トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送

【発明の名称】 通水路止水堰
【発明者】 【氏名】竹内 伸介
【氏名】山田 和豊
【課題】管状通水路の頂壁のコーナ部における漏水を防止した可撓性止水堰を提供することである。

【解決手段】略台形状袋体20の短辺部23を通水路10の底壁12に押え金具27aで水密に固着し、袋体20の側辺部24を押え金具27bによって通水路10の側壁11に水密に固着し、側辺部24の長辺部22に隣接する部分24aは自由状態にしておき、袋体を膨脹したときこの部分24aが頂壁13に達する充分な長さを有するようにしたのである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 略台形状袋体を略コ字形に折り曲げ、前記袋体の短辺部を管状通水路の底壁に固着し、前記袋体の側辺部を上端部を残して通水路の側壁に固着することにより前記側辺部の上端部を自由状態とし、この自由状態の上端部の長さを前記通水路の頂壁に達するに充分な長さとした通水路止水堰。
【請求項2】 前記袋体が通水路の底壁と側壁に固着されたコーナ部前面にコーナプレートが固着されていることを特徴とする請求項1記載の通水路止水堰。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】この発明は、四方が壁面に囲まれた管状通水路を完全に閉鎖することのできる止水堰に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の止水堰として可撓性膜より成る袋体を用いたものが知られている。
【0003】例えば、図8及び図9に示すように、ゴム引布のような可撓性膜2a、2bを重ね合せて、袋体1を形成し、両側部3及び一端部4を通水路10の側壁11、11及び底壁12にそれぞれアンカーボルト5で水密に固着して、給排気口(図示せず)から給気することにより、図10のように袋体1を膨脹させて通水路10内に充満させ通水路10を塞ぐようにしたものがある(特開平3−295920号公報)。
【0004】しかしながら、上記のような袋体1においては、図10のように、頂壁13のコーナ部13a、13aやアンカーボルト5の突出部近辺11a、11aで可撓性膜2aがアール状に屈曲するため隙間が生じ、漏水の原因になっている。
【0005】そのため、例えば特開平6−193035号公報には、膨出した可撓性膜の屈曲線に沿うようなアール状突条を通水路中に設けて、可撓性膜が圧接するようにし、遺漏を防止するようにした技術が開示されている。
【0006】しかしながら、上記突条は通水路の断面積を減少させて流通を阻害するばかりでなく、塵埃や雑物が引掛る障害物となる。また、そのような突条を設けるためのコストも必要となる。
【0007】
【発明の課題】一方、図11及び図12に示すように、台形状の可撓性膜8a、8bを重ね合せて、その短辺部及び側辺部をそれぞれ通水路10の底壁12及び側壁11、11にアンカーボルト5で水密に固着し、頂部9a、9aをさらに折り曲げて通水路10の頂壁13にアンカーボルトで固着したものがある(特開平3−295920号公報)。このように、通水路10の側壁11、11全体及び頂壁13のコーナ部13a、13aまで袋体1aを固着してしまうと、図10のような隙間は少なくなるが、袋体1aの倒伏時、即ち排気時に可撓性膜8aが8bにぴったりと重なり合わず、凹凸や皺が生じて水流の障害となり、また施工も手間がかかる問題がある。
【0008】そのため、図13のように、頂部9a、9aを折り曲げずに、頂壁13のコーナ部13a、13aに突き合せることが考えられる。しかし、このようにしても、図14に示すように、アンカーボルト5による係止スペースはどうしても必要となるため、頂部9aを頂壁13のコーナ部13aに水密に圧接することは難しく、矢印で示すような漏水は避けられない。
【0009】そこで、この発明の課題は、通水路の側壁は勿論のこと頂壁、特に頂壁のコーナ部における遺漏を防止できるような止水堰を提供することである。
【0010】
【課題の解決手段】上記の課題を解決するため、この発明においては、略台形状袋体を略コ字形に折り曲げ、前記袋体の短辺部を管状通水路の底壁に固着し、前記袋体の側辺部を上端部を残して通水路の側壁に固着することにより前記側辺部の上端部を自由状態とし、この自由状態の上端部の長さを前記通水路の頂壁に達するに充分な長さとしたのである。
