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【発明の名称】 糸条パッケージの表面処理方法
【発明者】 【氏名】山口 純郎
【氏名】粕谷 英司
【課題】外径が異なる場合でも、複数個の全糸条パッケージの表面処理終期を同一に揃えて製造ラインを効率化する表面処理方法と、表面処理途中で糸切れした糸条パッケージの表面処理を正確に残糸条剥脱する表面処理方法を提供する。

【解決手段】第1の発明は、複数錘のスピンドル2A,2B毎に糸条パッケージ5A,5Bの外径測定器9A,9Bを配置し、表面処理開始時に外径測定器9A,9Bにより糸条パッケージ5A,5Bの外径を測定し、それぞれの外径に応じてスピンドル2A,2Bの回転速度を調整し、全糸条パッケージの剥脱処理を実質的同時終了するようにする。第2の発明は、剥脱処理中の糸条の糸切れを検出する糸切れ検知器11を設け、糸条パッケージ5の表面処理開始から糸切れ検知までの既剥脱量を算出し、該既剥脱量と所定剥脱量とから残剥脱量を算出し、この残剥脱量に基づいて途中糸切れ糸条パッケージの表面処理をする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数錘のスピンドルに糸条パッケージを支持し、該スピンドルを回転させながら糸条パッケージの表層から糸条を剥脱する表面処理方法において、前記スピンドル毎に糸条パッケージの外径を測定する外径測定器を配置し、表面処理開始時に該外径測定器により各糸条パッケージの外径を測定すると共に、前記複数錘のスピンドルの回転速度を、それぞれ前記各糸条パッケージの外径に応じて各スピンドルの剥脱処理を実質的同時に終了するように調整する糸条パッケージの表面処理方法。
【請求項2】 スピンドルに糸条パッケージを支持し、該スピンドルを回転させながら糸条パッケージの表層から糸条を剥脱する表面処理方法において、前記剥脱処理中の糸条の糸切れを検出する糸切れ検知器を設け、表面処理開始から該糸切れ検知器が糸切れを検知するまでの糸条の既剥脱量を算出し、該既剥脱量と前記所定量とから残剥脱量を算出し、該残剥脱量に基づいて前記途中糸切れ糸条パッケージの糸条を剥脱処理する糸条パッケージの表面処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸条パッケージの表面処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維の高速紡糸工程や高速紡糸延伸工程などで巻き上げられた糸条パッケージでは、糸切替え操作時に巻き上げられた最外層部分の糸条は、内層側に正規に巻き上げられた糸条とは異なった糸質になっている。そのため繊維製造メーカーでは、糸条パッケージを出荷する前に、異なった糸質の表層部分の糸条を剥脱除去するようにしている。このような表層部分の糸条を剥脱除去する処理を、一般に表面処理と称している。
【0003】上記のように糸条パッケージの表面処理を行う手段としては、負圧源に接続した吸引ノズルを糸条パッケージの表面に対設し、この吸引ノズルに表層の糸端を吸い込ませ、糸条パッケージを糸解舒方向(巻き上げ方向と反対方向)に回転させながら吸引剥脱するものが一般的である。また、他の手段として、吸引ノズルによる吸引剥脱に代えて、巻取ボビンに巻き上げるように剥脱するようにしたものもある。
【0004】いずれの場合にも、作業性を効率化する観点から、1本のスピンドルに複数個を装着した糸条パッケージの単位、或いは複数本のスピンドルに装着した複数個の糸条パッケージを単位として、これら複数のパッケージを同時に表面処理するのが一般的である。しかし、複数の糸条パッケージを同時に表面処理する場合に、それら複数個の糸条パッケージの外径が異なっているときは、各スピンドルは同一回転速度で回転しているため、全部の糸条パッケージの表面処理が同一時間には終了せず、バラバラに時間差をもって終了するようになる。したがって、作業効率化のため複数単位で移送するようにした製造ラインに載せるには、最初に表面処理が終了した糸条パッケージは、最後に終了する糸条パッケージを待たなければならず、上記製造ラインの効率化が阻害されることになる。
【0005】また、上記のように糸条パッケージを表面処理する場合において、途中糸切れしたときは、完全な製品にするためには残存した不均一糸の剥脱処理をしなければ製品にすることはできない。しかしながら、途中糸切れした糸条パッケージを再度表面処理する場合は、残りの剥脱すべき量が不明になっているため、作業者が目分量で行うことによって余分に糸条を剥脱してしまったり、或いは逆に剥脱が不十分であったりするため、不良パッケージを生じやすくなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、外径が異なる複数個の糸条パッケージを同時に表面処理する場合でも、全糸条パッケージの表面処理終期を同一に揃えることにより製造ラインを効率化できるようにする糸条パッケージの表面処理方法を提供することにある。
