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【発明の名称】 トラクタの昇降制御装置
【発明者】 【氏名】中村 正

【氏名】北川 隆二

【氏名】加川 敏昭

【氏名】吉井 伸幸

【要約】 【課題】機械式にポジション制御を行う昇降制御装置において、ロータリ耕耘装置の圃場への急激な突入による不具合を未然に回避しながら、設定耕深への下降を迅速に行えるようにする。

【解決手段】ポジション設定アーム16とフィードバックアーム17とを制御バルブに機械的に連係してポジション制御を行うよう構成し、ポジション設定アーム16の作動域の中間位置から上昇側作動域ではポジション設定アーム16がポジション制御レバー21に追従し、作動域の中間位置から下降側作動域においては、ポジション設定アーム16がフィードバックアーム17に連係して下降方向に作動するように構成し、ポジション設定アーム16がフィードバックアーム17に連係して作動する作動形態においては、リフトアーム下降作動時に伴うリフトシリンダ5からの排油が油路絞り込み状態で実行されるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人為操作されるポジション制御レバーによって上昇側に片当たり操作されるポジション設定アームと、リフトアームの昇降に連動して作動するフィードバックアームとを制御バルブに機械的に連係してポジション制御を行うよう構成し、前記ポジション設定アームの作動域の中間位置から上昇側の作動域と、前記中間位置から下降側の作動域とでポジション設定アームの作動形態が異なったものに切り換えられるよう構成してあることを特徴とするトラクタの昇降制御装置。
【請求項2】 前記ポジション設定アームの作動域の中間位置から上昇側作動域では前記ポジション設定アームがポジション制御レバーに追従して作動し、前記作動域の中間位置から下降側作動域においては、ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動するように構成し、かつ、ポジション設定レバーがフィードバックアームに連係して作動する作動形態においては、リフトアーム下降作動時に伴うリフトシリンダからの排油が油路絞り込み状態で実行されるようにしてあることを特徴とする請求項1記載のトラクタの昇降制御装置。
【請求項3】 前記ポジション設定アームの作動形態が切り換えられる前記中間位置を前記ポジション設定アーム作動方向において調整可能に構成してあることを特徴とする請求項1または2記載のトラクタの昇降制御装置。
【請求項4】 前記ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動開始する時期を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項2または3記載のトラクタの昇降制御装置。
【請求項5】 前記ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動開始した時点における制御バルブの排油路の開度を最小として、以降の下降を略一定の開度、あるいは、前記最小開度より若干開度を大きくするよう設定してあることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のトラクタの昇降制御装置。
【請求項6】 前記リフトアームに連結したロータリ耕耘装置の後部カバーとポジション設定アームとをセンサワイヤで連係するとともに、前記センサワイヤの基準位置を自動耕深設定レバーで調整保持可能に構成してあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のトラクタの昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械式なポジション制御によってリフトアームを油圧駆動昇降させるよう構成したトラクタの昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】機械式なポジション制御は、周知のように、ポジション制御レバーを人為操作してリフトアーム高さを設定し、リフトシリンダの制御バルブが作動してリフトアームが設定された高さに到達すると制御バルブが中立に復帰されるよう、リフトアームの昇降作動が制御バルブにフィードバックされるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記機械式のポジション制御においては、圃場面から大きく上昇させたロータリ耕耘装置を下降作動させる際、ロータリ耕耘装置は目標深さに到達するまで一定の速度で下降することになり、圃場が固い場合や粘土質の場合などにおいては、回転駆動されているロータリ耕耘装置が急激に圃場に突入することで機体を前方に押す推力が発生して、機体が不意に前方に押し動かされたり、急激な耕耘負荷の増大によってエンジンが停止してしまうおそれがあった。もちろん、下降速度を遅く設定しておけば上記現象は回避できるが、浮上したロータリ耕耘装置を目標深さにまで下降させるのに時間がかかって、作業性が低下するものであった。
