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ストランドの開繊方法および開繊装置 - 特開平10−110346 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ストランドの開繊方法および開繊装置
【発明者】 【氏名】武山 宏規
【氏名】山下 秀昭
【課題】相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを目開きの無い均一な状態でより薄く幅広に開繊することが出来るストランドの開繊方法および開繊装置を提供する。

【解決手段】プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランド(S)を開繊バー(1)〜(7)に圧接させて扁平に開繊する方法であって、開繊バー(1)〜(7)として、全ストランド(S)の張力に抗する所定の曲げ剛性を有し、かつ、周面に開繊用のラウンドコーナ(1a)〜(7a)が軸方向に沿って設けられている開繊バー(1)〜(7)を使用し、当該開繊バー(1)〜(7)のラウンドコーナ(1a)〜(7a)に各ストランド(S)を圧接させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを開繊バーに圧接させて扁平に開繊する方法であって、前記開繊バーとして、全ストランドの張力に抗する所定の曲げ剛性を有し、かつ、周面に開繊用のラウンドコーナが軸方向に沿って設けられている開繊バーを使用し、当該開繊バーのラウンドコーナに各ストランドを圧接させることを特徴とするストランドの開繊方法。
【請求項2】 回転駆動可能に構成され、その周面には略同一の曲率半径に設定された複数のラウンドコーナが周方向に所定のピッチ間隔で配列されている開繊バーを使用し、当該開繊バーの複数のラウンドコーナに各ストランドを圧接させて多段階に開繊する請求項1に記載のストランドの開繊方法。
【請求項3】 ストランドの移送方向に沿って多段に配列され、かつ、ラウンドコーナの曲率半径が全段とも略同一に設定され、又はストランドの移送方向後段側が漸次減少する様に設定されている複数の開繊バーを使用し、各開繊バーのラウンドコーナに各ストランドを順次圧接させて多段階に開繊する請求項1又は2に記載のストランドの開繊方法。
【請求項4】 プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを開繊バーに圧接させて扁平に開繊する装置であって、前記開繊バーは、全ストランドの張力に抗する所定の曲げ剛性を有し、かつ、周面に開繊用のラウンドコーナが軸方向に沿って設けられていることを特徴とするストランドの開繊装置。
【請求項5】 開繊バーは回転駆動可能に構成され、その周面には略同一の曲率半径に設定された複数のラウンドコーナが周方向に所定のピッチ間隔で配列されている請求項4に記載のストランドの開繊装置。
【請求項6】 開繊バーには、曲率半径の異なる複数のラウンドコーナが選択自在に設けられている請求項4に記載のストランドの開繊装置。
【請求項7】 ストランドの移送方向に沿って多段に配列された複数の開繊バーを備え、各開繊バーのラウンドコーナの曲率半径は、全段とも略同一に設定され、又はストランドの移送方向後段側が漸次減少する様に設定されている請求項4〜6の何れかに記載のストランドの開繊装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストランドの開繊方法および開繊装置に関し、詳しくは、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを目開きの無い均一な状態でより薄く幅広に開繊することが出来るストランドの開繊方法および開繊装置に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維等の連続繊維に樹脂を含浸させて粘着性のあるシート状に形成したプリプレグは、引張強度および剛性が高く、例えば、ゴルフクラブやバドミントンラケット等のシャフトの基材に使用される他、近年では、航空機やコンクリート建造物の補強材などとしても幅広く使用されている。この様な事情から、より高い引張強度および剛性を発現し得るプリプレグ、即ち、薄く且つ繊維含有率の高いプリプレグの要求が高まっている。
