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【発明の名称】 農作業用の多条型軌道式台車
【発明者】 【氏名】宮野 洋一

【氏名】林 伸弘

【氏名】宮崎 虎男

【氏名】岩重 博

【氏名】清水 新二

【要約】 【課題】多条の畝を数人掛かりで一度に作業可能で、且つ軌道の必要本数を減らすことが可能な多条型軌道式台車を提供する。

【解決手段】車体10は、複数の畝22、22を跨ぐ長さの横つなぎ材110と縦つなぎ材111とを組んで形成された載置部11の両端部に下向きの脚部12を有し、該脚部12の下部に前記畝間のレール21上を走行する軌道車輪13を備え、また、車体10の略中間部にも畝間の通路2上を走行する接地車輪14を備えた構成であり、イチゴなどの背の低い作物Wの手入れの姿勢に無理がない程度に低い座席33を備え、前記車体10の走行方向の前側又は後側に寄り掛かる形態で着脱自在に取り付けられる構成で、下部には畝22間の通路2上を走行する接地車輪32を備えた作業椅子3が設けられ、車体10の前記載置部11の上に、作物Wの栽培管理に必要な機具類や容器類が載置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の畝を直交方向に跨ぐ門形の車体をもち、車体の両端部の通路に沿って畝と略平行に敷設されたレール上を走行する軌道車輪を備えた多条型軌道式台車であって、前記車体は、複数の畝を跨ぐ長さの横つなぎ材と縦つなぎ材とを組んで形成された載置部の両端部に下向きの脚部を有し、該脚部の下部に前記畝間のレール上を走行する軌道車輪を備え、また、車体の略中間部にも畝間の通路上を走行する接地車輪を備えた構成であること、イチゴなどの背の低い作物の手入れの姿勢に無理がない程度に低い座席を備え、前記車体の走行方向の前側又は後側に寄り掛かる形態で着脱自在に取り付けられる構成で、下部には畝間の通路上を走行する接地車輪を備えた作業椅子が設けられていること、車体の前記載置部の上に、作物の栽培管理に必要な機具類や容器類が載置されること、をそれぞれ特徴とする、農作業用の多条型軌道式台車。
【請求項2】 請求項1に記載した車体の略中間部に位置する接地車輪は、車体に搭載したモーター駆動機構によって駆動制御される構成であることを特徴とする、農作業用の多条型軌道式台車。
【請求項3】 請求項2に記載した車体の載置部にホッパーが載置され、該ホッパーの底部には培地に合わせた配置で複数の落下孔が形成されており、前記ホッパーの全長にわたり複数の攪拌羽が設置され、該攪拌羽をモーターにより回転する攪拌機が設けられていることを特徴とする、農作業用の多条型軌道式台車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、広大な畑に畝を盛って栽培されるイチゴとかレタス等の比較的背の低い作物の除草、撒水、施肥、消毒、防除、古葉かき、摘果、収穫、搬出等の作業に広く使用される農作業用軌道式台車の技術分野に属し、更に云えば、多条の畝を数人掛かりで一度に作業可能で、且つ軌道の必要本数を減らすことが可能な多条型軌道式台車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の農作業用軌道式台車としては、例えば特公平7−110162号公報に記載されたイチゴ等の栽培管理装置が公知である。これは所謂単条型の軌道式台車で、一つの畝を跨ぐ門形の車体をもち、同畝の両側の通路に沿って敷設されたレール上を走行する車輪を備え、駆動車輪は車体に搭載した電動機で回転駆動される。前記車体の両側に、前記畝に栽培されたイチゴ等の背の低い作物の手入れに姿勢の無理がない程度に低い座席が設けられている。車体の中央上部、前部及び後部に、イチゴ等の栽培管理に必要な収穫箱や消毒液タンク等を載置する載置部が設けられている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】上記従来の単条型の軌道式台車の場合は、各畝間毎の通路に敷設したレールが管理作業をする作業者の通行の妨げとなる。また、それぞれの畝間通路毎にレールを敷設するから、レールの必要本数(又は長さ)が嵩み、レール敷設の設備コストが高くなる。更には、電動による自動走行型の構成なので、小規模の農業経営者にとっては設備コストの面で手の届きにくい程に高価なものとなっている、等々の問題点がある。