【0004】本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、機械式のポジション制御における下降制御に改良を加えることで、上記のような不具合を解消しようとしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕 請求項1に係る発明は、人為操作されるポジション制御レバーによって上昇側に片当たり操作されるポジション設定アームと、リフトアームの昇降に連動して作動するフィードバックアームとを制御バルブに機械的に連係してポジション制御を行うよう構成し、前記ポジション設定アームの作動域の中間位置から上昇側の作動域と、前記中間位置から下降側の作動域とでポジション設定アームの作動形態が異なったものに切り換えられるよう構成してあることを特徴とする。
【0006】〔作用〕 上記構成によると、例えば、ポジション設定アームが前記中間位置より上昇側の作動域にある時には、ポジション設定アームが自由に作動できるようにするとともに、ポジション設定アームが前記中間位置より下降側の作動域にある時には、その作動に制限を加えて緩慢に作動させるように設定することができる。このような設定によれば、例えばポジション制御レバーを最上昇位置から大きく下降側に操作した場合に、ポジション設定アームが前記中間位置に到達するまでは、ポジション設定アームはポジション制御レバーに追従して速やかに下降側に作動するので、ポジション制御によるリフトアームの下降作動は速やかに行われる。また、ポジション設定アームが前記中間位置に到達した後の作動においてはポジション設定アームの作動に制限が加えられて緩慢に下降側に作動することで、ポジション制御によるリフトアームの下降作動は低速で行われる。ここで、ポジション設定アームの作動域の前記中間位置を、リフトアームに連結されたロータリ耕耘装置が圃場面に突入開始する高さ、あるいはその近傍となるリフトアーム高さに相当する位置に設定することで、圃場面上方に浮上させたロータリ耕耘装置を下降させる際に、ロータリ耕耘装置が圃場面に突入開始するまでは速やかに下降させ、それ以降は所定の耕深にまで緩慢に下降させることができる。
【0007】〔効果〕 従って、請求項1に係る発明によると、ポジション制御におけるポジション設定アームの作動域に応じて、その作動形態が異なるように構成することで、圃場面より上方での下降作動を速やかにし、圃場面に突入してからの下降作動を緩慢にする、ことが可能となり、ロータリ耕耘装置で発生した推力によって機体が不意に前方に押し動かされたり、急激な耕耘負荷の増大によってエンジンが停止してしまうような不具合を未然に回避することが可能となる。
【0008】〔構成〕 請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ポジション設定アームの作動域の中間位置から上昇側作動域では前記ポジション設定アームがポジション制御レバーに追従して作動し、前記作動域の中間位置から下降側作動域においては、ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動するように構成し、かつ、ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動する作動形態においては、リフトアーム下降作動時に伴うリフトシリンダからの排油が油路絞り込み状態で実行されるようにしてあることを特徴とする。
【0009】〔作用〕 上記構成によると、例えばポジション制御レバーを最上昇位置から大きく下降側に操作した場合に、ポジション設定アームが前記中間位置に到達するまでは、ポジション設定アームはポジション制御レバーに追従して速やかに下降側に作動するので、ポジション制御によるリフトアームの下降作動は速やかに行われる。ポジション設定アームが前記中間位置より下降側の作動域で下降方向に作動してリフトアームが下降制御される時、リフトアームの下降に伴ってフィードバックアームが制御バルブを中立位置側に戻そうとするのに対して、ポジション設定アームは制御バルブを下降位置側に操作しようとして、制御バルブは排油用の油路が絞り込まれた状態に維持され、リフトアームの下降速度は緩慢となる。