【0007】本発明の第2の目的は、表面処理途中で糸切れした糸条パッケージを再度表面処理する場合、その残糸の剥脱を正確に行えるようにする糸条パッケージの表面処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の目的を達成する本発明は、複数錘のスピンドルに糸条パッケージを支持し、該スピンドルを回転させながら糸条パッケージの表層から糸条を剥脱する表面処理方法において、前記スピンドル毎に糸条パッケージの外径を測定する外径測定器を配置し、表面処理開始時に該外径測定器により各糸条パッケージの外径を測定すると共に、前記複数錘のスピンドルの回転速度を、それぞれ前記各糸条パッケージの外径に応じて各スピンドルの剥脱処理を実質的同時に終了するように調整することを特徴とするものである。
【0009】このように各スピンドル毎にパッケージ外径測定器を配置し、その外径測定器の測定値に応じて各スピンドルの回転速度を調整し、全糸条パッケージの表面処理終期を同一に揃えるようにするため、外径が異なる複数個の糸条パッケージを同時に表面処理する場合であっても終期が同じになり、終期不揃いによる製造ラインの非効率化を招くことがない。
【0010】また、第2の目的を達成する本発明は、スピンドルに糸条パッケージを支持し、該スピンドルを回転させながら糸条パッケージの表層から糸条を剥脱する表面処理方法において、前記剥脱処理中の糸条の糸切れを検出する糸切れ検知器を設け、表面処理開始から該糸切れ検知器が糸切れを検知するまでの糸条の既剥脱量を算出し、該既剥脱量と前記所定量とから残剥脱量を算出し、該残剥脱量に基づいて前記途中糸切れ糸条パッケージの糸条を剥脱処理することを特徴とするものである。
【0011】このように表面処理途中の糸切れ検知器を設けたことにより、糸切れまでの既剥脱量を算出でき、その既剥脱量に基づいて残剥脱量を算出し、この残剥脱量に基づいて途中糸切れ糸条パッケージの表面処理をするため、正確に残糸剥脱を行うことができ、不良品を発生することがなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明の表面処理方法を実施するための装置の実施形態を示す。図1,2において、基台1には2錘のスピンドル2(2A,2B)が平行に水平支持され、それぞれタイミングベルト3を介してモータ4(4A,4B)により駆動されるようになっている。この2錘のスピンドル2(2A,2B)には、それぞれ満巻に巻き上げられた糸条パッケージ5(5A,5B)が装着されるようになっている。各満巻の糸条パッケージ5A,5Bはボビン5bに糸層5fを形成し、さらに糸層5fの最外表面にバンチ巻部Bを形成している。
【0013】また、基台1には、各錘のスピンドル2(2A,2B)の上方側に圧空供給管12,12が平行に延長するように設けられている。この圧空供給管12には多数の吹出し口12aが設けられ、糸条パッケージ5A,5Bに向けて圧縮空気を噴射するようになっている。また、基台1には、各錘のスピンドル2(2A,2B)の下方側に支持フレーム6,6が平行に延長し、この支持フレーム6上に、上記スピンドル2(2A,2B)上の糸条パッケージ5(5A,5B)に対応するように吸引ノズル7(7A,7B)が設けられ、かつこの吸引ノズル7(7A,7B)の近傍にヒートカッター8,8とパッケージ外径測定器9(9A,9B)とがそれぞれ設けられている。これら吸引ノズル7、ヒートカッター8及びパッケージ外径測定器9は支持フレーム6と共に、上下に往復移動するようになっている。
【0014】ヒートカッター8は、吸引ノズル7の上端側の吸引口上方を横切るように往復回動するようになっており、この往復回動運動により、糸条パッケージ5から吸引ノズル7へ走行する糸条を切断(溶断)するようになっている。ここで、カッターとしては必ずしもヒートカッターには限定されず、ナイフ状の刃物などを使用してもい。
【0015】また、パッケージ外径測定器9(9A,9B)は、シリンダによって上下に伸縮移動する測定子9hを有し、その測定子9hを糸条パッケージ5(5A,5B)の表面に接触させ、そのときの伸長量によってパッケージ外径を測定するようになっている。吸引ノズル7(7A,7B)には吸気ダクト10が接続され、吸気ダクト10はさらに負圧源に接続されている。この吸気ダクト10の途中に糸切れ検知器11(11A,11B)が設けられている。この糸切れ検知器11は、吸気ダクト10内を通過する糸条の有無を検知することにより、糸条パッケージ5から吸引ノズル7に至る糸条の糸切れを検出するようにしている。
