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【発明の名称】 水上構築物のメンテナンス工法及び水上移動足場
【発明者】 【氏名】坂村 幸男
【氏名】中谷 浩美
【氏名】下村 勝清
【氏名】山根 竜夫
【課題】海上構築物の塗装、点検等のメンテナンスを、特別の吊り足場を組むことなく実施できるようにして、コストの低減と工期の短縮を可能とすること。

【解決手段】左右一対の舟型フロート1を双胴船状に連結したものの上に櫓を組み、この櫓の上部に作業者が乗る足場13を設けたものを、人力走行により水上構築物に接近させて、メンテナンス施工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】左右一対の舟型フロートを双胴船状に連結したものの上に櫓を組み、該櫓の上部に作業者が乗る足場を設けたものを、人力漕行により水上構築物に接近させてメンテナンス施工することを特徴とする水上構築物のメンテナンス工法。
【請求項2】左右に適宜間隔をもって双胴船状に平行配置した舟型フロートの長さ方向の中央付近より後方を、複数本の平行な横連結杆により連結し、該左右の舟型フロートの長さ方向の中央よりやや前方位置に、前後方向に少なくとも2本並立する柱を相対向して立設し、該左右の柱の上端寄りの位置を左右に連結した足場を形成するとともに、上端部を左右及び前後に連結した手摺りと、前記舟型フロートと前記足場との間に梯子を設け、さらに、前記複数の横連結杆を前後方向に連結する複数の縦連結杆上に、前記左右の舟型フロート間の中央部に位置する1人または2人用の漕座シートを設けて、該漕座シートの前方にクランクペダル付の推進器を取り付けたことを特徴とする水上移動足場。
【請求項3】前記左右の舟型フロートを、それぞれ小型のものを2隻づつ接近して並列したものとする請求項2記載の水上移動足場。
【請求項4】前記足場の左右端部の前側に一端を枢着して他端を前記手摺り部にチェーンで連結した起倒可能な補助足場を設けた請求項2又は3記載の水上移動足場。
【請求項5】前記漕座シート付近の下側に補助フロートを取り付けた請求項2または3または4記載の水上移動足場。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水上構築物の検査、塗装、補修等のメンテナンス工法及び水上移動足場に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水上構築物に対するメンテナンス工事は、水上構築物自体に吊り足場を仮設して行っていた。例えば石油備蓄基地のシーバンスに対しては、シーバンスの鉄骨梁等から足場用鋼管上に作業床を支持した足場をチェーンによって吊り下げて行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の吊り足場は、メンテナンス工事毎に施工し、工事完了時に解体撤去するものであり、この仮設工事のために多大の経費と時間が掛かってコスト高となり、納期が長期化する点が問題点とされていた。
【0004】また、この仮設の吊り足場は、一般の足場用鋼管を使用するため錆が発生しやすいことと、工事期間中に台風の発生、天候悪化や、地震による津波の襲来等があった場合、事前に解体撤去の余裕が無くて仮設足場の破壊並びにこの破壊による海上構築物の損傷を招く等のおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決するために、本発明は、水上を人力により漕行する水上移動足場を使って、水上を自由に移動しながら水上構築物のメンテナンス工事を行うこととしている。
【0006】そして、この水上移動足場は左右一対の舟型フロートを双胴船状に連結して人力により走行するようにしたものの上に櫓を組んで、この櫓の上に足場を形成したものであるから簡単安価に製作できるるとともに、使用中に台風等が来襲する場合等には前もって移動して避難することができ、工事が終われば水上移動足場を吊り上げて陸上の保管場所に格納するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、左右一対の舟型フロートを双胴船状に連結したものの上に櫓を組み、この櫓の上部に作業者が乗る足場を設けたものを、人力漕行により水上構築物に接近させてメンテナンス施工する、水上構築物のメンテナンス工法である。
【0008】また、左右に適宜間隔をもって双胴船状に平行配置した舟型フロートの長さ方向の中央付近より後方を、複数本の平行な横連結杆により連結し、この左右の舟型フロートの長さ方向の中央よりやや前方位置に、前後方向に少なくとも2本並立する柱を相対向して立設し、この左右の柱の上端寄りの位置を左右に連結した足場を形成するとともに、上端部を左右及び前後に連結した手摺りと、前記舟型フロートと前記足場との間に梯子を設け、さらに、前記複数の横連結杆を前後方向に連結する複数の縦連結杆上に、前記左右の舟型フロート間の中央部に位置する1人または2人用の漕座シートを設けて、この漕座シートの前方にクランクペダル付の推進器を取り付けた水上移動足場である。
【0009】また、前記左右の舟型フロートを、それぞれ小型のものを2隻づつ接近して並列したものとする場合もある。
【0010】また、前記足場の左右端部の前側に一端を枢着して他端を前記手摺り部にチェーンで連結した起倒可能な補助足場を設ける場合もある。
【0011】また、前記漕座シート付近の下側に、補助フロートを1個乃至複数個取り付ける場合もある。
【0012】
【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の一実施例の側面、図2は同じく平面、図3は同じく正面、図4は本発明装置をフロート部分と、櫓の上に構成した足場部分と、漕座シート部分に分解して、別々に斜視図で示したものである。