【0010】〔効果〕 請求項2に係る発明によると、ポジション設定アームが前記中間位置より下降側の作動域で下降方向に作動する場合の下降速度制限を、フィードバックアームの作動を利用して簡単に実現することができた。
【0011】〔構成〕 請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記ポジション設定アームの作動形態が切り換えられる前記中間位置を前記ポジション設定アームの作動方向において調整可能に構成してあることを特徴とする。
【0012】〔作用〕 上記構成のポジション制御においては、ポジション設定アームの作動位置がリフトアームの目標高さであるので、このポジション設定アームの作動域の中間位置を調整することで、下降制御における緩速下降の開始点の高さを調整することができる。例えば、トラクタ本機の車輪が径の大きいものに変更された場合や、ロータリ径の小さいロータリ耕耘装置が使用された時には、上限位置にあるロータリ耕耘装置を圃場面にまで下降させる際の下降量が大きくなるので、この場合にはポジション設定アームの作動形態が切り換えられる前記中間位置を下降側に調整変更する。逆に、車輪が径の小さいものに変更された場合や、ロータリ径の大きいロータリ耕耘装置が使用された時には、上限位置にあるロータリ耕耘装置を圃場面にまで下降させる際の下降量が小さくなるので、この場合にはポジション設定アームの作動形態が切り換えられる前記中間位置を上昇側に調整変更する。また、土質が柔らかい場合には、ロータリ耕耘装置が圃場に急速に突入しても機体を押し動かす推力が大きく発生せず、また、急激に耕耘負荷が増大することがないので、このような場合には、ポジション設定アームの作動形態が切り換えられる前記中間位置を下降側に調整変更して、できるだけ速やかに目標耕深まで下降制御するようにすることができる。
【0013】〔効果〕 従って、請求項3に係る発明によると、トラクタ本機の車輪径やロータリ径、あるいは土質に応じて任意の高さから緩速制御を開始させることが可能となり、できるだけ速やかで、かつ、不意の機体前進やエンジン停止などの不具合のない下降制御を実行することが可能となる。
【0014】〔構成〕 請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動開始する時期を調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】〔作用〕 上記構成によると、下降制御される際に、ポジション設定アームがその作動域の中間位置に到達した後、フィードバックアームに連係して作動開始される時期が遅くなるほどフィードバックアームが制御バルブを中立位置側に操作することになり、制御バルブにおける排油路が十分絞られる。つまり、リフトアーム下降速度が遅くなる。逆に、フィードバックアームに連係して作動開始される時期が早くなるほど制御バルブにおける排油路の絞りが弛められたものとなり、リフトアーム下降速度が幾分速い(バルブ全開時よりは遅い)ものとなる。例えば、圃場の土質が硬い場合には、制御バルブにおける排油路が十分絞られるようにポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動開始する時期を調整して、圃場への突入による機体の押し出し現象や、エンジン停止を回避し、また、圃場の土質が柔らかい場合には、圃場への突入による機体の押し出し現象や耕耘負荷の急増が発生しにくいので、制御バルブにおける排油路の絞りが少し弛い目となるようにポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動開始する時期を調整して、できるだけ速やかに下降作動させるようにする。また、ロータリ耕耘装置の重量が重くなるほど下降速度も大きくなるので、これに応じて制御バルブにおける排油路の絞り具合を調整しておくこともできる。
【0016】〔効果〕 従って、請求項4に係る発明によると、ロータリ耕耘装置の圃場への突入時に下降速度を土質などに応じて加減調整して、円滑かつ迅速に目標耕深に向けて下降制御することができる。