【0016】上述した表面処理装置による表面処理操作は、次のようにして実施される。まず、図のように左右2錘のスピンドル2(2A,2B)に1個ずつの糸条パッケージ5(5A,5B)を装着して装置を起動すると、支持フレーム6が上昇して吸引ノズル7(7A,7B)が糸条パッケージ5(5A,5B)の表面近くに対面すると共に吸引を開始し、かつスピンドル2が糸条パッケージ5から糸条を解除する方向(巻取方向と反対方向)に回転を開始する。また、圧空供給管12に圧縮空気が供給され、吹出し口12aから噴射する。
【0017】糸条パッケージ5A,5Bは、圧空供給管12,12から噴射する圧縮空気表面に受けることによりバンチ巻部Bの糸端が浮き上がり、その糸端が吸引ノズル7(7A,7B)に吸引される。この状態で糸条パッケージ5A,5Bを連続的に回転させることにより、解除された糸条が吸引ノズル7A,7Bから吸気ダクト10に引き取られるので、糸条パッケージ5A,5Bの表層の糸条が次第に剥脱されていく。そして、スピンドル2A,2Bが始動から所定の積算回転数に達すると、制御部13からの指令により、ヒートカッター8が起動して糸条パッケージ5A,5Bと吸引ノズル7A,7Bとの間の糸条を切断すると共に、スピンドル2A,2Bを停止させ、表面処理操作は完了する。
【0018】本発明による表面処理方法では、上述した表面処理操作がマイクロコンピュータからなる制御部13によって次のように制御される。2錘のスピンドル2A,2Bにそれぞれ糸条パッケージ5A,5Bを装着し、その表層から糸条を剥脱して同時に表面処理するとき、まず開始時にパッケージ外径測定器9A,9Bによってそれぞれのパッケージ外径を測定し、その信号が制御部13に入力される。制御部13は、このパッケージ外径信号に基づいて、両方の糸条パッケージ5A,5Bの外径が互いに異なっているときは、モータ4A,4Bに対して、スピンドル2A,2Bが外径の小さい側の糸条パッケージの回転速度を、外径の大きい側の糸条パッケージの回転速度よりも速くするように指令し、両糸条パッケージ5A,5Bの表面処理を同一時間に終了させるようにする。
【0019】同様に糸条パッケージ5A,5Bの外径が互いに同一であるときは、制御部13は両方の回転速度を同一にするように指令するため、同じく表面処理の終期を同時間に揃えるようにする。したがって、外径が異なる複数個の糸条パッケージを同時に表面処理する場合でも、その終期を同一にすることができ、終期が不揃いになることにより生ずる製造ラインの非効率化を招くようなことがない。
【0020】また、本発明による表面処理方法では、糸条パッケージ5の表層の糸条剥脱中に途中糸切れが起ったとき、糸切れ検知器11から糸切れ信号が制御部13に入力される一方、モータ4A,4Bを介して始動時点からのスピンドル2A,2Bの積算回転数が入力されるようになっている。制御部13は、このように糸切れ検知器11から糸切れ信号が入力すると、始動開始時からその時点までに積算されたスピンドル2A,2Bの回転数から糸条の既剥脱量を算出し、さらにその既剥脱量と予め設定してある所定剥脱量(全剥脱量)との差から残剥脱量を算出し、それを出力する。
【0021】したがって、途中糸切れした糸条パッケージを再度表面処理するときは、上記のように制御部13が算出した残剥脱量に基づいて、残余の回転数だけスピンドルを回転させて表面処理をすれば、予め設定された所定量の剥脱を正確に行うことができる。したがって、不良品パッケージを発生することがなく、歩留りを良好にすることができる。
【0022】
【発明の効果】上述したように、第1の本発明によれば、各スピンドル毎にパッケージ外径測定器を配置し、その外径測定器の測定値に応じて各スピンドルの回転速度を調整して全糸条パッケージの表面処理終期を同一に揃えるようにするため、外径が異なる複数個の糸条パッケージを同時表面処理する場合であっても、終期の不揃いによる製造ラインの非効率化を招くようなことがない。
【0023】また第2の本発明によれば、表面処理途中で発生した糸切れ検知器を設けることにより、その糸切れまでの既剥脱量を算出するようにし、その既剥脱量に基づいて残剥脱量を算出するので、この残剥脱量に基づいて途中糸切れ後の糸条パッケージを表面処理することにより、残糸剥脱を正確に行うことができ、不良品を発生することがない。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)3月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平10−273843
【公開日】 平成10年(1998)10月13日
【出願番号】 特願平9−80676