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【発明の名称】 水門扉の開閉装置
【発明者】 【氏名】前川 伸
【氏名】平野 晴彦
【氏名】金子 徹
【氏名】丸本 二郎
【課題】■水門扉全体の景観を向上でき、■扉体昇降用油圧シリンダの据付時及び保守時の作業を容易に行うことができる水門扉の開閉装置を提供する点にある。

【解決手段】扉体昇降用油圧シリンダにより扉体を開閉する水門扉の開閉装置において、開閉装置本体の上部にトラニオン架台を設け、同トラニン架台により前記扉体昇降用油圧シリンダのシリンダ部を昇降可能に支持し、同シリンダ部を下降させたときに前記トラニオン架台に係合する上部トラニオン軸を同シリンダ部の上部に設け、同シリンダ部を上昇させたときに前記トラニオン架台に係合する下部トラニオン軸を同シリンダ部の下部に設け、同扉体昇降用油圧シリンダのピストンロッドのストロークを扉体の揚程の略半分にして、同ピストンロッドの下端部を扉体の上部に取付け、扉体の揚程の中間位置に相当する開閉装置本体の部分に扉体を一時的に保持する休止装置を設けており、扉体昇降用油圧シリンダを尺取り虫状に作動させて、扉体を開閉させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉体昇降用油圧シリンダにより扉体を開閉する水門扉の開閉装置において、開閉装置本体の上部にトラニオン架台を設け、同トラニン架台により前記扉体昇降用油圧シリンダのシリンダ部を昇降可能に支持し、同シリンダ部を下降させたときに前記トラニオン架台に係合する上部トラニオン軸を同シリンダ部の上部に設け、同シリンダ部を上昇させたときに前記トラニオン架台に係合する下部トラニオン軸を同シリンダ部の下部に設け、同扉体昇降用油圧シリンダのピストンロッドのストロークを扉体の揚程の略半分にして、同ピストンロッドの下端部を扉体の上部に取付け、扉体の揚程の中間位置に相当する開閉装置本体の部分に扉体を一時的に保持する休止装置を設けたことを特徴とする水門扉の開閉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉体昇降用油圧シリンダにより扉体を開閉する水門扉の開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の水門扉の開閉装置を図6、図7により説明すると、013が開閉装置本体、014が開閉装置本体013の上部に設けた基台、04が基台014の上面に設けた下部トラニオン軸受、02がトラニオン架台、06がトラニオン架台02に固定した下部トラニオン軸で、下部トラニオン軸06と下部トラニオン軸受04とによりトラニオン架台02が矢印方向への揺動を可能に支持されている。
【0003】03がトラニオン架台02の上面に取付けた上部トラニオン軸受、01が扉体昇降用油圧シリンダ、05が扉体昇降用油圧シリンダ01のシリンダ部に固定した上部トラニオン軸で、上部トラニオン軸05と上部トラニオン軸受03とにより扉体昇降用油圧シリンダ01が矢印方向への揺動を可能に支持されている。011が扉体昇降用油圧シリンダ01のピストンロッド、07がピストンロッド011の下端部に設けたクレビス、08が球面軸受、09が扉体連結軸、012が扉体で、扉体昇降用油圧シリンダ01のピストンロッド011の下端部が扉体012に連結されている。
【0004】扉体昇降用油圧シリンダ01のピストンロッド011のストロークが扉体012の全揚程に等しくなっている。上記図6、図7に示す水門扉の開閉装置では、扉体昇降用油圧シリンダ01を伸縮方向に作動して、扉体012を開閉するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記図6、図7に示す水門扉の開閉装置では、扉体昇降用油圧シリンダ01のピストンロッド011のストロークが扉体012の全揚程に等しくなっているので、扉体昇降用油圧シリンダ01が常に基台014から上方へ大きく突出して、水門扉全体の景観が損なわれるという問題があった。