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【発明の名称】 除塵装置
【発明者】 【氏名】川口 恭司
【氏名】中村 俊夫
【氏名】高嶋 道雄
【氏名】山崎 賢二
【氏名】小林 清
【氏名】池田 賢一
【氏名】村上 孝志
【課題】軽量で耐食性が高く、騒音や振動が発生しにくく、しかも柔軟で変形しにくい、結果としてメンテナンスの手間の掛からない除塵装置を提供する。また、バケットスクリーンの表面に付着しやすいゴミであっても、確実に除去することができる除塵装置を提供する。

【解決手段】水路Wの近傍に構築された支持構造体1と、この支持構造体1に無端状駆動チェーン2を介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーン3を備え、水路Wに流下する浮遊ゴミ類を掻き上げる除塵装置Aにおいて、バケットスクリーン3をプラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水路の近傍に構築された支持構造体と、この支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーンを備え、水路に流下する浮遊ゴミ類を掻き上げる除塵装置において、上記バケットスクリーンをプラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成したことを特徴とする除塵装置。
【請求項2】 上記バケットスクリーンは水路の幅方向に分割されたセグメントを複数個組合せて一体化したものであることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】 上記バケットスクリーンは、水路の下流に向かって膨らむ凸曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
【請求項4】 上記バケットスクリーンの表面に凹凸を形成したことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
【請求項5】 上記バケットスクリーンの前縁に掻き取り歯を形成し、水路底部折り返し部に、上記掻き取り歯と噛み合う形状のスクリーンを対向して設けたことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
【請求項6】 前記プラスチック材を、常温かつ短時間で成形可能な2液混合成形材料であるエラストマーで改質された三環体以上のノルボルネン系モノマーの開環重合体で成形された破断時伸びが10〜100%である弾性に富んだ樹脂材料としたことを特徴とする請求項1に記載のバケットスクリーン式除塵装置。
【請求項7】 前記プラスチック材を、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂で成形された破断時伸びが10〜100%である弾性及び靭性に富んだ樹脂材料としたことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置用バケットスクリーン。
【請求項8】 水路の近傍に構築された支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されて用いられる除塵装置用のバケットスクリーンであって、プラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成されていることを特徴とするバケットスクリーン。
【請求項9】 水路の近傍に構築された支持構造体と、この支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーンを備え、水路に流下する浮遊ゴミ類を掻き上げる除塵装置において、上記支持構造体の少なくとも一部をプラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成したことを特徴とする除塵装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水路中に浮遊するゴミを捕捉し、取り除くための除塵装置に関し、特に、ビニール、ナイロンなど金属の表面に付着しやすい濡れたゴミの除去に適した除塵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような除塵装置として、図10に示すように、捕捉したゴミ類を機械的に除去する除塵装置Aが知られている。これは、水路Wに跨るように構築された支持構造体1と、この支持構造体1に無端状駆動チェーン2を介して水路内を上下に走行可能に支持されたバケットスクリーン3を備えている。
