| 【発明の名称】 |
輪郭形状測定データ補正方法及び輪郭形状測定機 |
| 【発明者】 |
【氏名】瀬高 雅文
|
| 【要約】 |
【課題】触針の移動方向(X方向)及びそれに直角な方向(Z方向)の変位量をリニアエンコーダで検出する輪郭形状測定機において、リニアエンコーダの狭範囲を容易に補正することができて、作業者による差が生じにくく、経年変化するおそれが極めて小さい方法及びそれを備えた輪郭形状測定機を提供する。
【解決手段】高平面度面を有する基準ゲージを測定し、リニアエンコーダの狭範囲に相当する分の測定データについて、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線からの測定データ個々の偏差を求め、その偏差を狭範囲補正値とする。測定データはZ方向とX方向の2つのリニアエンコーダから出力されるので、まず、基準ゲージを、X方向の出力が無視できる程度の小さな角度傾けた状態で測定し、その測定データからZ方向の補正値を算出する。次に、触針が基準ゲージを正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角度傾けた状態で測定し、その測定データをZ方向の補正値で補正した後、X方向の補正値を算出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】触針の移動方向の変位量を検出するXリニアエンコーダ及びその移動方向に直角な方向の前記触針の変位量を検出するZリニアエンコーダを有し、ワークの表面に前記触針を当接させながら前記触針をワークに対して相対的に移動させ、前記触針の移動方向及びそれに直角な方向の変位量を前記Xリニアエンコーダ及び前記Zリニアエンコーダで検出して、ワークの輪郭形状を測定する輪郭形状測定機において、高平面度面を有する基準ゲージのその高平面度面を、前記触針の移動方向に対して小さな角度傾けて測定し、得られた測定データのうち、前記Zリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、最小二乗直線を算出するとともに、その最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差を前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値とし、前記基準ゲージの高平面度面を、前記触針が基準ゲージを正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角度傾けて測定し、得られた測定データのうち、前記Xリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値で補正した後、最小二乗直線を算出するとともに、その最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差を前記Xリニアエンコーダの狭範囲補正値とすることを特徴とする輪郭形状測定データ補正方法。 【請求項2】前記Zリニアエンコーダ及びXリニアエンコーダが光電式で狭範囲出力が正弦波形であることを特徴とする請求項1に記載の輪郭形状測定データ補正方法。 【請求項3】前記小さな角度が2.5゜で、前記大きな角度が45゜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の輪郭形状測定データ補正方法。 【請求項4】触針の移動方向の変位量を検出するXリニアエンコーダ及びその移動方向に直角な方向の前記触針の変位量を検出するZリニアエンコーダを有し、ワークの表面に前記触針を当接させながら前記触針をワークに対して相対的に移動させ、前記触針の移動方向及びそれに直角な方向の変位量を前記Xリニアエンコーダ及び前記Zリニアエンコーダで検出する測定部と、高平面度面を有する基準ゲージと、前記基準ゲージの高平面度面を、前記測定部で前記触針の移動方向に対して小さな角度傾けて測定し得られた測定データのうち、前記Zリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差を前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値とするZ補正値算出部と、前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値を記憶するZ補正値記憶部と、前記基準ゲージの高平面度面を、前記測定部で前記触針が前記基準ゲージを正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角度傾けて測定し得られた測定データのうち、前記Xリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値で補正した後、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差を前記Xリニアエンコーダの狭範囲補正値とするX補正値算出部と、前記Xリニアエンコーダの狭範囲補正値を記憶するX補正値記憶部と、を備えたことを特徴とする輪郭形状測定機。 【請求項5】前記Zリニアエンコーダ及びXリニアエンコーダが光電式で狭範囲出力が正弦波形であることを特徴とする請求項4に記載の輪郭形状測定機。 