トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送

【発明の名称】 魚巣を有する側壁ブロック
【発明者】 【氏名】清水 保雄
【課題】小水路が魚介類の生態環境に適するようにするための、小水路を構成する側壁ブロックを提供する。

【解決手段】水路3の一方の側壁を構成するブロック本体4と、ブロック本体4の下端部に設けられた流通路状の魚巣6を有する魚巣体5と、この魚巣体5の側面に設けられ前記水路に連通する連通口8とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水路の一方の側壁を構成するブロック本体と、このブロック本体の下端部に設けられた流通路状の魚巣を有する魚巣体と、この魚巣体の側面に設けられ前記水路に連通する連通口とを備えたことを特徴とする魚巣を有する側壁ブロック。
【請求項2】前記魚巣体は、前記水路側に突出してその上面が平坦に形成されていることを特徴とする請求項1記載の魚巣を有する側壁ブロック。
【請求項3】前記魚巣体は、上面に突状の滑り止めが設けられていることを特徴とする請求項2記載の魚巣を有する側壁ブロック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水路を構成する側壁ブロックに係り、特には、魚の生態系を自然の状態に維持する魚巣を有する側壁ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の治水事業はコンクリートを主体とした工法により飛躍的に進展している。即ち、河川や流路工においては、法面をコンクリートブロックで構成するとともに、河底部を保護するため床固工が施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、コンクリートによる工法は、表面が平滑であり水の抵抗も少なく、川底に魚が休息できるくぼみがなく、また、水草、藻類が生育しない。また、増水時には流速も大きくなって土砂の流入も大きいので、魚介類の生態系が変化している。大河川の護岸工事においては、魚介類の生態環境に適する工事が検討されているが、小水路においては未だ開発されておらず、魚介類の生態環境に適する小水路の開発が要望されている。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、小水路が魚介類の生態環境に適するようにするための、小水路を構成する側壁ブロックを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、水路の一方の側壁を構成するブロック本体と、このブロック本体の下端部に設けられた流通路状の魚巣を有する魚巣体と、この魚巣体の側面に設けられ前記水路に連通する連通口とを備えたところに特徴を有する。請求項2の発明は、前記魚巣体は、前記水路側に突出してその上面が平坦に形成されているところに特徴を有する。請求項3の発明は、前記魚巣体は、上面に突状の滑り止めが設けられているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の請求項1にかかる第1の実施例につき図1を参照して説明する。側壁ブロック1は、掘削部2に接して配置されて水路3の一方の側壁を構成するコンクリート製のL字形のブロック本体4と、ブロック本体4の下端部に設けられた魚巣体5とから構成されている。
【0007】この魚巣体5は、断面が矩形筒状をなしており、一方の側面部はブロック本体4に一体化されている。また、内部は魚巣6となっている。魚巣6は、側壁ブロック1が側面を接して複数個連結されたとき、相互に連通して流通路を構成する。この魚巣6の底面には、玉石などの自然石7を配置してもよい。また、魚巣体5の側面には、魚巣6と水路3を連通する連通口8が形成されている。
【0008】つぎに、水路3の構成に関して説明する。まず、掘削部2の両側に2個の側壁ブロック1を対向して配置する。つぎに、両側のブロック本体4の底面から突出した突出筋11に鉄筋12を重ねて溶接し、両側のブロック本体4を連結した後、これら突出筋11及び鉄筋12を埋め込むようにコンクリート13を打設して水路3の底部を形成する。コンクリート13が硬化すると、コンクリート13と両側の側壁ブロック1により水路3が構成される。この水路3に水Wが供給されると、魚Fが連通口8を通過して魚巣6内に往復移動できる。魚巣6内は、流下した土砂が堆積したり或は自然石7により、自然の河川の底の状態を呈するので、魚介類の生態系が維持される。
【0009】上記第1の実施例によれば、側壁ブロック1に魚巣体5を設けて魚巣6を形成したので、魚Fが、連通口8を通過して水路3から魚巣6内に往復移動でき、魚介類の生態系を自然の状態にできる。この、魚巣6は、魚巣体5により水路3から分離されているので、増水時に水路3の流速も大きくなっても、魚巣6内の流速の変化は少なく、魚Fの環境はさほど変化しない。また、魚巣6は側壁ブロック1の下端部に設けられているので、水位Wが低下した場合でも魚巣6には水が供給される。
【0010】図2は、第1の実施例の第1の変形例を示す側壁ブロック21で、上記第1の実施例との相違は、断面がI形のブロック本体22に対して、下面が開放する魚巣体23を設けた点にある。この側壁ブロック21においては、基礎コンクリート24を打設した上にブロック本体22を配置し、両側のブロック本体22の間にコンクリート13を打設している。そして、魚巣6は、魚巣体23と基礎コンクリート24により構成されている。尚、ブロック本体22の側面には、自然石模様或は魚や各種の動物などを表す突状あるいは凹状の模様25が形成されている。
【0011】図3は、第1の実施例の第2の変形例を示す側壁ブロック31で、上記第1の実施例とは次の点で相違する。即ち、このブロック本体32は、上部が傾斜面をなしており、側面に魚や各種の動物などを表す突状あるいは凹状の模様25が形成されている。また、魚巣体23は、第1の変形例と同様に、下面が開放している。これらの第1及び第2の変形例においても、第1の実施例と同様の効果を奏するものである。
【0012】図4は、本発明の請求項2,3にかかる第2の実施例を示すものである。この側壁ブロック41が側壁ブロック1と相違する点は、魚巣体42がブロック本体4から水路3側に突出している点にある。この魚巣体42は上面が平坦に形成されていて水路3の段部43を形成しており、上面にブロック本体4に平行な複数本の突状の滑り止め44が設けられている。尚、滑り止め44の代わりにブロック本体4に直交する突状を設けてもよく、また、十字状の突部を複数個設けてもよい。更に、これらとともに細幅な孔を設けて、上方から魚巣体42内を観察できるようにしてもよい。
【0013】この第2の実施例においては、第1の実施例の効果に加えて、段部43が水路3へ降りる場合の足場となって、活動が容易になり、しかも、滑り止め44を設けたので段部43が濡れている場合でも滑ることが防止できるという効果を奏するものである。
【0014】図5は、第2の実施例の変形例を示す側壁ブロック51である。第2の実施例とのとの相違は、ブロック本体52の上部が傾斜面をなし、側面に魚や各種の動物などを表す突状あるいは凹状の模様25が形成されており、魚巣体53の下面が開放している点にある。この変形例においても、第2の実施例と同様の効果を奏するものである。
【0015】
【発明の効果】請求項1の発明は、水路の一方の側壁を構成するブロック本体と、このブロック本体の下端部に設けられた流通路状の魚巣を有する魚巣体と、この魚巣体の側面に設けられ前記水路に連通する連通口とを備えたので、魚巣内を自然の河川の底と同様の状態を呈することができ魚介類の生態系が維持され、しかも、水路と分離しているので、洪水などの影響を受けることがなく、さらに、水量が少ない場合も環境を維持することができるという優れた効果を奏するものである。
【0016】請求項2の発明は、魚巣体が水路側に突出してその上面が平坦に形成されているので、水路へ降りる場合の足場となって、活動が容易になるという効果を奏するものである。請求項3の発明は、魚巣体の上面に滑り止めを設けたので、段部が濡れている場合でも滑ることが防止できるという効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000246343
【氏名又は名称】揖斐川コンクリート工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】廣江 武典
【公開番号】 特開平10−8436
【公開日】 平成10年(1998)1月13日
【出願番号】 特願平8−164377