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【発明の名称】 多孔質ブロック及びその構築物
【発明者】 【氏名】金丸 和光
【課題】生物や植物の棲み易い環境を作ると共に、防災、自然的美観を向上させる。

【解決手段】多孔質ブロックを、ほぼ球状に形成されたブロック本体1と、その表面から内部に亙り水と空気を通すために形成された空隙2と、前記ブロック本体1の複数個を続させるために本体1の中心部に形成された貫通孔3aとから構成する。複数の多孔質ブロックを立体的に連結し、河川護岸、渓谷等の砂流失防止堤、涌き水の多い地形に用いる土留擁壁、魚巣、魚礁、藻礁として使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ほぼ球状に形成されたブロック本体と、その表面から内部に亙り水と空気を通すために形成された空隙と、前記ブロック本体の複数個を連続させるために本体の中心部に形成された貫通孔とから構成されたことを特徴とする多孔質ブロック。
【請求項2】 ほぼ球状に形成されたブロック本体と、その表面から内部に亙り水と空気を通すために形成された空隙と、前記ブロック本体の複数個を少なくとも第一、第二方向に連続させるために本体の中心部に形成された第一、第二貫通孔とから構成され、前記第一、第二方向は互いに直交する方向とされたことを特徴とする多孔質ブロック。
【請求項3】 ブロック本体と、該本体の表面から内部に水や空気を通すために形成された多数の空隙と、該ブロック本体の複数個を第一方向に連続させるために本体の中心部に形成された第一貫通孔と、該ブロック本体の複数個を第二方向に連続させるためにブロック本体の中心部よりずれて形成された第二貫通孔と、該ブロック本体の複数個を第三方向に連続させるためにブロック本体の中心部よりずれて形成された第三貫通孔とから構成され、前記第一、第二、第三方向は、互いに交叉することなく直交する方向とされたことを特徴とする多孔質ブロック。
【請求項4】 請求項1記載のブロック本体の複数個が連接され、貫通孔に長ボルトが通され、該長ボルトの端がナットで締められたことを特徴とする多孔質ブロックの構築物。
【請求項5】 請求項3記載のブロック本体の複数個が第一、第二、第三方向に連接され、前記第一貫通孔と、第二貫通孔と、第三貫通孔にそれぞれ長ボルトが通され、該長ボルトの端がナットで締められたことを特徴とする多孔質ブロックの構築物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川護岸ブロック、または、渓谷等に設ける土砂流失防止堤や、涌き水の多い地形に用いる土留擁壁、さらに、水中に沈めることによって、魚巣、魚礁、藻礁として使用できる多孔質ブロックと、その構築物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の河川護岸ブロックは、全体が通常のコンクリート製であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のブロックではコンクリート製のため、植物の根が成長する適度の空間がなく、緑化することが難しい。
【0004】また、環境状態としては、河川の景観を単調なものにしてしまい、河川の生物、特に淡水魚の種を減少または破壊させ、水辺の植物を排除してしまう等の問題がある。
【0005】さらに、従来の河川護岸ブロックは、コンクリート製のため、種々の微生物が生息しにくく、浄化作用が鈍い。
【0006】さらにまた、従来の渓谷等に設ける土砂流失防止堤や、涌き水の多い地形に用いる土留擁壁では、コンクリート製のため保水性が高すぎ、堤の決壊を招くことがあった。
【0007】本発明は、上記の点に鑑み、生物や植物の棲み易い環境を作ると共に、防災、自然的美観を向上させる多孔質ブロックとその構築物の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手段は、図1,2,4,5の如く、多孔質ブロックは、本体1と、該本体1の表面から内部に水や空気を通すために形成された多数の空隙2と、該ブロック本体1の複数個を第一方向Xに連続させるために本体1の中心部に形成された第一貫通孔3aと、該ブロック本体1の複数個を第二方向Yに連続させるためにブロック本体1の中心部よりずれて形成された第二貫通孔3bと、該ブロック本体1の複数個を第三方向Zに連続させるためにブロック本体1の中心部よりずれて形成された第三貫通孔3cとから構成され、前記第一、第二、第三方向X,Y,Zは、互いに交叉することなく直交する方向とされている。
