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【発明の名称】 音声および映像インカムシステム
【発明者】 【氏名】庵谷 文博
【課題】液晶モニターを付加することにより、当該インカムの装着者が居る場所以外の現場の状況をも的確にウォッチングできるようにした音声および映像コンビネーションタイプのインカムシステムを提供することを目的とする。

【解決手段】音声信号受信再生用のヘッドホンおよび音声信号発信用のマイクロホンに加え、さらに映像信号受信再生用の液晶モニターを一体にヘッドセット化することによって、音声とともに所望の場所に設置された他の撮像カメラからの映像信号をも入力再生してモニターし得るようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 音声信号受信再生用のヘッドホンおよび音声信号発信用のマイクロホンに加え、映像信号受信再生用の液晶モニターを一体にヘッドセット化し、音声とともに所望の場所に設置された他の撮像カメラからの映像信号を入力再生してモニターし得るようにしたことを特徴とする音声および映像インカムシステム。
【請求項2】 音声信号受信再生用のヘッドホンおよび音声信号発信用のマイクロホンに加え、映像信号受信再生用の液晶モニターと撮像用のCCDカメラとを一体にヘッドセット化し、音声とともに所望の場所に設置された他の撮像カメラからの映像信号を入力再生してモニターする一方、当該インカムからの映像信号を他の映像モニターに送信し得るようにしたことを特徴とする音声および映像インカムシステム。
【請求項3】 液晶モニターは、相互に変更可能なシースルーモードとスクリーンモードとの少くとも2つのディスプレイモードを具備してなることを特徴とする請求項1又は2記載の音声および映像インカムシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、音声および映像の2つの情報によりコミュニケーション可能にしたインカムシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばライブコンサート会場やショー舞台などの現場におけるディレクターからスタッフへの演出指示やスタッフ相互間、あるいはコントロールルーム側スタッフとのコミュニケーションには、従来からヘッドホンおよびマイクロホンを一体にヘッドセット化したインカムシステムが使用されている。
【0003】この従来のインカムシステムでは、ディレクター又はスタッフの各々が、それぞれの隠れた持場にいて、そこから見える会場や舞台の状況をもとに音声によって種々の必要な指示を出したり、また受けたりしながら、相互にコミュニケーションを取りながら運営進行に当っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような従来のインカムシステムの場合、会場や舞台の状況を各々自分の居る場所からしか見ることができず、他の部分の状況を見ることができない。そのために必ずしも全体の状況を的確に把握することができない問題がある。その結果、状況確認のために必然的にスタッフ相互間のコミュニケーション回数が多くなり、またスタッフ数も多勢必要となる。
【0005】さらに、最近では、このようなインカムシステムが、例えば地震や洪水、火山の噴火による火砕流等の災害発生時の対策現場でも使用されるようになってきているが、このような場合にも自分の居る現場以外の状況を見ることができないために、全体の状況を的確に把握することができず、機動性に欠ける問題がある。
【0006】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、上記音声インカムシステムに液晶モニターを付加することにより、当該インカムの装着者が居る場所以外の現場の状況をも的確にウォッチングできるようにして、上記従来の問題を解決した音声および映像コンビネーションタイプのインカムシステムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願請求項1〜3の各発明は、上記の目的を達成するために、各々次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0008】すなわち、先ず本願請求項1の発明の音声および映像インカムシステムは、音声信号受信再生用のヘッドホンおよび音声信号発信用のマイクロホンに加え、さらに映像信号受信再生用の液晶モニターを一体にヘッドセット化することによって、音声とともに所望の場所に設置された他の撮像カメラからの映像信号をも入力再生してモニターし得るように構成されている。
