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【発明の名称】 ホットプレート
【発明者】 【氏名】宮 行男
【氏名】杉山 修
【氏名】小池 ▲龍▼太
【氏名】戸井田 孝志
【氏名】関根 敏一
【課題】ホットプレート表面に溝が形成されず、長期間安定して使用可能なホットプレートを提供する【解決手段】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレート12は、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜16を設ける。

【解決手段】合成繊維糸を熱延伸するホットプレート12は、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜16を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項2】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項3】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項4】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項5】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項6】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項7】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項8】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項9】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層の上面に硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項10】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項11】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層の上面に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項12】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とするホットプレート。
【請求項13】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項14】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項15】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項16】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項17】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項18】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項19】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項20】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項21】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項22】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項23】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【請求項24】 合成繊維糸を熱延伸するホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とするホットプレート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は合成繊維糸をその表面に接触させて熱延伸するホットプレートの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維糸をその表面に接触させて熱延伸するホットプレートとして、たとえば特開昭54−138612号公報に記載のものがある。この公報に記載のホットプレートはセラミックス材料で構成し、糸が接触する面側を円弧状とし、糸が接触する面と反対側に発熱性導電体パターンを設けて加熱源としている。
【0003】そしてこのホットプレートは、その表面に糸が接触しながら高速度で走行し、さらに糸に無機物粉末やカーボン粉や酸化チタン粉末などを含むため、とくに耐摩耗性が要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の公開公報には、ホットプレート材料としてアルミナ磁器を使用して、ホットプレートの耐摩耗性を向上させていることが記載されている。このアルミナ磁器を用いたホットプレートでは、ある程度の耐摩耗性が得られている。
【0005】しかしながら無機物粉末やカーボン粉や酸化チタン粉末などの高硬度な粉末を含む糸を高速度で走行させると、ホットプレート表面に溝が形成されて、糸が熱延伸工程中に切れたり、その糸表面が毛羽だつ現象が発生し、問題となる。さらに表面に溝が形成されたホットプレートは新しいものに交換するが、その間は機械の運転と止めなければならず、長時間交換する必要がないホットプレートが要望されている。