【0009】上記課題解決手段において、ブロック本体1の複数を第二、第三方向Y,Zに連接し、前記第二貫通孔3bと、第三貫通孔3cにそれぞれ長ボルト4a,4b,4cを通し、該長ボルト4a,4b,4cの両端をナット5で締めて平面的に固定した構築物を河川の護岸として使用するものである。
【0010】また、ブロック本体1の複数を第一、第二、第三方向X,Y,Zに連接し、前記第一貫通孔3aと、第二貫通孔3bと、第三貫通孔3cにそれぞれ長ボルト4a,4b,4cを通し、該長ボルト4a,4b,4cの両端をナット5で締めて立体的に固定した構築物を、河川の護岸や渓谷等の土砂流失防止堤(図7)として使用するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。まず、図1ーA,B,図2ーA,B,C,Dに基づいて第一実施例の多孔質ブロックを説明すると、球状に硬化成型されたコンクリート製ブロック本体1と、この本体1内に水や空気を通すために形成された空隙2と、該ブロック本体1の複数を第一方向Xに連続させるために本体1の中心部に形成されたテーパー形の第一貫通孔3aと、該ブロック本体1の複数を第二方向Yに連続させるためにブロック本体1の中心部よりずれて形成された第二貫通孔3bと、該ブロック本体1の複数を第三方向Zに連続させるためにブロック本体1の中心部よりずれて形成された第三貫通孔3cとから構成され、前記第一、第二、第三方向X,Y,Zは、互いに交叉することなく直交する方向とされている。
【0012】そして、複数の上記ブロックは、ブロック本体1の第二、第三方向Y,Zに連接し、前記第二貫通孔3bと、第三貫通孔3cにそれぞれ長ボルト4b,4cを通し、該長ボルト4b,4cの両端をナット5で締めて平面的に固定し、構築物を構成している。なお、ボルト・ナットの代わりに公知のワイヤー等とその両端止具を用いても良い。
【0013】ブロック本体1の表面から内部に水や空気を通すために形成された空隙2について、図1ーAで説明すると、該空隙2を生じさせるために、ポーラスコンクリートを使用するものである。該ポーラスコンクリートの材料としては、セメント、特殊な粒径の砂、不連続粒度の砂利、セメントの接着強度を改善するための特殊混和材料、水であり、これらの材料を撹拌して、成型容器に流し込んで形成させる。
【0014】空隙2の大きさについては、ブロック本体1の直径が250mmの場合、最大で25〜30mmから最小は毛細管単位程度までであり、互いに連続した空隙2で構成される。また、空隙率は、機能目的によっても異なるが、ブロック本体1の一個の容積の15〜25%を保有させ、圧縮強度は180kg/cm2程度のコンクリートを用いる。
【0015】さらにまた、ブロック本体1の複数を連続させるために設けられた三つの貫通孔3a,3b,3cについて説明すると、これら三つの貫通孔3a,3b,3cに三本の長ボルト4a,4b,4cを当たらないようにするために、それぞれずれた位置にされているが、第一貫通孔3aだけブロック本体1の中心部に形成することにより、ボルトの締め付け力が片寄らないようにしている。さらに、このことは、組み立て作業時において、ブロック本体1の方向確認が目視だけで容易に判定できることや、組み立てられた製品の吊り下げ作業時において、個々のブロック本体1の安定性を確保する。
【0016】第一実施例の組み立てや、設置方法については、上記にあるように、ブロック本体1の複数を第二、第三方向Y,Zに連接し、前記第二貫通孔3bと、第三貫通孔3cにそれぞれ長ボルト4b,4cを通し、該長ボルト4b,4cの両端をナット5で締めて固定するものである。設置については、こうした作業を直接現場で行ったり、あるいは、その近くや、工場で組み立てて、クレーン等で設置する。
【0017】なお、図4は、第一実施例の構築物を河川の護岸に敷き詰めたもので、上段の構築物D2の一部は、下段の構築物D1の凹部dにずらして乗せ、二段にしたものである。
【0018】また、図5のEは、第一実施例の構築物D3を河川の堤防に設置した後、覆土し、芝等の植物を植えたものである。同じく図5のF,Gは、第一実施例の構築物D5,D6を、また構築物D7〜D11(なお、D10,11はブロックの個数が少ないので、下の構築物にワイヤーロープを用いて連結する。)を河川の水底、水中、水上に積み上げて設置することにより、水流を制御したり、水質を浄化するものである。また、水中生物の棲家(産卵、孵化、休息、採餌、避難、営巣)としたものである。
