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【発明の名称】 仮設用止水構造物
【発明者】 【氏名】竹内 伸介
【氏名】菅原 潤
【課題】固定作業を特にしなくても設置するだけでよい仮設用止水構造物を提供することである。

【解決手段】一対の可撓性袋体10と20より成り、それぞれの袋体には、給排水口11、21及び排気口12、22が設けられ、袋体10と20の対向面は、帯状部材13と23によって分離可能に接続されている。止水用袋体10に水流wが作用すると、時計方向に転動しようとするが、支持用袋体20が帯状部材13と23を介して部材体10に接続されているため、反時計方向に転動する力を受け、止水用袋体10の転動を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 気密な可撓性袋体より成り、膨脹時の幅が高さの2倍程度である筒状をなす仮設用止水構造物。
【請求項2】 前記袋体の底面に弾性シートが固着されていることを特徴とする請求項1記載の仮設用止水構造物。
【請求項3】 気密で膨脹、収縮可能な一対の袋体より成り、これらの袋体の長さ方向に対向する面が互に接続されている仮設用止水構造物。
【請求項4】 前記一対の袋体が分離可能に接続されていることを特徴とする請求項3記載の仮設用止水構造物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】この発明は、河川などを一時的に仕切ったり止水するために用いる構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】河川等の止水用として古くから土嚢が用いられてきたが、言うまでもなく土嚢の作製には多くの時間、労力を要し、作業性も非常に悪い。
【0003】
【発明の課題】そこで、特開昭56−85012号公報には、膨脹、収縮可能の袋体に可撓性膜を固着し、袋体を河床に設置して前記可撓性膜を河床に埋め込むか、或は杭や錘で固定し、袋体内に流体を供給することにより膨脹させて水をせき止める手段が提案されている。
【0004】このような袋体は、収縮させると運搬が容易であり、敷設する場合も袋体につながった可撓性膜を固定するだけでよいから、作業性もよくコスト的にも土嚢に比較すれば極めて安価である。
【0005】ところが、河床の地盤が軟弱な場合には固定が難しく、また固定作業自体も面倒である。
【0006】そこで、この発明の課題は、固定作業をなくし、設置するだけで止水を可能にしようとすることである。
【0007】
【課題の解決手段】上記の課題を解決するために、第1の発明の止水構造物は、気密な可撓性袋体より成り、膨脹時の幅が高さの2倍程度である筒状をなす構成を採用したのである。
【0008】前記袋体の底面に弾性シートを固着しておくことができる。
【0009】第2の発明の止水用構造物は、気密で膨脹、収縮可能な止水用袋体と支持用袋体より成り、これらの袋体の長さ方向に対向する面を互に接続した構成を採用したのである。
【0010】前記一対の袋体を分離可能に接続することができる。
【0011】
【実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】図1及び図2に示すように、仮設用止水構造物1は、気密な可撓性袋体2に流体(主として水)の給排口3と排気口4を設けたものであって、前記給排口3から流体を供給して膨脹した状態では筒状をなし、横断面はほぼ長円形、好ましくは底面が平坦なかまぼこ形になっている。そして、高さHと幅Wとの関係は、後者が前者の2倍程度、即ちW≧2Hにしてある。
【0013】前記袋体2の材料には、ゴム引布や織布を埋め込んだ合成ゴムシートなどを用いることができる。また、底面にウレタンシートのような弾性シート5を固着すれば、河床に対する水密性を向上させ(流水が通過しない)、同時に河床に対するグリップ性も向上することができる。