【0003】プリプレグの製造方法としては、多数の繊維束(以後、ストランドという)を相互に平行に整列させて長手方向に連続移送しつつ、各ストランドを予め扁平に開繊して一方向に引き揃え、これに樹脂を含浸させてシート状に形成する方法が知られている。また、各ストランドを予め扁平に開繊する方法としては、ストランドに張力を与えて円柱状の開繊ロールの周面に圧接させる方法が知られている(特公平3−33814号公報参照)。この場合、各ストランドに付与する張力および開繊ロールの半径は、ストランドの開繊状態に大きく影響し、ストランドの張力が大きい程、また開繊ロールの半径が小さい程、ストランドのトウ幅は広くなり、ストランドが薄く幅広に開繊されることが指摘され、また本件出願の発明者によっても確認されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ストランドの張力を大きくするにも限度があり、大きくし過ぎると各繊維が損傷する。また、開繊ロールの半径を小さくするにも限度があり、小さくし過ぎると開繊ロールの曲げ剛性が低下し、ストランドの張力によって開繊ロールが撓むこととなる。この場合、長手方向に連続移送される各ストランドは、直進性が低下して蛇行する様になり、各ストランド間に目開き(ギャップ)が発生して不安定な開繊状態となる。そして、この様な不安定な開繊状態で樹脂が含浸されたプリプレグは、目開き(ギャップ)部分から裂け易くなるという問題がある。すなわち、従来例においては、各ストランドを目開きの無い均一な状態でより薄くより幅広に開繊するには限界があった。
【0005】本発明は、前記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを目開きの無い均一な状態でより薄く幅広に開繊することが出来るストランドの開繊方法および開繊装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成する手段として、本発明に係るストランドの開繊方法は、プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを開繊バーに圧接させて扁平に開繊する方法であって、前記開繊バーとして、全ストランドの張力に抗する所定の曲げ剛性を有し、かつ、周面に開繊用のラウンドコーナが軸方向に沿って設けられている開繊バーを使用し、当該開繊バーのラウンドコーナに各ストランドを圧接させることを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る開繊装置は、プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドを開繊バーに圧接させて扁平に開繊する装置であって、前記開繊バーは、全ストランドの張力に抗する所定の曲げ剛性を有し、かつ、周面に開繊用のラウンドコーナが軸方向に沿って設けられていることを特徴とする。
【0008】本発明に係るストランドの開繊方法および開繊装置において、開繊バーには、曲率半径の異なる複数のラウンドコーナを選択自在に設けておくことが出来る。また、開繊バーとしては、回転駆動可能に構成され、かつ、その周面に略同一の曲率半径に設定された複数のラウンドコーナが周方向に所定のピッチ間隔で配列されている開繊バーを使用し、当該開繊バーの複数のラウンドコーナに各ストランドを圧接させて多段階に開繊するのが好ましい。
【0009】また、開繊バーは、ストランドの移送方向に沿って多段に配列し、各開繊バーのラウンドコーナの曲率半径は、略同一またはストランドの移送方向後段側が漸次減少する様に設定し、各開繊バーのラウンドコーナに各ストランドを順次圧接させて多段階に開繊するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係るストランドの開繊方法および開繊装置を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るストランドの開繊装置の斜視図、図2は同開繊装置における各開繊バーの側面図、図3は開繊バーの変形例を示す側面図、図4は開繊バーの他の変形例を示す斜視図、図5は本発明の第2実施形態に係るストランドの開繊装置の側面図である。
【0011】先ず、本発明の第1実施形態に係るストランドの開繊装置を説明する。図1に示す様に、第1実施形態に係るストランドの開繊装置は、プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランド(S)を開繊バー(1)〜(7)に圧接させて扁平に開繊する装置である。本実施形態では、7段の開繊バー(1)〜(7)がストランド(S)の移送方向に沿ってジグザグ状に設置されており、各ストランド(S)は各開繊バー(1)〜(7)を順次巻回して連続移送される。各開繊バー(1)〜(7)は、全ストランド(S)の張力に抗する所定の曲げ剛性をそれぞれ有する。そして、各開繊バー(1)〜(7)の周面には、開繊用のラウンドコーナ(1a)〜(7a)が軸方向に沿って設けられている。