【0006】さらにホットプレートの従来技術として、金属材料の圧延鋼表面に硬質クロム膜を設ける構成もある。しかしながら表面に硬質クロム膜を設けたホットプレートにおいても、糸を高速度で走行させると、その表面に溝が形成されるという前述と同じ問題点が発生する。このため糸が熱延伸処理中に切れたり、その糸表面が毛羽だつ現象が発生する。
【0007】〔この発明の目的〕この発明の目的は、上記の課題を解決して、ホットプレート表面に溝が形成されず、長期間安定して使用可能なホットプレートを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明のホットプレートは、下記に記載の手段を採用する。
【0009】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいては、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0010】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいては、糸と接触する側の表面に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0011】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0012】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0013】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0014】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0015】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0016】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0017】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層上に硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0018】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0019】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0020】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を設け、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設けることを特徴とする。
【0021】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0022】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0023】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0024】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0025】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0026】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0027】この発明のホットプレートにおいては、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0028】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0029】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0030】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0031】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0032】この発明のホットプレートは、合成繊維糸を熱延伸するホットプレートにおいて、糸と接触する側の表面に硬質クロム膜または酸化アルミニウム膜または浸炭層からなる硬質層を有し、この硬質層上に密着性を高める金属被膜からなる第1の中間層とシリコンまたはゲルマニウムまたは炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる第2の中間層を介して硬質カーボン膜を設け、ホットプレート表面は粗面とすることを特徴とする。
【0033】〔作用〕この発明のホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜を設ける。この硬質カーボン膜とは、水素化アモルファス・カーボン膜であり、ダイヤモンドとよく似た性質をもつ。このため硬質カーボン膜はダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれたり、i−カーボンと呼ばれている。
【0034】この硬質カーボン膜は、ビッカース硬度で4000Hv前後と非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が0.1程度と小さく、さらに耐触性にも優れている。
【0035】そのため高速度を走行する糸と接触する面に硬質カーボン膜を設けたこの発明のホットプレートは、従来のセラミックスや金属材料からなるホットプレートと比較して、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがって、糸の走行に起因する溝は形成されにくく、糸の毛羽だちも発生しない。このため、その表面に硬質カーボン膜を設けたこの発明のホットプレートは、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。
