トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送

【発明の名称】 海水配管設備
【発明者】 【氏名】古川 哲郎
【氏名】鬼塚 重則
【氏名】前畑 英彦
【課題】海水を導く配管内へ生物が付着し、海水の圧力損失が増加することを改善する。

【解決手段】本体配管1をアースに対して絶縁し、海水の接する内部を電気的絶縁膜2で被覆し、配管1とアース間に交流電源装置4を接続し、配管1とアース間に交流電位をもたせる。上記構成により、本体配管1の内部を流れる海水の内壁近くに電界が発生し、この電界により本体配管1への生物の付着が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 配管をアースに対して絶縁し、海水の接する内部を電気的絶縁膜で被覆し、配管とアース間に交流電位、またはパルス状電位をもたせることを特徴とする海水配管設備。
【請求項2】 請求項1記載の海水配管設備であって、パルス状電位は、直流の負性パルスにより発生されることを特徴とする。
【請求項3】 配管の海水の接する内部を電気的絶縁膜で被覆し、前記配管中心部に海水の流れ方向に金属線を布設し、この金属線と配管間に交流電圧を印加することを特徴とする海水配管設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生物付着防止機能を有する海水配管設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より海水は発電所の冷却に使用されており、この海水を導く配管には、その内部にムラサキ貝などの生物が付着する。配管内にこれら生物が付着し成長すると、海水の圧力損失が増加するため、配管内に生物が付着しないように、また生物が付着しても排除できるようにする対策が必要である。
【0003】上記対策として、配管の入口にストレーナを設ける生物進入防止方法、塩素を流して付着した生物を除去する塩素注入法、海水に代えて一次的に淡水を流して生物を除去する淡水処理法、配管内にボールを流して物理的に清掃する機械的処理方法などが試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記対策でも、配管に付着する生物は、たとえば径が0.1mm程の卵の状態で配管内に進入することもあり、生物の配管内への進入を防止することは困難であり、また上記生物は生命力が強く、その付着力も強いため、配管内の生物の付着の防止、および排除を有効に行うことが困難であるという問題があった。
【0005】また、人間による配管内の生物の除去作業は、生物の付着力が強いため、大きな労力を必要とし、また作業環境が悪いために困難であり、費用的にも大きな問題があった。
【0006】さらに原子力発電所の冷却系の一部配管の除去作業により集められた生物は放射性廃棄物として見なされ、その処理に多大な時間と費用を要するという問題があった。
【0007】そこで、本発明は、生物の幼生の段階で、付着を有効に防止する海水配管設備を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の海水配管設備は、配管をアースに対して絶縁し、海水の接する内部を電気的絶縁膜で被覆し、配管とアース間に交流電位、またはパルス状電位をもたせることを特徴とするものである。
【0009】ここで、電気的絶縁膜は、テフロンコーティングなどにより形成される。上記構成により、海水が接する配管内壁の近くに電界が発生し、生物の幼生の付着そのものが防止される。
【0010】また請求項2記載の海水配管設備は、請求項1記載の海水配管設備であって、パルス状電位は、直流の負性パルスにより発生されることを特徴とするものである。
【0011】上記構成により、生物の幼生の付着そのものが防止され、また配管の電位がマイナスとされ、配管の腐食が防止される。また請求項3記載の海水配管設備は、配管の海水の接する内部を電気的絶縁膜で被覆し、前記配管中心部に海水の流れ方向に金属線を布設し、この金属線と配管間に交流電圧を印加することを特徴とするものである。
【0012】ここで、電気的絶縁膜は、テフロンコーティングなどにより形成される。上記構成により、海水が接する配管内壁の近くに電界が発生し、生物の幼生の付着そのものが防止される。また上記請求項1記載の海水配管設備の場合と比較して、印加電圧が低減される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態における海水配管設備の要部構成図である。
【0014】図1において、1はアースに対して絶縁された本体配管であり、内部および側面はテフロンコーティングなどの電気的絶縁膜2により被覆されている。また、隣接する本体配管1とは絶縁継手3により接続されている。
【0015】また4は交流電源装置であり、この交流電源装置4は本体配管1に接続され、本体配管1に交流電圧が印加されている。上記構成により、本体配管1の内部を流れる海水の内壁近くに電界が発生し、この電界により本体配管1への生物の付着が防止される。
【0016】ここで、本体配管1に付着する生物の一例として、ムラサキイガイについて説明する。ムラサキイガイの受精卵は、直径0.07mmで、水温20℃において、16〜20分で最初の方向体を出す。24時間後、トロコフォア幼生(担輪子幼生)となり、繊毛および鞭毛を発生して運動を始め、さらに1日経過して長さ0.1mmのベリジャー(被面子)に移行して遊泳期に入る。殻の長さ0.3mm前後のベリジャーに成長すると、取水路や取水管の壁に付着する付着期に入る。成体は1年で30mm,3年で70〜80mmになる。
【0017】交流電源装置4による交流印加電圧を、上記ベリジャーの体長が0.6mmのときAC200〜250V(2V/cm)、体長が0.4mmのときAC300〜380V(3V/cm)とすると、上記付着期に入ったベリジャーの本体配管1への付着を抑制するすることができた。
【0018】このように、本体配管1への生物の付着そのものを防止することができ、その結果、従来のような人間による除去作業の必要がなくなり、また廃棄物の処理が必要なくなり、メンテナンス時の作業員の負担、およびコストを大幅に低減することができる。
【0019】なお、上記実施の形態では、交流電圧を印加しているが、当然パルス状の電圧を印加しても同様の効果を挙げることができる。さらにパルスを直流負性パルスとすると、本体配管1の電位はマイナスとされ、すなわち電気防食により、本体配管1の腐食を防止することができる。
【0020】図2は本発明の実施の他の形態における海水配管設備の要部構成図である。上記実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。絶縁膜2と隣接する本体配管1との間に、本体配管1の中心部で、海水の流れ方向に配置する金属線11を支持する支持体12が挟み込まれ、この支持体12と本体配管1間に、交流電源装置4が接続され、金属線11と本体配管1間に交流電圧が印加されている。
【0021】この構成によると、内径200mmの本体配管1で、AC20〜30V、内径300mmの本体配管1で、AC30〜50Vの印加により、ベリジャーの本体配管1への付着を抑制することができた。
【0022】このように、本体配管1内に金属線11を布設し、電界を発生させることにより、低電圧で本体配管1への生物の付着を防止でき、また交流電源装置4を低電圧発生装置とすることができ、コストを低減することができる。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように請求項1記載の発明によれば、海水が接する配管内壁の近くに電界が発生することにより、生物の幼生の付着そのものを防止でき、その結果、従来のような人間による除去作業の必要がなくなり、また廃棄物の処理が必要なくなり、メンテナンス時の作業員の負担、およびコストを大幅に低減することができる。
【0024】また請求項2記載の発明によれば、海水が接する配管内壁の近くに電界が発生することにより、生物の幼生の付着そのものを防止できるとともに、配管の電位がマイナスとされることにより、配管の腐食を防止することができる。
【0025】さらに請求項3記載の発明によれば、電界の発生により生物の幼生の付着そのものを防止できるとともに、交流電圧装置を低電圧発生装置とすることができ、コストを低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開平10−18272
【公開日】 平成10年(1998)1月20日
【出願番号】 特願平8−168738