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【発明の名称】 糸道ガイドおよび糸条の熱処理装置
【発明者】 【氏名】池内 秀樹
【氏名】西城 照章
【課題】糸通し作業を簡便に行うことができる糸道ガイドおよび該糸道ガイドを備えた糸条の熱処理装置を提供する。

【解決手段】糸条を屈曲した走行状態にするための糸道を規制する糸道規制部と、前記糸条を前記糸道規制部に案内する糸導入部を備えた少なくとも2本の糸道ガイドにおいて、前記糸導入部の前記糸条走行方向と交差する面での外縁形状を凸型の曲線に形成したことを特徴とする糸道ガイド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】糸条を屈曲した走行状態にするための糸道を規制する糸道規制部と、前記糸条を前記糸道規制部に案内する糸導入部を備えた少なくとも2本の糸道ガイドにおいて、前記糸導入部の前記糸条走行方向と交差する面での外縁形状を凸型の曲線に形成したことを特徴とする糸道ガイド。
【請求項2】前記糸条走行方向と交差する面での前記糸導入部の曲線部の任意の位置における接線と前記糸道規制部の軸線との交差角度θが90°以下であることを特徴とする請求項1記載の糸道ガイド。
【請求項3】前記糸道規制部と糸導入部との間に段差を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の糸道ガイド。
【請求項4】前記糸導入部は、糸条との動摩擦係数が0.5以下に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の糸道ガイド。
【請求項5】走行糸条を囲む熱処理筒と、前記熱処理筒の両端に設けられた糸条通過口からなる糸条の熱処理装置において、前記熱処理筒内および/または前記糸条通過口の出入口部に、請求項1から4のいずれかに記載の糸道ガイドを備えたことを特徴とする糸条の熱処理装置。
【請求項6】請求項5に記載の糸条の熱処理装置を用いて合成繊維を製造することを特徴とする合成繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル、ポリアミドのような合成繊維の走行糸条の糸道を規制する糸道ガイドに関し、さらには、該糸道ガイドを備えた糸条の熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、糸条の熱処理装置において、熱処理装置内に糸条を非接触状態で走行させるとともに、熱処理装置内に配設した糸条の規制ガイドに糸条の一部を接触させ、糸条を屈曲または湾曲するように走行させて糸揺れを抑制し、或いは張力を制御して糸条を熱処理するようにしたものがある。
【0003】かかる熱処理装置への糸通しに際しては、熱処理筒側面の開口部を閉塞している閉塞部材を開いた後、連続して走行している糸条を、例えばサクションガン等の吸引手段で引き取りつつ、熱処理筒の側面開口部から糸条を導入し、糸条の入口から熱処理筒内の糸道ガイドへと、熱処理筒の長手方向に順次糸を通し、出口から糸条を引き出すようにしたものである。
【0004】この走行糸条を屈曲させる規制ガイドを熱処理装置内に配設した、糸条の熱処理装置への糸通しにおいて、その糸通し作業の簡便化のために、従来から種々の改良装置が提案されている。
【0005】例えば、特表平8−500649号公報には、糸道ガイドの糸導入側の端部を円錐状に傾斜させた糸条の熱処理装置が開示されている。
【0006】また、特開平7−102435号公報には、糸掛け時に糸道ガイドを移動して、糸道を一直線状とし、糸通し完了後、糸道ガイドを元の状態に戻す糸条の熱処理装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来技術において、糸道ガイドの糸導入側の端部を単に円錐状に傾斜させるものでは、円錐面での糸条の導入抵抗が大きく、サクションガン等の吸引手段で引き取るだけでは、糸条が規制域まで到達しなくなり、その結果、糸条を規制域まで押し込むための糸掛け治具等が必要となる。
【0008】次に、糸道ガイドの移動機構においては、まず、熱処理装置の熱処理筒内の狭い領域に、糸道ガイドを移動する機構を設置する場合、どうしても熱処理筒外にその移動機構が出てしまい、その結果、加熱媒体として、加熱空気、蒸気等の流体を使用した場合、移動機構と熱処理筒のシール部構造が複雑になるという問題があった。また、糸通し完了後、糸道ガイドを元の状態に戻すことを忘れてしまい、トラブルを引き起こすという問題があった。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、糸通し作業を簡便に行うことができる糸道ガイドおよび該糸道ガイドを備えた糸条の熱処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の糸道ガイドは、糸条を屈曲した走行状態にするための糸道を規制する糸道規制部と、前記糸条を前記糸道規制部に案内する糸導入部を備えた少なくとも2本の糸道ガイドにおいて、前記糸導入部の前記糸条走行方向と交差する面での外縁形状を凸型の曲線に形成したことを特徴とするものである。