【0036】さらにこの発明のホットプレートにおいては、硬質カーボン膜とホットプレート基材との密着性を高める役割を有する、中間層を設ける構造を採用する。中間層としては、単層で構成する場合と、2層で構成する場合とがある。単層の場合の中間層材料としては、炭化チタン(TiC)やシリコンカーバイト(SiC)やタングステンカーバイト(WC)などの炭化金属被膜や、またはチタンシリサイド(TiSi)やモリブデンシリサイド(MoSi)やタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドを適用する。2層の場合の中間層材料としては、下層の第1の中間層としてはチタン(Ti)やクロム(Cr)を適用し、上層の第2の中間層としてはシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)や炭化金属被膜や金属シリサイド膜を適用する。
【0037】このようにこの発明のホットプレートは、中間層の働きにより、硬質カーボン膜とホットプレート基材とは強固に密着させることができる。したがって、さきに述べた硬質カーボン膜の非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が小さく、さらに耐触性にも優れている特性を充分に発揮できる。
【0038】さらにこの発明のホットプレートでは、ホットプレートの基材表面に硬質層を設ける構造を採用する。この硬質層は、硬質クロム膜や酸化アルミニウム膜や浸炭層から構成する。この硬質層を設けることにより、その要因はよくわからないが、硬質層を設けない試料に比較して硬質カーボン膜特性が向上し、とくに耐摩耗性に優れたホットプレートが得られという効果を有する。
【0039】さらにこの発明においては、ホットプレート表面を粗面として表面あらさを大きくする構造を採用する。ホットプレート表面を粗面とすると、硬質カーボン膜表面はホットプレート表面の粗面を反映して粗面となる。このように硬質カーボン膜表面を粗面とすると、糸にたいする動摩擦係数が小さくなり、そのうえ硬質カーボン膜がもつ前述の優れた特性によって、耐摩耗性が向上して、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。
【0040】そのうえさらにホットプレート表面を粗面とすると、アンカー作用によってホットプレート基材にたいする硬質カーボン膜や中間層の被膜の密着力を高めることができる。したがって、この発明のホットプレートでは、前述の硬質カーボン膜のもつ優れた特性を充分に発揮することができ、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能で、長期信頼性を向上させることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下この発明のホットプレートを実施するための最適な実施形態を、図面を使用して説明する。
【0042】〔熱延伸の説明:図11〕この発明のホットプレートを説明するまえに合成繊維糸の簡単な製造方法を、図11を用いて説明し、この発明のホットプレートが全体構成のどの部分を占めるのか、さらにどのような手段を果たすのかを説明する。図11は合成繊維糸の製造方法を簡略化して示す図面である。ノズル52から送り出される溶融紡糸された合成繊維の糸60は、凝固温度以下に冷却される。
【0043】そして図示はしていないが加熱手段と加熱温度を一定に保つ温度制御手段とを備えるホットプレート12で、熱と応力との作用で分子配向および結晶化向上を行う熱延伸を行う。ホットプレート12は図に示すように、糸60と接触する面側を円弧状に形成して糸60の通過を円滑にする。さらにホットプレート12の前後にローラー54を配置して、糸60がホットプレート12に正確に接触するように構成する。
【0044】さらに複数のディスクから構成する撚子手段56の摩擦作用により、糸60の仮撚子を行い、さらに巻取部58に糸60を巻き取る。
【0045】〔第1の実施形態におけるホットプレート:図1〕つぎに図1を用いてこの発明の第1の実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。図1はこの発明の第1の実施形態におけるホットプレートの構造を示す断面図である。ホットプレート12の基材表面に硬質カーボン膜16を設ける。この硬質カーボン膜16の膜厚は、糸60の種類やその用途によって調整すればよいが、およそ1μmから5μmとする。
【0046】ホットプレート12基材の材料としては、ダイス鋼(圧延鋼SPC−1)や工具鋼(SK材)やクロムモリブデン鋼やステンレスを使用する。ホットプレート12の糸60と接触する面側には、この図1には図示していないが、円弧状面を形成する。さらに、この円弧状面と反対側には凹部を設けて、その凹部内にホットプレート12を加熱する加熱手段と、加熱温度を一定に保つ温度制御手段とを備える。
【0047】この図1に示すように、この発明のホットプレート12は、糸60と接触する側の表面に硬質カーボン膜16を設けている。この硬質カーボン膜16は、水素化アモルファス・カーボン膜であり、ダイヤモンドとよく似た性質をもつ。
【0048】この硬質カーボン膜16は、ビッカース硬度が4000Hv前後と非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が0.1程度と小さく、さらに耐触性にも優れている。
【0049】そのため高速度にて走行する糸60と接触する面に硬質カーボン膜16を設けるこの発明のホットプレート12では、従来のセラミックスや金属材料からなるホットプレート12と比較して、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがって、糸60の走行に起因する溝は形成されにくく、糸60の毛羽だちも発生しない。このため、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。