【0003】このバケットスクリーン3は、一部が通水性を有するバケットスクリーンの両端が無端状チェーン2に取り付けられて構成されており、装置の前面を上昇する時に捉えたゴミを上端の折り返し部で反転して排出用のトラフに落下させるようになっている。従来は、バケットスクリーン3や支持構造体1などの主要部品は鋼材製であり、熔接、ボルト止めにより取り付けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鋼材を素材とした除塵装置においては、以下のような解決すべき課題が残されていた。
(1) 重量が大きいので、これを支持する支持構造体1やエンドレスチェーン2の強度、これを駆動する駆動装置モータの能力が大きくなり、全体として装置が大がかりなものとなり、装置コストが嵩む他、メンテナンス及び現地据え付けに多大な労力を要する。
(2) 使用環境上耐食性や耐摩耗性が要求され、素材自体でその要求をカバーする場合には素材コストが上昇し、また、塗装等で対処する場合には、経年劣化、塵芥との接触等による塗膜剥脱部から腐食が進行しやすく、装置の強度・機能の低下をもたらすとともに、メンテナンスに手間を要した。
【0005】(3) 固いゴミや他の金属部分との接触により騒音や振動を発生し、環境衛生上の問題となる。
(4) 従来の装置では、バケットスクリーン3の表面が平坦であるため、ゴミの一部の濡れた紙、ダンボール箱、ビニール袋、ナイロン袋等が表面張力によりバケットスクリーンのフラット面に貼り付き、トラフへの落とし込みが困難であった。このため、バケットスクリーンが装置の下流側で再び水中に入った後に、掻き上げられたゴミの一部が吸水路に戻ってしまい、取水口で用いられた場合は装置の下流にあるポンプ等の故障を招いていた。特に、ビニール袋、ナイロン袋等は永らく分解されず漂流し、これを誤って食べた海亀などの海洋生物に被害を与えることがあり、世界的な要対策課題となっている。
(5) 水路底部はビニール袋、ナイロン袋、水草等が沈澱してからみ付き、平板のバケットスクリーンでは、掻くことが困難で問題となっている。
【0006】従って、本発明は、軽量で耐食性が高く、騒音や振動が発生しにくく、しかも柔軟で変形しにくい、結果としてメンテナンスの手間の掛からない除塵装置を提供することを目的とする。また、この発明の他の目的は、バケットスクリーンの表面に付着しやすいゴミであっても、確実に除去することができる除塵装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水路の近傍に構築された支持構造体と、この支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーンを備え、水路に流下する浮遊ゴミ類を掻き上げる除塵装置において、上記バケットスクリーンをプラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成したことを特徴とする除塵装置である。
【0008】このようにプラスチックを用いることで、軽量化が図れ、高い耐食性を付与することができる。また騒音や振動を吸収し、しかも柔軟で変形しにくく、結果としてメンテナンスの手間の掛からない除塵装置を提供することができる。
【0009】請求項2に記載の発明は、上記バケットスクリーンが水路の幅方向に分割されたセグメントを複数個組合せて一体化したものであることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置である。このようにセグメント化することにより、必要な鋳型が小さくなって鋳型コストが大幅に低減される。また、バケットスクリーンの幅は、除塵装置が設置される水路の深さによって異なるが、セグメントの数を変えることによって対応することができ、鋳型を組み替えたり作り直したりする手間が省かれる。また、セグメント化することによって、移送や現場での組立作業も容易となる。
【0010】請求項3に記載の発明は、上記バケットスクリーンが、水路の下流に向かって膨らむ凸曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置であるので、直線的な形状とするよりも濾過面積を大きくしてゴミや異物の除去性能が向上する。
【0011】請求項4に記載の発明は、上記バケットスクリーンの表面に凹凸を形成したことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置である。バケットスクリーンに、水で濡れた紙、ダンボール箱、ビニール袋、ナイロン袋等が密着するのが妨げられ、バケットスクリーンから搬送トラフへのゴミの移動が円滑に行われる。
【0012】請求項5に記載の発明は、上記バケットスクリーンの前縁に掻き取り歯を形成し、水路底部折り返し部に、上記掻き取り歯と噛み合う形状のスクリーンを対向して設けたことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置である。これにより、水路底部で沈澱して絡み付いたビニール袋、ナイロン袋、水草等を確実に掻き上げることができる。
