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【発明の名称】 農作業機のマーカ装置
【発明者】 【氏名】小松 仁

【要約】 【課題】第1マーカで形成された走行指標に沿って機体を走行させることにより通常の植付苗条を連続して形成すると共に、第2マーカで形成された管理作業時の走行指標に沿わせて機体を走行させることにより密植条を簡単に形成し、密植条を管理作業時の走行用指標にして管理作業を簡単且つ低コストに能率よく行うことができる農作業機のマーカ装置を提供する。

【解決手段】圃場に所定の条間を有して苗を植え付ける、又は種子を播種する作業部5と、圃場に次工程走行用の指標を形成するマーカ装置6とを備えた農作業機Aの、前記マーカ装置6を次工程走行用の指標を形成する第1マーカ61と、密植走行用の指標を形成する第2マーカ62とを併設することによって構成した農作業機のマーカ装置としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圃場に所定の条間を有して苗を植え付ける、又は種子を播種する作業部と、圃場に次工程走行用の指標を形成するマーカ装置とを備えた農作業機において、前記マーカ装置を次工程走行用の指標を形成する第1マーカと、密植走行用の指標を形成する第2マーカとを併設することによって構成したことを特徴とする農作業機のマーカ装置。
【請求項2】 第1マーカと第2マーカとの間隔を条間の整数倍となるように設けた請求項1の農作業機のマーカ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に苗を植え付ける田植装置或いは種子を播種する播種装置等の作業部を備えた農作業機におけるマーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、苗載台に載置されたマット状苗を植付爪で一株分づつ掻取って圃場に植え付ける田植機は、植付け作業の走行往路において圃場面に次工程走行(走行復路)用の目安になる線引を行うマーカを備えており、該マーカによって形成された走行復路の指標線に沿って機体を走行させることにより、既植付苗条に対し設定条間を有して植付苗条を連続的に形成するように構成されている。そして、上記の植付作業によって植え付けられた苗が所定長に成育した時期に行われる防除或いは施肥等の作業(以下管理作業という)は、施肥装置或いは防除装置を備えた走行機体を植付苗条に沿って走行させることによって行われるが、この際の作業巾は前記田植機の1工程で植え付けられる植付苗条巾の数倍程度を、1工程走行によって一挙に行うようにしている。
【0003】従って、上記のような管理作業を行う際に植付苗条を踏みつけないで機体を走行させる必要があり、従来この走行位置の割り出しは目測によって条列を数えて割り出しながら、例えば畦畔に走行位置の目安となる支柱を立てたり、走行位置の植付苗条に石灰等を散布して目印となる着色を施す等のマーキング手段を行ったのち、これらのマーキングを管理作業用の走行指標にして機体の位置合わせを行いながら上記のような管理作業が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し、上記従来のようなマーキング手段による管理作業は、管理作業を行う都度その走行位置の割り出し作業や走行指標の設置作業を必要とするので、管理作業が煩雑で非能率になると共に、杭や着色剤等の指標形成部材を植付作業後に別途準備しなければならず作業がコスト高になる等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明の農作業機のマーカ装置は、第1に、圃場に所定の条間を有して苗を植え付ける、又は種子を播種する作業部と、圃場に次工程走行用の指標を形成するマーカ装置とを備えた農作業機において、前記マーカ装置を次工程走行用の指標を形成する第1マーカと、密植走行用の指標を形成する第2マーカとを併設することによって構成したことを特徴としている。
【0006】第2に、第1マーカと第2マーカとの間隔を条間の整数倍となるように設けたことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1においてAは農作業機であり、前輪1a及び後輪1bを前後同巾に有する走行機体1上に、前方からエンジン部2とハンドル3a及び座席シート3bとからなる操縦部3を設けると共に、後部に植付装置(作業部)5を昇降可能に装着し、該植付装置5の両側に本発明に係わるマーカ装置6を作業姿勢と非作業姿勢とに左右交互に切換可能に設けている。また、エンジン部2を覆うボンネット2aの前部で機体中心線上には、後述するマーカ装置6の第1マーカ61及び第2マーカ62で圃場面に形成される、第1指標A1並びに第2指標A2に位置合わせをして走行させるマスコット部8を設けている。