【0050】〔第2の実施形態におけるホットプレート:図2〕つぎに図2を用いてこの発明の第2の実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。図2はこの発明の第2の実施形態におけるホットプレートの構造を示す断面図である。ホットプレート12の基材表面に形成する中間層14を介して硬質カーボン膜16を設ける。
【0051】この中間層14は、ホットプレート12基材と硬質カーボン膜16との相互の密着性を高める働きをもつ。中間層14材料としては、炭化チタン(TiC)やシリコンカーバイト(SiC)やタングステンカーバイト(WC)などの炭化金属被膜や、チタンシリサイド(TiSi)やモリブデンシリサイド(MoSi)やタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドを適用する。中間層14膜厚は0.5μm程度とするとよい。
【0052】この図2に示すこの発明の実施形態におけるホットプレートは、中間層14を硬質カーボン膜16とホットプレート12基材とのあいだに設けている。中間層14の働きにより、硬質カーボン膜16とホットプレート12基材とは強固に密着させることができる。したがって、さきに述べた硬質カーボン膜16の非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が小さく、さらに耐触性にも優れている特性を充分に発揮できる。このため、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能となり長期信頼性を向上させることができる。
【0053】〔第3の実施形態におけるホットプレート:図3〕つぎに図3を用いてこの発明の第3の実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。図3はこの発明の第3の実施形態におけるホットプレートの構造を示す断面図である。ホットプレート12の基材表面に中間層14を介して硬質カーボン膜16を設ける。
【0054】中間層14を設ける構造は、図2に示す第2の実施形態と同じであるが、第3の実施形態では、中間層14を第1の中間層14aと第2の中間層14bとの2層で構成する点が異なる。
【0055】この第1の中間層14aと第2の中間層14bとは、ホットプレート12基材と硬質カーボン膜16との相互間の密着性を高める働きを有する。第1の中間層14a材料としては、チタン(Ti)やクロム(Cr)などホットプレート12基材との密着性が高い材料を適用する。
【0056】さらに、上層の第2の中間層14b材料としては、炭化チタン(TiC)やシリコンカーバイト(SiC)やタングステンカーバイト(WC)などの炭化金属被膜や、チタンシリサイド(TiSi)やモリブデンシリサイド(MoSi)やタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドを適用する。またさらに、上層の第2の中間層14b材料としては、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの周期律表第IV族の元素を使用し、硬質カーボン膜16と共有結合が可能な材料を適用する。第1の中間層14aと第2の中間層14b膜厚は、それぞれ0.5μm程度のとするとよい。
【0057】この図3に示すこの発明の実施形態におけるホットプレート12は、第1の中間層14aと第2の中間層14bを硬質カーボン膜16とホットプレート12とのあいだに設けている。2層の中間層14の働きにより、硬質カーボン膜16とホットプレート12基材とは強固に密着させることができる。したがって、さきに述べた硬質カーボン膜16の非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が小さく、さらに耐触性にも優れている特性を充分に発揮できる。このため、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能となり長期信頼性を向上させることができる。
【0058】〔第4の実施形態におけるホットプレート:図4〕つぎに図4を用いてこの発明の第4の実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。図4はこの発明の第4の実施形態におけるホットプレートの構造を示す断面図である。硬質層18を形成したホットプレート12の基材表面に中間層14を介して硬質カーボン膜16を設ける。
【0059】この中間層14は、ホットプレート12基材と硬質カーボン膜16との相互に密着性を高める働きをもつ。中間層14材料としては、炭化チタン(TiC)やシリコンカーバイト(SiC)やタングステンカーバイト(WC)などの炭化金属被膜や、チタンシリサイド(TiSi)やモリブデンシリサイド(MoSi)やタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドを適用する。中間層14膜厚は0.5μm程度のとするとよい。
【0060】この図4に示すこの発明の実施形態におけるホットプレートは、中間層14を硬質カーボン膜16とホットプレート12とのあいだに設けている。中間層14の働きにより、硬質カーボン膜16とホットプレート12基材とは強固に密着させることができる。したがって、さきに述べた硬質カーボン膜16の非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が小さく、さらに耐触性にも優れている特性を充分に発揮できる。このため、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能となり長期信頼性を向上させることができる。