【0017】〔構成〕 請求項5に係る発明は、請求項2〜4のいずれか一項に係る発明において、前記ポジション設定アームがフィードバックアームに連係して作動開始した時点における制御バルブの排油路の開度を最小として、以降の下降を略一定の開度、あるいは、前記最小開度より若干開度を大きくするよう設定してあることを特徴とする。
【0018】〔作用〕 上記構成によると、ポジション設定アームがその作動域の中間位置に到達した以後の下降制御において、下降速度が所定の低速に安定されるか、あるいは、ポジション設定アームがその作動域の中間位置に到達した時点の速度より少し速い目となる。
【0019】〔効果〕 従って、請求項5に係る発明によると、ロータリ耕耘装置が圃場内に突入した後の下降が安定した速度で行われて、目標耕深まで円滑に下降制御される。あるいは、ロータリ耕耘装置が一旦圃場内に突入した後の下降は少し速い目で行われて、目標耕深まで円滑かつ速やかに下降制御される。
【0020】〔構成〕 請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に係る発明において、前記リフトアームに連結したロータリ耕耘装置の後部カバーとポジション設定アームとをセンサワイヤで連係するとともに、前記センサワイヤの基準位置を自動耕深設定レバーで調整保持可能に構成してあることを特徴とする。
【0021】〔作用〕 上記構成によると、自動耕深設定レバーを調整することでセンサワイヤの基準位置、換言するとポジション設定アームの基準位置が設定される。この設定状態からポジション設定アームがロータリ耕耘装置の後部カバーの変位に応じて調整されることで、ポジション制御の目標が変更されて、これに応じた昇降制御が実行されて、ロータリ耕耘装置の実際の耕深が安定維持される。具体的には、ロータリ耕耘装置の実耕深が設定耕深より深くなると後部カバーが持ち上げ変位され、これによってポジション設定アームが基準位置より上昇側に変位される。逆に、ロータリ耕耘装置の実耕深が設定耕深より浅くなると後部カバーが垂れ下がり変位し、これによってポジション設定アームが基準位置より下降側に変位されることになるのである。
【0022】〔効果〕 従って、請求項6に係る発明によると、自動耕深制御においても下降途中からの緩速下降を行わせて、ロータリ耕耘装置の圃場への急激な突入による不具合を回避することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、トラクタ本機1の後部に、油圧駆動される左右一対のリフトアーム2を介してロータリ耕耘装置3が昇降自在に連結されている。前記リフトアーム2は、トラクタ本機1の後部ミッションケース4の上部に内装した単動型のリフトシリンダ5によって上下揺動駆動されるものであり、このリフトシリンダ5の作動を司る制御バルブVの油圧制御回路が図7に、また、その操作構造が図2および図3に示されている。
【0024】制御バルブVには、主スプール6と、この主スプール6に連結した連係レバー7に片当たり連係されたポペット8が備えられており、図示のように、主スプール6が中立位置(N)にある時には、ポンプポートPからの圧油はアンロード弁9を通してタンクポートT1 に排出されるとともに、リフトシリンダ5からの圧油の流出がポペット8および逆止弁10によって阻止されて、リフトシリンダ5は任意に位置でその伸縮が停止される。また、この中立位置(N)より主スプール6を上昇位置(U)に押し込み変位させると、パイロット圧によってアンロード弁9が閉じられるとともに、連係レバー7に片当たり連係されているポペット8は閉じ位置に維持され、ポンプポートPからの圧油は逆止弁10を通ってリフトシリンダ5に供給され、リフトアーム2が上昇駆動される。また、中立位置(N)より主スプール6を下降位置(D)に引出し変位させると、ポンプポートPからの圧油はアンロード弁9を通してタンクポートT1 に排出されるとともに、連係レバー7を介して主スプール6と共に変位するポペット8が開かれ、リフトシリンダ5の油がポペット8を通して流出可能となり、リフトアーム2は自重下降する。
【0025】上記のように作動する制御バルブVはポジション制御されるものであり、前記主スプール6に連結された連係レバー7が、機械式ポジション制御機構に以下のように連係されている。つまり、前記連係レバー7の先端には天秤揺動可能にバルブ操作バー11が枢支連結され、このバルブ操作バー11の一端にポジション設定ピン12が係合されるとともに、バルブ操作バー11の他端にフィードバックピン13が係合され、ポジション設定ピン12を備えたポジション操作軸14、およびフィードバックピン13を備えたフィードバック軸15が、後部ミッションケース4の右側部に装備されている。また、ポジション設定軸14の外端、およびフィードバック軸15の外端にはそれぞれポジション設定アーム16およびフィードバックアーム17が連結されており、かつ、フィードバックアーム17は、リフトアーム2にフィードバックリンク18を介して連動連結されており、その作動は以下のようである。