【0011】前記袋体が通水路の底壁と側壁に固着されたコーナ部前面にコーナプレートを固着しておくことができる。
【0012】上記のように、自由状態にある袋体の側辺部が給気によって起立すると、通水路頂壁のコーナ部に圧接して折れ曲り、コーナ部周辺に密着することにより漏水を防止する。
【0013】
【実施の形態】以下、この発明の実施形態を図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、この発明の止水堰に用いる袋体を示す。図示のように、袋体20は、ゴム引布のような可撓性膜21を二つ折りにして重ね合せたものであって、平面から見てほぼ台形状をなし、その長辺部22は折り目によって閉鎖され、短辺部23は開放されている。そして側辺部24は、長辺部22に隣接する部分24aを除いて開放されている。この部分24aは、気密に封止されている。勿論短辺部23及び側辺部24を全て密封しておいてもよい。
【0014】上記袋体20を点線で示す折り目25、25に沿って略コ字形に折り曲げ、図2及び図3に示すように、通水路10の底壁12及び側壁11、11に取り付ける。従って前記折り目25、25の間隔は、丁度両側壁11、11間の間隔に等しい。また、折り目25、25は、短辺部23の両端23a、23aよりも内側に位置するよう、予め袋体20のサイズを選択しておく。
【0015】前記袋体20を通水路10に水密に固着する手段の一例を図4及び図5に示す。図示のように、アンカーボルト26を底壁12及び側壁11に所定間隔で埋め込んでおき、押え金具27a及び27bを短辺部23及び側辺部24の端縁に当てがって、ナット28で締結する。なお、押え金具27aは短辺部23に沿って直線的に延びているが、押え金具27bは、側辺部24及び折り曲げられた短辺部23の端部23aに沿っているため、先端部が屈曲したヘ字形になっている(図3)。また、通水路10の底壁12と側壁11が隣接するコーナ部12a(図2)における漏水を防止し、かつ押え金具27aと27bとを互いに連結して剛性を高めるため、図4及び図5に示すような略三角形のコーナプレート29を取り付けておくことができる。このコーナプレート29は、押え金具27a、27bのそれぞれのフランジ31a、31bにボルト・ナット30で締結して固着する。
【0016】このようにして、袋体20を取り付けたとき、袋体20の側辺部24は、図2及び図3に示すように、押え金具27bによって全長にわたって固定されるのではなく、長辺部22に隣接する部分24a(図1参照)は自由状態にしてあり、袋体20の収縮状態では、この部分24aは垂下している。しかも、押え金具27bの上端は、通水路10の頂壁13に達せず、頂壁13よりも低い位置にあり、この間隔H1 は押え金具27bの先端から部分24aの先端までの垂直方向の距離H2 よりも小さい。即ちH1 ≦H2 にしてある。なお、図1、図2中矢印は流水の方向を示している。
【0017】いま、図示しない給排気口から袋体20に流体を供給すると、図6及び図7に示すように、袋体20が膨満する。このとき、前述の袋体20の先端部分24aはフリーになっており、頂壁13以上の高さまで延びる余裕を持っているから、頂壁13のコーナ部13aに圧接し、かつ先端部が折れ曲って頂壁13に密着する。そのため、コーナ部13aは完全に密閉され、遺漏は生じない。
【0018】
【効果】この発明によれば、以上のように、ほぼ台形状可撓性袋体の短辺部を通水路の底壁に固着し、袋体の側辺部の上端部を残して通水路の側壁に固着して側壁に固着されない上端部を自由状態とし、かつこの自由部分の先端が通水路の頂壁に充分届くだけの高さを持たせてあるので、袋体を膨満させたとき、前記自由部分が通水路の頂壁コーナ部周辺に密着してコーナ部の遺漏を防止することができる。
【0019】また、袋体の短辺部及び側辺部を通水路に固着するだけであるから施工作業も容易である。
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)7月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開平10−18270
【公開日】 平成10年(1998)1月20日
【出願番号】 特願平8−172151