トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送

【発明の名称】 防舷材
【発明者】 【氏名】田島 啓
【氏名】小園 泰史
【氏名】野入 洋
【課題】圧縮によって均一でかつ十分な反力を生じうるとともに、繰り返し圧縮してもやぶれ等の破損を生じにくい防舷材を提供する。

【解決手段】円筒体10の全体にわたって、母線の方向M1 に対して配向角度θ1 =50〜60°となるように配向させた第1の補強繊維群10aを埋設するとともに、当該円筒体10の、上記母線の方向M1 の途中の位置に部分的に、配向角度θ2 =80〜90°となるように配向させた第2の補強繊維群10bを埋設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ゴム状弾性を示す材料からなる円筒体に気体を封入して、緩衝体として使用する防舷材であって、上記円筒体が、その周面を構成する母線の方向に対して、当該円筒体を平面状に展開したときに50〜60°の角度を有するように配向された状態で、円筒体の全体にわたって埋設された第1の補強繊維群と、上記母線の方向に対して80〜90°の角度を有するように配向された状態で、円筒体の母線の方向の途中の位置に部分的に埋設された第2の補強繊維群とによって補強されていることを特徴とする防舷材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、いわゆる気体封入式の防舷材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】船舶やはしけ等の、岸壁などへの接岸時のエネルギーを吸収して、当該船舶等を保護したり、あるいは係留された船舶等の、風や波による動揺を抑えたりするために、防舷材が使用される。防舷材には、ソリッドゴム製のもの等、種々の形式のものがあるが、近時、ゴム等のゴム状弾性を示す材料からなる円筒体に、空気等の気体を封入して緩衝体として使用する、いわゆる気体封入式の防舷材が、圧縮初期から高反力を示す前記ソリッドゴム製の防舷材に比して、気体のもつ特有の弾性特性により圧縮に対する初期反力が小さいことから、よりソフトな防舷作用がえられるものとして注目されている。
【0003】たとえば図5に示すように、かかる気体封入式の防舷材9は、緩衝体としての円筒体91aの両端に一対のフランジ部91b、91cを設けた緩衝部材91と、上記フランジ部91b、91cにそれぞれ外側から当接されて、円筒体91aの両端開口をふさぐための頂板92および底板93と、フランジ部91b、91cにそれぞれ内側から当接されて、頂板92および底板93との間でフランジ部91b、91cを挟みこんで固定するための一対の固定リング94、95とで構成されている。
【0004】上記のうち緩衝部材91は一般に、前記のようにゴム等のゴム状弾性を示す材料にて全体を形成するとともに、そのうち円筒体91aの内部に、多数の補強繊維を同一方向に配向した補強繊維群91dを設けた構造を有している。また、上記補強繊維群91dを構成する補強繊維は、図6に実線の矢印F1 で示すように、円筒体91aの周面を構成する母線の方向(図中一点鎖線の矢印M1 の方向)に対して、当該円筒体91aを平面状に展開したときに50〜60°、くわしくは54.74°の角度を有するように配向されている。
【0005】これは、かかる配向角度(静止角度と呼ばれる)とすると、円筒体の、上記母線の方向M1 (縦方向)と周方向(図中破線の矢印R1 の方向)とを、補強繊維によって等しく補強できると考えられているからである。つまり上記構成の円筒体においては、上記縦方向の破壊圧力Paと周方向の破壊圧力Prとがそれぞれ、式:【0006】
【数1】

【0007】〔両式中Tは補強繊維の強度、Nは補強繊維の総数、nは単位幅(通常5cm)あたりの補強繊維数、Dは補強繊維の直径、θ1 は補強繊維の配向角度、αは実験定数である。〕で表されるが、両破壊圧力Pa、Prが等しくなる配向角度θ1 を上記両式から求めると、54.74°となるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の配向角度に補強繊維が配向された円筒体は、船舶等の接岸によって圧縮された際に、当該円筒体を1周するような形で、たとえば図4(b) に示すような不規則なしわS1 を生じ、このしわS1 が原因となって、下記のような種々の問題を生じることが明らかとなった。