【0014】上記のように袋体2が単体の場合、水流の水深hは袋体2の高さの1/2程度、即ちh≦1/2H程度が袋体2の転動限界であり、袋体2の幅Wを2H以上にしても、転動限界を高めることはできないことが実験的に確かめられている。勿論、これは袋体2を単独で用いた場合であって、後に説明する図6のようにコ字状に配列し、かつそれぞれの端部を連結した場合は別である(図6の場合は、後述するように、端部を接続していない)。従って、包袋2の端部のみを係止するか、又は他の固定物に係留することができる手段を設けておくことができる。例えばロープや帯などを両端に接続しておいてもよい。またロープ等を接続できる孔を設けた小片を袋体2の適宜個所に設けておいてもよい。なお、このようなロープ等を接続すると、袋体2を河川等に張設する場合にも便利である。
【0015】図3及び図4に他の実施形態を示す。図示のように、この止水構造物1は、大小一対の気密な可撓性袋体10と20より成り、これらは互に長さ方向に接続されている。勿論流体の給排口11、21や排気口12、22も図1の場合と同様に設けられ、流体を供給して膨脹した状態では筒状をなし、横断面はほぼ長円形になっているが、他の形状であってもよい。
【0016】前記袋体10と20は、それぞれの袋体の側面に固着された可撓性帯状部材13と23を、例えばスライドファスナ14によって接続し一体化されている。接続方法は、例えば図5に示すように、それぞれの帯状部材13と23に設けた鳩目を紐14aで編み上げてもよい。このように、袋体10と20を分離可能に接続するのが好ましいが、帯状部材13と23を一体化して分離不可能にすることもできる。接続部は、袋体10と20が対向する面の、袋体20の中央部附近が好ましく、袋体10と20の間隔は、後述する袋体20の作用を考えて選択する。また、接続する袋体10と20の長さは同一でなくてもよい。
【0017】前記袋体10の底面にウレタン等の弾性シート15を固着しておくことができる。袋体20にも同様のシートを固着してもよい。水密性と摩擦性を高めるためである。
【0018】上述のようにして接続された袋体10と20は、袋体10を上流側にして設置する。このとき、水流wは、図4のように、袋体10の左側に作用し、袋体10を時計方向に転動させようとするが、袋体20は帯状部材13、23によって接続されているため、反時計方向に転動しようとする。即ち袋体20は袋体10と反対方向に転動しようとするため、まず袋体10の下流側の側面(袋体20との対向面)に圧接し、さらにその下方に袋体20が食い込み、楔の作用で袋体10の転動を防止する。
【0019】従って、袋体20はさほど大きくする必要はなく、袋体10の高さの半分程度の高さがあれば充分であるが、勿論それ以下でもよい。
【0020】図6に使用法の一例を示す。この例は、河川Aの一部をせき止めて、その区画B内で工事を行なう例を示しており、水流と直角方向に、工事区画Bに対して袋体20を内側にして、止水用構造物1−1及び1−2を並行に設置し、水流と同じ方向に、前記構造物1−1と1−2の端部を連結するように止水用構造物1−3を設置する。この場合、袋体10を構造物1−1、1−2の袋体10と密着させるが、この密着の邪魔にならないように袋体20は短いものを接続しておく。そして、区画B内の水を排出すれば河床が露出する。
【0021】上記袋体10と20にロープや帯を接続しておいたり、ロープや帯の接続用係止手段を設けておくことができるのは前述と同様である。
【0022】また、図7及び図8に示すように、袋体2又は10の端部全周に、可撓性ジョイントシート6を水密に巻回固着し、端縁に水密ファスナ7を取り付け、複数個の袋体2又は10を長さ方向に接続できるようにしてもよい。
【0023】
【効果】以上のように、第1の発明によれば、可撓性袋体の幅をその高さの2倍程度とすることによって、ある程度の水流に対しては袋体単体で転動せずに耐えることができるため、袋体を固定する手段が不要となり、設置の作業性が著しく向上する。
【0024】また、第2の発明は、大小一対の袋体を長さ方向に接続したので、流水を受けた止水用袋体に対して支持用袋体が反対方向に転動しようとするため、止水用袋体の転動が防止され、袋体を河床に固定する作業が不要となり、設置作業性が優れており、また袋体が2個隣接して設置されるため、止水効果が高い。
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開平10−8433
【公開日】 平成10年(1998)1月13日
【出願番号】 特願平8−161723