| 【発明の名称】 |
トラクタ |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 武二
【氏名】野島 辰彦
【氏名】木村 重治
【氏名】田村 智志
|
| 【要約】 |
【課題】リフトロッドシリンダ制御において、安定性を保ちつつ、制御精度を向上させる。
【解決手段】作業機3を傾斜させるリフトロッドシリンダ6を、リフトロッド目標値とリフトロッド検出値との偏差に基づいて自動的に伸縮制御するにあたり、不感帯に隣接する偏差範囲に、所定のタイマ時間が経過するまでシリンダ作動を遅延させる伸縮遅延範囲を設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業機の傾斜姿勢を強制的に変化させるリフトロッドシリンダと、該リフトロッドシリンダを自動制御する自動制御部とを備え、さらに自動制御部には、目標位置と検出位置との偏差を演算する偏差演算手段と、偏差が不感帯設定値を越える場合にシリンダ作動指令を出力する作動指令出力手段とを設けてなるトラクタにおいて、前記自動制御部に、作動停止状態の偏差が不感帯設定値を越え、かつ遅延処理範囲設定値以内のとき、所定のタイマ時間が経過するまでシリンダ作動指令の出力制限をする遅延処理手段を設けたトラクタ。 【請求項2】 請求項1において、複数の遅延処理範囲を多段状に設定すると共に、不感帯に近い遅延処理範囲ほど遅延タイマ時間を長くしたトラクタ。 【請求項3】 請求項2において、作動停止状態の偏差が不感帯設定値を越えたとき、全遅延タイマのカウントを開始するトラクタ。 【請求項4】 請求項2において、作動停止状態の偏差が各遅延処理範囲に入ったとき、対応する遅延タイマのカウントを開始するトラクタ。 【請求項5】 請求項4において、現在位置する遅延処理範囲よりも不感帯に近い遅延処理範囲の遅延タイマ時間が経過したとき、少なくとも現在位置する遅延処理範囲を解除するトラクタ。 【請求項6】 請求項2において、現在位置する遅延処理範囲よりも不感帯に近い遅延処理範囲を解除するトラクタ。 【請求項7】 請求項2において、各遅延処理範囲で遅延タイマ時間が経過したとき、それぞれ作動速度が異なるシリンダ作動指令を出力すると共に、不感帯に近い遅延処理範囲のシリンダ作動指令ほど作動速度を遅くしたトラクタ。 【請求項8】 請求項7において、現在位置する遅延処理範囲の遅延タイマ時間が経過するまで、不感帯に近い隣接遅延処理範囲のシリンダ作動指令を出力するトラクタ。 【請求項9】 請求項2において、作業機の種類に応じて各遅延処理範囲または各遅延処理時間を切換えるトラクタ。 【請求項10】 請求項1において、作業機の目標傾斜を設定する傾斜設定器が操作されたとき、遅延処理範囲を解除するトラクタ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リフトロッドシリンダを備えるトラクタの技術分野に属するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、この種トラクタにおいては、作業機の傾斜姿勢を強制的に変化させるリフトロッドシリンダを備えると共に、作業機が設定傾斜を維持するようにリフトロッドシリンダを自動制御するものが知られているが、この様なものでは、目標位置に対する検出位置の偏差が不感帯設定値を越えるまでシリンダ作動を停止させる所謂不感帯を設定し、制御の安定性を確保することが要求される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記不感帯を設定するにあたり、不感帯設定値が大きすぎる場合には制御精度が低下する一方、小さすぎる場合には頻繁な作動を阻止できないことになるため、曖昧な中間設定値を設定せざるを得ないのが実状であった。