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【発明の名称】 構造物用型枠構造およびこれを用いる構造物の構築方法
【発明者】 【氏名】岩藤 正彦
【氏名】三井 良直
【氏名】大西 典昭
【課題】簡素な構造であり、かつクレーンなどで支持しなくとも自立可能な構造物用型枠を提供する。

【解決手段】均しコンクリート3A上に標準型枠1と小型型枠2を交互に並べて鋸歯状の型枠を設置し、この型枠にコンクリートを打設する。その後、鋸歯状の凹部を埋めるように、小型型枠2上に標準型枠1を設置し、さらに嵩高くコンクリート3を打設する。以後、同様に標準型枠1の設置およびコンクリート3の打設を数回繰り返し、最上段において、鋸歯状の凹部を埋めるようにして小型型枠を設置し、天端を揃えてコンクリート3を打設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】単位型枠が高さ方向および横方向に連続して設けられ、打設するコンクリートの型枠となるとともに、構造物の一部を構成する構造物用型枠であって;前記単位型枠は、外面が前記構造物の壁面を構成する本体壁部を有し、この本体壁部の背面がわに突出する支持壁部が前記本体壁部と一体的に形成されており、前記本体壁部の下面と支持壁部の下面とはほぼ同一レベルとされ;対象の1つの単位型枠が、その下方に位置する下方単位型枠の上に各本体壁部を隣接させて同一平面上に配置され、かつ前記1つの単位型枠に対して各本体壁部を横方向に隣接させて同一平面上に配置された2つの隣接横単位型枠との間において、隣接配置後に配設される連結部材を介してそれぞれ一体的に連結され、前記1つの単位型枠における前記レベルにコンクリート打継ぎ面があることを特徴とする構造物用型枠構造。
【請求項2】前記支持壁部は本体壁部のほぼ中央から下部のみに形成されている請求項1記載の構造物用型枠構造。
【請求項3】前記1つの単位型枠の本体壁部が、その下方に位置する下方単位型枠本体壁部と噛み合わせ関係にある請求項1記載の構造物用型枠構造。
【請求項4】前記支持壁部の下端面に、前記コンクリート打継ぎ面との間にジャッキを噛ませるための切欠き部が形成されている請求項1記載の構造物用型枠構造。
【請求項5】前記打継ぎ面下の既打設のコンクリート中に前記2つの隣接横単位型枠の下部が埋設されている請求項1記載の構造物用型枠構造。
【請求項6】前記打継ぎ面下の既打設のコンクリート中に、前記2つの隣接横単位型枠の下部が、前記下方単位型枠のほぼ全体が埋設されている請求項1記載の構造物用型枠構造。
【請求項7】前記下方単位型枠および2つの隣接横単位型枠が前記構造物用型枠の最下端壁を構成する場合にあって、これらの単位型枠群の少なくとも2つが、それらの本体壁部背面と施工基面において前記本体壁部より後方位置に対応して打設されたアンカーとの間が支え部材を介して連結され、前記施工基面に対して固定されている請求項1記載の構造物用型枠構造。
【請求項8】単位型枠を高さ方向および横方向に連続して設けた構造物用型枠に対してコンクリートを打設するとともに、前記構造物用型枠を残置して構造物を構築するものであり;前記単位型枠として、外面が前記構造物の壁面を構成する本体壁部を有し、この本体壁部の背面がわに突出する支持壁部が前記本体壁部と一体的に形成されており、前記本体壁部の下面と支持壁部の下面とはほぼ同一レベルとされたものを用い;横方向に配置する前記単位型枠群を、各本体壁部の上端面が鋸歯状に食い違わせて配置し、この下部単位型枠群列に対する上部単位型枠群列の配置に際して、鋸歯相互が噛み合うように配置し、各隣接単位型枠相互を連結部材により連結することを特徴とする構造物の構築方法。
【請求項9】前記構造物の最下端単位型枠群列として、本体壁部高さが異なる2種類の単位型枠を各本体壁部の上端面が鋸歯状に食い違わせて配置して構成する請求項8記載の構造物の構築方法。
【請求項10】最上端単位型枠群列の鋸歯を凹部を埋めて本体壁部上端の高さを揃えるべく、その高さ分の長さの本体壁部をもつ単位型枠を配置する請求項8記載の構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物用型枠構造およびこれを用いた構造物の構築方法に関する。
