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コンクリートフェーシング遮水体の構造 - 特開平10−1926 | j-tokkyo
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【発明の名称】 コンクリートフェーシング遮水体の構造
【発明者】 【氏名】雑賀 英磨
【氏名】森田 信吾
【氏名】大友 健
【氏名】中川 裕之
【課題】コンクリート版3に作用する引張力を低減することによって、ひび割れの発生を最小限に低減することのできる、コンクリートフェーシング遮水体の構造を提供することを目的とする。

【解決手段】盛土、地山の表面に粘弾性材料あるいは粘性材料による層2を配置し、その粘弾性材料あるいは粘性材料の層2の上にコンクリート版3を設置した、コンクリートフェーシング遮水体の構造を特徴としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】盛土、地山の表面に粘弾性材料による層を配置し、その粘弾性材料の層の上にコンクリート版を形成した、コンクリートフェーシング遮水体の構造【請求項2】盛土、地山の表面に粘弾性材料による層を配置し、その粘弾性材料の層の上にコンクリート版を形成し、コンクリート版と隣接するコンクリート版との境界には伸縮継ぎ手を介在させて構成した、コンクリートフェーシング遮水体の構造【請求項3】盛土、地山の表面に粘性材料による層を配置して構成した、請求項1、2記載の、コンクリートフェーシング遮水体の構造【請求項4】盛土、地山の表面にアスファルトマスチックの層を配置し、そのマスチック層の上にコンクリート版を形成した、コンクリートフェーシング遮水体の構造
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリート版で表面を被覆して形成した遮水体の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土や、破砕した岩を積み上げて堤体を形成した場合にそのままでは遮水性を発揮することはできない。そのために堤体斜面の表面にコンクリート版を形成し、このコンクリート版によって遮水性を保持する、コンクリートフェーシング遮水体が存在する。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】前記したような従来のコンクリートフェーシング遮水体の構造にあっては、次のような問題点がある。
<イ>堤体の斜面、あるいは底面をコンクリート版で被覆して遮水体を形成した後に湛水を開始すると、堤体や底部の地盤が沈下変形が生じる。この地盤の変形が、地山とコンクリート版との間の摩擦によってコンクリート遮水版に引張力を発生させる。
<ロ>コンクリートは引張力には対抗することができない。そのために、地盤の沈下によってコンクリート版には多数のひび割れが発生してしまう。
<ハ>特に揚水式発電所の上池のように1日単位で水位が大きく上下動するような場合には、水位上昇時の変形、水位下降時の回復が繰り返すことによってコンクリート版のひび割れが拡大して破損する可能性もある。
<ニ>そのような場合に海外の例では、ひび割れ発生の可能性のある表面に事前に微粉末を配置しておき、この微粉末がひび割れに侵入して目詰まりを起こさせるような手段を採用していた。しかしこのような方法は手数を要する上に信頼性に乏しいものである。
【0004】本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、コンクリート版に作用する引張力を低減することによって、ひび割れの発生を最小限に低減することのできる、コンクリートフェーシング遮水体の構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明のコンクリートフェーシング遮水体の構造は、盛土、地山の表面に粘弾性材料による層を配置し、その粘弾性材料の層の上にコンクリート版を設置した、コンクリートフェーシング遮水体の構造を特徴としたものである。
【0006】あるは本発明のコンクリートフェーシング遮水体の構造は、盛土、地山の表面に粘性材料による層を配置し、その粘性材料の層の上にコンクリート版を設置した、コンクリートフェーシング遮水体の構造を特徴としたものである。
【0007】
【本発明の実施の態様】以下図面を参照しながら本発明のコンクリートフェーシング遮水体の構造の実施例について説明する。
【0008】<イ>堤体の構造。
土や、破砕した岩を積み上げて堤体1を形成する。これは従来のロックフィルダム、アースフィルダムの構築と同様の方法によって行う。なお以下の説明は岩などを積み上げた堤体1における構成であるが、単に掘削した地盤、岩盤面の上にフェーシングを行う、プール形状の斜面に利用することも可能であることはもちろんである。