【0012】前記ストランド(S)は、引張弾性率が1.0t/mm2以上、好ましくは20t/mm2以上の繊維を12,000〜50,000本程度、サイジング剤と共に束ねたものであり、相互に平行に整列されるストランド(S)の本数は40〜400本程度である。そして、開繊された各ストランド(S)は、後工程において、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂のプレポリマーが含浸されることにより、粘着性のある薄いシート状のプリプレグに形成される。この場合、プリプレグの単位面積当たりの繊維含有量(目付け量)は、40g/m2〜350g/m2の範囲であって、繊維含有率が98〜65重量%、好ましくは98〜75重量%に設定される。
【0013】なお、前記ストランド(S)を構成する繊維は、炭素繊維が一般的であるが、炭素繊維の他にストランド(S)を構成し得る連続繊維としては、ガラス繊維、窒化ホウ素繊維、シリコンカーバイド繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維などの各種のセラミックス繊維、鉄繊維、銅繊維、アルミニウム繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリアラミド繊維などの有機繊維等を掲げることが出来る。
【0014】前記開繊バー(1)〜(7)は、例えば、各角部にラウンドコーナ(1a)〜(7a)が形成された概略正方形の断面をなす有効直径50mm、有効長1,000mmの軟鋼製の棒材から成り、その両端部には直径50mmの軸部(1b)〜(7b)がそれぞれ形成されている。そして、各開繊バー(1)〜(7)は、両軸部(1b)〜(7b)が回転不能に支持されている。この両端支持状態において、各開繊バー(1)〜(7)は、1,000kgfの均等荷重を受けた際の最大撓み量が2mm程度となる所定の曲げ剛性を有する。すなわち、開繊バー(1)〜(7)は、ストランド(S)1本当たりの平均張力が2.5kgfの場合、ストランド(S)の本数が150本では最大撓み量が0.8mm、400本では最大撓み量が2.1mm程度となり、全ストランド(S)の張力に十分抗し得る曲げ剛性を有する。
【0015】なお、前記開繊バー(1)〜(7)の断面形状は、三角形の他、五角形、六角形などの任意の多角形を基本として各角部にラウンドコーナ(1a)〜(7a)を形成したものとすることが出来る。また、開繊バー(1)〜(7)の設置段数は7段に限らず1〜11段程度の範囲で適宜選定できる。さらに、開繊バー(1)〜(7)の曲げ剛性は、両端支持状態において最大撓み量が2mm程度以下であれば有効であり、その範囲内で開繊バー(1)〜(7)の有効直径および有効長を選定してもよい。
【0016】ラウンドコーナ(1a)〜(7a)は、開繊バー(1)〜(7)の各角部をその有効長に亘りR加工することによって形成され、その曲率半径は、1.5〜30mmの範囲内で適宜選定される。本実施形態では、ストランド(S)の移送方向に沿ってジグザグ状に7段に配列された各開繊バー(1)〜(7)のラウンドコーナ(1a)〜(7a)は、図2に示す様に、曲率半径が全段とも同一の15mmに設定されている。この様に同一の曲率半径に設定したのは、各ストランド(S)に加わる張力がストランド(S)の移送方向後段に向かって順次増大することを前提としたものであり、ストランド(S)の張力の増大に伴い、張力/曲率半径の比は、ストランド(S)の移送方向後段に向かって漸次増大する。
【0017】なお、前記各開繊バー(1)〜(7)のラウンドコーナ(1a)〜(7a)は、20mm、15mm、12.5mm、10mm、7.5mm、5mm、2.5mmと順次ストランド(S)の移送方向後段側が減少する様に設定してもよい。この場合、張力/曲率半径の比は、ストランド(S)の移送方向後段に向かって急激に増大し、開繊作業が効率的に行なわれる。
【0018】また、各開繊バー(1)〜(7)において、そのラウンドコーナ(1a)〜(7a)は、図3に示す様に、各角部ごとに異なる曲率半径としてもよい。この様に曲率半径を異ならせた場合には、ストランド(S)の張力が異なるときに、対応した曲率半径を選択する際の自由度が得られる。
【0019】さらに、ラウンドコーナは、開繊バーと一体に形成する必要はなく、開繊バーに装着される別部材に形成してもよい。例えば、図4に示す様に、円形断面の開繊バー(8)の周面に軸方向に延びる装着溝(8a)を設け、この装着溝(8a)に装着されるバー部材(9)にラウンドコーナ(9a)を形成してもよい。この場合、ラウンドコーナ(9a)が摩滅したときには、バー部材(9)のみを交換することによって簡単に対処することが出来る。
【0020】なお、前記各開繊バー(1)〜(7)の各ラウンドコーナ(1a)〜(7a)の表面、又は開繊バー(8)に装着されるバー部材(9)のラウンドコーナ(9a)の表面には、ストランド(S)を構成する繊維の擦れによる損傷を防止するため、梨地加工を施こすのが好ましい。