【0009】すなわち、上記のようにしわS1 は、円筒体に対して不規則に発生するため、船舶等の接岸によって防舷材に生じる反力が不均一になり、防舷作用に影響を及ぼすおそれがある。またこのしわS1 は、円筒体が座屈して生じるため、当該しわS1 の箇所には過大な局部圧が加わることになる。しかもこの座屈する箇所はほぼ一定であるため、防舷材の圧縮が繰り返された際に、上記の座屈箇所に疲労が集中してやぶれ等の破損が発生するおそれもある。
【0010】なお、上述した不規則なしわS1 が発生する原因について、発明者らは以下のように考えている。つまり、前記の配向角度で補強繊維が斜めに配向された円筒体は、船舶等の接岸によって圧縮を受けた際に、当該補強繊維に、その配向角度を大きくする方向(図6中に白矢印で示す方向)の圧力が加わって、補強繊維が上記の方向に偏向する。
【0011】補強繊維は、母線に対する配向角度が大きいほど、圧縮により円筒体が径方向外方へ拡がろうとするのを規制する力が強くなる傾向があるので、上記ように補強繊維が偏向すると、圧縮により円筒体が径方向外方へ拡がろうとする力と、補強繊維による、それを規制しようとする力のバランスが変動する。具体的には、補強繊維による規制力が、補強繊維の偏向にともなって上昇する。
【0012】そして上記のバランスが崩れると、図4(b) に示すように円筒体の中間部分に、補強繊維による規制力が集中して不規則なしわS1 が発生するのである。補強繊維の配向角度を50°未満に設定すれば上記のような不規則なしわS1は発生しなくなるが、当該補強繊維による規制力が低下するため、たとえば図4(c) に示すように、圧縮された円筒体が径方向外方へ過剰に拡がりやすくなり、防舷材の反力が低下して、十分な防舷作用がえられなくなるという問題を生じる。
【0013】この発明の目的は、圧縮によって均一でかつ十分な反力を生じうるとともに、繰り返し圧縮してもやぶれ等の破損を生じにくい防舷材を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための、この発明の防舷材は、ゴム状弾性を示す材料からなる円筒体に気体を封入して、緩衝体として使用する防舷材であって、上記円筒体が、その周面を構成する母線の方向に対して、当該円筒体を平面状に展開したときに50〜60°の角度を有するように配向された状態で、円筒体の全体にわたって埋設された第1の補強繊維群と、上記母線の方向に対して80〜90°の角度を有するように配向された状態で、円筒体の母線の方向の途中の位置に部分的に埋設された第2の補強繊維群とによって補強されていることを特徴とするものである。
【0015】上記構成からなる、この発明の防舷材は、船舶等の接岸によって圧縮されると、円筒体の母線の方向の途中の位置に埋設された第2の補強繊維群の箇所に、たとえば図4(a) に示すように集中的に、当該第2の補強繊維群の配向方向に沿った均一なしわS2 が発生する。これは、上記第2の補強繊維群を構成する補強繊維が、母線の方向に対して80〜90°という大きな角度で配向されており、当該第2の補強繊維群が埋設されていない部分に比べて、圧縮により円筒体が径方向外方へ拡がろうとするのを規制する規制力が著しく大きいためである。
【0016】したがってこの発明の防舷材は、上記のように常に一定の箇所に、均一なしわS2 が発生するため、船舶等の接岸によって生じる反力が常に一定であり、防舷作用が、しわによる影響を受けない。またこの発明においては、上記第2の補強繊維群と、円筒体の全体にわたって埋設された第1の補強繊維群とによって、当該円筒体の、上記しわS2 が発生する箇所が2重に補強されているため、繰り返し圧縮による疲労の集中によって、当該箇所にやぶれ等の破損が発生するのを抑制できる。
【0017】しかもこの発明の防舷材は、上記第2の補強繊維群が埋設された箇所はいうまでもなく、それ以外の箇所も、上記第1の補強繊維群によって、圧縮により円筒体が径方向外方へ拡がろうとする力が確実に規制されるため、圧縮時に十分な反力を生じることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の防舷材を、その実施の形態の一例を示す図1(a)(b)〜図3を参照しつつ説明する。これらの図に示すように、この例の防舷材は、緩衝体としての円筒体10を備えた緩衝部材1と、この緩衝部材1の、円筒体10の一端の開口をふさぐ平板状の頂板2と、上記円筒体10の他端の開口をふさぐ平板状の底板3と、上記頂板2および底板3を緩衝体1に対して固定するための一対の継部材4、5とを備えている。また図3に示すように、上記頂板2の外側には受衝板6が固定される。