【0002】さらに、詳しくは、単位型枠が高さ方向および横方向に連続して設けられ、打設するコンクリートの型枠となるとともに、構造物の一部を構成する構造物用型枠の構造、ならびにこれを用いるダムの堤体などの構造物の構築方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、ダム堤体などの構造物を構築するにあたり、小型の構造物を構築する場合には、木製あるいは鋼製の型枠を主に人力で組み立て、アンカーや端太材などで位置固定し、この型枠にコンクリートを打設し、打設されたコンクリートが固化した後、型枠を外して、その上部にさらに同様の手順によってコンクリートを打設し、以後、この作業を繰り返して構造物を構築していた。比較的大型の構造物を構築する場合には、油圧や電気を利用して移動式型枠をスライドさせるいわゆるスライドフォーム方式が使用されていた。
【0004】しかし、人力で組み立てる構築方法では、作業員の負担が大きく、また型枠を組み立てるたびに作業用の足場をつくられなければならないため、手間がかかるとともに、安全対策を厳密にしないと墜落災害などが発生する危険性がある。さらに、こまめにアンカーなどを取らなければ、型枠の変形が生じて仕上がり品質の低下などを招いてしまう。
【0005】他方、スライド式の型枠を用いた構造物の構築方法の場合、これに用いる装置が大掛かりとなってしまうため、コストが増大するために、大型構造物の構築には適しているものの、小型の構造物の構築に対しては、コスト的に見合わない。
【0006】そこで、近年においては、プレキャストコンクリートを使用し、このプレキャストコンクリートと、打設されるコンクリートとを一体化して構造物を構築する方法ならびにこれに用いられるプレキャストコンクリートパネルについて種々提案されている。
【0007】その一例として、特開平4−64612 号公報においては、高さ方向および横方向に連続して接続され、打設コンクリートの型枠を兼ね、コンクリート躯体の一部となるパネルであり、板状の本体と、本体のコンクリート躯体側に高さ方向に連続的に突設され、横方向に並列する突起とからなり、突起にはその長さ方向に、相互に連結するための鋼棒が挿通される挿通孔が穿設されている型枠兼用コンクリートパネルが開示されている。また、既に設置済の前記型枠兼用コンクリートパネル上に新規に型枠兼用コンクリートパネルを連続して設置し、この新設の型枠兼用コンクリートパネルの挿通孔に挿通された鋼棒と下側の型枠兼用コンクリートパネルの鋼棒とを連結した後、新設の型枠兼用コンクリートパネルの突起側にコンクリートを打設し、更に新規に型枠兼用コンクリートパネルを設置する、という手順で型枠兼用コンクリートパネルを互いに高さ方向に連結しながら設置する型枠兼用コンクリートパネルの施工方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記公報掲載のコンクリートパネルにおいては、コンクリートパネルに鋼棒を設けておき、これを型枠として使用する際、既設のコンクリートパネルおよび新設のコンクリートパネルそれぞれの鋼棒をカプラーで連結するとともに、コンクリートパネル同士をボルトナットで固定して新設のコンクリートパネルが自立できるようにし、打設コンクリートに抗する構造とされている。
【0009】しかし、この構造では、コンクリートパネルを自立させるために鋼棒やカプラー、さらにはボルトナットなどを必要とするため、コンクリートパネルのみで自立することができない。したがって、新設のコンクリートパネルを自立させる際、鋼棒の連結作業などを行っている間、何らかの手段(同公報に具体的な手段の開示はない)によって新設のコンクリートパネルを支えて、起立した状態で維持させておく必要があり、作業性が優れるものではない。さらに、同公報に記載の技術的思想は、パネルを枡目状に配置し、高さ方向には鋼棒で連結するとともに、横方向についてはプレートおよびボルトにより連結し、さらに補充的に上下隣接部を予め端部に埋設した金物相互をボルトおよびナットにて連結するものであり、コンクリートパネルを自立させるとの思想はない。