【0061】そのうえさらにホットプレート12基材表面に硬質層18を設けている。硬質層18は、メッキにより形成する硬質クロム膜や、浸炭処理により形成する浸炭層から構成する。硬質層18膜厚は5μmから20μmに設ける。さらに硬質層18としては、溶射により形成する酸化アルミニウム膜も適用することができる。この酸化アルミニウム膜は、100μm程度の膜厚で形成し、溶射によって被膜形成後、表面研磨加工を行い、表面荒れを除去する。
【0062】この硬質層18を硬質カーボン膜16の下面に設けることにより、硬質カーボン膜16のもつ特性が硬質層を設けないホットプレート12に比較して向上し、とくに耐摩耗性に優れたホットプレート12が得られという効果も、第4の実施形態では有する。
【0063】〔第5の実施形態におけるホットプレート:図5〕つぎに図5を用いてこの発明の第5の実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。図5はこの発明の第5の実施形態におけるホットプレートの構造を示す断面図である。硬質層18を形成したホットプレート12の基材表面に中間層14を介して硬質カーボン膜16を設ける。
【0064】中間層14を設ける構造は、図4に示す第4の実施形態と同じであるが、この第5の実施形態では、中間層14を第1の中間層14aと第2の中間層14bとの2層で構成する点が異なる。
【0065】この第1の中間層14aと第2の中間層14bとは、ホットプレート12基材と硬質カーボン膜16との相互間の密着性を高める働きを有する。第1の中間層14a材料としては、チタン(Ti)やクロム(Cr)などホットプレート12基材との密着性が高い材料を適用する。
【0066】さらに、上層の第2の中間層14b材料としては、炭化チタン(TiC)やシリコンカーバイト(SiC)やタングステンカーバイト(WC)などの炭化金属被膜や、チタンシリサイド(TiSi)やモリブデンシリサイド(MoSi)やタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドを適用する。またさらに、上層の第2の中間層14b材料としては、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの周期律表第IV族の元素を使用し、硬質カーボン膜16と共有結合が可能な材料を適用する。第1の中間層14aと第2の中間層14b膜厚は、それぞれ0.5μm程度のとするとよい。
【0067】この図5に示すこの発明の実施形態におけるホットプレート12は、第1の中間層14aと第2の中間層14bを硬質カーボン膜16とホットプレート12とのあいだに設けている。2層の中間層14の働きにより、硬質カーボン膜16とホットプレート12基材とは強固に密着させることができる。したがって、さきに述べた硬質カーボン膜16の非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が小さく、さらに耐触性にも優れている特性を充分に発揮できる。このため、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能となり長期信頼性を向上させることができる。
【0068】そのうえさらにホットプレート12基材表面に硬質層18を設けている。硬質層18は、メッキにより形成する硬質クロム膜や、浸炭処理により形成する浸炭層や、溶射により形成する酸化アルミニウム膜から構成する。このとき硬質クロム膜や浸炭層からなる硬質層18膜厚は5μmから20μmに設け、酸化アルミニウム膜からなる硬質層18は100μm程度の膜厚で形成する。
【0069】この硬質層18を硬質カーボン膜16の下面に設けることにより、硬質カーボン膜16のもつ特性が硬質層を設けないホットプレート12に比較して向上し、とくに耐摩耗性に優れたホットプレート12が得られという効果も、第5の実施形態では備えている。
【0070】〔第6の実施形態におけるホットプレート:図6〕つぎに図6を用いてこの発明の第6の実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。図6はこの発明の第6の実施形態におけるホットプレートの構造を示す断面図である。硬質層18を形成したホットプレート12の基材表面に硬質カーボン膜16を設ける。
【0071】この硬質層18は、メッキにより形成する硬質クロム膜や、浸炭処理により形成する浸炭層や、溶射により形成する酸化アルミニウム膜から構成する。このとき硬質クロム膜や浸炭層からなる硬質層18膜厚は5μmから20μmに設け、酸化アルミニウム膜からなる硬質層18は100μm程度の膜厚で形成する。
【0072】この図6に示すように、この発明のホットプレート12は、糸60と接触する側の表面に硬質カーボン膜16を設けている。この硬質カーボン膜16は、ビッカース硬度が4000Hv前後と非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が0.1程度と小さく、さらに耐触性にも優れている。
【0073】そのため高速度を走行する糸60と接触する面に硬質カーボン膜16を設けたこの第6の実施形態のホットプレート12は、従来のセラミックスや金属材料からなるホットプレート12と比較して、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがって、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。このため、その表面に硬質カーボン膜16を設けたこの発明のホットプレート12は、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能となり長期信頼性を向上させることができる。
【0074】この硬質層18を硬質カーボン膜16の下面に設けることにより、硬質カーボン膜16のもつ特性が硬質層を設けないホットプレート12に比較して向上し、とくに耐摩耗性に優れたホットプレート12が得られという効果も、第6の実施形態では備えている。