【0019】上記のうち緩衝部材1は、前記円筒体10と、この円筒体10の両端開口の縁部から、それぞれ筒の内方へ向けて突出させた一対の環状の突条11、12とを、ゴム等の弾性材料にて一体形成したもので、突条11、12の内部にはそれぞれ、環状のワイヤW1、W2が埋設されている。かかるワイヤW1、W2は、突条11、12の径を維持することで、当該突条11、12と、後述する継部材4、5の環状の溝部43、53との係合を維持するためのものである。
【0020】上記緩衝部材1の円筒体10内には、図1(b) に示すように多数の補強繊維f1 、f2 からなる第1の補強繊維群10aと、補強繊維f3 からなる第2の補強繊維群10bとが埋設されている。このうち、第1の補強繊維群10aを構成する補強繊維f1 と補強繊維f2 とは、互いに交差するように配置されており、そのうち図において手前側の補強繊維f1 は、円筒体10の周面を構成する母線の方向M1 に対して、当該円筒体10を平面状に展開したときに、図中実線の矢印F1 で示すように配向角度θ1 =50〜60°となるように配向されている。
【0021】また図において奥側の補強繊維f2 は、母線の方向M1 に対して、上記補強繊維f1 と反対方向に、図示していないがやはり配向角度θ1 =50〜60°となるように配向されている。つまり補強繊維f1 、f2 は、母線の方向M1 を挟んで互いに反対方向に等しい配向角度θ1 で配向されて、交差している。補強繊維f1 、f2 の配向角度θ1 が上記の範囲に限定されるのは、以下の理由による。
【0022】すなわち、上記範囲よりも配向角度θ1 小さいと、当該補強繊維f1 、f2による、圧縮された円筒体10が径方向外方へ拡がろうとするのを規制する規制力が不足して、緩衝体の反力が低下するという問題を生じる。また逆に、上記の範囲よりも配向角度θ1 が大きいと、第2の補強繊維群10bを構成する補強繊維f3 が埋設された箇所以外で、前記の機構によって不規則なしわが発生して、反力の不均一化ややぶれ等の問題を生じる。
【0023】なお補強繊維f1 、f2 の配向角度θ1 は、円筒体を、当該補強繊維f1 、f2 によって縦方向と周方向とで等しく補強するために、上記範囲内でもとくに、前述した静止角度(=54.74°)前後であるのが好ましい。また、補強繊維f1 、f2 は各々1層ずつでなく2層以上設けてもよく、その場合は補強繊維f1 の層と補強繊維f2 の層を交互に配置するのが好ましい。
【0024】上記第1の補強繊維群10aとともに円筒体10を補強する第2の補強繊維群10bは、図の場合、円筒体10の、母線の方向M1 の中央部に埋設された、2本の補強繊維f3 によって構成されている。上記補強繊維f3 は、母線の方向M1 に対して、円筒体10を平面状に展開したときに、図中実線の矢印F2 で示すように配向角度θ2 =80〜90°となるように配向されている。
【0025】補強繊維f3 の配向角度θ2 が上記の範囲に限定されるのは、上記範囲よりも配向角度θ2 が小さいと、当該補強繊維f3 による、均一なしわを特定の位置に発生させる作用が低下して、第2の補強繊維群10bが埋設された箇所以外で、前記の機構によって不規則なしわが発生して、反力の不均一化ややぶれ等の問題を生じるからである。なお上記配向角度θ2 の上限を90°としたのは、90°を超えて180°までの範囲は、実質的に90〜0°の範囲と同一であるためである。
【0026】なお補強繊維f3 の配向角度θ2 は、より均一なしわを発生させるために、上記範囲内でもとくに90°であるのが好ましい。上記第2の補強繊維群10bは、図の例のように、通常は円筒体10の、母線の方向M1 の中央部に埋設されているのが好ましい。これは、前述したようにかかる位置に、本来的にしわが発生しやすいからである。
【0027】なお第2の補強繊維群10bの埋設幅はとくに限定されないが、円筒体10の、母線の方向M1 の高さの5〜20%程度であるのが好ましい。これより埋設幅が狭いと、第2の補強繊維群10bによる、均一なしわを特定の位置に発生させる作用が低下するおそれがある。またこれより埋設幅が広いと、やはり同様に、第2の補強繊維群10bによる、均一なしわを特定の位置に発生させる作用が低下するおそれがある他、圧縮時の円筒体の、径方向外方への変形量が小さくなりすぎて、ソフトな防舷作用をえられなくなるおそれもある。
【0028】またたとえば円筒体10の径が大きい場合や、あるいは円筒体10の径はさほど大きくなくても、当該円筒体10の、母線の方向M1 の高さの方が径よりもかなり大きいような防舷材の場合には、均一なしわを特定の位置に発生させるために、第2の補強繊維群10bの埋設箇所、すなわちしわの発生箇所を2個所以上に設定するのが望ましい。