【0021】次に、第1実施形態に係るストランドの開繊装置を使用したストランドの開繊方法について説明する。この開繊方法は、プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランド(S)を開繊バー(1)〜(7)に圧接させて扁平に開繊する方法であって、前記開繊バー(1)〜(7)として、全ストランド(S)の張力に抗する所定の曲げ剛性を有し、かつ、周面に開繊用のラウンドコーナ(1a)〜(7a)が軸方向に沿って設けられている開繊バー(1)〜(7)を使用し、当該開繊バー(1)〜(7)のラウンドコーナ(1a)〜(7a)に各ストランド(S)を圧接させる方法である。
【0022】図1に示す様に、相互に平行に整列された各ストランド(S)は、ジグザグ状に配列された7段の開繊バー(1)〜(7)を巻回して長手方向に連続移送される。その際、各ストランド(S)は、その張力により各開繊バー(1)〜(7)のラウンドコーナ(1a)〜(7a)に多段に圧接して摺動することにより、それぞれ扁平に開繊される。
【0023】この様な各ストランド(S)の開繊過程において、各ストランド(S)に加わる張力はストランド(S)の移送方向後段に向かって漸次増大する。このため、張力/曲率半径の比はストランド(S)の移送方向後段に向かって増大し、各ストランド(S)は、7段の開繊バー(1)〜(7)における各ラウンドコーナ(1a)〜(7a)によって薄く幅広に確実に開繊される。
【0024】そして、特に、各開繊バー(1)〜(7)は、全ストランド(S)の張力に十分抗し得る曲げ剛性を有し、その最大撓み量は、ストランド(S)1本当たりの平均張力が2.5kgfの場合、ストランド(S)の本数が150本では0.8mm、400本では2.1mm程度に収まり、3mmを超えることがない。従って、各ストランド(S)は蛇行することなく相互に平行状態を維持して連続移送され、目開き(ギャップ)の無い均一な状態でより薄く幅広に開繊される。そして、この様に目開き(ギャップ)の無い均一な状態に開繊された各ストランド(S)に熱硬化性樹脂のプレポリマーを含浸させて形成されるプリプレグ(P)は、単位面積当たりの繊維含有量(目付け量)が40g/m2〜350g/m2の範囲であって、熱硬化性樹脂の含有量が少ないにも拘らず、不用意に裂けることがない。
【0025】続いて、本発明の第2実施形態に係るストランドの開繊装置を説明する。図5に示す様に、第2実施形態に係るストランドの開繊装置は、第1実施形態の開繊装置と同様にストランド(S)の移送方向に沿ってジグザグ状に設置された7段の開繊バー(10)〜(16)を備え、各ストランド(S)は各開繊バー(10)〜(16)を順次巻回して連続移送される。
【0026】前記開繊バー(10)〜(16)は、円形を基本とした異形断面をなす有効直径50mm以上、有効長1,000mmの軟鋼製の棒材から成り、その両端部は回転自在に支持されて図示省略した駆動系により回転駆動可能に構成されている。この両端支持状態において、各開繊バー(10)〜(16)は、1,000kgfの均等荷重を受けた際の最大撓み量が2mm程度であって、全ストランド(S)の張力に十分抗し得る所定の曲げ剛性を有する。
【0027】各開繊バー(10)〜(16)の周面には、それぞれ略同一の曲率半径に設定された複数のラウンドコーナ(10a)〜(16a)が周方向に所定のピッチ間隔で配列されて軸方向に延びている。各ラウンドコーナ(10a)〜(16a)の曲率半径は、1.5〜10mmの範囲内で適宜選定される。本実施形態では、各ラウンドコーナ(10a)〜(16a)の曲率半径は、それぞれ2.5mmに設定されている。
【0028】なお、前記各ラウンドコーナ(10a)〜(16a)は、各開繊バー(10)〜(16)と一体に形成してもよく、あるいは、各開繊バー(10)〜(16)に装着される別部材に形成してもよい。また、各ラウンドコーナ(10a)〜(16a)の表面には、前述の様に、梨地加工を施こすのが好ましい。
【0029】第2実施形態に係るストランドの開繊装置を使用したストランドの開繊方法においては、図5に示す各開繊バー(10)〜(16)は、回転不能状態に保持しておいてもよいが、ストランド(S)の移送方向と同方向に回転駆動してもよい。この場合、各開繊バー(10)〜(16)の周速度は、ストランド(S)の移送速度の1.0〜70%の範囲内とするのが好ましい。
【0030】各開繊バー(10)〜(16)を巻回して長手方向に連続移送される各ストランド(S)は、その張力により各開繊バー(10)〜(16)のラウンドコーナ(10a)〜(16a)にそれぞれ多段に圧接して摺動する。すなわち、各ストランド(S)は、初段の開繊バー(10)の複数のラウンドコーナ(10a)に多段に圧接して扁平に開繊され、次段の開繊バー(11)においても複数のラウンドコーナ(11a)に多段に圧接して扁平に開繊され、同様に終段の開繊バー(16)まで順次多段に開繊されるのであり、より薄くより幅広に開繊される。そして、各開繊バー(10)〜(16)が全ストランド(S)の張力に十分抗し得る所定の曲げ剛性を有することから、各ストランド(S)は蛇行することなく相互に平行状態を維持して連続移送され、目開き(ギャップ)の無い均一な状態でより薄く幅広に開繊される。