【0013】図において1は舟型フロートで、小型のものを2隻接近して並べて連結板2により連結したものを左右に所定間隔をもって双胴船状に並列配置している。この舟型フロート1は、大型のものを1隻づつ左右に平行配置してもよいが、本実施例では既成のFRPからなるボートを利用したために、艇長と浮力の関係から左右に2隻づつ合計4隻使用している。
【0014】この左右の舟型フロート1,1を横に連結してステンレス鋼鋼管により櫓が組まれる。この櫓は、左右の舟型フロート1,1の上面幅の中心に、前後方向の中央よりやや前方から後端方向に延びる縦管3,4を取付け、この縦管3,4を、前後に間隔をもって直交方向に配置した3本の横連結杆5,6,7により連結し、さらにこの横連結杆5,6,7を左右の縦管3,3の間において横連結杆5,6,7と直交する2本づつ2組の縦連結杆8,9により連結して格子状に交差する櫓ベースを構成している。
【0015】10は外前柱、11は外後柱、12は内前柱で、外前柱10は外側の舟型フロート1の前後方向の中央より少し前方の縦杆3の前端部に、外後柱11は外前柱10から後方に所定間隔を隔てた位置の縦杆3に、内前柱12は内側の舟型フロート1上の縦杆3の前端部で、左右の外前柱10を結ぶ線上に、それぞれ下端を固定して左右各一対が対称に直立している。
【0016】13は足場で、左右の外前柱10,10と、外後柱11,11間をステンレス鋼鋼管またはFRP管で連結し、さらにこのステンレス鋼鋼管またはFRP管と直交する複数の同質の腕管を連結し、その上に足場板を渡してゴムロープ等で固定したものである。
【0017】14は補助足場で、左右の外前柱10と、内前柱12の間の足場13の前縁部に、一端を回動自在に取付け、他端は外前柱10と、内前柱12の頂部にチェーン15で連結して足場13から前方に水平に突出させ、不要時には図1に矢印で示すように取付部から起こして外前柱10と内前柱12の間に直立状態に収まるべく起倒自在に設けてある。
【0018】16は手摺りで、左右の外後柱11,11の頂部間と、内前柱12,12の頂部間と、外前柱10と外後柱11の頂部間をそれぞれFRP管により連結したもので、作業者が落下を防止するものである。
【0019】17は梯子で、左右何れか一方の舟型フロート1と足場13の間に掛け渡されているが、左右の両方に設けてもよい。18は支柱で、足場13の後縁部の左右端近くと、左右の舟型フロート1,1の後端部を横に連結している横連結杆7の両端付近を左右2か所で斜めに連結して、足場13が前後に倒れないように補強している。19は筋交いで、足場13の後縁部の中央付近と、外後柱11とを斜めに連結して、補強している。
【0020】20は2人用の漕座で、左右の舟型フロート1,1間の中央で、前後方向の後半部に位置し、縦連結杆8,9上に前後に調節可能に取り付けた漕座フレーム21に取付られている。この漕座20の前方にクランクペダル付のプロペラ型の推進器22が漕座フレーム21から突出して装着してある。
【0021】23は補助フロートで、漕座フレーム21の下側に左右一対に取付けてある。24は舵で、漕座20の後方に垂下して設け、漕者の手元で操作するものであるが、操作構造の詳細は図示を省略している。
【0022】25は工具箱で、作業に必要な種々の工具や、若干の資材を収容する。26はフロート用緩衝材で、ゴム状弾性材からなり、左右の並列した内側の舟型フロート1,1の相対向する内側舷側の先端から、最前部の横連結杆5に到る間に取り付けられる。27は下部緩衝材で、ゴム状弾性材からなり、横連結杆5の左右の舟型フロート1,1間の前側に取付けられる。28は上部緩衝材で、ゴム状弾性材からなり、足場14の前側の、左右の内前柱12,12間と、補助足場14の内側辺に取り付けられる。
【0023】29は防舷フェンダーで、合成樹脂製中空体からなり、左右の並列した外側の舟型フロート1,1の先端部両舷と、外舷の全長にわたって複数箇所に取り付けられる。
【0024】以上の構成からなる本発明水上移動足場は、主として海上石油備蓄基地の海上構築物である海上アンカーの、図1、図2に仮想線で示す鋼管杭Sによって支えられている補強リング(図示省略)の塗装作業に利用するもので、この鋼管杭Sを左右の舟型フロート1,1の間に挟むんで足場13または補助足場14上に作業者が乗って作業するもので、その場所の作業が終われば水上を移動して引き続き作業するもので、漕者は常時漕座20に在って足場13上の作業者の指示により作業し易い状態に位置や向きを変えるのが普通である。
【0025】また、上記した海上構築物の塗装作業の他に、点検・検査や補修を行なったり、海上構築物に付着した貝殻をケレン工具を用いて取り除く等の作業を行うことができる。
【0026】なお、本発明水上移動足場には救命浮環(図示省略)を備えることとし、さらに作業員は必ずライフジャケットを着用することとして水難事故が生じないように配慮するものである。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】本発明水上移動足場を使用すれば、水上を人力漕行して自由自在に海上構築物に接近して、作業しやすい状態に位置することができるので、非常に作業が容易で作業能率が向上する。
【0029】従来の仮設吊り足場を設ける必要がないので、その設置並びに解体が不要となり、そのための経費の節約と工事期間の短縮が可能となり、大幅なコストの低減を果たすことができる。
【0030】台風の発生や、天候の急激な悪化、津波の来襲等があっても、水上移動足場を陸上へ吊り上げて敏速に格納して、容易に被害を避けることができる。
【出願人】 【識別番号】591267143
【氏名又は名称】柏原塗研工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)7月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
【公開番号】 特開平10−25731
【公開日】 平成10年(1998)1月27日
【出願番号】 特願平8−203135