そこで、シリンダ作動状態では、小さな不感帯設定値を用いて良好な制御精度を確保する一方、シリンダ停止状態では、大きな不感帯設定値を用いて頻繁な作動を阻止することが提案されているが、このものでは、偏差が小不感帯設定値と大不感帯設定値との間に位置する状態で長時間停止することが許されるため、制御誤差を長時間に亘って容認し、作業精度を低下させる可能性があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、作業機の傾斜姿勢を強制的に変化させるリフトロッドシリンダと、該リフトロッドシリンダを自動制御する自動制御部とを備え、さらに自動制御部には、目標位置と検出位置との偏差を演算する偏差演算手段と、偏差が不感帯設定値を越える場合にシリンダ作動指令を出力する作動指令出力手段とを設けてなるトラクタにおいて、前記自動制御部に、作動停止状態の偏差が不感帯設定値を越え、かつ遅延処理範囲設定値以内のとき、所定のタイマ時間が経過するまでシリンダ作動指令の出力制限をする遅延処理手段を設けたものである。つまり、作動停止時には、偏差が不感帯設定値を越えても、遅延処理範囲設定値を越えなければ、リフトロッドシリンダを停止状態に維持するため、頻繁な作動を阻止して良好な安定性を確保することができ、しかも、この状態が所定時間続いた場合には、リフトロッドシリンダを不感帯に向けて作動させるため、不感帯から外れた状態を長時間に亘って容認するものに比して制御精度を向上させることができる。また、複数の遅延処理範囲を多段状に設定すると共に、不感帯に近い遅延処理範囲ほど遅延タイマ時間を長くしたものである。つまり、偏差が小さい場合には、長く遅延して安定性を重視する一方、偏差が大きい場合には、短く遅延して制御精度を重視するため、安定性を確保しつつ制御精度の向上を計ることができる。また、作動停止状態の偏差が不感帯設定値を越えたとき、全遅延タイマのカウントを開始するものである。つまり、偏差が不感帯から外れたときを基準にして各遅延処理範囲の遅延処理を解除するため、不感帯を中心とする絶対的な遅延処理を行うことができ、その結果、偏差の小さなふらつき(ノイズ等)を許容して安定した制御を行うことができる許りでなく、偏差が大きくふらついた場合には、遅延処理を迅速に解除して良好な制御精度を確保することができる。また、作動停止状態の偏差が各遅延処理範囲に入ったとき、対応する遅延タイマのカウントを開始するものである。つまり、偏差が各遅延処理範囲に入ったときを基準にして各遅延処理範囲の遅延処理を解除するため、各遅延処理範囲で相対的な遅延処理を行うことができ、その結果、偏差のふらつきを可及的に許容して安定性を重視した制御を行うことができる。また、現在位置する遅延処理範囲よりも不感帯に近い遅延処理範囲の遅延タイマ時間が経過したとき、少なくとも現在位置する遅延処理範囲を解除するものである。つまり、偏差が各遅延処理範囲に入ったときを基準にして各遅延処理範囲の遅延処理を解除するにあたり、遅延時間が必要以上に長くなることを回避して制御精度の向上を計ることができる。また、現在位置する遅延処理範囲よりも不感帯に近い遅延処理範囲を解除するものである。つまり、偏差が不感帯側の遅延処理範囲に戻ろうとしたとき、直ちにリフトロッドシリンダを作動させるため、遅延時間が必要以上に長くなることを回避して制御精度の向上を計ることができる。また、各遅延処理範囲で遅延タイマ時間が経過したとき、それぞれ作動速度が異なるシリンダ作動指令を出力すると共に、不感帯に近い遅延処理範囲のシリンダ作動指令ほど作動速度を遅くしたものである。つまり、不感帯から遠い遅延処理範囲では、リフトロッドシリンダを速く作動させて制御精度を向上させる一方、不感帯に近い遅延処理範囲では、リフトロッドシリンダをゆっくりと作動させて所謂ハンチング現象を防止することができる。また、現在位置する遅延処理範囲の遅延タイマ時間が経過するまで、不感帯に近い隣接遅延処理範囲のシリンダ作動指令を出力するものである。つまり、遅延処理中でも一段階遅い速度でリフトロッドシリンダを作動させるため、安定性を確保しつつ制御精度の向上を計ることができる。また、作業機の種類に応じて各遅延処理範囲または各遅延処理時間を切換えるものである。つまり、作業機毎に偏差のふらつき具合が相違したとしても、予め適正な遅延処理範囲または遅延処理時間を設定しておけば、作業機の種類に拘わらず、良好な安定性および制御精度を兼ね備えた制御を行うことができる。