基部直部に続き左又は右に曲がり部を形成した耕耘爪を、耕耘軸方向において略等間隔に配設し、上記曲がり部の当該曲がり方向を同じくする耕耘爪を、耕耘軸軸方向及び半径方向に位相をずらせて螺旋状に配設するロータリ耕耘装置であって、上記耕耘軸軸方向の耕耘爪配列各列間において複数の耕耘爪曲がり部が等配位相角度となるよう配設すると共に、上記曲がり方向を同じにする耕耘爪の螺旋状の配設を複数条宛て隣接配置させてあることを特徴とするロータリ耕耘装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、農用トラクタに装着するロータリ耕耘装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、ロータリ耕耘装置についても高速耕耘の要望を満たすべく、耕耘爪の改良等も行なわれている(例えば特開平8−84503号公報)。ところで、耕耘作業における駆動力の影響については、耕耘爪の打ち込み駆動力自体のみならず、打ち込み反転等する耕耘土塊の排土性の良否についても重要である。すなわち、耕耘土塊は反転しつつ後方に移動されることにより、持ち回りが少なくなって上記駆動力の軽減につながるものであるが、高速耕耘においてはその傾向が著しい。
【0003】しかしながら、耕耘爪の改良や、耕耘軸の軸方向同一位相での爪本数の増加による打ち込み回数の増大のみでは、上記駆動力を配慮したものとはならない。つまり、従来このような、土の移動排出性についてはあまり改良がなされず、駆動馬力を大とする原因となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、基部直部に続き左又は右に曲がり部を形成した耕耘爪を、耕耘軸方向において略等間隔に配設し、上記曲がり部の当該曲がり方向を同じくする耕耘爪を、耕耘軸軸方向及び半径方向に位相をずらせて螺旋状に配設するロータリ耕耘装置であって、上記耕耘軸軸方向の耕耘爪配列各列間において複数の耕耘爪曲がり部が等配位相角度となるよう配設すると共に、上記曲がり方向を同じにする耕耘爪の螺旋状の配設を複数条宛て隣接配置させる構成とする。
【0005】
【発明の作用効果】耕耘軸13を回転しながらロータリ耕耘装置4を移動すると、耕耘爪は順次打ち込まれ、土壌を耕耘し、土塊を反転する。このとき耕耘軸13軸方向の耕耘爪配列各列間において複数の耕耘爪曲がり部が等配位相角度となるよう配設するものであるから、略等速度で前進するため、各列間における耕耘ピッチが略等しくなり、耕耘幅全体に渡っても各耕耘爪夫々の打ち込み作用に伴う土塊の量は略等しいから振動少なくバランスを良好に維持し、駆動力のばらつきを少なくする。なお、耕耘軸一回転あたりの打ち込み数は複数回、つまり耕耘爪曲がり部の設置数分となって高速耕耘にも対応できる。
【0006】また、曲がり方向を同じにする耕耘爪の螺旋状の配設を複数条宛て隣接配置するものであり、即ち、左又は右の曲がり部を有する耕耘爪の各螺旋条は、同じ曲がり方向の螺旋条(イ,ロ及びハ,ニ)に区分されて隣接するが、各耕耘爪による耕起土塊の跳ね出し方向ははその曲がり部に応じて右曲がりなら右斜め後方に、左曲がりなら左斜め後方となるため、各螺旋条による耕起土塊はこれに沿う方向(上記イ,ロ条の場合)、又はこれと交差する方向(同ハ,ニ条の場合)移動しようとするものである。従って、異なる曲がり方向の螺旋条の境界付近(上記ニ条とイ条の境界付近または上記ロ条とハ条の境界付近)の土塊の移動をみると、その一方の境界付近では土塊の移動方向は互いに離れる方向となるため、両条が相互に干渉されることなく当該土塊の移動は円滑となり、また、他方の境界付近では先行打ち込みする耕耘爪螺旋条(ロ条)の土塊流れに後続の打ち込み螺旋条(ハ条)の土塊流れが干渉するが、当該境界付近で土塊の持ち回り状態は早期に崩れて後続の条(ハ条)の土塊は先行の条(ロ条)の土塊流れに合流して後方向きの移動が生じる。このとき、後続の螺旋条(ハ条)には同様の螺旋条(ニ条)が隣接するため、土塊の後方向きの移動が促進され上記合流を円滑となすから、駆動抵抗が少なくなって、高速耕耘や広幅耕耘に適する。
【0007】
【実施例】この発明の一実施例を図面に基づき説明する。トラクタ機体1の後部には、トップリンク2および左右一対のロアリンク3,3によって上下昇降自在にロータリ耕耘装置4を連結している。5,5はこれら左右ロアリンク3,3に連結してロータリ耕耘装置4を昇降連動する油圧リフトアームである。