【請求項6】前記小さな角度が2.5゜で、前記大きな角度が45゜であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の輪郭形状測定機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ワークの輪郭形状を求める輪郭形状測定機に係わり、特に、触針の移動方向及びそれに直角な方向の変位量をリニアエンコーダで検出する輪郭形状測定機の測定データの補正方法及びそれを備えた輪郭形状測定機に関するものである。 【従来の技術】 【0002】図7に一般的な輪郭形状測定機の測定部40を示す。図7に示すように、測定部40は、ベース41に立設されたコラム42に送り装置43が設けられ、触針49を有し触針49のZ方向(鉛直方向)の変位量を検出する検出器44が、送り装置43にX方向(水平方向)移動自在に設けられている。送り装置43には検出器44の移動量(Z方向との名称を統一するために、本明細書ではX方向についても「変位量」という)を検出するリニアエンコーダが内蔵されている。これによって、ワークWの測定位置に触針49を当接した状態で検出器44をX方向に移動させると、触針49のZ方向の変位量が検出器44で検出され、検出器44のX方向の変位量が送り装置43のスケールで検出されて、測定データ(触針49のX及びZ方向の変位データ)が得られる。そして、測定データからワークWの輪郭形状が演算され、その結果がCRTやX−Yレコーダーに出力される。 【0003】検出器44の検出方式としては差動トランス等が用いられるものもあるが、差動トランス等は測定誤差が検出範囲に比例するので、輪郭形状測定のように測定範囲が比較的広い場合は、X方向の変位量の検出と同様にリニアエンコーダが用いられることが多くなってきている。 【0004】ところで、リニアエンコーダとしては一般的に光電式が多く用いられる。光電式リニアエンコーダでは精密に目盛りが刻まれたスケールを基準とし、その目盛りを読取りヘッドで計数することによって変位量を検出するが、目盛りと目盛りとの間(狭範囲)の変位量についても微細に検出することができる。つまり、読取りヘッドにも精密に刻まれた目盛りが設けられており、狭範囲内で変位するとスケールの目盛りと読取りヘッドの目盛りとの相対位置が変化して、光量が正弦波的に変化するので、これを電気的に分割して微細な変位量を求める。例えば、狭範囲としては10〜20μm、これを50〜100に分割する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】この場合、広範囲はスケールの目盛り間の距離の精度がそのまま測定精度として現れるのでスケールの製作精度に依存するが、狭範囲は読取りヘッドとの位置関係(スケールと読取りヘッドの目盛り同士の相対的な傾きやスケールと読取りヘッドとの隙間等)によって影響される。すなわち、スケールと読取りヘッドとの位置関係が正しく調整されないと、正しい正弦波形が得られないので検出された値に誤差が発生する。通常、狭範囲の調整方法としては、出力が互いに位相が90゜ずれるように読取りヘッド内に設けられた2つの光電センサーの出力を、X−Yのグラフにプロットさせ、プロット図形(リサージュ波形)が真円になるように、スケールと読取りヘッドとの位置関係を調整する。図8で示したのは、真円Jに対してリサージュ波形Kが楕円になっている例であり、真円Jに対する差δが誤差を表している。 【0006】しかしながら、このような調整を行うためには多くの時間がかかり、調整精度には作業者による個人差が生じやすい。また、スケールと読取りヘッドとの位置関係は機械的に調整しいてるので一度正しく調整されてたとしても、温度変化や振動などで経年変化するおそれは免れられない。 【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、触針49の移動方向(X方向)及びそれに直角な方向(Z方向)の変位量をリニアエンコーダで検出する輪郭形状測定機において、リニアエンコーダの狭範囲を容易に補正することができて、作業者による差が生じにくく、経年変化するおそれが極めて小さい方法及びそれを備えた輪郭形状測定機を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために、高平面度面を有する基準ゲージを斜めにして測定し、得られた測定データのうちリニアエンコーダの狭範囲に相当する分の測定データについて、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差をリニアエンコーダの狭範囲補正値とするようにする。 【0009】この場合、測定データはZ方向とX方向の2つのリニアエンコーダから出力されるので、補正値の算出に当たってはZ方向とX方向とを分離して行う。つまり、まず、X方向の出力が無視できる程度小さくなるように、基準ゲージの高平面度面を水平面に対して小さな角度傾けた状態で測定し、その測定データからZ方向の補正値を算出する。次に、触針が基準ゲージを正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角度傾けた状態で測定し、その測定データをZ方向の補正値で補正した後、X方向の補正値を算出する。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明に係る輪郭形状測定機の実施の形態のブロック図を図3に示す。図3に示すように、測定部40は従来の技術(図7)で説明したように、ワークWの表面に触針49を当接させながら触針49をワークWに対して相対的に移動させ、触針49のZ方向及びX方向の変位量をリニアエンコーダで検出するものである。 