また、作業機の目標傾斜を設定する傾斜設定器が操作されたとき、遅延処理範囲を解除するものである。つまり、傾斜設定器を操作した場合に、直ちにリフトロッドシリンダが作動するため、傾斜設定操作時の操作性および設定精度を向上させることができる。 【0005】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はトラクタの走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介してロータリ等の作業機3が昇降自在に連結されている。そして、前記作業機3は、リフトロッド4を介して昇降リンク機構2を吊持するリフトアーム5の上下揺動に伴って昇降作動する一方、左右何れかのリフトロッド4に介設されるリフトロッドシリンダ6の伸縮に伴って左右傾斜するが、これらの基本構成は何れも従来通りである。 【0006】7は前記リフトロッドシリンダ6を伸縮作動させるリフトロッド用電磁切換バルブであって、該リフトロッド用電磁切換バルブ7を切換える伸長用ソレノイド8および縮小用ソレノイド9は、インチングパルスに基づく間欠駆動が可能であるため、インチングパルスのデューティ設定(ON時間/周期)に基づいてリフトロッドシリンダ6の作動速度を制御することができるようになっている。 【0007】10はマイクロコンピュータを用いて構成される制御部であって、該制御部10の入力側には、リフトロッドシリンダ6のシリンダ長を検出するリフトロッドセンサ11、走行機体1の左右傾斜角を検出する傾斜センサ12、傾斜自動制御をON−OFFする傾斜自動スイッチ13、傾斜自動制御の目標傾斜を設定する傾斜設定ボリューム14、傾斜自動制御の感度を作業機の種類等に応じて設定する傾斜感度設定スイッチ15、リフトロッドシリンダ6を手動操作する傾斜手動スイッチ16等が入力インタフェース回路を介して接続される一方、出力側には、リフトロッド用電磁切換バルブ7の伸長用および縮小用ソレノイド8、9等が出力インタフェース回路を介して接続されている。 【0008】そして、前記制御部10のメインルーチンにおいては、後述する伸縮遅延タイマのセット、伸縮遅延タイマ経過フラグのリセット、伸縮遅延範囲通過フラグのリセット等を行う「初期設定」を実行した後、傾斜感度設定スイッチ15の切換位置に応じて伸縮遅延タイマの設定時間、伸縮遅延範囲の幅、傾斜比較出力制御モード等を切換える「感度セット」、傾斜自動目標値、傾斜手動目標値、平行復帰目標値もしくは現在位置停止目標値をリフトロッド目標値にセットする「傾斜制御」、傾斜設定ボリューム14の操作をチェックする「傾斜設定ボリュームチェック」、リフトロッドセンサ値とリフトロッド目標値との偏差に応じてリフトロッド伸縮指令を出力する「傾斜比較出力制御」等のサブルーチンを繰り返し実行するようになっており、以下、これらのサブルーチンのうち、「傾斜制御」、「傾斜設定ボリュームチェック」および「傾斜比較出力制御」(モード1〜4)をフローチャートに基づいて説明する。尚、伸長作動時と縮小作動時の制御概念は略同一であるため、伸長作動時の説明(フローチャート)は省略する。 【0009】「傾斜制御」では、まず、平行復帰(作業機上昇時に作業機傾斜を自動的に平行復帰させる機能)であるか否か、または傾斜自動(設定傾斜を目標として作業機傾斜を自動制御する機能)であるか否かを判断する。そして、傾斜自動状態であると判断(平行復帰判断が優先)した場合には、傾斜センサ12の検出値に基づいて演算した傾斜自動目標値をリフトロッド目標値にセットする一方、平行復帰状態であると判断した場合には、予め設定される平行復帰目標値(もしくは現在位置停止目標値)をリフトロッド目標値にセットし、また、何れの状態でもない場合には、傾斜手動スイッチ16の操作信号に基づいて演算した傾斜手動目標値をリフトロッド目標値にセットするが、平行復帰目標値もしくは傾斜手動目標値をセットする場合には、伸縮遅延タイマ経過フラグをセットするようになっている。つまり、傾斜手動スイッチ16の操作時や平行復帰時には、後述する伸縮遅延処理を解除して直ちにリフトロッドシリンダ6を作動させるため、傾斜手動操作において良好な応答性を確保することができる許りでなく、迅速な平行復帰を行うことができるようになっている。 