【0010】そこで、本発明の課題は、簡素な構造であり、しかも、パネル自体で安定的に自立させるようにすることにより、優れた組み立て作業性をもたらす構造物用型枠構造を提供することにある。
【0011】また、他の課題は、この構造物用型枠構造を適用して効率的に構造物の構築を行うことができるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発明に係る構造物用型枠構造は、単位型枠が高さ方向および横方向に連続して設けられ、打設するコンクリートの型枠となるとともに、構造物の一部を構成する構造物用型枠であって;前記単位型枠は、外面が前記構造物の壁面を構成する本体壁部を有し、この本体壁部の背面がわに突出する支持壁部が前記本体壁部と一体的に形成されており、前記本体壁部の下面と支持壁部の下面とはほぼ同一レベルとされ;対象の1つの単位型枠が、その下方に位置する下方単位型枠の上に各本体壁部を隣接させて同一平面上に配置され、かつ前記1つの単位型枠に対して各本体壁部を横方向に隣接させて同一平面上に配置された2つの隣接横単位型枠との間において、隣接配置後に配設される連結部材を介してそれぞれ一体的に連結され、前記1つの単位型枠における前記レベルにコンクリート打継ぎ面があることを特徴とするものである。
【0013】本発明においては、本体壁部と支持壁部が支え合うことにより自立可能とされているため、この構造物用型枠を設置する際に、起立させるための手段を何ら必要としない。したがって、簡素な構造であるとともに、作業性に優れたものである。
【0014】ここで、本発明において用いられる単位型枠として、前記支持壁部は本体壁部のほぼ中央から下部のみに形成されているものが好適に用いられる。
【0015】また、本発明において好ましくは、前記1つの単位型枠の本体壁部が、その下方に位置する下方単位型枠本体壁部と噛み合わせ関係にある。
【0016】1つの単位型枠の本体壁部と、その下方に位置する下方単位型枠本体壁部とを噛み合わせ関係とすることにより、上方に位置する単位型枠を安定した状態で配置できる。この噛み合わせの具体的な態様としては、たとえば本体壁部の上面を凸形状とし、下面を上面の凸形状と同じ曲率の凹形状とするものである。
【0017】さらに、本発明において望ましくは、前記支持壁部の下端面に、前記コンクリート打継ぎ面との間にジャッキを噛ませるための切欠き部が形成されている。
【0018】この切欠き部にジャッキなどを噛ませて型枠の後部高さを調整することにより、型枠表面の勾配を容易に調整することができる。
【0019】また、本発明においては、前記打継ぎ面下の既打設のコンクリート中に前記2つの隣接横単位型枠の下部が埋設されている構造とすることができる。
【0020】さらには、前記打継ぎ面下の既打設のコンクリート中に、前記2つの隣接横単位型枠の下部が、前記下方単位型枠のほぼ全体が埋設されている構造とすることもできる。
【0021】また、本発明において好ましくは、前記下方単位型枠および2つの隣接横単位型枠が前記構造物用型枠の最下端壁を構成する場合にあって、これらの単位型枠群の少なくとも2つが、それらの本体壁部背面と施工基面において前記本体壁部より後方位置に対応して打設されたアンカーとの間が支え部材を介して連結され、前記施工基面に対して固定されている。
【0022】このように、構造物用型枠の最下端壁を構成する単位型枠群の少なくとも2つを支え部材を介して施工基面に打設されたアンカーと固定することにより、これら2つの単位型枠の転倒を確実に防止することができる。また併せて、この単位型枠群を構成する他の単位型枠は、連結部材を介して、直接または間接的に施工基面に固定された2つの単位型枠と連結されているため、他の単位型枠の転倒をも確実に防止することができる。
【0023】また、上記型枠構造を用いた本発明に係る構造物の構築方法は、単位型枠を高さ方向および横方向に連続して設けた構造物用型枠に対してコンクリートを打設するとともに、前記構造物用型枠を残置して構造物を構築するものであり;前記単位型枠として、外面が前記構造物の壁面を構成する本体壁部を有し、この本体壁部の背面がわに突出する支持壁部が前記本体壁部と一体的に形成されており、前記本体壁部の下面と支持壁部の下面とはほぼ同一レベルとされたものを用い;横方向に配置する前記単位型枠群を、各本体壁部の上端面が鋸歯状に食い違わせて配置し、この下部単位型枠群列に対する上部単位型枠群列の配置に際して、鋸歯相互が噛み合うように配置し、各隣接単位型枠相互を連結部材により連結することを特徴とするものである。