【0009】したがって、現場の状況に応じ、撮像カメラを単数台又は複数台ウォッチングが必要な所望の場所に設置して置けば、必要に応じ、それらの内の任意のものからの映像を自由に選択してモニターすることが可能となる。
【0010】その結果、自分の居る場所以外の他の現場の状況をも現在の位置を移動することなく、的確に把握することができるようになる。
【0011】次に、本願請求項2の発明の音声および映像インカムシステムは、音声信号受信再生用のヘッドホンおよび音声信号発信用のマイクロホンに加え、さらに映像信号受信再生用の液晶モニターと撮像用のCCDカメラとを一体にヘッドセット化することによって、音声とともに所望の場所に設置された他の撮像カメラ又はインカム相互の撮像カメラからの映像信号を任意に入力再生してモニターする一方、当該インカムからの映像信号を他の映像モニターに送信し得るように構成されている。
【0012】したがって、所望の場所に設置した他の撮像カメラ又は各インカムの内の任意のものからの映像を自由に選択してモニターし、また当該インカムからの映像を他の映像モニター又は他の任意のインカムの液晶モニターに送ることが可能となる。
【0013】その結果、自分の居る場所以外の他の現場の状況をも現在の位置を移動することなく的確に把握することができ、また自分の居る場所の状況を映像で他の現場に的確に伝えることができるようになる。
【0014】さらに、本願の請求項3の発明の音声および映像インカムシステムは、上記請求項1又は2記載の発明の音声および映像インカムシステムの構成において、各々その液晶モニターを、少くともシースルーモードとスクリーンモードとの相互に変更可能な2つのディスプレイモードを具備したものによって構成している。
【0015】したがって、例えば所定のシースルー度可変手段によって、ディスプレイ部のシースルー度を高くしてシースルーモードを選択すると、当該ディスプレイ部の透明度が高くなり、他の撮像カメラから送られてくるハーフ状態の映像を見ながら自からが居る場所の外部の状況をも見ることができ、またシースルー度を低くしてスクリーンモードに変更すると、同ディスプレイ部の透明度が低くなって上記他の撮像カメラからの映像のみを見ることができる。もちろん、上記シースルーモードにした状態において、さらに上記ディスプレイ部の透明度を高くすると、上記ディスプレイ部を殆んど透明な完全なシースルー状態にすることもでき、通常の活動を行うことも可能となる。
【0016】
【発明の効果】以上の結果、上記本願各発明の音声および映像インカムシステムによると、次のような有益な効果を得ることができる。
【0017】(1) 当該インカム装着者の居る場所以外の所望の場所の状況をも、自らが移動することなく任意に確認することができるようになるので、ショーや舞台運営時の現場各部の状況、災害現場の全体の状況などを的確に把握することが可能となる。その結果、インカムシステムの機動性も向上する。
【0018】(2) 同様の現場におけるスタッフ相互間のコミュニケーション回数を減らすことができるとともに、スタッフ人数の低減も可能となる。
【0019】(3) インカムの用途が拡大され、製品としての汎用性が高くなる。例えばSP等要人警護用の装置としても最適なものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、本願発明の実施の形態に係る例えばスタジオ用に構成した音声および映像コンビネーション型インカムシステムの構成を示している。
【0021】図中、先ず符号1,1・・(図示では説明の便宜上3組しか示さないが、実際にはもう少し多くなる)は各々音声および映像の2つの情報によるコミュニケーション機能を備えた複数のインカム装置、10,10・・・は上記複数のインカム装置1,1・・・の各々に対応して設けられ、それら各々の作動状態を操作するための各種の操作コントロールスイッチやコントロールボリューム10a,10b,10c,10d,10e・・・を有する腰ベルト7を有する携帯型のスイッチボックス、20は後に述べるスタジオ(現場)側のマイクロホン、撮像カメラ等の各種設置機器(固定側)30からの入力信号および他のインカム装置1,1・・・相互との送受信信号をミキシングコントロールするシステムコントロール機能をもったマトリクス装置である。