【0075】〔べつの実施形態におけるホットプレート:図1ないし図6〕以上の図1ないし図6を用いて説明した第1ないし第6の実施形態とべつの実施形態におけるホットプレートの構造を説明する。この実施形態では、ホットプレート12基材の表面の面あらさを大きくして、ホットプレート12表面を粗面とする構造を採用する。
【0076】ホットプレート12基材の表面の面あらさを大きくしてホットプレート12表面を粗面とするための手段としては、砥粒を高い圧力にてホットプレート12基材の表面に衝突させる、いわゆるサンドブラスト法を用いて行う。あるいは粗面を形成するための手段としては、湿式エッチング法または乾式エッチング法を適用して、表面をエッチングして、その表面を粗面とする。さらにまたサンドブラスト法とエッチング法とを組み合わせて行い、ホットプレート12表面を粗面としてもよい。
【0077】ホットプレート12表面を粗面とすると、硬質カーボン膜16表面はホットプレート12表面の粗面を反映して粗面となる。このように硬質カーボン膜16表面を粗面とすると、以上説明した硬質カーボン膜16および中間層14による効果に加えて、つぎの効果が得られる。すなわち表面が粗面の硬質カーボン膜16に接触する糸60にたいする動摩擦係数が小さくなり、そのうえ硬質カーボン膜がもつすぐれた特性によって耐摩耗性が向上して、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。
【0078】そのうえさらにホットプレート表面を粗面とすると、アンカー作用によってホットプレート基材にたいする硬質カーボン膜や中間層の被膜の密着力を高めることができる。したがって、この発明のホットプレートでは、前述の硬質カーボン膜のもつ優れた特性を充分に発揮することができ、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能で、長期信頼性を向上させることができる。
【0079】〔中間層の形成方法の説明:図10〕つぎに図2、図3、図4、および図5に示すこの発明のホットプレートに形成する中間層14の形成方法を、図10を用いて説明する。図10の断面図に示すように、真空槽22の壁面近傍に、その周囲領域にターゲットカバー44を設けたターゲット42を配置する。このターゲット42は、ホットプレート12に形成する中間層14材料で構成する。
【0080】さらにこのターゲット42と対向するように、その表面に中間層14を形成するホットプレート12を配置する。このホットプレート12は直流電源28に接続する。さらにターゲット42はターゲット電源46に接続する。
【0081】そして図示しない排気手段によって真空槽22内部を、3×10-5torr以下の真空度になるように、排気口26から真空排気する。そののち、ガス導入口24からスパッタガスとしてアルゴン(Ar)ガスを導入して、真空槽22内部を、3×10-3torr以下の真空度になるように制御する。
【0082】さらにその後、ホットプレート12には直流電源28からマイナス600Vの直流電圧を印加し、ターゲット42にはターゲット電源46からマイナス50Vの直流電圧を印加する。
【0083】すると真空槽22内部にはプラズマが発生し、プラズマ中のイオンによってターゲット42表面をスパッタする。そしてこのターゲット42表面から叩き出された中間層14材料はホットプレート12に付着して、中間層14をホットプレート12表面に形成することができる。あるいはガス導入口24からアルゴンガスと炭素を含むガスまたはシリコンを含むガスとの混合ガスを真空槽22内に導入して、ターゲット42から叩き出された元素と炭素またはシリコンとを反応させる反応性スパッタリング法により、炭化金属被膜または金属シリサイド膜からなる中間層14を形成することもできる。
【0084】〔硬質カーボン膜の第1の形成方法の説明:図7〕つぎに図1ないし図6に示すこの発明のホットプレートに形成する硬質カーボン膜16の形成方法を、図7を用いて説明する。図7の断面図に示すように、真空槽22内部に直流電源28に接続するホットプレート12を配置する。そして真空槽22内を真空度が3×10-5torr以下になるように、図示しない排気手段によって排気口26から真空排気する。
【0085】その後、ガス導入口24から炭素を含むガスとしてベンゼン(C6 H6 )を真空槽22内に導入して、真空槽22内の圧力を5×10-3torrになるように制御する。
【0086】その後、ホットプレート12には直流電源28から直流電圧を印加し、さらにアノード30にはアノード電源32から直流電圧を印加し、さらにフィラメント34にはフィラメント電源36から交流電圧を印加する。
【0087】このとき直流電源28からホットプレート12に印加する直流電圧はマイナス3kVを印加し、さらにアノード電源32からアノード30に印加する直流電圧はプラス50Vを印加する。さらにフィラメント電源36からフィラメント34に印加する電圧は30Aの電流が流れるように10Vの交流電圧を印加する。
【0088】するとホットプレート12の近傍領域を含む真空槽22の内部領域にプラズマが発生して、ホットプレート12表面に硬質カーボン膜16を形成することができる。
【0089】〔硬質カーボン膜の第2の形成方法の説明:図8〕つぎに図1ないし図6に示すこの発明のホットプレートに形成する硬質カーボン膜16の形成方法を、図8を用いて説明する。図8の断面図に示すように、真空槽22内部にマッチング回路40を介して高周波電源38に接続するホットプレート12を配置する。
【0090】そして真空槽22の内部を図8に図示しない排気手段によって、真空度が3×10-5torr以下になるように、排気口26から真空排気したのち、ガス導入口24から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH4 )を真空槽61内に導入して、真空度を0.1torrになるように調整する。