【0026】制御バルブVが中立にある状態から前記ポジション設定アーム16を軸心aを中心に後方(図2では反時計方向)に揺動すると、ポジション設定ピン12が同じく後方に変位し、これによってバルブ操作バー11がフィードバックピン13との係合部を中心に後方に揺動し、バルブ操作バー11の中心連結点Xが後方に変位され、連係レバー7はバネ19に抗して後方に変位されて主スプール6が上昇位置(U)に操作され、リフトアーム2が上昇駆動される。リフトアーム2が上昇揺動するに連れてフィードバックリンク18が後方に変位され、フィードバックアーム17が軸心bを中心に後方に揺動されてフィードバックピン13が前方に変位し、バルブ操作バー11がポジション設定ピン12との係合部を中心に前方に揺動し、バルブ操作バー11の中心連結点Xが前方に変位されて主スプール6が引出し操作され、主スプール6が中立位置(N)に復帰したところでリフトアーム2の上昇が自動的に停止される。
【0027】また、制御バルブVが中立にある状態からポジション設定アーム16を前方(図2では時計方向)に揺動すると、ポジション設定ピン12が前方に変位し、これによってバルブ操作バー11がフィードバックピン13との係合部を中心に前方に揺動し、バルブ操作バー11の中心連結点Xが前方に変位されて主スプール6が下降位置(D)に操作され、リフトアーム2が下降作動する。リフトアーム2が下降揺動するに連れてフィードバックリンク18が前方に変位され、フィードバックアーム17が前方に揺動されてフィードバックピン13が後方に変位し、バルブ操作バー11がポジション設定ピン12との係合部を中心に後方に揺動し、バルブ操作バー11の中心連結点Xが後方に変位されて主スプール6が押し込み操作され、主スプール6が中立位置(N)に復帰したところでリフトアーム2の下降が自動的に停止される。
【0028】つまり、ポジション設定アーム16を操作して連係レバー7を変位させて制御バルブVを上昇側あるいは下降側に操作し、リフトアーム2を上昇あるいは下降させると、ポジション設定アーム16の操作位置に対応した所定の位置までリフトアーム2が移動することで連係レバー7が中立復帰されて、昇降が自動的に停止するのである。
【0029】上記ポジション制御機構自体は基本的には従来と特に変わるところなく、本発明では以下のような構成によって下降速度の制御がなされている。
【0030】図3に示すように、前記ポジション設定アーム16は外方に屈曲延出され、その延出部16aの中間屈曲部位16bに前方より接当可能にポジション制御レバー21が支点cを中心に前後揺動可能、かつ、任意の操作位置で摩擦保持可能に配備されるとともに、ポジション設定アーム16がバネ22によって前方、つまり下降操作方向に揺動付勢され、ポジション制御レバー21の前後揺動操作に追従してポジション設定アーム16が前後揺動されるようになっている。
【0031】また、ポジション設定アーム16の延出部16aの先端部位16cに前方より接当可能な下降牽制レバー23が、支点dを中心に前後揺動可能に後部ミッションケース4の側部にブラケット24を介して装備されている。この下降牽制レバー23は、バネ25によって後方に揺動付勢されるとともに、前記ブラケット24に取り付けたストッパーネジ26に受け止められて位置保持されている。また、下降牽制レバー23から後方向きに突設装備した接当ネジ27に前記フィードバックアーム17が後方から接当するよう構成されている。
【0032】上記構成によると、図2に示すように、リフトアーム2が大きく上昇された状態から、ポジション制御レバー21を下降牽制レバー23よりも前方(下降側)にまで操作すると、図4に示すように、これに追従してポジション設定アーム16は前方(下降側)に揺動して、上記したポジション制御作動に基づいてリフトアーム2が下降作動する。この際、ポジション設定アーム16は、その作動域の中間位置において、その延出部先端部位16cが下降牽制レバー23に接当する位置で保持される。