【0009】<ロ>粘弾性材料の層。
本発明の対象が例えば揚水式発電所の上池の場合、8時間で30メートルの水位の上昇、下降が発生する。この速度は通常の物体の移動の速度と比較する、ときわめて緩速である。このような緩速載荷に対処させるために、堤体1斜面の表面には、粘弾性材料、あるいは粘性材料によって形成した層2を配置する。粘弾性材料、あるいは粘性材料としては、緩速載荷に対して小さな変形係数を持つものであれば、広く採用することができる。そのような特性を有する材料は、緩速載荷に対して容易に剪断変形を生じ、堤体1からの摩擦を低減することができる。
【0010】<ハ>コンクリート版の形成。
粘弾性材料の層2の上には、コンクリート版3を配置する。このコンクリート版3によって遮水性を保持するものである。コンクリート版3は、粘弾性材料あるいは粘性材料の層2の上に直接コンクリートを打設することによって形成する。斜面において一定の厚さでコンクリートを打設するために、粘弾性材料あるいは粘性材料の層2の上に一定の距離だけ離した状態で上面型枠を配置し、この上面型枠を徐々に移動させながらコンクリートを打設してゆく。
【0011】あるいは型枠を使用してコンクリートを打設する代わりに、粘弾性材料あるいは粘性材料の層2の上にプレキャストコンクリート版を敷設する工法を採用することもできる。その場合にはプレキャストコンクリート版を後述するように相互に可撓性の継手、あるいは剛結継手で一体化する。
【0012】<ニ>伸縮継手の設置。
コンクリート版3はいくつかのブロックに分割して形成する。したがってコンクリート版3には打設した境界が生じる。そのためにひとつのコンクリート版3と、隣接するコンクリート版3との境界には伸縮継手を介在させる。伸縮継手としては、例えば波型状の銅板、あるいはゴム製の波板を使用する。この波型の継手の一方の縁をひとつのコンクリート版3の端部に埋め込み、他の縁を隣接するコンクリート版3の端部に埋め込む。すると、隣接するコンクリート版3が不等に沈下しても、この銅板やゴム板の波型部分が伸びることによって境界部における遮水効果を維持し続けることができる。特に大きな地盤の変形が予想される場合には、ゴム製のガスケット、ゴム製の伸縮継手を使用すると、大きな変形時においても境界部における遮水効果の維持を期待することができる。
【0013】
【実施例】
【0014】<イ>アスファルトマスチック。
次に上記した粘弾性材料としてアスファルトマスチックを使用した場合について説明する。すなわち、盛土、地山の表面にアスファルトマスチックの層を配置し、そのマスチック層の上にコンクリート版3を形成した、コンクリートフェーシング遮水体である。マスチックとはアスファルトに鉱物性のフィラーおよび砂を加熱混合したものである。フィラーとしては石灰石あるいは消石灰の微粉末を使用する。
【0015】<ロ>比較の条件。
盛土上に直接コンクリート版3を設置した場合(マスチック層なし)と、厚さ10cmのマスチック層を設けた場合におけるコンクリート版3(厚さ35cm)に発生する最大引張り応力の解析を行った。アスファルトマスチックの変形係数が通常は1〜50kgf/cmであることを考慮してマスチックの変形係数を変えて比較した。その他の解析条件は図2に示す通りである。
【0016】<ハ>解析の結果。
解析結果を図3に示す。図3に示す通り、コンクリート版における最大引張応力が29.5kgf/cm(マスチック層なし:CASE0)から3.5kgf/cm(マスチック層10cm:SASE4)にまで低減している。この結果から、マスチック層が堤体1とコンクリート版3の間に介在することによって、そのマスチック層が剪断変形して堤体1からの摩擦を低減し、コンクリート版3に生じる引張り応力を大幅に低減することが明らかとなった。
【0017】
【本発明の効果】本発明のコンクリートフェーシング遮水体の構造は以上説明したよう、盛土の堤体1、あるいは地盤とコンクリート版3の間に、マスチックのような粘弾性材料あるいは粘性材料の層2を介在させたものである。粘弾性材料あるいは粘性材料は、緩速載荷に対して小さな変形係数をもつために容易に剪断変形を生じ、堤体1や地盤の表面とコンクリート版3との摩擦を低減することができる。その結果、コンクリートに発生する引張り応力を低減し、ひび割れの発生を低減することが可能となった。なお以上の説明はダムのように、岩などを積み上げた堤体1における構成であるが、単に一定の範囲を掘削して池を形成し、その斜面と底面にコンクリートフェーシングを施す構造に利用できることはもちろんである。また本発明の構成は、貯水池のみならず産業廃棄物および一般廃棄物の処理場にも利用できる。
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生 (外1名)
【公開番号】 特開平10−1926
【公開日】 平成10年(1998)1月6日
【出願番号】 特願平8−174093