【0010】「傾斜設定ボリュームチェック」では、現在の傾斜設定ボリュームデータと、所定時間毎に傾斜設定ボリュームデータが格納される傾斜設定記憶データとの差を演算すると共に、その演算結果がボロー(負)であるか否かを判断し、該判断がYESの場合には演算結果を2の補数に変換する。そして、前記演算結果を操作確認データと比較し、その結果、操作確認データよりも演算結果が大きいと判断した場合には、伸縮遅延タイマ経過フラグをセットするようになっている。つまり、傾斜設定ボリューム14が操作された場合には、後述する伸縮遅延処理を解除して直ちにリフトロッドシリンダ6を作動させるため、傾斜設定時において良好な応答性、操作性および設定精度を確保することができるようになっている。 【0011】「傾斜比較出力制御(モード1)」では、まず、リフトロッドセンサ値とリフトロッド目標値との偏差に基づいてシリンダ作動方向を判断すると共に、偏差が不感帯から外れているか否かを判断する。そして、偏差が不感帯内である場合には、伸縮遅延タイマ、伸縮遅延タイマ経過フラグおよび伸縮遅延範囲通過フラグをリセット(もしくはクリア)した後、伸縮停止指令を出力するが、作動方向が縮側で、かつ偏差が不感帯外である場合には、伸遅延タイマ、伸遅延タイマ経過フラグおよび伸遅延範囲通過フラグをリセットした後、縮小側処理を実行する一方、作動方向が伸側で、かつ偏差が不感帯外である場合には、縮遅延タイマ、縮遅延タイマ経過フラグおよび縮遅延範囲通過フラグをリセットした後、伸長側処理を実行するようになっている。 【0012】前記縮小側処理では、まず、偏差が遅延範囲(1〜3)であるのか、もしくは遅延範囲外であるのかを判断する。つまり、不感帯に隣接する偏差範囲に遅延範囲を設定し、該遅延範囲では、所定の遅延タイマ時間が経過するまで伸縮作動処理(シリンダ縮小指令出力)を制限する一方、遅延範囲外では、直ちに伸縮作動処理を実行するため、作動停止時の偏差が不感帯から外れても、遅延範囲内であればリフトロッドシリンダ6を停止状態に維持して頻繁な作動を阻止することができ、また、この状態が所定のタイマ時間継続すると、リフトロッドシリンダ6を不感帯に向けて作動させるため、不感帯から外れた状態を長時間に亘って容認する不都合を解消することができるようになっている。 【0013】前記遅延範囲は、範囲上限偏差H1〜H3(H1<H2<H3)が段階的に相違する複数の遅延範囲1〜3に分割されると共に、不感帯に近い遅延範囲ほど遅延タイマ時間が長く設定されている。即ち、不感帯から外れても、偏差が比較的小さい場合には、伸縮作動処理を長く遅延して頻繁な作動を阻止する一方、偏差が大きい場合には、比較的早い段階で遅延処理を解除して制御精度を確保するようになっている。 【0014】ところで、「傾斜比較出力制御(モード1)」では、偏差が不感帯内のとき、各遅延範囲1〜3の遅延タイマをクリア(セット)し、偏差が不感帯から外れた状態では、遅延タイマのクリアを実行しないようになっている。つまり、偏差が不感帯から外れたとき全遅延タイマのカウントを開始するため、偏差が不感帯から外れたときを基準にして各遅延範囲1〜3の遅延処理を解除することになる。従って、不感帯を中心とする絶対的な遅延処理を行うため、偏差の小さなふらつきを許容して頻繁な作動を阻止することができる一方、偏差が大きくふらついた場合には、遅延処理を迅速に解除して良好な制御精度を確保することができ、その結果、モード1では、制御精度を重視する作業に適した傾斜自動制御を実行することができるようになっている。 【0015】また、前記各遅延範囲1〜3では、対応する遅延タイマの経過を判断して遅延タイマ経過フラグをセットし、以降は遅延タイマ経過フラグの内容を参照して遅延解除状態を維持するが、さらに、各遅延範囲1〜3および遅延範囲外では、通過した遅延範囲1〜3を確認するための遅延範囲通過フラグをセットするようになっている。