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【発明の名称】 シール構造
【発明者】 【氏名】鈴木 博登
【氏名】徳渕 克正
【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 杭に、係止用の孔を嵌めて大型のブロックを一体に構築する際に、杭とブロックの孔との間に生じる隙間に注入するモルタルやシール材が漏出しないようにするシール構造において、断面形状を凸状の曲面形状とした反力部の裏部から延長させてこの反力部を支える支承部を設け、上記反力部に圧縮方向にせばまるように切欠部を形成したゴム製のシール部材を、ブロックの孔の内周面に支承部によって取り付けたことを特徴とするシール構造。
【請求項2】 請求項1において、支承部に補強体をゴムに積層して一体に埋設させたことを特徴とするシール構造。
【請求項3】 請求項1および請求項2において、反力部の裏部および支承部に補強体をゴムに積層して一体に埋設させたことを特徴とするシール構造。
【請求項4】 請求項2および請求項3において、補強体を各種繊維の布状体としたことを特徴とするシール構造。
【請求項5】 請求項2および請求項3において、補強体を金属メッシュとしたことを特徴とするシール構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁、防波堤等の大型土木工事による杭(柱を含む。)と大型のブロックとの接合箇所のシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】陸上や海上の現場で打設した杭に、工場生産された橋梁や鉄道のスラブ等の大型のブロックを設置する場合、ブロックに杭が通る孔を設け、その孔によって杭の所定の箇所に固定するに際し、杭と孔との嵌合部に生じる隙間にモルタルやシール材を注入している。
【0003】そこで、このモルタルやシール材が嵌合部から流出しないようにブラケット等の支保工を杭の嵌合部に取り付けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ブラケット等の支保工を杭の嵌合部に取り付ける作業は、現場に既設した杭に対して行われるために、高所作業や水中作業が必要となり、高所作業は組まれた不安定な足場によっての作業であるために材料の落下や作業員の転落事故等の危険が伴い、また、水中作業は潜水服を付けての作業となるためにこれも非常に作業性が悪いと共に危険が伴うという問題があった。
【0005】さらに、いずれの場合にせよ、杭と孔との間に生じた隙間といえども大型であるために注入するモルタルやシール材の量は大量であり、それをブラケット等の支保工では確実に漏出させないようにしておくことができず、注入したモルタルやシール材が接合部から流出して周辺の環境を汚染するという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、断面形状を凸状の曲面形状とした反力部の裏部から延長させてこの反力部を支える支承部を設け、上記反力部に圧縮方向にせばまるように切欠部を形成したゴム製のシール部材を、ブロックの孔の内周面に取り付けたことを特徴とする。
【0007】
【作用】以上の構成によると、杭にブロックを嵌めたときに杭とブロックの孔との隙間の下部はシール部材によって密閉されることになり、杭とブロックの孔との隙間に注入されたモルタルやシール材は漏出することなく隙間内におさまって凝固して固着することになる。
【0008】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は説明図、図2は要部拡大断面図、図3はシール部材の断面図であり、図において、1は杭であり、上記の如く柱を含む概念であって現場で打設した鋼管杭やコンクリート杭である。
【0009】2は工場生産された橋梁や鉄道のスラブ等の大型のブロックであり、上記杭1に嵌合する孔3があけてある。4はシール部材であり、上記嵌合に際して移動側となるブロック2の孔3内周に沿って取り付けてある。このシール部材4は断面形状ほぼ半円形等の反力部5とその裏部から延長させて反力部5を支える支承部6から形成されており、反力部5の適当な箇所には圧縮方向にせばまる方向にくさび形等の任意形状の切欠部7が形成されており、支承部6の端部には固定用の取り付け孔8があけてある。シール部材4はゴム製であり、ゴム材料は金属と比べて比重が小さいため重量が小さくしかも弾性特性を任意に変化させることができる。
【0010】9は支承部6に必要に応じて設けた積層部であり、天然繊維、合成繊維等の各種繊維による布状体や金属メッシュ等の補強体10がゴムと積層するように一体に埋設してあるもので、ゴムの横歪みを抑制すると共に繊維の強度によって高いばね特性を得ることができ、しかも金属と比較して柔軟な材料とすることができるもので、補強体の積層数や繊維の種類や金属の種類の材質を任意に選択することによって所望のばね特性と強度を得ることができる。
【0011】なお、上記反力部5は、断面形状が半円形に限らず楕円や逆水滴状等の任意の凸状の曲面形状でよく、支承部6の厚さを含んだ反力部5の厚さが、杭1とブロック2の孔3とで形成される隙間11より大きくなくてはいけない。図4はシール部材の重量と変位の関係を示すグラフであり、比例的関係に存在していることがわかる。この性質から、ブロックの孔と杭との間の隙間とシール部材の厚さの差によってシール部材に変位が生じ、この変位によってゴム材料に反力が生じる。この反力によって後述するようにブロックの孔と杭との間の隙間を密閉して注入したモルタルやシール材の漏出を防ぐことになる。
【0012】このようにしたシール部材4を反力部5を上方にしてブロック2の孔3内周に沿って支承部6に設けた取り付け孔8にボルト12を通して固定する。このようにしてシール部材4を取り付けたブロック2を杭1に嵌めるもので、ブロック2を上方から降ろしてシール部材4を杭1の周囲を滑らせるように移動させて所定の箇所に位置決めするものであり、したがってシール部材4は移動の際にまくれ上がらないように支承部6の下部が係止され、上部の反力部5は押圧された状態で移動するために変形することになり、その変形量が異常に大きくなって反力部5が破壊されないように切欠部7が形成されている。この切欠部7は、ブロックの孔と杭の許容公差によって切欠形状を決定すればよい。
【0013】このようにして位置決めされた杭1とブロック2の孔3とで形成される隙間11にモルタルやシール材を注入するものであり、注入されたモルタルやシール材はシール部材4によって漏出することなく隙間内におさまって凝固して固着することになる。なお、図5に示す如く、杭1の上端にブロック2を載置するような構造いおいては、モルタルやシール材を注入する際には、ブロック2の上面に注入孔をあけてそこからモルタルやシール材を注入することになる。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明した本発明によると、断面形状を凸状の曲面形状とした反力部の裏部から延長させてこの反力部を支える支承部を設け、上記反力部に圧縮方向にせばまるように切欠部を形成したゴム製のシール部材を、ブロックの孔の内周面に支承部によって取り付けることにより、杭にブロックを嵌めたときに杭とブロックの孔との隙間の下部は密閉されることになり、杭とブロックの孔との隙間に注入されたモルタルやシール材は漏出することなく隙間内に確実におさまって凝固して固着することになる。
【0015】また、反力部には切欠部を設けたことにより、杭の許容公差に対応することができ、ブロックの嵌合に際して多少の杭とブロックの孔との隙間の誤差および全周にわたって均等な隙間でなく多少偏心した状態であっても支障をきたすことなく嵌合し、しかも確実に杭とブロックの孔との隙間の下部を密閉することができる効果を有する。
【0016】さらに、支承部に布状体や金属メッシュの補強体をゴムに積層して一体に埋設させることにより、ブロックの杭への嵌合圧入時における初期摩擦力に対抗し、多様な重量のブロックに対応することができる効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)7月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
【公開番号】 特開平10−18267
【公開日】 平成10年(1998)1月20日
【出願番号】 特願平8−178272