【0033】リフトアーム2が下降作動するとき、当初は制御バルブVのポペット8は全開となり、リフトアーム2は落下速度調整弁28で設定された最大の速度で下降し、リフトアーム2の下降作動に伴ってフィードバックアーム17が前方に揺動し、制御バルブVは漸次下降側に操作されてゆき、ついには、図5に示すように、フィードバックアーム17が下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当することになる。
【0034】フィードバックアーム17が接当ネジ27に接当した時点では、制御バルブVのポペット8(図8参照)は、その先端テーパー部8aが弁座29の開口に入り込んでタンクポートT2 への油路が絞り込まれた状態にあり、リフトアーム2の下降速度は十分遅いものとなっている。そして、リフトアーム2の更なる下降に伴うフィードバックアーム17の前方移動によって下降牽制レバー23がバネ25に抗して前方に接当変位され、この下降牽制レバー23に受け止め支持されて前方に付勢されているポジション設定アーム16も前方に追従変位する。この場合、ポジション設定アーム16が前方(下降側)に変位することで、制御バルブVのポペット8は便座29から離れてゆく方向に変位することになるが、フィードバックアーム17によるポペット閉じ方向への変位と相殺して、ポペット8の開度は大きくは変化することがない。
【0035】ここで、フィードバックアーム17によるバルブ操作変位(ポペット閉じ方向への変位)に対するポジション設定アーム16によるバルブ操作変位(ポペット開き方向への変位)が僅かに大きくなるようレバー比が設定されており、ポペット8の開度は、フィードバックアームが下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当した時点を最小として、以降は若干絞り込みが緩められた状態となる。つまり、フィードバックアーム17が下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当した時点での下降速度が最も低速となり、それ以降の下降速度は少し速くなる。
【0036】そして、下降牽制レバー23の前方への接当変位に追従してポジション設定アーム16が更に前方に移動して、図6に示すように、その延出部16aの中間屈曲部位16bがポジション制御レバー21に受け止め固定され、これによってポジション設定アーム16の制御バルブ下降操作は停止し、以後はフィードバックアーム17のみがその作動を続行し、ついにはフィードバック作動が完了して制御バルブVは中立復帰され、リフトアーム2はポジション制御レバー21の操作位置に対応した高さまで下降されて停止することになる。
【0037】ここで、フィードバックアーム17が下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当した時点でのロータリ耕耘装置3の高さが、圃場面に接触開始する高さか、これより若干高い位置となるように、下降牽制レバー23の待機位置をストッパーネジ26によって調節しておくことで、ロータリ耕耘装置3が急速に下降して圃場面に突入することを回避し、回転しているロータリ耕耘装置3による機体の前方押し出し現象や、急激な負荷の発生を未然に回避することが可能となる。また、フィードバックアーム17が下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当した時点での下降速度、つまりポペット8の絞り込み量は接当ネジ27の調整によって加減することができ、接当ネジ27の突出量を少なくしてフィードバックアーム17との接当タイミングを遅らせるほど、フィードバックアーム17が接当ネジ27に接当した時点でのポペット8の開度が小さくなって下降速度が遅くなるものであり、圃場の土質などに応じてロータリ耕耘装置3の圃場突入時の下降速度を任意に調整しておくことができる。
【0038】なお、リフトアーム2が下降する最大速度を設定する前記落下速度調整弁28は、図9に示すように、操作ノブ29によって回転操作されて進退される弁軸30の先端部にバネ31で閉じ付勢されたボール型の逆止弁32を装備して構成されており、弁軸30の先端周部30aと弁座33との間隙調整によって最大速度を設定することができるとともに、弁軸31の先端周部30aを弁座33に接当するよう締め切ることで、リフトアーム2を任意の高さに固定しておくことができるよう構成されている。