そして、遅延範囲1では、縮遅延タイマ1が経過した場合と、縮遅延範囲3の通過フラグがセットされている場合と、縮遅延範囲2の通過フラグがセットされ、かつ縮遅延タイマ2もしくは3の経過フラグがセットされている場合と、縮遅延範囲1の通過フラグがセットされ、かつ縮遅延タイマ2の経過フラグがセットされている場合とに縮遅延タイマ1経過フラグをセットし、また、遅延範囲2では、縮遅延タイマ2が経過した場合と、縮遅延タイマ1の経過フラグがセットされている場合と、縮遅延範囲3の通過フラグがセットされている場合と、縮遅延範囲2の通過フラグがセットされ、かつ縮遅延タイマ2の経過フラグがセットされている場合とに縮遅延タイマ2経過フラグをセットし、またさらに、遅延範囲3では、縮遅延タイマ3が経過した場合と、縮遅延タイマ2の経過フラグがセットされている場合と、縮遅延タイマ1の経過フラグがセットされている場合と、縮遅延範囲3の通過フラグがセットされている場合とに縮遅延タイマ2経過フラグをセットするようになっている。つまり、偏差が遅延範囲外に達した場合や、遅延タイマの経過に基づいて何れかの遅延範囲が解除された場合には、全ての遅延範囲1〜3を解除するため、不感帯に向けてリフトロッドシリンダ6を一旦作動させた後は、偏差のふらつき等に拘わらず、偏差が不感帯に入るまでシリンダ作動を継続することができるようになっている。 【0016】また、前記各遅延範囲1〜3では、遅延タイマが経過した場合に、遅延範囲毎に設定される伸縮作動処理を実行するが、各伸縮作動処理1〜3には、それぞれ異なる駆動デューティ(作動速度)が設定され、不感帯に近い遅延範囲ほど低い駆動デューティ(低速作動信号)を出力するようになっている。つまり、不感帯から遠い遅延範囲では、リフトロッドシリンダ6を速く作動させて制御精度を向上させる一方、不感帯に近い遅延範囲では、リフトロッドシリンダ6をゆっくりと作動させて所謂ハンチング現象を防止するようになっている。 【0017】次に、「傾斜比較出力制御(モード1)」と「傾斜比較出力制御(モード2)」との相違点を説明する。前記「傾斜比較出力制御(モード1)」では、前述した様に、偏差が不感帯から外れたときに全ての遅延タイマ1〜3のカウントを開始するが、「傾斜比較出力制御(モード2)」では、偏差が各遅延範囲1〜3に入るとき、対応する遅延タイマ1〜3のカウントを開始するようになっている。つまり、偏差が各遅延範囲1〜3に入ったときを基準にして各遅延範囲1〜3の遅延処理を解除するため、各遅延範囲1〜3で相対的な遅延処理を行って偏差のふらつきを可及的に許容することができ、その結果、モード2では、安定性を重視する作業に適した傾斜自動制御を実行することができるようになっている。 【0018】次に、「傾斜比較出力制御(モード2)」と「傾斜比較出力制御(モード3)」との相違点を説明する。前記「傾斜比較出力制御(モード2)」では、「傾斜比較出力制御(モード1)」と同様の遅延解除条件を採用しているが、「傾斜比較出力制御(モード3)」では、現遅延範囲よりも不感帯に近い遅延範囲の遅延タイマが経過したとき、現遅延範囲を解除するという遅延解除条件が追加されている。つまり、偏差が各遅延範囲に入ったときを基準にして各遅延範囲を解除するにあたり、遅延時間が必要以上に長くなることを回避することができるため、モード3では、モード2に比して制御精度を重視する作業に適した傾斜自動制御を実行することができるようになっている。 【0019】次に、「傾斜比較出力制御(モード2)」と「傾斜比較出力制御(モード4)」との相違点を説明する。前記「傾斜比較出力制御(モード2)」では、「傾斜比較出力制御(モード1)」と同様、遅延タイマが経過するまでリフトロッドシリンダ6を停止状態に維持するが、「傾斜比較出力制御(モード4)」では、遅延タイマが経過するまでのあいだ、不感帯に近い隣接遅延範囲の伸縮作動処理を実行するようになっている。つまり、遅延処理中でも一段階遅い速度でリフトロッドシリンダ6を作動させるため、モード4では、モード2に比して制御精度を重視する作業に適した傾斜自動制御を実行することができるようになっている。尚、「傾斜比較出力制御」の各モード1〜4では、感度(制御精度と安定性とのバランス)が相違する傾斜自動制御を実行することになるが、各モード1〜4において、不感帯幅、遅延範囲数、遅延範囲幅、遅延タイマ時間、遅延範囲出力デューティ等を調節すれば、作業機、作業条件等に応じて極めて細やかな感度調節を行うことができるようになっている。 