【0013】請求項6に記載の発明は、前記プラスチック材を、常温かつ短時間で成形可能な2液混合成形材料であるエラストマーで改質された三環体以上のノルボルネン系モノマーの開環重合体で成形された破断時伸びが10〜100%である弾性に富んだ樹脂材料としたことを特徴とする請求項1に記載のバケットスクリーン式除塵装置である。このようなエラストマーで改質されたノルボルネン系ポリマーは、機械強度と可撓性を兼備するため、この材質で形成されたサイドフレームは耐衝撃性に優れている。しかも、材質の比重が約1.05g/cm3以下とプラスチックのなかでも比較的軽く、かつ耐衝撃性、耐水性、耐食性、耐薬品性に優れた材質である。
【0014】この材料では、衝撃や腐食にも耐えることができ、また現場での据付工事等で大きな外力を受けても変形、破損しにくいという利点があると同時に、全体の重量を軽減することができるため、工事が容易になる利点も有する。この材質は熱変形温度100℃以上、好ましくは120℃以上を有し、破断時伸びが10〜100%、好ましくは、15〜80%を有するものであり、通常、曲げ弾性率150kg/mm2以上、好ましくは170kg/mm2以上を有している。
【0015】三環体以上のノルボルネン系モノマーとしては、ジシクロペンタジエンやヒドロジシクロペンタジエンなどのごとき三環体、テトラシクロドデセンなどのごとき四環体、トリシクロペンタジエンなどのごとき五環体、テトラシクロペンタジエンなどのごとき七環体などが挙げられる。もちろんこれらのアルキル置換体やアルキリデン置換体であってもよい。これらのノルボルネン系モノマーは、単独で使用してもよく、また、2種以上を混合しても用いることができる。これらのモノマーのなかでは、耐衝撃性、熱変形温度などの面で三〜五環体のものが好ましく、特に経済性の面からジシクロペンタジエンを50重量%以上含むものが良い。
【0016】前記三環体以上のノルボルネン系モノマーの1種以上と共に開環重合し得る2−ノルボルネンや5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン系モノマー、あるいはシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンなどを、本発明の目的を損なわない範囲で使用したものでもよい。一方、本発明で用いられるエラストマーとしては、例えば天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、これらのブロック共重合体の水素化物、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリクロロプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体などが例示されるが、なかでも炭化水素エラストマーが賞用される。
【0017】これらのエラストマーの配合割合は、ノルボルネン系エラストマーポリマーの破断時伸びが10〜100%、好ましくは15〜80%となるような範囲で適宜定め得るが、通常はモノマー100重量部に対し、3〜12重量%、好ましくは5〜10重量%である。エラストマーの配合量が少ないと伸びが減少し、その結果、可撓性が不足して耐衝撃性は劣るようになり、しかもそのような材質では柔構造のサイドフレームを作ることができなくなる。一方、エラストマーの配合量が増加すると伸びは大きくなるが、反面、曲げ弾性率が低下してサイドフレームに必要な剛性を保てなくなる。
【0018】エラストマーで改質されたノルボルネン系ポリマーを得るには、通常、反応射出成形、レジンインジェクション法、注形法等の反応成形法が用いられる。これらの方法においては、ノルボルネン系モノマー、エラストマーおよび開環重合用触媒を含む反応原液を金型、木型、砂型、樹脂型内等に供給し、そこで開環重合することによって行われる。
【0019】反応に際しては、充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を配合することにより、本発明のスクリーンの特性を改質することが出来る。これらの添加剤は予め反応原液のいずれか一方又は双方に混合される。充填剤にはガラス短繊維、ガラス粒子、カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、雲母などの無機質充填剤がある。酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤がある。これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよいが、併用することもできる。配合割合は、ノルボルネン系ポリマーに対し0.5重量%以上、好ましくは1〜3重量%である。
【0020】請求項7に記載の発明は、前記プラスチック材を、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂で成形された破断時伸びが10〜100%である弾性及び靭性に富んだ樹脂材料としたことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置用バケットスクリーンである。ABS樹脂、PP樹脂等の熱可塑性樹脂は、一般家庭用品、自動車部品等に広く用いられているが、目的によって種々のグレードの材質が市販されている。本発明に適するのは、破断時伸びが10〜100%、好ましくは15〜80%を有するものであり、主に射出成形を用いて製造する。