【0039】以上は、ポジション制御レバー21を用いて耕深を設定する最の下降速度制御の基本作動であるが、自動耕深制御と組み合わせた場合でも同様の下降速度制御を行うことができ、その実施の形態が図10に示されている。すなわち、自動耕深制御においては、ロータリ耕耘装置3に備えた後部カバー41が耕深検出センサに利用され、この後部カバー41の上下揺動を検出するセンサワイヤ42におけるインナワイヤ42aの前端が前記ポジション設定アーム16に連結されるとともに、センサワイヤ42におけるアウタワイヤ42bの前端がワイヤ支持アーム43に支持される。また、このワイヤ支持アーム43とリンク44で連係された自動耕深設定レバー45が、前記ポジション制御レバー21と同心に揺動自在かつ任意の操作位置で摩擦保持可能に配備されている。
【0040】ここで、前記自動耕深設定レバー45は、前方に操作するほどアウタワイヤ42bの前端を前方に位置させて、ポジション設定アーム16の基準位置を前方、つまり耕深を深くくする方向に設定することになる。
【0041】なお、インナワイヤ42aの前端金具42cは、図11に示すように、ポジション設定アーム16の上端部に上下揺動可能、かつ、前記バネ22によって下方に付勢された連結ピン46に側方から挿通連結されており、連結ピン46をバネ22に抗して振り上げることで、インナワイヤ42aの前端金具42cを容易に連結ピン46から挿抜できるようになっている。
【0042】上記構成によると、図10に示すように、ポジション制御レバー21を最上昇位置(最後方)に操作することで、ポジション制御レバー21に受け止め支持されたポジション設定アーム16を上昇側に接当操作し、リフトアーム2を最上昇位置まで上げることができ、ポジション制御レバー21を自動耕深設定レバー45を越えて大きく前方に操作することで、自動耕深設定レバー45で設定した耕深での自動耕深制御を行うことができる。
【0043】つまり、ポジション制御レバー21を大きく後方に操作してロータリ耕耘装置3を圃場面から大きく浮上させた状態(図10参照)からポジション制御レバー21を自動耕深設定レバー45を越えた位置Aまで操作すると、後部カバー41の垂れ下がりによってセンサワイヤ42のインナワイヤ45aが緩められているので、ポジション設定アーム16は、その延出部先端部位16cが下降牽制レバー23に接当するまでバネ22で揺動され、下降制御状態となる。
【0044】リフトアーム2が下降してロータリ耕耘装置3が圃場面に接近すると、前述のように、フィードバックアーム17が下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当し、以降は低速による下降が行われる。ロータリ耕耘装置3が圃場に突入するにつれて後部カバー41が押し上げ揺動され、センサワイヤ42のインナワイヤ42aがしだいに引張され、ポジション設定アーム16が後方に操作されてゆく。そして、ロータリ耕耘装置3が設定の耕深まで突入すると、ポジション設定アーム16とフィードバックアーム17とが制御バルブVを中立にする相対位置にバランスして下降作動が停止する。
【0045】以後、ロータリ耕耘装置3の実耕深が設定耕深より深くなると、後部カバー41が押し上げ揺動されてポジション設定アーム16が後方側に変位され、ポジション制御における目標リフトアーム位置が高い側に変更されて上昇制御がなされ、また、ロータリ耕耘装置3の実耕深が設定耕深より浅くなると後部カバー41が下降揺動して、ポジション設定アーム16がバネ22によって前方側に変位され、ポジション制御における目標リフトアーム位置が低い側に変更されて下降制御がなされる。
【0046】〔他の実施形態〕フィードバックアーム17が接当ネジ27に接当した時点から下降牽制レバー23をバネ25に抗して前方に接当変位させる場合、ポジション設定アーム16によるバルブ操作変位(ポペット開き方向への変位)とフィードバックアーム17によるバルブ操作変位(ポペット閉じ方向への変位)とが同等になるようレバー比を設定しておくと、ポペット8の開度は、フィードバックアーム17が下降牽制レバー23の接当ネジ27に接当した時点以降は同等の開度となり、フィードバックアーム17が接当ネジ27に接当した時点以降は、ポジション設定アーム16の前方への変位が停止するまでの間、同じ速度で下降作動することになる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)6月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開平11−4603
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−158955