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。実施例1及び比較例1〜3においては、開繊するストランドの本数は150本とした。各ストランドは、引張弾性率が24t/mm2の炭素繊維12,000本をサイジング剤により束ねた平均トウ幅が4mmのものであり、1.5%のサイジング剤を含有する。また、実施例2においては、開繊するストランドの本数は75本とした。各ストランドは、引張弾性率が24t/mm2の炭素繊維24,000本をサイジング剤により束ねた平均等幅が4mmのものであり、1.0〜1.7%のサイジング剤を含有する。そして、各実施例および比較例においては、各ストランドを予め扁平に開繊し、その後、エポキシ樹脂のプレポリマーを含浸させることによりプリプレグを形成した。開繊装置としては、各ストランドの移送方向に沿ってジグザグ状に配列された7段の開繊バーまたは開繊ロールを備えたものを使用した。なお、各開繊バーまたは開繊ロールは、両端部を除く有効長が1,000mmの軟鋼製とした。
【0032】[実施例1]有効長部分の断面が概略正方形をなす有効直径50mmの開繊バーを両端部を回転不能に固定して使用した。各開繊バーの角部のラウンドコーナは曲率半径を15mmとした。また、各ストランドの張力を2,500gとして全ストランドの張力は375kgとした。この実施例1では、各開繊バーの最大撓み量は0.8mm、各ストランドのトウ幅は10mmであった。各ストランドは蛇行することなく扁平に開繊され、プリプレグの外観からも各ストランドが目開き無く均一に開繊されているのが確認された。
【0033】[実施例2]略同一の曲率半径に設定された複数のラウンドコーナが周方向に所定のピッチ間隔で配列されている有効直径50mmの開繊バーを使用した。各開繊バーは、各ストランドの移送速度の10%の周速度で移送方向と同方向に回転駆動した。各開繊バーの各ラウンドコーナの曲率半径は2.5mmとした。また、各ストランドの張力を2,500gとして全ストランドの張力は187.5kgとした。この実施例2では、各開繊バーの最大撓み量は0.8mm、各ストランドのトウ幅は40mmであった。各ストランドは蛇行することなく極めて扁平に開繊され、プリプレグの外観から各ストランドが目開きの無い良好な状態でより薄くより幅広に均一に開繊されているのが確認された。
【0034】[比較例1]両端部が回転不能に固定された直径50mmの円形断面の開繊ロールを使用した。周面の曲率半径は25mmである。また、各ストランドの張力を2,500gとして全ストランドの張力は375kgとした。この比較例1では、各開繊バーの最大撓み量は0.8mm、各ストランドのトウ幅は6mmであった。各ストランドは開繊が不十分であり、プリプレグの外観からも目開きの大きいことが確認された。
【0035】[比較例2]両端部が回転自在に支持されて回転駆動される直径30mmの円形断面の開繊ロールを使用した。周面の曲率半径は15mmである。また、各ストランドの張力を2,500gとして全ストランドの張力は375kgとした。この比較例2では、各開繊バーの最大撓み量は6.4mm、各ストランドのトウ幅は7mmであった。各ストランドは開繊が不十分であり、しかも蛇行により目開きが発生し、プリプレグの外観からも目開きの発生が確認された。
【0036】[比較例3]両端部が回転自在に支持されて回転駆動される直径20mmの円形断面の開繊ロールを使用した。周面の曲率半径は10mmである。また、各ストランドの張力を1,000gとして全ストランドの張力は150kgとした。この比較例3では、各開繊バーの最大撓み量は13mm、各ストランドのトウ幅は10mmであった。各ストランドには蛇行により大きな目開きが発生し、プリプレグの外観からも目開きの大きいことが確認された。
【0037】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明に係るストランドの開繊方法および開繊装置によれば、プリプレグの製造に当たり、相互に平行に整列されて長手方向に連続移送される各ストランドは、開繊バーの周面に軸方向に沿って設けられているラウンドコーナに圧接されて扁平に開繊される。その際、開繊バーはストランドの張力に抗する所定の曲げ剛性を有するため、不用意に大きく撓むことがなく、扁平に開繊された各ストランドは蛇行することなく相互に平行状態を維持する。従って、各ストランドを目開きの無い安定した状態で確実に開繊することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【出願日】 平成8年(1996)10月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
【公開番号】 特開平10−110346
【公開日】 平成10年(1998)4月28日
【出願番号】 特願平8−283111