【0024】ここで、望ましくは、前記構造物の最下端単位型枠群列として、本体壁部高さが異なる2種類の単位型枠を各本体壁部の上端面が鋸歯状に食い違わせて配置して構成する。
【0025】さらに望ましい態様は、最上端単位型枠群列の鋸歯を凹部を埋めて本体壁部上端の高さを揃えるべく、その高さ分の長さの本体壁部をもつ単位型枠を配置するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。図1〜図3に示す単位型枠1は、標準サイズの単位型枠(以下、「標準型枠」という)であり、図4および図5に示す単位型枠2は、小型の単位型枠(以下、「小型型枠」という)であり、いずれもいわゆるプレキャストコンクリートである。
【0027】標準型枠1は、外面が構造物の壁面を構成する本体壁部11と、本体壁部11の背面11Aに一体的に突出して形成された支持壁部12によって構成されている。本体壁部11の上端面11Bは、上方向に突出し、断面が曲線(たとえば円弧)の凸形状とされ、下端面11Cは、断面がこの曲線とほぼ同一の曲率を有する凹形状とされており、標準型枠1,1を高さ方向に積み上げたときに、下がわの標準型枠1の勾配と上がわの標準型枠1の勾配が変化する場合にも、それらが隙間なく接触するようにされている。
【0028】側面11Dおよび11Eは、外面11Fから背面11A方向に狭まるようにテーパーが付されている。外面11Fは、構築される構造物の壁面を構成するので、構造物が構築される場所の情景などに合わせて適宜の化粧を施される。また、背面11Aには、6つのインサート11a〜11fが穿設されており、隣接する型枠と連結される際に、連結金具を係止するボルトやその他のボルトなどが螺着するようにされている。
【0029】一方、支持壁部12には、構造物を構築する際に、固化後の打設コンクリートとの接触面積を大きくして剪断力に抗するように凹溝部12A、12Bが形成されているとともに、この凹溝部12A、12Bを連通する貫通孔12Cが穿設されている。また、標準型枠1の傾斜角度を微調整することができるように、ジャッキなどを噛ませるための切欠き部12Dが、たとえば支持壁部12の後端下部に逆L字状に切欠きされて形成されている。さらに、本体壁部11の下面と支持壁部12の下面とはほぼ同一レベルとされるが、実施例においては、図2に示されるように、支持壁部12の下面12Eは、本体壁部11の下端面11Cの最下端辺よりも若干、たとえば2cm程度高い位置となるようにされている。前記レベルは単位型枠自体が自立に損なわない範囲で決定される。
【0030】なお、たとえば標準型枠1の寸法としては、本体壁部11の高さが2m、幅1mとされ、重量は約1tとされる。
【0031】小型型枠2は、図4および図5に示すように、標準型枠1と比較して、本体壁部21の高さ方向の長さは、標準型枠1の本体壁部11の高さ方向の長さの約半分とされており、インサート21a〜21dは4つとされている部分において異なり、その他は、標準型枠1と同一の仕様とされている。したがって、同一部位には20番台の符号を付して説明を省略する。
【0032】次に、これらの構造物用型枠1,2を用いた構造物の構築方法について説明する。
(1)まず最初に構造物を構築する対象地盤を、安定地盤(たとえば岩盤)のある深さまで掘削しかつそこを均す。(2)その後、ダム上流および下流に均しコンクリート打設用型枠40を所定位置に設置するとともに、その設置後、単位型枠1,2の通り位置を決めるために2mごとドリルにて削孔後アンカー鉄筋41を挿入固定する。このアンカー鉄筋41に、均しコンクリート打設用型枠40の据え付け高さに合致させてアングル42を水平方向に配置し溶接などにより固定する。(3)ポンプ車またはクレーン車で均しコンクリート3Aを打設する。