【0019】なお、上記においては、ブロックは、真球のコンクリートブロックとしたが、本発明では、ブロックは、例えば、楕円球、これらの球に近い多面体状、または一部に小平坦面や凹凸部を有するほぼ球状としても良く、コンクリートの代わりに砂利や低発泡プラスチック等を用いてブロック本体1に、その表面から内部に亙り水や空気を通すために設けられたられた空隙2と、該ブロック本体1の複数個を第一または(及び)第二方向X,Yに連続させるために本体1の中心部に形成された第一または(及び)第二貫通孔3a,3bとを形成し、前記第一、第二方向X,Yは、互いに直交する方向としてもよい。
【0020】図3ーA,B,C,Dは、第二実施例であり、ブロック本体1の複数を第一、第二、第三方向X,Y,Zに連接し、前記第一貫通孔3aと、第二貫通孔3bと、第三貫通孔3cにそれぞれ長ボルト4a,4b,4cを通し、該長ボルト4a,4b,4cの両端をナット5で締めて立体的に固定した構築物である。
【0021】第二実施例の組み立てや、設置方法については、ブロック本体1の単体の第一貫通孔3aに長ボルト4aを貫通させて、該長ボルト4aの下端部をナット5で締めた状態のブロック本体1の複数を第二、第三方向Y,Zに連接し、前記第二貫通孔3bと、第三貫通孔3cにそれぞれ長ボルト4b,4cを通し、該長ボルト4b,4cの両端をナット5で締めて固定する。その後、二段目から最上段までは、ブロック本体1を、長ボルト4aに貫通させて前記の仕方で第二、第三方向Y,Zにそれぞれ長ボルト4b,4cを通し、該長ボルト4b,4cの両端をナット5で締めて固定する。最後に、最上段ブロック本体1の長ボルト4aの端部をナット5で締めて固定する。なお、ボルト・ナットの代わりにワイヤーを用いても良い。設置その他の構成及び作用は、前記第一実施例と同様である。
【0022】図5のHは、河川の護岸にその根固め用として、ブロック本体1の複数を六段に積んで組んだ構築物D4を設置したものである。
【0023】図6のIは、図5のHと同じで、ブロック本体1の複数を四段に積んで組んだ構築物D12を、図8ーA,Bで示すように、棒体の両端に孔板が固定されてなる連接材6と、U形棒と連結ピンからなる接続金具7とからなる連結手段により、前記孔板に長ボルト4bを締めて連結し、河川の護岸に設置したものである。また、図6のJは、ブロック本体1の複数を二段に積んで組んだ構築物D13を、前記連接材6と接続金具7によって連結して、河川の護岸の堤防に敷設したものである。
【0024】図7ーA,Bは、ブロック本体1の複数を四段に積んで組んだ構築物D14を、前記連接材6と接続金具7(図8ーA,B)によって連結して、さらに同様の方法で、上に積み重ねて、渓谷等の土砂流失防止堤、または、涌き水の多い地点における土留め擁壁として設置したものである。
【0025】図9は、第三実施例で、第二実施例におけるブロック本体1の各段層間の空間に、各本体1に外接する多孔質の小球体ブロック8を組み込んだものである。
【0026】図10は、第四実施例で、ブロック本体1の底部に小平坦面9を形成したものである。前記両実施例のその他の構成及び作用は、前記第一実施例と同様である。 なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。例えば、ブロック本体1の複数個が連接され、貫通孔3bに長ボルト4が通され、該長ボルト4b,4cの両端がナット5で締められた構築物も本発明の範囲である。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明によると、水や空気を通すための空隙が設けられ、ほぼ球状に硬化成型されたブロックを、平面また立体的に組み立てて、設置することにより、生物や植物が棲み易い環境を作ると共に、防災、自然的美観を向上できる等優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】595076444
【氏名又は名称】金丸 和光
【出願日】 平成8年(1996)6月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恒久
【公開番号】 特開平10−8435
【公開日】 平成10年(1998)1月13日
【出願番号】 特願平8−157926