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑み提案するものであり、その目的とする処は、■水門扉全体の景観を向上でき、■扉体昇降用油圧シリンダの据付時及び保守時の作業を容易に行うことができる水門扉の開閉装置を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、扉体昇降用油圧シリンダにより扉体を開閉する水門扉の開閉装置において、開閉装置本体の上部にトラニオン架台を設け、同トラニン架台により前記扉体昇降用油圧シリンダのシリンダ部を昇降可能に支持し、同シリンダ部を下降させたときに前記トラニオン架台に係合する上部トラニオン軸を同シリンダ部の上部に設け、同シリンダ部を上昇させたときに前記トラニオン架台に係合する下部トラニオン軸を同シリンダ部の下部に設け、同扉体昇降用油圧シリンダのピストンロッドのストロークを扉体の揚程の略半分にして、同ピストンロッドの下端部を扉体の上部に取付け、扉体の揚程の中間位置に相当する開閉装置本体の部分に扉体を一時的に保持する休止装置を設けている。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明の水門扉の開閉装置を図1〜図5に示す一実施形態により説明すると、16が開閉装置本体、17が開閉装置本体16上部に設けた基台、2がトラニオン架台、7がトラニオン架台2を基台17の上面に揺動可能に支持する下部トラニオン軸受である。
【0009】1が扉体昇降用油圧シリンダ、1’が扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド、14がピストンロッド1’の下端部に固定したクレビスで、ピストンロッド1’のストロークは、扉体15の揚程の略半分になっている。4、4が扉体昇降用油圧シリンダ1の上部に固定した上部トラニオン軸、5が扉体昇降用油圧シリンダ1の下部に固定した下部トラニオン軸、6、6が扉体昇降用油圧シリンダ1を挟んでトラニオン架台2の上面に配設した一対の上部トラニオン軸受、6’が各上部トラニオン軸受6を接離方向に移動可能に支持する左右各一対ずつの支持部材で、各支持部材6’がトラニオン架台2の上面に取付けられている。
【0010】9、9が各上部トラニオン軸受6の間に介装した上部トラニオン軸受用油圧シリンダで、各上部トラニオン軸受用油圧シリンダ9を伸縮方向に作動して、各上部トラニオン軸受6を接離方向に移動させるようになっている。10、10が各上部トラニオン軸受6の間のトラニオン架台2に固定した一対のガイドシュー、11、11が扉体昇降用油圧シリンダ1に固定するとともに各ガイドシュー11に摺動可能に係合したガイドレールで、各上部トラニオン軸受用油圧シリンダ9を伸長方向に作動して、各上部トラニオン軸受6を支持部材6’に沿って離間方向に移動し、扉体昇降用油圧シリンダ1を各上部トラニオン軸受6から解放して、扉体昇降用油圧シリンダ1のガイドシュー10及びガイドレール11に沿った昇降を可能にしている。その際、ガイドシュー10及びガイドレール11は、扉体昇降用油圧シリンダ1の振れを防止する。
【0011】なおガイドシュー10は、上部トラニオン軸4と同一レベル位置に設けられており、扉体昇降用油圧シリンダ1の上部トラニオン軸4を中心とした揺動は阻害されない。3が休止装置で、この休止装置3は、扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’の下端部のクレビス14に設けた休止ピン8と、扉体15の揚程の中間位置に当たる開閉装置本体16部分に扉体15を一時的に保持するために扉体15方向への前進と反対方向への後進とを可能に設けた休止桁13と、休止桁13を前後進させて休止桁13に設けたピン孔13’を休止ピン8に係脱させる休止用油圧シリンダ12とにより構成されている。
【0012】なお休止ピン8は、扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’の下端部のクレビス14を延長して形成しても、クレビス14に別個に設けてもよい。次に前記図1〜図5に示す水門扉の開閉装置の作用を具体的に説明する。
(1)図5(a)は、扉体15が最下位置(閉位置)にある状態を示している。このとき、扉体15に連結している扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’を扉体15の揚程の略半分のストロークだけ伸長方向に作動して、扉体昇降用油圧シリンダ1のシリンダ部の上部トラニオン軸4、4をトラニオン架台2の上面に設けた上部トラニオン軸受6、6の係合孔に対向させる。