【0022】上記複数のインカム装置1,1・・・は、それぞれ図示のように音声信号受信再生用のヘッドホン2と、音声信号発信用のマイクロホン3と、映像信号受信再生用のカラー液晶モニター(LCDモニター)4と、例えば超小型のCCDカメラよりなる撮像カメラ5とをそれぞれ図示のようにヘッドバンド1aに一体に組付けることにより、ヘッドセット化されている。
【0023】上記液晶モニター4は、一例として、例えば小型LCDとプリズム機構により構成されており、例えば図3に示すように、高密度画素数の液晶パネル41の再生画像をディフューザ部を介して先ず平板状のハーフミラー42にバックライト43で投影することによって前方に反射させ、それを次に所定曲率の凹面型のハーフミラー44で拡大し、開閉度調節可能な液晶シャッター45を介して最終的に仮想焦点46部分に所定の大きさのバーチャル画像として映し出すように構成されている。
【0024】そして、該液晶モニター4は、上記液晶シャッター45の開閉度を上記スイッチボックス10のシースルー度可変ボリューム10bで調節することによって、上記ディスプレイ画像の透明度を変えることができるようになっており、例えば同液晶シャッター45の開度を高くしてディスプレイ画像の透明度を高くすると、シースルーモードとなり、ディスプレイ画像を通して外の様子を明るく見ることができ、また外の景色とのオーバラップ状態で再生された映像も見ることができる。
【0025】他方、逆に上記液晶シャッター45の閉度を高くしていって略完全な閉状態にすると、スクリーンモードとなり、外の景色をシャットアウトして再生された映像のみを見ることができる。
【0026】また、上記映像の再生を止めて、さらに液晶シャッター45の開度を高くして透明度を上げると、上記ディスプレイ画像を消失させて略完全なシースルー状態にすることができる。
【0027】このような構成の液晶モニター4本体は、図示のように、先端部6aが内側方向に略直角に曲げられた支持フレーム6を介して例えばスタッフの左側の目にのみ対応するような状態に取付けられ、その側部コーナ部分には装着時において内側に外部からの光が入らないようにカバー4aが設けられている。
【0028】また、上記撮像カメラ5は、上述のように超小型のCCDカメラよりなり、上記支持フレーム6の先端部6aの上部部分に前方に向けて取付けられている。そして、該撮像カメラ5は、当該複数のインカム装置1,1・・・それぞれの前方の景色(現場の状況)を適切に撮像して映像信号に変換し、同変換された映像信号を上記マイクロホン3,3・・からの音声信号とともに上記スイッチボックス10,10・・・を介して上記マトリクス装置20に入力する。
【0029】また、このマトリクス装置20には、例えば図2に詳細に示すように、上記各インカム装置1,1・・・を装着した各々のスタッフが自からの居る場所からは見ることができない所定の場所を見ることができるように当該場所に対向して予じめ設置されたCCDカメラよりなる第1〜第3の複数のスタジオ側撮像カメラ31,32,33やスタンド型第1のマイクロホン34、出演者が胸元につけているクリップ型第2のマイクロホン35などのスタジオ側設置機器30が接続用コード9cを介して接続されており、それらからの各映像信号および音声信号も併せて入力されるようになっている。
【0030】そして、これらの各々からの音声信号および映像信号は、上記各インカム装置1,1・・・側スイッチボックス10,10・・・の対応するソース選択操作スイッチ10e〜10iの操作によって任意に選択して入力し、当該各インカム装置1,1・・・のヘッドホン2,2・・・および液晶モニター4,4・・・によって任意にモニターすることができるようになっている。
【0031】また、同様にして当該インカム装置1,1・・・相互のマイクロホン2,2・・・および撮像カメラ5,5・・・からの音声信号および映像信号も上記スイッチボックス10の相手方選択操作スイッチ10j〜10lを操作することによって任意に選択してモニターすることができ、音声と映像でスタッフ相互のコミュニケーションを図ることができるようになっている。
【0032】なお、図中9aは上記スイッチボックス10のインカム装置1との接続用コード、9bは同スイッチボックス10のマトリクス装置20との接続用コードである。