【0029】上記第1および第2の補強繊維群10a、10bは、図の場合、第2の補強繊維群10bが、第1の補強繊維群10aよりも円筒体10の外側に埋設されているが、この埋設位置は逆であってもよい。上記第1および第2の補強繊維群10a、10bを構成する補強繊維f1 、f2 、f3 としては、自動車用タイヤ等に使用されるのと同様の、合成繊維等からなるコード状のものが好適に使用される。
【0030】上記各部からなる緩衝部材1は、一定の間隔に保持した継部材4、5の環状の溝部43、53内に、ワイヤW1、W2と、突条11、12となる未加硫のゴム層とを配置するとともに、両継部材4、5間に、円筒体10となる未加硫の積層体を張り渡した状態で、全体を加硫接着することで製造される。上記積層体は、ともに未加硫の内面ゴム層と外面ゴム層との間に、上記第1および第2の補強繊維群10a、10bとなる補強繊維f1 、f2 、f3 を、所定の配向角度で埋設したものである。
【0031】上記のようにして製造された緩衝部材1は、突条11、12が、継部材4、5の溝部43、53に加硫接着されることにより、当該継部材4、5と一体化され、強固に係合される。頂板2および底板3はともに、全体が合成樹脂や金属等で形成された円板であって、このうち頂板2には、後述する継部材4と受衝板6とを固定するためのボルトB1が挿通される通孔21が複数個、円筒体10の筒外の位置に形成されている。また底板3には、後述する継部材5を固定した状態で、当該底板3を岸壁Qに固定するためのボルトB2が挿通される通孔31が複数個、やはり円筒体10の筒外の位置に形成されている。
【0032】継部材4は、筒体41aと、この筒体41aの一端から外方へ延設されたリング体41bとからなり、緩衝部材1の、円筒体10の開口から筒内に挿入される係合部41と、この係合部41の、筒体41aの他端から、円筒体10の筒外へ延設されたリング状の平板部42とを、金属等で一体に形成したものである。そして、上記筒体41a、リング体41bおよび平板部42にて三方が囲まれた環状の領域が、緩衝部材1の突条11が係合される溝部43になっている。
【0033】また上記平板部42には、継部材4を前記頂板2と重ね合わせた際に、当該頂板2の通孔21と一致する位置、つまり円筒体10の筒外の位置に、ボルトB1が挿通される通孔42aが複数個、形成されている。同様に継部材5は、筒体51aと、この筒体51aの一端から外方へ延設されたリング体51bとからなり、円筒体10の開口から筒内に挿入される係合部51と、この係合部51の、筒体51aの他端から、円筒体10の筒外へ延設されたリング状の平板部52とを、金属等で一体に形成したものである。
【0034】そして、上記筒体51a、リング体51bおよび平板部52にて三方が囲まれた環状の領域が、緩衝部材1の突条12が係合される溝部53になっている。また上記平板部52には、継部材5を前記底板3と重ね合わせた際に、当該底板3の通孔31と一致する位置、つまり円筒体10の筒外の位置に、ボルトB2が挿通される通孔52aが複数個、形成されている。
【0035】受衝板6は、全体が合成樹脂や金属等で形成された板体であって、前記継部材4の平板部42の通孔42aと、頂板2の通孔21とを挿通されたボルトB1が螺着されるねじ孔61が形成されている。上記各部からなる防舷材においては、図3に示すように、突条11と溝部43との係合によって、緩衝部材1の、円筒体10の一端開口側に固定された継部材4の、平板部42の通孔42aと、頂板2の通孔21とを挿通したボルトB1を、受衝板6のねじ孔61に螺着することで、当該円筒体10の一端開口を頂板2によってふさぎつつ、この頂板2の外側に受衝板6が固定される。
【0036】また、突条12と溝部53との係合によって、円筒体10の他端開口側に固定された継部材5の、平板部52の通孔52aと、底板3の通孔31とを挿通したボルトB2を、岸壁Qのねじ孔Q1に螺着することで、当該円筒体10の他端開口を底板3によってふさぎつつ、組み立てられた防舷材が、岸壁Qに固定される。
【0037】なお、この発明の防舷材の構成は、以上で説明した、図1(a)(b)〜図3の例には限定されない。たとえば緩衝部材1は、図6に示したように、円筒体の両端に一対のフランジ部を設けた形状であってもよく、その場合には、防舷材の全体も、同図のものに準じた構成とすればよい。
【0038】その他、この発明の要旨を変更しない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