【0008】上記植付装置5は、苗載台50上に載置されるマット状苗を、接地フロート51の後部に設けた植付爪52によって一株分づつ掻取って、走行に伴い圃場に苗を列条に植え付けるように在来の構成を以て構成しており、この実施形態において植付爪52は、植付巾内に8本の植付爪52を略等間隔に設けることにより、8条分の植付苗条を1走行工程で形成するようにしている。即ち、8条分のマット状苗を載置可能に形成された苗載台50の下方には、4個の接地フロート51を等間隔に配設しており、各接地フロート51の後部左右に植付爪52をそれぞれ設けると共に、両外側の接地フロート51とこれに隣合う接地フロート51の中間に、植付作業時に前出の後輪1bが轍跡Wを形成するように各関係位置を設定している。
【0009】従って、後述する図2の作業工程図に示すように、植付装置5の8本の植付爪52は、1条〜8条の植付苗条8条分を1工程S1目の往路走行によって植付形成する。尚、同図において太矢線は走行機体1の走行中心線とその走行方向を示しており、点線は植付苗条を示している。また、4工程以降の植付苗条の点線は省略している。
【0010】次に、図1,図2を参照し前記マーカ装置6について説明する。図示例のマーカ装置6は、植付装置5の機体側に公知の構成からなる切換機構(図示せず)を介して延設支持されるマーカアーム60と、該マーカアーム60の先端から下向きに屈曲させた部位に二股状に形成した棒杆状の第1マーカ61と、第2マーカ62とからなるマーカ部63等によって構成している。即ち、マーカ装置6は、前述の1工程S1となる往路走行時にマーカ部63を下方回動切換させた作業姿勢において、第1マーカ61は、次工程(2工程S2)の復路走行の際に機体の中心を合わせて走行させる走行中心線になる第1指標A1を、圃場面に2工程S2で植え付けられる植付苗条の4条目と5条目の中間に線状にけがき、第2マーカ62は、前記第1指標A1の内側に1条分の間隔を有して、管理作業時における機体の走行中心線となる第2指標A2を圃場面に上記と同様に形成する。
【0011】この際、上記植付装置5の両側に設置されたマーカ装置6は、一方のマーカ装置6が作業姿勢にある場合には他方のマーカ装置6は非作業姿勢になるように、機体の往復路走行時毎に切換機構を介し自動的に切換えられるものである。一方、管理作業機の一実施形態として示す散布方式の防除機7は図1,図2に点線で模式的に示しており、この防除機7は、前記農作業機Aの走行機体1を利用し、マーカ装置6付の植付装置5を外したのち、薬剤タンク70及び送給装置71並びにブーム状の散布管72に複数の散布ノズル73を備えてなる、散布部(作業部)75を取り付けることによって構成するようにしている。
【0012】この実施形態において、散布部75は、適数の植付苗条の上方から薬剤を吹きかける散布ノズル73を、中程で折り畳み格納可能姿勢となるように形成した散布管72に散布間隔を有して所定数設けており、走行機体中心の左右側に略半数分づつの散布ノズル73を配設して構成している。従って、図2で示す苗が密植条に植え付けられることによって形成された、後述する指標条Mを走行中心として防除機7を走行させた場合に、防除機7は所定数の散布ノズル73によって4工程分毎に植え付けられた全植付苗条に対し、植付成育後の適期において薬剤を簡単且つ適切に能率よく散布作業をすることができるものである。
【0013】以上のように構成した農作業機Aは1区画分の圃場における植付作業を図2に示す適数工程によって円滑に行うと共に、管理作業の一態様としての薬剤の散布を能率よく簡単に行うことができるものである。即ち、植付作業は図2に示すように、先ず1工程S1の植付作業を圃場の一側を基準として機体を走行させながら行って8条分の植付苗条を形成すると共に、マーカ装置6のマーカ部63によって、第1指標A1と第2指標A2を同時に圃場面に形成する。
【0014】次いで、1工程S1の終端部において機体を旋回転向させて2工程S2の植付作業を行う。この場合1工程S1で形成された第1指標A1にマスコット部8を合わせながら機体を走行させると、植付装置5は既植付条の8条目の側方に1条分の植付間隔を有して新たに8条分の植付条を形成すると共に、他方のマーカ装置6が非作業姿勢から作業姿勢に自動的に切り換えられて、そのマーカ部63の下端で3工程S3目の第1指標A1と第2指標A2とを形成する。
【0015】次に、2工程S2の終端部において再び機体を旋回転向させて3工程S3の植付作業を行うが、この場合にはマスコット部8を第2指標A2に合わせながら機体を走行させることによって行う。従って、3工程S3の植付作業は、走行機体1の機体中心が第2指標A2を通ることにより、右最外側の植付爪が16条目の植付苗条に重複して苗を植え付けるので、この条は他の植付苗条よりも苗が密植された状態の密植条Mに形成されれて、管理作業時の走行指標となるマーキング植付が行われることになる。
【0016】そして、これ以降4工程S4〜6工程S6との植付作業は走行機体を第1指標A1を走行機体中心として走行させると共に、7工程S7目において走行機体を第2指標A2を機体中心として走行させることにより47条目に密植条Mを形成する。以下前述と同様なマーキング植付を一連に繰り返して圃場全面の植付作業が円滑に完了されるものである。