【0004】従って、本発明の目的は、作業者が畝間通路を歩く通行に支障が少なく、レール敷設の作業と設備費用及び高価な自動走行型機械による設備コストを低減することが可能で、しかも管理作業の効率を向上させることも可能な農業用の多条型軌道式台車を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る多条型軌道式台車は、複数の畝22を直交方向に跨ぐ門形の車体10をもち、車体10の両端部の通路2に沿って畝22と略平行に敷設されたレール21、21上を走行する軌道車輪13を備えた多条型軌道式台車であって、前記車体10は、複数の畝22、22を跨ぐ長さの横つなぎ材110と縦つなぎ材111とを組んで形成された載置部11の両端部に下向きの脚部12を有し、該脚部12の下部に前記畝間のレール21上を走行する軌道車輪13を備え、また、車体10の略中間部にも畝間の通路2上を走行する接地車輪14を備えた構成であること、イチゴなどの背の低い作物Wの手入れの姿勢に無理がない程度に低い座席33を備え、前記車体10の走行方向の前側又は後側に寄り掛かる形態で着脱自在に取り付けられる構成で、下部には畝22間の通路2上を走行する接地車輪32を備えた作業椅子3が設けられていること、車体10の前記載置部11の上に、作物Wの栽培管理に必要な機具類や容器類が載置されること、をそれぞれ特徴とする。
【0006】請求項2に記載した発明に係る多条型軌道式台車は、請求項1に記載した車体10の略中間部に位置する接地車輪14は、車体に搭載したモーター駆動機構によって駆動制御される構成であることを特徴とする。請求項3に記載した発明に係る多条型軌道式台車は、請求項2に記載した車体10の載置部11にホッパー8が載置され、該ホッパー8の底部には培地に合わせた配置で複数の落下孔83が形成されており、前記ホッパー8の全長にわたり複数の攪拌羽が設置され、該攪拌羽をモーター81により回転する攪拌機82が設けられていることをそれぞれ特徴とする。
【0007】
【発明の実施形態及び実施例】次に、図示した本発明の実施形態及び実施例を説明する。図1〜図4は、請求項1に記載した発明の実施形態を示している。この多条型軌道式台車1は、イチゴ等を栽培する複数の畝22、22(図1の実施例では6畝)を直角方向に跨ぐ門形の車体10をもち、この車体10の両端部の脚部12に、畝間の通路2に畝22と略平行に敷設されたレール21、21の上を走行する軌道車輪13を備えている。つまり、レール21は6畝に2本の割合で済まされ、大幅に省略(節減)されている。その分、レールを敷設しない畝間の通路は作業者にとってすこぶる歩行(通行)しやすい。前記車体10は、両端部の脚部12及び軌道車輪13によって、畝22に植栽されたイチゴやレタス等の比較的背丈の低い作物Wの成長を阻害しない高さ(例えば地面から80cm位の高さ)に支持されている。車体10は横つなぎ材110と縦つなぎ材111とを継手により連結して格子構造に組み剛構造に構成されている。よって載置部11は苗の搬入、収穫物の搬出容器4、防除機具、施肥料等の載置が可能に構成されている。因に6畝を跨ぐ横つなぎ材110の長さは6m位、載置部11の幅は80cm位である。車体10及び脚部12を構成する骨材、即ち横つなぎ材110、縦つなぎ材111などの主要部は、所謂公知の樹脂被覆鋼管、実公平6−48016号又は特願平9−34898号明細書及び図面に記載したように樹脂被覆鋼管の被覆樹脂の一部で形成した2本のリブ、又は凹溝と凸を嵌め合せる形式で平行に組んだ2本のパイプによるダブルパイプ構造で補剛した構成とされる。
【0008】車体10はまた、その略中間部に相当する部位に、前記横つなぎ材110に連結された横桟112を利用して、畝間通路2の地面上を走行する比較的大径の接地車輪14を前後に備えている。次に、車体10の走行方向の前側又は後側へ寄り掛かる形態で一又は複数(必要数)の作業椅子3が着脱自在に設けられている。この作業椅子3のフレーム31は、図3に示したように車体10を構成する端側の横つなぎ材110を跨ぎ、中央側の横つなぎ材の下側へ潜り込ませ寄り掛ける形態で支持される構成となっている。作業椅子3は、座席33へ座った作業者5が、隣接する畝22のイチゴ等の定植、古葉かき、摘果、収穫等の栽培管理作業に適切な高さに座席33が設置されている。座席33の下側には、通路2の地面上を走行する接地車輪32を設けている。作業椅子3は、車体10の横幅の範囲内における各通路2に1台ずつの割合で必要数だけ設置可能に構成されている。前記作業椅子3の設置手段としては、単に車体10の最も外位置の横つなぎ材110にのみ継手により着脱自在に設置することも実施される。