【0011】また、前記糸条走行方向と垂直な面で前記糸導入部の曲線部の任意の位置における接線と前記糸道規制部の軸線との交差角度が90°以下であることは好ましい態様である。
【0012】また、前記糸道規制部と糸導入部との間に段差を設けることは好ましい態様である。
【0013】また、前記糸導入部を、糸条との動摩擦係数が0.5以下に形成することは好ましい態様である。
【0014】また、本発明の糸条の熱処理装置は、走行糸条を囲む熱処理筒と、前記熱処理筒の両端に設けられた糸条通過口からなる糸条の熱処理装置において、前記熱処理筒内及び/または前記糸条通過口の出入口部に、前記糸道ガイドを備えたことを特徴とするものである。
【0015】また、本発明は、上記の糸条の熱処理装置を用いて合成繊維を製造することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の糸道ガイトについて、本発明の一実施形態を示す図面を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明に係る糸道ガイドの一例を示す平面図であり、図2は正面図である。糸道ガイド1は、図1のように一つの部材からなるものであるが、作用する部位に応じて、糸条を屈曲した走行状態にするために糸道を規制する糸道規制部2と、走行糸条を糸道規制部に案内する糸導入部3で構成される。糸導入部3は、糸条走行方向と交差する面での外縁形状が凸型の曲線Rに形成されている。従って、糸導入部の接糸部と糸条との摩擦抵抗が小さく、容易に糸道規制部に案内される。
【0018】図2に示すように、糸道ガイド1の接糸部は曲面を形成しているが、糸条が屈曲される形状であればいずれでもよい。糸道ガイド1の材質は任意のものが適用できるが、耐久性を考慮してセラミック製のものが好ましい。糸条Yは、サクションガン等の吸引手段で引き取られながら、矢印A方向から糸導入部3の接糸面に沿うように糸道規制部2に案内される。
【0019】図3は、図1の糸道ガイド1の糸導入部3の部分拡大図である。糸導入部3は、糸条走行方向と交差する面で糸導入部3の曲線Rと、糸道規制部2の軸線との交差角度θが90°以下で形成されている。
【0020】図4は、図1とは異なる態様の本発明に係る糸道ガイドの平面図であり、請求項3記載の発明に係る糸道ガイドの実施態様である。この実施態様の特徴は、糸道規制部2と糸導入部3との間に段差4が形成されていることである。この段差4を設けることにより、糸道ガイドへの糸掛けが終了後、他部材へ糸掛けするとき、サクションガン等の吸引手段で引き回しても、糸道ガイド1に掛けた糸条は、この段差4がストッパーとなって外れないという効果がある。
【0021】図5は、前記糸導入部3のさらに異なる実施態様である。この態様では糸導入部3と糸条Yとの動摩擦係数が0.5以下となるように処理されている。その具体的な処理方法は、糸道ガイド材料表面の梨地処理、セラミックコーティング等、いずれでもよい。糸導入部の摩擦抵抗を小さくすることによって、糸条を糸道規制部に導きやすくしたものである。
【0022】図6は、上記した図1から図5の糸道ガイド1を用いた本発明に係る糸条の熱処理装置の実施態様である。図において、5は筒長手方向に延びる開口部を有する熱処理筒であり、熱処理領域6には、加熱流体供給部7を通って加熱流体が供給される。加熱流体としては、加熱空気、蒸気等を用いることが可能である。また、加熱流体を供給せずに、熱処理筒にシーズヒータを埋め込み、輻射により熱処理領域6内の糸条を熱処理するヒータとすることもできる。1は上記した図1から図5のいずれからなる糸道ガイドであり、図7に示すように、糸導入側の端部は開放され、もう一方の端部は熱処理筒5の壁面に適当な手段で固定されている。熱処理筒5の両端には、糸条の入口、出口である糸条通過口8があり、熱処理筒5の中に糸道ガイド1を設けている。
【0023】該開口部に当接自在なゴム状パッキン10をとりつけた蓋9を。蝶番11を介して熱処理筒5にとりつけ、糸を通し終わった後の蓋9を閉じて、パチン錠12で熱処理筒5の開口部にパッキン10を押しあて、熱処理筒の内部に糸条Yを熱処理するための空間である熱処理領域6を形成するものである。
【0024】このような糸条の熱処理装置への糸通しに際しては、糸導入部の曲線Rにより、糸条の導入抵抗が小さくなり、サクションガン等の吸引手段で引き取るだけで、糸条は糸道規制部まで到達する。
【0025】
【発明の効果】本発明糸道ガイドは、前記した構成とすることにより、以下の効果を奏する。すなわち、糸道ガイドへの糸通しに際しては、糸条の導入抵抗が小さく、サクションガン等の吸引手段で引き取るだけで、簡便に糸通しができる。
【0026】また、本発明の糸条の熱処理装置は、前記した糸道ガイドを備えているので、糸通しのための糸掛け治具、糸道ガイドの移動機構等を必要とせず、簡便に糸通しができるとともに、熱処理装置の構造を簡略化できる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)3月25日
【代理人】
【公開番号】 特開平10−266039
【公開日】 平成10年(1998)10月6日
【出願番号】 特願平9−71994