【0017】このようにして植付作業が行われた圃場は、草丈が中程に成長した所定期間後に苗に対する防除並びに施肥等の管理作業が行われるが、この管理作業の一例として図示例では、前記防除機7によって薬剤の散布を行う防除作業について説明する。この場合、前記圃場は植付苗が均一に伸びて成長しているなか、密植条Mのみがマーキング植付の際に密植されているため他の植付苗条より葉色の密集により全体として色濃く目立っているので、作業者はこの密植条Mを管理作業時の明確な指標として容易に認識し得て、防除機7のマスコット部8を密植条Mに合わせながら機体を適切に走行させることができる。
【0018】これにより、防除機7は、前輪1a及び後輪1bを所定の植付苗条間を苗の踏み倒しを防止した状態で円滑に走行通過させることができると共に、散布部75は作業巾条分の植付苗条に対し、各散布ノズル73によって薬剤を所定の位置に的確に散布することができるものである。このように、第1の密植条Mを走行機体中心として防除作業を行いその終端に至った防除機7は、第2,第3・・の密植条Mに順次移動させながら前記と同様な管理作業を繰り返して行うことにより、圃場全体の薬剤の散布を、従来のもののように苗が成長した管理作業遂行時に煩雑な走行位置の割り出しや指標設置作業等を要することなく、簡単且つ低コストな管理作業を能率よく行うことができるものである。
【0019】また、この実施形態において第1マーカ61と第2マーカ62との間隔は、1条分の植付苗条間隔と略同巾に設定して1列条の密植条Mを形成するようにマーキング植付を行うようにしたが、第1マーカ61と第2マーカ62の間隔は植付苗条間の整数倍に設定してもよく、この場合にも通常の植付苗条内に1列条の密植条Mを同様に形成することができるものである。
【0020】また、第1マーカ61と第2マーカ62の間隔を1条分の植付苗条間よりやや広巾または狭巾に設定してもよく、この場合には前記整数倍にする場合と異なり、密植条Mを2列条の植付苗条を近接させた状態に形成するマーキング植付を行うことができ、該2列条の密植条Mは苗の成長に伴い葉色の密集で色濃くなって管理作業時に明瞭な走行指標とすることができるものである。前記のようなマーキング植付が行われた圃場において、防除機7の機体中心から一側に偏寄している密植条Mに沿って管理作業を行う場合には、図1の点線で示すようにマスコット部8aの位置を左右或いは前後に調節して、該密植条Mとマスコット部8a及び作業者の目視線を一致させるようにすると、防除機7を前記密植条Mを指標として所定の管理作業巾を良好に施肥作業を行うようにすることができるものである。
【0021】また、マーカ装置6の第2マーカ62は図示例のもののように圃場面にけがき線を線引きするものに限ることなく、圃場面と識別可能な有色粉粒部剤(石灰或いは肥料等であってもよい)を筋状に散布したり、水溶性のテープ材を敷設施工してマーキングを行うものであってもよい。さらに、前記第2マーカ62は第1マーカ61に対し手動又は自動切換手段を以て切換作動可能に設けてもよく、この場合には通常の植付苗条を形成する植付作業時には退避姿勢になして常時マーキングを不能にし、管理作業時用のマーキング植付を行う植付作業工程においてのみマーキングを行うようにすることができる。
【0022】また、図示例において管理作業は防除機7による薬液或いは薬粒材等の薬剤を散布する防除作業について説明したが、防除機7に代えて走行機体1に図示しない在来の構成からなるペースト肥料を土中に注入施肥する施肥機によって、各植付苗条に対しペースト肥料を追肥作業を行うようにしてもよい。尚、この場合に施肥機の施肥部は、前記密植条Mに対しては苗が多く植え付けられている関係上、他の植付苗条よりも肥料を幾分多めに施肥することが好ましいものである。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので次のような効果を奏することができる。圃場に次工程走行用の指標を形成する第1マーカに密植走行用の指標を形成する第2マーカを併設したマーカ装置にすることにより、苗を植え付ける際に、第1マーカで形成された走行指標に沿って機体を走行させることにより、通常の植付苗条を連続して形成することができると共に、第2マーカで形成された管理作業時の走行指標に沿わせて機体を走行させることにより、苗を密植させて植付けられた密植条を簡単に形成することができるので、従来のもののように管理作業時に走行位置の割り出しや特別な指標設置作業等を必要とすることなく、植付作業時に密植条に植え付けられた苗そのものを以て管理作業時の走行用指標にすることができるから、管理作業を簡単且つ低コストに能率よく行うことができる等の利点がある。
【0024】また、第1マーカと第2マーカとの間隔を条間の整数倍となるように設けることにより、苗を1列条に合わせて2度植えさせて巾狭な密植条を簡単に形成することができると共に、この密植条は他の植付苗条と明確に識別することができるので、この密植条を指標として苗の踏み倒し等を防止しながら管理作業を良好に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−9012
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−172034