【0009】この多条型軌道式台車1は、栽培管理作業をするべき畝22の通路2に配置された作業椅子3に作業者が後向きに座り、作物Wの定植、古葉かき、摘果、収穫等の栽培管理作業をしながら、必要に応じて作業者自身が地面を足で蹴り、後ずさり(又は前進することも可)する方式によって多条型レール台車1を作業椅子3と共に押す(又は引っ張る)形態で走行移動させ、作業を順次進めてゆく。
【0010】別の畝22の栽培管理作業をする場合には、作業椅子3を持ち上げて車体10から外し、目指す畝22に沿った通路2へ移動させ、再び車体10へ設置して上記同様に前向きに座り栽培管理作業をしながら後ずさりして走行させるか、又は人数が居れば、その人数分だけ作業椅子3を用意して一括した作業を同時に進める。
【0011】この多条型軌道式台車1の車体10は、載置部11を備えているから、定植するための苗の搬入、古葉かきによる不要な葉、及び摘果した果実、収穫物等の搬出容器、防除作業用機具又は施肥料等を載置部11に載せて使用することができ、その種の農業や栽培管理用としても使用される。イチゴ等の作物Wは背丈が低く、手入れ作業の大部分を占める古葉かき、収穫等の栽培管理作業は、従来、中腰や屈み込んだ姿勢になることが多く、長時間にわたる窮屈な姿勢を余儀なくされ、高齢者は勿論、若者にとってさえ重労働であることから後継者難の問題が生じているが、本発明の上記多条型軌道式台車1によれば、前記問題の解決に大きく寄与する。即ち、レール21上を走行するので軽く押すだけで容易に走行し、作業椅子3に座ったまま栽培管理作業を行うことができるので、高齢者でも楽な姿勢で且つ簡単な動作で能率良く作業を行うことができる。しかも設備コストも安価で済む。
【0012】従来、自動機械化により労力の軽減を達せられることは公知に属する。しかし、設備コストに見合うだけの広い栽培面積があって経済的に採算がとれる場合はともかくとして、小規模の農業では設備コストばかりがかさみ、自動機械化が採算上困難な経営者にとっては、上記請求項1記載の発明に係る多条型軌道式台車の採用が好適である。
【0013】次に、図5〜図7は、請求項2記載の発明の実施形態を示したものである。基本的には上記請求項1に記載した発明に係る多条型軌道式台車1の構成を共通に使用している。従って、共通する構成部品は同一符号で示した。車体10の上記載置部11の略中間部の裏側(図6参照)に、動力走行用のモーター6が搭載されている。このモーター6のスプロケット63は、前後二つの接地車輪14、14のスプロケット64とチェーン機構65で連結されている。モーター6のオン、オフスイッチ及び正転、逆転の切り替えスイッチ並びに速度調整ダイヤル等のスイッチパネル備えた制御ボックス61が載置部11上に設けられ、栽培管理作業の進捗状況に合わせた速度設定をして多条型軌道式台車1の走行が駆動制御される。
【0014】図示例の場合、モーター6には、多条型軌道式台車1の移動範囲に必要十分な長さのコード62が接続され、図示を省略した電源部からの商用電源により電力が供給される。但し、必要量の蓄電池を搭載する方式で実施することもできる。また、防除作業のために、6畝を一度に防除作業の薬液を散布可能な長さの噴霧ノズル7が車体10の長手方向に取り付けられている。そして、畝22から離れた位置に用意した防除液タンク71のポンプ74から出発した長いホース73が、多条型軌道式台車1の走行速度及び移動範囲に対応できるように、台車10の載置部11に搭載したホース巻き取り機72を介して前記噴霧ノズル7と接続されている(図5)。更に、噴霧した薬液の飛散を防止するカバーシート16を台車10から地面近傍又は作物の直上部位にまで垂らし(図6参照)、前記カバーシート16で覆われた中で防除液の散布を行う構成とされている。
【0015】なお、上記のホース巻き取り機72は、台車の移動による作物Wへの弊害がもたらされない方式のホース73の配置を確保できるときは、台車10に搭載することなく、防除液タンク71と一体的構成に配置して実施することもできる。本実施例の場合、車体10は、防除用薬液によって腐食されないように、薄肉鋼管の外周面に耐候性の良いAAS樹脂等を薄く均一に被覆して接着した、外径がφ28〜φ32位の樹脂被覆鋼管を分解可能な継手により軽量構造に組み立てられている。
【0016】車体10の前後にリミットスイッチを設置し、レール21の両端部に前記リミットスイッチを作動させる位置決めを設置することにより、多条型軌道式台車1の走行移動を自動運転の形態で実施することもできる。栽培床が、その内部の加温、灌水におけるイチゴ等への土壌の飛散による「たんそ病」等の二次感染の緩和、薬剤散布における薬液のイチゴの葉裏面への付着を促し、病害虫の防除に効果のあるカバーシート(ビニールシート等)で通路まで覆われている場合は、灌水、防除等により通路が軟弱になることもなく、軽量、細幅の接地車輪14であっても円滑確実な動力走行が得られる。