【0021】請求項8に記載の発明は、水路の近傍に構築された支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されて用いられる除塵装置用のバケットスクリーンであって、プラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成されていることを特徴とするバケットスクリーンである。
【0022】請求項9に記載の発明は、水路の近傍に構築された支持構造体と、この支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーンを備え、水路に流下する浮遊ゴミ類を掻き上げる除塵装置において、上記支持構造体の少なくとも一部をプラスチック材あるいは金属にて補強された複合プラスチック材にて構成したことを特徴とする除塵装置である。プラスチックを用いることで、軽量化が図れ、高い耐食性を付与することができる。また騒音や振動を吸収し、しかも柔軟で変形しにくく、結果としてメンテナンスの手間の掛からない除塵装置を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の除塵装置の全体構成を示す斜視図である。これらの図に示すように除塵装置Aは、水路Wの近傍に構築された支持構造体1と、この支持構造体1にエンドレスチェーン2,2を介して水路を上下に走行可能に支持されたバケットスクリーン3・・・とから構成されている。この支持構造体1は、図1に示すように、水路の脇の架台4上に設置したメインフレーム5と、水路底部に設置されたアンカー部6によって支持された左右一対のサイドフレーム7,7とから構成されている。
【0024】各サイドフレーム7には、長手方向に前後2列のガイド溝8が下端側でつながって形成され、これには、上記エンドレスチェーン2,2がガイドされて摺動可能に装着されている。このエンドレスチェーン2はサイドフレーム7の上端に取付けられたスプロケット9,9に係合させられ、スプロケット9の回転により巡回走行する。
【0025】メインフレーム5には、エンドレスチェーン2,2を駆動するための駆動装置10が設備してある。エンドレスチェーン2の走行により、バケットスクリーン3は水路底部の波形下部スクリーン11の間を通って上昇し、上部折り返し部Bを通り、除塵装置Aの後面を下降し、下部折り返し部Cを通りこれを繰り返す。バケットスクリーン3の折り返し部Bの下方には、落下するゴミを搬出するトラフ12が設置されている。
【0026】バケットスクリーン3は、図3ないし図5に示すように、前端が波状の掻き取り歯20が形成された平板状の底板21と、通水性を保つために格子状に形成された背板22と、左右方向に等間隔に配置されたリブ板23とを有しており、ゴミGを水と分離して保持するようになっている。バケットスクリーン3は、プラスチックを鋳型に注入することにより成形されている。
【0027】材料としては、例えば、エラストマーで改質された三環体以上のノルボルネン系モノマーの開環重合体のようなプラスチック材料が用いられている。これは、常温かつ短時間で成形可能な2液混合成形材料であり、好ましくは成形後の破断時伸びが10〜100%である弾性に富んだものである。
【0028】底板21の表面には、複数の突起24が形成され、これにより表面に細かい凹凸が形成されている。この突起24の横断面は、この例では円形であるが、図6に示すような四角形、三角形等の多角形や、「+」型、「*」型等のより複雑な形状でもよく、あるいは楕円、瓢箪型等任意の曲線形状でもよい。
【0029】突起24の縦断面は、この例では上端が丸い半球状であるが、図6に示すような角を持つ形状にしてもよく、ゴミGが引っかからない程度にRを付けた形状としてもよい。突起24と表面の角度は90°に近いことが好ましいが、これを鈍角として突起を円錐体又は角錐体状としても、また、逆に鋭角として倒立錐体状としてもよい。
【0030】突起24の平面配置は、図6のAのように整列配置しても、同図Cのように互い違いに配置してもよい。突起24の高さ、太さ、平面密度(単位面積当たりの数)などは、ゴミGの素材の厚さや変形性、あるいは水路Wを流れる水の性状などを考慮して、実験等により最適なものを求めるのが好ましい。発明者らの実験による推奨値は、図6の(1)のタイプにおいて、径5〜20mm、高さ5〜20mmの頭部が丸い円柱状の突起を平面密度1〜30個/cm2 配置するものである。
【0031】バケットスクリーン3は、図4に示すように、幅方向に分割されたセグメント25を単位として予め成形され、これを一体にした構成となっている。この例では、両端を半割のリブ板23aで区画された部分を単位としている。このように予め所定幅をもって形成されたセグメント25を、水路の幅に合う数だけ繋げてバケットスクリーン3を構成する。