【0033】(図6参照)この打設後に、図7に示すように、第1段目の小型型枠2のコンクリート打設時の安定化のために、2つの小型型枠2における支持壁部22の設置相当位置の両脇にアンカー鉄筋43を1本づつ差しておく。
【0034】(4)前述のように、大型型枠1の支持壁部12および小型型枠2の支持壁部22のそれぞれの下端面は本体壁部11,21より約2cm程度高い位置とされているので、図7に示すように、その空間に単位型枠1,2の高さおよび勾配の調整とコンクリートの確実な充填を目的として空練りモルタル5を1mのピッチで敷均す。
【0035】(5)トラックにて搬入し、仮置きした単位型枠1,2をトラッククレーンにて吊り上げ、所定の位置にセットする。
【0036】(6)図8に示すように、キャンバー、切欠き部12Dに噛ませたジャッキ6により単位型枠1,2の高さおよび勾配の微調整を行い、この調整後に単位型枠1,2の底部に生じる間隙に再度空練りモルタル5を押し込み充填した後にジャッキ6を取り外す。据え付け高さはレベル、据え付け通りはトランシット、据え付け勾配はスラントを使用して確認する。
【0037】(7)次いで、図9に示すように、単位型枠1,2間の縦目地にたとえばブチルゴム系のシール材7でシールするとともに、連結部材8、たとえば溝形鋼材8Aとボルト8Bとにより、インサート11d,21a(11c,21b)間を継手金物8Aで連結し、固定する。このようにして、図10に示すように、単位型枠1,2、…が横方向に交互に並べられ、上端面が鋸歯状に食い違わせて配置されて構造物用型枠の一部を形成する。
【0038】(8)その後、この型枠の横方向両端の小型型枠2、2に対して、図11に示すように、小型型枠2のインサート21c,21dにフック44を螺着し、このフック44とアンカー鉄筋43とをターンバックル45で連結する。このようにして、アンカー鉄筋に固定された小型型枠2、2および連結部材8を介して直接または間接的にこれらの小型型枠2、2に連結された単位型枠1,2の転倒、転落が防止される。
【0039】(9)そして、クレーン車またはコンクリートポンプ車を用いて、連結部材8,8…によって連結された単位型枠1,2…に対して、図12に点線で示すように、約50cmの高さまでコンクリート3Bを打設する。
【0040】(10)打設したコンクリート3Bに散水し、または養生マットを用いるなどしてコンクリート3Bを養生する。養生が完了したならば、レイタンスを除去してコンクリート3Bの打設が完了する。
【0041】(11)コンクリート3Bの打設が完了したならば、(9)に示す工程と同じ要領で、図12に実線で示すように、その上がわにさらに約50cmの高さまでコンクリート3Cを打設する。そして、(10)に示す工程と同じ要領でコンクリート3Cを養生し、その打設を完了させる。
【0042】(12)その後、図13に示すように、その空間に標準型枠1の高さおよび勾配の調整とコンクリートの確実な充填を目的として空練りモルタル5を2mのピッチで敷均すとともに、仮置きした標準型枠1をトラッククレーンにて吊り上げ、下部単位型枠群列と上部単位型枠群列の鋸歯相互が噛み合うように、下部単位型枠群列を構成する小型型枠2の上部に新たに標準型枠1を配置する。そして、隣接する単位型枠1,1相互間について、下部単位型枠群列を構成する標準型枠1の上部と、下部単位型枠群列を構成する標準型枠1の下部とを連結部材8によって連結する。
【0043】(13)上記(6)に示す工程と同様にして、キャンバー、切欠き部12Dにジャッキ6を噛ませたジャッキ6により単位型枠1の高さおよび勾配の微調整を行い、この調整後に標準型枠1の底部に生じる間隙に再度空練りモルタル5を押し込み充填した後にジャッキ6を取り外す。次いで、標準型枠1,1間の縦目地にたとえばブチルゴム系のシール材7でシールするとともに、連結部材8により、インサート11d、11a(11b、11c)間を継手金物8Aで連結し、固定する。
【0044】(14)その後、(9)に示す工程と同様にして、図14に示すように、約1mの高さまでコンクリート3Dを打設し、(10)に示す工程と同様にして、コンクリート3Dの打設を完了させる。
【0045】以後、(12)〜(14)の工程を繰り返して、図15に示すように、コンクリート3Gまでの打設を完了させる。