【0008】ロータリ耕耘装置4は所謂サイドドライブ型を採用し、当該耕耘装置4の中央伝動部7の上部に上記トップリンク2を接続するマスト8を設け、左右には筒状フレーム9,10を延設している。このうち、筒状フレーム9には伝動チェンやスプロケット等を内蔵する伝動ケース11を接続している。一方他のフレーム10には、支持プレート12が装着されている。これら左右筒状フレーム9,10、伝導ケース11及び支持プレート12とにより形成される門型フレームに、耕耘軸13を水平姿勢に支架するものである。
【0009】なお、耕耘軸13への動力伝達は、トラクタ機体1後部に突設したPTO軸14の駆動力を、前記中央伝動部7の入力軸15に入力し、のち中央伝動部11内伝動機構部,筒状フレーム9,伝動ケース11内伝動機構部を経て伝達する構成としている。上記耕耘軸13には、基部側の直部Sから先端側にかけて左右いずれかの方向に曲がり部CL又はCRを形成した複数の耕耘爪16,16…を、耕耘軸13の軸方向を等配に分割して各部位に、当該曲がり部CL及びCRの一対宛てを配設する。図例では軸方向に17列(a〜s)に設定している。なお左右側端のa列及びs列に配設する爪は同形態の爪であるが、各1本ずつとしている。
【0010】上記耕耘軸13の配設は、隣接し合う耕耘爪の曲がり部CL及びCRが機体1乃至耕耘装置4の移動方向において重なるが、その打ち込み作用する耕耘ピッチPが略同じとなるよう、取付の回転方向における位相を180度ずらせて配設するものである。各爪16の基部を耕耘軸13外周に設けるホルダ17,17…に嵌合してボルト止め等で固定するものであるが、これらホルダ17,17…は、上記各分割設定部位b〜rにおける一対あてのホルダー角度(相対角度)は2種類あって、一つ置きに同じで、隣接しあうそれは異なる角度に設定される。例えば、分割設定列b,d,f…p,rには、当該角度を約70度と小さく設定したホルダ17,17が、またこれらの間の分割設定列c,e…qには角度を約110度と大きく設定したホルダ17,17が配設される。なお、これらの角度は耕耘幅の相異に伴う爪本数によって適宜に角度設定されるものであるが、上記の打ち込み作用する耕耘ピッチが略同じとなるよう、回転方向において等配位相角度の関係に設ける点は同様である。
【0011】ホルダの耕耘軸13への取付は、曲がり部CL又はCRが同じ向きの爪を耕耘軸方向に位相をずらせて螺旋状に配設している(図1)。即ち、図1中螺旋状にイ〜ニの条が配列されるが、このうち、イ及びロの条では耕耘爪16は曲がり部CRが、ハ及びニの条では曲がり部CLが夫々配設されている。なお、tは耕耘軸13一回転により進む距離(例えばt=約300mm)を表す。
【0012】上記のように構成された耕耘軸13の上面は上面カバー21で、後面はリヤカバー22で夫々覆われるものであるが、固定の上面カバー21に対してリヤカバー22は次のように接続されている。即ち、上面カバー21に、厚手のゴム板からなる可撓性連結体23を介してリヤカバー22を接続すると共に、上面カバー21の後端部左右及び中央部とリヤカバー22の中央部及び左右との間には、上下乃至左右に所定角度の自由度を許容する状態に接続アーム24及び弾性帯板からなる弾性接続板25,25を架け渡している。接続アーム24は、上面カバー21側では、上下に回動自在乃至若干の左右揺動を許容する状態に連結ピン26をもって枢着され、リヤカバー22側では、左右に分岐して当該リヤカバー22に固定接続された二又状部24a,24aを有する構成である。一方左右の弾性接続板25,25は、共に上方にやや彎曲させてリヤカバー22側を下圧勝手にして各端部を夫々のカバー21,22に固定するものである。
【0013】27,27は加圧ロッドで、その上端側は、上部カバー21に上下揺動自在に枢着連結したハンガ28,28先端側に水平軸心回りに回動自在に連結される。下端側は前記接続アーム24の二又状部24a,24aの受け座24b,24bの貫通孔に緩く嵌合している。29はロッド27に巻回する加圧スプリング30の下端側を受ける受け具で、ロッド27の軸方向に任意に位置変更調節できる構成である。
【0014】上記ハンガ28の一方は、油圧シリンダ機構31のピストン部先端を接続し、これの伸縮動作に基づきハンガ28を基部側中心に先端側を上下揺動調節可能に構成している。32,32はサイドカバーである。上例の作用について説明する。
【0015】耕耘軸13を回転しながら機体1を走行すると、耕耘爪16,16…の打ち込み作用によって圃場は耕耘される。図1において、r列ニ条の爪161,m列ハ条の爪162,g列ロ条の爪163,b列イ条の爪164,p列ニ条の爪165…の順に打ち込まれる。イ及びロ条の耕耘爪16は、これらの条に配設される耕耘爪群がいずれも曲がり部CRを備えるものであるため、耕耘土塊は後方斜め右側寄りに反転しつつ跳ね出されようとする。逆にハ条及びニ条の耕耘爪群は、曲がり部CLを備え、耕耘土塊は後方斜め左側寄りに反転しつつ跳ね出される。