【0017】なお、上記した請求項2に記載した発明に係る多条型軌道式台車1が使用される場合に、前記請求項1と略同様のいわゆる路地栽培における背丈の低い作物用の多条型軌道式台車は、その載置部11を横幅600cm、縦幅(奥行き)80cm、高さ80cm、脚部120cm程度の大きさ、規模に構成される。車体10の上面枠の主要部は、前記の樹脂被覆鋼管の被覆樹脂を軸線に沿って凸状に1本、及び2本形成した二種類の被覆鋼管の凹凸条を嵌め合わせ接着固定したダブルパイプの補剛した形態でも実施される。
【0018】次に、図8は請求項3に記載した発明の実施形態を示したものである。本実施例も、基本的には上記請求項1に記載した発明及び請求項2に記載した発明に係る多条型軌道式台車1の構成を共通に使用する。よって、共通する構成部品には同一符号を付けて示した。本実施例の場合も、請求項2に記載した発明の実施形態と同様に、車体10の載置部11の略中間部の裏側に動力走行用モーター6を搭載し、通路2上を走行する接地車輪14とモーター6とはチェーン機構65によって連結され、制御ボックス61により台車1の走行移動の駆動制御が行われる。
【0019】載置部11にはまた、その全長及び全幅に及ぶ大きさのホッパー8が載置されている。該ホッパー8の底部には、培地(栽培槽91の列配置)に合わせた配置で複数の落下孔83が形成されている。また、前記ホッパー8の全長にわたり、攪拌羽根軸が設置され、これをモーター81により回転する攪拌機82が設置されている。本実施例は、作業者が立ったままの姿勢で作業可能な高さの架台9に載置された複数の栽培槽91のうち台車10が跨ぐ各栽培槽91へ培土を充填する手段としての自動化機械である。
【0020】ホッパー8には土壌改良された培土を投入し、台車1は栽培槽91上を長手方向へ走行させ、モーター81により攪拌機82を駆動することにより、培土は落下孔83から各栽培槽91へ落下、投入(充填)される。なお、攪拌機82の代わりにバイブレータにより培土を落下させる手段を実施してもよい。この実施形態においても、ホッパー8を取り外すと、載置部11は、収穫した作物などの搬入、搬出、あるいは防除作業などの用途に使用が可能である。また、通路2に適応する高さの作業椅子3を配置することにより、座ったままの姿勢による農作業も可能となる。この場合、モーター駆動のチェーン機構65を外し、足げりにより移動する方式を好適に実施できる。
【0021】本実施形態の多条型軌道式台車は、上記請求項1及び2記載の実施例(図1〜図4及び図5〜図7)に比べて載置部11の高さを120cm、脚部12の大きさを150cm位の規模とするが、他の大きさは変わらない。なお、本実施例では、車体10の中間部に接地車輪14を前後に備えたが、これに限られたものではなく、前後の中間に1個としてもよく、又車体幅を3等分する内側2箇所に前述の配置で備えてもよい。
【0022】
【本発明が奏する効果】本発明に係る多条型軌道式台車によれば、畝間に敷設するべきレールの必要本数(長さ)が大幅に削減されるので、従来のように全ての畝間に敷設した実施形態に比べて、設備コストを大幅に低減することができる。また、畝間に敷設するレールが削減される結果、作業者の通行がレールによって妨げられる不都合が解消し、栽培管理作業の効率を向上させることができる。
【0023】多条型軌道式台車は、運搬車として苗の搬入、古葉、摘果、収穫物の搬出に好適であり、防除作業の無人化も容易に可能であることから、健康を害する心配も無く、また、作業椅子での定植、古葉かき、摘果、収穫等の栽培管理作業を楽に行うことができるし、別の畝への作業椅子の移動も容易である。しかも多条型軌道式台車の移動は小さな力で可能であるので、栽培管理作業の労力が大幅に軽減され、高齢者によるイチゴ等の栽培管理作業への従事が好適な労働条件として確保される効果が奏される。
【出願人】 【識別番号】591038026
【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
【識別番号】000245830
【氏名又は名称】矢崎化工株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
【公開番号】 特開平11−9011
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−166271