【0033】以上のように、本願発明の音声および映像インカムシステムでは、そのインカム装置1,1・・・部分を、音声信号受信再生用のヘッドホン2,2・・・および音声信号発信用のマイクロホン3,3・・・に加え、さらに映像信号受信再生用の液晶モニター4,4・・・と撮像カメラ5,5・・・とを一体にヘッドセット化することによって、音声とともに当該インカム装置1,1・・・の装着者からは見ることができない所望の場所に設置された他の複数の撮像カメラ31〜33および複数のインカム装置1,1・・・相互の撮像カメラ5,5・・・からの映像信号を、自分の腰に携帯した上記スイッチボックス10のスイッチで任意に入力再生してモニターするようになす一方、当該自分のインカム装置1,1・・・の撮像カメラ5,5・・・からの映像信号を他のインカム装置1,1・・・の液晶モニター4,4・・・に任意に送信し得るように構成されている。
【0034】したがって、所望の複数場所に設置した他の撮像カメラ31,32,33および他のスタッフが装着している各インカム装置1,1・・・の内の任意のものからの映像を自由に選択してモニターし、また自己のものからの映像を任意の相手方に送ることが可能となる。
【0035】その結果、自分の居る場所以外の他の現場の状況をも現在の位置を移動することなく的確に把握することができ、また自分の居る場所の状況を映像で他の現場に的確に伝えることができるようになる。
【0036】さらに、また同構成においては、複数のインカム装置1,1・・・各々の液晶モニター4,4・・・を、上述のように液晶シャッター45を有していて、例えばシースルーモードとスクリーンモードとの相互に変更可能な少くとも2つのディスプレイモードでのモニターが可能な構成としている。
【0037】したがって、上記スイッチボックス10,10・・・のシースルー度可変ボリューム10bによって液晶シャッター45の開閉度を開度が高くなるように可変すると、そのディスプレイ画像部分の透明度が高くなり、他の撮像カメラ31,32,33、5,5・・・から送られてくるハーフ状態の映像を見ながら自からが居る場所の外部の状況をも見ることができ、また一方上記液晶シャッター45の閉度を高くすると、同ディスプレイ画像部分の透明度が低くなって外の景色をシャットアウトして上記他の撮像カメラ31,32,33、5,5・・・からの映像のみを見ることができるようになる。もちろん、上記シースルーモードにおいて、さらに上記ディスプレイ画像部分の透明度をより高くすると、殆んど透明な完全なシースルー状態にすることもでき、通常の活動を行うことも可能となる。
【0038】以上の結果、本願発明の音声および映像インカムシステムによると、次のような有益な効果を得ることができる。
【0039】(1) 当該インカム装着者の居る場所以外の所望の場所の状況をも、自らが移動することなく任意に確認することができるようになるので、ショーや舞台運営時の現場各部の状況、災害現場の全体の状況などを的確に把握することが可能となる。その結果、インカムシステムの機動性も向上する。
【0040】(2) 同様の現場におけるスタッフ相互間のコミュニケーション回数を減らすことができるとともに、スタッフ人数の低減も可能となる。
【0041】(3) インカムの用途が拡大され、製品としての汎用性が高くなる。例えばSP等要人警護等にとっても非常に好都合な製品となる。
【0042】(他の実施の形態)なお、以上の実施の形態では、各インカム装置1,1・・・のスイッチボックス10,10・・・とマトリクス装置20との信号の接続並びに各インカム装置1,1・・・相互間のマイクロホン3,3・・並びに撮像カメラ5,5・・・とヘッドホン2,2・・・並びに液晶モニター4,4・・・との信号の接続をそれぞれ入出力コードによりワイヤード方式で接続するように構成しているが、これらはそれらの各々にバッテリ電源、トランスミッタおよびレシーバを設けることにより相互にワイヤレス方式で接続し、直接信号の送受を行うようにしても良いことは言うまでもない。
【0043】また、以上の実施の形態では、シースルー度可変ボリューム10bによって液晶シャッター45の開閉度を変えるようにしてハーフ状態の映像を見ることができるようにしたが、これは例えばサングラスタイプのフィルターを前面側に開閉可能に取付けることによって、ハーフ状態なしの映像ON,OFF形式のものに変更することも可能である。
【出願人】 【識別番号】597037016
【氏名又は名称】庵谷 文博
【識別番号】597037027
【氏名又は名称】東海ハイテック 株式会社
【識別番号】597037038
【氏名又は名称】株式会社 マック
【出願日】 平成9年(1997)3月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
【公開番号】 特開平10−262162
【公開日】 平成10年(1998)9月29日
【出願番号】 特願平9−63478