【0013】次いで上部トラニオン軸受用油圧シリンダ9、9を縮み方向に作動し、上部トラニオン軸受6、6を相対的に接近させて、上部トラニオン軸受6、6の係合孔を扉体昇降用油圧シリンダ1のシリンダ部の上部トラニオン軸4、4に係合させる。
(2)次いで図5(b)に示すように扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’を扉体15の揚程の略半分のストロークだけ縮み方向に作動させて、扉体15を中間位置まで上昇させる。このとき、扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’の下端部に設けた休止ピン8が休止桁13のピン孔13’に対向するので、休止用油圧シリンダ12を伸長方向に作動して、休止桁13を前進させ、休止桁13のピン孔13’を扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’の下端部の休止ピン8に係合させて、扉体15を中間位置に保持する。
【0014】次いで上部トラニオン軸受用油圧シリンダ9、9を伸長方向に作動し、上部トラニオン軸受6、6を相対的に離間させて、上部トラニオン軸受6、6の係合孔を扉体昇降用油圧シリンダ1のシリンダ部の上部トラニオン軸4、4から離脱させて、扉体昇降用油圧シリンダ1をトラニオン架台2から解放する。
(3)次いで図5(c)に示すように扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’を扉体15の揚程の略半分のストロークだけ伸長方向に作動して、扉体昇降用油圧シリンダ1のシリンダ部の下部トラニオン軸5、5をトラニオン架台2の上面に設けた上部トラニオン軸受6、6の係合孔に対向させる。
【0015】次いで上部トラニオン軸受用油圧シリンダ9、9を縮み方向に作動し、上部トラニオン軸受6、6を相対的に接近させて、上部トラニオン軸受6、6の係合孔を扉体昇降用油圧シリンダ1のシリンダ部の下部トラニオン軸5、5に係合させる。
(4)次いで図5(d)に示すように休止用油圧シリンダ12を縮み方向に作動して、休止桁13を後進させ、休止桁13のピン孔13’を扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’の下端部の休止ピン8から離脱させて、扉体15を解放する。
【0016】次いで扉体昇降用油圧シリンダ1のピストンロッド1’を扉体15の揚程の略半分のストロークだけ縮み方向に作動して、扉体15を最上位置(開位置)まで上昇させる。以上は、扉体15を最下位置(閉位置)から最上位置(開位置)に上昇させる場合であるが、下降させる場合には、同じ要領で順序を逆に行えばよい。
【0017】
【発明の効果】本発明は前記のように扉体昇降用油圧シリンダにより扉体を開閉する水門扉の開閉装置において、開閉装置本体の上部にトラニオン架台を設け、同トラニン架台により前記扉体昇降用油圧シリンダのシリンダ部を昇降可能に支持し、同シリンダ部を下降させたときに前記トラニオン架台に係合する上部トラニオン軸を同シリンダ部の上部に設け、同シリンダ部を上昇させたときに前記トラニオン架台に係合する下部トラニオン軸を同シリンダ部の下部に設け、同扉体昇降用油圧シリンダのピストンロッドのストロークを扉体の揚程の略半分にして、同ピストンロッドの下端部を扉体の上部に取付け、扉体の揚程の中間位置に相当する開閉装置本体の部分に扉体を一時的に保持する休止装置を設けており、扉体昇降用油圧シリンダを尺取り虫状に作動させるので、扉体を最下位置(閉位置)及び中間位置に移動させたときに、扉体昇降用油圧シリンダを上方に大きく突出させることがなくて、水門扉全体の景観を向上できる。
【0018】また扉体昇降用油圧シリンダのピストンロッドのストロークを扉体の揚程の略半分にしているので、扉体昇降用油圧シリンダに小型なものを使用できて、扉体昇降用油圧シリンダの据付時及び保守時の作業を容易に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】592083753
【氏名又は名称】社団法人ダム・堰施設技術協会
【出願日】 平成8年(1996)6月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 重文 (外1名)
【公開番号】 特開平10−8444
【公開日】 平成10年(1998)1月13日
【出願番号】 特願平8−162928