【0011】Z補正値算出部31は、基準ゲージGの高平面度面Gaを水平面に対して小さな角度傾けて測定し得られた測定データのうち、検出器44に内蔵されたZリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差をZリニアエンコーダの狭範囲補正値δzとする。Z補正値記憶部32は、狭範囲補正値δzを記憶する。 【0012】同様に、X補正値算出部33は、基準ゲージGを大きな角度傾けて高平面度面Gaを測定し得られた測定データのうち、送り装置43に内蔵されたXリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、先に求めた狭範囲補正値δzで補正した後、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差をXリニアエンコーダの狭範囲補正値δxとする。X補正値記憶部34は、狭範囲補正値δxを記憶する。 【0013】以上が補正値の算出部分であり、前述した狭範囲補正値δz及びδxが設定記憶された後にワークを測定すると、Z測定データ補正部35は、検出器44から出力された触針49のZ方向の変位量を、Z補正値記憶部32から出力された狭範囲補正値δzを用いて補正する。また、X測定データ補正部36は、検出器44のX方向の変位量を、X補正値記憶部34から出力された狭範囲補正値δxを用いて補正する。そして、輪郭形状算出部37はZ測定データ補正部35及びX測定データ補正部36で補正された測定データによってワークの輪郭形状を算出する。 【0014】図1に示したフローチャートは、狭範囲補正値δz及び狭範囲補正値δxを算出する手順である。また、図3は狭範囲補正値δz算出のための基準ゲージ測定説明図、図4は狭範囲補正値δzの算出説明図、図5は狭範囲補正値δx算出のための基準ゲージ測定説明図、図6は狭範囲補正値δxの算出説明図である。 【0015】まず、平面度精度の高い面(高平面度面Ga)を有する基準ゲージGを、X方向の出力が無視できる程度の小さな角度(例えばθa=2.5゜)傾けて測定部40にセットし(ステップ11)高平面度面Gaを測定する(ステップ12)。そして、得られた全測定データ(図3でLa)の中からZリニアエンコーダの狭範囲Za(例えばZa=10μm)分の測定データが得られる補正区間Maを設定し(ステップ13)、補正区間Ma内の測定データについて最小二乗直線Baを算出し(ステップ14)、その最小二乗直線BaからのZ方向偏差を個々の測定データごとに求め、得られた偏差をZリニアエンコーダの狭範囲補正値δzとする(ステップ15)。そして狭範囲補正値δzを記憶する(ステップ16)。なお、θa=2.5゜、Za=10μmの場合、触針49の必要なX方向変位量(補正区間Maと同じ)は250μm程度になる。 【0016】次に、基準ゲージGを、触針49が基準ゲージGを正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角度(例えばθb=45゜)傾けて測定部40にセットし(ステップ17)高平面度面Gaを測定する(ステップ18)。そして、得られた全測定データ(図5でLb)の中からXリニアエンコーダの狭範囲Xa(例えばXa=10μm)分の測定データが得られる補正区間Mbを設定し(ステップ19)、補正区間Mb内の測定データについて狭範囲補正値δzで補正した後(ステップ20)、最小二乗直線Bbを算出し(ステップ21)、その最小二乗直線BbからのX方向偏差を個々の測定データごとに求め、得られた偏差をXリニアエンコーダの狭範囲補正値δxとする(ステップ22)。そして、狭範囲補正値δxを記憶する(ステップ23)。 【0017】なお、基準ゲージGは専用に製作してもよいが、オプチカルフラットやブロックゲージ等を用いてもよい。いずれも、高精度の平面度面が必要な長さは数mm程度あればよい。 【0018】また、リニアエンコーダの狭範囲検出方式としては、モアレ縞方式や光干渉方式等があるが、いずれの場合についても本発明は適用できる。 【0019】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、触針の移動方向及びそれに直角な方向の変位量をリニアエンコーダで検出する輪郭形状測定機において、高平面度面を有する基準ゲージを測定して得られた測定データから、リニアエンコーダの狭範囲補正値を算出し、ワーク測定時にはその補正値を用いて測定データを補正するようにした。したがって、スケールと読取りヘッドとの正確な位置関係を機械的に調整しなくてもよいので、リニアエンコーダの狭範囲を容易に補正することができ、調整精度に作業者による個人差が生じたり、一度正しく調整されてたものが経年変化するおそれもない輪郭形状測定機を提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000151494 【氏名又は名称】株式会社東京精密
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)3月28日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平10−274521 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)10月13日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−92826 |
|