【0046】(15)次いでコンクリート3Hを打設するわけであるが、このとき、これより上側において構造物の勾配が変化するため、図16に示すように、最上端単位型枠群列の鋸歯の凹部を埋めて本体壁部上端の高さを揃えるべく、標準型枠1,1の間に小型型枠2を配置する。そして、コンクリート3Hを打設する際、その上方に設置される異形型枠1のコンクリート打設時の安定化のために、図17に示すように、2つの異形型枠1、1における支持壁部の設置相当位置の両脇にアンカー鉄筋43を1本づつ差しておくとともに、コンクリート3Hの打設が完了した後、異形型枠1の高さおよび勾配の調整とコンクリートの確実な充填を目的として空練りモルタル5を1mのピッチで敷均す。
【0047】(16)トラックにて搬入し、仮置きした異形型枠1をトラッククレーンにて吊り上げ、所定の位置にセットする。以下、(9)および(10)に示す工程と同様にしてコンクリートを打設し、完了させて、この最後のコンクリート3Jの打設が完了した時点で、図18に示すように、構造物が完成する。
【0048】ところで、 このようにして構造物の構築が進行するにしたがって、高所での作業が行われるようになり、高所で作業を行っている作業員が転落する危険性が生じる。この危険を回避し、作業員が高所から転落するのを防止するため、図19に示すように、高さ方向に突出している標準型枠1,1間に手摺り30を架設するのが好適である。手摺り30を架設するためには、たとえば図20(a)〜(c)に示すような取付金具31〜33をインサート11a、11bに螺着し、これに単管34を固定して手摺り30とすることができる。ここで、取付金具31に単管34を固定するには、ボルト31Aに固着されたリング31Bに単管34を貫通し、これをリング溶接加工することができる。また、取付金具32に単管34を固定するためには、ボルト32Aに固定された鉤部32Bに単管34を貫通し、締付ネジ32Cで鉤部32Bを締めつけ、その後単管34と鉤部32Bをクランプ溶接加工すればよい。さらに、取付金具33と単管34を固定するためには、ボルト33Aに固定された鉄筋33B、33Bの間に単管34を挟み、鉄筋33B、33Bと単管34を溶接すればよい。
【0049】なお、これらの標準型枠1,2はプレキャストコンクリートであるため、工場で生産され、構築現場に運搬されるが、たとえば図21および図22に示すように、複数個、本実施形態では8個の標準型枠1,1…をトラック40に積んで運搬することができる。
【0050】また、図23および図24に示すように、吊り上げ用アングル50を用いて、図示しないクレーン等で標準型枠1を吊り上げて、所定の位置に標準型枠1を配置することができる。吊り上げ用アングル50は、長手方向両端近傍に吊り上げ用孔51,51およびそれらの長手方向内側に、標準型枠1に穿孔されたインサート11e,11f間の幅と同一の間隔をおいて、固定用ボルト孔52,52が穿孔されている。この固定用ボルト孔52,52間を介して固定用ボルト53,53がインサート11e,11fに螺着されることにより、吊り上げ用アングル50が標準型枠1に固定される。そして、ワイヤー54が固定された吊り上げ金具55、55が吊り上げ用孔51,51に貫通していることにより、ワイヤーをクレーン等で吊り上げて、標準型枠1を所定の位置に配置することができる。
【0051】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、簡素な構造であり、しかも、パネル自体で安定的に自立させるようにすることにより、優れた組み立て作業性をもたらす構造物用型枠構造を提供することができる。また、この構造物用型枠構造を適用して効率的に構造物の構築を行うことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000172813
【氏名又は名称】佐藤工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久 (外1名)
【公開番号】 特開平10−8443
【公開日】 平成10年(1998)1月13日
【出願番号】 特願平8−159494