【0032】接合の方法としては、リブ板23aどうしをボルト等により結合してもよいが、この例では、図4(b)に示すように、各セグメント25に接続方向に貫通する孔26を形成し、これに棒状の補強部材27を挿通し、補強部材27の周囲にプラスチックPを充填して固化させている。充填プラスチック材Pで結合すると、全体として騒音や振動のない除塵装置Aが構成される。
【0033】このようにセグメント化することによって、寸法の大きい部材を一度に成形する必要がなく、鋳型の組立や樹脂の注入などの作業が大幅に簡略化される。また、鋳型を用いてセグメントを形成する作業は、別の場所で予め行うことができ、現場ではそのセグメントを組み立てを行えば良いから、作業性の悪い現場での作業の手間が軽減される。
【0034】なお、図7に示すのは、バケットスクリーン25の他の例であって、背板22を湾曲して形成したもので、これにより濾過面積を大きくしてゴミや異物の除去性能を向上させたものである。
【0035】次に、除塵装置Aの支持構造体1の構成を説明する。バケットスクリーン3を上下動可能に支持するサイドフレーム7は、左右に一対が対向して設けられ、それぞれが複数のセグメント31〜33からなっている。すなわち、水路底部のアンカー部6に固定される底部セグメント31、頂部側のトラフ12上に被さるように屈曲する頂部セグメント32及びこれらの間の直線部分を構成する複数の中間セグメント33である。
【0036】各セグメント31〜33はプラスチックにより鋳型に注入してほぼ板状に成形されている。セグメント31〜33の材料としては、バケットスクリーン3と同様に、エラストマーで改質された三環体以上のノルボルネン系モノマーの開環重合体のようなプラスチック材料から成形されたものが用いられている。これは、常温かつ短時間で成形可能な2液混合成形材料であり、好ましくは成形後の破断時伸びが10〜100%である弾性に富んだものである。
【0037】図8に示すのは中間セグメント33であり、長方形の平板の中央部に梁部材等を挿通して支持するための空間(あるいは凹所)35が形成されている。両側縁部には、ガイド溝8が互いに平行に形成されており、上下辺には他のセグメント31〜33と結合するための取付穴37,38及び凹所39が形成された結合壁40が設けられている。また、サイドフレーム7の両側の薄肉部には、除塵装置の中央側部材と連結するための取付穴41が形成されている。
【0038】これらのセグメント33どうしを現場で結合する場合、例えば、セグメント33自体を構成するプラスチック素材により、予め図9(a)又は(b)に示すような位置決め凹所31と位置決め穴37に嵌合する形状の位置決め部材42を形成しておく。そして、図9(a)に示すように、これを位置決め穴37に装着した状態で上側のセグメント33を載せることにより、上下のセグメント33の位置決めを行い、その後にボルト穴38に耐食性素材のボルトを装着して両者を締結する。これにより、位置決めされた状態でボルト結合できるので、作業が容易で位置決め精度も高い。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、素材としてプラスチック材を用いることで、バケットスクリーンの軽量化が図れ、除塵装置全体の小型化と低コスト化に寄与する。また、高い耐食性を付与することができ、しかも柔軟で変形しにくいのでメンテナンスの手間が掛からず、さらに、バケットスクリーンが騒音や振動を吸収するので、環境に悪影響を与えることがない実用性の高いバケットスクリーン式除塵装置を提供することができる。
【0040】さらに、セグメント化することにより、必要な鋳型が小さくなって鋳型コストが大幅に低減されるとともに、在庫も減少させることができ、さらに、除塵装置を設置すべき水路の幅に合わせてセグメントの数を変えることによってバケットスクリーンの長さの調整も容易で製造コストを低減することができる。
【0041】また、バケットスクリーン表面に設けられた凹凸により、水で濡れた紙、ダンボール箱、ビニール袋、ナイロン袋等がバケットスクリーンの表面に密着するのが妨げられ、塵芥掻き上げ部で掻き上げられた塵芥が確実にトラフ上に落下して排出される。従って、ゴミが下流側に持ち越されることがなく、信頼性の高い塵芥除去が行えるので、取水口で用いられた場合は装置の下流にあるポンプ等の故障の発生を防止し、廃水口で用いられた場合は自然環境の汚染を防止することができるという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【識別番号】000120397
【氏名又は名称】荏原工機株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇 (外2名)
【公開番号】 特開平10−18269
【公開日】 平成10年(1998)1月20日
【出願番号】 特願平8−188204