【0020】叙述の如く構成されたものにおいて、作業機3を傾斜させるリフトロッドシリンダ6を、リフトロッド目標値とリフトロッド検出値との偏差に基づいて自動的に伸縮制御するものであるが、作動停止状態の偏差が不感帯から外れても、遅延範囲内である場合には、所定のタイマ時間が経過するまでシリンダ作動を制限するため、頻繁な作動を阻止して良好な安定性を確保することができ、しかも、タイマ時間が経過した場合には、リフトロッドシリンダ6を不感帯に向けて作動させるため、不感帯から外れた状態を長時間に亘って容認するものに比して制御精度を向上させることができる。 【0021】また、複数の遅延範囲1〜3を多段状に設定し、不感帯に近い遅延範囲ほど遅延タイマ時間を長くしたため、偏差が小さい場合には、長く遅延して頻繁なシリンダ作動を阻止することができる一方、偏差が大きい場合には、短く遅延して良好な制御精度を確保することができる。 【0022】また、モード1においては、作動停止状態の偏差が不感帯から外れたときに全遅延タイマ1〜3のカウントを開始するため、不感帯を中心とする絶対的な遅延処理を行うことができ、その結果、偏差の小さなふらつきを許容して安定した制御を行うことができる許りでなく、偏差が大きくふらついた場合には、遅延処理を迅速に解除して良好な制御精度を確保することができる。 【0023】また、モード2〜4においては、作動停止状態の偏差が各遅延範囲1〜3に入るときに対応する遅延タイマ1〜3のカウントを開始するため、各遅延範囲1〜3で相対的な遅延処理を行うことができ、その結果、偏差のふらつきを可及的に許容して安定性を重視した制御を行うことができる。 【0024】また、モード3においては、現遅延範囲2、3よりも不感帯に近い遅延範囲1、2の遅延タイマ1、2が経過したときに現遅延範囲を解除するため、偏差が各遅延範囲1〜3に入ったときを基準にして各遅延範囲1〜3の遅延処理を解除するものでありながら、遅延時間が必要以上に長くなることを回避して制御精度の向上を計ることができる。 【0025】また、モード1〜4においては、遅延タイマ1〜3が経過した場合に、不感帯に近い遅延範囲1〜3ほど低い駆動デューティを出力するため、不感帯から遠い遅延範囲3では、リフトロッドシリンダ6を速く作動させて制御精度を向上させる一方、不感帯に近い遅延範囲1では、リフトロッドシリンダ6をゆっくりと作動させて所謂ハンチング現象を防止することができる。 【0026】また、モード4においては、現遅延範囲1〜3の遅延タイマ1〜3が経過するまで、不感帯に近い隣接遅延範囲1、2の駆動デューティを出力するため、遅延処理中でも一段階遅い速度でリフトロッドシリンダ6を作動させることができ、その結果、安定性を確保しつつ制御精度の向上を計ることができる。 【0027】また、作業機3の種類に応じて各遅延範囲幅や各遅延時間を切換えることが可能であるため、作業機3毎に偏差のふらつき具合が相違したとしても、予め適正な遅延範囲幅や遅延時間を設定しておけば、作業機3の種類に拘わらず、良好な安定性および制御精度を兼ね備えた制御を行うことができる。 【0028】また、傾斜設定ボリューム14が操作されたとき、全ての遅延範囲1〜3を解除するため、傾斜設定操作時の応答性、操作性および設定精度を向上させることができる。 【0029】尚、本発明は、前記実施形態に限定されないものであることは勿論であって、例えば現遅延範囲よりも不感帯に近い遅延範囲(通過した遅延範囲)を解除するようにしてもよい。そしてこの場合には、偏差が不感帯側の遅延範囲に戻ろうとしたとき、直ちにリフトロッドシリンダを作動させることができるため、遅延時間が必要以上に長くなることを回避して制御精度の向上を計ることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
|
| 【公開番号】 |
特開平11−32504 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−207330 |
|