【0039】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1図1(a)(b)〜図3に示す形状を有し、円筒体10の肉厚が5mm、外径が150mm、高さが126mmであるとともに、突条11、12の内径が140mmである緩衝体1と、係合部41、51を構成する筒体41a、51aの外径が140mm、平板部42、52の外径が235mmで、かつ上記各部の厚みがいずれも6mmである継部材4、5と、厚みが6mm、外径が235mmである頂板2、底板3とを組み合わせて防舷材のモデルを構成した。
【0040】なお緩衝体1は、平板部42、52の間隔が126mmとなるように保持した継部材4、5の環状の溝部43、53内に、鋼製の環状のワイヤW1、W2と、天然ゴムとブチルゴムとスチレンブタジエン共重合ゴムとのブレンドゴムからなる、突条11、12となる未加硫のゴム層とを配置するとともに、両継部材4、5間に、円筒体10を構成する3層構造の積層体を張り渡した状態で、全体を加硫接着して製造した。
【0041】上記積層体としては、ともに天然ゴムとブチルゴムとスチレンブタジエン共重合ゴムとのブレンドゴムからなる未加硫の内面ゴム層と外面ゴム層との間に、多数の補強繊維f1 、f2 を交差させた第1の補強繊維群10aと、2本の補強繊維f3 からなる第2の補強繊維群10bとを、第2の補強繊維群10bが円筒体10の外側に位置するように埋設したものを使用した。
【0042】また上記補強繊維f1 、f2 、f3 としては、断面積0.27mm2 のポリエステル繊維製のコード状のものを使用し、第1の補強繊維群10aの繊維密度は、補強繊維f1 、f2 のそれぞれについて1.0mm/本、配向角度θ1 は54.74°とし、第2の補強繊維群10bの2本の補強繊維の間隔は20mm、配向角度θ2 は90°とした。
【0043】また継部材4、5は、鋼材から切削加工した部材を組み立てて製造し、頂板2、底板3は、鋼板を切削加工して製造した。さらに継部材4、5の平板部42、52、頂板2および底板3にはそれぞれ、ねじ径10mmのボルトを挿通するための直径12mmの通孔を、等間隔で8個、形成した。
【0044】比較例1円筒体10を構成する積層体中に、第2の補強繊維群10bを埋設しなかったこと以外は実施例1と同様にして、防舷材のモデルを構成した。比較例2円筒体10を構成する積層体中に、第2の補強繊維群10bを埋設せず、かつ第1の補強繊維群10aの配向角度θ1 を45°としたこと以外は実施例1と同様にして、防舷材のモデルを構成した。
【0045】上記実施例、比較例の防舷材の底板を5トン油圧プレス機のベッドに、頂板をラムに、それぞれ通孔を挿通したボルトにて固定した。そして上記油圧プレス機を用いて、毎分20mmの速度で、円筒体10の圧縮率が60%となるまで圧縮した際の吸収エネルギーE〔kgf・m〕と、上記圧縮時の反力R〔kgf〕とを測定するとともに、圧縮時の円筒体10の変形形状を記録した。
【0046】上記吸収エネルギーEと反力Rの測定結果を表1に示すとともに、圧縮時の円筒体10の変形形状を図4(a) 〜(c) に示した。なお図4(a) は実施例1、図4(b) は比較例1、図4(c) は比較例2の結果を示している。
【0047】
【表1】

【0048】上記表1および図4(a) 〜(c) にみるように、第2の補強繊維群10bを埋設しなかった比較例1は、圧縮によって不規則なしわS1 が発生した。また第2の補強繊維群10bを埋設せず、かつ第1の補強繊維群10aの配向角度を50°未満とした比較例2は、圧縮によって円筒体10が径方向外方へ大きく拡がって、反力が著しく低下した。これに対し実施例1は、圧縮によって、第2の補強繊維群10bを埋設した箇所に、当該第2の補強繊維群10bに沿った均一なしわS2 が発生した。また圧縮によって十分な反力を生じることも確認された。
【0049】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれば、圧縮によって均一でかつ十分な反力を生じうるとともに、繰り返し圧縮してもやぶれ等の破損を生じにくい防舷材を提供することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)7月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外1名)
【公開番号】 特開平10−18268
【公開日】 平成10年(1998)1月20日
【出願番号】 特願平8−172558