【0016】例えばロ条の耕耘爪1627がその打ち込みにより耕耘土塊を後方斜め右側寄りに跳ね出すが、その直前では耕耘爪1616又は1623が同様に耕耘土塊を後方斜め右側寄りに跳ね出すため、イ条乃至ロ条の耕耘爪群による耕耘土塊は右側後方に移動する。一方、例えばニ条の耕耘爪1617がその打ち込みにより耕耘土塊を後方斜め左側寄りに跳ね出すが、その直前では耕耘爪1610又は1614が同様に耕耘土塊を後方斜め左側寄りに跳ね出すため、ハ条乃至ニ条の耕耘爪群による耕耘土塊は左側後方に移動しようとする。
【0017】従って、ニ条とイ条の境界付近では土塊の移動方向は互いに離れる方向となるため、両条が相互に干渉されることなく当該土塊の移動は円滑である。また、ロ条とハ条の境界付近ではロ条の土塊流れにハ条の土塊流れが干渉するが、当該境界付近で土塊の持ち回り状態は早期に崩れてハ条の土塊はロ条の土塊流れに合流して後方向きの移動が生じる。特にハ条とニ条とは複数条に設けられているため、単一条に比較して土塊の左後方向きの移動が促進され上記合流を円滑となす。
【0018】上記耕耘作業について、耕耘軸13の等配各列間においては、耕耘爪16の曲がり部CL及びCRの一対宛てを配設するから、耕耘軸13一回転で上記各列間は同ピッチで2回耕耘されることとなるが、これら爪の打ち込み作用に伴う土塊の量は略等しいから振動少なくバランスを良好に維持する。耕耘土塊は後方に案内されようとし、耕起表面に追従するリヤカバー22にて加圧するものであるが、このリヤカバー22は、ゴム板の可撓性連結体23や弾性接続板25,25を介して接続されるものであるから、上面カバー21に対し所定の角度範囲で左右に揺動可能であり、上記耕起表面への追従性が確実となる。高速耕耘にも良好に追従しうる。
【0019】上面カバー21とリヤカバー22との間を接続する少なくとも左右の弾性接続板25,25は、上記のようにリヤカバー22の上面カバー21に対する左右乃至前後揺動を許容するものであるが、この弾性接続板25,25の上面カバー21側及びリヤカバー22への各取付部間隔を一定長さに固定する固定具(例えば弾性接続板25,25上面において上面カバー21側ブラケット34とリヤカバー22側ブラケット35との間に着脱しうるコ型連結具36,36)を設け、弾性接続板25,25の動きをロックすることにより、リヤカバー22の左右揺動をロックでき、土質に応じた均平性を確保することができるものとなる。
【0020】なお、左右の弾性連結板25,25は上方にわん曲させてリヤカバー22を加圧勝手に設けるものであり、加圧ロッド27,27の加圧スプリング30が作用するまでの所定範囲においては、リヤカバー22の自重と上記弾性連結板25,25の加圧力にて土寄せ等の機能を発揮するものであるが、時にこの加圧力が過剰となったり適切でない場合があり、これを変更すべく図7の構成としてもよい。即ち、リヤカバー22を上部カバー21に対して上下乃至左右に揺動可能に装着し、上部カバー21とリヤカバー22との間に弾性連結板25,25を設けてリヤカバー22を加圧勝手に構成し、この加圧力を任意にあるいは自動的に調整可能に設ける構成とすることにより、土寄せ機能を大小に変更調整できるため、代掻作業や普通耕耘作業等作業形態に応じて土寄せ量を適正に調整できる。図例では、上記弾性連結板25,25の各基部に油圧シリンダ機構37などの伸縮機構を構成し、作業形態に応じて伸縮させることにより、加圧力を変更できるものとしている。弾性連結板25の基板38をブラケット39に回動自在に連結しこの基板38の他端に当該油圧シリンダ機構37の一端を枢支し、その他端は上部カバー21側に枢支している。しかも、その伸縮調整は、例えば耕深調整ダイヤルの調整位置に連動させる構成とし、耕深を浅い側に設定すると油圧シリンダ機構37が縮み加圧力は小さく、深い側に設定操作するこれが伸びて加圧力を標準に戻すなどとしてもよい。また、この伸縮調整を別途設けるスイッチ等の変更手段に基づく構成としてもよい。
【0021】また、耕耘均平作業中、リヤカバー22がやや起立姿勢となってその下縁での均平性に難があるとき、例えば稲株等を引き摺るなどに伴う表面の不均平性が発生するなどの場合は、油圧シリンダ機構31を操作してリヤカバー22を若干上昇させ下縁を持ち上げ勝手にして作業を継続することにより、上記を解消することができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月4日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−46501
【公開日】 平成11年(1999)2月23日
【出願番号】 特願平9−209205