【0091】そしてこのホットプレート12には、マッチング回路40を介して13.56MHzの発振周波数を有する高周波電源38から400Wの高周波電圧を印加する。すると、ホットプレート12の近傍領域を含む真空槽22の内部領域にプラズマが発生して、ホットプレート12表面に硬質カーボン膜16を形成することができる。
【0092】〔硬質カーボン膜の第3の形成方法の説明:図9〕つぎに図1ないし図6に示すこの発明のホットプレートに形成する硬質カーボン膜16の形成方法を、図9を用いて説明する。図9の断面図に示すように、真空槽22内部に直流電源28に接続するホットプレート12を配置する。そして真空槽22内を真空度が3×10-5torr以下になるように、図示しない排気手段によって排気口26から真空排気する。
【0093】その後、ガス導入口24から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH4 )を真空槽22内に導入し、真空度を0.1torrになるように調整する。
【0094】そしてこのホットプレート12には、直流電源28からマイナス600Vの直流電圧を印加する。すると、ホットプレート12の近傍領域を含む真空槽22内部領域にプラズマが発生して、ホットプレート12表面に硬質カーボン膜16を形成することができる。
【0095】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、この発明のホットプレートは、糸と接触する側の表面に硬質カーボン膜を設ける。この硬質カーボン膜とは、水素化アモルファス・カーボン膜であり、ダイヤモンドとよく似た性質をもつ。この硬質カーボン膜は、ビッカース硬度で4000Hv前後と非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が0.1と小さく、さらに耐触性にも優れている。
【0096】そのため高速度を走行する糸と接触する面に硬質カーボン膜を設けたこの発明のホットプレートは、従来のセラミックスや金属材料からなるホットプレートと比較して、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがって、その表面に硬質カーボン膜を設けたこの発明のホットプレートは、その表面に糸の走行に起因する溝は形成されにくく、糸の毛羽だちも発生しない。このため、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。
【0097】さらにこの発明のホットプレートでは、硬質カーボン膜とホットプレート基材との密着性を高める役割をもつ、中間層を設ける構造を採用する。中間層としては単層で構成する場合と、2層で構成する場合とがある。単層の場合の中間層材料としては、炭化金属被膜や、金属シリサイドを適用する。2層の場合の中間層材料としては、下層の第1の中間層としてはチタン(Ti)やクロム(Cr)を適用し、上層の第2の中間層としてはシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)や炭化金属被膜や金属シリサイド膜を適用する。
【0098】このようにこの発明のホットプレートは、中間層の働きにより、硬質カーボン膜とホットプレート基材とは強固に密着させることができる。したがって、さきに述べた硬質カーボン膜の非常に硬度が高く耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が小さく、さらに耐触性にも優れている特性を充分に発揮できる。
【0099】さらにこの発明のホットプレートでは、ホットプレートの基材表面に硬質層を設ける構造を採用する。この硬質層は、硬質クロム膜や酸化アルミニウム膜や浸炭層から構成する。この硬質層を設けることにより、その要因はよくわからないが、硬質カーボン膜特性が硬質層を設けない試料に比較して向上し、とくに耐摩耗性に優れたホットプレートが得られという効果を有する。
【0100】さらにこの発明においては、ホットプレート表面を粗面として表面あらさを大きくする構造を採用する。ホットプレート表面を粗面とすると、硬質カーボン膜表面はホットプレート表面の粗面を反映して粗面となる。このように硬質カーボン膜表面を粗面とすると、糸にたいする動摩擦係数が小さくなり、耐摩耗性が向上して、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことができ、長期信頼性を向上させることができる。
【0101】そのうえさらにホットプレート表面を粗面とすると、アンカー作用によってホットプレート基材にたいする硬質カーボン膜や中間層の被膜の密着力を高めることができる。したがって、この発明のホットプレートでは、前述の硬質カーボン膜のもつ優れた特性を充分に発揮することができ、その表面に溝が形成されにくく、長期間にわたって安定して熱延伸処理を行うことが可能で、長期信頼性を向上させることができる。
【0102】ここで従来技術の金属材料からなるホットプレートと、この発明の硬質カーボン膜を形成したホットプレートとの摩耗試験結果を示す。従来技術のホットプレートは、圧延鋼表面に硬質クロム膜を設けた。これと比較するこの発明のホットプレートは、圧延鋼表面にチタンからなる第1の中間層と、シリコンからなる第2の中間層と、膜厚2μmの硬質カーボン膜を順次設けた。そして温度200℃に加熱したホットプレート表面に糸を走行させ、溝が形成されるまでの時間を測定し、摩耗試験とした。
【0103】その摩耗試験の結果は、従来技術のホットプレートにおいては50時間で糸溝が形成されたが、この発明のホットプレートでは1000時間で糸溝が形成された。すなわち硬質カーボン膜を被膜形成したこの発明のホットプレートは、従来より20倍耐摩耗性が改善され、長期信頼性が飛躍的に向上している。
【出願人】 【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
【出願日】 平成8年(1996)10月31日
【代理人】
【公開番号】 特開平10−130981
【公開日】 平成10年(1998)5月19日
【出願番号】 特願平8−289926